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株式会社教育と探求社(本社:東京都千代田区、代表取締役社長:宮地 勘司、以下「教育と探求社」)と三菱UFJフィナンシャルグループは、以下日程にて、金融経済教育の更なる普及を目的として、小学生高学年を対象とした、探究型金融経済イベント「マネージーニアス(Money Genius) ワンダーラボ」(以下 本イベント)を開催することをお知らせします。2025年春に続き、マネージーニアス第2弾として、東京、名古屋、大阪の3都市で、子どもたちが「お金」について楽しく、本質的に学ぶ探究型イベントを開催します。ゲームやワークショップを通じて、「お金ってなに?」「お金とどう付き合っていく?」など、親子で考える1日。未来を自分らしく、真に豊かに生きていくために必須となるマネーマインドセット(お金に対する基本的な姿勢や態度)を育む学びの場を体験できます。マネージーニアスの様子■イベントのおすすめポイント◎ゲームで体験!お金の「力」と「つながり」を探究しようおこづかいを貯めるだけじゃない、お金の力や社会とのつながりをゲームやワークショップで楽しく体験!知識を身につけるだけでなく、自分の考えを深める探究型プログラムです。◎「マネージーニアス受講証明書」プレゼントがんばった証として、参加者全員に修了証をお渡しします。◎親子で一緒に学べる!お子さま1名につき、保護者1名の同伴が必要です。■本イベントの目的金融経済教育の必要性が年々高まる中、子どもたちがお金について話し合い、探究する機会を創出し、単なる知識の習得を超えて、お金に対する意識やリテラシーを育む体験型のイベントです。知っているようで知らない、お金の力や可能性、お金との付き合い方を、本イベントならではの、体験的なゲームやワークショップで学ぶことができます。参加した小学生には、探究活動に取り組んだ証として、「受講証明書」が贈られます。また、夏休みの自由研究にも使える「自由研究シート」をご提供します。■探究型金融経済イベント「マネージーニアス(Money Genius) ワンダーラボ」開催概要<主催>三菱UFJフィナンシャル・グループ<協力>・教育と探求社・一般社団法人ティーチャーズ・イニシアティブ<日程と会場>・みなとみらい会場2025年8月3日(日) 13:20~16:00(13:00開場)MUFGグローバルラーニングセンター神奈川県横浜市西区みなとみらい4丁目8-1・名古屋会場2025年8月9日(土) 13:20~16: 00(13:00開場)三菱UFJ銀行 名古屋ビル愛知県名古屋市中区錦3丁目21-24・大阪会場2025年8月23日(土) 13:20~16: 00(13:00開場)三菱UFJ銀行 大阪ビル大阪府大阪市中央区伏見町3丁目5-6<対象>小学校高学年(5・6年生)*必ず保護者1名の同伴が必要です。<参加費>無料<募集人数>各会場40名(保護者を含め合計80名)<申込期限>・みなとみらい会場 2025年7月25日(金)・名古屋会場 2025年8月1日(金)・大阪会場 2025年8月15日(金)*応募多数の場合は抽選となります。<応募方法>以下のQRコードもしくはお申込みフォームからお申し込みください。各会場ごとにQRコードが異なりますのでご注意ください<お申込みフォーム>8月3日 みなとみらい: 8月9日 名古屋 : 8月23日 大阪 : イベント中で使用するカードゲーム「VALUE」(1)イベント中で使用するカードゲーム「VALUE」(2)イベント中で使用するカードゲーム「VALUE」(3)イベント中で使用するカードゲーム「VALUE」(4)■教育と探求社について所在地 : 〒102-0081 東京都千代田区四番町4-9 東越伯鷹ビル 6F設立 : 平成16年11月26日資本金 : 1億6,338万円事業内容: 「クエストエデュケーション」など探究学習プログラムの企画開発・制作販売、教育支援業役員 : 代表取締役社長 宮地 勘司取締役 米倉 誠一郎(一橋大学名誉教授)取締役 杉浦 治取締役 土屋 恵子URL : ■本件に関するお問い合わせ株式会社教育と探求社 金融経済教育担当Email: bim@eduq.jp Tel : 03-6674-1234 詳細はこちら プレスリリース提供元:@Press
2025年07月09日※このお話は作者はちみつこさんに寄せられたエピソードをもとに脚色を加え再構成しています。登場人物や団体や建物の名称はすべてフィクションです。■これまでのあらすじ保護者に寄り添い負担を軽くしようというスタンスの保育園で働くまりなにとって、真逆の負担の重い保育園に娘たちが通っていることがストレス。そんな中、自身の働く保育園で身勝手なママが保護者の負担が多いと退園。だがほかの保育園のほとんどがもっと厳しいと知り、戻って来たいと申し出て来る。まりなは彼らが戻って来るならと退職を決意するが、園長から娘たちをうちの園に転園させないかと声をかけられ…。 ■あの保護者じゃなかった!■もう安心して■その時インターフォンが!園長先生! まりなの状況を理解し、ずっと気にかけてくれていたのですね…。まりなの娘たちをこの保育園で受け入れたいこと、ひーちゃん親子についての方針をハッキリ話してくれました。「だからもういろいろ安心してね、まりな先生」園長先生の言葉に、まりなは強張っていた心がほどけていくのを感じるのでした。しかしその時、インタフォーンの音が!もしかして…、いや絶対あの人ですよね…? また新たにトラブルの予感が!?次回に続く「保護者の負担が多すぎる」(全37話)は12時更新!
2025年06月23日周囲からの情報やほかの親の考えなどに惑わされ、子育ての「軸」がぐらつくなど悪影響を受けていないでしょうか。インターネットを通じてかつてとは比較にならないほど多くの情報に触れる現代では、とくに注意が必要かもしれません。そのような状況において、高い小学校受験の合格実績をもつスイング幼児教室を運営する矢野文彦さんは、「子どもの名前の由来を思い出す」ことをすすめます。その効果は、どのような点にあるのでしょうか。構成/岩川悟取材・文/清家茂樹写真/石塚雅人(インタビューカットのみ)子どもの名前の由来は、親の教育方針の第一歩子育て中の親御さんは悩みがつきないでしょう。子どもの性格や行動に関する悩み、発達や学習度合いに関する悩み、しつけ方に関する悩みなど多種多様だと思います。そうした悩みにさいなまれているときは、「軸」ともいえる教育方針を見失い、袋小路に迷い込んでしまいかねません。すると、子育てに多くの悪影響が表れます。たとえば、わが子に対して「周囲に流されず自分自身の力で力強く人生を切り開ける子になってほしい」と願っていたのに、「子どもに失敗させたくない」「いい学校に行かせたい」といった目先の思いが先行してしまうと、もともとの願いとは矛盾した育て方になってしまいます。そのような、軸がブレた育て方のもとでは、子どもも「結局どうすればいいの?」と混乱し、精神的にも不安定になってしまうでしょう。あるいは、親のなかで「なにを大事にしたいのか」という軸が明確でなくなれば、周囲の情報や他の親と自分を比較して親自身が迷いや焦りを感じ、ストレスを溜めやすくなることも考えられます。親が強いストレスを感じることは、子どもにとっても好ましいことではありませんよね。そのような状況にいる親御さんには、改めて「わが子の名前の由来」を思い出してほしいと伝えています。子どもの名前をつけるとき、すべての親は「こんな子に育ってほしい」と願いを込めます。それは、それぞれの親の教育方針の第一歩に他なりません。それが、まさしく子育ての軸なのです。わが子の名前の由来を思い出し、子どもが生まれたときの気持ちに立ち返ることで、「そうだった、この子の名前にはこういう願いを込めていたのだった」と自らの教育方針を思い出すことができ、あるいは教育方針を立て直して今後の子育ての方向性を決めることもできるのです。「軸」を見失えば、自分らしい判断ができなくなる少し話が逸れるようですが、仕事だって同様ですよね。私は、子育てと仕事はとてもよく似ているものだと考えています。理想としていた職業に就くことはできていないとしても、みなさんが現在の仕事をはじめたときには、「こういう理由でこの仕事をするんだ」「この仕事を通じて将来的にこんなふうになりたい」「そのためにはこういうことを大事にしよう」という初心をもっていたはずです。この初心は、子育てでいえば、子どもが生まれたときに決めた教育方針です。でも、同じ仕事に長く携わるうちにその初心を見失ってしまうと、モチベーションの低下や判断のブレなど、多くの悪影響が出てきます。もちろん、そうなると成果も出づらくなって当然です。そうした「なにを大事にしたいのか」という軸は、普段の仕事の進め方にも顕著に表れます。「なによりも人の気持ちを大事にしたい」という人なら、パートナー企業がなんらかのトラブルを起こしたときに「パートナー企業の要望に柔軟に対応しよう」と考えるでしょうし、「契約や計画といった取り決めを守ることこそ優先しなければならない」という人なら、「パートナー企業に多少の負担をかけることも仕方がない」と考えるでしょう。もちろん、子育ての教育方針にも仕事における軸にも正解というものはありません。ただ、その内容は問わず、軸を見失ってしまっては自分らしい判断をすることが難しくなるのです。子育てでは「ふたつの顔」を使いわけるただし、子育てにおいては、「ふたつの顔」を使いわけることも大切です。仕事においては、先のトラブルが発生したときの例ではありませんが、場面に応じた仕事の進め方や対処法を、「自らの軸」に照らし合わせて打ち出さなければなりません。このことについては、子育ても同じです。子育てにおいても、理想通りにうまくいくことはほとんどないでしょう。うまくいかないことがあれば、自らの教育方針に立ち返って打ち手を見出す必要があります。たとえるなら、アスリートをサポートするトレーナーの顔であり役割のようなものです。「礼儀を重んじる子になってほしい」と願う親が、玄関で靴をそろえることを子どもに教える場面をイメージしてみてください。「靴をそろえておくと、お客さんが来たときに『すてきなお家だな』と思ってもらえるよ」といったほうが響く子もいれば、「靴をそろえるのがマナーだから」とシンプルに伝えたほうが納得する子もいます。「いまこの子にはどのような伝え方が最適なのか」と考えるのは、アスリートの個性や状況を見極めて成長をサポートする、まさにトレーナーのような役割です。仕事はもちろん、子育てにおいても、このような冷静な見方が欠かせないのです。でも、そういった関わりだけではやっぱりさみしいですよね?子どもの誕生日や旅行など特別なときには、「かわいい、かわいい」と徹底的に甘やかしてもいいと思うのです。「トレーナーの顔」と、子どもに甘い、いい意味での「親ばかの顔」、ふたつをうまく切り替えながら適切な関わりをしていくことで、より深い親子関係を築けるはずです。『スイング幼児教室が教える 冒険力の育て方』矢野文彦 著/光文社(2024)■ スイングアカデミア代表取締役・矢野文彦先生 インタビュー一覧第1回:「できない」を「できる」に変える冒険力!小学受験のプロに聞いた、子どもの力を伸ばす親とは?第2回:親自身が迷いや焦りを感じたら、「わが子の名前の由来」を思い出して。どんな願いを込めた?第3回:【冒険力の育て方】スイング幼児教室が教える、乱世を生き抜くための「4つの力」(※近日公開)【プロフィール】矢野文彦(やの・ふみひこ)1973年生まれ、東京都出身。株式会社スイングアカデミア代表取締役。大学卒業後、広告代理店やインターネットプロバイダを経て大手通信会社に入社。ブランドマーケティング、広告宣伝等を担当。2011年に退社して独立。WEB制作、アーティストマネジメント、教育事業をはじめ、東京都港区にスイング幼児教室を開校。2014年に株式会社スイングアカデミアを設立。社会経験を経て、学力だけではない社会で活躍するために必要な本当の力に気づき、「未来につながる学び」を、学びのスタート地点にいる子どもたちに伝えたいという思いから小学校受験業界に参入。培ったマーケティングノウハウを活かし、教育トレンドを速やかに分析して反映するなど、効率的で信頼性のある独自のカリキュラムが定評。講師やスタッフたちとのチームワークを大切にしながら、自らも授業やセミナーを行い、生徒や保護者に学びの本質である「冒険力」を伝えていくことを続けている。【公式X】矢野文彦 (スイング幼児教室)【ライタープロフィール】清家茂樹(せいけ・しげき)1975年生まれ、愛媛県出身。出版社勤務を経て2012年に独立し、編集プロダクション・株式会社ESSを設立。ジャンルを問わずさまざまな雑誌・書籍の編集に携わる。
2025年06月09日ウーマンエキサイトの皆さん、こんにちは!ドイツで子育てをしている主婦のぱん田ぱん太です!早いもので、わが家のフリッツ君ももう小学一年生。2月に7歳の誕生日を迎えました!誕生日パーティーはどうしたかと言うと……。幼稚園生だった去年までは、特に誕生日パーティーに呼びたいお友達もいないとのことだったので、家族だけのパーティーにしていたのですが、今年は初めて「招待したい子たちがいる」と自分から言ってくれたので、お友達を呼ぶことに!1人のママさんから連絡があり、内容は息子くんが口にする飲食物や、エンタメや、パーティー当日の行動についてのお願いでした。(もちろん、これらのルールをフリッツ君や他の子供たちにも適用しろというわけではなく、あくまでその息子くんのみの話です)ちなみに、ものすごく体が弱い持病のある子だとかそういう事情はなく、ごく普通の健康な男の子です。ケンカの際、件の事前連絡をしてきたママさんの息子くんの様子を見ていると、とあることに気付きました。それは「許されない」という口癖です(ドイツ語を日本語に直訳しているので、少々不自然ですが)。ちなみに、この場には私の昔ながらの友達など、複数の大人のドイツ人もいたのですが、彼らも「あの子のあの言い回しは独特だ」とコメントしていたので、ネイティブのドイツ人から見ても少々特殊に感じたよう。きっとフリッツ君の言葉の言い回しなども、どこかで誰かに「ああ、親の影響なんだな」と思われることもあるのでしょう(笑)。なんにせよパーティーは大成功で、フリッツ君は「毎日お誕生日パーティーだったらいいのに」「来年の誕生日パーティーが楽しみ」と何度も言っていたので、母としては大満足。ちなみに件のママさんは、後日、息子くんがパーティーを楽しめた、と改めてお礼を言ってくれたので、ひと安心。教育方針は家庭の数だけあるので難しいところですが、またこんな風にお友達を呼んで楽しい思い出を作っていきたいです!
