いま、東京都内でも様々な場所で開催されている映画祭。不朽の名作を届けるものから、野外で行われるものまで。本当にいろいろな種類があって、いつも映画好きを楽しませてくれます。今回ご紹介するのは、渋谷ユーロスペースで開催される「トーキョーノーザンライツフェスティバル 2020」です。2011年から開催され、今年で10周年を迎えます。 各国の映画祭をにぎわせる作品が続々と生まれ、新しい才能が輩出される北欧5カ国の話題作の中から、年代、ジャンルを問わず、日本未公開作を中心に厳選されたものが上映。本映画祭で上映予定の作品をいくつかご紹介しましょう。 スペシャルアンコール作品『ショー・ミー・ラヴ』(1998 年 / スウェーデン)記念すべき第 1 回目の本映画祭で上映された作品。デジタルリマスターでアンコール上映です!スウェーデンの田舎町オーモルを舞台に「ここではないどこか」を夢見る少女たちの恋愛と10 代の切実さがリアルに描かれています。世界中で絶賛されたルーカス・ムーディソン監督長編デビュー作。 劇場未公開作『ディスコ』19 歳のミリアムは、連勝していたフリースタイル・ディスコダンスの大会中、パニック障害のため倒れてしまう。ある教団のカリスマ指導者である義理の父親は、心の弱さが原因だと諭してより深い信仰を彼女に強いるが……病気と教えのはざまで苦しむ少女の姿を通じて、現代ノルウェーの新興宗教の実態に迫った野心作。(Photo by Jørgen Nordby, Mer Film) そのほかにも多数の作品が上映予定。公式HPでご確認下さい。 さらに、映画だけでなく、写真展も同時に開催。世界的にも珍しい、首都でオーロラが観測できるアイスランド。この地で10 年以上の時間を費やし、取材・撮影されたストックの中から、神秘的なオーロラ写真を中心にセレクトした写真展です。同国の暮らしと自然を捉えたプリントも即売スペースで展示されています。 近年、そのデザインやライフスタイルが一層の注目を集める北欧を、映画で体感する1週間の映画祭です。普段知っている北欧とは一味違う雰囲気を感じに出かけてみませんか。 トーキョーノーザンライツフェスティバル 2020会場:ユーロスペース、アップリンク渋谷会期:2020 年2 月8 日(土)~2 月14 日(金)チケット一般販売:一般/1500円ほか 各上映3日前よりオンライン、窓口にて公式 WEB サイト:出典: goodroom journal 記事提供元:リノベーション・デザイナーズ賃貸 goodroom(グッドルーム)デザイナーズ、リノベーションなど、おしゃれな賃貸サイト・アプリ「goodroom」を運営しています。インテリアや、ひとり暮らし、ふたり暮らしのアイディアなど、賃貸でも自分らしい暮らしを楽しむためのヒントをお届けします。おしゃれ賃貸サイト・アプリ goodroom journal journal 暮らしの実例
2020年02月10日好きな人に手紙を書いたことはありますか?想いをしたためたものの、相手に出す勇気が出なかった…そんな経験はないでしょうか。岩井俊二監督の最新作『ラストレター』は甘酸っぱい思い出を彷彿とさせる、美しい映画だと評判です。■文字で描かれる恋愛裕里(松たか子さん)は姉・未咲の葬儀の場で、未咲の娘・鮎美(広瀬すずさん)から、未咲宛てに高校の同窓会の案内が届いていると知らされます。姉の死を告げるために同窓会に参加した裕里。そこで、学校のマドンナだった姉本人と勘違いされてしまうのです。さらに同窓会で、初恋の相手・鏡史郎(福山雅治さん)と再会します。裕里を未咲と勘違いした鏡史郎と文通が始まり、やがてそのことを鮎美に知られることになり…。面と向かっては話せなくても、文字だとスッと言えるってことありますよね。さすがに手紙を書く人は少ないでしょうけれど、現代はSNSやアプリを通して気持ちを語る男女は多いようです。■親密化過程を踏まない男性と女性ところで、人はどのような過程を経て親しくなるか、ご存知でしょうか。1973年、Robert A. Lewis(ロバート.A.ルイス)は、男女が結婚を形成するまでの間、どのように関係を発達させるか、その親密化過程を論文にしました。それによると、人は以下の6つの意識段階を踏んで結婚に至るというのです。1. 類似性の認知2. お互いを特別視する、いい関係の構築3. お互いを知り合う自己開示4. 得手不得手をうまく噛み合わせる役割取得5. 役どころがぴったりハマって居心地のよさを感じる役割適合6. 2人で1つ、といったペアとしての結晶意識ただ、こういった段階を踏むのは、あくまで「対面による関係作り」の場合。現代のような文字だけのやり取りだと、また違ってくるのです。というのも文字でのやり取りは、ある種独特な「気安さ」を生みます。それは、1や2の段階をショートカットして、いきなり3へと飛ぶ「気安さ」なのです。相手の顔が見えないまま「実は私はね…」とぶっちゃけトークをして、言葉上の共感を得る。するとそれだけで、自己開示がうまくいったという錯覚に陥ってしまいます。実際には相手はロクに理解せず、適当に話を合わせているだけかもしれません。でもそれは、文字からは読み取れないのです。本当はわかり合っていなくても「相手は自分を受け入れてくれたんだ」と思う。そして、一気に心の距離が近づいたように錯覚してしまう…そんな「誤解」が生まれやすいのが「文字だけでつながる恋」の特徴です。■文字でつながる恋の弊害お互いの人間性をすり合わせるのに、文字だけではとても足りません。目を見て、顔を合わせて表情を読み、たくさんの時間を費やして言葉を交わし、初めて「自己開示」になります。しかし、大概はわかり合っていると誤解したまま一線を越え、なんとなく噛み合っていないと感じつつも「そんなはずはない。相手は自分の理解者のはず」と思ってずるずる関係を続けてしまいます。結果的に、合わない相手にしがみついて時間を無駄にする…といった状況に陥るのです。確かに文字だと、普段は言えないことも言いやすいでしょう。でもそれは、本当の「自己開示」ではありません。相手と向き合い本心を語って、そうして初めてお互いの本質に触れる付き合いが始まるのです。■まとめ文字でつながる恋の落とし穴、ご理解いただけましたでしょうか。相手から思ったような反応を得られず、傷つくのが怖くて本心を見せられないなら、バーチャルな「恋愛ごっこ」しかできません。もし本気で相手と絆を築きたいと思うなら、勇気を出して対面でぶつかるべきです。あなたにも、好きな人にしか見せない「顔」があるはず。それを、ぜひ出しましょう。そんなあなたを見て、相手は「特別な存在だ」と理解するのですから。
2020年02月01日毎月1日、親子で観に行きたい新作映画を紹介する連載企画がスタート! 公開中もしくは近日公開予定の親子で観に行きたい3作品『アングリーバード2』『恐竜超伝説劇場版ダーウィンが来た!』『キャッツ』と、ママにおすすめの2作品『いただきますここは、発酵の楽園』『ロマンスドール』をご紹介します。家族みんなで楽しい映画の時間を満喫しよう♪親子で観たい新作映画_01『アングリーバード2』© 2019 Sony Pictures Animation Inc. All Rights Reserved.全世界で40億ダウンロードを誇るゲームアプリが映画化。第2弾では、怒りんぼうのレッドが住むバード・アイランドに危機が訪れる。親友チャック、ボムとともに大切な島を守ることができるのか? 吹き替えは坂上忍さん、山寺宏一さんらが担当。『アングリーバード2』監督:サーオップ・バン・オーマン声の出演:声の出演: 坂上忍、竹達彩奈、勝 杏里、山寺 宏一 他ユナイテッド・シネマ、シネプレックスにて限定上映中(上映は日本語吹替版のみ)親子で観たい新作映画_02『恐竜超伝説劇場版ダーウィンが来た!』NHKの人気自然番組『ダーウィンが来た!』の劇場版第2弾は、恐竜にフィーチャー。NHKのVFXチームと日本のトップクリエイターが共同でつくり上げた、恐竜のリアルで大迫力なCG映像を厳選。最新の研究で明らかになった、常識を変える新しい恐竜世界を堪能して!『恐竜超伝説劇場版ダーウィンが来た!』ナレーター:田辺誠一、大塚寧々製作・宣伝・配給:ユナイテッド・シネマ制作:NHKエンタープライズ映像提供:NHK2/21(金)より全国ロードショー親子で観たい新作映画_03『キャッツ』©2019 Universal Pictures. All Rights Reserved.世界的中で愛されるミュージカルの金字塔『キャッツ』が実写映画化! 路地裏に捨てられた白猫ヴィクトリアが自分らしい生き方を見つけるミュージカルエンターテインメント。リアルでちょっぴりシュールな猫たちの圧倒的なダンスと歌声は必見。ミュージカル好きはもちろん、映画で初『キャッツ』も◎。『キャッツ』監督:トム・フーパー出演:ジェームズ・コーデン、ジュディ・デンチ、ジェイソン・デルーロ、イドリス・エルバ、ジェニファー・ハドソン、イアン・マッケラン、テイラー・スウィフト、レベル・ウィルソン、フランチェスカ・ヘイワードほか声の出演:葵わかな、山崎育三郎、高橋あず美 and 大竹しのぶ公開中ママにおすすめの新作映画_01『いただきますここは、発酵の楽園』©イーハトーヴスタジオ食育ドキュメンタリー映画『いただきますみそをつくるこどもたち』の続編。田植えや稲刈りを行う“畑保育”を行う保育園や土作りのワークショプを行う野菜農家、食農教育に力を入れる小学校などを紹介。人や自然にやさしい暮らしについて考えたくなるドキュメンタリー。ナレーションは小雪さんが担当。『いただきますここは、発酵の楽園』プロデューサー・監督・撮影・編集:オオタヴィンナレーション:小雪エンディングテーマ:坂本美雨withCANTUS公開中ママにおすすめの新作映画_02『ロマンスドール』©2019「ロマンスドール」製作委員会結婚相手にラブドール職人であることを隠したまま結婚した主人公の10年間を描いたラブストーリー。愛し合って結婚したはずの2人がすれ違い、変化しながらも自分たちの答えを求めていく。現代の夫婦にありがちな問題をリアルに描きつつ、本当の夫婦のあり方を考えさせられる作品。『ロマンスドール』監督・脚本:タナダユキ出演:高橋一生、蒼井優、浜野謙太、三浦透子、大倉孝ニ、ピエール瀧、渡辺えり、きたろう 他公開中それでは、来月もお楽しみに。edit&text/Yukiko Takeda
2020年02月01日◼︎切ないラブストーリー2本が同日公開へDRESS読者のみなさま、あけましておめでとうございます!新年いかがお過ごしでしょうか?1月も終わりに近づき、そろそろお正月気分も抜けてくる時期ですね。みなさまに新年最初にご紹介したいのは、今をときめく旬な俳優の切ないラブストーリーを堪能できる2作品!2020年1月24日(金)公開の映画『ロマンスドール』と『his』です。■『ロマンスドール』まず1作目は、タナダユキ監督が、初のオリジナル同名小説を自ら実写化した『ロマンスドール』。TVドラマ『民王』の秘書・貝原茂平に始まり、『カルテット』での家森諭高、『凪のお暇』での我聞慎二と、癖のある、一風変わったこじらせ男子を演じ、私たちを魅了し続けてきた高橋一生。本作では妻に自らがラブドール職人であることを明かすことのできない夫・哲雄役を演じます。蒼井優の演じる妻・園子との大胆なベッドシーンは、切なく美しく、TVドラマでは見ることのできない俳優・高橋一生の魅力を思いっきり堪能できる素晴らしいシーンに仕上がっています!『ロマンスドール』のストーリー美大の彫刻家を卒業して、フリーターとして暮らしていた哲雄(高橋一生)は、大学時代の先輩から紹介され、ラブドールの制作工場で働くことになる。ある日、社長(ピエール瀧)から「シリコン素材でリアルな人肌に近い人形」の開発を命じられた哲雄と師匠の相川(きたろう)は、生身の女性から乳房の型取りをすることを思いつく。美術モデルの園子(蒼井優)を工場に呼び、「医療用」と偽り乳房の型取りをさせてもらった哲雄は園子に一目惚れし、突然「あなたのことが好きです。好きになってしまいました」と告白するのだった。1年後に結婚し、平穏な夫婦生活を始めた哲雄と園子だったが、園子の乳房の型でラブドールを制作した哲雄は、後ろめたさから自分がラブドール職人であることを言い出せないままでいた。園子の型で作った新作ドールは爆発的な売り上げが続き、日に日に忙しくなっていく哲雄は、徐々に園子ともセックスレスになっていく。いよいよ夫婦の危機が訪れそうになったその時、園子は哲雄に胸の中に抱えていた秘密を打ち明け……。『ロマンスドール』の見どころは?夫の嘘と、妻の秘密。高橋一生が「この作品は、結婚してからはじまるラブストーリー。結婚がエンディングではなく、その先のお互いの想いや愛の形がどう変化するか、どこに落ち着いていくのか。激しさだけではなく、淡々として日常の中で本当の愛が見えてくるような、ある意味究極の作品だと思っています」と語る通り、本作ではそれぞれに嘘や秘密を抱えながら、夫婦としての答えを見つけようともがくふたりの日常が、淡々と、しかし丁寧に描かれます。リアリティのあるラブドールの造形士を演じるため、資料を読み込んだ上で、実際の製造工程の実習にも複数回参加したという高橋一生。個人的に、彼の「手」の演技はとてもセクシーだと感じているのですが、今回も単なる売り物としてのドール作りではなく、工芸的な感覚で作品としてのドールづくりを行うという職人としてのリアリティを見事に体現しています。また、物語の深い余韻を残す主題歌「やさしいままで」を手がけるのは、高橋一生の弟・安部勇磨がボーカルをつとめるnever young beach。こちらも要チェックです!■『his』続いて2作目の『his』は、『愛がなんだ』で知られる今泉力哉監督が男性ふたりの恋や葛藤を描いたラブストーリー。主人公・迅を演じる宮沢氷魚は、俳優としてのキャリアは浅いながらも、TVドラマ『偽装不倫』での杏演じるヒロインと恋に落ちる年下のカメラマン役にキュンキュンした人も少なくないはず……!持ち前の繊細さと品性を最大限に活かし、ゲイとしての自分と周囲との関係や、忘れられない恋人への想いとの間で、静かに葛藤する主人公を魅力たっぷりに演じます。『his』のストーリー2010年、ベッドでふざけあう恋人同士の迅(宮沢氷魚)と渚(藤原季節)のふたりだったが、そのとき突然、渚は「別れよっか」と告げる。あまりに突然の一言に、迅は何も言い返せないのだった。2018年、自分がゲイであることを知られることを恐れ、岐阜県白川町に移住した迅は、近隣の人々に助けられながら畑仕事をする穏やかな日々を過ごしていた。そんなある日、迅の前に幼い女の子が現れる。女の子の「パパー!」という声に振り返った迅の前に、かつての恋人・渚が立っていた。迅と別れた後、プロサーファーになるためオーストラリアに留学した渚は、そこで通訳の仕事をしていた女性と出会い、結婚し、一児の父となっていたのだった。結婚後は家事と育児に専念していたが、現在は離婚前提で別居中という渚の突然の来訪を、迅は拒むことができない。渚と彼の娘の空(そら)をしぶしぶ受け入れた迅は、3人で同居生活を始めることになり……。『his』の見どころは?「同性愛をメインの題材として扱うことは、ある意味利用しているというか、ひとつの差別じゃないか」と感じ、これまで避けていたという今泉監督。結果として、感情や葛藤は男女と違いはなかったといいます。また、本作の監修には、同性パートナーであり、共に弁護士でもある吉田昌史氏と結婚式を挙げ、法律事務所を開設した南和行氏が携わり、離婚訴訟の法廷シーンや、同性愛者が身を置く社会のリアリティがきっちりと描かれます。恋愛の行く末だけではなく、同性のふたりが「家族」として世間とどう向き合い、生きていくのかというところまで描いた本作。子供を連れて昔の恋人に会いに行って、うだうだとどっち着かずの情けない男・渚と、田舎に逃げ込んできた迅が、渚の娘・空の存在を尊重しながらも前を向き、互いの境界線を超えて進んでいく姿に、静かな感動と、一歩踏み出す勇気をもらえます。2作品どちらにも共通するのは、主人公たちが打ち明けられない秘密や嘘を抱えていること、そして一緒に生きていくことを選択したふたりの恋人たちの想いや葛藤を丁寧に描いていることでしょう。DRESS世代の女性たちから不動の人気を誇る高橋一生と、人気急上昇中の若手俳優・宮沢氷魚。それぞれの魅力を堪能しながら味わえる、切なくも美しいラブストーリーに、あなたも心揺さぶられてみませんか?『ロマンスドール』と『his』は、2020年1月24日(金)より全国公開です。◼︎作品情報『ロマンスドール』2020年1月24日(金)全国ロードショー脚本・監督:タナダユキ(『百万円と苦虫女』『夫のちんぽが入らない』)原作:タナダユキ「ロマンスドール」(角川文庫刊)出演:高橋一生、蒼井優、浜野謙太、三浦透子、大倉孝ニ、ピエール瀧、渡辺えり、きたろう配給:KADOKAWA上映時間:123分公式サイト:romancedoll.jp(c)2019「ロマンスドール」製作委員会
2020年01月23日累計90万人を動員したドキュメンタリー映画『うまれる』シリーズの第3弾、ママたちのリアルな子育て事情を描いたドキュメンタリー映画『ママをやめてもいいですか!?』が2月29日より全国で順次公開されます。内容に賛同したベビーカレンダーは映画に協賛し、公開に先立って行われた試写会にも参加。作品の魅力と上映後におこなわれた監督トークショーの模様をお届けします。 首がもげるほどうなずいてしまう「ママをやめたい」理由 『ママをやめてもいいですか!?』。映画のタイトルは衝撃的ですが、子育て中の人なら一度は“ママ”の立場から逃げ出したくなったことがあるのではないでしょうか? ドキュメンタリー映画『うまれる』シリーズの監督・豪田トモさんの最新作『ママをやめてもいいですか!?』は子育てに奮闘するママたちの日常を追った作品です。 「子どもは愛おしいけれど、離れたい」「どうしてパパはママの大変さに気づかないの?」「大変なのは今だけって言われるけれど、“今”助けてほしいんです」 日常を映し出しているからこそ、ママたちから飛び出す言葉は納得の嵐。いっこうに言うことをきかない子どもを怒りすぎてしまって、後から激しく反省するなんてこと……あるあるあるある! 4~5人に1人は予備軍!? さらにパパにも起こる産後うつ 子育てはもっと幸せであっていいはずなのに、ママをやめたくなる背景には何があるのでしょう?カメラがスポットを当てるのは産後うつや実母との関係性にトラウマを抱えるママたちです。 産後うつは妊産婦の10人に1人がなると言われていますが、多くの家族を取材してきた豪田監督は「産後うつと診断はされないけれど、“産後うつ傾向”になってしまうママは4~5人に1人の割合でいるのではないか」と感じているそう。ママに偏りがちな育児や家事の負担や夫婦間の溝、サポート不足といった事情が透けて見えるなか、さらに映画ではパパの産後うつにも言及しています。 パパが考える育児の範ちゅうには「収入を得て家族を養う」という社会的な責任も含まれています。そのプレッシャーからパパたちが妻の産後にうつになる割合は、実はママと同程度。上手くママの気持ちを汲んであげられない不器用なパパの姿は「そうじゃない感」が満載ですが、一方で家族を支えたいという愛情も映し出されていました。 子どもを抱きしめられないと悩むママの過去 終盤は、思春期手前の11歳の長女との親子関係に悩むママ・トシエさんが登場。無条件で子どもを受け入れたり、抱きしめたりすることができないと苦しむトシエさん自身、自分の母親から抱きしめられた記憶がありませんでした。トシエさんの母親は高校のときに蒸発し、それ以来、人を頼ることができなくなったと言います。 ママをやめたくなる気持ちの裏側には、自らの心の内に潜んでいた家族の課題も横たわっています。 「子どもたちに自分は母親から愛されなかったという気持ちを抱かせたくない、わが子に愛情を伝えたい」――そんなトシエさん親子の姿は、わが子だけでなく、実親との関係に悩むママたちに光を与えるのではないでしょうか。 子育ての環境をよくしたいとの思いから映画化を決意 上映終了後の豪田監督によるトークショーでは、映画の企画意図や日本の子育て環境などについての解説がありました。 「孤独感を抱えながら育児をすることは、うつや自殺、子の愛着障害や虐待といった重大な問題につながる可能性があります。ママの不安に寄り添う映画を作ることで、子育て環境を変えたいと思いました」 もともとは動画配信用の短編作品を考えていたけれど、撮影を進めるうちにママたちが抱える苦しみを知り、自ら3,000万円を投じて映画化を決意。ママだけでなくパパも含むすべての親に共感してもらえるように、テスト試写を繰り返したと話します。 「テスト試写後のアンケートでは、登場するパパたちへの評価がボロボロだった(笑)。それだとたしかにママたちの共感は得られるけれど、夫婦の分断を深めてしまいます。パパのインタビューを増やすなどして、ストレス発散で終わらせない夫婦の理解を深められる作品にしました」 鑑賞後の感想は「やっぱり子育てをしているだけでママは偉い!」ということ。共感からたくさんパワーをもらうことで、家族を見つめる視線が優しくなっていることに気づくはずです。映画『ママをやめてもいいですか!?』は、「赤ちゃんの泣き声はBGM」というコンセプトのもと、少し音を大きくして(赤ちゃんが泣いてもOK!)、少し明るくして(後ろに立ちたくなったら立ち見でもOK!)の「ママさんタイム」上映を映画館で予定しています。「赤ちゃん連れで映画館に行くのはちょっと……」というママでも、この映画なら気兼ねなく行けると思います。ママ友も誘って映画館に足を運んでみてはいかがでしょうか?
