10月1日にスタートした、NHK連続ドラマ小説『まんぷく』。朝ドラ99作目にして、初めて育児をしながら撮影に挑むヒロインとなった、女優の安藤サクラさん(32)。インスタントラーメンを生み出した夫婦の物語を、明るく逞しく演じている。21歳で父・奥田瑛二さん(68)が監督した映画『風の外側』でデビューしたサクラさんは、数々の女優賞に輝き「異次元の能力の女優」との呼び声も高い。今年5月、カンヌ映画祭でパルムドールを受賞した是枝裕和監督作品『万引き家族』では主演を務め、その演技は、審査委員長ケイト・ブランシェットに絶賛された。姉の桃子さん(36)は、気鋭の映画監督。’10年『カケラ』で監督デビューし、自身の小説を映画化した『0.5ミリ』(’14年)で、数々の映画賞を受賞した。現在は、『0.5ミリ』の撮影地だった高知市に移住。昨年10月、映画館「ウィークエンドキネマM」を開館し、舞台や映画製作などを学ぶ「桃子塾」を開くなど、高知を拠点に活動の幅を広げている。映画監督と女優の姉妹。2人の天才を生み出した安藤家。2人の母でエッセイストの安藤和津さん(70)は、感受性を育むことをいちばんに考え、子どもの目線になって娘たちに接したという。「知識は後からでも学べる。それよりも、ものを感じる力をつけることが大事だと思っていました」ユニークなのは、桃子さんと4歳違いでサクラさんが生まれたときのことだ。「桃子の立場で、妹ができるとはどういうことなのか考えると、手放しでうれしいわけではないでしょ?お父さんもお母さんも赤ちゃんに取られちゃう。皆からプレゼントをもらうのは、生まれてくる赤ちゃんばっかりだし」そこで、和津さんはお祝いをくれる人たちに、「大変、申し訳ないですが、桃子に『お姉ちゃんになって、おめでとう』のプレゼントか、妹とのペアのものをいただけたら、すごくありがたいです」とお願いした。“お姉ちゃんになって、おめでとう”のお祝いの効果は絶大だった。「これがたぶん桃子のサクラへの限りない愛の発端だったような気がする。桃子もまだ4歳だったから『なんで妹ばっかり』ってなったら面白くないじゃない」桃子さんはいま、何の衒いもなくサラリと言う。「母は母性の塊、菩薩のような愛を注いでくれました。おかげで私、ずっと安藤サクラのファンクラブ会長です。幼少期からサクラには私がいる。私が守る。それが、いまもあるんです。サクラが生まれた瞬間、無償の愛を思いました。4歳で、命を捧げようと」桃子さんはすでにこのときから、母の深い愛情を受け継いでいた。サクラさん出産後、仕事に復帰した和津さんが心がけたのは、娘たちとの密度の高い時間だ。「1日最低5分は2人きりで向き合って、話をする。桃子とも、サクラとも2人っきり。それぞれ1対1で話をする。1人に集中する時間を作りました。それから毎日ワクワクすることを1コさせたの。生きていてうれしいと思うこと。“1日1笑”というのかな」和津さんの育児法は、自身の生い立ちとは逆のものだった。「私の母が忙しく働いていていつも仕事が頭にある人だったから。結構つらい子ども時代だったのかも」愛知県春日井市出身の奥田さんは、長期休暇になると、故郷に娘たちを連れていき、自然のなかで感性の幅を広げていった。意外だが、奥田さんはボーイスカウトの指導員もしていたという。塩むすびと水筒を持って、山登りをし、いとこたちと一緒にヘビやカエル、ザリガニに触れさせた。「男の子、女の子の隔てなく、自然と触れ合う。スッポンポンで池に入って、カエルの卵を頭からかぶったりしていましたよ」奥田さんは、独立プロで妥協しない映画製作を続けながら、俳優としても高い志を持ち続けている。奥田さんが主演し、ガレッジセールのゴリが、本名で監督した映画『洗骨』(来春公開)は、今年8月、ニューヨークで開催された映画祭で観客賞を受賞した。和津さんも娘たちの育児サポートをしながら、エッセイストとして多忙な日々だ。母・昌子さんの介護の後に陥ったうつ。そこから脱した経緯を『“介護後”うつ』(光文社)にまとめ10月18日、出版。桃子さんは『0.5ミリ』を高知で撮った縁で、’13年、高知県観光特使に就任。その翌年、高知市に移住し活動拠点にしてきたが、娘に続いて奥田さんも今年、県の観光特使に任命された。家族一人一人がそれぞれの場で自分の道に邁進しながら、安藤家は何か目的が見えたら集結し、いつでも一丸となれる。奥田さんはこう語る。「集結力とか才能も含めてそこは最強だと思う。コッポラ一家よりうちのほうが。クリント・イーストウッドのところも最強だろうけど、わが国では安藤家が最強だと思っています」
2018年10月12日国内映画賞のトップバッターとして注目を集める「第10回TAMA映画賞」の受賞作品と受賞者が決定。是枝裕和監督の『万引き家族』と濱口竜介監督の『寝ても覚めても』という、今年のカンヌ国際映画祭コンペ部門に出品された2作が「最優秀作品賞」に輝き、前者に出演した安藤サクラと松岡茉優が「最優秀女優賞」を受賞した。毎年、晩秋に国内映画賞で最初に発表される「TAMA映画賞」は、多摩市及び近郊の市民からなる実行委員が「明日への元気を与えてくれる・夢をみせてくれる活力溢れる“いきのいい”作品・監督・俳優」を、映画ファンの立場から感謝をこめて表彰したもの。本年度最も活力溢れる作品の監督及びスタッフ・キャストに対して贈られる「最優秀作品賞」を受賞したカンヌ・パルムドール受賞作『万引き家族』には、受賞理由として「家族という集合体がどのような結びつきなのか、観客に問いかけ、胸に迫る」、『寝ても覚めても』には「人は人のどこに惹かれ、愛する気持ちが生まれるのか。理性の影に潜む愛の奥深さを炙り出し、観客に味わわせた」とのコメントが寄せられた。また、「めくるめく仕掛けによる映画の楽しさと手作り感溢れる疾走感が観客に感染」して大ヒット中の『カメラを止めるな!』、そして、先日逝去した樹木希林さんが山崎努と夫婦役を演じ、「ほっこりとした感動をもたらしてくれた」『モリのいる場所』が「特別賞」に。「最優秀男優賞」には、「二役を演じた『寝ても覚めても』をはじめ、静から動まで役柄を幅広く演じ、躍動的でありながら温もりをも感じさせた」として東出昌大、『娼年』から『孤狼の血』まで「作品ごとにまったく異なる境遇に生きる若者の姿をほとばしる情熱で息衝かせた」として松坂桃李が選出。「最優秀女優賞を受賞」した安藤サクラは、『万引き家族』での演技により「これまで生きてきた時間が体温ごと伝わってくるよう」と評され、「観終わった後の観客の心に確かな実在感を残した」として、また同作にも出演し、『勝手にふるえてろ』で映画初主演を務めた松岡茉優は「こじらせ型のヒロインに血を通わせ、強いシンパシーと共に観客の心をふるわせるバイタリティに圧倒させられた」ことから受賞となった。その年の“ブレイク俳優”ともいえる「最優秀新進男優賞」には、『モリのいる場所』『サラバ静寂』などの吉村界人と、『リバーズ・エッジ』『猫は抱くもの』『銀魂2掟は破るためにこそある』『ママレード・ボーイ』など数々の多彩な作品で印象を残した吉沢亮。吉沢さんは「心の奥に闇を抱えた役から相手を包み込む優しさをもつ役まで幅広く演じ、その奥深い眼差しは観る者を虜にした」と評された。同じく「最優秀新進女優賞」には『パンとバスと2度目のハツコイ』(今泉力哉監督)に主演した元「乃木坂46」の深川麻衣、同作や『榎田貿易堂』に出演した伊藤沙莉が選ばれている。■受賞者一覧最優秀作品賞『万引き家族』(是枝裕和監督、及びスタッフ・キャスト一同)『寝ても覚めても』(濱口竜介監督、及びスタッフ・キャスト一同)特別賞沖田修一監督、及び山崎努・樹木希林はじめスタッフ・キャスト一同(『モリのいる場所』)上田慎一郎監督、及びスタッフ・キャスト一同(『カメラを止めるな!』)最優秀男優賞東出昌大(『寝ても覚めても』『菊とギロチン』『パンク侍、斬られて候』『OVER DRIVE』『予兆 散歩する侵略者 劇場版』)松坂桃李(『孤狼の血』『娼年』『不能犯』『彼女がその名を知らない鳥たち』)最優秀女優賞安藤サクラ(『万引き家族』『DESTINY 鎌倉ものがたり』)松岡茉優(『勝手にふるえてろ』『万引き家族』『ちはやふる -結び-』『blank13』)最優秀新進監督賞今泉力哉監督(『パンとバスと2度目のハツコイ』)三宅唱監督(『きみの鳥はうたえる』)最優秀新進男優賞吉村界人(『モリのいる場所』『悪魔』『サラバ静寂』『ビジランテ』)吉沢亮(『リバーズ・エッジ』『猫は抱くもの』『銀魂2掟は破るためにこそある』『ママレード・ボーイ』『悪と仮面のルール』『レオン』『斉木楠雄のΨ難』)最優秀新進女優賞深川麻衣(『パンとバスと2度目のハツコイ』)伊藤沙莉(『榎田貿易堂』『パンとバスの2度目のハツコイ』『寝ても覚めても』『blank13』)「第10回TAMA映画賞」授賞式は11月18日(土)、パルテノン多摩大ホールにて開催。受賞作品を上映する「第27回映画祭TAMA CINEMA FORUM」は11月17日(土)~11月25日(日)、都多摩市内の3会場4スクリーンにて開催。※11月19日(月)は休映(text:cinemacafe.net)■関連作品:寝ても覚めても 2018年9月1日よりテアトル新宿、ヒューマントラストシネマ有楽町、渋谷シネパレスほか全国にて公開©2018 映画「寝ても覚めても」製作委員会 / COMME DES CINÉMAS万引き家族 2018年6月8日よりTOHOシネマズ日比谷ほか全国にて公開© 2018フジテレビジョンギャガAOI Pro.モリのいる場所 2018年5月19日よりシネスイッチ銀座、ユーロスペース、 シネ・リーブル池袋、イオンシネマほか全国にて公開© 2017「モリのいる場所」製作委員会カメラを止めるな! 2018年6月23日より全国にて公開©ENBUゼミナール
2018年10月04日第10回TAMA映画賞 受賞作品・受賞者が4日、明らかになった。最優秀作品賞には『万引き家族』『寝ても覚めても』が選出された。同映画祭は国内映画賞のトップバッターとして注目を集め、多摩市及び近郊の市民からなる実行委員が「明日への元気を与えてくれる・夢をみせてくれる活力溢れる<いきのいい>作品・監督・俳優」を、映画ファンの立場から表彰する。最優秀作品賞には、「人は寄り添わなければ生きていけない。この作品は家族という集合体がどのような結びつきなのか、観客に問いかけ、胸に迫る」として、是枝裕和監督の『万引き家族』、及び「理性の影に潜む愛の奥深さを炙り出し、観客に味わわせた」と、濱口竜介監督の『寝ても覚めても』が選ばれた。『万引き家族』出演の安藤サクラ、松岡茉優は最優秀女優賞に選出され、『寝ても覚めても』主演の東出昌大は、『孤狼の血』『娼年』など好演した松坂桃李とともに最優秀男優賞に。また、異例のヒットとなった『カメラを止めるな!』の上田慎一郎監督、及びスタッフ・キャスト一同が、特別賞に選ばれている。最優秀新進男優賞には、吉村界人と吉沢亮が並ぶ。『リバーズ・エッジ』をはじめとした、7本の映画に出演した吉沢は「多彩な表情で心の奥に闇を抱えた役から相手を包み込む優しさをもつ役まで幅広く演じ、その奥深い眼差しは観る者を虜にした」と評価され、同賞に。また、最優秀新進女優賞には深川麻衣、伊藤沙莉が選出された。■最優秀作品賞『万引き家族』 (是枝裕和監督、及びスタッフ・キャスト一同)『寝ても覚めても』(濱口竜介監督、及びスタッフ・キャスト一同)■特別賞沖田修一監督、及び山﨑努・樹木希林はじめスタッフ・キャスト一同 (『モリのいる場所』)上田慎一郎監督、及びスタッフ・キャスト一同 (『カメラを止めるな!』)■最優秀男優賞東出昌大 (『寝ても覚めても』『菊とギロチン』『パンク侍、斬られて候』『OVER DRIVE』『予兆 散歩する侵略者 劇場版』)松坂桃李 (『孤狼の血』『娼年』『不能犯』『彼女がその名を知らない鳥たち』)■最優秀女優賞安藤サクラ (『万引き家族』『DESTINY 鎌倉ものがたり』)松岡茉優 (『勝手にふるえてろ』『万引き家族』『ちはやふる -結び-』『blank13』)■最優秀新進監督賞今泉力哉監督 (『パンとバスと2度目のハツコイ』)三宅唱監督 (『きみの鳥はうたえる』)■最優秀新進男優賞吉村界人 (『モリのいる場所』『悪魔』『サラバ静寂』『ビジランテ』)吉沢亮 (『リバーズ・エッジ』『猫は抱くもの』『銀魂2 掟は破るためにこそある』『ママレード・ボーイ』『悪と仮面のルール』『レオン』『斉木楠雄のΨ難』)■最優秀新進女優賞深川麻衣 (『パンとバスと2度目のハツコイ』)伊藤沙莉 (『榎田貿易堂』『パンとバスの2度目のハツコイ』『寝ても覚めても』『blank13』)