2025年04月01日「モンテッソーリ」や「シュタイナー」といった言葉を耳にしたことがありますか?どちらも著名な教育家の名前で、その教育法は「モンテッソーリ教育」「シュタイナー教育」として世界中で知られています。幼児教育について調べた経験をお持ちなら、聞いたことがあるかもしれませんね。では、モンテッソーリ教育およびシュタイナー教育の中身を具体的に説明することはできるでしょうか?それぞれの教育法は、何を目標に掲げていて、どのような教育を実践しているのでしょう。そして、日本で子どもを育てるにあたり、それらの教育法をどのように活かせるのでしょうか?モンテッソーリ教育とシュタイナー教育を比較しつつ、それぞれの特徴を確認してみましょう。モンテッソーリ教育・シュタイナー教育の発祥モンテッソーリ教育は、イタリア出身のマリア・モンテッソーリ(1870~1952)によって生み出されました。モンテッソーリは、女性として初めてローマ大学の医学博士号を取得した才女。大学卒業後は、障害を持つ子どもの教育に取り組み、知的能力を向上させることに成功しました。そのときの方法論を、障害を持たない子どもの教育にも活かせると考えた彼女は、1907年に貧困層向けのアパート内で開設された保育施設「子どもの家」の監督・指導に従事します。そこから生まれた教育法が、モンテッソーリ教育なのです。モンテッソーリ教育は、大脳生理学や心理学などの観点からも効果的だといわれています。一方のシュタイナー教育は、オーストリア出身のルドルフ・シュタイナー(1861~1925)が始めたものです。シュタイナーは哲学の博士号を持ち、「科学的・神秘体験を通じて精神世界を研究する」という「人智学(アントロポゾフィー)」を確立したことで知られています。彼が自身の教育理念を実現しようと1919年にドイツで創立したのが「自由ヴァルドルフ学校」です。この学校は、タバコ工場の労働者およびその子どもたちのために設立されたものですが、外部の子どもも生徒として受け入れていました。校名の「自由」には、「自由な人間を育てる」という決意が込められているそうです。こうして比べてみると、両方とも20世紀初頭にヨーロッパで生まれたという共通点がありますね。ただ、モンテッソーリ教育は医師によって、シュタイナー教育は哲学者によって考案されたというのが大きな違いです。モンテッソーリ教育・シュタイナー教育の理念モンテッソーリ教育は、子どもに「自分を育てる力」――すなわち「自己教育力」が備わっていることを前提としています。この力を充分に発揮できる環境および自由を子どもに用意し、自発的な活動を促して成長させることがモンテッソーリ教育の基本理念です。「自立していて、有能で、責任感と他人への思いやりがあり、生涯学び続ける姿勢を持った人間を育てる」ことを目的にしています。シュタイナーは学校について、「一切の偏見から自己を解放することができる、自由な人聞を育てる場所でなければならない」と考えていました。そのような人間を育成するため、シュタイナー教育では「教育そのものが芸術行為であるべき」だと考えられています。芸術的なものに触れると人間の感情は高まり、感情とともに取り入れた知識は定着しやすいからだそうです。これらの考えを比べてみると、どちらの教育も「自由」を重視していることがわかりますね。しかし、モンテッソーリ教育は「子どもが自分を教育する環境」を用意する一方、シュタイナー教育は「子どもを学校でどう教育するか」に着目しているという点が大きな違いだといえるでしょう。モンテッソーリ教育・シュタイナー教育の方法論上記のような理念は、どのような方法論に落とし込まれているのでしょうか。「藤井聡太六段、Amazon共同創立者ジェフ・ベゾスが幼児期に受けていた『モンテッソーリ教育』とは?」でもお伝えしたように、モンテッソーリの教育施設「子どもの家」では、子どもが活動を自由に選ぶことができます。それぞれの興味や発達段階に応じて、パズルやカードなど多様な教材が用意されており、それらを通じて文化や算数が学べるのです。異なる年齢の子どもたちで構成される「縦割りクラス編成」も、モンテッソーリ教育の特徴です。日本モンテッソーリ教育総合研究所に併設されている「子どもの家」(東京都大田区)では、2歳半から6歳の子どもたちが同じクラスで活動します。年下は年上を見習い、年上は年下の世話をすることで、社会性が育まれるのだそうです。シュタイナー教育には、「フォルメン」「オイリュトミー」という独自の教授法があります。「フォルメン」とは、直線や曲線、幾何学模様の描画を通し、集中力をつけさせたり指先を訓練させたりする方法。さまざまな科目において少しずつ取り入れられており、数学や美術の基礎的学習という位置づけとのこと。「オイリュトミー」とは、音楽に合わせて体を動かし、図形や感情を表現する科目。「自然で美しい身ぶり」や、他者との調和が学べるそうです。初等教育と中等教育を分断せず、12年間の一貫教育を重視することもシュタイナー教育の特徴です。特に1~8年生のあいだは、「学齢期の始まりから思春期にさしかかる子どもたちの成長の全体を見通し、長期的なまなざしで育てる」ため、原則的に同じ教師が担任を務めます。これによって、担任は責任を持って教育を行うことになり、子どもとともに成長することも可能です。このように、モンテッソーリ教育とシュタイナー教育の方法論は大きく異なります。モンテッソーリ教育は子どもの「自己教育力」を伸ばし、シュタイナー教育は教師の役割を重視していることが背景にあるといえるでしょう。モンテッソーリ教育・シュタイナー教育を家庭で取り入れるにはモンテッソーリ教育やシュタイナー教育に興味を抱いても、それらの理論を本格的に導入した教育施設に子どもを通わせることはハードルが高い、と感じるかもしれません。では、それぞれのエッセンスを家庭で取り入れてみるのはどうでしょう?手軽な方法をご紹介します。モンテッソーリ教育の基本的な考え方は、「子どもを手伝わず、自分で作業できる環境を整えてあげる」こと。子どもが自発的に興味・関心を抱き、積極的に物事に取り組めるような家庭を作りましょう!まず、「子どもを手伝わない」ことを意識してみてください。服を着たり、物を片づけたり。子どもがスムーズにできないと手出ししたくなるかもしれませんが、こらえてください。ですが、突き放すわけではありません。やり方がわからずに子どもが困っているようなら、親がゆっくりとお手本を見せてあげましょう。また、「子どもの家」のように、子どもが活動できるコーナーを用意しましょう。「特別な環境がなくても大丈夫!家庭で実践できるモンテッソーリ教育」でもお伝えしたように、子ども専用の「身支度コーナー」を作るのがおすすめ。鏡やくし、ヘアピンなどを並べ、楽しく身じたくできる場所にしましょう。シュタイナー教育は、「自然の素朴さ ・温かさ」を大切にしています。そのため、シュタイナー学校の校具にはできるだけ自然素材が使われ、プラスチックやスチールは避けられているのです。自宅で使うインテリアや道具、おもちゃも、できるだけ自然素材のものを選んでみてはいかがでしょう?ポリエステルの布よりコットン、つるつるしたプラスチックより、温かみのある木製の家具。手作りであれば、なおよいですね。「美を感じ、洞察力や達成感を育む『シュタイナー教育』を家庭で取り入れる方法」でもご紹介したように、花を飾ることもおすすめです。一輪で構わないので、花屋で選んだ季節の花をリビングに置いてみましょう。生の花を飾る習慣は、子どもだけでなく家族全体によい影響を及ぼしますよ。モンテッソーリ教育・シュタイナー教育を受けた有名人モンテッソーリ教育を受けた有名人には、高校生棋士の藤井聡太さん(2018年6月現在)がいます。藤井さんは中学生でプロデビューし、2017年に歴代最多の29連勝という記録を打ち立てたことで大きな注目を浴びました。藤井さんは、モンテッソーリ教育を取り入れている「雪の聖母幼稚園」(愛知県)で学んだ経験があります。そこで、2色の画用紙や布を切って袋状に編み込ませる「ハートバッグ」作りに夢中になったそう。棋士としての高い集中力は、この作業で養われたのかもしれませんね。世界的大企業・AmazonのCEOであるジェフ・ベゾスさんも、モンテッソーリ・スクールに通っていました。その当時から、目の前の課題に全力で集中していたそう。ベゾスさんは現在でも、マルチタスクを好まず、課題ひとつひとつを集中してこなします。メールを読むことにすら「全身全霊を込める」のだそうです。モンテッソーリ教育を受けた人には、集中力の高い人が多いのかもしれません。シュタイナー教育を受けた日本人としては、2017年に公開された映画『昼顔』でメインキャストを務めた俳優の斉藤工さんが挙げられます。斉藤さんは、幼児クラスから小学校6年生まで「東京シュタイナーシューレ」(現・シュタイナー学園)に在籍していました。特に斎藤さんの印象に残ったのは、衣装を自作したり自分のテーマカラーを決めたりした「オイリュトミー」の授業。米を苗から育てて収穫・販売したことも、体が感覚的に覚えているそうです。斎藤さんは「卒業後の人生においてずっと必要な自分の生き方や理念、世界観を培うための基礎」が身につけられたと、シュタイナー教育を高く評価しています。***モンテッソーリ教育とシュタイナー教育を比較することで、それぞれの特徴が分かりやすくなりましたね。共感できるアイディアがあれば、皆さんの教育にも取り入れてみてください。(参考)StudyHacker|モンテッソーリ教育StudyHacker|シュタイナー教育StudyHackerこどもまなび☆ラボ|藤井聡太六段、Amazon共同創立者ジェフ・ベゾスが幼児期に受けていた「モンテッソーリ教育」とは?StudyHackerこどもまなび☆ラボ|特別な環境がなくても大丈夫!家庭で実践できるモンテッソーリ教育StudyHackerこどもまなび☆ラボ|美を感じ、洞察力や達成感を育む「シュタイナー教育」を家庭で取り入れる方法公益財団法人 日本モンテッソーリ教育綜合研究所|マリア・モンテッソーリについて公益財団法人 日本モンテッソーリ教育綜合研究所|モンテッソーリ教育について公益財団法人 日本モンテッソーリ教育綜合研究所|附属「子どもの家」幼児部学校法人シュタイナー学園|シュタイナー教育Q&A学校法人シュタイナー学園|シュタイナー学園の特徴的な科目学校法人シュタイナー学園|卒業生インタビュー ◎ 斎藤工さん(2期生)WELEDA公式サイト|ルドルフ・シュタイナーWELEDA公式サイト|アントロポゾフィー(人智学)北翔大学学術リポジトリ|シュタイナー教育を訪ねて : 自由ヴァルドルフ学校視察報告名古屋市立大学学術機関リポジトリ|日本におけるシュタイナー教育の動向日刊スポーツ|藤井四段の集中力育てた「モンテッソーリ教育」TechCrunch Japan|ジェフ・ベゾスが語る人生の極意※本記事は2018年6月23日に公開しました。肩書などは当時のものです。
2025年03月21日※このお話は作者ツムママさんに寄せられたエピソードをもとに脚色を加え再構成しています。 ■これまでのあらすじ「完璧な母親になりたい」という夢を持っていたペキ子は妊娠すると、母親になった時のために勉強していた有名ブロガーの怪しい教えを忠実に実践し始める。そこで夫の優一はペキ子の暴走を止めるべく間違った行動を正し、夫婦関係も円満になったはずだった。しかし出産後、有名ブロガーの呼吸法のおかげで安産だったと言うペキ子は、自分が正しかったと主張。1年後、娘を難関大学に行かせるため習い事を複数させるペキ子に優一が意見をすると、「あなたと私は親としての覚悟が違う」と言われてしまう。■今自分ができること■勉強は楽しいもの■約束して…!ペキ子は「完璧な母親」になるべく、日々努力していました。仕事でなかなか子育てに参加できない優一が何も言えなくなるくらい…。だから今、将来の娘のために自分ができることはこれしかないと、優一は思いました。「カンちゃんがもしも…勉強したくないって言い出したらすぐ辞めてほしいんだ」するとペキ子は母にかつて言われた言葉を思い出します。「勉強はつらいけれど大人になるために必要だから、嫌いなんてワガママ言わないわよね」と言われた記憶。そしてペキ子は頭を振ります。優一だけではなく、あの頃の母にも向けて。「勉強は楽しいものなの」それは、母へのささやかな反抗だったのではないでしょうか。ペキ子には母のように完璧な母親になりたいという気持ちとは裏腹に、母と自分は違うという気持ちがあるのかもしれません…。次回に続く「完璧な母親」(全60話)は12時更新!※実話をベースとしたフィクションです。症状を説明したり、医学的・科学的な根拠を保証したりするものではありません。気になる症状がある場合は医師にご相談ください。
2025年02月28日すべての人びとが「自分らしく、生きる。」社会を実現するための教育を提供する、株式会社教育と探求社(本社:東京都千代田区、代表取締役社長:宮地 勘司、以下「教育と探求社」)は、2025年1月11日(土)、教育の未来をテーマにした新春トークライブ「これからの学校の可能性を考える」を福岡市内のリアル会場およびオンラインにて開催いたします。登壇者として、前広島県教育長 平川 理恵氏、AI教育システム開発者で東明館中学校・高等学校校長の神野 元基氏をお招きし、教育の未来について議論を深めます。1月11日(土)開催「これからの学校の可能性を考える」■イベントの注目ポイント●【アンコール開催】大阪開催時220名超が参加した大盛況の対談が福岡で再び●【豪華登壇者】教育界を牽引する先駆者が一堂に会し議論を展開●【多様な視点】教育現場、テクノロジー、行政の各方面から学校の未来を考察■大反響をいただいた対談のアンコール企画●11月に大阪で開催された平川前広島県教育長と当社宮地の対談が、リアル会場とオンライン合わせて220名を超える先生方にご参加いただき、大盛況のうちに終わりました。他の地域でもぜひ開催をというご要望を多数いただいたため、2025年1月11日(土)に、福岡で追加講演を行うこととしました。今回はゲストスピーカーとして、2015年にAI搭載教育システムCubenaを開発された神野 元基さん(現・東明館中学校・高等学校校長)、モデレーターとして一般社団法人 Plearny Edu/福岡女子商業高等学校 吉本 悟先生という熱い地元勢も加わって、多角的な視点で『これからの学校の可能性』について議論を深めていきます。■テーマは「これからの学校の可能性」社会が大きく変動し、学校教育も変化を余儀なくされています。不登校問題、経済格差が生む教育格差、GIGAスクールへの対応や教員の多忙感の解消など課題山積の学校教育は、これからどこに進めばよいのでしょうか?様々な立場で学校と社会を繋き、イノベーションを起こしてこられた平川さん・神野さん・宮地と共に「これからの学校の可能性」を探求したいと思います。既存の枠に捕らわれない視点と推進力を持った3人の先駆者の考える学校の未来とは?■小中高すべての先生方が参加対象今回のイベントはすべての先生方を対象としています。次世代を担う子供たちに毎日接している先生方一人ひとりが、学校を新しい目で見るきっかけとなることを願っています。共に「これからの学校の可能性」について考え、明日からの学校の未来を全員で創っていきましょう。みなさんのご参加、心よりお待ちしております。■開催概要<日程>2025年1月11日(土) 15:30~18:00(リアル会場:15:00~受付開始/オンライン会場:15:15~入室開始)<内容>1. ゲスト対談平川 理恵さん(前 広島県教育長)神野 元基さん(東明館中学校・高等学校 校長)宮地 勘司(株式会社教育と探求社 代表取締役社長)モデレーター:吉本 悟先生(一般社団法人 Plearny Edu/福岡女子商業高等学校)2. 参加者同士の交流・対話の時間3. 