2020年01月21日オリンピックイヤーでもある2020年は、国際交流やダイバーシティへの関心がますます高まるところ。そんななか、今回オススメする映画は、技能実習生として来日するも不法滞在者となってしまう中国人青年を描いた話題作『コンプリシティ/優しい共犯』です。トロント国際映画祭やベルリン国際映画祭でも高い評価を得ている本作の魅力について、こちらの方にお話をうかがってきました。写真・黒川ひろみ(藤竜也)日本が誇る名優・藤竜也さん!【映画、ときどき私】 vol. 285劇中で藤さんが演じたのは、他人になりすました中国人青年チェン・リャンを厳しくも温かく見守り、すべてを受け入れる孤独なそば職人の弘。そこで、圧倒的な存在感を放っている藤さんに、役作りへのこだわりや俳優としての思いなどについて、語っていただきました。―藤さんは作品を選ぶ際には、共演者やギャラなどは一切関係なく、脚本だけで判断されているそうですが、今回の脚本に惹かれた理由を教えてください。藤さんやっぱりいい脚本からは、書き手や監督の「作りたい」という思いと「これを早く映像にして」という声が伝わってくるものなんですよ。それは、チャンスがあるからとりあえず作るような作品にはないものなので、そういう強い思いがあるかどうかが大事なところだと思います。―そのことを知っていた近浦啓監督は、撮影が近づいているにもかかわらず藤さんに渡すまでに何度も脚本をリライトされたそうですが、つまりその時点でも納得できなければ、お断りされていたということでしょうか?藤さん断っていたでしょうね。僕の役は、中国人の青年が日本で切ない青春を送っている様子を見つめている日本のおじいちゃんでしたが、それがロマンティックでいいなと感じたんです。なので、以前もご一緒している近浦監督の作品だから、今回も出ようと思ったわけではなく、脚本がよくて、自分が感じるものがあれば、僕はどなたの作品でも受けますよ。―では、実際に完成した作品をご覧になったときの印象はいかがでしたか?藤さん僕が出ている日本のパートに関しては、脚本を読んだときと同じようなイメージでしたが、中国でのシーンやチェン・リャンが仲間とアパートにいるシーンから醸し出される不思議でエグさのあるエネルギーは新鮮でした。特に、中国のお母さんやおばあちゃんとのイマドキらしくないやりとりも、日本とは違うパワーがあっていいなと思ったところです。とにかく必死でそば打ちに取り組んだ―確かに、日本と中国のパートでは、空気感がまったく違う印象を受けました。役作りに関してもおうかがいしますが、まるで何十年もそば職人として生きてきた人物が放つような佇まいが素晴らしかったですが、どのくらい練習されたのでしょうか?藤さんそば打ちをしたのは20日間。先生をつけてもらい朝から夕方までずっと打ち続け、1回作ってはまたそれをこね直して打つというのを何度も繰り返しました。そば粉を70キロは使ったと思います。その期間は、「なんでもいいからそば屋の魂だけでも俺に乗り移ってくれ!」という気持ちで毎日取り組みました。これさえできれば、あとはそのまま台所に立っているだけでいいと思っていたので、とにかく必死でしたね。―そういった努力の甲斐あって、劇中のそば打ちシーンはすべてご自身によるものとのことですが、その思いが伝わってくるようで非常に印象的でした。藤さんこれまでそば打ちはしたことがありませんでしたが、僕は趣味で陶芸をしていたので、そばをこねる作業は粘土と同じで何とかなりました。ただ、生地を薄く伸ばすのとそば切りがなかなかうまくいかなくて。音だけでもどのくらいの腕前なのかがわかってしまうようなので、そこが一番難しかったですね。―ちなみに、藤さんは職人の役を演じるのがお好きとのことですが、なぜですか?藤さんそれをマスターしたら、ほかには何もしなくていいからです(笑)。その手順ができるようになると、背中がそれっぽく見える状態になるんですよ。なので、たとえば困っちゃうのは、警官の役。「俳優なんですけど、制服を着て一緒に仕事させてもらえませんか?」なんて警官に言ったらひっぱたかれますよね(笑)。そうなると、想像しながらやるしかないですが、職人の場合は実際に取り組むことができますし、練習することで自信もつきますから。マニアックな役作りをすることを楽しんでいる―今回はキャラクターの背景もご自身で考え、ワードにまとめて監督に送ったそうですが、いつもそのような役作りをされているんでしょうか?藤さんそうですね。この役については、年老いたそば職人になるまでの道のりを自分で作りました。弘はチェン・リャンの痛みをさっと受け止めることができる人物ですが、それは本人も青年時代に相当の痛みを味わい、たくさん失敗しているからこそ。痛みがわかる男になるようなバックグラウンドを自分なりに考え、子ども時代までさかのぼって、つじつまが合うようにしました。なので、「10歳くらいで父親と離別して、母親の実家に預けられ、母親が再婚してから引き取られるんだけど、そこに新しい兄弟が生まれて、その後は大田区あたりの町工場で一生懸命働くんだけど……」みたいな感じです。―かなり細かいところまで設定していらっしゃるんですね。藤さんそうなんですよ。最近はパソコンでいろいろ調べられるので、どこの小学校から中学校に通ってとか、具体的な地名や学校名まで全部決めてしまうほど。凝り始めると、実際にその場所に行くこともありますが、役作りの過程でそういうマニアックなことをするのも、自分でおもしろがっているんでしょうね。今回もそんな感じで、チェン・リャンと出会うまでのストーリーを作ってみました。―そうやって人物像を作り上げるなかで、藤さんご自身が弘に共感する部分もありましたか?藤さんそういうことは全然ないですね。あくまでも、中身はこのキャラクターに委ねているので、そこに僕自身はいない感覚です。―チェン・リャンを演じたルー・ユーライさんにとって、藤さんは“映画の教科書のような存在”であり、藤さんと共演したくてこのオーディションを受けたとうかがいました。それを聞いたときはいかがでしたか?藤さん海外の映画学校で、教材として僕の出演作が使われていたそうですが、実感はなかったので、「本当に?」という感じですよ(笑)。俳優であり続けることを支えているものとは?―では、実際に共演されてみて、どのような印象を受けましたか?藤さん本作の前日譚でもある短編の『SIGNATURE』という作品で初めて彼のことを知りましたが、憂いのある顔と目線が日本にはいないタイプだなとは思いました。実際に会ってみるとそんな感じではないんだけど、スクリーンに映ると急に色っぽくて、憂いてる雰囲気が出る俳優なんですよね。現場では、基本的にお互い無口で、時々顔を見合って、うなずくくらいでした。でも、疑似親子みたいな役柄だったので、しゃべらなくても通じるものがあったんでしょうね。―劇中同様に、言葉を超えたものがあったんですね。アドバイスを求められるようなこともなかったですか?藤さんないですね。それに、僕は自分が教えられるものは何も持っていないと思っているので、頼まれてもアドバイスしないタイプなんですよ。―そんな藤さんの背中を見て、みなさん学んでいらっしゃるんだと思います。すでに、俳優デビューから60年近くが経ちますが、ここまで続けることができた原動力を教えてください。藤さんまずは、健康であることですね。といっても、たばこは大好きだし、お酒も飲むので、何が健康かという話なんですが……(笑)。いかにも何かありそうに見えるかもしれませんが、たまたまここまで生かしてもらって、勝手に時間が過ぎてキャリアが増えただけという状態なんですよ。―確かに、健康であることが一番だとは思いますが、陰で支えてくださる奥さまの存在も大きいのではないでしょうか?藤さん本当に、それは大きいですよ!―ちなみに、奥さまと毎晩握手をされているそうですが、それが仲良しの秘訣ですか?藤さん5、6年前くらいから始めたんですが、きっかけは僕の不純な動機です(笑)。というのも、年を取ってからあんまり馴れ馴れしく触ると嫌がられたりするんですよ。だから、何とかしてこの状況を打開しようと思って、「明日何が起きるかわからないんだから、寝る前に握手くらいしない?」と提案してみたんです。そしたら、「それもそうね」となり、そこから毎晩握手するようになりました。「また明日ね」みたいな感じなんですけど、最近は握手しないと、寝つきが悪くなっちゃうくらいなんですよね(笑)。いまでも自信がなくて不安になることもある―とても素敵なお話です。では、俳優としてやりがいを感じる瞬間はどんなときですか?藤さんそれは脚本を読んで、やると決めたとき。いくつになっても、小学校1年生みたいな慣れない気持ちがいいんですよ。自信がつくまで、「俺にこの役できるのかな?」といつも思いますから。―藤さんでも、自信がないときがあるものですか?藤さんどの作品も、基本的には最初は自信がないですね。でも、そのうちにだんだんやれるような気になってくるんです。―それが、先ほどのような緻密な役作りをされる理由でしょうか?藤さんそうですね。不安なんでしょうね、多分。そんなことしなくてもぱーっと行けちゃう人もいると思うんですけど、僕はそういうふうにしていかないとダメなんですよ。たとえば、長野県出身のキャラクターを演じたときは、子ども時代にどんな風景を見たのか知りたくて、長野県まで行き、その役が好きな温泉に入ってみたりもしました。そういうことをすると安心するんですよね。―そういった真摯な思いが、役へと反映されているのだと改めて感じました。それでは最後に、これから作品を見る方に向けて一言お願いします。藤さん特にメッセージというのはありませんですが、とにかく見て感じてもらえればと思います。インタビューを終えてみて……。どんなときもダンディで、優しさがあふれている藤さん。お会いできるだけで胸がいっぱいでしたが、役作りの裏側から奥さまとの秘話まで、いろいろなお話を聞かせていただき、感動しっぱなしの取材となりました。見事なそば打ちシーンはもちろん、藤さんが作り上げた人物の背景などにも注目しながら、ぜひご覧ください。心が震える決断を目撃する!現代の日本で起こりうる問題を背景にしつつ、年齢も国籍も超えて生まれた人と人の絆や見失いかけた自分自身を見つけるまでの道のりが描かれている本作。胸の奥底を締め付けるような結末と向き合ったとき、あなたの心も共鳴するのを感じるはずです。ストーリー技能実習生として日本へやってきた中国人の青年チェン・リャン。劣悪な職場環境から逃げ出したことにより、不法滞在者となってしまう。その後、他人になりすましたチェン・リャンは、そば屋で仕事を見つけ、不器用な店主の弘と出会うのだった。いつしか、親子のような関係を築いていく孤独な2人。しかし、嘘のうえに築かれた幸せが長く続くことはなく、チェン・リャンに警察の捜査が迫っていた。そして、すべてを清算する日、2人はある決断をすることになる……。儚さが漂う予告編はこちら!作品情報『コンプリシティ/優しい共犯』1月17日 (金)より新宿武蔵野館にてロードショー配給:クロックワークス©2018 CREATPS / Mystigri Pictures
2020年01月11日ウーマンエキサイトをご覧のみなさま。あけましておめでとうございます。今年も「両手に男児」をどうぞ宜しくお願い致します!さてさて、新年ということで今回は去年のお正月のお話です。私は社会人歴=アパレル販売員なので、お正月といえばいつも初売りセール。毎年、慌ただしく賑やかな三が日を過ごしていました。それが長男くん育休中、久々に家で過ごすお正月。「お正月ってこんなに静かなんだ」と思った記憶があります。そして去年、次男くんの育休にやってきたお正月。どう過ごすかが悩みの種でした。■旦那が考えていた予定があった…! それは?私の知らないところで旦那が元旦に長男くんと映画に行く計画を立ててくれていました。まだ映画館デビューした事がなかった長男くんですが、この頃からどハマりしていた仮面ライダーの映画を観に行くのをとても楽しみにしていました。ウキウキする男子たちを眺めながら「元旦に映画館ってやってるんだ…」と思いつつ、元旦から長男くんを連れて出てくれる旦那に感謝する私なのでした。そしてやってきた元旦。次男くんと2人でお留守番しつつ、はじめての映画館で長男くんは大丈夫か心配しているとテンションの高い2人が帰宅してきました。無事に最後まで映画を鑑賞できたようで、特典のポストカードも貰えて嬉しそうな長男くん。良かった良かったと思っていたら…■旦那がくれたスペシャルな時間旦那からまさかの提案が!!この時、映画「ボヘミアンラプソディー」が大ヒット上映中で旦那と2人で観に行きたいねと話していました。とは言え子ども2人いるとなかなかそれも難しく、DVDが発売されるのを待つしかないと思っていた私にとって旦那の提案は最高のお年玉でした。ちなみに思わず脳裏に流れた「ドンドンダン!」はセール初日の出勤前にお店に向かう時も脳内再生している曲でもあります。お正月から1人の時間をもらえ観たかった映画を映画館で鑑賞する事できてかなりリフレッシュできました。お正月前にどう過ごすか頭を抱えていた事が馬鹿みたいに思えるほど家族で過ごすお正月は穏やかに、そしてあっと言う間に過ぎたのでした。
2020年01月02日年末年始のテレビ番組といえば、子どもたちにとっても大きな楽しみのひとつではないでしょうか。大好きなアニメの特別版や映画版に興奮したり、両親はもちろんいとこや親戚などと一緒に教養番組から何かを学んだり、ネイチャードキュメンタリーで共感したり…。普段とは違うテレビの楽しみ方ができそうですよね。そこで、2019~2020年の年末年始に放送される子ども向けテレビ番組を一挙にご紹介します!■2019年年末に放送される子ども向けテレビ番組▼12月23日(月)『<NHK>2020応援ソング「パプリカ~Foorin楽団」』NHK Eテレ 12月23日(月)~27日(金) 午前9:00~子どもたちを中心に大ヒットとなった、<NHK>2020応援ソング「パプリカ」を歌うFoorinが、聴覚障害や発達障害といった、さまざまな特性を持つ子どもたちと「Foorin楽団」を結成。3ヶ月を掛けたミュージッククリップ撮影の様子を捉えたドキュメンタリーだ。『Eうた・ドラマ“歌のおじさん”・Eたん』NHK Eテレ 12月23日(月)~25日(水) 午後6:45~/12月26日(木) 午後6:54~ NHKEテレの放送60周年を記念して、「うた」をテーマにした特別番組。矢部太郎演じる歌の妖精“Eたん”と中学生のコウキが人々の心をつなぐ「うた」を生み出していく。Perfume、Sexy Zone、JUJUなど豪華アーティストがカバーするEテレの数々の名曲たちに注目!▼12月24日(火)『子犬が家にやってきた! ~パピーラブラブドキュメント~』NHK総合 午後7:30~8:42子犬を飼うことになったご家庭、数組に密着取材。飼い主と子犬が本当の家族になっていく様子を見つめた、あたたかいドキュメントだ。▼12月25日(水)『“アナ雪の故郷”を訪ねて ノルウェーファンタジー紀行』NHK BSプレミアム 午後9:00~映画『アナと雪の女王』の製作者たちが、登場人物や舞台のヒントとして多くのインスピレーションを得た北欧ノルウェー。女優の山本美月が現地を訪ね、その魅力を探っていく。▼12月27日(金)『チコちゃんに叱られる!「拡大版SP!イチョウ並木・氷の謎・イラスト一挙公開!」』NHK総合 午後7:30~ゲストには、さだまさし、萬田久子らが登場。スペシャル回のみ登場する「チコの部屋」では、チコちゃんがさだを「ボーっと生きていないか」チェック。また、チコちゃんリスクエストでさだがあの名曲を歌う!?▼12月28日(土)『まるごと見せます! 世界の教育コンテンツ~日本賞2019~』NHK Eテレ 午後2:00~世界中の教育コンテンツから、幼児向け・児童向け・青少年向け・一般向けの各部門で最優秀賞を受賞した4本を、ノーカット・日本語版で放送。11月8日に行われた授賞式の模様もレポートする。『ドラえもん』年忘れスペシャルテレビ朝日 午後5:00~2019年最後の『ドラえもん』。『ネズミ年だよ! ドラえもん』は、ネズミ嫌いのドラえもんがひみつ道具の力でネズミと仲良しに!? そして、『出てくる出てくるお年玉』では、お年玉が少なかったのび太がいろいろな方法でお年玉がもらえる“お年玉ぶくろ”を使うが…。地球ドラマチック『3D解析! ピラミッドの謎~エジプト 最後のミステリー~』NHK Eテレ 午後7:00~エジプトのギザにある三大ピラミッドとスフィンクス。エジプト、フランス、アメリカの研究者たちが、最新のテクノロジーを用いて精巧な3Dモデルを作り、古代文明の謎を解き明かす。『ドラえもん“誕生”50年 みんなみんなかなえてくれる♪ ~ひみつ道具とかがく~』NHK 午後7:30~1970年の連載開始からちょうど50年。これまでドラえもんに登場したひみつ道具は1600以上にものぼる。実は今、このひみつ道具が世界で実現されつつあるという! そこで番組では、ドラえもんのひみつ道具を通して最新科学に迫る。▼12月30日(月)『はじめてのおつかい 傑作選』日本テレビ 午前6:00~おなじみの人気特別番組『はじめてのおつかい』。過去に放送された、笑いあり涙ありの傑作エピソードを集めて紹介する。子どもたちの一生懸命な姿に、胸が熱くなること必至だ。映画『劇場版 ダーウィンが来た! アフリカ新伝説』NHK総合 午後7:30~放送開始から12年の人気自然番組が初めて映画化。放浪して生きる若きオスライオン、女手ひとつで子どもたちを育てるメスライオン、争いで片腕を失ったゴリラ…。アフリカでたくましく生きる動物家族の物語が語られる。