2018年10月04日9月30日(日)放送のフジテレビ系「ボクらの時代」は急きょ予定を変更して、先日享年75歳で惜しまれながら逝去した女優・樹木希林さんの追悼特別企画をオンエア。これまでに樹木さんが本番組に出演した映像を再編集し“特別版”としてお届けする。1943年、東京に生まれた樹木さんは文学座の研究生を経て、1973年に内田裕也と結婚。70年代には人気ドラマ「時間ですよ」や「寺内貫太郎一家」で人気になると1977年、樹木希林に改名。「ムー」「ムー一族」の挿入歌「お化けのロック」と「林檎殺人事件」で当時トップアイドルだった郷ひろみとデュエットすると、「林檎殺人事件」では音楽番組「ザ・ベストテン」で12週連続ランクイン&4週連続1位を獲得。その後も今日に至るまで数々の作品に出演。『東京タワーオカンとボクと、時々、オトン』『わが母の記』で日本アカデミー賞最優秀主演女優賞を、『半落ち』『悪人』では最優秀助演女優賞をそれぞれ受賞したほか、『あん』では日本人女優初となるアジア太平洋スクリーンアワードも女優賞を受賞。その演技は国内のみならず世界でも高く評価された。かねてから全身がんを公表していた樹木さんだが9月15日に自宅で家族に見守れながら息を引き取った。今回は2008年6月22日と29日に放送された「樹木さん×YOU×是枝裕和」、2016年5月15日に放送された「阿部寛×樹木さん×是枝裕和」、2017年5月21日に放送された「橋爪功×小林稔侍×樹木さん」の計4回分の放送を再編集。フジテレビの塩田千尋プロデューサーは「いつも自然体で周囲の方たちに接しているお姿と言葉は番組にとっても宝物。感謝と追悼の思いをこめて今回の企画となった」と今回の特別版について説明。また「最後のご出演となった昨年5月、収録でも仰っていましたが“次いつ会えるか分からない、これが最後かもしれない”と、撮影が終わっても名残惜しそうに小林稔侍さんといつまでもお話しされていました」と収録時をふり返ってコメントしている。「ボクらの時代」は9月30日(日)7:00~フジテレビ系で放送。(笠緒)
2018年09月29日女優の松岡茉優が9月25日(火)、都内で行われた第31回東京国際映画祭(TIFF)のラインナップ発表会に出席し、今年の同映画祭アンバサダー就任を発表した。■松岡茉優さん「熱量はカンヌに負けていない!」昨年のTIFFで主演作『勝手にふるえてろ』(大九明子監督)が観客賞に輝き、松岡さん自身も期待の若手俳優に贈られるジェムストーン賞を受賞しており、「この1年で、いいルートができている」とTIFFとの強いつながりを噛みしめていた。今年は出演作『万引き家族』(是枝裕和監督)が第71回カンヌ映画祭で最高賞のパルムドールを受賞し、自身も現地入り。「寒さと緊張でガタガタだった」とふり返り、「映画好きが肩を組む熱量は、カンヌに負けていない!」とカンヌを経験したからこそ実感したTIFFの魅力を熱弁。東京生まれの松岡さんにとって、TIFFは「地元の映画祭ですといえるもの」だといい、「私にとって遊びの場であり、カルチャーを学ぶ場である六本木ヒルズが“お祭り”になりますからね」と声を弾ませていた。■アンバサダー就任、故樹木希林さんが知ったら、何て言う?『万引き家族』で共演し、今月15日に亡くなった樹木希林さんに対しては「たくさんの思い出があり、私にとっては宝物です。(映画の中で)1度お別れはしているので、2度目のお別れというか、かなしいなという気持ちはあまりなくて……」としみじみ。「樹木さんと同じ時代を生きられたことが誇りですし、ご一緒させていただいた身として、次の世代につないでいければ。私も樹木さんのようになりたい」と思いを新たにしていた。司会者から「もし、今回のアンバサダー就任を樹木さんが知ったら、何て言うと思うか?」と問われると、「きっと『また、髪型とかこだわるんじゃないの?』『見てくれを気にするんでしょ!』って言われそうですね(笑)」と生前のエピソードを交え、答えていた。■今年のベネチア国際映画祭、金獅子賞&銀獅子賞(審査員グランプリ)作品がいち早く上陸!会見には松岡さんをはじめ、コンペティション部門に出品される『半世界』の阪本順治監督、『愛がなんだ』の今泉力哉監督と主演の岸井ゆきの、アニメーション特集「アニメーション監督 湯浅政明の世界」から湯浅政明監督が出席した。コンペティション部門には、109の国と地域、1829本の応募から厳正な予備審査を経た16本(うち日本映画が2本)が出品され、『ローサは密告された』で17年の米国アカデミー賞のフィリピン代表になったブリランテ・メンドーサ監督が、国際審査委員長を務める。また、特別招待作品として、今年のベネチア国際映画祭で金獅子賞に輝いた『ROMA ローマ』(アルフォンソ・キュアロン監督)、銀獅子賞(審査員グランプリ)を受賞した『女王陛下のお気に入り』(ヨルゴス・ランティモス監督)がいち早く日本上陸することも決定している。(text:cinemacafe.net)
2018年09月25日『万引き家族』の是枝裕和監督が、スペインで開催中の第66回サン・セバスチャン国際映画祭にて、俳優または監督に贈られる生涯功労賞にあたる<ドノスティア賞>を受賞。先日亡くなった樹木希林との思い出の映画祭で、アジア人として初めての栄誉に思いを語った。9月21日(金)~9月29日(土)まで、スペイン北東部の港町サン・セバスチャンにて開催中の同映画祭は、1953年から始まり、今年で66回目。ヨーロッパでは、カンヌ、ベルリン、ヴェネチアの3大映画祭に次ぐ、重要な国際映画祭と位置づけられている。今回、是枝監督が授与された<ドノスティア賞>は、過去にはアル・パチーノ、フランシス・フォード・コッポラ、オリバー・ストーン、リチャード・ギア、メリル・ストリープ、ジュリア・ロバーツ、ユアン・マクレガー、ヒュー・ジャックマン、デンゼル・ワシントンなど名だたる監督、俳優たちも受け取ってきた栄誉ある賞。是枝監督はアジア人初の快挙となった。日本時間9月24日(月)3時半(現地時間9月23日20時半)に行われた授賞式に登壇した是枝監督が、まずトロフィーを受け取ると、場内はスタンディングオベーションで割れんばかりの拍手に包まれた。■「希林さんに教えられたことがたくさんある」と監督が涙これまでの作品映像がダイジェストで流れ、是枝監督作品には欠かせない女優である希林さんの姿を目にすると、「2年前、『海よりもまだ深く』で希林さんとこの映画祭を訪れることができ、とても楽しい時間を過ごした。10年、役者と監督という関係を越えてパートナーとして映画を作ってきた方」とふり返り、涙ぐむシーンも。また、監督自身が大切にしている映画祭での受賞に緊張しきりで、「自分がもらうには早すぎた」と言いつつ、「希林さんとはもう来ることができないですが、希林さんに教えられたことがたくさんあるので、また若いスタッフ・キャストと一緒にここにまた呼んでいただけるように。生涯功労賞は、僕はまだキャリア半分であと20年は作ろうと思っている」とコメント、「映画を作って、皆さんの前に届けたい」と決意を新たに語った。その後、登壇した『万引き家族』主演のリリー・フランキーが涙ぐんでいる監督へハンカチを差し出す場面もあり、会場からは再び温かい拍手がわき起こった。■市民に愛され、現地では「Kore-eda!!」コールもこのサン・セバスチャン国際映画祭と是枝監督との関わりは深く、コンペティション部門・国際批評家連盟賞を受賞した1998年の『ワンダフルライフ』から2017年の『三度目の殺人』まで8作品で参加してきており、『そして父になる』と『海街diary』はいずれもパールズ部門・観客賞を受賞。フェスティバルディレクターのホセ=ルイス・レボルディノス氏も「本当に市民に愛されている」と語り、「もはや映画祭だけでなく、サン・セバスチャンという街の本当の親友」とまで断言。是枝監督が現地入りした9月22日(土)も、映画祭会場前にはファンが詰めかけ、監督が到着するや「Kore-eda!!」のコールが起こり、サイン&写真攻めに。20年来の親交がある映画祭で、監督は笑顔で快くサインや写真撮影に応じ、改めて現地での人気の高さをうかがわせた。■「“せこい男”はリリーさんが一番」と激白!また、授賞式の前の日本時間9月23日(日)22時(現地時間9月23日15時)、記者会見にも出席。会見の途中からは、主演のリリーさんも登壇した。子どもたちの演出について触れられると、「その子に合ったやり方、その子に合った言葉を、演出の方法を探していくという作業を毎回行う」と話し、「だから根気よく待つことも大事ですし、忍耐力でしょうかね」とコメント。今作では「すごく子ども(城桧吏、佐々木みゆ)がリリーさんになつくので、そういうところをずるく、監督として使わせていただいて、半ば子どもの演出はリリーさんに任す、ということを今回の映画の中ではしています」と語ると、リリーさんは寒い時期の撮影だったため「いつも子どもを抱きしめていたら、自然と子どもがなついてきた(笑)」と応じた。さらに、4回目のタッグを組んだ是枝監督との関係を聞かれたリリーさんは、「最初の作品からファン。今でも会うと照れくさくてもじもじしてしまう」と意外な一面も飛び出し、「自分が映画に呼ばれた理由は、“せこい男”をやらせたらリリーさんが一番うまいんだと言われた」とオファー理由を明かし、会場の笑いを誘っていた。■いずれは「人間ではないものの作品を撮りたい」!?カトリーヌ・ドヌーヴやジュリエット・ビノシュらが参加する新作については「パリで今準備を始めており、来月からクランクイン」と報告。例えば、三池崇監督のようにホラー映画を撮るつもりはあるかと問われると、「自分としては、色々なジャンルにチャレンジしたいという気持ちがあり、その中には、ホラー映画とは違うかもしれないですが、人間ではないものの作品を撮りたい、という気持ちはあります」と回答。「人間じゃないものが、命を持って心を持つという話があり、結果的には人間を考えるというストーリーになると思いますが、実現するには、まだ少し、待っていてください」と胸に秘めた展望を明かしていた。『万引き家族』は全国にて公開中。(text:cinemacafe.net)■関連作品:万引き家族 2018年6月8日よりTOHOシネマズ日比谷ほか全国にて公開© 2018フジテレビジョンギャガAOI Pro.