振り返り、質疑応答などご希望の方には本会終了後、懇親会を予定しております。※19:00~/会費5,000円程度/要事前申込み<定員>リアル会場:先着100名オンライン:先着100名<参加費>無料*懇親会参加の場合は会費5,000円程度/要事前申込み<申込み方法>以下のフォームよりお申込みをお願いいたします。ご記入いただいたメールアドレス宛に、当日のご案内をお送りさせていただきます。 <当日の参加について>▼リアル会場警固神社 社務所ビル5F(福岡市中央区天神2丁目2-20 警固神社内)開始10分前までにお越しください。 ▼オンライン(Zoom)お申込み後にZoomのURLが記載されたメールをお送りいたします。※対話を希望されない場合は視聴のみの参加も可能ですので、申込み時に「視聴のみ」を選択してください。<登壇者のご紹介>▼平川 理恵さん京都市生まれ。1991年同志社大学卒業後、株式会社リクルートに入社。1998年南カリフォルニア大学経営学修士(MBA)取得。1999年留学仲介会社を起業。2010年全国で女性初の公立中学校民間人校長として横浜市立市ヶ尾中学校に着任。2015年横浜市立中川西中学校校長。文部科学省中央教育審議会の各委員を歴任し、新学習指導要領改訂作業に携わる。2018年から2024年3月まで広島県教育長。内閣官房教育再生実行会議有識者。その後、昭和女子大学ダイバーシティ推進機構客員教授、東京インターナショナルスクール理事を務め、その上で10月より大阪にある学校法人金蘭会学園(保育園・女子中高・女子大学・大学院)に関わる。著書に『クリエイティブな校長になろう』(教育開発研究所)、『あなたの子どもが「自立」した大人になるために』(世界文化社)など。Voicy:『平川理恵の「教育・子育てのツボ」ラジオ』 ▼神野 元基さん1985年(昭和60年)北海道網走市生まれ。高校卒業後、SFC(慶應義塾大学湘南藤沢キャンパス)に進学、電子出版の会社を設立。事業に集中するため大学を退学した後、テクノロジーの本場で勝負しようと、渡米してシリコンバレーへ。帰国後 株式会社 COMPASS を設立し、2015年に人工知能型教材Qubenaを開発。中央教育審議会初中等分科会臨時委員や産業構造審議会教育イノベーション小委員会委員として「GIGAスクール構想」の実現に向け尽力。現在は東明館中学校・高等学校の校長のほか、宮崎市教育CIOなど教育改革にまつわる職を務めている。著書「人工知能時代を生き抜く子どもの育て方」福岡のテレビ局・RKB毎日放送の情報番組「タダイマ!」レギュラーコメンテーター ▼宮地 勘司株式会社教育と探求社 代表取締役社長一般社団法人ティーチャーズ・イニシアティブ 代表理事1963年長崎県生まれ。1988年立教大学社会学部卒業。同年、日本経済新聞社入社。2002年、自らの起案により日本経済新聞社内に教育開発室を創設。新聞資源を活用した教材開発に取り組む。2004年11月、教育と探求社を設立し、代表取締役社長に就任。アクティブ・ラーニング型の探究学習プログラム「クエストエデュケーション」を開発し、全国の中学・高校に提供。2015年、一般社団法人ティーチャーズ・イニシアティブを設立し、代表理事に就任。著書「探求のススメ―教室と世界をつなぐ学び」共著「この先を生む人-ティーチャーズ・イニシアティブの記録」▼モデレーター:吉本 悟先生公立中学校の国語科教諭としてキャリアをスタートし、高校や国立大学附属学校でも教鞭をとる。教頭として学校管理職も経験。「教える」から「自ら学ぶ」への授業のパラダイムシフトをめざしてiPadの活用をはじめる。パフォーマンス課題とICTを組み合わせ、教科の学習をPBL化する。総合的な探究の時間のプログラムも開発・実践。教育委員会(教育センター)の主任指導主事として教員研修や学校研究を支援し、2024年3月に退職。同4月に一般社団法人 Plearny Edu を設立。今後の日本の教師のキャリア多様性と可能性を模索し、福岡女子商業高等学校の教員(Learning Conductor)としても従事しながら、パラレルな教員の働き方を探究中。リアル・オンラインともに定員100名のため、お早めにお申込みください。申込みはこちら。 【お問い合わせ先】株式会社教育と探求社 福岡営業所MAIL: fukuoka_sc@eduq.jp 詳細はこちら プレスリリース提供元:@Press
2024年12月16日■これまでのあらすじ家事育児を一切しない真美の夫は、息子が母親の手伝いをしようとすると「そんなの男のやることじゃない」と不機嫌になる。カメラで家の中を監視してまで息子のやりたい気持ちを阻止する夫に、真美はついに離婚を突きつけた。息子絶対主義の義母からは「あの子のお世話を誰がするの?」と文句を言われるが、真美は毅然と反論する。そして、数年が経ち…。息子は今も料理が大好きです。「シェフになりたい」とキラキラした笑顔を見せてくれるたび、息子の個性の芽を摘むことにならずによかったと、離婚してよかったと、心から思います。ちなみに、元夫は実家に帰ったようです。義母も口答えする嫁ならいらないと思ったみたいですから、きっと今ごろは母子で仲良く暮らしているのでしょうね。私たち母子は、あちらの母子みたいにならないように気をつけたいと思います。※この漫画は実話を元に編集しています脚本: 日野光里 、イラスト:乃崎弥紗(監修: インクルーズ )こちらもおすすめ「ママが一番」を盾に育児放棄する夫…亜希の夫、洋には困った考えがあります。何かあれば「ママが一番」と言って、育児に参加しようとしないのです。ついに過労で亜希の体に異変が…!? 「夫は"ママが一番教"」1話目はこちら>>
2024年11月13日■これまでのあらすじ家事育児を一切しない真美の夫は、息子が母親の手伝いをしようとすると「そんなの男のやることじゃない」と不機嫌になる。息子の気持ちを尊重するため、母子ふたりで暮らす覚悟を決める真美。ある日、料理好きの息子と台所に立っていると、家の中をカメラで監視していた夫が怒鳴り込んでくる。息子に手を振り上げた夫に、真美はついに離婚を突きつける。慌てて謝る夫だが、真美は許すつもりはなかった。息子とふたりで暮らしていく覚悟を決めた日から、着々と離婚の準備を進めていました。予定より早く家を出ることになりましたが、いつでも逃げられるように荷物をまとめておいてよかったです。ホッとしていると、義母から電話が…!こんなときまで母親に寄りかかる夫、そんな夫を擁護する母親。いつもどおりの展開で本当に呆れてしまいます。「あの子のお世話を誰がするの?」と義母は言っていましたが、自分で最後まで面倒見ればいいんじゃないですかね?あんなモンスターに育てたのは義母なんですから。そして、自由になった私たち母子はその後ー…。次回に続く(全10話)毎日更新!※この漫画は実話を元に編集しています
2024年11月12日■これまでのあらすじ息子が家事を手伝うと、「そんなの男のやることじゃない」と不機嫌になる夫。真美は料理好きの息子の気持ちを尊重したいが、夫は息子の手伝いで妻がラクするのはずるいと呆れた発言をする。覚悟を決めた真美が息子とふたりで暮らす準備を始めた矢先、夫が家の中をカメラで監視していたことを知る。息子に手を振り上げた夫に、真美はついに離婚を突きつけるのだった。私が「離婚」を口にした途端、夫は急に父親ヅラし出しました。息子に手を上げるような父親なら、いなくて結構です。私の仕事を見下して優位に立とうともしていましたが、しゃべればしゃべるほど墓穴を掘っていることに気づいていないのでしょうね。「ごめん、やり直そう」と必死に謝る夫の姿は哀れで、滑稽でした。それでうまくいかないと、結局また逆ギレするだけ…。世話係がほしいだけのくせに。私は息子を、夫みたいな人には絶対にしません。これでもうおしまいです。次回に続く(全10話)毎日更新!※この漫画は実話を元に編集しています
2024年11月11日■これまでのあらすじ息子が家事を手伝うと、「そんなの男のやることじゃない」と不機嫌になる夫。ある日、母子で料理を楽しんでいるのがバレてしまい、夫婦喧嘩に発展。真美は息子の好きなことをさせてやりたいが、夫は息子の手伝いで妻がラクするのはずるいと言う。子どものことを何も考えていない夫と一緒にいても意味ないと悟った真美は息子とふたりで暮らす覚悟を決める。そんな矢先、息子と料理をしている姿を夫が隠し撮りしていて…!?監視してまで息子に家事を手伝わせたくないなんて…。息子がきちんと自分の気持ちを伝えても「父親の言うことに逆らうのか」と恫喝する夫に、私は身の危険を感じました。これはもう男尊女卑とか、そんな問題じゃない。モラハラでしかありません。息子は「ママをいじめるな」と私をかばってくれました。優しくて勇気のある息子に手を振り上げた夫を、私は一生許しません。こんな人、家族じゃない。私は、温めてきた計画を実行にうつすことにしました。次回に続く(全10話)毎日更新!※この漫画は実話を元に編集しています
2024年11月10日■これまでのあらすじ真美の息子・太郎が母親の手伝いをしようとすると、「そんなの男のやることじゃない」と不機嫌になる夫。ある日、夫に隠れて母子で料理をしていたがバレてしまい夫婦喧嘩に。このままでは息子のためにならないと覚悟を決めた真美。息子のやりたいことをやらせてあげてと頼み込むが、夫は拒否する。その理由が、息子が料理をすると「妻が楽することになるから」と言う。夫は息子のことをこれっぽっちも考えていない。自分の価値観を家族に押し付けたいだけだったのです。息子が私を手伝えば、私が手抜きすることになる。それはずるいと言う夫は、もはや父親の顔ではありませんでした。こんな人といたら、息子の将来は潰される。息子の後押しもあり、私は行動を始めました。そして数ヶ月が過ぎたころ…。いつものようにこっそり息子と台所に立っていると、夫が予定より早く帰宅し、怒鳴り込んできたのです。夫の手には、カメラ…?次回に続く(全10話)毎日更新!※この漫画は実話を元に編集しています
2024年11月09日■これまでのあらすじ真美の息子・太郎が母親の手伝いをしようとすると、「そんなの男のやることじゃない」と不機嫌になる夫。自分は「母さんがやってくれた」と言い、結婚したら妻にやらせればいいという考えなのだ。息子の気持ちを大事にしたい真美は夫に内緒で好きなことをやらせていたが、ある日、母子で料理をしているがバレてしまう。言い争う両親に気を遣う息子。このままではいけないと、真美は覚悟を決めて夫と話し合うが…?夫は何もしない、何もできない人。夫にはもうなんの期待もしていないので、今さら家事を手伝ってもらおうとは思っていません。ただ、息子が手伝うことを怒らないでほしい。息子のやりたい気持ちを踏みにじらないでほしい。それだけなのに…、夫は「嫌だね」と意地悪な顔をしていました。息子が私を手伝うことで、「私がラクすることになる」?そんな理由で…?次回に続く(全10話)毎日更新!※この漫画は実話を元に編集しています
2024年11月08日■これまでのあらすじ真美の息子・太郎が母親の手伝いをしようとすると、「そんなの男のやることじゃない」と不機嫌になる夫。自分はなんでも「母さんがやってくれた」と言い、結婚したら妻にやらせればいいという考えなのだ。ケンカの絶えない両親のもとで育った真美は夫との言い争いを避け、内緒で息子のやりたいことをやらせていたが、ある日、母子で料理を楽しんでいることがバレてしまい…。怒鳴りながら台所に入ってきた夫。息子は怯えながらも勇気を出して「お料理がしたい」と伝えたのですが、夫は鼻で笑って相手にしなくて…。息子が初めて夫に立ち向かったこの想いを無駄にしちゃいけない。そう思って言い返すと、大声を出してのケンカとなり…結局、息子に気を遣わせることになってしまいました。いつも怒鳴り合っていた自分の両親のようになってはいけないと心に誓っていたのに、最悪です。その夜、息子に謝ると、息子は何もしない父親に疑問を抱いていました。子どもはちゃんと親の背中を見ているのです。このままでいいわけがない…。私は覚悟を決めて、夫と話し合うことにしました。次回に続く(全10話)毎日更新!※この漫画は実話を元に編集しています
2024年11月07日■これまでのあらすじ真美の息子・太郎が母親の手伝いをしようとすると、夫は「そんなの男のやることじゃない」と不機嫌になる。義母がそういう教育方針だったからだ。ケンカの絶えない両親のもとで育った真美は、息子に同じ思いをさせないように自分が我慢する日々を過ごしていたが、夫は息子から小学校の入学準備さえも取り上げ、真美にすべてやれと命じてきて…。夫は二言目には「俺の母さんはやってくれた」と言います。そのおかげで立派な大人になったと威張っていますが、何もできない大人になっていることに気づいていないのでしょう。私は息子をそんな大人にしたくありません。やりたいことの芽を摘むようなことはしたくない。私は夫に内緒で、息子が興味を持ったことはなんでもやらせてあげるようにしていました。ある日、料理をしてみたいと言い出した息子と台所に立っていると、いつもより早く夫が帰宅して…。いきなりの怒声に私と息子は震え上がりました。次回に続く(全10話)毎日更新!※この漫画は実話を元に編集しています
2024年11月06日■これまでのあらすじ真美の息子・太郎は母親のお手伝いを積極的にしたい男の子。けれど、夫は「そんなの男のやることじゃない」と嫌味な言い方で止めさせる。不機嫌さを隠そうとしない夫に怯えてしまっている息子。夫がこんな風に酷い男尊女卑をするのは、義母がそういう教育方針だったからだった。結婚前は、夫も義母もこんな人ではありませんでした。「パートナーとは家事を分担したい」という夫からの猛アプローチで結婚。義母も私を実の娘のように歓迎してくれていました。でも、幸せな日々はそう長くは続かず…。私が妊娠した途端、夫は態度を豹変させたのです。話し合おうとしても無駄、私のメンタルが削られるだけ。ケンカばかりの両親のもとで育った私は息子に同じを思いをさせたくなくて、ひたすら我慢をして過ごしてきました。ところが、最近になって、夫は息子に「何もさせるな」と口出しするようになったのです。私ひとりに家事も入学準備も押し付けて…。次回に続く(全10話)毎日更新!※この漫画は実話を元に編集しています
2024年11月05日息子はご飯を食べ終えるとすぐに立ち上がって、食器を台所まで運んでくれます。私が「手伝って」と頼んだわけではないのに、自分で考えて後片付けのお手伝いをしてくれるようになったのです。そんな息子を私はたくさん褒めてあげたいのに、夫は不機嫌になって…。「家事は男がやることじゃない」と思ってる夫。頭ごなしに叱るので、息子はすっかり怯えるようになってしまいました。夫は一切、家事をしません。その理由はわかっているのです…。次回に続く(全10話)毎日更新!※この漫画は実話を元に編集しています