▼12月31日(火)『香川照之の昆虫すごいぜ!』 「アリ」/「カマキリ先生コスタリカへ行く」/「キリギリス」(再放送)NHK Eテレ 午前10:10~香川照之扮するカマキリ先生が昆虫についての熱い授業を行う番組から、過去作品「特別編☆カマキリ先生コスタリカへ行く」など3本を再放送。年明け放送予定の新作を観る前に、もう一度振り返りたい。『オリガミの魔女と博士の四角い時間SP』NHK Eテレ 午後5:00~日本の伝統文化である“折り紙”の奥深い世界をドラマで紹介する番組の年末スペシャル。折り紙の創作に情熱を注ぐオリガミ博士(滝藤賢一)が謎解きに挑戦するが…。世界各国のユニークな折り紙作品も登場。■2020年お正月に放送される子ども向けテレビ番組▼1月1日(祝・水)『ごちそんぐDJ 幸せいっぱい! おせちスペシャル~きみの願いにNEOおせち!~』NHK Eテレ 午前7:40~楽しい歌と映像にのせて、毎回おいしい食べ物を紹介する音楽&食の番組。年始一発目のテーマは、「おせち料理」! さて、どんなおせちが出来上がるかな?『香川照之の昆虫すごいぜ! お正月スペシャル カマキリ先生☆冬の森でオサボリ!?』NHK Eテレ 午前9:00~香川照之扮するカマキリ先生が昆虫のすごさを紐解く人気番組の最新作。今回は、冬を越す虫たちに焦点をあて、カマキリ先生の昆虫に対する思い入れから、その生態や自然とのつながりまで、授業が繰り広げられる。映画『ねずみ物語 ~ジョージとジェラルドの冒険~』NHK Eテレ 午前9:45~辻信太郎の絵本「大切な仲間たち ねずみ物語」を原作にしたアニメ。ねずみ一族の長老レオポルド一世は、後継者候補のジョージとジェラルドに、月の谷に住む光の竜をつかまえた者を後継者にすることを宣言。旅に出た2匹は固い友情で結ばれていく。『ネコメンタリー 元日SP ますむらひろしと モンとハテナとコマ 特別編』NHK Eテレ 午後2:00~作家と愛猫の生活を、書きおろし原稿と映像でつづる異色ドキュメンタリーの特別編。3匹の愛猫と暮らす漫画家ますむらひろしは、なぜ猫をモチーフにした漫画を描くようになったのか。2019年夏放送後の大反響を受け、追加撮影を敢行した拡大保存版だ。映画『GAMBA ガンバと仲間たち』NHK Eテレ 午後4:40~テレビアニメ版でも人気を博した「冒険者たち ガンバと15ひきの冒険」が原作の3DCGアニメ(2015年公開)。町ネズミのガンバとマンプクは「海は世界で一番広くて大きい」と聞き、海を目指して旅に出る。港で出会った島ネズミの忠太に助けを求められた彼らは、仲間たちと巨大な敵に立ち向かうが…。『坂上どうぶつ園プレゼンツ 1000人が本気で選んだ! 激カワ! 感動!爆笑! 新春どうぶつ映像アワード』フジ 午後6:00~視聴者1000人から投票し選ばれた、永久保存したい「どうぶつ映像ランキング」を発表! ほか、坂上忍が希少動物が多く生息するハワイ島へ赴き、「どうぶつ地球百景」の撮影に挑戦。ある巨大な生きものを探すため、夜の海へ入るが…。『もふもふモフモフ 神ネタ新ネタ集めちゃいましたスペシャル』NHK Eテレ 午後6:05~いぬ、ねこ、うさぎ、ハムスター…。もふもふモフモフする動物のかわいい姿をたくさん集めたスペシャル版。ナレーションは、自身も犬を飼う俳優の堤真一。『おしりたんてい』NHK Eテレ 午後6:15~トロル原作の大ヒットシリーズのアニメ。おしりの顔の形をした名探偵が、「フーム、においますね」というお決まりのセリフを言いながら難事件を解決していく。1月1日(土)は、原作でも子どもに人気な大泥棒「かいとうU」が登場する「ププッ かいとう たい たんてい」を前後編で放送する。▼1月2日(木)映画『プリキュア スーパースターズ!』TOKYO MX 午前9:00~人気アニメ『プリキュア』シリーズの劇場版24作目(2018年公開)。『HUGっと! プリキュア』を中心に、『キラキラ☆プリキュアアラモード』『魔法使いプリキュア!』の3世代12人のプリキュアが力を合わせ、世界を救う!『ハイウェイ・ラット ~嫌われおいはぎネズミ~』NHK Eテレ 午前9:15~動物たちから食べ物を奪って生活する“おいはぎネズミ”は、ある日、アヒルから山のてっぺんの洞窟にお菓子がたくさんあると聞く。アヒルの案内で、洞窟を目指すおいはぎネズミだったが…。『日本人のおなまえっ!×みんなで筋肉体操「筋肉のおなまえSP」』NHK 総合 午後7:20~人気番組『日本人のおなまえっ!』と『みんなで筋肉体操』がコラボしたお正月のバラエティ特別番組。謎の“筋肉のおなまえ”を探ったところ、肩こり・腰痛改善といった健康や美容の秘けつが見えてきて…!?『福山雅治×香川照之・生きものすごいぜ!』NHK 総合 午後9:00『龍馬伝』で共演して以来、仲良しの福山雅治と香川照之。「生きものや自然に対する深い興味や愛情がある」という共通点を持ったふたりが、自然の魅力や生きものへの愛を語り合う!『潜入! ウワサの大家族 スペシャル』フジテレビ 午後10:00~聞き込み取材から集められた情報をもとに、大家族を訪問。その家族のルーツや生活ぶりを紹介する。以前番組で取り上げた、宮崎県で自給自足の生活を送る大家族のその後もレポート。『デザインあ・おとなスペシャル2020』NHK Eテレ 午後10:15~身の回りにあるもの、毎日使っているものなどを、デザインの視点から見ることで、その面白さを知ることができる番組「デザインあ」。大人が観ても新しい発見がたくさんある番組だけに、「おとなスペシャル」に期待が高まる。映画『夜明け告げるルーのうた』NHK Eテレ 午後10:35~『マインド・ゲーム』の湯浅政明監督作で、2017年アヌシー国際アニメーション映画祭長編部門クリスタル賞(最高賞)ほかを受賞したことで話題になった映画。寂れた漁港の街を舞台に、鬱屈(うっくつ)した思いを抱えた中学生のカイが人魚のルーと出会う…。▼1月3日(金)『チコちゃんに叱られる! 新春・麒麟がくるスペシャル』NHK総合 午後7:20~大河ドラマ『麒麟がくる』から、長谷川博己、門脇麦、堺正章がゲストで登場。チコちゃんから明智光秀に関する問題や、お正月にまつわる謎を投げかけられる…!▼1月4日(土)『サンドウィッチマン&芦田愛菜の博士ちゃん スペシャル』テレビ朝日 午後6:30~強い好奇心によって大人顔負けの知識や、優れた才能を持った子どもの“博士ちゃん=先生”たちが、世界にひとつだけの特別授業を開講する。MCには、サンドウィッチマンと芦田愛菜。▼1月5日(日)『ダーウィンが来た! チューもく!干支(えと)のネズミ大特集』NHK総合 午後7:30~新年第1回目の『ダーウィンが来た!』は、2020年の干支“ネズミ”を大特集。実はありがたいご利益がある世界のネズミたちを紹介する。特別ゲストに、大河ドラマ『麒麟がくる』の谷原章介と徳重聡。▼1月6日(月)『はじめてのおつかい! 2020年爆笑! 30周年記念スペシャル』日本テレビ 午後7:00~子どもたちが初めて子どもだけでお買い物する様子を追いかける超人気番組。妹が初めて食べる魚を買いに魚市場に行く4歳のりんたろうくんは、途中泣いてしまうけれど「パプリカ」を歌って勇気を出す…。ゲストには市川海老蔵ほか。『ファミリーヒストリー』NHK総合 午後7:30~毎回、ゲストの出自を探る番組だが、今回はなんと「パンダの彩浜~世界に誇るパンダ一族」を特集! 和歌山県のアドベンチャーランドで16番目に生まれた彩浜とその一家に迫る。
2019年12月23日クリスマスまであと数日。当日、予定がある人も、仕事でそれどころじゃない…という人も、この時期はなんとなく気忙しくなりますよね。そんな今の時期にぴったりな映画が、先日公開されました。あのワム!の名曲にのせた『ラスト・クリスマス』です。■自分の本音探しクリスマスショップで働くケイト(エミリア・クラーク)にとって、この年のクリスマスは最悪な日々。自分のうっかりで職場の店に泥棒に入られ、歌のオーディションを受けてけちょんけちょんにけなされる…。気の滅入る日々に笑顔を忘れていました。そんなケイトの前に、トム(ヘンリー・ゴールディング)が現れます。トムは不思議な男性で、なぜか彼とは「偶然」「絶妙なタイミング」で出会うのです。2人はやがて仲良しになりますが、トムの個人情報は名前しかわかりません。住んでいると言った家も、後に不動産屋さんから「1年間誰も住んでいない」と聞かされます。ふとした瞬間に姿が見えなくなる彼。自分をからかっているんだろうか?と疑いながらも、なぜかトムに惹かれていくケイト。彼のおかげで、自分らしい笑顔を取り戻すのです。やがてケイトは、自分と彼とをつなぐ不思議な縁に気づき…。忙しい日々、味気ない毎日、うるおいのない人間関係。これらに摩耗されて、あなたもケイトのように自分らしさを見失っていませんか?自分では普段通りのつもりなのに、なぜか違和感がある…偽りの自分を演じているような息苦しさを感じる。もしそんなふうに思っているなら、それは危険な状態と言えます。■自己呈示行動とは「自己呈示行動」という言葉をご存知ですか。これは第三者から見える自分の姿を、自身で意図的、あるいは戦略的にコントロールする行動を指します。「女性はみんな女優」なんて言葉が示す通り、女性は特に自己呈示行動が活発です。例えば、普段ズボラな生活をしていても、初めて会うイケメンの前では、そんなことはおくびにも出さないですよね。人によっては「家庭的な私」を演出するのではないでしょうか。演出は加えるものの、嘘ではない。女性の多くは、そんなふうにいいあんばいで自分を演出できます。ただ、呈示行動というのは、ひとり歩きし始めることがあるのです。■違和感は振り返りのサイン例えばあなたが、たまたま困っている人を見かけてフォローしたとします。相手はとても感謝してくれて、あなたもよかったと思えたのですが、その話が周囲に広まり、いつの間にか「お助けキャラ」と思われるように。別にそこまで世話焼きでもないのに、頼まれると断りづらくてつい手伝ってしまう…。と、このように「思いもかけないレッテル」を貼られることがあります。そして人によっては、時間の経過とともにその「レッテル」が自分の本質なんだと勘違いするんですね。自分は「世話焼きのはず」だから、頼られると「うれしいはず」なので「やらなきゃいけない」のだ…というように己に言い聞かせ、どんどん自分を見失ってしまうのです。自分はこういう人間である、という認知を「自己定義」あるいは「自己概念」と言います。本来であれば、自己定義をベースに無理のない範囲で自己呈示行動をするべきです。でも、自己呈示行動が意図しないかたち・方向で進んだ場合、あなたは「違和感」を覚えるはず。それは心が発信する重要なシグナル。本来の自分は何なのか、改めて見つめ直して軌道修正しなければなりません。でないとアイデンティティが壊れ、最悪の場合、心の病気にかかってしまうことがあるのです。■まとめ本当の自分を取り戻す方法、ご理解いただけましたでしょうか。周囲の期待に応えたいという気持ちが、本来の自分にブレーキをかけることがあります。でも、それは間違いです。あなたが無理していては、本当の人間関係を築けません。大切な人と確かな絆を築きたいなら、なおさら、自分らしいあなたでいてくださいね。
2019年12月21日12月6日に、あらいぴろよさんの同名漫画が原作の映画『“隠れビッチ”やってました。』が公開されました。26歳の独身女性・ひろみ(佐久間由衣さん)は、清純派の皮をかぶった隠れビッチ。「隙」と「タイミング」を操り、次々と男性をハントしています。恋愛ゲームを楽しむひろみですが、その裏にはあるつらい過去が潜んでいて…。■ビッチにはビッチなりの理由がある?ひろみのモテテクは、好きな男性を射止めるためのものではありません。それはあくまで、たくさんの男性にモテたい、チヤホヤされたいという思いが強いゆえに磨かれた技。だから相手がその気になったら、あっさりフる、といったことを続けていました。あるとき、そんなひろみの手練手管に全くのってこない男性・安藤が登場。数年ぶりに負け試合を繰り広げながら、いつしかひろみは安藤に本気で惹かれていることに気づきます。自分に向き合えない人間は、他人と本気で向き合えない。そのことを知り、自分の過去と原点を見つめ直すのです。実はひろみは幼い頃、父親からDVを受けていました。虐待やネグレクトが恒常的に存在する家庭を「機能不全家族」と言います。彼女はまさに「機能不全家族」の中で育った子どもで、親に愛情を与えられず、自分を認めてもらえないまま育ちました。その結果、不特定多数の男性にチヤホヤされることで、もらい損ねた「愛情」の代わりにしようとしたのです。ひろみみたいに「機能不全家族」に育ったわけではなくても、例えば青年期にイジメを受ける、あるいは大きな挫折を味わう、といった経験を通して「自己肯定できない人格」が形成されることがあります。そして自分を承認してもらいたいがために異性に依存する…そのような悪循環にハマりやすくなるのです。結局のところ、「自己肯定」できないと孤独との戦いは終わりません。では、どうしたら「自己肯定」できるようになるのでしょうか。■自分を認めるためのステップ自己肯定感を高めるためのステップは、以下の3つです。[1]可変領域と不可変領域を分ける例えば、生まれ育った環境や骨格、持って生まれた才能などは、どう頑張っても自分の意思でコントロールできません。そういうものは他者と見比べたところで、ただただ劣等意識が増殖するばかり。とらわれるだけ意味がないのです。それよりも、知識量・立ち居振る舞い・洋服のセンスといった、努力によってコントロールできるものが何なのかを明確にしましょう。[2]小さな目標を定めて努力し、達成実績を積み重ねる1で自己改革できる内容を明確にしたら、「ちょっと努力すれば到達できる目標」を作ります。それは「平日のうち2日間は朝食を作って食べる」といった、本当にささやかなことで結構です。ポイントは、今の自分でも「少しの努力」で叶えられる内容にすること。どんなに小さくても、達成できた実績が増えれば増えるほど、あなたの中に「自信」を生み出します。それが、「自己肯定感」へと結びついていくのです。[3]楽しいと思える事柄について仲間をつくる小さな努力を続けていくと、やがて「これをやっていると楽しい」と思える事柄を見つけられると思います。そうなったら、気持ちを共有できる仲間を探してみてください。SNSでもサークルでも、何でもいいのです。「楽しい」を一緒に体感することで、他者への「承認欲求」が満たされます。その結果、安定した自己評価を確立することができるでしょう。■まとめビッチの素質は、奔放な女性だけでなく、自分に自信を持てない女性にもあります。でも“隠れビッチ”になって男性にチヤホヤされても、幸せになれるとは限りません。むしろ敵を作るだけの不幸のるつぼにハマってしまう危険性も。“隠れビッチ”にならないために、まずはあなた自身を認め、肯定してあげてくださいね。
2019年12月07日「新しい映画の才能の発見と育成」を目的に、1977年から続く自主映画の祭典「ぴあフィルムフェスティバル(PFF)」が12月4日、新たな映画賞「大島渚賞」の設立を発表し、都内で会見を実施。大島監督の妻で女優の小山明子が出席し「ふさわしい人にとって(賞が)活きれば、大島もさぞかし喜んでくれるだろう」と期待を寄せていた。生前の大島監督は1979年からPFFの審査員を務めており、小山は「大島は若い才能が大好きでした。審査する日はたいてい遅く帰ってきて(笑)。若い人たちから刺激をもらっていた」と回想。大島作品について「同じものは作らない信念があり、すごくチャレンジャー。常にワクワクしたいという好奇心、冒険心をもっていた」としみじみ語り、同様に自由に発想する若い映画人を後押しする賞の設立に、感無量の面持ちだった。会見には矢内廣(一般社団法人PFF 理事長、ぴあ株式会社 代表取締役社長)、荒木啓子(PFFディレクター)が同席した。賞設立の経緯について矢内氏は「小山さんからPFFで大島渚賞を作ってほしいと申し出をいただいた。あまりのビッグネームなので、当初はPFFがふさわしいのかと思ったが、『大島の遺志と受け止めてください』と言っていただいた」と説明。また、PFFの審査にあたる大島監督の姿を「新しい才能を発見できる期待をもって、ワクワクしながら審査してくださった」と振り返った。高い志で世界に挑戦した大島監督のように、新しい道を切り拓こうとしている若い映画監督を顕彰する同賞は、すでに商業デビューを果たした若手監督を対象とする、まったく新しい映画賞。日本在住の映画監督(劇場公開作3本程度)、原則として前年に発表された作品がある監督を選考対象とし、毎年5監督を選出。その中から審査員が受賞者1名を決定する。審査員長を世界的アーティストで大島監督の『戦場のメリークリスマス』(1983年)でヨノイ大尉を演じ、初めての映画音楽も手がけた坂本龍一氏が務めるほか、黒沢清監督と荒木氏が審査にあたる。第1回の受賞者は2020年2月発表を予定しており、荒木氏は「映画が難しい状況のなかで、自主映画からその先を目指し、格闘している監督を対象にしている。勇気をもらえるような賞にしたいし、(賞として)育てていきたい」と抱負を語った。取材・文・写真=内田 涼