2018年09月25日女優の樹木希林さんが9月15日に都内の自宅で亡くなっていたことが16日、わかった。75歳。家族に看取られながらの旅立ちだった。16日に近親者のみで通夜が執り行われ、30日に告別式が行われる予定だという。■2018年、希林さんの様子は?5年前に「全身がん」を告白していた希林さんだが、その後は容体も安定し、映画を始め、さまざまな場面で、まさに“引っ張りだこ”の大活躍を見せていた。今年だけでも、山崎努との初共演が実現した『モリのいる場所』(沖田修一監督)、第71回カンヌ国際映画祭のコンペティション部門に出品され、最高賞のパルムドールを受賞した『万引き家族』(是枝裕和監督)が公開。そして、茶道教室の先生を演じた『日日是好日』(大森立嗣監督)が10月13日に公開される予定だ。一方、先月8月13日に左大腿骨を骨折して入院し、手術を受けていた。同30日には娘婿で俳優の本木雅弘がイベントに出席し、希林さんが一時危篤状態だったことを明らかにした。その際、「細い糸1本でやっとつながってる声一言もでないのしぶとい困った婆婆です」という希林さん直筆のメッセージが紹介されたと報じられ、大きな話題を集めた。■愛され続けた日本映画界の宝1943年東京生まれの希林さんは、61年に文学座に入り、テレビドラマを中心に活躍。その代表作のひとつが、やはり今年亡くなった西城秀樹さんと共演した「寺内貫太郎一家」だった(当時はデビュー時の芸名・悠木千帆で出演)。また、70年代後半には「美しい人はより美しく、そうでない方はそれなりに」の名コピーで知られる富士フイルムのCMも人気を博した。その後は徐々に活躍のメインステージを映画に移し、『東京タワーオカンとボクと、時々、オトン』と『悪人』で日本アカデミー賞最優秀主演女優賞、『半落ち』で最優秀助演女優賞に輝き、不動の地位を確立。日本映画界に欠かせない存在として、幅広いジャンルの作品に出演し、多くのファンと映画人に愛され続けた。個性派、演技派、実力派…。それら、どの言葉も適切でありながら、「それだけでは言い表せない」希林さん独自の存在感は、やはり日本の宝だったと言わざるをえない。■記者も翻弄する“希林劇場”は名言の宝庫だった常に次回作が待たれる希代の女優であった希林さん。決して万全ではない体調と向き合いながら、出演作のプロモーションにも積極的に参加し、数多くのイベントや舞台挨拶をこなす姿も、記者としては印象に残っている。マイクを握れば、その瞬間から希林さんの独壇場。ときには同席する共演者の熱愛報道をタイムリーにいじったり、目の前の報道陣に苦言を呈したりと、場を大いに盛り上げてくださった。取材が終わってみれば、誰もが“希林劇場”に魅了され、希林さんの“名言”が見出しを飾ることも多かった。ときには毒舌と称されることもあった希林さんの発言だが、その裏には、日本映画界、そして日本の社会全体への愛にあふれていた。その鋭い感性と奔放な性格が切り取る、さまざまな疑問や矛盾…。閉塞しきった時代に対する、希林さんのカウンターパンチは、生きづらさを感じる現代人にとって、多くの気づきをもたらしたものとなった。晩年は、大病を患ったからこその希林さん流の死生観もクローズアップされた。あくまで飄々と、わが道を歩み続けた希林さんの功績が、今後の日本映画をより豊かなものにしてくれることを期待したい。(text:Ryo Uchida)
2018年09月17日是枝裕和監督の『万引き家族』などに出演し、ドラマ、CMでも活躍した女優・樹木希林(きき・きりん/本名・内田啓子)さんが9月15日、亡くなっていたことがわかった。享年・75歳。5年前に全身のがんであることを明かしていた樹木さん。8月13日には知人宅で左大腿骨を骨折し入院、15日に手術を受けて成功したが、一時は危篤状態であったことが伝えられていた。最期は自宅で家族に見守れながら息を引き取ったという。長年別居中ながら“絶対に離婚しない”と公言していた夫はロックミュージシャンの内田裕也、娘・也哉子の夫は俳優の本木雅弘。本木さんと也哉子さんの長男・雅楽(うた)はこの夏、パリコレデビューしたことが話題となり、長女・伽羅(きゃら)は映画『奇跡』『あん』で“祖母”の樹木さんと共演したことがあった。ネットには、この訃報に「信じられない…」という声が相次ぎ、「復帰されると信じていました」「樹木希林さんのお芝居が好きでした」「また一人、日本の大事な何かを失いました」といった悼む声が後を絶たない。1943年1月15日、東京都生まれの樹木さん。1961年に文学座研究生となり、当初は悠木千帆という芸名で活動。73年に内田さんと結婚する。1970~75年までシリーズ化された「時間ですよ」や、74~75年の「寺内貫太郎一家」でジュリー(沢田研二)ファンのおばあちゃん役がお茶の間で人気に。77年に樹木希林に改名する。77年放送の「ムー」、そして1978年から翌年にかけて放送された「ムー一族」の挿入歌として誕生した「お化けのロック」と「林檎殺人事件」で当時のトップアイドル・郷ひろみとまさかのデュエット。「林檎殺人事件」は音楽番組「ザ・ベストテン」でも12週連続ランクイン&4週連続1位を獲得するなど、大ヒットに。2015年の「音楽の日」では、36年ぶりに一夜限りのコンビ復活が実現していた。映画では、『鶴-つる-』『転校生』『夢千代日記』から『下妻物語』などまで多数の作品に出演し、『借りぐらしのアリエッティ』では声の出演も。『東京タワーオカンとボクと、時々、オトン』(07)、『わが母の記』(12)で日本アカデミー賞最優秀主演女優賞、『半落ち』(04)、『悪人』(10)で同・最優秀助演女優賞を受賞。ハンセン病患者を演じた2015年の『あん』(河瀬直美監督)では、日本人女優として初めてアジア太平洋スクリーンアワードの女優賞を受賞、「一番の年上ということでこの度(賞を)頂戴させていただきます。どうもありがとうございました」とコメントを寄せていた。近年は『歩いても 歩いても』(08)、『奇跡』(11)、『そして父になる』(13)、『海街diary』(15)、『海よりもまだ深く』(16)と是枝監督作品でも知られた。カンヌ国際映画祭パルムドール受賞作『万引き家族』では“疑似家族”を求心した家主である柴田初枝を好演。今年は、山崎努と夫婦役で初共演した『モリのいる場所』(沖田修一監督)も公開され、黒木華と多部未華子の茶道の先生役を演じた『日日是好日』(大森立嗣監督)が10月13日(土)に公開を控えていた。歯に衣着せぬ発言でもおなじみで、今年5月16日放送の「徹子の部屋」に出演した際には、 “終活”について語り、この放送の映像を「『徹子の部屋であの方、今年お亡くなりになりましたわね』っていうときに出して頂いて…」と樹木さんが話すと、黒柳徹子が「私は先になったらあなたがね(笑)でもあなた何言うかわからない、あなたにやっていただくのは嫌だわ。私はちゃんとやるわよあなたのお葬式はね」と返答、それに対して樹木さんも「そうだわね。私も保証できない」などと切り返すなど、2人の味のあるトークが繰り広げられていたところだった。心よりご冥福をお祈りいたします。(text:cinemacafe.net)
2018年09月16日日本公開を間近に控える映画『リグレッション』で主人公を演じるイーサン・ホーク。この度、俳優だけでなく映画監督、脚本家としても活躍し、最近ではレコードレーベルを設立したことが明らかになるなど、多才な活躍をみせる彼のコメントがシネマカフェに到着した。1990年のアメリカ・ミネソタを舞台に、父親からの虐待を告発した少女の事件を調べはじめた刑事が、事件の真相を追ううちに、この町に秘められた恐るべき巨大な闇に迫っていくという本作。1980年から90年初頭のアメリカでは、悪魔崇拝者による儀式が次々と告発され、多くの人々がパニックと疑惑の渦に巻き込まれ社会問題に。本作は、そんな話に着想を得て作られたサスペンスだ。◆出演作選びは“監督”がポイント?アカデミー賞ノミネート作『6才のボクが、大人になるまで。』や『マグニフィセント・セブン』、是枝裕和監督の最新作『La Verita』(仮題)など、様々なジャンルの作品に出演するイーサンだが、本作で演じているのは、主人公で刑事のブルース・ケナー。そもそも、本作への出演を決めた理由は何だったのか?イーサンは「本物のフィルム・メーカーは少ないと思う。アレハンドロは本物のひとりだから、僕が必要だと言われ真剣に考えたんだ」と言い、「『アザーズ』『海を飛ぶ夢』『アレクサンドリア』も好きだったし、一緒にやりたいと思った」と、アレハンドロ・アメナーバル監督が本作のメガホンをとることが重要だったと明かしている。また、「ピーター・ウィアーや、パヴェウ・パヴリコフスキのような世界中の監督たちとの仕事も楽しんだよ」とこれまで仕事を共にしてきた世界中の才能あふれる監督をふり返り、「アレハンドロは特にヨーロッパで評価が高い。才能豊かな監督との仕事はいつも楽しめるよ」と今作も楽しんだと語っている。◆事件の真相を追う刑事役は“謎だらけ”?映画に出演して30年以上になるイーサン。今回演じたブルース・ケナーという役は、その役者人生の中でも初めての挑戦だったようで、「ミステリアスな役柄でバックグラウンドの設定がないキャラクターは初めてだったんだ。この映画で気に入ったのは、余計なところが無く、謎が多いところ。ブルース役をやることになったけれど、誰も彼をきちんと知らない。友人に会ったこともない。妻や家族もわからない、子どもがいるかどうかも。何もわからない。この事件のことしかわからない」と謎だらけだと説明し、「アレハンドロと沢山話したが、これは殺人ミステリーで、他のことは関係がない、誰も気に掛けないので表現しない」とそれは監督のあえての演出だと言い、イーサンはそれが気に入ったのだという。◆“共演”エマ・ワトソンの今後にも期待「どうやって大人の役者になっていくのか」イーサンは本作で共演するエマ・ワトソンについてもコメント。今回エマが演じているのは、父親からの虐待を告発した少女アンジェラ・グレイ。ブルース・ケナーが追うのがこの事件だ。イーサンは「僕やエマのように若い頃からキャリアをスタートした場合、40歳を超えてもなお、演じる事を愛し、引き続き映画業界に関わっていくというのは、厄介な迷路を彷徨うような事」とエマの共通点を述べ、「僕は、そこが魅力的だと思っている」とコメント。また、「彼女はとてもスマートで、演技も素晴らしかったし、そのうえ学位を取っているなんて、全くもって尊敬するね」と絶賛し、「彼女がどうやって大人の役者になっていくのかを見るのが楽しみだよ」と今後の活躍にも期待を寄せているという。謎に包まれた少女暴行事件、真実は彼女の“記憶”の中に…。イーサン・ホークとエマ・ワトソン。人気実力派が出演する傑作サスペンスは、ぜひ劇場の大スクリーンで堪能して欲しい。『リグレッション』は9月15日(土)より新宿武蔵野館ほか全国にて順次公開。(cinemacafe.net)■関連作品:リグレッション 2018年9月15日より新宿武蔵野館ほか全国にて順次公開© 2015 Mod Entertainment Mod Producciones Himenoptero Regresion Canada Inc Telefonia Studios Regression A.I.E