2024年11月04日国際バカロレアの初等教育プログラムをご存じですか?この教育プログラムを導入した幼稚園では、世界地図や多言語の挨拶、さまざまな国の民族衣装など、世界の多様性を体感できる環境が整っています。初等教育プログラムなら、子どもたちは、探究心とグローバルな視野を自然に育むことができるのです。今回は、国際バカロレアの初等教育プログラムを導入した「幼稚園の特徴」「教育の成果」について詳しく見ていきます。幼い頃からの国際的な学びが、子どもたちの未来をどのように形作るのか、新しい幼児教育の可能性を一緒に探っていきましょう。未来のグローバルリーダーを育てる「初等教育プログラム」国際バカロレア(International Baccalaureate、以下IB)は、1968年にスイスで設立された国際的な教育プログラムです。そのなかで、3歳から12歳を対象とする初等教育プログラム(Primary Years Programme、以下PYP)は、幼児教育から小学校教育までをカバーする包括的なカリキュラムフレームワークとなっています。近年、グローバル化が進む社会において、幼児期からの国際的な視野の育成が重要視されるようになりました。そのため、IB PYPを導入する幼稚園が増加しています。IB PYPを導入することで、子どもたちの好奇心を刺激し、批判的思考力を育み、多様性を尊重する態度を養い、未来のグローバルリーダーの基礎を築くのです。IB PYPの主な目標は、子どもたちを以下の10の学習者像に沿って育成することにあります。(画像引用元:International Baccalaureate|国際バカロレア(IB)の教育とは?)「探究する力」や「考える力」、「挑戦する力」などは、昨今、注目されているスキルですが、「心を開く」「思いやり」「バランスがとれる」といったスキルも、未来のグローバルリーダーには必要となってくるのですね。これらの特性は、生涯にわたって学び続ける姿勢の基礎をつくり、グローバル社会で活躍するのに必要な能力を育てることを目指しています。大学卒業後も自己成長を続け、多様な環境で効果的に活動できる人材の育成が、このプログラムの核心的な目標と言えるでしょう。また、IB PYPは、「6つの教科横断的なテーマ」を中心に構成されています。(上記参考・引用元:文部科学省 IB教育促進コンソーシアム|PYP(Primary Years Programme))これらのテーマを理解するなかで、子どもたちは言語、社会、算数、芸術、理科、体育(身体・人格・社会性の発達)の6教科を学習するのだそう。「私たちはどのように自分を表現するのか」――難しいテーマですね。先生の言うことに常に従い、まわりと違った行動をとると注意されがちな、日本の一般的な幼稚園や小学校の教育方針とは、かなり違っている印象を受けませんか?次項では、この教育の柱とも言える、 IB PYPの具体的な教育内容について触れていきます。IB PYP導入幼稚園の特徴3つ特徴1:探究ベースの学習アプローチIB PYP導入幼稚園では、子どもたちの好奇心を活かした探究ベースの学習が重視されます。教師は、子どもたちの興味関心に基づいてテーマを設定し、そのテーマについて深く探究する機会を提供するのです。たとえば、幼小中高一貫の国際バカロレア認定校・つくばインターナショナルスクール(茨城県)では、水をテーマにした探究学習が行なわれました。国立研究開発法人 国立環境研究所の出前授業で「水の分析」をしたとのこと。ちなみに小学生クラスではありません、「5歳児クラス」の授業です。「水とスポーツドリンクを臭いで判別し、水と砂糖水は味覚で判別し、水と薄い砂糖水は水質分析の色で判別し、ゴーグルを着用して触覚も刺激」する「水の当てっこゲーム」で五感をフル活用。子どもたちは驚いたり感動したりと大忙しだったそうです。(カギカッコ内引用元:国立研究開発法人 国立環境研究所|出前授業 in つくばインターナショナルスクール)特徴2:遊びを通じた「学び」の重視PYPは、遊びが幼児の学びと発達に不可欠であるという考えに基づいています。構造化された学習活動だけでなく、自由遊びの時間も重要視され、そのなかで子どもたちは社会性、問題解決能力、創造性を自然に身につけていくのです。国際バカロレアPYP認定校・町田こばと幼稚園(東京都)も「遊びを通じた学び」に重点を置いている園のひとつ。自由な遊びの中で、時には転んだり、危ないことに出会うかもしれませんし、お友達とけんかになるかもしれません。しかし、そういった経験の中には、様々な気付きがあります。それらの経験を通して初めて、子どもたちは、何が危険かを知り危険を避けるすべを知り、さらに、相手の痛みがわかるようになるのです。(引用元:国際バカロレアPYP認定校 町田こばと幼稚園|教育内容)最近は、先回りして子どもから経験を奪ってしまう親御さんが増えているようですが、PYPでは、あくまでも「遊びのなかに学びがある」としています。子どもの本当の成長のためには、やはり主体的な遊びが重要なのですね。特徴3:多言語・多文化環境の創出IB PYP導入幼稚園では、多言語・多文化環境の創出に力を入れています。英語やほかの言語を日常的に使用する機会を設け、さまざまな文化的背景をもつ教師や友だちとの交流を通じ、子どもたちは自然に国際的な視野を広げていくのです。国際バカロレア認定校・ぐんま国際アカデミー(群馬県)は、初等部、中等部、高等部の授業の約70%を「英語で考え、英語を聞き、英語を話す」という「英語イマージョン教育」で行なっています。学校生活の大半を英語で過ごすため、英語レベルは一般的な子どもと比べると桁違いです。なんと2023年には、小学6年生の児童が大学上級程度とされる英検1級に合格しています。しかし、英語習得だけが多言語教育の目的ではありません。あくまでも国際的な視野を広げ、「グローバルな世界の中で自分の人生を自分で切り拓ける子どもたちを育てる」ことが、IB PYPの教育目標なのです。(カギカッコ内引用元:ぐんま国際アカデミー|先生からのメッセージ)IB PYP導入の教育効果3つIB PYPの教育方針や特徴は理解できたけれども、実際の教育効果はいかほどなのか?と考える親御さんも少なくないでしょう。そこで、IB PYPを導入した幼稚園に通わせることによって伸びる力をまとめました。教育効果1:批判的思考力と問題解決能力の向上IB PYPを導入した幼稚園では、子どもたちの批判的思考力と問題解決能力の向上が報告されています。探究ベースの学習を通じて、子どもたちは質問を投げかけ、仮説を立て、検証するプロセスを繰り返し経験します。これにより、論理的思考力や創造的問題解決能力が自然に育成されます。教育効果2:言語習得能力の向上IB PYPでは、母語の発達を大切にしながら、同時に第二言語(多くの場合英語)の習得も促進します。上述した「英検1級合格の6年生」の例があるように、日常的に複数の言語に触れる環境により、子どもたちの言語習得能力は著しく向上するのです。特に、聞く力や話す力が自然に伸びていく傾向があります。教育効果3:社会性とコミュニケーション能力の発達グループ活動や協働プロジェクトを通じて、子どもたちの社会性とコミュニケーション能力が大きく発達します。他者と協力して課題に取り組むプロセスで、自己主張と他者理解のバランス、効果的なコミュニケーション方法、リーダーシップとフォロワーシップなどを学びます。IB PYPを導入している全国の幼稚園ここ数年で、日本国内でもIB PYPを導入する幼稚園が増加しています。最後に、日本国内でIBのPYPを導入している幼稚園を10校ご紹介しましょう。■ぐんま国際アカデミー(群馬県)【幼・小・中・高】■つくばインターナショナルスクール(茨城県)【幼・小・中・高】■カルガモ イングリッシュスクール(埼玉県)【幼稚園のみ】■キッズ大陸フロンタウン生田園(神奈川県)【幼稚園のみ】■横浜インターナショナルスクール(神奈川県)【幼・小・中・高】■Tokyo West International School(東京都)【幼・小・中・高】■国際バカロレアPYP認定校 町田こばと幼稚園(東京都)【幼稚園のみ】■静岡サレジオ幼稚園(静岡県)【幼稚園のみ】■若草幼稚園(長野県)【幼稚園のみ】■関西国際学園(兵庫県)【幼・小・中・高】■つきのひかり国際保育園(広島県)【幼稚園のみ】■福岡インターナショナルスクール(福岡県)【幼・小・中・高】こちらの10校は、2024年8月28日現在、国際バカロレアのPYPを導入しグローバルな視点をもつ教育を実践しています。ただし、IBプログラムの導入状況は変更される可能性があるため、詳細や最新情報については各園・学校に直接お問い合わせいただくことをおすすめします。また、この一覧には含まれていませんが、ほかにもIB PYPの候補校や、IB PYP導入を検討している学校が多数存在しています。日本におけるIB教育の普及は進んでおり、今後さらに多くの学校がPYPを含むIBプログラムを採用するはずです。***それぞれのHPを見てみると、IB PYPを導入した幼稚園は、探究心旺盛で、批判的思考力をもち、国際的な視野をもつ子どもたちの育成に成功していることが伝わってきます。みなさんもぜひ、各幼稚園のHPをのぞいてみてください。外国人教師となにやら真剣な表情で作品をつくっている様子、大勢の前でのプレゼンテーション、体全体を使ったダイナミックな外遊びなど、「ここは日本?」と感じる写真がたくさんありますよ。グローバル化が進む現代社会において、IB PYPの理念と実践は、未来を担う子どもたちに必要不可欠なスキルと態度を育成する有効な教育アプローチとして、今後さらに注目されていくでしょう。(参考)International Baccalaureate|国際バカロレア(IB)の教育とは?International Baccalaureate|PYPのつくり方International Baccalaureate|初等教育プログラム(PYP)に関する主な研究結果文部科学省 IB教育促進コンソーシアム|PYP(Primary Years Programme)国立研究開発法人 国立環境研究所|出前授業 in つくばインターナショナルスクール国際バカロレアPYP認定校 町田こばと幼稚園|教育内容ぐんま国際アカデミー|先生からのメッセージ
2024年09月02日「インクルーシブ教育」を推進するための指針を、教育リーダーズから学ぶ。2022(令和4)年に国連から日本へと推進が通達されたこともあり、昨今大きな注目を集めている「インクルーシブ教育」。インクルーシブ教育とは、文部科学省で下記のように定義されています。「インクルーシブ教育システム」(inclusive education system、署名時仮訳:包容する教育制度)とは、人間の多様性の尊重等の強化、障害者が精神的及び身体的な能力等を可能な最大限度まで発達させ、自由な社会に効果的に参加することを可能とするとの目的の下、障害のある者と障害のない者が共に学ぶ仕組みであり、障害のある者が「general education system」(署名時仮訳:教育制度一般)から排除されないこと、自己の生活する地域において初等中等教育の機会が与えられること、個人に必要な「合理的配慮」が提供される等が必要とされている。障害のある子もそうでない子も、共に学ぶための仕組みづくり。しかし実際の市区町村、学校教育の現場では、対応のノウハウが欠如していたり、人員が足りなかったり、チームの目線が合わなかったりと、推進が難しい現状もあるという声も散見されています。そのような中でも、すでに全国でインクルーシブ教育を先駆けて推進している人たちがいます。彼らはインクルーシブ教育をどのように捉え、何を考え、推進を実現してきたのでしょうか?この連載では、そのような彼らを「教育リーダーズ」と位置付け、その言葉に耳を傾けることで推進のヒントとなる“指針のカケラ”を集めていきたいと思っています。第三回は、東京都日野市教育委員会の教育長である、堀川拓郎氏にお話を伺いました。Upload By 発達ナビ編集部プロフィール堀川拓郎氏1987(昭和62)年生まれ。 東京大学法学部、米 コロンビア大学教育大学院卒業。 2010(平成22)年文部科学省入省。 初等中等教育局 教育課程課係長、幼児教育課専門官、 スポーツ庁オリパラ課専門官、初等中等教育企画課専門官、教育 DX推進室室長補佐等を経て2022(令和4)年から現職。Upload By 発達ナビ編集部全員が主体的に取り組むことができるよう対話を重ねるーー本日はよろしくお願いいたします。日野市の教育をリードする立場にある堀川さんですが、まずはご自身の教育に対してのお考えの原体験にあるものを教えていただけますでしょうか。原体験で言うと、あれは今からちょうど10年ほど前に、アメリカのコロンビア大学に留学して教育工学を学んでいた時の話です。学校の先生たちが日々実践していることを持ち寄って、自分たちで研修をつくるというプログラムに出合ったのですが、そこで大きな衝撃を受けました。というのも、先生たちがこんなに良い顔をするんだって驚くほど、そのプログラムにみんなワクワクしながら参加していたんです。Upload By 発達ナビ編集部ーー先生たちから能動的でポジティブなエネルギーを感じたと。そうなんです。研修が終わって帰るときには、明日から学校で実践するのが楽しみだとうれしそうに話していて。やらされるのではなくて、自分からこれをやりたいという人たちが集まってモチベートし合いながら学ぶことで、こんなにも希望が生まれるのかと感じました。挑戦する先生がどんどん増えていくこと、そして挑戦する先生が称賛される社会をつくっていくことが、教育にとって不可欠である。そのことに実感として気付いたんです。ーー今のご自身の教育観にもつながっていますか?はい、私自身強い意志を持って教育委員会という立場にいるつもりですが、一律に型にはめるということではなく、それぞれの学校と先生と子どもにとっての「やりたい」を尊重し応援することを大切にしたいと常に思っています。そしてその気持ちがしっかりと現場にも伝わって、現場に自身の挑戦を応援されていると心底感じてもらえる状態まで持っていきたいと考えています。ーー思い描くだけではなく、現場への浸透までがやはり大切であると。そうですね。今日も明日も学校に行きますが、教育委員会は先生たちの挑戦を常に応援しているというメッセージを伝え続けています。日野市の教育の大方針として、先生や子どもたち全員が関わって学校教育基本構想をつくり、2024(令和6)年4月に公表しました。第一に、市や学校を含め、みんながプロジェクトベースで学校教育を前に進めていくこと。第二に、構想の中に多くのプロジェクトが位置付けられている中で、それぞれの学校が取り組みたいものを主体的に選ぶ形をとっていることが特徴です。全部の取組を全部の学校でやろうとしても無理なので、学校ごとの文脈や問題意識を踏まえて、色とりどりの学校づくりを進めています。Upload By 発達ナビ編集部ーー具体的にはどのようなプロジェクト活動があるのでしょうか。例えば、「子どもたちがつくる学校プロジェクト」というものがあります。これは委員会活動や学年・学級の活動などを中心に「やらされる」ではなく、より良い学校に向けて自分たちが提案し、自分たちでつくっていくというものです。他にも、運動会や音楽会、学年の枠を超えた活動や修学旅行のプログラムを自分たちでつくったり、SDGsに関するプレゼン大会を企画したり、時に各教科での学びと絡めながら、主体的に取り組んでいます。教育委員会としても、各学校のプロジェクトを支援するために、特色ある学校づくりに対して手挙げ制で応募を募って審査をして予算をつけることもしています。私たちが各学校の挑戦を応援することで、各校の新しい挑戦へのモチベーションにつながり、良い循環を生み出す環境をつくっていきたいと考えています。教育の現場にある既存の枠を一つひとつ外していくーー教育委員長として、普段から特に意識していることはありますか?特別支援教育を含めた市の教育の根本的な考え方の一つが「一人ひとりに必要なアプローチをすべての子に」です。その本質は裏を返せば、「特別ではない支援教育」を全員に届けていくことだと思っています。特別ではない支援教育を届けていく上で、インクルーシブ教育として既存の「枠」を一つひとつ外していく、ということが極めて重要です。例えば日野市では「かしのきシート」という取り組みがあり、これは0歳から18歳までの子どもの成長の記録や受けたサポート内容(個別の支援計画)を、入園や入学・進学にあたり切れ間なく蓄積し、つないでいく日野市のシステムです。担任の先生や専門職が作成し、保護者の方に確認を取りながら1年ごとに1枚のシートにまとめ、独自の電子システムにより関係者が参照することができます。