2019年12月04日2020年6月で開館100周年を迎える新宿武蔵野館に注目。武蔵野館100周年記念企画として、12月は新宿のブランド野菜「内藤とうがらし」とのコラボ企画「スパイスはいかが~新宿名物!内藤とうがらしとバスクを巡る旅」を開催中です。新宿の街と共に歩んで100年。武蔵野館の歴史に思いを馳せて。大小さまざまな映画館が集まる新宿の中でもファンが多い新宿武蔵野館が、2020年6月で開館100周年を迎える。これに際し、毎月テーマを設けた記念上映が開催中だ。大正9年に新宿の発展を祈念し、商店街の有志によって立ち上げられた同館。関東大震災や第二次大戦を乗り越え、現在では、同じく新宿にある姉妹館シネマカリテと共に、新宿の映画文化を支えている。100周年期間中は、月替わりで人気作や名作を上映する。12月は、新宿のブランド野菜「内藤とうがらし」とのコラボ企画。江戸時代の新宿で名物だったとうがらし栽培を復活させ、再び広めようと活動しているプロジェクトメンバーが、バスク地方のエスプレット村へ視察に行くのを記念した特別企画で、バスクにちなんだ6作品が上映される。ラインナップは、バスク語作品では初めて、アカデミー賞外国語映画賞スペイン代表に選ばれたヒューマンドラマ『フラワーズ』(‘14)や、内戦直後のスペインを舞台に、少女の妄想と現実が交錯する様を描くファンタジー『ミツバチのささやき』(‘73)、バスク出身のアレックス・デ・ラ・イグレシア監督のホラー作品など、ジャンルも時代もさまざま。1月以降も「笑う門には福来る!」「君のヒーロー、君のヒロイン」「心にしみる珠玉の名作」など個性的なテーマが控える。新宿の街で、いまだ観ぬ映画に出合えるチャンスだ。新宿武蔵野館武蔵野館100周年記念企画12月「スパイスはいかが~新宿名物!内藤とうがらしとバスクを巡る旅」東京都新宿区新宿3-27-10武蔵野ビル3F/新宿シネマカリテ東京都新宿区新宿3-37-12 新宿NOWAビルB1開催中~2020年6月月替わりのテーマや上映プログラム、そのほかTシャツやパスポートといった記念グッズなどの詳細は、新宿武蔵野館100周年記念特設サイトをチェック。『スガラムルディの魔女』宝飾店に押し入った強盗団は逃走中に道に迷い、魔女狩り伝説が残るスガラムルディ村に辿り着く。村には人肉に飢えた魔女たちがいて…。監督/アレックス・デ・ラ・イグレシア©2013 ENRIQUE CEREZO P.C., S.A.- LA FERME PRODUCTIONS-ARTE FRANC ECINEMA※『anan』2019年12月4日号より。(by anan編集部)
2019年11月26日映画評論ユニット「お杉とB子」が今回おすすめするのは『ゾンビランド:ダブルタップ』です。終末社会は笑いでサバイブせよ!お杉:意外なヒットとなった前作から10年。ゾンビ人気も高まるなか、終末社会をサバイブした草食男子コロンバスと仲間たちが帰ってきた!人間関係がちょいとめんどうなことになってる。B子:コロンバスはウィチタとの結婚を考えているけれど、彼女はその気なし。妹のリトルロックは思春期を迎えて、父親気取りのタラハシーが鬱陶しくてたまらない。恋もしたくてたまらないお年頃なの。お杉:いろいろあって、行方不明になったリトルロックを捜すことになるんだけど、生き残りのカワイコちゃんマディソンが絡んで、人間関係がますますややこしくなるわけ。B子:その一方で、ゾンビは進化して手ごわくなってる。新種ゾンビの名前が超ブラックだけど、アクションシーンも迫力が倍増よ。リトルロックまで射撃がうまくなってる。お杉:もちろん、このシリーズの肝であるポップカルチャーネタも満載。エルヴィス・プレスリーから『ウォーキング・デッド』、さらにはライドシェアまでまな板の上に載せちゃってる。B子:タラハシーが高校時代にプレスリーの物真似で美少女を魅了した逸話が語られ、歌うの。それがめちゃ上手なの。芸達者だわ~。お杉:芸達者といえば、マディソン役のゾーイ・ドゥイッチもよ。ウィンクや口の開け方ひとつに、終末社会を生き延びてるとは思えないお気楽さを滲ませつつ、コロンバスとウィチタの関係を危うくする。実は名女優だったのね。B子:『バック・トゥ・ザ・フューチャー』のリー・トンプソンの娘だもん。おバカな役もリアルだったわ。完全に彼女に持っていかれたね。お杉:と思いきや、最後にすごいおまけがあるのよ。この仕掛け、マーベル映画に負けてないね!『ゾンビランド:ダブルタップ』監督/ルーベン・フライシャー出演/ウディ・ハレルソン、ジェシー・アイゼンバーグ、エマ・ストーンほか11月22日よりTOHOシネマズ 日比谷ほか全国公開。©Sony Pictures Digital Productions Inc. ALL rights reservedお杉とB子『盲目のメロディ~インド式殺人狂騒曲~』(11月15日公開)の予想外の展開に興奮しまくり。最近、ほんとインドが面白い。(お杉)今年はマイル修行を頑張りました。でも最後の最後で目標に届かなそうで悲しい。近場の海外に弾丸日帰り旅かしら?(B子)※『anan』2019年11月20日号より。(by anan編集部)
2019年11月16日“ポジティブな力を持つ作品を世界中から集めた映画祭”をコンセプトに、11月22日(金)から24日(日)まで広島市内3会場で開催される広島国際映画祭。被爆から復興を遂げた広島ならではの映画祭として作品上映やゲストのトークショーなどを実施。【チケット情報はこちら】11月22日(金)に先行上映される、映画『この世界の(さらにいくつもの)片隅に』の舞台挨拶に主人公・北條すずの声を演じた女優のんと、白木リン役を演じた岩井七世の登壇が決定。舞台となった広島で『この世界の(さらにいくつもの)片隅に』の新たな魅力を伝える。11月24日(日)にクロージング作品として上映される、映画『海辺の映画館-キネマの玉手箱』には大林宣彦監督が登場。現在闘病生活を続けながらも、映画製作活動を通して力強いメッセージを伝えている監督。監督がどうしても伝えたいこととは…。最高傑作とも言われる本作に込められたメッセージを監督から伝えてもらう。チケットぴあにてチケット発売中。■広島国際映画祭201911月22日(金)~24日(日)NTTクレドホール/広島市映像文化ライブラリー/横川シネマ開幕式&「この世界の(さらにいくつもの)片隅に」上映鑑賞券:指定席-2000円「海辺の映画館-キネマの玉手箱」上映鑑賞券:指定席-2000円「新聞記者」舞台挨拶付き上映鑑賞券:指定席-2000円 ※予定枚数終了上記3作品以外の上映鑑賞券:1日券-1500円※出演者のキャンセル・変更による払い戻し不可。※詳細はオフィシャルサイトにて。
2019年11月14日映画『マチネの終わりに』が、11月1日に公開されましたね。この作品で描かれるラブストーリーを、20代の人が理解するのは難しいかもしれません。社会人としての経験、そして恋愛特有の喜怒哀楽を味わった大人…そう、登場人物たちに近い30~40代の男女に「刺さる」物語なのです。■婚約した後で気づいた真実世界的なクラシックギタリスト・蒔野聡史(福山雅治さん)と、パリの通信社に勤務するジャーナリスト・小峰洋子(石田ゆり子さん)はクラシックの公演で出会い、お互いに強く惹かれ合います。たった一度しか会っていないにも関わらず、聡史は洋子への想いが抑えきれないほどにふくらみ、心が求めるままにデートを申し込むのです。洋子には婚約者がいました。そのことを知っていながらも、聡史は自分の気持ちを告白します。一方、取材のため治安が悪いイラクに滞在し、不安な日々を過ごす中、彼の音楽で自分を癒してきた洋子。彼女も、聡史に対してファン以上の気持ちを抱いていました。結果的に彼女はデートの後、彼の情熱に押されて婚約破棄を決意するのです。その後、2人は順調に愛を育みます。ただ、聡史のマネージャーの三谷早苗(桜井ユキさん)は、彼らの関係をよく思っていませんでした。理由は2つあります。1つは、聡史の創作活動において洋子の存在が悪影響だと感じたから。もう1つは、実は早苗も密かに聡史に想いを寄せているからです。ある日、早苗は偶然、聡史の携帯を手にします。そして聡史になりすまし、洋子に「別れのメール」を送るのですが…。■恋人以外の人を好きになるのは罪ではない婚約者がいる人が、異性と2人で食事するのは悪いことでしょうか?それが「ただの食事」であれば、何も問題はありません。世の中には「異性と2人きりで食事」というシチュエーションに過敏に反応する人がいます。でもそんなことを言い出したら、仕事も含め、あらゆる付き合いを制限しなければいけなくなります。恋愛は人生の「一部」でしかなく、それによって行動がいちじるしく制限されるのはナンセンスです。また、出会いは「ご縁」ですから、いつどこで自分にぴったりの相手と出会えるかなんてわかりません。そういう意味では、特定の誰かがいても、その後で知り合った違う異性に心惹かれることはあるでしょう。それで、より魅力的な存在に惹かれてしまうのは致し方ないこと。問題は、惹かれた結果どうするか?なのです。■真実の愛の見つけ方とは洋子について言えば、聡史と2人で食事したこと自体は問題ありません。ただ、食事する以前に彼女自身の気持ちが問題なのです。そもそも違う人に恋心を抱いている時点で、「婚約者としての資格」を自ら放棄していますよね。もちろん誰しも「気の迷い」があるから、気持ちが揺れたら一時的なものかどうか確かめたくなるでしょう。けれど、それなら、何よりまず今のパートナーととことん向き合うべきです。こういう「通すべき筋」を無視して、付き合っていながら平行して新しい居場所を求めるのは「不誠実」と言えます。このような「不誠実」を自分に許しているうちは、ただただ「傷つきたくない自分」「一人ぼっちになりたくない自分」を愛しているにすぎません。つまり「真実の愛」なのかどうかは、必要な「筋」をちゃんと通して、自分にも相手にも誠実さを貫けるかどうか次第なのです。■まとめ真実の恋の見つけ方、ご理解いただけましたか?よく「人間は未熟だからそこまでキッチリできない」と言う人を見かけます。ですが、そもそも「筋を通せない」と「完全な人間などいない」というのは別の話。こちらは単に、筋を通せない意気地なさを言い訳しているだけです。キッチリしたくないのは個人の自由ですが、それで得られるのは「真実の愛」ではなく「恋愛ごっこ」でしかないことを自覚するべきでしょう。
2019年11月09日10月18日から公開する映画『楽園』で、少女失踪事件の容疑者として追い詰められる青年を演じる綾野剛さん。今作への思いを聞きました。「感性を実力に変えてきた。改めて、“感性モンスター”で行く」「瀬々さんは、“繊細モンスター”だと思う。圧倒的にニュアンスやディテールのある映画を撮る。大好きな瀬々さんが作る世界を、豪士(たけし)を通して世の中に見てもらいたい」瀬々敬久監督と『64-ロクヨン-』以来、2度目のタッグを組んだ綾野剛さん。今作『楽園』は、そう話す綾野さん自身の繊細さにも息をのまされる。青田に囲まれたY字路で起きた少女失踪事件の容疑者として追い詰められていく、いつも怯えたような顔をした青年・中村豪士として、リアルに存在しているのだ。「デビューから『クローズZERO II』(‘09年)までは感覚でやっていたんです。でも、その感覚を実力に変えていかなければ、もたないと感じて、『ハゲタカ』(‘18年)までの5年はニュアンスよりも、ストレートに伝わるものを重視してキャラクターを構築してきた。その作業を経て、今、改めて“感覚モンスター”で行こうと思ってる。この作品も感覚だけでやっているので、正直、役作りはしていない。Y字路に初めて立った時に、台本には書かれていないすべてのディテールとニュアンスを、その場所から吸い上げることを徹底しました。役に自分を乗せるより、自分という箱に役を入れることが、具体になる」これは、撮影期間中、役を引きずり続けることとは違うそう。「僕にとって、“よーい、スタート”から“カット!”までの時間以外はオフなので。役に寄り添ってはいても、ずっと役が入ってるとかはありえない。宿泊先のホテルに温泉があって、毎日マネージャーと温泉入ったり、うまいイタリアンや鰻屋に行ってました(笑)」はたして豪士は罪を犯したのか。サスペンス的な興味を掻き立てていた物語は、失踪した少女と事件直前まで一緒にいた紡(つむぎ/杉咲花)との共感や、閉鎖的な村で孤立を深めていく善次郎(ぜんじろう/佐藤浩市)を通して、人間の孤独を見つめさせる。「『楽園』の登場人物すべてに言えることなんですけど、世の中にはもっと抱きしめられなきゃいけない人たちがたくさんいる。寄り添うってことも、抱きしめるってこと。なんでもないシーンだけど、杉咲さん(演じる紡)が豪士を見つめてくれたシーンは、すごく残ってる。それは、彼女が豪士に寄り添ってくれて抱きしめようとしてくれたからですよ。この作品にとっての“楽園”…希望は、杉咲花です」綾野さんにとっての楽園とは?「聞かれるだろうなとは思ってたんですけど(笑)…作っていくものですかね。現場が、僕にとっていちばんの楽園なので。自分が生きているうちに少しでも、ちゃんと自分の血が通ったものを作ることが大事。自分が目指す楽園を作っていける存在になっていれば、60歳になっても“この人、ぶっ飛んでるな”って感じでいられるのかな」『楽園』少女失踪事件が未解決のまま12年…。孤独な青年、心に深い傷を抱える少女、孤立を深める男の運命が繋がる。原作/吉田修一『犯罪小説集』監督・脚本/瀬々敬久出演/綾野剛、杉咲花、佐藤浩市、柄本明10月18日、全国ロードショー。2019「楽園」製作委員会あやの・ごう1982年1月26日生まれ、岐阜県出身。吉田修一作品の映画化への出演は『横道世之介』『怒り』に続き、本作が3作目。映画『閉鎖病棟 ―それぞれの朝―』が11月1日公開、『影裏』が2020年公開予定。トップス¥231,000(FENDI /フェンディ ジャパン TEL:03・3514・8272)※『anan』2019年10月23日号より。写真・田村昌裕(FREAKS)スタイリスト・荻野玲子取材、文・安井千恵(by anan編集部)池田エライザさんのヘルシービューティのヒミツ
2019年10月21日スラム街で生まれ育ち、未来に夢を見ることすら許されなかった青年がラップに出会い、人生を変えていく−−そんな希望に満ちた映画『ガリーボーイ』は、持って生まれたラップの才能ひとつで社会に立ち向かっていく青年ムラドの成長と生きざまを描いた映画。『ガリーボーイ』の日本公開に先立ち、日本を訪れたゾーヤー・アクタル監督と、脚本を手掛けたリーマー・カーグティーさんに話をうかがいました。写真・角戸菜摘 文・尹 秀姫『ガリーボーイ』主演のランヴィール・シンはこれまでにも数々の映画で主役を演じてきたスーパースターであり、また実在するラッパー・Naezyの実話をもとにしたストーリーということもあり、インドで大ヒットを記録しました。この映画の背景にあるのは、インドが抱える社会システム上の問題。階級による差別をはじめ、出自によってその後の人生が決められてしまうという社会そのものへの批判が込められていると、監督は語ります。左から、脚本のリーマー・カーグティーさん、監督のゾーヤー・アクタルさん。--映画『ガリーボーイ』は日本公開前からすでにかなり注目を集めています。これほどの人気は予想できましたか?ゾーヤー もちろん、予想していなかったことです。その話を聞いて、とてもうれしいです。--この映画は主人公ムラドが自身のラップの才能に目覚め、父の反対を押し切って、ラッパーとして飛び立つ成長物語だと感じました。監督がこの作品で特に描きたかったものは何ですか?ゾーヤー いわゆる“クラス・システム”、階級社会について描きたいという思いがありました。インドにはこの階級制度があるがゆえに、私が当然と思って享受しているものにアクセスできない人たちがたくさんいます。インドはある意味、国内で植民地化が行われている、それも特にメンタル面での植民地化がなされていると思うのです。そういう人たちには、夢を見る権利すらもない。日々を生きるだけで精一杯、そういう状況に追いやられている人たちがたくさんいます。同じ国の人間なのに、そういう扱いを受けている人たちがいる、そういう階級の人がいる、ということを描きたいと思いました。ゾーヤー・アクタル監督--ムラドの父が、息子の夢を応援するのではなく、「目を覚ませ」と諭すのもそういうことですよね。ゾーヤー まさにそうですよね。ムラドの父は弱い人間なんです。彼もかつて心を挫かれたことがあったのでしょうし、また人生に怖れを持っています。彼は機会を与えられることのなかった人間ですが、一生懸命働いて、息子を大学にまでやることができた。ムラドも一瞬、ホワイトカラーの仕事を得たじゃないですか。それを捨ててまで、不確かでリスクの高い世界に飛び込むというのは、父親にとっては理解ができないし、恐怖ですらあるわけですよね。そして父親があれほど家庭で暴君のように振る舞っていたのも、外では抑圧されているから。彼が威張れるのは、家の中だけなんです。--サフィナも裕福な家庭の娘ではありますが、女性ということで行動を制約されてしまいます。ゾーヤー サフィナはいい家柄の出身で、未来もある少女ですが、ある一定の時期が来ると、彼女を取り巻くルールががらりと変わってしまうんですよね。女性であるがゆえに、親の言うことに従わなくてはいけないし、してはいけない行動が増えてくる。どんどん縛り付けられていくんです。映画の中ではムラドもサフィナも、それぞれ取り巻く状況と戦っています。--監督の想いを描くのに、ヒップホップという題材はぴったりだと思いました。ゾーヤー 今回、2人のラッパーNaezy(ネイズィー)とDevine(ディヴァイン)に出会えたことには、とても大きなインスピレーションを受けました。2人とも貧困の中を生きてきた青年ですが、いわゆる“ガラスの天井”と言われるものを、この2人はヒップホップで割ることができたと思います。この映画を作るにあたって私たちはラッパーをリサーチしたんですが、とても楽しい作業でした。