2018年09月15日今年6月開催の「第71回カンヌ国際映画祭」で最高賞のパルムドールに輝いた是枝裕和監督(56)の「万引き家族」が、第91回米アカデミー賞外国語映画賞部門の日本代表に決定したと各スポーツ紙が報じた。各紙によると、日本映画製作者連盟が24日に発表。日本代表作品は申請のあった12作品から映画プロデューサーら7人の選考委員が選出にあたり、「万引き家族」に決まったという。今後は世界各国の出品作からノミネート作品が選ばれ、来年2月に受賞作が決定する。「アカデミー賞の本番で同部門にノミネートされるのは世界各国の映画の中からわずか5本の狭き門。日本の作品では08年にノミネートされ日本作品で初の栄冠を獲得した『おくりびと』(滝田洋二郎監督)以来、本番5枠にノミネートされた作品はありません」(映画ライター)さらに「アカデミー賞」のノミネート枠に残った場合、「万引き家族」には「おくりびと」以上の快挙が期待されているというのだ。「日本映画でパルムドールを獲得したのは5作品あります。そのうちアカデミー賞の外国映画賞部門を受賞したのは、1954年に『名誉賞』の1つとして外国映画が表彰された『地獄門』(衣笠貞之助)のみ。『外国映画賞』という単独の賞になってからのパルムドールとの二冠獲得となれば、史上初の快挙です」(映画担当記者)歴史的な快挙を達成した場合、日本中でフィーバーが巻き起こりそうだ。
2018年08月27日是枝裕和監督のカンヌ国際映画祭パルム・ドール受賞作『万引き家族』が、第91回米国アカデミー賞外国語映画賞部門の“日本代表作品”として出品されることが決まった。一般社団法人日本映画製作者連盟が発表した。第71回カンヌ国際映画祭コンペティション部門にて、日本人監督としては21年ぶりの最高賞“パルム・ドール”を受賞した本作。リリー・フランキー、安藤サクラ、松岡茉優、城桧吏、佐々木みゆ、樹木希林らが出演し、日本国内では8月12日(日)までに興行収入43億1200万円、約352万人動員を記録する大ヒット公開中。8月3日に約6,000スクリーンにて公開された中国では、週末興行成績が第4位(4,860万元/約7.9億円)を記録し、今年中国で公開された全実写邦画のオープニング成績を超える大ヒットスタートとなり、8月11日には8,390万元(約13.4億円)を突破、昨年公開の『銀魂』の記録を抜いて実写邦画NO.1を達成している。そのほかアジア圏、ヨーロッパ各国、北米など含め現在合計で185の国と地域への販売が決定。9月にスペインで開催される第66回サンセバスチャン映画祭において、是枝監督が生涯功労賞にあたる「ドノスティア賞」を受賞、さらには第36回ミュンヘン国際映画祭では外国語映画賞にあたる「ARR/OSRAM賞」を日本映画初受賞、米国アカデミー賞を占う前哨戦として名高い第43回トロント国際映画祭にも「Special Presentations 2018部門」に出品される予定。(社)日本映画製作者連盟は、米国の映画芸術科学アカデミー(ACADEMY OF MOTION PICTURE ARTS AND SCIENCES)より同アカデミーが主催する米国アカデミー賞外国語映画賞に、日本映画1本を選考し出品する依頼を受けており、外部委員による選考会を行い出品作を決定している。カンヌの常連として知られる是枝監督だが、自身も映画芸術科学アカデミー会員であり、同・外国語映画賞の出品作品に選ばれるのは『誰も知らない』以来14年ぶり。日本の作品が同・外国語映画賞を受賞したのは2009年、滝田洋二郎監督の『おくりびと』が初。近年は、『百円の恋』『母と暮せば』『湯を沸かすほどの熱い愛』などが日本代表として選出されてきたが、最終的にノミネート対象となるショートリスト入りはならなかった。米国アカデミー賞授賞式は現地時間2019年2月24日(日)、日本時間2月25日(月)が予定されている。『万引き家族』は全国にて公開中。(text:cinemacafe.net)■関連作品:万引き家族 2018年6月8日よりTOHOシネマズ日比谷ほか全国にて公開© 2018フジテレビジョンギャガAOI Pro.
2018年08月25日是枝裕和監督が総合監修し、5人の監督が日本の十年後を描くという国際プロジェクト『十年 Ten Years Japan』の公開日が、このほど11月3日(土)に決定したことが分かった。本作が描くのは、新しい年号になって10年目の未来――。まだ見ぬ日本を、20代から40代の5人の新鋭監督が「高齢化」「AI教育」「デジタル社会」「原発」「徴兵制」とそれぞれをテーマに、日本が抱える問題を見つめて描いていく。平成30年8月15日、本日は73回目の終戦記念日。本作の一編、ラストを飾る石川慶監督作『美しい国』は、徴兵制を公示するポスターを手掛ける広告代理店の社員・渡邊(太賀)が、デザインを一新するという防衛省の意向を大物デザイナーの天達(木野花)に伝えるという大役を先輩社員にふられてしまい…というストーリーで、“徴兵制”が施行された日本を描いた作品だ。いまの日本において、この“徴兵制”は遠いものに感じる人が大半かと思われるが、しかし、70数年前の日本には徴兵制があり、第二次世界大戦終盤には学徒出陣の名のもとに大学生さえも戦地に出征していたのも事実。では、日本が再びそのような事態となったら…?10年後の会社員の日常の仕事の中に“徴兵制”を描いたのはなぜだったのか。石川監督は以下のようにコメントしている。●石川慶監督コメント十年後、83歳以下の人は誰も戦争を知らない時代がやってきます。実質、戦争を覚えている人が社会からほとんどいなくなると言っても過言ではないのでしょう。話を聞きたくても、意見を仰ぎたくても、もうその人たちはいないのです。そう思うと、僕らはけっこう重要な転換期に生きている気がするし、たぶんとても重要な責任を負っているんだと感じます。でも僕は、次の世代に渡すべきバトンを何も持っていないことにただ愕然としてしまいます。“もう遅い/まだ間に合う”という香港版のキャッチコピーを重く受け止めつつ、“まだ間に合う”という思いを込めてこの短編を撮りました。『美しい国』のほか、本作は『PLAN75』『いたずら同盟』『DATA』『その空気は見えない』の5作品で構成。キャストには、杉咲花、太賀、川口覚、池脇千鶴、國村隼ら実力派俳優たちが参加する。『十年 Ten Years Japan』は11月3日(土)よりテアトル新宿、シネ・リーブル梅田ほか全国にて順次公開。(cinemacafe.net)■関連作品:十年 Ten Years Japan 2018年11月3日よりテアトル新宿、シネ・リーブル梅田ほか全国にて順次公開©2018 “Ten Years Japan” Film Partners
2018年08月15日第71回カンヌ国際映画祭コンペティション部門に正式出品された、東出昌大主演の『寝ても覚めても』。本作で初めての一人二役に挑戦した東出さんが演じたのは、つかみどころのない“元カレ”と優しく包み込んでくれる“今カレ”。まったくタイプのちがう2人の男性。あなたが心惹かれるのは、果たしてどちら?『PASSION』『ハッピーアワー』など、世界から注目を集める濱口竜介監督が芥川賞作家・柴崎友香による同名小説の映画化を熱望し完成した本作。5月に行われたカンヌ国際映画祭では、是枝裕和監督『万引き家族』と共にコンペティション部門に選出され、海外メディアからも絶賛された。■東出昌大演じる2人の男の魅力を徹底比較!東出さんが演じるのは、ミステリアスな自由人・麦(ばく)と誠実なサラーリマン・亮平。ヒロインの朝子は大阪で麦にひと目ぼれし、運命的な恋に落ちるが、麦は突然朝子の目の前から姿を消す。その数年後、東京で朝子は麦とそっくりな亮平に出会う。恋したら絶対危険!ヤケド必至のワイルド系イケメン・鳥居麦2009年、大阪で牛腸茂雄の写真展を見た後に朝子(唐田えりか)と麦は出会い、ひと目ぼれの恋に落ちる。ボサボサのロングヘアでサンダル履き、よれたTシャツ姿のワイルド系だが、語り口調は柔らかい。朝子と同じ大学に通う岡崎(渡辺大和)の遠縁で、彼の家に下宿している。朝子の親友・春代(伊藤沙莉)は「絶対アカンやつや、朝ちゃん、泣かされるで!」と忠告するも、朝子の耳には届かない。DJをこなし、バイクで朝子を海に連れていく麦。父親は北海道で穀物の研究をしており、妹の名前は米(まい)という、穀物しばりの名前の兄妹。ある日、「靴を買いに行く」と言って出掛けたまま、行方不明に。運命的に出会うも、一緒にいるといつも不安で…。だからこそ、好きにならずにいられなかった麦との刹那な時間。こんな人には2度と出会えないと思わせる、一生一度の恋だった。包容力、ユーモア、家事力、コミュ力…現代のハイスペック男・丸子亮平2011年、東京の喫茶店で働いている朝子はコーヒーのデリバリーをした清酒メイカー・紅錦の会議室で亮平と出会う。麦とそっくりな亮平に、朝子は取り乱し、“姫路出身”、“大学は大阪で関西弁を操る”、“一人っ子”…麦とは別人であることを認識してからはより避けるように。しかし、亮平に対して朝子がぎこちない態度をとればとるほど、亮平は朝子が気にかかり、好意を持つ。やがて、まっすぐな亮平の想いに朝子も応えるようになり、2人は結ばれる。仕事熱心で、人当たり良く、空気を読み、常に朝子を思いやる温かさと包容力を持つ。猫のジンタンと、亮平と朝子の生活は穏やかで安心感に満ちていた。朝子に対してだけでなく、周りにも気づかいのできる包容力のある大人の男だ。時期を異にして、そっくりな顔の2人と付き合ったなら、「いまの恋人が自分にとって最良の相手なのか?」「かつて大好きだった元恋人と再会したら?」といった妄想はふくらむばかり。東出さんが演じたタイプの異なる2人の男、どちらと過ごすのが刺激的か?幸せか?ぜひ劇場で、自分の恋愛観を確かめてみて。『寝ても覚めても』は9月1日(土)よりテアトル新宿、ヒューマントラストシネマ有楽町、渋谷シネクイントほか全国にて公開。(text:cinemacafe.net)■関連作品:寝ても覚めても 2018年9月1日よりテアトル新宿、ヒューマントラストシネマ有楽町、渋谷シネパレスほか全国にて公開©2018 映画「寝ても覚めても」製作委員会 / COMME DES CINÉMAS