ーー「かしのきシート」はどのような意図でつくられた仕組みなのでしょうか?これは、障害者総合支援法体系に基づく個別の支援計画、そして学校教育法体系に基づく個別の教育支援計画、就学・進学にあたっての就学支援シートなど数あるシートの間に存在していた「枠」をとり除いて、カルテを一元化しようという取り組みです。学年や教育機関が変わっても、スムーズに一人の成長を見守ることができます。例えば小1の壁、中1ギャップの問題や、公立と私立、学校教育と放課後の分断という視点においても、「枠」を外すことで現場において適切な支援や判断がしやすくなるという意味合いを持っています。「特別支援教育」が必要だからシートを作成するのではなく、子どもの個性や特性について関係機関により良く理解してもらうためにシートをつくる。結果として、文部科学省の調査によれば、通常の学級に在籍する子どものうち、個別の教育支援計画を作成している割合は2022(令和4)年時点で1.6%とされていますが、日野市では小学校で14%、中学校で10%が計画を作成しています。Upload By 発達ナビ編集部ーーなるほど。特別支援学級で取り組まれていることについても教えてください。私自身は「特別支援学級」「通常の学級」という表現自体が変わっていくことが大切だと思っています。。「通常」という言葉を使うことで「通常」という枠をつくってしまわないか。例えば、少人数学級と一般学級でもよいのではないか。日野市では、特別支援学級かどうかにかかわらず、誰にとっても困りごとの少ない授業が実現できる学校環境をつくる、授業のユニバーサルデザイン(授業UD)に取り組んでいます。その理解を促進するために研修会を実施するのですが、現在では教育委員会が年間28回の特別支援教育に関する研修会を開催しています。昨年度から全ての先生を対象に希望者が誰でも参加できる形にして、開かれた形で困りごとの少ない授業の実現を目指しています。ーー日野市ではさまざまな形でインクルーシブ教育に取り組まれているのですね。これらのベースとして「ひのスタンダード」という取組の方向付けをしているんです。ごく簡単に言えば、チェックリストをつくり、学習面でのつまづきや、教室でじっとしていることが難しいなどの、子どもたちの日々の困りごとをできるだけ少なくする学習環境をつくろう、というものです。障害の有無に留まらず、多様性あふれる教室という場が、みんなにとって困りにくい環境であることはとても大切なことで、実現のために2つのアプローチで日野市では取り組みを進めています。ーーどのようなアプローチでしょうか?まずは共通の基盤となる環境を整えること、そしてその上で個別に必要なサポートの手立てを充実させていくことです。みんなが困りにくい環境をベースとすることで、先生や子どもたちがゆとりを持って個別の対応へと進んでいくことができます。場や時間の構造化を含めた授業UDがあり、校内委員会を含めた学校の環境があり、行政による複層的な支援策を含めた地域の環境がある。その全ての方向付けを、日野市の教育に関わる人がみんなで議論しながらつくってきたということがポイントだと思っています。日野の教職員全員が作成に関わった「ひのスタンダード」について、みんなが腹落ちをして取り組めることが、主体的な挑戦のための大切なポイントなのではないでしょうか。Upload By 発達ナビ編集部ーー「ひのスタンダード」はどのように浸透と改善をしているのでしょうか?この「ひのスタンダード」は300ページに及ぶ一冊の本としてまとめられていて、各学校に置いてあります。理解を浸透させるための研修会も必ず開催をし、各校で目線合わせをするようにしています。その上での課題として、時間が経つにつれて形骸化することはどうしても起こってしまいます。直近では、改めてチェックリスト項目の精査を行いました。教育委員会が決めたことをトップダウンで現場に下ろすのではなく、現場を含めた関係者みんなで考える、ということに日野市の特徴があるのではと考えています。ーー改善を繰り返す中でも、本質がぶれないようにするために大切なことはどのようなことですか?自治体の中だけでガラパゴス化しないよう、国全体の動きや学術的な視点も取り入れながら、開かれた視野を持って進めていくことを心掛けています。最終的に、現場にとってより価値のあるものになっているか、が何より大切だと思います。また日野市では、インクルーシブな教育環境の一環として、福祉と教育の「枠」を外すことにも取り組んでいます。日野市では発達・教育支援センター「エール」を設置しており、心理士やスクールソーシャルワーカー(SSW)だけでなく、保健師や保育士、ST、OT、看護師など、多様な専門職が1か所にいて、子どもの発達や育ちについて教育や福祉の垣根を超えて考えています。保護者の方にとって、学校と福祉の「枠」を感じることなく、ワンストップであらゆる相談ができ、適切な支援を得られるという環境づくりを進めています。Upload By 発達ナビ編集部最後はやっぱり、子どもたちがインクルーシブな学校づくりの主人公ーー多くの自治体でも課題としてフォーカスされている、不登校のお子さんについてはいかがですか?不登校については、すべての子どもに質の高い学びへのアクセスを保障する、という理念のもと、子どもの状況に合わせた複層的な選択肢を準備しています。日野市としても力を入れていて、予算で言えば前年度比で172%増となっています。特徴的な取組としては、全国で行われている教育支援センターや小中学校における校内登校支援教室の取組の充実に加え、中学校の中に、不登校の生徒を対象にした少人数学級である「チャレンジクラス」という学級を今年度から新たに開設しました。これは、東京都から6名の教員の追加配置を受け、教育課程に基づき日々授業を行う「校内分教室」であり、市と都がタッグを組んで取り組む新しい試みです。加えて、この5月には母子保健と子ども政策の担当部門を一元化した子ども包括支援センター「みらいく」がオープンし、施設内に中高生専用の居場所を開設しました。教育委員会だけでなく、子ども政策や福祉政策、民間の取組を含め、子どもたちの居場所の選択肢が街の中に増えてきています。オンラインの活用も含め、枠を一つずつ取り外しながら、その子にあった安心できる環境で、つながりを持ち、学びに向き合えるようにしていくことが重要です。Upload By 発達ナビ編集部ーーさまざま取り組まれているのですね。他にも新しい取り組みとして、経験豊富な元校長先生を今年度から「教育支援コーディネーター」として配置して、各学校の一人ひとりの出席状況を細やかに確認し状況をフォローし、スクールソーシャルワーカー(SSW)などのスタッフと連動した個別支援のサポートや、学校とフリースクールの連携促進の取組も始めました。挙げればキリがないのですが、他にもNPO法人と連携した不登校に関わるスタッフ研修の仕組みづくりや、保護者同士の繋がりを生む仕組みづくりなど、さまざまなアプローチで取組を進めているところです。ーー取り組みに対しての手応えはありますか?例えば、ある中学生の生徒が校門から中に入れないという状況から、1年経って学校に入ってきて給食を食べられるようになった、と。そんな話を先生方からたくさん聞いています。課題は大きいですが、同時にいかに学校現場が一人ひとりを大切に取り組んでいるかを感じています。ーーインクルーシブ教育が、言葉だけではなくて実践されている。現場の強い思いを感じます。教育委員会としても「インクルージョン」を学校教育基本構想の中で最上位の姿の一つとして位置付けていますが、インクルーシブな学びをつくるのは誰かと考えたときに、最後はやっぱり子どもたちなんだということが、非常に大きなポイントだと思っています。Upload By 発達ナビ編集部ーーなぜそう思われたのでしょうか?非常に印象的だったのが、市内の小学校と特別支援学校との交流および共同学習の中であった、3連フラフープという、小学生の子ども2人の間に特別支援学校の子ども1人が挟まって取り組むという競技での光景です。特別支援学校ではなく、ある市立小の子どもがどうしてもフラフープの輪に入ることができなかったのですが、みんなでサポートしながら最後にはゴールすることができました。その時に、歓声をあげたり拍手が起こったり、その子が達成できたことに対してみんなが称え合う姿、これこそがインクルーシブな学びが実現している姿だと感じたんです。やはり最後は、子どもたちがインクルーシブな環境をつくっていくんだと強く感じました。ーーLITALICOのソフトも導入していただいています。LITALICOの教育ソフトを導入したいと考えた意図としては、個別の教育支援計画や指導計画である「かしのきシート」の質を高めていく力になると考えたことです。もう一つは、さまざまな教材を子どもの特性や必要性に応じて選べるような環境をつくることで、先生の働き方改革につなげることや、アセスメントによって子どもたちの理解を深めていくことが狙いとしてありました。実際に活用してみた中では、教材をゼロから自分でつくるのではなくて選べることで、働き方の改善につながったという声や、保護者を含めたニーズの把握に生きているとの声も聞いています。Upload By 発達ナビ編集部ーー最後に、これから教育長が目指すインクルーシブ教育の理念について、教えてください。インクルーシブ教育の先には共生社会があって、その共生社会とは、多様性が輝く社会のことだと思います。そこに向かう道のりとしてインクルーシブ教育があるとすれば、それは多様な個性が輝く学びの場、それをつくる営みなんだろうと。そしてそれは、多様な個性が輝く教室をつくっていくということでもあるのだろうと思っています。その中で、全員がこの共生社会をつくっていく主体なんだということ、多様性が輝く場をつくることに貢献することは、全員に開かれた権利なんだということが、非常に大きなポイントです。これは先生たちだけが進めていくでもなく、教育委員会だけが進めていくでもなくて、全員が進めていくことなんだと。全員に対して開かれているということは、それはとても素敵な権利の一つなんじゃないかなとも思うんです。当然、教育委員会にしかできない仕事もあるし、先生にしかできない役割もあるし、子どもたちにしかできないこともある。全員で枠を一つずつ外しながら、インクルーシブに取り組んでいきたいです。Upload By 発達ナビ編集部この連載を重ねることで、インクルーシブ教育推進のためのヒントを集めていきます。堀川さんは明確なビジョンを示しつつ、現場の声を何よりも尊重し、双方の視点を持ってリーダーシップを発揮されています。その姿勢こそが、全員が主体的に関わる事例としての日野市をつくっているのだと感じます。これから全国の教育リーダーズの話を取材し、皆さんにお伝えしていきます。インクルーシブ教育の取り組みを知ることで指針を集め、今まさに実践されている、実践しようとしている方のヒントになりますように。ここまで読んでいただきありがとうございました。
2024年07月24日6月から実施される所得税と住民税の定額減税について、政府は給与を支払う企業などに対して給与明細に所得税の減税額を明記するよう義務づける方針を決定した。政府が実施する定額減税では、1人当たり年間で所得税3万円、住民税1万円が減税される。そのうち、給与やボーナスから天引きされる所得税について、定額減税の減税額が明記されることに。また、6月分の住民税は徴収されないため明細上は”住民税0円”と記載され、7月以降に定額減税を反映させた年額を、11か月に分けて徴収する。鈴木財務大臣は、21日の閣議のあとの記者会見で「デフレマインドの払拭につながる」として、“給与明細へ明記”は減税を実感してもらうことが狙いだと説明。一方で、企業などの事務負担については、「一定の負担が生じることは事実」と認めた上で理解を求めた。減税額の明記義務化は、6月1日施行の関係省令改正で行うという。岸田総理も20日の自民党役員会で「減税の恩恵を国民に実感してもらうことが重要で、給与明細へ明記されるようにする」と話した。インボイス制度の導入によってすでに企業側の事務負担が重くなっている事業者に更なる負担を”強要”してまで、露骨な減税アピールを行う岸田政権の決定に、ネットやX上でも批判が噴出。《すげえな岸田文雄!現場の負担お構いなしで給料明細に明記させて「減税の岸田」をアピール作戦かよ!姑息すぎる》《給与明細見て「お! 減税されてる。岸田さまありがとう」を期待してるのか》《恩着せがましくてワロタ》《実績アピールのためだけに事務の負担増やすなよ》《国民にありがたみを実感させるために明記するんかい。大人しく減税だけしていれば絶賛されたのに》実際に都内中小企業で給与計算などを行う担当者は、今回の減税についてこのように語る。「システム対応や扶養内容の確認の必要があるほか、計算や金額表記のチェックも発生しますので、一時的ですが通常ない業務が増えます。恩恵を受けられればいいのですから、処理する方からすれば給付など他にやり方があるのではないかと。仕組みがわかりにくいので会社を経由しないで行って欲しいですし、その場しのぎの減税やってますアピールに感じてしまいます。まだ実際に作業していないから漠然としていますが、実際に作業し始めたら怒りが湧きそうです」誰のための減税なのだろうかーー。
2024年05月22日「インクルーシブ教育」を推進するための指針を、教育リーダーズから学ぶ2022年に国連から日本へと推進が通達されたこともあり、昨今大きな注目を集めている「インクルーシブ教育」。インクルーシブ教育とは、文部科学省で下記のように定義されています。‘’「インクルーシブ教育システム」(inclusive education system、署名時仮訳:包容する教育制度)とは、人間の多様性の尊重等の強化、障害者が精神的及び身体的な能力等を可能な最大限度まで発達させ、自由な社会に効果的に参加することを可能とするとの目的の下、障害のある者と障害のない者が共に学ぶ仕組みであり、障害のある者が「general education system」(署名時仮訳:教育制度一般)から排除されないこと、自己の生活する地域において初等中等教育の機会が与えられること、個人に必要な「合理的配慮」が提供される等が必要とされている。障害のある子もそうでない子も、共に学ぶための仕組みづくり。しかし実際の市区町村、学校教育の現場では、対応のノウハウが欠如していたり、人員が足りなかったり、チームの目線が合わなかったりと、推進が難しい現状もあるという声も散見されています。そんな中でも、すでに全国でインクルーシブ教育を先駆けて推進している人たちがいます。彼らはインクルーシブ教育をどのように捉え、何を考え、推進を実現してきたのでしょうか?この連載では、そんな彼らを「教育リーダーズ」と位置付け、その言葉に耳を傾けることで推進のヒントとなる”指針のカケラ”を集めていきたいと思っています。第二回は、神奈川県鎌倉市教育委員会の教育長である、高橋洋平氏にお話を伺いました。Upload By 発達ナビ編集部プロフィール 高橋洋平 氏宮城県登米市出身。 中学校教員や市教育長を務めた父親と障害を持つ叔母の影響を受け、教育の道を志す。 東北大学教育学部を卒業し、文部科学省に入省。 学校教育のデジタル化や福島県庁での震災復興、米国の大学で教育研究、コンサルティング会社教育チームマネージャーなど、多角的に教育に携わる。2023年に鎌倉市立小中学校の教育行政を牽引する教育長に就任。Upload By 発達ナビ編集部正しいことを、子どもたちの「今」に合わせて実装するーー本日はよろしくお願いいたします。さまざまな視点・キャリアから教育に向き合ってきた高橋さんですが、まずは教育に対してのお考えの原点にあるものを教えていただけますでしょうか。