映画自体はこの2人の自伝ではないし、フィクションとして観ていただきたいんですけど、彼らの人生に非常に大きく影響を受けて作られた作品です。--『ガリーボーイ』でムラドがガリー(路地裏)から羽ばたいていったことが、この2人にとってはまさに現実に起きたことであり、その2人の生き方のエッセンスがこの映画に込められているということですよね。ゾーヤー そうですね。リーマー そしてこの2人の成功は、インターネットなくしては起こり得なかったことでもあります。この2人はインドを出たことが一度もなかったんですよ。そんな彼らが、なぜラップを知っているかというと、インターネットのおかげですよね。そして彼らの作品が広がっていったのもまたインターネットを介してでした。ラップとインターネットはとても民主主義的なツールだと思います。--それは映画の中でも反映されていましたよね。映画ではさまざまな場面が印象的に散りばめられていますが、お2人がもっとも大切にしている場面はありますか?ゾーヤー 私は、父親の代わりに運転手になったムラドが、涙を流す令嬢を車に乗せたまま、何も言えないでいるシーンですね。2人が話をしてはいけないという距離感があって、とても印象的なシーンです。そして映画の最後で、サフィナとムラドがバスルームで仲直りするシーンもお気に入りです。リーマー 私が書いた脚本よりも、映画になったらとてもよくなったシーンが多くて、ひとつに絞るのは難しいのですね(笑)。いくつか挙げるなら、ムラドがスカイの家に行って、豪華なバスルームに戸惑うシーン。見たこともないような大きなバスルームに、きれいなタオルがかかっていて、その1つひとつに戸惑う場面がムラドの素朴さを表しています。そして、サフィナという存在そのものがお気に入りでもあります。インド映画ではかなり珍しい女性の描かれ方をしていますよね。ムラドがラップ・バトルでオープニング・アクトの権利を勝ち取って、かつて自分が暮らしていた家に戻るシーンも好きです。--ムラドに一途なあまりエキセントリックな行動を取るサフィナ、そしてムラドにラップを教え、最後は彼を笑顔で送り出すMCシェールというキャラクターも魅力的でした。ゾーヤー シェールはムラドの才能をいち早く認めた人です。ラッパー同士が足の引っ張り合いをするのではなく、ヒップホップの世界にとっていいことは何かというのを、俯瞰で見ているキャラクターなんですね。個人同士を競うよりも、ヒップホップそのものを高みに持っていきたいと願っている人物です。そして、サフィナはまさにおっしゃるとおりエキセントリックな女の子ですが、それはフラストレーションを抱えているからでもあるのです。もともと責任感が強く、しっかりした子であるからこそ、自分の人生の選択肢が狭められた状況に怒りを覚えているのです。それに、私はサフィナを単なるムラドの彼女、という枠におさめたくなかったんです。この映画のメインストーリーはムラドの成長物語ではありますが、その主人公におまけでくっついているような女の子として描きたくなかった。彼女は裕福な家庭で育ってはいるものの、いろいろな足枷があって、彼女もまたそれと戦っている。単なる添え物としてのキャラクターではなく、しっかりとした人物として描きたかったんです。--映画のもとになった、ラッパーのNaezyとDevineとはどのように出会ったんですか?ゾーヤー Naezyが21歳の時にiPadで撮ったという映像をたまたま見つけて、しばらくその曲と映像が頭から離れないくらい、虜になりました。そこから何としても彼に会いたいと思って、手を尽くしてコンタクトを取りました。映画のストーリーのヒントになるんじゃないかと思って、まずは軽く挨拶というつもりが、気づけば3時間くらい話し込んでいましたね(笑)。リーマー 初めて彼に会う時、私たちが会いたがってるというのは伏せてもらったんですよ。なので、実際に会った時はとても驚いて、恥ずかしがっていました。幸い、話をするうちに打ち解けてくれて、彼のライブに呼んでもらったんです。そこでオープニングアクトを務めていたのがDivineでした。その彼ともバックステージで話を聞くことができました。映画を作りたいと言った時は、2人とも、ヒップホップがより多くのオーディエンスに届くことになるのを喜んでいましたね。--主演のランヴィール・シンは今作で今までにないキャラクターを演じていますが、撮影時はどうでしたか?ゾーヤー 彼とは2回目の撮影だったので、安心感がありましたね。実は彼はカミングアウトしていなかったけど、ラップが好きだったんですよ。趣味でラップをやっていたのを、私は知っていたんです。彼とは何年も前からの知り合いで、人柄もよくわかっていますし、ボンベイ出身なのでスラングにも精通しています。今回のムラドという役はほとんど彼にあて書きしたものなんですよ。--『ガリーボーイ』に描かれているように、インドには今もまだ生まれによる差別が現実としてありますが、映画によって世界は変わりうると、監督は信じていますか?ゾーヤー はい、そう信じています。もちろん、一夜にして世界を変えるというのは不可能かもしれませんが、映画を発表するということは、自身の考えを世に出すということ。映画によって人の意識に働きかける、または人の行動に働きかけるということはできると、私は思います。ムラドが運転手として働いていた時、雇い主の娘が車の後ろで泣いているシーンがありましたよね。あの2人は同じ車の中にいても隔たりのある存在でした。あれはインドの社会そのものです。しかしその後、サフィナがムラドに向かって「あなたは好きな道に進んでいい、私があなたを支えるから」と言う場面がありますが、女性が男性を支えたっていいということを、私はあの場面で描きたかったのです。そういうことを、説教じみたお話として説くのではなく、映画として描くことで、何らかの変化が少しずつでもあればいいな、と私は思います。
2019年10月17日1.スウィート17モンスター出典:母親への複雑な想いに先生への反抗、本気の兄妹喧嘩、親友とのケンカ、イケメンへの恋……青春時代のイタいあれこれが嫌というほど詰まっていて、思わず目を背けたくなりますが、そこはぐっとこらえて!全米No.1の映画批評サイト「ロッテントマト」での評価も高く、満を持しての日本公開となった本作は、オトナ女子が記憶の片隅に追いやった「あの頃の自分」にもう一度出会える、愛しい青春映画です。出典:2.女神の見えざる手出典:ラスベガスで起きた銃乱射事件から数週間。奇しくも今月、全米の銃規制法案を巡る攻防を描いた『女神の見えざる手』が公開されます。『ゼロ・ダーク・サーティ』でアカデミー主演女優賞にノミネートされた実力派女優ジェシカ・チャステインが、銃規制法案に賛成の立場をとる陣営を支援するロビイストを熱演。思わぬ展開にぐっと引き込まれます。出典:3.ザ・サークル出典:での「いいね!」や、インスタ映えを意識した写真撮影などの日常に、“SNS疲れ”を感じている人も少なくないのではないでしょうか?今週末公開となる映画『ザ・サークル』が描くのは、まさにすべてがオープンになった「完全な」社会。人類の明日を予見するSNSサスペンスに、エマ・ワトソンとトム・ハンクスが挑みます。出典:4.エイミー、エイミー、エイミー出典:『エイミー、エイミー、エイミー!こじらせシングルライフの抜け出し方』は、幼い頃から「一夫一妻制は悪だ!」と教育された恋愛恐怖症の主人公が、本気の恋に目覚める爆笑ラブコメディ。『ブリジット・ジョーンズの日記』から16年。DRESS世代が絶対に観逃せない、笑って元気をもらえる1本です!出典:5.彼女がその名を知らない鳥たち出典:『凶悪』『日本で一番悪い奴ら』など、実際に起きた事件をモチーフとした原作の映画化に定評のある白石和彌監督が、初の大人向けラブストーリーに挑んだ本作。蒼井優、阿部サダヲ、松坂桃李、竹野内豊が演じる登場人物が全員「嫌なやつ」という設定でありながら、ラストに提示されるそのあまりにも美しい究極の愛の形に、号泣必至の一本です。出典:6.20センチュリー・ウーマン出典:ゲイをカミングアウトした自身の父親を題材に描いた前作『人生はビギナーズ』で大絶賛されたマイク・ミルズ監督が、自身の母親をテーマに6年ぶりに発表した新作『20センチュリー・ウーマン』。本年度アカデミー賞で脚本賞に見事ノミネートされた本作は、ミルズ自身の母親だけでなく、20世紀を生きたすべての女性たちへ贈るラブレターだ。出典:7.勝手にふるえてろ出典:中学の同級生「イチ」に約10年間片思い中の24歳のOLヨシカ。そんなヨシカの前に、暑苦しい会社の同期「ニ」が現れ、告白されて……。芥川賞作家・綿谷りさの同名小説を元に、“脳内片思い”と“リアル恋愛”の間で揺れる恋に臆病なヒロインを実力派若手女優・松岡茉優が熱演!ラブコメ史上最もキラキラしていない主人公の登場です。出典:8.15時17分、パリ行き出典:現在87歳のクリント・イーストウッド監督が、実際に起きた列車テロ事件を描いた最新作『15時17分、パリ行き』。この作品でイーストウッドは、犯人に立ち向かった若者3人にそれぞれ自分自身の役を演じさせるという、前代未聞の試みに挑戦しました。実際の事件の起こった場所で撮影に挑み、究極のリアリティーを徹底追及します。出典:9.オーシャンズ8出典:ジョージ・クルーニーが凄腕の詐欺師ダニー・オーシャンを演じ、強盗集団オーシャンズ”を率いて盗みを行う『オーシャンズ11』から約17年。サンドラ・ブロック演じるダニーの妹、デビー・オーシャンを主人公に、チーム全員が女性の“オーシャンズ”が帰ってきました!豪華キャストで贈る、最高に楽しい犯罪エンタテイメントの登場です。出典:.アリー/スター誕生出典:この冬、最高にエモーショナルでロマンチックなラブストーリーが登場しました。同名映画の4度目のリメイクとなる『アリー/スター誕生』は、主演のブラッドリー・クーパーとレディー・ガガ、ふたりの演技と歌声が素晴らしく、観る者の心を震わせます。ラストステージの圧巻のパフォーマンスは、ファンならずとも必見です!出典:.ムーンライト出典:マイアミの貧困地区を舞台に、自分の居場所とアイデンティティを模索する黒人少年の姿を描いた話題の映画『ムーンライト』。詩的な台詞と色彩豊かな圧倒的な映像美、エモーショナルな音楽で彩られ、LGBTQをテーマにしたラブストーリーが作品賞を受賞したのはアカデミー賞史上初!また、黒人だけのキャスト・監督・脚本家による作品が作品賞に輝いたのも史上初という、アカデミー賞の歴史を変えた作品となり、世界中に問題提起を投げかけ魅了してやみません。出典:.パーティで女の子に話しかけるには出典:『ヘドウィグ・アンド・アングリーインチ』のジョン・キャメロン・ミッチェル最新作は、イギリスの人気作家ニール・ゲイマンの短編を映画化した『パーティで女の子に話かけるには』。パンクミュージックとファッションに彩られ、エル・ファニングが惑星から来た美少女・ザンを演じる、新たな「ボーイ・ミーツ・ガール」ムービーの名作です。出典:.デトロイト出典:イラクを舞台に米軍爆発物処理班の兵士たちを描いた『ハート・ロッカー』、オサマ・ビンラディンの捜索に執念を燃やすCIA女性分析官を描いた『ゼロ・ダーク・サーティ』など、センセーショナルな題材選びに定評のあるキャスリン・ビグロー監督。新作『デトロイト』は、米国デトロイト暴動で起きた戦慄の一夜を映画化した、必見の衝撃作です。出典:
2019年10月12日レオナルド・ディカプリオとブラッド・ピットのW主演(しかも初共演!)が話題の映画『ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド』。全米では7月末に公開され、全9作のタランティーノ監督作品のなかでも、最高のオープニング興行成績を収めた話題作だ。日本での公開直前にクエンティン・タランティーノ監督とレオナルド・ディカプリオ、プロデューサーのシャノン・マッキントッシュが来日し、記者会見とジャパンプレミアレッドカーペットイベントが行われた。ディカプリオとタランティーノの2人が、日本で揃うのは初めてということで、会見には、日本全国から取材陣が駆けつけ、人が溢れかえっていた。写真(イベント)・文 黒瀬朋子会見スタート! 登場からハイテンション。タランティーノ監督は「Hello! Everybody!」と手を挙げ、にこやかに登場。間もなく父になるタランティーノに、司会がお祝いの言葉をまず投げかけると、「もうすぐ家は、小さなタラちゃんでいっぱいになるでしょう。サンキュー!」と言い、会場は一気に和みモードに。ディカプリオは今回が11回目の来日。「初来日の『ギルバート・グレイプ』から日本のみなさんには毎回、温かく歓迎していただいて、心から感謝します」と、とても落ち着いた口調であいさつをした。(オレンジとブラックの、左右色違いの靴紐を結んだスニーカーを履いた監督よりも大人に見えるくらい!?)プロデューサーのマッキントッシュは初来日の喜びを語り、「2日間東京を見てあるき、美しい街だと思いました」とコメントした。リックという役のリサーチは未知の世界の旅だった『ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド』は、1969年のハリウッドを舞台に、実際に起きたシャロン・ステート殺人事件にからめながら、架空のキャラクター、少々落ち目のテレビ俳優リック・ダルトン(レオナルド・ディカプリオ)と、彼の親友でスタントマンのクリフ・ブース(ブラッド・ピット)を登場させ、2人の友情や業界の浮き沈みを描いた物語。出演を決めた理由を、ディカプリオは、「キャラクターに惹かれたから」と答えた。「50年代にテレビスターとして西部劇に出ていたけれど、時代は変わり、悪役ばかりをやらなければいけないという、彼にとっては考えられない状況に陥っている。リックとクリフはコインの表裏一体のような関係。監督から、2人が過去にどんな作品に出演し、どんなふうにパートナーシップを築いていったのか、背景となる物語をすべて聞かされていたので、すごくやりやすかったです」リックという人物は、当時、大勢いた、さまざまな俳優をミックスしてつくりあげたというタランティーノ。「テレビの出現によって、多くのスターが登場しました。でも、50-60年代の過渡期にはその後どうなるかが見えていなかった。スティーブ・マックイーン、クリント・イーストウッド、ジェイムズ・ガーナーのように、映画へ活躍の場を広げられた俳優はいましたが、うまく移行できなかった俳優もたくさんいます。出演した映画の質が悪かったり、ヒットしなかったり、他の理由でも」普段から、役のために徹底的にリサーチをするというディカプリオ。データベースのように知識豊富な監督から、過去のたくさんの俳優たちのことを学んだ。「僕たちが愛したいろんな作品に貢献した俳優たち。その多くは忘れ去られていると思うんです。この作品のリサーチの旅に出たときは、未知の世界に入り込んだようで、知らないことばかり。でも、すばらしい経験になりました。この映画は、ある意味、ハリウッドという街と映画業界の祝祭のようなものだと思います」Quentin Tarantino, Leonardo DiCaprio and Brad Pitt on the set of ONCE UPON A TIME IN HOLLYWOOD.誰もが駆けつけたくなるタランティーノの現場タランティーノ監督の撮影現場について、『デス・プルーフ in グラインドハウス』以降、何作もタランティーノ映画に携わったプロデューサーのシャノン・マッキントッシュはこう絶賛する。「タランティーノ作品はマジカル。現場も本当にすばらしいんです。初監督作の『レザボア・ドッグス』のころからのスタッフも大勢おり、ファミリーが再集結するような感じ。みな一緒になって作ろうとしますし、非常に多くのインスピレーションを受けます。撮影の合間、準備の時間には監督による〝歴史の授業〟が始まり(これを受けて、タランティーノ爆笑)、いろいろな映画やテレビ作品を勧められます。たくさんのことが学べて本当に楽しいんです」ほかの仕事を断ってでもタランティーノ作品に参加したいと思うスタッフは多く、新しい脚本を書き出したという噂を聞きつけると、いつごろ撮影になりそうか、スケジュールの問い合わせが、マッキントッシュPのもとに来るそうだ。会見の間にも、タランティーノ監督の映画マニアっぷりは披露された。最近、初めて知った日本の監督について、ひと言触れたいと前置きし、「1957年ごろ『I’m still waiting』でデビューして、1969年に日本映画の興行収入が一番だった『Safari 5000』を撮ったケラハーラ監督、ご存知の方いますか?」と記者席に質問。会場中に「?」が広がるなか、ひとりのカメラマンが「『南極物語』の蔵原惟繕監督では?」と答え、全員が胸をなでおろす一場面も。タランティーノは、「『Safari 5000(邦題:栄光への5000キロ)』の英語字幕付きDVDを持っていらっしゃる方がいたら、絶賛募集中です!」とリクエストし、横でディカプリオが「ぜひ、お願いします」というようなゼスチャーをしていた。業界で仕事ができているのは奇跡この日の会見とイベントを通して、強く印象に残ったのは、タランティーノとディカプリオの謙虚さだ。たとえば、ディカプリオとブラッド・ピットを起用した理由は? という質問にタランティーノは、「ひと言で言えば、リックとクリフのキャラクターにぴったりだったから」と答えた後、こう言葉を添えている。「その質問はよくされるのだけれど、僕が選んだのではなく、2人が僕を選んでくれたんだと思っています。オファーが殺到するなか、山積みになった脚本の上のほうに、きっと僕の脚本があったのでしょうね(笑)。