2018年08月14日『万引き家族』が36億円を超える大ヒットを記録している是枝裕和監督の最新作が、フランスの地で海外の俳優たちとタッグを組んだ日仏合作映画であることが明らかになった。仮のタイトルは《La Vérité (仏題)》で、主演にフランスの至宝で世界的大女優のカトリーヌ・ドヌーヴ、共演にこちらも名女優のジュリエット・ビノシュ、日本でも人気の高いイーサン・ホーク、リュディヴーヌ・サニエらが顔を揃える。「役者とはいったいどんな存在なのだろう」という素朴な疑問から、いまから15年ほど前に「クローク」というタイトルで、劇場の楽屋だけを舞台にした一幕もののお芝居を書き始めたのが本作のスタートだった。その時は残念ながら脚本を完成しなかったというが、2011年に以前から親交があったジュリエット・ビノシュが来日した際に、対談を行い「なにか将来的に一緒に映画を」と意気投合し企画が動き出した。その後、アイデアをキャッチボールしていく過程で、止まっていたアイデアは、フランスを舞台に脚本が書き直され、動き出した。必然的に主人公はフランス人女優ということになる。是枝監督は「自作のフランス公開時のキャンペーンで会ったり、フランス映画祭で来日したときに会ったりと、意外といろいろなところで交流があったんです」とドヌーヴとの接点を語ると「最初は社交辞令的に『機会があれば』と話していたのですが、具体的に2年ぐらい前にオファーしました」と当時を振り返る。是枝監督のオファーに対して、ドヌーヴは快諾してくれたという。「女優の話だったので、脚本を書くためのヒアリングもさせていただきましたし、一緒に作っている感じだった。ビノシュやドヌーヴは味方になってくれました」。日仏合作という座組だが「政府の助成を受けるためには、フランス映画にしなくてはいけない。そのため、一定の割合でフランスのスタッフを起用する必要があるんです」と事情を述べる。是枝監督がメガホンをとり、脚本、編集まで担うと、その他はフランス人スタッフになるという。是枝監督作品といえば、子役が強い存在感を示すことが多いが「いまオーディションをしていますが、決めてかねています」と実情を明かす。「これまでのように、台本を渡さず、口伝えで演技をしてもらったのですが、本人から(演技が)出ているのか、わからず止まっているんです」と日本でのやり方が正しいか模索中だという。それでも、イーサンがオファーを受けてくれたことで、大きく道は開けたという。「彼はあて書きをしたので、断られたらどうしようかと思った」と笑顔で語っていたが「カンヌ国際映画祭が終わったあと、ニューヨークに行って直接会って話ができたのが大きかった。彼は『6才のボクが、大人になるまで。』で子役の良さを引き出していたので、力になってくれると思います」と期待を胸にしていた。まだ全貌は明らかになっていないが、脚本は是枝監督の単独で、セリフはフランス語と英語、順調にいけば完成予定は来年だと話していた。出演者のコメントは以下のとおりカトリーヌ・ドヌーヴここ数年、是枝監督の映画を観て、そしてパリ、カンヌ、東京でもお会いする機会がありました。賞賛の気持ちをお伝えすることはできたのですが、まさか私たちが一緒に映画を作れる日が来るなんて想像もしていませんでした。一緒に映画を作れる…それもフランスを舞台に! 魅力に溢れ、ユーモアと同時に残酷さを備えた素晴らしい脚本です。言語の壁については、恐れるよりも私はむしろ好奇心をそそられます。それがもう一つの挑戦になるだろうと知りつつも、是枝監督と一緒に仕事をするのがたいへん楽しみです。ジュリエット・ビノシュ是枝監督とこの人生の一時を分かち合えることを楽しみにしています。14年前にお会いしてから、この瞬間を待っていました。是枝監督の視線は、柔らかなベルベットのレーザーのように、私たちの心を見透かします。イーサン・ホーク是枝監督にお会いできて嬉しかったです。監督の映画は素晴らしい。現役で活躍している偉大な監督の一人とコラボレーションできることはまたとない機会です。また、パリで、カトリーヌ・ドヌーヴとジュリエット・ビノシュと一緒に映画を作れるなんて、夢のようなお話です。ある一人のアメリカの俳優にとって、本当に唯一無二の体験になりそうです。リュディヴーヌ・サニエ是枝監督に初めてお会いしたのはカンヌで、「そして父になる」という素晴らしい作品の上映時でした。それ以来、ほとんどの是枝作品を観て、交流を持ち続けていました。パリで映画を撮られることを、私は秘かに夢見ていたんです!この作品への参加をお声がけいただいた時には、耳を疑いました。一緒に映画作りができること、そして是枝監督のフランスの夢の一部になれることを、とても誇りに思います。《La Vérité (仏題・仮)》は2019年、公開予定。(text:cinemacafe.net)
2018年07月16日是枝裕和監督の『誰も知らない』がカンヌ国際映画祭に出品され、当時14歳だった柳楽優弥が史上最年少の男優賞を受賞したのが2004年。城桧吏(じょう・かいり)はそのときまだ、生まれてもいなかった。それから14年。是枝監督の最新作『万引き家族』が同じカンヌで今度は最高賞のパルムドールを獲得した。同作で一家の長男、生活費を補うために万引きをする祥太を演じた城桧吏に対し、国内外から絶賛の声が集まると共に、『誰も知らない』の柳楽さんを彷彿とさせるという声も聞こえてくる。本人に聞いてみると「言われます(笑)。すごく嬉しいです」とニッコリ。「いつか、共演したいです。頑張ります!」と力強くうなずく。だが、この12歳の少年、既に唯一無二の存在になりうるポテンシャルを持っている。これからさらなる注目を浴びることは必至! そんな城桧吏を徹底解剖!――『万引き家族』がついに公開を迎え、2週連続で週末興行ランキング1位というヒットスタートを切りました。まわりの人の反応は?みんなに「観たよ」と言われます。1年生の子に「TVに出てる人でしょ?」って通学路で言われたり、友達からも「観たよ」とか「面白かったよ」、「感動したよ」とか言われます。仲のいい友達が2人「泣いた」って言ってくれました。――学校の先生からはなにか言われますか?「疲れてない?」って(笑)。担任の先生はすごく優しいんです。――特に自分が出演しているシーンで「ここ見て!」と言いたいところは?釣りのシーンでルアーの説明をするところかな? すごく長いけど、アドリブなんです。釣りに詳しいスタッフさんがいて、監督とも相談しながら「こんな感じでいこうか」というのだけ決めて、それを僕が自分でまとめてああやって話したんです。――完成した映画を観て、どうでしたか?自分が出てるシーンはやっぱり、スクリーンに自分が映っているのがちょっと不思議な感じで…え? 僕ってこんな顔するんだ? って(笑)。普通の顔をして、普通に話しているつもりでいたので。でも面白かったです!――自分で見ながら感動したシーンは?やっぱり、ラストのリリーさんとのシーンかな? グッときちゃいました。あのシーンは撮影でも最後の方で、演じている時も泣きそうになりました。でも、祥太としては泣いちゃいけないので、すごくこらえてました(笑)。――パルムドール受賞後、取材される機会が一気に増えたと思いますが、慣れましたか?ちょっとは慣れたのかな…? でも、しゃべるのは苦手なんです(苦笑)。――カンヌのレッドカーペットはどうでした?緊張しました! 僕、いつもすぐ転ぶんで、転ばないようにって気をつけながら…。――手足が同時に出たりは…。前に学校のリレーのとき、緊張して手足が同時に出ちゃったことがあったけど、今回はなんとかそうはならないで歩けました(笑)。――カンヌでは自分用に何かおみやげは買いましたか?映画祭限定のノートを買いました。あとはペンと金でできたトランプ。――金のトランプ? 折れ曲がったりしたらと思うと、使うのが怖いかも…。でも、すぐに使っちゃいました。――弟さんがいるんですよね?おみやげは?います。弟には必要ないですよ~(笑)。――お兄ちゃんがフランスに行って、すごいことになってることはわかってそうですか?「どこ行くの?」とは聞かれました。だから「おふらんすだよ~」って(笑)。いまは、映画のCMが流れたり、家族の誰かがTVで出ていたりすると「あっ『万引き家族』、『万引き家族』って言ってますね(笑)。――撮影は昨年の冬でしたよね? その頃と比べると身長は…?5センチ弱くらい伸びたかな?いまはだいたい147センチくらいです。上履きのサイズも23センチから24センチになりました。――147センチだとクラスでは…真ん中くらいです。でも、最近、一気に2人に抜かれちゃって。でも中学生になったら、もっとグングン伸びると思います!――映画の中の祥太と比べると、確かにいまの方がずっと大人っぽいです。でも、祥太の方が僕よりも大人びてるなと思います。リリーさんや監督も「精神年齢は祥太の方が上かな」って(笑)。――お父さんやお母さんからはなんて言われますか?「(妹役を演じた佐々木)みゆちゃんと同い年くらい」って。僕が年齢より幼くて、みゆちゃんは大人っぽいから、ちょうど同じくらいなんじゃないの?って。――改めて、この映画がパルムドールを受賞して、桧吏くんの人生は変わりましたか?うーん、そうですね。この映画でカンヌに行って、パルムドールを獲ってなかったら、海外の人に「城桧吏」という名前は知ってもらえなかったと思うし。――世界中の観客や映画監督があなたの存在を認識しています!いやぁ、どうなんでしょう…? でも普通の生活のほうが落ち着きますね。「あ、桧吏だ」って指差されるよりも、普通に学校に通って、生活してというほうが。気を遣われるのもイヤだし…。――大人です(笑)! これまでもスタメンKiDSの一員として活動してきましたが、周りはみんな知ってたんですか? 