原点には間違いなく福島で過ごした時間があります。私の在任当時、避難指示区域となった町村の子どもたちは、避難先に建てられたプレハブの仮設校舎などに通っていました。学校を訪ねるたびに、本当に可哀想だな、早く村に戻してあげたいなという一心で、県庁の学校再開支援チームをリードしていたんです。ーーそこで、今の教育に対する価値観にもつながる体験をされた。除染などにより放射線量が下がり避難指示が解除され、新しい学校の整備ができた時の、仮設校舎の閉校式での出来事でした。教育関係者と喜びを分かち合っていた私たちでしたが、ある小学校6年生の女の子から「仮設って言わないで。この学校は仮設なんかじゃない」って言われたんです。ーー仮設なんかじゃない。とても重い言葉です。もう、頭をガツンとやられるような、本当にショッキングな言葉でした。Upload By 発達ナビ編集部ーー子どもたちのためにと奔走するあまり、見えていないものがあったと。はい。その子が先生や友人と学びあった6年間は仮設なんかじゃなく、「本物」ですからね。人生に仮の時間なんてあってはならない。過去の震災に囚われ、未来の復興を見て、当時の私には子どもたちの今が見えていなかったんです。だから、「仮設」や「被災者」、「障害者」などもそうですが、一方的な決めつけではなく、目の前のその人と向き合って仕事をしたいと、強く思っています。ーーその経験が、今のインクルーシブ教育への想いにもつながっているんですね。能登地震でも学校を含め甚大な被害がありました。関係者の尽力で他校を間借りしたりして学校が再開されており、これからさまざまな面で復興が進んでいくことと思われます。何をもって本当の復興というかは本当に難しく、数字などで一律に「ここまでいったら復興!」と決められるものではなく、復興には一人ひとりの形があるのだと考えています。いずれにしても自分の力で立ち上がり、自らの幸せを掴んでいくことが、復興なのかなと考えています。それはまさにインクルーシブな学びにも通じて、それぞれの個性や特性を持ちながら、それぞれの学びや幸せを勝ち取っていくということのように思われます。東日本大震災でもコロナ禍でもさまざまな分断が生じましたが、そういった分断を乗り越えていけるような学びや対話の形を、これからも追い求めていきたいです。ーーインクルーシブ教育について文部科学省が示す方針については、どのように捉えられていますか?インクルーシブ教育を含め文部科学省が示す方向性は、基本的にはいつも正しいことを言っているなと感じます。でも、その正しいことを子どもたちや学校教育の現場において、真に正しいものにどのように落とし込んでいけるかが大事なことです。福島での経験を踏まえて、鎌倉で実践していきたいと、今はそう思っていますね。鎌倉は多彩な文化にも恵まれ、そして海や山という自然も近くにあり、学ぶ場としてとても豊かだと思っています。そして何より、多様な人がこの街を選んで、関わってくれている。まさに街としてもインクルーシブな環境の中で、鎌倉らしい教育の形をつくっていきたいです。Upload By 発達ナビ編集部その場所ならではのテーマやキーワードを見つけ、街の共感を得て推進するーーインクルーシブ教育の中でも、「鎌倉らしさ」について紐解いていければと思っています。鎌倉市が見据える未来について、教えてください。鎌倉では、世界に誇れる持続可能な町、そして共生社会を市民と共創するというビジョンを掲げています。 市民一人ひとりがお互いに尊重し合って、支え合って、自らが望む形で社会との関わりを持ち、生涯に渡って安心して自分らしく暮らしていくというものです。とてもインクルーシブな考え方を持ったビジョンだと思っています。ーー鎌倉市の教育が目指す方向と、重なる部分が大いにあると。はい。まずは自分自身を認め、そのうえで他者を尊重し、違いがあるからこそ学びがあると理解する。その上で、他者と協働しながら持続可能な共生社会の創り手へと育っていく。そんな視点に基づいているのが、鎌倉市の教育が目指す基本的な考え方です。鎌倉らしさで言うと、一つは「如意」という禅の言葉があります。Upload By 発達ナビ編集部ーー「如意」ですか。歴史ある鎌倉らしい言葉です。いわゆる如意棒の「如意」であり、意のまま、自由自在という禅の言葉です。自分の良さと可能性を認め、他者を価値ある存在として尊重し、目指したい方向を合わせながら進んでいく。自分だけでなく社会として自由自在で幸福であることを尊重する。Well-beingに通じる言葉だと思っており、教育で目指すべき姿であるなと感じています。ほかにも、この街らしさで言うと「鎌倉野菜」にもヒントがあるかなと。ーー「鎌倉野菜」はブランド化されて全国的に人気ですよね。山に囲まれた鎌倉の狭い土地であり、かつ多様なレストランからのオーダーを受けて、色とりどりの野菜が少量多品種で生産されています。七色畑とも呼ばれ、インクルーシブ教育が目指すべき姿も重なる、そんな風に思っています。弱みは強みに変わるし、活躍の場を通じてスタイルがつくられ包摂される、鎌倉の教育の姿にも取り入れていきたいなと。その土地ならではの教育の形、キーワードを見つけることは、関係者の目線も揃いやすく、大切なことかなと感じています。Upload By 発達ナビ編集部一方で、難しいのは、歴史ある鎌倉の資材を活用することのみに縛られてしまうと、発想としてプロダクトアウトなんですよね。教育においては、やはり子どもたちを起点としたマーケットインで考えていないと、意味のある形に落とし込めないと思います。やはり学習者中心の視点で考えなければならない。これは忘れてはいけないポイントの一つです。ーーなるほど。そんな鎌倉市の教育においての課題はどのあたりにありますか?どの教育委員会でも重要なテーマとして扱われていますが、学校に行くのがつらい子どもたちが増加しています。学校教育の構造も変わっていかなければなりません。子どもたちが学校にフィットしていない本質的な原因に目を向けながら、さまざまな方々と連携してプロジェクトを進めているところです。民間との協業に力を入れ、魅力的な人や資金のリソースを確保するーー不登校のお子さんに対する取り組みについて、具体的に教えてください。「かまくらULTLAプログラム」という取り組みをご紹介させていただきます。こちらは、不登校や学校に行くことがつらいと感じている子どもたちを対象にした、一人ひとりが学習の個性や特性に応じて自分らしく学んでいく方法を見つけていくことを目的とした探究プログラムです。鎌倉らしい森、お寺、海、テック企業などの地域特性を活かしながら、色んな分野のプロである大人たちと一緒に活動をします。海のプログラムでは、「タコから学ぶ生物多様性からの自己理解」をテーマに、漁師さんのお話を聞いたり、「気持ち悪いー!」とか言いながらもタコを触ったり、パエリアにして食べちゃったり、体験を通して学んでいきます。そうやって保護者の方がいないところで、1つの探究テーマを通して、自らの学習の特性を踏まえて学び方を自己調整しながら学んでいくプログラムです。Upload By 発達ナビ編集部ーー不登校の子どもたちにとって、非常に有意義な場をつくることができているんですね。森のプログラムでは、浄智寺の朝比奈住職の得意料理でもあるカレーをいただいたのですが、その上に鎌倉野菜の素揚げを乗せました。敏感な子も多く、「絶対食べられないよ」と言っていたのですが、ペロリと食べていましたね。「どうして食べられたの?」と聞いてみたら、見たことがない野菜だから挑戦してみたと話してくれました。他にも浄智寺の井戸水の飲み比べをしてみたり、五感を思う存分活用した伸び伸びとした学習に、鎌倉のエッセンスを加えて、独自のプログラムを展開しているんです。ーーお話を伺っているだけで、子どもたちの目が輝いている様子が浮かんでくるようです。本当にそうなんです。例えば工作や絵やダンスやプログラミングなど、子どもたちそれぞれに得意な表現方法があります。得意な学習スタイルで、自ら学びのハンドルを握り、自分らしく学びを掴み取っていくという方向に、教育が変わっていかなければならないのだと思っています。このプログラムは、それぞれの子供たちが学びに向き合っていくエネルギーを高めることができていると感じています。海のプログラムの終わりに「なりたい自分になれたよ!」って叫んでくれたお子さんもいて。大人たちも感動していましたね。ーーとても感動的なエピソードです。一方で、子どもたちが何が得意で、どんな個性を持っているか見えづらいという、学校現場の悩みもあるようです。そのために私たちは、アセスメントという形で学びの特性をできるだけ把握できるように努めています。話すのが得意なのか、聞くのが得意なのか、対人関係や関心分野、表現の特性までを可視化していきます。このデータは、もちろん本人や保護者の方にも共有して、ご家庭での理解にも役立てていただいています。子どもによってはあえて苦手な学び方にチャレンジしたりということも見られるようになってきました。学校ではLITALICO教育ソフトのプログラムも活用しながら、定点観測的に継続して積み上げていき、その後の学びと接続していけるように取り組んでいるところです。特別支援学級を中心に先生と活用してフィードバックを重ね、教育の現場でも役立っています。Upload By 発達ナビ編集部ーー「かまくらULTLAプログラム」での実践を経て、今後の展望を教えてください。手応えを感じているので、学びの多様化を進めるために、体験型のプログラムを軸とした新しい「学びの多様化学校(不登校特例校)」をつくる計画を進めています。1学年10人ほどを想定していまして、学校に行きづらさを感じている子どもたちの学習の進度や特性に合わせて、個別最適の学びが得られる場として令和7年の開校を目指しています。こうした施策を進めていくことで、従来の学校とも相互に刺激を与え合って、学びの選択肢を増やしていきます。通常の学校に通えない子の受け皿やセーフティネットにという言い方はあまりしたくなくて、自分らしく学べ、こういう場なら行ってみたいと思ってもらえるものにしていきたい。こうした取り組みを通して、今学びとつながれていない子どもたちの可能性にしていきたいと思っています。ーー民間との連携で言うと、ほかにはどのようなことをされていますか?「鎌倉スクールコラボファンド」という取り組みをしています。これは、プロジェクト型学習やプログラミング学習、デジタルを活用した個別最適な学びなど、学校が魅力的な企業や大学、NPO等とのコラボレーションを通して、社会に開かれた教育課程を実現していくために、クラウドファンディングで資金調達をするものです。Upload By 発達ナビ編集部寄付を個人や企業から募り、教育委員会でプールすることで、子どもたちの学びにとって必要な領域に、スピード感を持って柔軟に使っていくことができます。このようなアジャイルな資金の活用の仕方はやはり公費だけでは難しく、クラウドファンディングだからこそ実現できた形となります。第4弾となる今回の募集でもなんとか目標達成して調達できました。ーー他の市区町村にも横展開できるような、インクルーシブ教育の土台をつくるためにも活用できそうなモデルですね。そうですね。このスクールコラボファンドの取り組み自体も、他自治体にも広がりを見せています。もちろん私たちのノウハウも共有しますので、今後も全国の自治体に波及していってくれたら良いなと思います。私たちもさらに進化させていきたいと計画しているところです。Upload By 発達ナビ編集部ーーたくさんの視点をいただきありがとうございました。最後に、鎌倉市としてこれから大切にしていく、教育に対しての想いについて教えてください。これからの学校教育の現場には、子どもたちが自分で学びを選ぶという形が求められてくると思います。大人に一方的に教えてもらう教育ではなく、子どもたちが主体的に自ら掴み取っていく学びの環境をいかにデザインできるかが試されてくる。福島の復興で被災者自身が自分の力で立ち上がり、自ら多様な幸福を掴み取っていった時と同じように、子どもたちに一方的に与える学びでなく、多様な子どもたちを信じて委ねながら、共に学んで成長していきたい。そんなことを日々考えながら、鎌倉市のインクルーシブな学びのためにできることに力を尽くしたいと思います。インクルーシブ教育推進のために、まずは子ども以上に大人がワクワクしながら働けているか高橋さんは最後に、個別最適で協働的な学びとか、探究的な学びを教育で実現したいと言うのなら、それ以前に大人がワクワクと自分の仕事に向き合えているかが大切なのではないか、と話されていました。教育委員会自身、あるいは教育長自身が、そういう学びであったり、仕事の仕方をできてるかどうかを常に見直さなければいけないと、自分に言い聞かせているようです。言葉や枠組みが先行しがちなインクルーシブ教育の本質を突いた、示唆のある言葉だと感じました。Upload By 発達ナビ編集部引き続き、この連載では全国の教育リーダーズの話を取材し、皆さんにお伝えしていきます。インクルーシブ教育の取り組みを知ることで指針を集め、今まさに実践されている、実践しようとしている方のヒントになりますように。ここまで読んでいただきありがとうございました。
2024年03月19日相鉄グループのサステナビリティ脱炭素社会の実現に向けた中長期目標・アクションプランも策定相鉄グループは、「相鉄グループサステナビリティ方針」に基づき、持続可能な社会の実現に向けた取り組みを推進しています。近年、世界規模で環境分野への関心が高まる中、これまでの施策をより力強く推進するとともに、環境負荷低減に向けた新たな取り組みを進めるため、「相鉄グループ環境方針」(以下「環境方針」)、「相鉄グループ環境ビジョン」(以下「環境ビジョン」)を策定いたしました。また、国際社会においては気候変動に関わる脱炭素化の流れが加速し、企業に対する環境評価の水準も「1.5℃」に引き上げられています。こうした背景の下、「気候変動」の分野においては、相鉄グループの中長期的な目標とその達成に向けたより具体的な取り組みを「相鉄グループカーボンニュートラルチャレンジ」(以下「カーボンニュートラルチャレンジ」)として策定いたしました。当社グループは、今回策定した「環境方針」、「環境ビジョン」、および「カーボンニュートラルチャレンジ」に基づき、環境負荷低減、環境保全に関する取り組みを推進してまいります。《参考》相鉄グループサステナビリティ方針[お客様の喜びを実現し、地域社会の豊かな発展に貢献するために]相鉄グループは、様々なステークホルダーとの協働のもと、事業活動を通じた何世代にも亘り暮らし続けられるまちづくりを起点とし、相鉄グループを取り巻く環境・社会課題の解決に向けた取り組みを通じて、持続的な社会の実現に貢献できる企業を目指します。相鉄グループの「環境方針」「環境方針」では、相鉄グループが重要課題として設定している「気候変動の緩和と対応」「資源循環への貢献」の他、「森林や生物多様性の保全」や環境保全に関する当社グループの取り組み方について記載しております。相鉄グループ環境方針1.法規制等の遵守事業活動※の推進にあたって、環境関連諸法規、国際条約および合意した協定を遵守します。2.気候変動への対応エネルギーの効率的で持続可能な使用の促進に努める一方で、ステークホルダーとの連携を通じて新技術・サービスを追求し、気候変動の緩和及び適応を推進します。3.循環型社会への貢献水を含む資源の効率的な利用、廃棄物の削減、リサイクルに努め、資源循環を推進します。4.森林や生物多様性の保全自然生態系等の環境保全、汚染物質の削減に努め、生物多様性の維持・保全に十分配慮します。5.情報開示とコミュニケーション事業活動※が環境に与える影響と事業活動の環境への依存度を正確に把握・分析し、社会に開示するとともに、社会との良好なコミュニケーションを図ります。6.