個人的にもレオとブラッドをキャスティングできたことは、世紀のクーデターじゃないかと思います(笑)」また、「身の回りで起きた奇跡は?」という質問に対して、「1986年に自分がビデオショップで働いていたことを思うと、この業界にいられて、9本も映画が撮れて、こうして日本に来ても僕が誰かということをみなさんが知っていてくださるというのは、まさにミラクル。仕事だからとか、お金のためというのではなく、ひとりのアーティストとして映画を作り、物語を紡いでいけるのは幸運。このことは絶対に忘れないでいたいと思います」とコメント。レッド・カーペットイベントでも、「レオとブラッドの共演シーンの画角を決めるのに、ファインダー越しに初めて見たときは、街中のロケなのに、映画館で大スターを見ている気持ちになった」と素直な感想ももらしていた。ディカプリオもまた、自身の成功どころか、俳優を続けていられる幸運を実感している。「世界中からたくさんの人が夢を抱いてハリウッドにやってきます。僕はたまたまラッキーなことにLAで育ち、学校帰りにオーディションにいく生活ができたから、こうしていますが、多くの人が夢を叶えられないのが現状。自分に仕事があり、(出演作の)選択肢もあるということ自体が俳優としては奇跡だと思う。99%の人はこういう奇跡に出合えず仕事を得られません。自分の現状には日々感謝しています」ハリウッドへの特別な思いディカプリオもタランティーノも、LA育ちだからこそ、ハリウッドへのリスペクトと愛は深い。「ハリウッドには〝映画業界〟と〝ハリウッドという街〟の2つの意味があり、映画ではその両方が描かれています。ハリウッドはいまなお住んでいる街であり、大きな成功/中ぐらいの成功/中ぐらいの失敗/大きな失敗のすべてが隣り合わせにある場所。そんななかで、さまざまな人のポジションが変化していく。ここに長年いると、同じ高校に通い続けているような感覚があって(笑)、10年くらい会わなかった人でも、再会できるととても嬉しい。4年間のはずの高校生活が、20~30年ずっと続いているように感じるけど、レオはどう思う?」とタランティーノが投げかけると、ディカプリオも頷きながら、「僕にとって生まれ育った場所だから、もしかしたら偏見があるかもしれませんが、たしかに、ひどい人もいるにはいます。でも、僕自身は家族がいて、いい友達もいて、この街はもはや自分の一部になっている。ここは夢の工場。世界中から集まったすばらしい人々に出会えます。政治的な意見が合う人もね(笑)。僕は常にLAに帰るとハッピーな気持ちになるんです」そんなハリウッドを、CGを一切使わず、実際に人や車が行き交う現在のLAの街中で、衣装や美術、映画のあらゆるマジックを使って撮影した『ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド』。50年前の街を再現できたことに、監督自身とても満足しているそうだ。夕方に行われたジャパンプレミア レッド・カーペットイベントは、550人のファンが集い、生のレオ&タラ2ショットに大歓声をあげていた。タランティーノは、ロックスターのように大きな手振りを交え、「日本に帰ってこられて、タラちゃんはとっても幸せです! キャリアの当初から日本はすごく歓迎をしてくれて、本当に感謝しています! 妻が妊娠し、ちっちゃなタラちゃんがこれから生まれようとしています」とあいさつ。会場中から「おめでとうー!!」の言葉を受け取った。会見では、静かな印象だったディカプリオも、ファンの前では満面の笑みで手を振り、「アリガト! 20年以上日本に来続けています。そのなかでも今日のみなさんは最高のファンだと思います。この映画で一番よかったことは、クエンティン・タランティーノと一緒に仕事ができて、リックという役の人物を話し合いながら作り上げられたことです。(完成した作品について)ここから先は、僕は何もすることができません。セ・ラ・ヴィ! みなさんに託します。みなさんがぜひこの映画を気にいってくれることを祈ります」と言葉を締めくくった。ストーリー物語の舞台は、1969年のハリウッド。かつてはテレビ俳優として大活躍していたリック・ダルトン(レオナルド・ディカプリオ)だが、時代の変化に乗り切れず、迷走気味。リックのスタントマンとして、長年タッグを組んでいる親友のクリフ・ブース(ブラッド・ピット)に支えられながらなんとかやっていた。そんなあるとき、リックの隣の家に、ロマン・ポランスキー監督と妻で女優のシャロン・テート(マーゴット・ロビー)が越してくる……。現実に起きた、シャロン・テート殺人事件をもとに、リック&クリフという架空の人物を登場させ、当時のハリウッドの街やヒッピー文化や音楽、ファッションなどを余すところなく描いた痛快作。Information2488029 – ONCE UPON A TIME IN HOLLYWOOD『ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド』は8月30日(金)より全国ロードショー配給:ソニー・ピクチャーズ エンタテインメント
2019年08月30日昨夏に公開され、邦画として約15年ぶりに興行収入93億を突破する大ヒットとなった『劇場版コード・ブルー -ドクターヘリ緊急救命-』が、いよいよAmazon Prime Videoで配信スタート。シリーズ開始から10年の集大成といえる本作は、たくさんの“家族愛”が詰まった物語。そして、主演・山下智久らおなじみのメンバーが紡ぐ温かなストーリーの中には、ママの心を癒やしてくれる“胸キュン”ポイントも、盛りだくさん!これまでの『コード・ブルー』を振り返りつつ、劇場版の見どころを紹介します。■3rdシーズンから3ヶ月、翔北救命チームが再集結! 2008年7月に1stシーズンが放送された『コード・ブルー』シリーズ。翔陽大学附属北部病院救命救急センターにフェローとしてやってきた藍沢耕作(山下智久)、白石恵(新垣結衣)、緋山美帆子(戸田恵梨香)、藤川一男(浅利陽介)に、フライトナース・冴島はるか(比嘉愛未)を加えた5人が悩み、挫折しながらも、フライトドクター(ナース)として、さらには人として、互いに高め合う姿が人気を博してきました。劇場版の舞台は、2017年7月期に放送されていた3rdシーズンから3ヶ月後。臨床医師としてトロント医科大学へ渡った藍沢が、一時帰国している間のエピソードが描かれてます。物語の中心となるのは、成田空港への航空機緊急着陸事故と、東京湾・海ほたるへの巨大フェリー衝突事故という未曽有の事態に臨む救命チームの奮闘。一方で、母のアルコール依存症と向き合う娘、息子の脳死判定に直面した父母など、様々な家族の葛藤を丁寧に映し出します。■やっぱり山Pカッコイイ…ママの胸キュンポイント3連発!『コード・ブルー』の醍醐味は、言わずもがな骨太のストーリー。とはいえ、山下智久をはじめとする美しい役者陣のあれこれに“キュンキュン”してしまうのが乙女心。子どもを寝かしつけた夜、ママが至極のときめきを味わえるシーンはココ!◆山下智久の登場シーンがいきなりカッコいいこれまでにも幾度となく仲間のピンチを救ってきた藍沢らしく、登場シーンに漂う圧倒的なヒーロー感。足元から上へと移動する粋なカメラワークにゾクゾク&ワクワク、そして、あの美顔が映し出された瞬間には「待ってました!」とばかりにキュンキュン度数もMAXに。壮大な物語の幕開けに相応しいオーラと共に舞い降りた藍沢は、その後も胸キュンシーンを連発。救命医としての自信に満ちた頼もしい言葉や、後輩を思いやる藍沢の不器用な優しさが滲む言動など、ファンのみならずとも心を鷲掴みされてしまう場面が満載です!◆有岡大貴の嫉妬心と成長がかわいい3rdシーズンから登場したフェローの名取颯馬(有岡大貴)。ドラマでは、緋山が患者の緒方(丸山智己)と親しくしている写真を見ながら「ムカつく」と言ってみたり、「緋山先生がいないならここに未練はないです」と告白ともとれる発言をしたり。決定的な場面は描かれていないとはいえ、緋山に恋心を抱いていたことは明らかで…。その3ヶ月後となる劇場版にあるのは、緋山と緒方の交際について認めてはいるものの、なぜか緋山にだけ素直になれない名取の姿。そこに垣間見える、嫉妬心がかわいすぎて、もう!!医師としての成長を認めてほしい気持ちがだだ漏れな様子も愛おしく、強がりな年下男子にトキメキ必至です。◆新田真剣佑の一途な恋愛にグッとくる末期の胃がんを患う富澤未知(山谷花純)の婚約者である岩田彰生(新田真剣佑)。彼女の深刻な病状を受けて一度は逃げ出してしまった彰生ですが、未知のもとへと戻ってきた彼は、それまで以上の大きな愛で未知を包んでいきます。深まる愛に反して、悪化の一途を辿る未知の容態。そんな中、ある重要な場面で未知が口にする「好きって言ってくれるあなたがいて、私は幸せ」という言葉に返す、彰生のセリフには涙が止まりません。儚くも美しい彰生の愛に、忙しさに追われて胸の奥にしまいがちな“恋心”が、キュンとうずくはずですよ!■家族、仲間…苦難を乗り越え強まる絆胸キュン場面に心ときめく一方で、救命チームによる未曾有の事故の救出劇は、ドラマ以上の大迫力。また、繊細に描かれていく患者や家族たちによる心の移り変わりに、“生と死”、そして“家族の存在”について深く考えさせられます。もちろん劇場版には、10年という時を重ねてきた“救命チームの絆”もたっぷり。白石&緋山コンビの絶妙なやりとりや、藤川&冴島のほほえましい夫婦関係、そして、絶対エースである藍沢に対する仲間の思いが溢れる場面など、これまでの歴史があるからこそグッとくる展開も。おなじみのキャストたちが抜群の表現力で魅せる、唯一無二のチーム感はまさに『コード・ブルー』の真骨頂。エンドロールが流れる頃には、様々な感情が交錯して、胸がじんわりアツくなることでしょう!■いざ、『コード・ブルー』の世界へ!至福の“ママタイム”を満喫『コード・ブルー』シリーズは大好きでも、子どもが小さいために映画館には足を運べなかったというママも多いはず。Amazon Prime Videoは、子どもが眠った夜、自宅でゆっくりと映画を堪能できるママたちの救世主。疲れが溜まりやすいこの季節、藍沢先生の強さと優しさに触れながら、ハラハラ・胸キュンのひとときを過ごしてみてはいかがでしょうか? さっそく劇場版コード・ブルーを見る 【Amazon Prime Videoとは】Amazonプライム会員(月間プラン:税込み500円/年間プラン:税込み4900円)に登録すると「Amazon Prime Video」対象の映画やTV番組がいつでも、どこでも見放題! Amazon Prime Video公式サイトはこちら
2019年08月30日◼︎「身体の言い訳」に身を委ねる、男と女DRESS読者のみなさん、こんにちは!本日みなさまにご紹介したいのは、ズバリ「セックスシーンがすごい!」映画作品です。まず1本目は、『ヴァイブレータ』『共食い』などの脚本を手がけた荒井晴彦監督が、直木賞作家・白石一文の同盟原作を映画化し、2019年8月23日(金)より全国公開となる『火口のふたり』です。◼︎セックスシーンがすごい!1:『火口のふたり』数々の作品で男と女のエロティシズムを描いてきた、脚本家・荒井晴彦監督による『火口のふたり』。本作では、数年ぶりの再会をきっかけに、抑えきれない衝動にはまっていく男女のセックスを、大胆かつ濃厚に描きます。他愛のない会話や、過去の思い出話、食事、セックスを繰り返し「身体の言い分」に身を委ねていくふたりを通して描かれるのは、「世界が終わるとき、誰と何をして過ごすか?」という究極の問いかけです。意外な展開を迎えるラストシーンで観客に突きつけられる、ふたりが出したひとつの答えは、ぜひスクリーンでご確認ください!『火口のふたり』のストーリー故郷の秋田に帰省した賢治(柄本佑)は、10日後に結婚式を控えた昔の恋人・直子(瀧内公美)と久しぶりに再会する。買い物に付き合わされた後の直子の部屋で、賢治は荷物の中から直子が取り出した一冊のアルバムを渡される。「私、この写真が一番好きなんだ」そう言った直子から渡されたのは、富士山の火口を写した大きなポスターの前で、恋人同士だったころのふたりが裸で映ったモノクロームの写真だった。「今夜だけ、あの頃に戻ってみない?」直子に誘われ、再び激しく求めあったふたりは、直子の婚約者が5日間の出張から帰ってくるまでという約束で、刹那的な快楽に溺れていくが……。◼︎セックスシーンがすごい!2:『娼年』2本目にご紹介したいのは、『彼女がその名を知らない鳥たち』でも変態的なエロティシズムを見せてくれた松坂桃李の2018年度の主演作『娼年』です。2001年に直木賞候補となった石田衣良の原作小説を映画化した本作は、娼夫の主人公リョウとさまざまな女性たちのセックスを通して、「女性の欲望や心の傷を肯定してくれる」と話題を集めました。この作品で娼夫という仕事を通して描かれるさまざまなセックスシーンは、アブノーマルなものから、心に響くものまで、ほかでは観ることのできないようなディープなものばかりです!『娼年』のストーリー東京の名門大学生・リョウ(松坂桃李)は、日々の生活や女性との関係に退屈し、バーでのバイトに明け暮れる無気力な生活を送っていた。だがある日、御堂静香(真飛聖)という美しい女性がバーに現れ、リョウに"情熱の試験"を受けさせる。それは、静香が手がける会員制ボーイズクラブ「Le Club Passion」に入るための試験で……。「私がおしっこする瞬間を見てほしい」 映画『娼年』が描く性的嗜好の多様性◼︎セックスシーンがすごい!3:『愛の渦』3本目にご紹介したいのは、『娼年』の監督もつとめた、演劇ユニット「ポツドール」主宰・三浦大輔監督の『愛の渦』です。第50回岸田國士戯曲賞を受賞した、自身の作品を映画化した本作。裏風俗という設定や、監督が役者に求める演技力といった理由から、映画化にこぎ着けるまで、実に2年の歳月を費やしたといいます。本編123分の中で、服を着ているシーンがなんと18分30秒のみという衝撃の性描写は必見です!『愛の渦』のストーリー午前0時~5時。料金は男:2万円、女:1000円、カップル5000円。そんな都会の一室で営まれる乱交パーティに集まったのは、性欲を満たしたいだけの男女。しかし、愛のないセックスにも“感情”は生まれ、それぞれの思惑が渦巻いていく。滑稽なまでに剥き出しの性欲が向かう先は、愛か、果てないただの欲望か……。◼︎番外編:Netflixオリジナルシリーズ「全裸監督」最後にご紹介するのは、現在Netflixで全世界独占配信中の話題作『全裸監督』です。実在する放送禁止のパイオニア・村西とおるを山田孝之が演じ、日本のアダルト業界という独特のカルチャーを描いたことや、80年代を再現したセット、美しいカメラワークなどが、配信開始から業界内外で注目を浴びるなど、その勢いはとどまるところを知りません。山田孝之演じる村西と冒険の日々をともにする仲間には、満島真之介、玉山鉄二、柄本時生といった旬の若手が集結したほか、吉田鋼太郎、板尾創路、余貴美子、小雪、リリー・フランキー、國村隼、石橋凌などのベテラン俳優たちが迫真の演技を見せている点も見逃せません。そして伝説のAV女優・黒木香となる恵美役に抜擢された新星・森田望智が、教養あふれる女子大生から“性の開拓者”へと変貌を遂げていく熱演の様子には、思わず息を飲むことでしょう。アメリカで懲役370年を求刑されるなど数多の逸話を生み出した村西とおる。エピソード後半では、実際にその事件の舞台となったハワイでの現地ロケも敢行し、物語のスケールは日本のドラマ作品に収まらない規模へと広がっていきます。早くもシーズン2の製作も決定した本作、見逃す手はありません。『全裸監督』のストーリー時は1980年。英語教材のセールスマンとして働く村西(山田孝之)は、会社の先輩(板尾創路)からのアドバイスによって、強引なトークで売り上げトップにのし上がるが、ある日売上金の持ち逃げによって会社が倒産してしまう。さらに妻の浮気を目撃してしまった村西は、酒場で知り合ったチンピラのトシ(満島真之介)からビニール袋に入ったアダルト雑誌(通称:「ビニ本」)の存在を教えられ、出版社社長の川田(玉山鉄二)の協力を得てビニ本の流通販売会社を設立。強引かつ大胆な手腕で、たちまち業界の風雲児となるのだった。だが、好調なときは長くは続かなかった。商売敵の池沢(石橋凌)と刑事の武井(リリー・フランキー)の暗躍で村西は逮捕されてしまう。ようやく出所すると、世の中はアダルトビデオの時代になっていた。再び仲間とともに黎明期のAV業界に殴り込む村西だったが、池沢の嫌がらせですべての女優に出演を断られるという窮地に立たされてしまう。そんな村西たちのもとに、ある日厳格な母の元で本来の自分を押し込めていた女子大生の恵美(森田望智)が現れる。村西と恵美、ふたりの運命的な出会いは、社会の常識を根底からひっくり返していき……。『火口のふたり』『娼年』『愛の渦』そして『全裸監督』。どの作品にも共通して言えるのは、ただ単に濃厚なセックスシーンを描くだけでなく、男女の深淵や、人の魂の叫びを描き出そうとしているという点でしょう。過激な描写の裏にある主人公たちの秘めた思いに触れるとき、観るものは心を強く揺さぶられずにはいられません。激しい肉体のぶつかり合いの先にある”何か”を、あなたもぜひ目撃してみませんか?◼︎作品情報『火口のふたり』【R18+】2019年8月23日(金)より、新宿武蔵野館ほか全国公開監督・脚本:荒井晴彦『ヴァイヴレータ』(脚本)『共喰い』(脚本)出演: 柄本佑、瀧内公美配給:ファントム・フィルム上映時間:115分公式サイト:©2019「火口のふたり」製作委員会『娼年』【R18+】Blu-ray&DVD好評発売中監督:三浦大輔『ボーイズ・オン・ザ・ラン』『愛の渦』原作:石田衣良『娼年』(集英社文庫刊)出演: 松坂桃李、真飛聖配給:ファントムフィルム上映時間:118分公式サイト: (C)石田衣良/集英社 2017映画『娼年』製作委員会『愛の渦』【R18+】Blu-ray&DVD好評発売中原作・脚本・監督:三浦大輔『娼年』、『何者』出演:池松壮亮、門脇 麦、新井浩文、滝藤賢一、柄本時生、窪塚洋介、田中哲司配給:クロックワークス上映時間:123分公式サイト:「映画 愛の渦」製作委員会Netflixオリジナルシリーズ『全裸監督』配信:Netflixにて全世界独占配信中 ※全8話一挙配信総監督:武正晴監督:河合勇人、内田英治原作:本橋信宏「全裸監督 村西とおる伝」(太田出版)出演:山田孝之 満島真之介 森田望智 柄本時生 伊藤沙莉 冨手麻妙 後藤剛範・吉田鋼太郎 板尾創路 余 貴美子/小雪 國村隼/玉 山 鉄 二 リリー・フ ラ ン キ ー 石 橋 凌公式サイト:
2019年08月23日兄と妹のように育ち、ある時期には濃厚な身体の関係もあった賢治と直子。直子の結婚式が10日後に迫る時、久しぶりに故郷で再会した二人の間で、再び禁忌的な欲望が疼きだす――直木賞作家、白石一文の小説『火口のふたり』が映画化された。原作者の白石一文さんへのインタビューをお届けします。明日死ぬという時にセックスを望む。それが、人間が本来持つしぶとさ。『火口のふたり』を書いたのは東日本大震災の翌年、2012年です。年明けに富士山が噴火する夢を見たんですよ。その頃は実際に、今後最大余震がきて富士山に連動するんじゃないかと言われていました。それで、夢から目覚めた後なぜかふと、自分がそれを小説に書いたら、噴火が少し遅れるんじゃないかなと思ったんです。それで富士山の写真集をめくりながら、一気呵成に書いたんですね。その時に考えたのは、明日若くして死ぬかもしれないとしたら、何がしたいか、ということでした。やっぱり好きな人とのセックスに勝るものはないんじゃないか。むしろ、それくらいしかないんじゃないか。そう思いました。生命って、絶滅の危機に瀕した時にしぶとくなる。人為的ではない、不可抗力の自然災害があった時に、自分にはないと思っていたしたたかさが出てくる。それに、死ぬかもしれないという恐怖心と生殖行為って繋がっていると思うんです。知り合いの漢方の先生が、不妊に悩んでいる人に「子供が欲しかったら食事を減らせ」って言っていたんですよ。飢餓状態を作って生命の危機を身体に感じさせたほうが、子供ができやすくなるってことですよね。頭の中であれこれ考えることとは別に、身体にも身体の言い分がある。この小説の中に何度も「身体の言い分」という言葉が出てきます。<男の悦びには言い分と呼べるほどの「身体の言い分」などありはしない。我が身から真実の声を聞くというのは女性だけの特権なのだろう。>という文章も書きました。実際、男の人は自分の身体のことをあんまり意識していないんですよ。性衝動はあるけれど、それはスイッチが入るというだけの話。若い時は自分の意思に関係なく、そのスイッチが入りっぱなし。性欲に身体が翻弄されている感覚なんです。男の人にとって性器って、身体の一部というか、単なるアタッチメントなんですよ(笑)。女の人みたいに身体の中に根差した感覚はない。男は単純な機能しかなくて、それに女の人が合わせてくれている感覚がありますね。女の人のほうが、入った大きさに合わせてくれるというか、身体を合わせてきてくれる。ただ、僕に言わせると、だからといって女の人が男の身体を憶えていてくれるわけじゃないんですね。むしろ男のほうが女の身体を憶えている。作中、直子に「私は、賢ちゃんの身体をしょっちゅう思い出してたよ」と言わせましたが、あれはわざと男女逆を書いたんです。男の人が女の人の身体を忘れないのは、反応があるからでしょうね。男の性欲って支配欲も込みだから、彼女の反応も憶えている。僕の個人的経験で言うと、女の人ってセックスしているときれいになるんですよ。その最中も、その期間も、全部。「えっ」と思うような表情をして、輝くように見える時期がある。男はそういうのを見ているんです。身体の相性なんて、回数を重ねていくと良くなっていく。だから、若い時は「この人と添い遂げようと思う相手じゃないと駄目だ」などと思わずに、惹かれる相手と集中的にセックスしておくのもいいと思う。もちろん、相手は誰でもいいわけじゃない。濃密な精神的な交流がないと快楽も深まらない。お互いが一緒にいる一定の理由が必要になる。賢治と直子は一度別れた後で再会しているし、従兄妹同士という血の繋がりもある。しかも一緒にいられる時間には限りがある。期間限定セックスだから、彼らは集中する。それがしぶとさだと思う。たとえばセックスレスの夫婦だって、下地はあるのだから、どこかで切り替えればまたいいセックスができるようになるんじゃないでしょうか。セックスって、男女で作り上げていくものなんですよ。挿入するだけが性行為じゃないんです。射精をどうデコレートするかが問題。動物の行為なんて超つまらないでしょう?猫なんて、痛いらしい。人間みたいにセックスを楽しむ動物って他にいないのでは。なぜかというと、人間だけがセックスをデコレートするから。若年層の性欲低下なんて話もありますけれど、それはデコレートする方法が分からないから。他にも楽しいことがたくさんあって性欲の優先順位が低くなって、身を入れていないから。セックスって、実は読書と一緒なんですよ。一定程度の本を読まないと読書の楽しさが分からないように、セックスもある程度のレクチャーが必要なんです。試写で完成品を観ました。賢治と直子の年齢設定が原作よりも若くなっていたけれど、観客にとってはそのほうが見栄えもいいから良かったなって。かつて関係のあった好きな女の人がいて、その人と血の繋がりがあって、追い詰められて田舎に帰った時にその人がいてくれたら、男はやっぱり、たまらない。映画という形になって具体的に二人が絡んでいる姿を観て、改めて、自分はいい小説を書いたなと思いました(笑)。しらいし・かずふみ作家。1958年生まれ。出版社に勤務していた2000年、『一瞬の光』を刊行しデビュー。‘09年に『この胸に深々と刺さる矢を抜け』で山本周五郎賞、翌年『ほかならぬ人へ』で直木賞受賞。『火口のふたり』かつて愛し合った二人が再会。快楽を求める身体の言い分に従って、5日間だけという約束のもと身体を重ねていく。「世界が終わるとき、誰と何をして過ごすか?」。その問いに対する答えを突き付けてくるような作品。R18+。監督・脚本/荒井晴彦原作/白石一文出演/柄本佑、瀧内公美、柄本明(父の声)8月23日より新宿武蔵野館ほかにて上映。公開に合わせ、フォトストーリーブック『あの頃の「火口のふたり」』を刊行。同書には白石一文が書き下ろしたスピンオフ短編も収録。また、8月10日~9月8日、新宿・B GALLERYにて、野村佐紀子 写真展「火口のふたり」も開催。※『anan』2019年8月14-21日合併号より。写真・野村佐紀子取材、文・瀧井朝世(by anan編集部)
2019年08月15日長かった梅雨が明け、ようやく夏本番。せっかくなら、夏を思いっきり愉しみませんか?野外で映画を観たり、ヨガで汗を流したりすることができるイベントが、恵比寿ガーデンプレイスにて開催中です。 いよいよ関東地方でも梅雨明けが発表されました。例年より少し遅いけれど、これからが夏本番。せっかくだったら夏を感じられるスポットやイベントに顔を出したいところです。そんなあなたにぴったりのイベント「YEBISU GARDEN PICNIC」が、8月25日(日)までの期間、恵比寿ガーデンプレイスにて開催されています。 本イベントは、今回で5回目。毎年パワーアップしているコンテンツの数々があなたを待っています。特に注目なのは、夏の夜空の下で映画鑑賞を愉しむことができる、「PICNIC CINEMA」。“下を向いていたら、虹を見つけることはできない”をテーマに、7月26日(金)の『gifted/ギフテッド』から8月25日(日)の『グランド・ブダペスト・ホテル』まで、5週間に渡り計15作品を野外で上映します。 (c) 2007 Warner Bros. Entertainment, Inc. 本イベントのプロデュースを手がけるのは、全国を旅する移動映画館「キノ・イグルー」。上映作品は、『フォレストガンプ』、『最高の人生の見つけ方』、『西の魔女が死んだ』など。どれも、鑑賞後にちょっとだけ自分のこれまでを振り返ったり、忘れていた何か大切なことを思い出させてくれたりするような、そんな映画が多数上映されます。 (C) 2008「西の魔女が死んだ」製作委員会 今年の映画ラインナップはこちら またイベント期間中は、会場となるセンター広場に約300㎡の人工芝エリアを設けられていて、朝陽や夜風を感じながら体験できる「PICNIC YOGA」を開催。都会にいながら、心地よい開放感を感じられるコンテンツが満載です。 もちろん、飲食も。アメリカ生まれ、沖縄育ちのアイスクリームショップ“BLUE SEAL”が販売するイベント限定フードの他、今年3月にリニューアルしたばかりの恵比寿三越B2フードガーデンの、出来たてのお総菜やドリンクなど、施設内各店舗の“美味しいもの”を持ち込むことも可能です。それぞれに自由なピクニックをお楽しみいただけます。 夏は暑いからと、涼しい施設内で過ごすことも多くなる季節ですが、ときにはこうした野外イベントで、太陽の光を思いっきり浴びながら、食べて、ごろんと昼寝して、そしてまったり映画を観る……。そんな過ごし方をしてもいいのかもしれません。きっと、夏の素敵な思い出になりますよ。 YEBISU GARDEN PICNIC期間:2019年7月13日(土)~8月25日(日)時間:イベントにより異なります料金:入場無料場所:恵比寿ガーデンプレイスセンター広場主催:恵比寿ガーデンプレイス内容:野外シネマ、ヨガ、ワークショップ、他※詳細は恵比寿ガーデンプレイスホームページで、順次公開します※荒天の場合、中止することがありますURL:出典: goodroom journal 記事提供元:リノベーション・デザイナーズ賃貸 goodroom(グッドルーム)デザイナーズ、リノベーションなど、おしゃれな賃貸サイト・アプリ「goodroom」を運営しています。インテリアや、ひとり暮らし、ふたり暮らしのアイディアなど、賃貸でも自分らしい暮らしを楽しむためのヒントをお届けします。おしゃれ賃貸サイト・アプリ goodroom journal journal 暮らしの実例
2019年08月11日9月に開催される舞台「AD-LIVE ZERO」、10月に行われるAD-LIVE × マチ★アソビ Vol.23 特別公演「AD-LIVE ZERO ソト★アソビ」のライブ・ビューイングが国内、香港、台湾の映画館で上映されることが決定した。【チケット情報はこちら】声優・鈴村健一が総合プロデューサーを務める「AD-LIVE(アドリブ)」は、大まかな世界観と、舞台上で起こるいくつかの出来事(ex.電話が鳴る、誰かが来る)が決められているのみで、出演者のキャラクター(役)も、セリフも、全てアドリブで紡がれる舞台劇。企画立ち上げから10周年となる昨年は「究極のアドリブ」をテーマに、「AD-LIVE 2018」に加え、ゼビオアリーナ仙台にて特別公演「AD-LIVE 10th Anniversary stage ~とてもスケジュールがあいました~」を開催。全20公演で、ライブ・ビューイングを含め約11万人を動員した。そのほか、映画「ドキュメンターテイメントAD-LIVE」(監督・脚本:津田健次郎/主演:鈴村健一)が公開されるなど大きな話題を集めた。そして、AD-LIVE11年目の最新公演がいよいよ今秋開幕する。今年のテーマは「AD-LIVE ZERO」。この10年で築いた「AD-LIVE」のフォーマットを一度「ZERO」に戻し、世界観や最低限のギミックなど、何も決めずに本番に挑む。よりエンターテインメント性を強めるため、キャラクターの特徴や物語のオチ、演出ギミックなどすべてを「くじ」に委ね、いっそう予測不能な即興劇が展開される。演出チームには、AD-LIVEクリエイティブプロデューサーとして森久保祥太郎を迎え、鈴村健一とタッグを組み、「AD-LIVE」を知り尽くしたふたりが彩りを加える。チケットぴあでは、一般発売に先駆けて9月7日(土)・14日(土)公演ライブ・ビューイングのプレリザーブ(先行抽選)を実施中。受付は8月19日(月)昼12時まで。
2019年08月09日ふくだももこ監督『おいしい家族』に出演する松本穂香さんに、映画の見どころ、撮影秘話についてお聞きしました!「映画の主演は初めてで、私でいいの?という気持ちはありつつも、脚本を読んだらとても面白くて。この作品に出られるっていうのが、すごく嬉しかったんです」舞台はとある島。松本穂香さん演じる橙花が久々に帰省すると、「母になる」と宣言した父が待っていた。そんな意表を突く始まりながら、最後には心温まる物語。その指揮をとったのが、新進気鋭のふくだももこ監督だ。監督は、松本さんのことを“妹みたい”と話すほど、意気投合した模様。「新鮮でした。20代の監督はいても、お会いするのは男性が多くて。年齢が近い女性監督とはお会いするきっかけがなかったので。ふくだ監督はストレートに物事を伝えてくれるから、私も素直に応えられました。でも、お姉ちゃん感はないかな(笑)。いい意味で抜けていて、姉よりいとこですね」とはいえ、親交が深まったのは映画の完成後。撮影中は適度な距離感があり、それは演じた橙花という役に没頭していたから。「ツンツンした役柄もあり、私が現場に一番馴染んでなかった。正直、監督とコミュニケーションをとった記憶もなくて(笑)。毎回、役に必死になってしまうんです」撮影中は、ドラマの役作りも並行して行っていた。それほど役に没頭するなら、さぞ大変だと思いきや、当の本人は涼しい顔。「作品によって場所も人も違いますし、衣装やメイクも違うから、自然とそうせざるを得ないんです。自分で役を切り替えるというより、周りのみなさんに作ってもらっている感じが強いですね」監督のアドリブにも全力で対応。それは、「純粋に面白いものが好きだから」とも。「やらない手はありません。面白いと思うことには乗っかっていきたいんです。でも最近コント番組に出演させていただいて、人を笑わせることが一番難しいと気づいて。前は舐めてかかってたんだなって(笑)。難しいからこそ好きでもあるんですけどね」この松本さんの言葉のように、“好きなことには正直でいてもいい”。この映画には、そんなメッセージが込められている。「私は、好きなことは好きと言える性格。でも、もし好きな人の嫌いなことが好きだったら…。大きな声で言えるかはわからないけど(笑)、好きと言うことは間違ったことではないと思うんです。好きなことに一生懸命でいることは素晴らしいことだと、改めてこの作品が気づかせてくれました」『おいしい家族』夫と別居中の橙花が、母の三回忌で故郷の島に戻ると、亡き母の服を着て出迎える父・青治(板尾創路)の姿が。最初は受け入れられない橙花だったが…。好きなものを今まで以上に大切にしたくなる作品。監督・脚本/ふくだももこ出演/松本穂香、板尾創路、浜野謙太ほか9月20日より全国公開。©2019「おいしい家族」製作委員会まつもと・ほのか1997年2月5日生まれ、大阪府出身。連続テレビ小説『ひよっこ』で注目を集め、その後続々とドラマやCMに出演。映画『わたしは光をにぎっている』が年内公開予定。ワンピース¥34,000(Y.M.Walts/MARVIN&SONS TEL:03・6276・9433)バレッタ¥7,000(NORTH WORKS/UTS PR TEL:03・6427・1030)その他はスタイリスト私物※『anan』2019年8月7日号より。写真・杉江拓哉(TRON)スタイリスト・李 靖華ヘア&メイク・尾口佳奈(KOHL)取材、文・野村紀沙枝(by anan編集部)