「あ、城桧吏くんだ」と言われたりすることは?あんまりなかったですね。ライブ中にたまたま、同じクラスの子が通りかかって「あ、桧吏だ!」ってなったことはありましたけど。いまはみんな、知ってますけど。――ちなみに「城桧吏という名前は本名なんですよね?はい。――結構、変わった名前ですよね?そうですか? でも、同じクラスにもう一人、「かいり」という名前の子がいます。――名前の由来は聞いたことありますか?「かいり」という音の響きがかわいいと思ったみたいです。――現在、スタメンKiDSの活動と俳優の仕事を両方やっていますが、いまの時点で将来の夢は?やっぱり俳優ですね。この映画に出て、その思いが強くなりました。これまでも「楽しいな」と思いながら演技の仕事をしてましたけど。もちろん、普段の生活で万引きすることなんてないし、ワイヤー使ってアクションして飛んだりとか、日常でなかなかできないことがいっぱいできるので。――好きな映画やドラマは?最近、放送が終わっちゃったけど、ドラマの「コンフィデンスマンJP」は好きで見てました。今度、映画になると聞いたんで、絶対見に行きたいです。あとは『GANTZ』かな?――実写版の?はい。あと3DCGアニメの『GANTZ:O』も好きです。もともと、お父さんがDVDを持ってて、僕はねぎ星人とか田中星人が怖いし、足がちぎれたり、血が飛んで怖かったんですけど、だんだん面白くなってきて。最初は「これ、本当にあった話なのかな?」とか思ってたんですけど(笑)。――画面の中ですごいことが起きてるなと(笑)?最近は、どうやって撮ってるのかな? と考えたりしながら見てます。『進撃の巨人』も好きです。アニメも実写も好きなんですけど、今回の『万引き家族』の現場に『進撃の巨人』に参加していたスタッフさんがいて、いろいろ話を聞きました!――また是枝監督の作品に出ている姿も見たいです。そういえば、是枝監督の『誰も知らない』は見ましたか?見ました!――あの作品でカンヌで男優賞を獲った柳楽優弥さんと桧吏くんがよく似ているという話を聞きますが、周りから言われることは?言われます(笑)。すごく嬉しいです。――柳楽さんは事務所の先輩ですね。直接、お会いしたことはないんですけど、いつか共演したいです。頑張ります!――好きなミュージシャンは?最近よく聞いてるのが米津玄師さん。「砂の惑星」とか「灰色と青」、「LOSER」とか好きですね。――学校の教科で好きなのは?体育かな?――短距離走が得意だとか?でも、サッカー部のみんながすごく速くて…。――趣味は?いま、ペンまわしを練習中です!――ゲームも好きだと聞きました。ゲームはどんなのをやるんですか? 携帯ゲームとか?いや、携帯ではゲームはしないです。Nintendo Switchで「スプラトゥーン」や「進撃の巨人」をやってます。――自分用のスマホは持ってるんですか?今年の5月くらいから持ってます! ずっとほしかったんです。――お父さん、お母さんに「ほしい」ってずっと言い続けて?ずっと「待ちなさい」って言われてて、やっと最近、持たせてもらえました(笑)。(photo / text:Naoki Kurozu)■関連作品:万引き家族 2018年6月8日よりTOHOシネマズ日比谷ほか全国にて公開© 2018フジテレビジョンギャガAOI Pro.
2018年07月08日ベストセラー小説や少女漫画、少年漫画の人気作が相次いで映画化されている日本映画界。そんな中、第71回カンヌ国際映画祭にてパルムドールを受賞した『万引き家族』は是枝裕和監督の集大成ともいえるオリジナル脚本であり、映画ランキングで3週連続1位を獲得、興収は30億円を突破する大ヒットとなっている。また、毎年、新世代クリエイターを世に送り出す「ゆうばり国際ファンタスティック映画祭2018」にて観客賞にあたる「ゆうばりファンタランド大賞」を受賞したホラーコメディ『カメラを止めるな!』は、劇場公開されるや、連日満席が続いているという。かつて同賞を受賞した松居大悟監督の渾身の最新作『君が君で君だ』をはじめ、これからの猛暑を前に、日本映画のオリジナル作品がいまヒートアップを続けている!■現在公開中!監督の熱い思いが観客に伝播する2作品6月9日(土)より公開されている『榎田貿易堂』は、『虹色デイズ』が公開される飯塚健監督と、バイプレイヤー・渋川清彦の同郷タッグによるヒューマン・コメディ。「扱う品はゴミ以外。何でも来い」を信条にした群馬県渋川市にある開業4年目のリサイクルショップ・榎田貿易堂は、高校卒業後に上京したもののパッとせず、39歳で故郷に戻ってきた榎田洋二郎(渋川さん)が開いた店。ここに集う人間模様をユーモラスに映し出し、それぞれの再出発を描写、人生の悩みをシュールな笑いで包み、話題を呼んでいる。6月23日(土)より公開中の『カメラを止めるな!』は、新人監督・上田慎一郎のもと無名俳優により製作されたスーパーエンターテインメント作。斬新な構造と緻密な脚本、そしてキャスト・スタッフの熱い魂のこもった渾身の37分間におよぶ“ワンカット・ゾンビサバイバル”により、連日満席となっている。■人気俳優が参加!異色の恋愛物語も熱いこの2作のように、立て続けに監督の熱い思いが込められた作品が劇場を盛り上げている中、7月7日(土)からは新たなオリジナル作品が公開される。松居大悟監督が「最後の意地を込めた」と発言し、主演の池松壮亮が「やばい人たちのテラスハウス」と表現する『君が君で君だ』。「尾崎豊」や「ブラッド・ピット」、「坂本龍馬」という、好きな女の子(キム・コッピ)の好きな男になりきり、10年間見守り続けた男たち(池松さん&満島真之介&大倉孝二)を描いた、異常か純情か判断しかねる愛を描いた衝撃の完全オリジナルラブストーリー。“2人が付き合う、付き合わないといっただけではない愛のあり方もある”という持論をユーモラスかつ、熱烈な表現で描き、完成披露試写会などでは「心が八つ裂きにされそう」「この感情は言葉でうまく説明できないが、すごい」と評され、観客たちに衝撃と熱を伝播させている!いずれも独特の視点を持つ作品ばかり。それぞれに込められた熱を、劇場で確かめてみて。『君が君で君だ』は7月7日(土)より全国にて公開。(text:cinemacafe.net)■関連作品:君が君で君だ 2018年7⽉7⽇より全国にて公開ⓒ2018「君が君で君だ」製作委員会
2018年07月07日6月21日(木)~24(日)まで、13年ぶりに横浜にもどり開催された「フランス映画祭2018」が好評のうちに閉幕。観客の声から選ばれる「エールフランス観客賞」は、結婚式でのドタバタ人間模様を描いた『セラヴィ!』が受賞した。横浜・みなとみらいホールで行われたオープニングセレモニーでは、フランス映画祭団長の名女優ナタリー・バイと、横浜出身でフェスティバル・ミューズを務めた常盤貴子が開会を宣言。『万引き家族』でカンヌ国際映画祭パルムドールに輝いた是枝裕和監督、本映画祭の特別協賛である日産自動車のカルロス・ゴーン会長も駆けつけていた。そして、満員となったオープニング作品『セラヴィ!』の上映を皮切りに、日本未公開のフランス映画、長編14本と短編1本が上映。上映会場となったイオンシネマみなとみらいには多くの観客が詰めかけ、会期中には『セラヴィ!』ほか、鬼才フランソワ・オゾン監督が登壇した『2重螺旋(らせん)の恋人』、『夜明けの祈り』『ココ・アヴァン・シャネル』のアンヌ・フォンテーヌ監督がLGBTをテーマにした『マルヴィン、あるいは素晴らしい教育』など6作品が満員御礼!会場は連日、フランス映画ファンの熱気でいっぱいとなった。上映後に行われた各回の来日ゲストによるQ&Aやサイン会も大盛況。今年は、会場での一般客の撮影を規制せず、サイン会に移動する前のロビーでは各回のゲストの撮影時間がとられるなど、観客とフランス代表団の交流の場を設ける形に。13年前の横浜時代を彷彿とさせる、横浜ならではのアットホームな映画祭が実現した。また、若い世代にフランス映画と接する場を作るべく、オープニングセレモニーのみ、横浜市民は500円で鑑賞できる割引サービスを実施。横浜市立大学、東京藝術大学、早稲田大学にて授業の一環として学生を対象としたマスタークラスも開催され、フランス映画の作り手と日本の学生たちが接する場が設けられた。横浜市立大学の学生たちは、ボランティアスタッフとして映画祭の各会場にて活躍したという。そんな中、上映時に配布したアンケートによって選ばれる「エールフランス観客賞」を、オープニング作品の『セラヴィ!』が受賞。日本でも大ヒットした『最強のふたり』の監督コンビによる、ベテラン・ウェディングプランナーをとりまく結婚式での人間模様を描いたコメディが観客の心をつかんだ様子だ。『セラヴィ!』は7月6日(金)より渋谷・シネクイントほか全国にて公開。(text:cinemacafe.net)
2018年06月27日ゲストの悩みに史上最強弁護士軍団が白黒つける「行列のできる法律相談所」の6月24日(日)今夜放送回のゲストに俳優の中村倫也がゲスト出演。注目度急上昇中の中村さんはMC・後藤輝基、そして人気弁護士軍団らとどんなトークを展開するのか!?今回は中村さんのほか八嶋智人、草刈麻有、城彰二、東野幸治、宮迫博之、渡部建、ブルゾンちえみらがゲスト出演、「私、あの人に嫌われているかも?実名告白SP」と題しての放送となる。中村さんはメールを無視した先輩俳優「Y」とご対面…果たしてどうなる!?八嶋さんがケンカを売られ大モメとなったのはあの脚本家で俳優の「M」…どんなケンカの売られ方をしたのか?草刈正雄の娘である麻有さんは父への不満と俳優「K」の裏切り行為を激白。城さんは自分の電話に一切出ない元サッカー日本代表「M」の存在を明らかに。芸能人「T」がいま悩んでいることをガチで法律相談…などなどゲスト陣の「嫌われてるかもしれない人」が続々登場する。さらにスタジオには可愛すぎるナマケモノに、リアルな巨大肉食恐竜も登場、振り幅広すぎな“動物”ゲストもお見逃しなく。松坂桃李、菅田将暉らを擁する芸能事務所「TOP COAT」にスカウトされ、映画『七人の弔』でデビューした中村さん。ブロードウェイミュージカルの日本版「RENT」で主要キャストに抜擢され、是枝裕和監督作『そして父になる』や映画版『海月姫』『3月のライオン』など数々の作品で注目されるようになると、「ホリデイラブ」や先日放送が終了した「崖っぷちホテル!」、さらには連続テレビ小説「半分、青い。」などで活躍。一躍ブレイクを果たした。そんな中村さんは、現在Huluで配信中の「ミス・シャーロック/Miss Sherlock」でも好演中。竹内結子が史上初の“女性版”シャーロック・ホームズを演じ、貫地谷しほりがそのバディ、ワトソン役を演じる同作。中村さんは滝藤賢一演じる礼紋警部の部下で熱血漢の柴田巡査部長役で出演している。「ミス・シャーロック/Miss Sherlock」はHuluにて独占配信中、世界19か国HBOアジアにて放送。「行列のできる法律相談所」は6月24日(日)21時~日本テレビ系で放送。(笠緒)