環境教育・啓発活動グループで働く役員・従業員に対して適切な教育・研修を行うとともに、環境保全活動への参加を促進し、一人ひとりの意識向上を図ります。7.環境管理の確立これらの環境活動を推進するため、環境目標を設定し、社内の環境管理の体制を運用することで、継続的改善に取り組みます。※事業活動には、グループ企業による事業活動、および投資に際してのデューディリジェンスやM&A、サプライチェーンも含みます。代表取締役社長 滝澤 秀之2024年2月制定*本方針は、2024年2月の取締役会において承認を得ております。相鉄グループの「環境ビジョン」「環境ビジョン」では、環境課題の動向や相鉄グループ経営理念を踏まえ、長期視点から目指す社会の姿と当社グループにおける取り組みの方向性について記載しております。相鉄グループ環境ビジョン相鉄グループの脱炭素社会に向けたカーボンニュートラルチャレンジ ~ 目標とアクションプラン~脱炭素社会に向けた「目標」と、目標達成に向けた「アクションプラン」を策定しました。目標(対象はスコープ1・2)【長期】2050年度にCo2の排出量と吸収量を均衡させるカーボンニュートラルを達成することを目指します。【中期】2030年度におけるCo2排出量を●グループ連結△42%(2020年度対比)●鉄道業△46%(2013年度対比)達成を目指します。相鉄グループ連結目標【自社の取組み】・2030年度中間目標達成に向けては、技術の利用可能性や経済性の観点から、既存の省エネ技術を横展開するとともに、AIやZEBなど新たな省エネ技術の検証、太陽光発電設備の設置など再生可能エネルギーの導入を進めます。・2030年度以降は革新的省エネ技術・運用革新の展開・深化と、2050年度カーボンニュートラル化を見据え、カーボンクレジットによるオフセットで補いつつ、再生可能エネルギーの導入を継続します。【地域と共に取組み】相対的に低炭素な輸送モードである鉄道のさらなる利活用促進(モーダルシフト)など沿線地域の方々と共に取組みを継続し、日本のカーボンニュートラル実現に貢献します。ロードマップ・本目標は、相鉄ホールディングス㈱及び国内の連結子会社を対象としたものです。・削減努力を進めた上で、なお残存する排出量については、炭素除去を含めた国際的に認められる方法でオフセットを行います。・GHGの排出・削減状況については引き続きモニタリングを実施し、重要な影響を与える可能性のある事象(M&A活動、規制等の制度面の大幅な変更、又は大規模な自然災害などの異常事象の発生等)を考慮の上、必要と判断した場合には目標の見直しを行うことがあります。また、GHG排出量削減目標に係る削減計画や施策は、技術発展・経済性・政策/制度支援などの進捗に応じて柔軟に変更します。・サプライチェーンのGHG排出量(スコープ3※)は、今後実態把握のうえで、目標への取り入れについて検討を行います。・海外事業に伴うGHG排出削減目標については、立地国の状況の把握やモニタリングを進めながら、目標設定の検討を行います。※スコープ1・2・3とは、GHGプロトコルが定める、事業者のGHG排出量算定報告基準における概念であり、以下を指します。スコープ1:当社グループ自らの直接排出スコープ2:他社から供給された電気・熱などの使用に伴う間接排出スコープ3:スコープ1・2以外の間接排出(=当社グループの活動に関連する他社の排出)リリース@「環境方針」「環境ビジョン」を策定.pdf : 詳細はこちら プレスリリース提供元:NEWSCAST
2024年02月29日皆さんは、他人の教育論に困惑した経験はありますか?今回は「自分の教育論を押しつける義母」にまつわる物語とユーザーからの声を紹介します。※この物語はフィクションです。(CoordiSnap編集部)イラスト:モナ・リザの戯言夫は義母の言いなりで…義母の言いなりになっている夫に、困り果てていた主人公。義母は「子どもにわがままを覚えさせるな」という極端な教育論を押しつける人物で、夫もそれに従っていました。ある日、娘がほしがっていた赤のランドセルを購入。しかし「オレンジがいいわよ」という義母の一言で、夫は赤のランドセルを捨ててしまったのです。娘はひどく傷つき「パパ嫌い」と言うようになりました。離婚を決意した主人公は、母も含めて義母と話し合うことにします。しかし反省せず、自分が正しいと思っている義母は…。母にイヤミを…出典:モナ・リザの戯言「娘さんの教育に失敗されましたね」と母にイヤミを言いました。母は「いいえ、失敗したのはあなたです」と言い返します。その後、主人公は「あなたとはやっていけない」と容赦なく夫に言い放つのでした。読者の感想我慢することはときには大切だと思いますが、娘のものを勝手に捨てるのはひどすぎますね…。娘を傷つけるのは教育論ではなく、ただの嫌がらせだと感じました。(30代/女性)ランドセルは娘の好みの色にしてほしいですよね…。家族の教育方針に、義母が口出しするのはよくないと思いました。(50代/女性)
2024年02月19日皆さんは、パートナーの言動に呆れた経験はありますか?今回は「義母の教育方針に従う夫」にまつわる物語とその感想を紹介します。※この物語はフィクションです。(CoordiSnap編集部)イラスト:モナ・リザの戯言子育てに口出ししてくる義母夫と幼い娘と暮らす主人公。娘の教育方針に口出しばかりしてくる義母が悩みの種でした。そんなある日、娘の小学校入学に備えてランドセルを買いにいくことに。しかしそのことを聞きつけた義母は「私が選んで贈る」と言い出して…。娘は赤色のランドセルを欲しがりましたが、義母はオレンジ色のものを買うつもりのようです。そこで主人公は、急いで娘が希望した赤いランドセルを購入して義母に「もう買った」と伝えました。すると怒った義母が夫に電話をかけてきて…。義母に同調する夫出典:モナ・リザの戯言「子育てが下手ね」と主人公の子育ての愚痴を言う義母。マザコンな夫はその言葉に同意して「甘やかしすぎ」と呟きます。その後、部屋にランドセルが見当たらず「ない!どこにもない!」と騒ぐ娘。なんと夫が「教育だ」と言って、娘のランドセルを捨ててしまったのです。夫の行きすぎた教育に、主人公は我慢の限界に達するのでした…。読者の感想娘や妻の意見より義母の言葉ばかり優先する夫に呆れてしまいました。勝手にランドセルを捨てるなんて、教育とは言えないと思います。(30代/女性)子育てに口を出す義母にも困りますが、それに同調してランドセルまで捨ててしまう夫にはもっと困ってしまいますね…。主人公が我慢できなくなるのも無理はないと思いました。(20代/女性)
2024年02月11日友人は出産してから、おもちゃや絵本を手作りするなど丁寧な子育てを実践。子どもは自由にのびのび育てたいという方針に私も共感していました。あるとき、私が働く雑貨店に来店。買い物をしていたのですが……、あまりの光景に驚きました。 尊敬する友人が勤務先に遊びにきて…職場で出会って仲良くなった友人が出産。彼女は保育士として働いていた経験があり、子どもといろんなことに挑戦したり、ユニークな知育玩具を作ったり。良いママだなと尊敬していました。 そして、「子どもにはのびのびと自由に育ってほしい」と言い、保育園や幼稚園を何カ所も見学。私も彼女の意見に賛同し、応援していました。 しばらくして私が雑貨店で働き始めたとき、友人が3歳になる子どもを連れて遊びに来てくれました。しかし、友人に呼び止められて目にした光景はあまりにも自由過ぎて……。 子どもがお店の通路の真ん中にお会計前の本をばら撒き、地べたに座り込んで一冊ずつ読んでいたのです。友人は子どもを注意することなく、その様子をうれしそうに眺めていたことにもびっくり。 私から軽く注意をしましたが、本は購入せず……。自由な心を育てるのは大事だと思いますが、礼儀作法を身につける事も大切なのではと感じてしまいました。 ◇ ◇ ◇ 小さな子どもにマナーやルールを教えるのは大変ですが、知らないでいるとお店や人に迷惑をかけることもあり……。年齢や発達の様子をみながら子どもにもわかるように、やってはいけないことを教えていきたいですね。
2023年12月02日友人は出産してから、おもちゃや絵本を手作りするなど丁寧な子育てを実践。子どもは自由にのびのび育てたいという方針に私も共感していました。あるとき、私が働く雑貨店に来店。買い物をしていたのですが……、あまりの光景に驚きました。 尊敬する友人が勤務先に遊びにきて…職場で出会って仲良くなった友人が出産。彼女は保育士として働いていた経験があり、子どもといろんなことに挑戦したり、ユニークな知育玩具を作ったり。良いママだなと尊敬していました。 そして、「子どもにはのびのびと自由に育ってほしい」と言い、保育園や幼稚園を何カ所も見学。私も彼女の意見に賛同し、応援していました。 しばらくして私が雑貨店で働き始めたとき、友人が3歳になる子どもを連れて遊びに来てくれました。しかし、友人に呼び止められて目にした光景はあまりにも自由過ぎて……。 子どもがお店の通路の真ん中にお会計前の本をばら撒き、地べたに座り込んで一冊ずつ読んでいたのです。友人は子どもを注意することなく、その様子をうれしそうに眺めていたことにもびっくり。 私から軽く注意をしましたが、本は購入せず……。自由な心を育てるのは大事だと思いますが、礼儀作法を身につける事も大切なのではと感じてしまいました。 ◇ ◇ ◇ 小さな子どもにマナーやルールを教えるのは大変ですが、知らないでいるとお店や人に迷惑をかけることもあり……。年齢や発達の様子をみながら子どもにもわかるように、やってはいけないことを教えていきたいですね。
2023年12月02日息子の耕平を幼稚園に通わせている綾子。ママ友たちとも仲良くやっているのですが…実はひとり、苦手なママが。何事にも大雑把なママに辟易…幼稚園児が夜の9時からゲーム!?もう遅い時間だと言うのに子どもたちとお菓子を食べながらゲームをするという美香。息子をちゃんとした大人に育てようと日々努力する綾子には、美香の考えが理解できません。そこでお菓子やゲームの弊害を美香や他のママ友たちに伝えようとするのですが…しかし、ママ友たちは綾子の話を受け流しさらに綾子から距離を置くようになってしまったのです。綾子の目にはひどくガサツに映るママ友とその息子の悪影響が、我が子に及ばないか心配でたまりません。ママ友と教育方針が合わない…こんな時はいったいどうすれば?こちらは投稿者のエピソードを元に2023年7月22日よりウーマンエキサイトで公開された漫画です。漫画に対する読者からのコメントをご紹介します。ママ友と考えが合わなかったらどうすべき?綾子目線で進むこのストーリー、しかし綾子の教育方針を「神経質すぎ」と感じる読者が多くいることがわかりました。・子どもが上着を着ないと言ったなら意思を尊重して見守れば良いのでは?風邪をひいたら子どもも自分なりに考えるようになるのでは? 先回り育児で主人公の子どもが将来自立できなさそう。・逆に神経質すぎでは? みんなも困ってるはずなのにとか、あまりにも自分本位すぎませんか? 立場や性格が違う中で、学んでいくものもあるのにな。・気にしすぎではないでしょうか。「こうあるべき」と思うと辛いですよ。・私も子どもが小さい頃遊んでたお友だちで1年中半袖短パンの男の子がいましたが、本当に寒かったら自分から上着を着るようになったので放っていても良いと思います。この主人公は気にし過ぎなのとこうするべきと囚われ過ぎだと感じました。・ゲームで学力が低下するのは時間などのルールを守らないから。高校生のeスポーツ(ゲーム)の大会では超一流進学校の面々が論理的思考でバトルを繰り広げているよ。一方で、きちんと育てたいと思う綾子の気持ちがわからないでもない、という意見も。もしママ友と考え方が合わなかったら、どうしたらいいのでしょうか。・他のママたちの価値観を否定して自分を押し通すならママ友は作っちゃ駄目だと思う。 関わったママ友さんにとって迷惑な存在になるし嫌な気分にさせちゃうからね。・周りに自分の教育方針を強要するんじゃなくて、自分と同じような教育方針のママ友を探して付き合うべきでは。・私も、幼稚園児にゲームを制限なくやらせていたママがいましたが、挨拶程度にとどめて、深く付き合わないようにしました。 幸い、夫はゲームをやらないし、子どもが欲しがっても買わないという意見は夫婦で一致しています。・私も教育ママなので主人公の気持ちはよくわかる! けど、教育ママは少数派だし、このママレベルの育児を実践するのは大変! ママ友の理解も得にくいし「教育虐待では?」って勘違いされることも多いから隠してる。でもそもそも子どもをゲームやお菓子から完全に切り離した生活を送らせ続けるなんて現代では不可能に近いし、必ず歪みがでるからバランスが大事だと思う。家庭の方針はそれぞれ。どうしても合わないと感じたらそっと距離を置くしかないようです。▼漫画「ガサツなママが許せない」
2023年10月20日道徳科における「個別最適な学び、協働的な学び」とは?麗澤大学大学院(千葉県柏市/学長:徳永澄憲)学校教育研究科は、2023年12月3日(日)に「道徳教育学セミナー」をオンラインで開催します。本大学院学校教育研究科は、日本において初めて道徳教育に特化した大学院として2018年に設立。小中学校の教員でも教育現場を離れることなく、道徳教育の理論と実践を学ぶことができることが特徴の大学院です。道徳教育の理論と実践の融合を通じて、「特別の教科道徳」に精通した教員や専門研究者の養成に取り組むとともに、教育学における新領域「道徳教育学」の開拓に向けた研究と教育を日々行っています。学校教育研究科では毎年、道徳教育学の最新の動向と論点を概観し、今後の研究に新たな視野を開くことを目的に、道徳教育学セミナーを一般公開形式で開催しています。7回目の開催となる今年度のテーマは『道徳科における「個別最適な学び、協働的な学び」』。本セミナーは2部制で開催されます。第1部では、前文部科学省道徳教科調査官で十文字学園女子大学教授の浅見哲也(あさみ てつや)氏による講演を実施。第2部では、本大学院修了生で、現在、東京都公立中学校道徳指導教諭として活躍中の三浦摩利(みうら まり)氏と千葉県公立中学校教諭で、千葉県長期研修生(道徳)として本大学院に所属する田中大輔(たなか だいすけ)氏も加わり、浅見講師とディスカッションを行います。第2部終了後には、参加者を交えた全体討議を予定いたしております。本セミナーの概要と講師のプロフィールは以下をご確認ください。【道徳教育学セミナー】■日時:2023年12月3日(日曜日)9時〜11時20分■場所:オンライン(Zoom)※参加者は、自由に入退室可能■テーマ:道徳科における「個別最適な学び、協働的な学び」とは?■講師:浅見 哲也(十文字学園女子大学教授、前文部科学省道徳教科調査官)■主催:麗澤大学大学院学校教育研究科■対象:参加自由■参加費:無料■申込方法:申込フォームより要申し込み申込フォームはこちら : 【講師プロフィール】浅見 哲也埼玉大学教育学部卒業。埼玉県深谷市教育委員会課長補佐、深谷市藤沢小学校校長等を経て、文部科学省初等中等教育局教育課程課教科調査官、国立教育政策研究所教育課程研究センター教育課程調査官を歴任。現在、十文字学園大学教育人文学部教授。主な著書に『道徳科授業構想グランドデザイン』、『こだわりの道徳授業レシピ』など。2007年文部科学省優勝教員表彰。麗澤大学について麗澤大学は昭和10年、創立者の廣池千九郎(法学博士)が「道徳科学専攻塾」を現在のキャンパス(千葉県柏市光ヶ丘)に開塾したことから始まります。「知徳一体」という教育理念のもと、心豊かな人間性を養い、国際社会に貢献できるグローバルリーダーの育成を目指し、教育改革を進めています。「THE 日本大学ランキング」の国際性分野では2017年から連続して千葉県1位の評価を受けています。【プレスリリース】麗澤大学学校教育研究科による道徳教育学セミナー開催.pdf : 麗澤大学WEBサイトはこちら : 詳細はこちら プレスリリース提供元:NEWSCAST