2019年08月01日ブードゥ教の呪術を用いて人形に魂を移した連続殺人鬼が、生身の体を手に入れるために殺人を重ねるという設定で社会現象を巻き起こした『チャイルド・プレイ』(1988年)。同作はその後、7作品の大ヒットシリーズとなり、チャッキー人形はいまやハロウィン・コスプレの定番となりました。この映画がきっかけで、人形がトラウマとなった人も少なくないはず。そんなチャッキーが令和に大復活を遂げました!遊び心あふれるトイ“ホラー”ストーリー。主人公は、引っ越しをして友だちがいない少年アンディ。母親カレンは女手ひとつで彼を養うために量販店で働きづめ。友だちと遊ぶこともなく、いつもひとりぼっちでゲームばかりしているアンディを心配したカレンは、勤め先に返品された不良品の「バディ人形」を彼にプレゼントします。はじめこそ、「バディ人形」の奇妙な言動に戸惑っていたアンディですが、やがて「バディ人形」の虜となっていきます。チャッキーの服装は’88年版と同じ、青いオーバーオールにマルチボーダー柄のトップス。商品名が’88年版の「グッドガイ人形」から、「バディ人形」に変更されていますが、これにはワケが。’88年版の人形デザインの元ネタとされているのが、玩具メーカー・ハズブロが販売していた「マイ・バディ人形」なのです。商品名だけでなく、今作のチャッキーは内面的にも大きな違いが。’88年版のチャッキーは自分のエゴのために殺人を犯しますが、今回は、持ち主アンディへの愛ゆえに暴走を重ねていきます。実はこの設定も’88年版の初期プロット(構想段階のあらすじ)と同じ。’88年版の精神に敬意を払いながら、現代版にリブートしているのです。今作のチャッキーは、最先端テクノロジー企業カスラン社が手掛けたAI技術を搭載。電化製品を自在に操り、人間の言動を学習してどんどん賢く進化していきます。ある日、チャッキーは、アンディや彼の友だちと一緒にホラー映画の名作『悪魔のいけにえ』を観賞。アンディたちがゲラゲラと笑う姿を見て、チャッキーは残酷な殺人シーンを彼を喜ばせるものだと勘違い。アンディを傷つける相手を見つけるやいなや、『悪魔のいけにえ』を即マネして、制裁を加えてしまいます。チャッキーの凶行を知ったアンディは当然ながらドン引き。ところが、アンディがチャッキーと距離を置こうとすればするほど、彼は暴走。アンディの身近な人々を恐怖に陥れていきます。孤独にさいなまれ、チャッキーのトリコになっていく少年アンディの心を繊細に表現したのは、ガブリエル・ベイトマン。ホラー・ドラマ『アウトキャスト』では悪霊に憑りつかれた少年に扮し、生きたゴキブリを食べる衝撃シーンを披露して話題を呼んだ美少年で、『アナベル 死霊館の人形』や『ライト/オフ』などの大ヒットホラー映画にも重要な役で出演しています。チャッキーの声を熱演したのは、『スター・ウォーズ』シリーズのルーク・スカイウォーカー役でおなじみのマーク・ハミル。『スター・ウォーズ』ネタで笑わせてくれるほか、彼が歌うバディ・ソングの破壊力が半端ない!観終わった後は、きっと頭の中で無限ループしてしまうはず。くれぐれも人形のそばでは歌わないように…。『チャイルド・プレイ』ホラー映画史に残る大ヒット作『IT/イット“それ”が見えたら、終わり。』の製作陣が手掛けた『チャイルド・プレイ』のリブート。本国では『トイ・ストーリー4』と同日に公開された。全国公開中。©2019 Orion Releasing LLC. All Rights Reserved.CHILD’S PLAY is a trademark of Orion Pictures Corporation. All Rights Reserved.※『anan』2019年7月31日号より。文・田嶋真理(by anan編集部)
2019年07月25日9月10日(火)に福岡・マリンメッセ福岡で行われる「B’z LIVE-GYM 2019 -Whole Lotta NEW LOVE-」。ツアー千秋楽となる同公演のライブ・ビューイング開催が決定した。全国47都道府県・306館の映画館へ生中継にて配信されるほか、9月14日(土)・15日(日)・16日(月・祝)には一部映画館にてディレイ上映も実施される。本日、7月24日(水)昼12時よりB’z PARTY先行の受付が開始。チケットぴあ先行は、8月17日(土)昼12時より受付開始。
2019年07月24日オネエ系映画ライター・よしひろまさみちさんの映画評。今回は映画『トイ・ストーリー4』です。『トイ・ストーリー4』をまさかの続編と呼ばずに何をそう呼ぶ!と言いたくもなるわよねー。だって、前作は完璧すぎる、最高のシリーズ終幕&108億円超えの大ヒットだったから。あたしも続編企画があることを知った時点で「いったいどうやってこの先を作るのよ!」と思ったもんですわ。いや、素人妄想でいけば、アンディからボニーに引き継がれたおもちゃたちのその後を描いて、潮時ってときにまた別れのエピソードでつないで…って無限ループにしかなんないしー!(するとマンネリ化して、無残に終わるの)ところがよ。そんな危惧はやはり天才集団のピクサーには不要だったことを思い知ったわ。物語は『~2』の後の回想劇からスタート。なんでそこまで過去にさかのぼるかっていうと、そのときウッディたちと別れたボー・ピープという磁器のお人形が物語のヒロインだから。ウッディたちに、ボニーが幼稚園で作った先割れスプーンのおもちゃ・フォーキーが仲間入り。ところが、フォーキーはゴミ箱にあった材料からできているせいで「自分はおもちゃじゃないー!」と自覚なし。そのため、ボニー一家のキャンプ旅行中に、車から飛び降りちゃうの。で、ウッディが代表してフォーキーを連れ戻しに行ったところ、たまたま見つけたのよ、ボー・ピープの消息の手がかりを!これだけだと、昔のキャラクターの再会~みんな一緒に幸せに暮らしましたとさ、めでたしめでたしってなりそうなもんじゃない?違うの、全く違うの!細かいことはさておき、本作のテーマ。それは「独立心と帰属意識」。これって子供には分からないけど大人になればなるほど考えさせられる人生のテーマ。どっちにも幸せと厳しさがあるし、選択は本人の自由(向き不向きもありますし)。それを考えさせられるのよ。こんな続編ができるなんて想定外。って、涙しながら思うはずよ!『トイ・ストーリー4』フォーキーだけでなく新キャラも魅力的よ。監督/ジョシュ・クーリー声の出演/トム・ハンクス、ティム・アレンほか吹替/唐沢寿明、所ジョージほか7月12日より全国ロードショー。©2019 Disney/Pixar. All Rights Reserved.※『anan』2019年7月10日号より。文・よしひろ まさみち(オネエ系映画ライター)(by anan編集部)
2019年07月03日ある不条理な出来事により、24歳の青年が7歳の姪の面倒をみることに!テロのあとの傷ついたパリを、決して荒げないトーンで生きる希望へと静かに導く映画『アマンダと僕』。公開にともない、ミカエル・アース監督が来日。お話を伺いました。写真・河内 彩(監督) 文・黒瀬朋子ミカエル・アース監督にインタビュー!——『アマンダと僕』では主人公が姉を、その前に撮られた『サマーフィーリング』では、恋人を突然失います。「喪失」は、監督にとって肝となるテーマなのでしょうか?アース監督 映画のシナリオを書くときに、大切な人を失う「喪失感」が、私のひとつのインスピレーションになっています。その喪失をあくまでも、静かに消化していく。もし、私自身が同じような経験をしたら、うまく心の整理がつかないんじゃないかという疑念があるので、こういうテーマが思い浮かぶのかもしれません。——なんといってもアマンダ役のイゾール・ミュルトリエに心掴まれます。演技経験は全く初めてで、学校から出てくるところにオーディションのビラを渡すという、「ワイルドキャスティング」で見出したそうですが、イゾールが演じることで、役が膨らんだことはなにかありましたか?アース監督 俳優たちが芝居することで、物語の次元がどんどん広がっていきました。彼女は少しふっくらした女の子なので、若干食いしん坊というキャラクターが強調されたかもしれません(笑)。子どもは食べるときは、余計なことは考えませんから、食べるシーンは重要でした。——食べるアマンダは、生命力を体現していて、希望そのものに見えました。アース監督 イゾールもダヴィッド役のヴァンサン・ラコストも、ある意味、輝く明るさと軽さ、気品を持っていました。悲劇的なことが起こりますから、観ている人たちが受け入れられるように、物語を沈んだものにしないためにも、あの二人のキャスティングは重要でしたね。——ダヴィッドと恋人レナの進展が、後半、ちょっと速いようにも感じたのですが、モナムールの国フランスでは、あれは普通なんでしょうか?アース監督 あはは。普通ではないですよ(笑)。私もちょっとあれは速すぎるんじゃないかな? と思います。でも、恋愛にルールはありませんし、20回会っても親密になれない場合もありますし、出会ってすぐに関係が深まる場合もあります。不幸な事件があったことで、二人の関係は光が見えるほうに変わっていったのでしょうね。——アマンダもダヴィッドも、観ているうちに古い友達のように感じられました。日常を静かに描いていることにも起因していると思うのですが。アース監督 私は映画を通して、自分の世界や人生の捉え方を描いています。ですから、映画の登場人物を友人のように感じてくださるというのは、本当に嬉しい。私にとって映画は、自分の家や好きな歌のようなもの。居心地よく感じられるものでありたいんです。——パリの街をダヴィッドたちが自転車に乗るシーンも多く、あの速度が心地よかったです。スピーディで刺激的なものがあふれる昨今、観客が想像する余地を作っていたように感じましたが、心がけておられたのでしょうか?アース監督 私は映画は人生に近いものだと思っているんです。人生も劇的なことばかりではないですよね? ですから、映画のなかでも何も起こらない時間、なんでもない時間も描き、そこに叙情性を加えます。衝撃的、感動的なシーンばかりを続けない。スペクタクルにはしません。音楽と同じように、メリハリをつけるようにしていますね。——もともと監督は映画よりも音楽のほうがお詳しいとか。エンディングの音楽も「パルプ」のジャーヴィス・コッカーさんにオファーしていますね?アース監督 音楽はたくさん聴いてきました。映画よりも音楽にたくさんインスピレーションを受けてきたといってもいい。パルプは思春期のころから好きでしたので、仕事でお会いできて大変幸せでした。——テロにより傷ついた人々を描いていますが、パリで現実に起きたことを映画という形に昇華せねばという、使命感を持っておられたのですか?アース監督 使命のようなものはまったく持っていません。テロを物語のなかに入れたのは社会的な意味を込めたわけではなく、身内の悲劇というプリズムを通して「今日のパリ」を個人的な視点で描きたかったからです。この映画でパリの人々の傷が癒えたらなんて、そんな大それたことは考えていません。ただ、もし、この作品を観て、なにかしら希望や光を感じてくださる方がいたとしたらそれは嬉しいです。——映画を作ることは、監督にとってどういうものですか? 人生の疑問に対して答えを見つける、創作の快感を得る、自分の観たいものを具現化するなど……?アース監督 その3つすべてですね。音楽を作る人もそうだと思いますが、ある種、必要性を感じて映画を作ります。そうやって、自分の心の平穏を取り戻します。映画を作っているとき、生きている実感を得られるんです。映画はひとりでは作れませんから、撮ることができるのはとても恵まれているとも実感しています。——とても優しく繊細で日本的な映画にも思います。反響をどう感じていらっしゃいますか?アース監督 フランスでも日本映画との共通点を何人かの人に指摘されました。日本の方に共感していただけるのであれば、願ったり叶ったり。私もとても嬉しいです。——『アマンダと僕』はパリ。『サマーフィーリング』ではベルリン、パリ、ニューヨークを舞台にしています。街は登場人物のひとつというコメントも。次は東京でしょうか?アース監督 ぜひ。そういう機会があれば撮ってみたいですね!インタビューを終えて作品同様、静かなトーンで話すアース監督。『アマンダと僕』は、大切な誰かを失った経験がある人にはそっと力になってくれるはず。抒情詩のような『サマーフィーリング』も7月6日(土)より、シアター・イメージフォーラムほかにて全国公開します。アース監督の作品世界にふれてみて下さい。ストーリーさわやかな弦の音色とともに映し出される、陽光溢れる夏のパリ。便利屋業で働くダヴィッド(ヴァンサン・ラコスト)は、シングルマザーの姉に頼まれ、今日も姪のアマンダ(イゾール・ミュルトリエ)を学校に迎えに行くが、遅刻をして姉に怒られる。やがて、出会ったばかりのレナ(ステイシー・マーティン)とも恋仲になり、ささやかながら平穏な日々を送っていた。ところが、ある日、公園でテロが起こり、姉は命を奪われてしまう。ダヴィッドはまだ24歳。自分でも悲しみを受け止めきれないのに、7歳のアマンダの面倒をみなければならなくなった。途方に暮れながらも、生活は待ってくれない。二人が寄り添い、少しずつ前に進む過程を、輝く日差しのなか、丁寧に描いていく。昨年の第31回東京国際映画祭では東京グランプリと最優秀脚本賞に輝いた。
2019年06月28日わかっていてもつい惹かれてしまう。魅力的なダメ男たちDRESS読者のみなさん、こんにちは!突然ですが、皆さんの周囲にはいけないとわかっていつつも、ついつい惹かれてしまう……そんな抗えない危険な魅力に溢れた男性はいませんか?本日はそんな魅力的なダメ男たちが登場する邦画3作をご紹介したます。まず1本目は、『凶悪』『孤狼の血』の白石和彌監督が、香取慎吾を主演に迎えた話題作。2019年6月28日(金)より全国公開となる『凪待ち』です。魅力的すぎるダメ男1:『凪待ち』の木野本郁男(香取慎吾)本作で香取慎吾が演じる郁男は、極度のギャンブル依存症の男。新しい暮らしが始まり、ギャンブルから足を洗おうと印刷会社で働き始めたのもつかの間、会社の同僚に誘われて競輪のレースに再び賭けるようになってしまいます。そんなある日、口論の末に突き放した恋人の亜弓が殺害されてしまい、「自分のせいで亜弓は死んだ」という思いがくすぶり続ける郁男は、自暴自棄となり、転がるようにギャンブルにのめり込んでいってしまいます。ですが、そんな彼の心の奥底にあるのは、秘めた優しさ。末期ガンである父を心配して故郷に戻った恋人の亜弓と一緒に石巻に戻り働き始めたり、亜弓の娘・美波を心配し理解しようとしたりする姿に、亜弓の父・勝美(吉澤健)もつい手を貸してしまうのでした。ギャンブルに依存してしまう自分自身から抜け出そうともがき、苦しむ、郁男の切ない葛藤を見事に体現した、香取慎吾の新たな魅力は必見です!『凪待ち』のストーリー毎日をふらふらと過ごしていたギャンブル依存症の木野本郁男(香取慎吾)は、バツイチで子持ちの恋人・亜弓(西田尚美)とその娘・美波(垣松祐里)とともに、亜弓の故郷・石巻に戻る決意をする。新しい暮らしが始まったある日、車内で亜弓と激しい口論になり、亜弓だけを車から降ろして立ち去った郁男は、その後、亜弓が何者かに殺害されてしまったことを知り……。魅力的すぎるダメ男2:『彼女がその名を知らない鳥たち』の水島真(松坂桃李)『彼女がその名を知らない鳥たち』のストーリー15歳年上の同居人・陣治(阿部サダヲ)に養ってもらいながら、自分はまったく働かず、だらだらと日々を過ごしていた十和子(蒼井優)。そんなある日、古い腕時計の修理を断られたデパートに苦情を入れた十和子の家に、代わりに新しい商品を持参した、デパートの売り場主任・水島(松坂桃李)が訪れる。水島に、8年前に別れたかつての恋人・黒崎(竹野内豊)の面影を感じた十和子は、彼の虜となり不倫関係をスタートさせてしまい……。子持ちの既婚者でありながら、十和子との不倫関係をスタートさせてしまうゲスな男・水島を演じたのは松坂桃李。水島の前で思わず泣いてしまった十和子に、「すみません、なぜかこうするよりないような気がいたしまして」と、急にキスをしてくるあたり……ズルい!ズルすぎる!十和子と不倫関係になってからは、誰かに見られるとまずいと言い訳しながらも、暗がりに導き「してくれる?」とズボンのチャックを下ろしたり……。その見事なまでのゲスっぷりは必見です。さらに、ベッドシーンでは「”あー”と言って」と十和子に声を出させたりと、その爽やかな変態ぶりも見逃せません。監督が「(松坂桃李は)本当に誠実にこの薄っぺらい役に取り組んでくれました」と語るほどのその完璧なズルさゆえのセクシーさから、目が離せません。魅力的すぎるダメ男3:『オーバー・フェンス』の白岩義男(オダギリジョー)『オーバー・フェンス』のストーリー妻(優香)との夫婦生活が破綻し、故郷の函館に戻ってきたバツイチの白岩(オダギリジョー)。実家には寄り付かず、職業訓練校に通う彼は、ある日、聡(さとし)という名前のホステス(蒼井優)と出会う。「名前で苦労したけど親のこと悪く言わないで、頭悪いだけだから」という聡の自由奔放だが危うい魅力に、白岩は急速に惹かれていくが……。一見優しく見えるが、実はあまり他人と深く関わる気がなく、別れた妻からも「私のこといらないと思っていたでしょ」と言われてしまうような主人公・白岩役は、魅力的なダメ男を演じたら右に出るものはいないオダギリジョーが演じます。離婚の原因も「え、この奥さんがそんなことに……?」と思わずにはいられない内容で、白岩という男が、女性を狂わせてしまう男性だということがよくわかります。本作のヒロイン・聡からも「そんな目で見ないで」と言われるシーンがありますが、オダギリジョー本人も、女性から同じことをよく言われていたそう。白岩からは、女心を狂わせる男性特有の、どうしようもないほどに魅力的な色気が溢れています。映画の中で、魅力的に輝くダメ男たち……。行動が伴わないのに、恋人を幸せにしようという気持ちだけは感じさせてくれたり、妻子がいるのに甘い言葉を囁いてきたり、深く関わるつもりはないくせに表面的には優しかったり……。矛盾だらけの行動が、逆に物語にスパイスを与えてくれる。そんな彼らですが、くれぐれも夢中になるのは映画の中だけに!実際に周囲にいたら大変なダメ男の魅力は、映画の中だけでこっそりとご堪能ください。作品情報『凪待ち』【PG12】6月28日(金)TOHOシネマズ日比谷ほか全国公開監督:白石和彌『凶悪』『孤狼の血』出演: 香取慎吾、西田尚美、リリー・フランキー配給:キノフィルムズ上映時間:124分公式サイト: ©2018「凪待ち」フィルムパートナーズ『彼女がその名を知らない鳥たち』【R15】Blu-ray&DVD好評発売中監督:白石和彌『凶悪』『日本で一番悪い奴ら』原作:沼田まほかる「彼女がその名を知らない鳥たち」(幻冬舎文庫)出演: 蒼井優、阿部サダヲ、松坂桃李、竹野内豊配給:クロックワークス上映時間:123分公式サイト: ©2017映画「彼女がその名を知らない鳥たち」製作委員会『オーバー・フェンス』Blu-ray&DVD好評発売中監督:山下敦弘『リンダ リンダ リンダ』『天然コケッコー』原作:佐藤泰志『海炭市叙景』『そこのみにて光輝く』出演:オダギリジョー、蒼井優、松田翔太、北村有起哉、満島真之介、優香上映時間:112分公式サイト:©2016「オーバー・フェンス」製作委員会
2019年06月28日