2018年06月24日映画『夜明け』が、2019年1月18日(金)新宿ピカデリーほか全国ロードショー。主演は柳楽優弥、メガホンを取るのは、是枝裕和監督の愛弟子・広瀬奈々子監督だ。柳楽優弥が一人の秘密を抱える青年に『誰も知らない』で日本人初、カンヌ史上最年少で主演男優賞を受賞し、映画『ディストラクション・ベイビーズ』『銀魂』などで抜群の演技力を発揮してきた俳優・柳楽優弥が、次に演じるのは一人の青年。「シンイチ」と自らを名乗るが、実はある秘密を抱えて逃れてきたため、本名を明かせないでいる。ある日、そんな「シンイチ」を川辺で見つけた、初老の男・哲郎。水際に倒れていた「シンイチ」を自宅で介抱し、元気になった彼を自らが経営する木工所に連れていき、技術を教える。徐々に距離を縮め、何かを埋め合うように信頼関係を築いていくように見えた二人だが、しかし哲郎も決して忘れられない過去を抱えていた。柳楽優弥とタッグを組むのは、映画初共演となる俳優・小林薫だ。是枝裕和・西川美和監督の愛弟子、広瀬奈々子が監督デビューメガホンをとるのは、是枝裕和監督の愛弟子といわれる広瀬奈々子監督。『万引き家族』の是枝裕和監督、映画『永い言い訳』の西川美和監督が立ち上げた制作者集団「分福」卒業の広瀬奈々子監督は、映画『夜明け』がデビュー作。ある秘密を抱えて逃れてきた青年と、彼を偶然助けることとなった見ず知らずの初老の男が“家族”になろうとした、その先に見た物は……?孤独な魂を抱えた二人の物語をドラマティックに描き出す。主演の柳楽優弥、小林薫のほか、堀内敬子、YOUNG DAISなどがキャストとして参加する。なお、映画『夜明け』は第19回東京フィルメックスにてスペシャル・メンションを受賞。世界各国の映画祭への招待が相次いでいる。あらすじ地方の町で木工所を営む哲郎(小林薫)は、ある日河辺で倒れていた見知らぬ青年(柳楽優弥)を助け、自宅で介抱する。「シンイチ」と名乗った青年に、わずかに動揺する哲郎。偶然にもそれは、哲郎の亡くなった息子と同じ名前だった。シンイチはそのまま哲郎の家に住み着き、彼が経営する木工所で働くようになる。木工所の家庭的な温かさに触れ、寡黙だったシンイチは徐々に心を開きはじめる。シンイチに父親のような感情を抱き始める哲郎。互いに何かを埋め合うように、ふたりは親子のような関係を築いていく。だがその頃、彼らの周りで、数年前に町で起きた事件にまつわる噂が流れ始める──。詳細映画『夜明け』公開日:2019年1月18日(金)新宿ピカデリーほか全国ロードショー監督・脚本:広瀬奈々子出演:柳楽優弥/ YOUNG DAIS鈴木常吉堀内敬子芹川藍高木美嘉清水葉月竹井亮介飯田芳岩崎う大(かもめんたる)/ 小林薫配給:マジックアワー
2018年06月22日「フランス映画祭2018 オープニングセレモニー」が6月21日(木)、横浜みなとみらいホールにて開催され、映画祭団長のナタリー・バイ、フランソワ・オゾン監督、フェスティバル・ミューズの常盤貴子、スペシャルゲストの是枝裕和監督などが豪華集結した。■フランス映画祭が13年ぶりに横浜で開催今年で26回目を迎える「フランス映画祭2018」は、日仏交流160周年を迎え、6月21日(木)から6月24日(日)まで、13年ぶりに横浜の地で開催。今年もファン待望のラインナップが揃い、各作品の上映の前に、オープニングセレモニーが行われた。■レッドカーペットイベントに豪華映画人が集結レッドカーペットイベントには、横浜出身の常盤さんが最初に登場。あいさつのためにマイクを持つと、「自分の育った街でフランス映画祭が行われることを本当に誇りに思います。これから映画祭が横浜にどんどん馴染んでいって、“横浜といえばフランス映画祭、フランス映画祭といえば横浜”というふうになったら、横浜がもっと、もっとおしゃれな雰囲気になるのではとすごく期待しています」と笑顔を弾けさせた。最後に「フランス映画祭が横浜に戻ってきてくれて本当に感謝しています」などとフランス語で心境を言葉に。常盤さんは、フェスティバル・ミューズとして、映画祭団長のナタリー・バイ、フランソワ・オゾン監督、同映画祭オープニング作品『セラヴィ!』のオリヴィエ・ナカシュ監督&エリック・トレダノ監督など豪華ゲストを出迎えた。■是枝裕和監督、映画祭に対する思いをスピーチホール内に場所を移して行われたオープニングセレモニーでは、カンヌ国際映画祭で日本人監督としては21年ぶりに最高賞となる「パルム・ドール」を映画『万引き家族』で受賞した是枝裕和監督が、お祝いに駆けつけた。是枝監督は「僕たち作り手にとっても本当に貴重な時間であり、場所です」と映画祭に対する思いを実感を込めて言葉にした。「尊敬するフランスの映画人の方たち、映画を愛し、映画祭を支えている方たちと同じ壇上に立つことができて光栄です」と感激の様子で祝辞のスピーチを行った。■常盤貴子&ナタリー・バイが高らかに開会宣言ナタリー・バイ団長と常盤さんが開会宣言を行うことになったが、ナタリー・バイ団長がフランス語で開会宣言を行った後、いったん日本語通訳がナタリー・バイ団長の言葉を日本語に翻訳して「フランス映画祭2018の開会を宣言します」と会場に紹介。続いてマイクの前に立った常盤さんは「(通訳の方と)同じことになってしまいますが(笑)」と声を上げて大笑いした後、改めて、「フランス映画祭2018、本日、横浜にて開催いたします!」と宣言し、オープニングイベントを盛り上げた。(竹内みちまろ)
2018年06月21日最新作『万引き家族』が第71回カンヌ国際映画祭で最高賞のパルムドールを受賞した是枝裕和監督が、福山雅治を主演に迎え、2013年に製作した感動のドラマ『そして父になる』。本作を是枝監督自ら再編集した特別版が、6月16日(土)にフジテレビ系「土曜プレミアム」にてオンエアされる。これまで育てた子が出生時、病院で取り違えられた他人の子だったら…。子どもを取り違えられた2組の夫婦の葛藤するさまを描く感動のドラマにして、2013年度のカンヌ国際映画祭「審査員特別賞」受賞作でもある本作。主演の福山さんは今作ではじめて父親役に挑み新境地を開拓。福山さん演じる主人公の妻役には尾野真千子。もう一組の夫婦役で真木よう子とリリー・フランキーが出演。さらに風吹ジュン、國村準、樹木希林、夏八木勲ら豪華俳優陣の演技が物語により深みを与えている。大手建設会社に勤め、都心の高級マンションで暮らす野々宮良多(福山さん)は、成功を自分の能力と努力で培ったと自負していた。そんな良多は6歳になった一人息子慶多(二宮慶多)の優しすぎる性格をもどかしく思っていた。ある日、一本の電話で良多の人生は変わる。妻・みどり(尾野さん)が慶多を生んだ、出身地・群馬の病院で子どもの取り違えがあったことが発覚したのだ。DNA鑑定の結果、慶多は他人の子だった。みどりは気づかなかった自分を責め、良多は息子に抱いていた不満の意味を知る。良多は、戸惑いながらも相手方の家族と交流を始めるが、群馬で小さな電気屋を営む斎木雄大(リリーさん)とゆかり(真木さん)夫妻の身なりや粗野な言動に眉をひそめる。過去の取り違え事件では100%血のつながりをとるというが、一心に愛情を注いできたみどりと、温かで賑やかな家庭を築いてきた斎木夫婦は、育てた子を手放すことに苦しむ。早い方が良いという良多の意見でついに“交換”が始まるが、そこから、良多の「父」としての本当の葛藤が始まる――。是枝監督の最新作『万引き家族』も大好評公開中。こちらは“親子”ならではの連携プレーで万引きに精を出す父子が、団地の廊下で凍えている幼い女の子を連れ帰ったことで“新たな家族”を迎えることになるが、ある事件をきっかけに家族の隠された秘密が明らかになっていく――というストーリー。リリーさん、安藤サクラ、松岡茉優、樹木希林といった是枝作品常連組と新キャストが織りなす家族の物語はぜひ劇場で。『そして父になる』は6月16日(土)21:30~フジテレビ系「土曜プレミアム」でオンエア。(笠緒)■関連作品:そして父になる 2013年9月24日〜27日より全国にて先行公開、9月28日より新宿ピカデリーほか全国にて公開© 2013『そして父になる』製作委員会
2018年06月16日映画『万引き家族』(公開中)の大ヒット御礼舞台挨拶が14日に都内で行われ、リリー・フランキー、高良健吾、山田裕貴、城桧吏、佐々木みゆ、是枝裕和監督が登場した。同作は是枝裕和監督によるオリジナル作で、第71回カンヌ国際映画祭にて、最高賞 パルムドールを受賞した。生活品を万引きで賄う"万引き家族"が、近隣の団地の廊下で震えていた幼女・ゆりを娘として育てることに。しかし、ある事件をきっかけに家族はバラバラに引き裂かれ、それぞれが抱える秘密と切なる願いが次々と明らかになっていく。子役に台本を渡さず、口伝えでセリフを伝えていくことで知られている是枝監督。パルムドールをとった同作品では、城桧吏、佐々木みゆといった子役の自然な演技にも注目が集まっていた。6歳の佐々木は、舞台挨拶でも自由に振舞う大物っぷりを見せている。今回の舞台挨拶でも、共演した高良の印象を聞かれて「怖〜い怖〜い幽霊みたいでした」と答え、高良がショックを受ける一幕も。また、リリーが耳元で囁き、MCの質問に「別に」と言わせようとすると、手を振って否定する。さらにリリーが「みゆちゃんに質問があります。女子一人だからキャバクラみたいな質問でしょうがないんだけど」と言った時も、佐々木は「やめてください!」とキッパリ拒否する。一方で「僕と、高良くんと、山田くんと、お父さんだったら誰がいいですか?」と聞かれると、「万引き家族!」と、リリーが一番良かった様子。実際に、舞台挨拶中もリリーからしかマイクを受け取らないなど、まるで本当の親子のような姿を見せていた。しかしリリーが「目標は、樹木希林みたいな不動産をたくさん持ってる女優さんになりたいんだよね?」と尋ねると、「やーめーてください!」と制しており、山田も「できあがってますね」と感心していた。他の人が話している時も、かなり自由に動いている佐々木。いわゆる「子役」という行儀の良さではない等身大のかわいらしさに、周囲の人たちや観客も目が離せない様子で、佐々木の動き一つ一つに微笑ましい笑いが生まれる。しかし自由すぎて舞台から去ってしまうようなことはもちろんなく、マイクを向けられればしっかりとした受け答えをする様子は、未来の大物女優の片鱗を覗かせるようだった。