2023年10月05日「インクルーシブ教育」を推進するための指針を、教育リーダーズから学ぶ2022年に国連から日本へと推進が通達されたこともあり、昨今大きな注目を集めている「インクルーシブ教育」。インクルーシブ教育とは、文部科学省で下記のように定義されています。「インクルーシブ教育システム」(inclusive education system、署名時仮訳:包容する教育制度)とは、人間の多様性の尊重等の強化、障害者が精神的及び身体的な能力等を可能な最大限度まで発達させ、自由な社会に効果的に参加することを可能とするとの目的の下、障害のある者と障害のない者が共に学ぶ仕組みであり、障害のある者が「general education system」(署名時仮訳:教育制度一般)から排除されないこと、自己の生活する地域において初等中等教育の機会が与えられること、個人に必要な「合理的配慮」が提供される等が必要とされている。障害のある子もそうでない子も、共に学ぶための仕組みづくり。しかし実際の市区町村、学校教育の現場では、対応のノウハウが欠如していたり、人員が足りなかったり、推進が難しい現状もあるという声も散見されています。そんな中でも、すでにインクルーシブ教育を先駆けて推進している人たちがいます。彼らはインクルーシブ教育をどう捉え、何を考え、推進を実現してきたのでしょうか?この連載では、そんな彼らを「教育リーダーズ」と位置付け、その言葉に耳を傾けることで推進のヒントとなる”指針のカケラ”を集めていきたいと思っています。第一回は、神奈川県葉山町教育委員会の教育長である、稲垣一郎氏にお話を伺いました。Upload By 発達ナビ編集部プロフィール:稲垣一郎 氏東京目黒生まれ。早稲田大学を修了後、私学の教員、その後に県立高校の教員を経て、特別支援学校の高等部で3年間知的部門に勤めた後に、県の教育委員会で教育行政に12年携わる。教頭、副校長として通信制、専門学科を経て横浜北部学区の荏田高校で校長職、湘南高校で5年間校長職、2021年4月から葉山町の教育長に就任。Upload By 発達ナビ編集部インクルーシブ教育という言葉すらない、多様な人が自然に共にいる未来を目指すーー本日はよろしくお願いいたします。稲垣さんのご経歴を拝見したのですが、特別支援学校での指導経験もあるそうですね。はい、当時は養護学校と呼ばれていましたね。その前にいた学校で、下肢に障害がある生徒を担任した時に、障害のあるお子さんについてもっと知らなければいけないなと感じまして。インクルーシブなんて概念はない時代でしたけど、希望を出して知的障害のあるお子さんが通われる特別支援学校へ赴任することになりました。ーーそれまで指導してきた生徒とは、接するうえで異なる部分もあったのでは?そうですね、そこで自閉的傾向のあるお子さんのいるクラスを受け持ったんです。その子は自分の殻に閉じこもる傾向のあるお子さんで、入学式の日は体育館にすら行ってくれなかったんですよね。「そろそろ行ってみねえか?」なんて2人で話して、それで私たちの入学式は終わりましたよ(笑)。ーー前途多難なはじまりを経て、そこでの経験はどのような糧となったのでしょうか。そんな子どもたちと接することで気付かされたのは、「教師の意思で何かを無理矢理してもらう考え方は、この子たちには通用せんな」ということでしたね。でも、一人ひとりスピードは違えどちゃんと成長していくので焦る必要はなくて、保護者の方と小さな成長の喜びを共有することが大切。教育とは常に待つことである、そんなことを学ばせてもらいました。Upload By 発達ナビ編集部ーー以降のキャリアでは教育行政などに関わられた後に、名門と名高い湘南高校の校長に就任されます。湘南高校は中学校でオール5の生徒が集まるような学校だったのですが、当然ここに来ると順位がついてしまうんですよね。でもそこで見た光景は、成績上位の子どもが下位の子どもを馬鹿にしない風景でした。ーーなぜそのような風景が見られたのでしょうか。成績が下位の子でも、歌が上手かったりバスケが上手かったり、誰しも特別に得意なことがあるんです。それを認め合う姿を見て、これこそ完全にインクルーシブでオルタナティブなんだと感じましたね。葉山でもその姿を現場で何度も伝えているんです。ーーなるほど。一方で湘南高校の例とは異なり、日本の教育はこれまで「分断」の道を辿ってきたかと思います。障害があれば、特別支援学級や通級に行くものだと捉えている人が多いですよね。そうですね。例えば欧米では当たり前に、街で目が見えない人がいたら手を差し伸べるなど、誰かが困っていたら誰かが支援することが自然と根付いているように思います。でも、日本では障害がある人とない人で、そもそもの教育の場から区別してきてしまった。最近やたらとインクルーシブ教育という言葉を聞くようになったのは、そんな日本の分断されてきた背景があるからこそ。だから、インクルーシブ教育なんて言葉がいつか存在しなくなるほど、ごく自然に多様な人が一つの場所に混ざり合う社会にしていくことが求められているんだと思います。Upload By 発達ナビ編集部進む方向を示して目線を合わせ、取り組みを常に見える化し不信感を取り除くーーそして、現在に繋がる葉山町教育長としての取り組みが始まります。葉山に来て3年目ですが、人的な配置も含めて教育への支援が非常に手厚いと感じています。特に小・中学校に入っている教員ではない支援員さんはその多くが町の保護者の方で、葉山の教育に何らかの形で参画をしたいと思ってくれていることを非常に有り難く感じますね。元々PTAの役員をしていた方が集まってできた、学校を支援する組織もあります。そういう方々の個別の相談にもいつでも乗るように意識しています。ーー町の人が主体的に教育に参加されているのは素敵です。葉山町に来られてから、具体的にはまずどのような課題に取り組まれましたか?この町は先生も教育委員会もみんな熱心なので全方向に一生懸命取り組まれていて、その反面でどこに向かっているのかが見えないところがありました。だからまず、選択と集中をしていくために指針をつくったんです。これを見れば葉山の教育方針が分かるというものをつくりました。葉山町支援教育推進指針「葉山町支援教育推進指針」共生社会の実現に向けたインクルーシブな環境づくり 、社会情勢や教育的ニーズを踏まえた継続的な「あり方」の検討をベースに、 「すべての児童・生徒ができるだけ共に学び共に育つ仕組みづくり」、「多様かつ個別の教育的ニーズに合わせた連続性のある教育の実現」、「切れ目ない支援体制の構築」について示したもの。ーー指針をつくるうえで、特に意識されたことはあるのでしょうか。指針の受け手である子どもたちと保護者の方にとって、どういう教育理念を持っていたとしても反対するレベルのものは入れないようにしています。町や子どもたちに対する眼差しを持って、誰もが根本で共感できて目線を合わせることができるラインで選定しています。議論や対話をする必要があるのは教員ですが、そこはちゃんと議論をして解決していきますね。ーー誰もが共感できる指針。その後はどうしたんですか?指針はスタートラインでしかないので、その後に会議体を持つことにしました。各学校の支援担当の先生や校長先生、加えて外部の識者を呼んで、何が課題で今後はどこに進んでいくかを現場と識者が融合して話す場を年3回つくっています。ほかにも毎月校長会議があって、そこでディスカッションもしますし、校長先生や現場の先生を個別に呼んで話すこともしょっちゅうあります。教育長室の扉は常に町に対して開いているんです、もちろん飲みの場も多いのですが(笑)。Upload By 発達ナビ編集部ーー教育長と現場の距離が近いんだなと感じます。さて、インクルーシブ教育という視点でのテーマとなりますが、葉山町として具体的に取り組まれていることを教えてください。私が就任する以前からあるのですが、不登校のお子さんが小学生も中学生も通うことができる「ヤシの実教室」という教育支援教室がありますね。小学校の一部の場所を活用していて、自由をモットーに自分たちのやりたいことをして良い場なんです。通った時間については、所属する小・中学校の出席にあてられるようになっています。この教室に通って、気付けば学校に戻っているお子さんもいますね。また、「ことば・きこえの教室」という場もあります。言葉や聞く力、コミュニケーションについて心配のあるお子さんと保護者の方から相談を受け、必要な指導や支援を行う教室です。特別支援学級の対象ではないけれど、課題を抱えているかもしれないお子さんが通って、適切な個別指導が受けられるようになっています。個別課題がクリアできればこの教室からは卒業します。Upload By 発達ナビ編集部ーー分断ではなく、支援が必要な子どもたちのための場が設けられていると。さらに、どの学校にも支援級があります。土地柄オルタナティブスクールも多くて、年に1回程度お互いの活動を報告する会議で連携を取りながら、町全体として子どもの居場所づくりに取り組んでいるんです。ーー葉山町の特長の一つとして、教育長はSNSでの発信も多くされていますよね。そうですね。組織として動くだけではなく、それを町の人々に届けることも大切と思っています。だからSNSを通しても、私の考えは常にオープンにするようにしていますね。新しいことに取り組む際に、見えないことが不信感につながると考えているので、発信は大事なことです。結局のところ私たちがやっていることに革新的なことはなくて、進むべき道を明確にし、そして教育現場で今何が行われているかをちゃんと見える化していく地道な作業をしているだけ。でも、それこそがきっと推進のためには必要なことなんですよね。稲垣教育長のnote短期的ではなく、中・長期的な視点で、一人ひとりの学びと成長に向き合うーーインクルーシブ教育を推進する中で、具体的にどんな困難がありましたか?困難……。家が少し遠いので、毎日通勤するのが大変なことくらいですかね(笑)。というのは半分本気で半分冗談で、物事を推進する中でハードルがあったり人と人との軋轢が生まれたりするのは当たり前のことなので。だから、ハードルがあるから推進できないとあきらめるのではなく、そういうものだと開き直ってでも力強く進めることが必要なんだと思います。Upload By 発達ナビ編集部ーーそれでも、組織の中の一部には不安な空気もあったかと思います。それは当然あると思うので、だから単純に言うと「稲垣があれだから仕方ないよね」と私を悪者にしてあきらめてもらって、それで進んでいけばと。結果それが町のためになったら何よりです。ーーインクルーシブ教育推進のために、今まさに取り組んでいることも教えてください。実証実験として、LITALICOの教育ソフトの導入を進めています。誰もが凹凸があり、好き嫌いがあり、勉強の得意苦手があるので、自分をどう活かしていくかを子どもたち自身が理解していくことが大切だと考えているんです。支援が必要なお子さんの指導においても、教員の経験や感覚だけではなく、明確な軸を持てるのが良いと思います。Upload By 発達ナビ編集部ーー先生や生徒にとって必要な体制を揃えていかれるのですね。はい。そして今年、この3年間で各校の校長先生とも話し練ってきた葉山町としてのスクールミッションを出します。これは教育委員会が葉山の学校に対しての指針となる3本柱と考え方を明確にしたもので、このミッションを受けて各学校がスクールポリシーを出す計画になっています。各学校での個性を最大限活かしながら、目線の先はしっかりと葉山町全体で足並みを揃えていくための取り組みです。Upload By 発達ナビ編集部ーーなるほど。「楽校」という言葉からも葉山町の目指す方向がイメージできます。そして、インクルーシブ教育の考え方にも繋がるのですが、葉山の長柄小学校と南郷中学校を小中一貫校として統合します。昔から中1ギャップという考え方がありますが、葉山でも例外ではなく中学から学校に行かなくなる子たちが増えてしまう現状があるんです。だから、義務教育の6年+3年を一連の流れで考えることで、中・長期的な視点で少しでも成長を滑らかに支援していきたいと思っています。9年間で同一の指導方針を持てることは、子どもたちが夢を見つけて進路を決めるうえでも良いことです。それに、中学校の先生が小学校に来てもいいし、小学校の先生が教えた子がどうなったか見に行く、そんな交流も生まれると思います。何より生徒も喜ぶし、先生も喜ぶ、それが日常化していってほしいですね。ーーなるほど。それではインクルーシブ教育を推進する中で、変わってきた印象はありますか?一番変わったのは組織だと思います。結局教育長としての仕事も組織論として捉えることが多くて、どう職員室をマネジメントするかが大切だと捉えているんです。インクルーシブはもちろんですが教育には答えがないので、仕事においてたとえしくじってしまっても挑戦してもらうことを大切にしています。成功することが至上命題という考え方を捨てて、結果が元々目指していた場所から変わってしまってもそれで良いとすることが必要。当初はネガティブな捉え方もあったかと思うのですが、前向きな発言が波及してきて組織全体として挑戦を積み上げられているという実感がありますね。Upload By 発達ナビ編集部ーーさまざまな視点でお話をいただきありがとうございました。最後に、今後のビジョンを教えてください。ポリシーをつくることでブレない教育理念がちゃんとあって、そこに向けてきちんと学校が自走していくことが今後の理想だと思っています。そしていつか、子どもたちがこの町に戻ってきてもらって、新しいサイクルを生んでくれたら理想です。子どもたちが成長して20年後に振り返った時に、小・中学校の大切な時間を葉山で過ごせてよかったなと思ってもらえたら、それ以上のことはありません。この連載を重ねることで、皆さまの中でインクルーシブ教育への解像度が上がりますように稲垣さんは謙遜をされていましたが、隣に寄り添っていた教育委員会の課長は「今の教育長ほど一人ひとりの声に耳を傾け、寄り添っている人を見たことがない」とおっしゃっていました。その姿勢こそが先生方や保護者の方の教育へのモチベーションにも繋がり、同じ目線で進んでいくための原動力になっているようにも感じられました。Upload By 発達ナビ編集部これから全国の教育リーダーズの話を取材し、皆さんにお伝えしていきます。インクルーシブ教育の取り組みを知ることで指針を集め、今まさに実践されている、実践しようとしている方のヒントになりますように。ここまで読んでいただきありがとうございました。
2023年09月20日■前回のあらすじ美香たちから「厳しすぎる」と言われつい言い返してしまった綾子。ガサツな美香からダメ出しされる理由がわからなかった。耕平の過ちに夫婦で向き合い、自分の子育ての間違いにようやく気づけた私。相手に寄り添うことは子どもに限らず、夫やママ友との関係においても大事なことでした。私は自分の意見を周りに押し付けるだけで、相手の気持ちに寄り添おうとしていませんでした。私の謝罪を受け入れてくれた美香さん。彼女のガサツで適当に見えた子育ては、過去の苦しい体験から得たもので…。相手を知ることで、その育児方針を理解できることもあるのです。子育てに正解はないし、もし間違ったなら、そこからやり直せばいい。自分と真逆の美香さんになりたいわけではないし、なれるわけでもないけれど…。大きな気づきをくれた美香さんに感謝しつつ、これからも親子ともども良い関係を築けたらと思っています。 ※この漫画は実話を元に編集しています原案・ウーマンエキサイト編集部/脚本・せりママ/イラスト・ 紅哀 柳(監修:アトリエPP合同会社)
2023年07月30日