2018年06月15日映画『万引き家族』(公開中)の大ヒット御礼舞台挨拶が14日に都内で行われ、リリー・フランキー、高良健吾、山田裕貴、城桧吏、佐々木みゆ、是枝裕和監督が登場した。同作は是枝裕和監督によるオリジナル作で、第71回カンヌ国際映画祭にて、最高賞 パルムドールを受賞した。生活品を万引きで賄う"万引き家族"が、近隣の団地の廊下で震えていた幼女・ゆりを娘として育てることに。しかし、ある事件をきっかけに家族はバラバラに引き裂かれ、それぞれが抱える秘密と切なる願いが次々と明らかになっていく。公開から7日間で興行収入は12億、動員は100万人を突破し、まさに「大ヒット」中の同作。父の日に合わせて、作中で父親を演じる3人の俳優と、子役の2人が集まった。是枝監督は、俳優陣の役について「みんなそれぞれ違う父性と向き合いながら、うまくいってる人といってない人がいる。高良さんの父親は理想的といってもいいけど、カギカッコ付きの『父性』。そんな2人の中、リリーさんが演じている父親がまあダメな父親だけど、父親になりたいと思っていて、三者三様」と語った。城からは、サプライズでリリーへ手紙が読み上げられる。「もう一人の優しいお父さんができたみたいで、いつも現場に行くのが楽しみでした」「リリーお父さん、大好きです」という手紙に、リリーは「ジーンとしましたね」と”父親”の顔。しかし「俺がお年玉50万円あげたことが書いてない」とジョークを飛ばすと、城から「えー、その件ですが、もらってません」とキッパリ否定されていた。一方、佐々木は「家族のみんなの似顔絵です。一昨日リリーさんにもらったペンで描いた」と一枚の絵をリリーに手渡す。リリーが「俺が仕事で使っているペンをあげたけど、俺よりも使いこなしてる」と喜ぶと、佐々木は「この漢字はみゆが書きました! まだ漢字習ってません!!」と強く主張。リリーは「本当に上手」と佐々木の絵を褒めていた。また、リリーから最後の挨拶を任された城だが、リリーが耳元で話すことを誘導。城はリリーに囁かれるままに「え〜、宴もたけなわプリンスホテルでございますが、人生には大事な袋が3つあります。1つ目が池袋です。2つ目は沼袋です。3つ目は東池袋です」と言った後、「映画を楽しんでください!」メッセージを送った。○城桧吏 手紙全文リリーお父さんへ。リリーお父さん、撮影でもカンヌでも、会うたびにいつも優しくしてくれて、ありがとうございます。撮影中、寒い時にカイロで温めてくれたり、僕のことを笑わせてくれたり、いつも気にかけてくれたり、とても嬉しかったです。もう一人の優しいお父さんができたみたいで、いつも現場に行くのが楽しみでした。大好きな家族がいたあの家に戻りたいと、いつも思っています。リリーさんのようなおしゃれで優しくて、面白くて、演技の上手な俳優さんになることが、僕の夢です。これからも宜しくお願いします。リリーお父さん、大好きです。桧吏より
2018年06月14日映画『万引き家族』(公開中)の大ヒット御礼舞台挨拶が14日に都内で行われ、リリー・フランキー、高良健吾、山田裕貴、城桧吏、佐々木みゆ、是枝裕和監督が登場した。同作は是枝裕和監督によるオリジナル作で、第71回カンヌ国際映画祭にて、最高賞 パルムドールを受賞した。生活品を万引きで賄う"万引き家族"が、近隣の団地の廊下で震えていた幼女・ゆりを娘として育てることに。しかし、ある事件をきっかけに家族はバラバラに引き裂かれ、それぞれが抱える秘密と切なる願いが次々と明らかになっていく。公開から7日間で興行収入は12億、動員は100万人を突破し、まさに「大ヒット」中の同作。高良は「友達から聞いて知って、携わったのもあるけど、日本映画がカンヌという歴史ある映画祭でパルムドールをとったことが嬉しかったです」と喜びつつ、「めちゃくちゃ嬉しかったのに、どこか自分の中でちょっとした悔しさがあった」と心境を吐露する。山田も「SNSのニュースで知ったんですけど、びっくりで。本当にとても嬉しいんですけど、多分高良さんと一緒で、もうちょっとがっつり是枝さんとやらせてもらってたら、素直にイエイ! ってできたのかな」と明かした。山田のシーンが切られていたことも多かったというが「結構スパって行かれてるところもあって、でもそっちの方が伝わるなというのを感じて、是枝さんの愛を感じました。切られても愛を感じる」と笑顔を見せた。是枝組初参加となる2人について、是枝監督は「高良さんは共通の友人である井浦新くん経由で、11〜12年前に出会った」と振り返る。「その時の印象と変わらない。まっすぐなところが好きで、チャンスがあればいつかと思いながら活躍を見ていました。大きなスクリーンの似合う役者だと思っているので、ご一緒できてよかった」と語った。また、山田については「いろんな信頼しているスタッフが、現場をご一緒して『山田くんがいい』ってみんな言うんだよね」と説明。「作品とか役にまっすぐに向き合う姿勢が、どんな役をやっていても感じられた」と理解し、「今回はちょっと切ったとこもあるんですけど、これをご縁にという感じで、来てもらえてありがたいです」と今後に希望を持たせた。高良と一緒のシーンがあった城は「優しかったです。キャップのマジックをカメラ回してない時にやってくれた」とエピソードを披露する。一方で佐々木は「怖い怖〜い幽霊みたいでした」と衝撃の一言。「演技の時が、夜に出てくるゾンビみたいだった!」と言い表し、高良も「そんなふうに思われてたのか……」と驚いていた。
2018年06月14日女優の広瀬すずが12日、都内で行われたロッテ「爽ハッピースプーン」完成披露発表会にお笑いタレントの鉄拳とともに出席した。ロッテ「爽ハッピースプーン」完成披露発表会に出席した広瀬すずロッテは、アイス『爽』にお絵かきをしながら食べられる専用のスプーン「爽ハッピースプーン」を開発。多様なタッチで 『爽』に絵が描くことができる仕様の3本1セットで、6月11日より全国の店頭で配布される。その発表会に、『爽』のイメージキャラクターを務める広瀬すずが、お絵かきができるスプーンのお披露目ということで画伯姿で登壇した。20歳の誕生日である6月19日がもうすぐということで、「爽ハッピースプーン」に「人と上手く話せる人になる」と20歳の目標を披露した広瀬は「共演者の皆さんと全然話せないんです。今までは年上の方がお気を遣ってお話してくれましたが、学園モノをやっていると年下の役者さんばかりで中々話せないんです。Seventeen のモデルも最年長で、この前は全然話せなくて反省しました」と悩みを告白。「これからは甘えていられないので、自分からコミュニケーションを取れる人になりたいです」と前向きに語った。また、イベント中には、「爽」ファミリーを狙う鉄拳も登場。「爽」に描いた鉄拳の自画像を見た広瀬は「クオリティーが全然違います。さすがという感じですね」と絶賛し、鉄拳を「爽」ファミリーに認めて鉄拳を喜ばせた。広瀬は、カンヌ国際映画祭でパルムドール賞を『万引き家族』で受賞した是枝裕和監督やリリー・フランキー、松岡茉優にお祝いメールをしたという。「私も試写で見させていただきましたが、なんていう映画だと思って、長文になったぐらいの感想を書きました。すごく素敵な素敵な映画だったので、賞を獲ってすぐに是枝監督にメールしたら、賞とともに写真を送ってくださり、監督の見たことがない表情が見れました」と自分のことのように喜び、「いつかまたお仕事ができるように頑張ろうというのが20代の一つの目標になりました」と是枝監督と再びタッグを組むことに意欲を見せていた。
2018年06月12日第71回カンヌ国際映画祭で最高賞のパルムドールに輝いた『万引き家族』(是枝裕和監督)で、万引きで生計を立てる一家の“母”を演じている安藤サクラ。審査員長を務めたケイト・ブランシェットが、安藤さんが終盤に見せる“泣き”の演技を絶賛したほか、是枝作品における家庭描写の定番と言えるお風呂のシーン、夫役のリリー・フランキーとの艶めかしい濡れ場など、印象的なシーンでその演技力をいかんなく発揮しています。ボクサー、新興宗教の信者、風俗嬢から朝ドラヒロインまで今年10月に放送開始のNHK 連続テレビ小説「まんぷく」ではヒロインを演じることが決まっており、32歳のママさんヒロインとしても注目を浴びている安藤さん。父は名優・奥田瑛二、母はエッセイストの安藤和津で、姉の安藤桃子は映画監督をしており、芸能一家に生まれた彼女ですが、本格的に女優として活動し始めたのは2007年と決して早かったわけではありません。しかし、デビュー当初より高い演技力と独特の存在感が高く評価されており、その後も映画、ドラマと数多くの出演作を積み重ねてきました。『万引き家族』、そして「まんぷく」と今後ますます安藤さんに注目が集まることは必至!そこで女優・安藤サクラの魅力、凄まじさがよくわかる5作品をご紹介します。■1:『百円の恋』自堕落な姿と鍛え上げられたボクサーの肉体を披露! 日本アカデミー賞最優秀主演女優賞受賞!2014年に公開され、インディペンデント作品ながら、同年の国内の映画賞レースでセンセーションを巻き起こした本作。安藤さんは、引きこもりの自堕落な生活を送っていた実家を出て、ひとり暮らしを始めて百円ショップで働き始め、そこでのボクサー(新井浩文)との出会いをきっかけにボクシングを始める一子(いちこ)を演じています。短期間の撮影にもかかわらず、安藤さんは物語前半の自堕落な姿と、ボクシングで鍛え上げた肉体を見せており、そのストイックな役作りが称賛されました。本作の演技で安藤さんは、第39回日本アカデミー賞最優秀主演女優賞に輝きました。受賞のスピーチでは「びっくりして…ジワジワと心臓が出てきちゃいそう!」と語ったほか、発表直前に共演の新井浩文さんが「サクラが(賞を)とったら、ウチ泣いちゃうよ」と発言していたことを明かし、壇上から「全然泣いてないし(笑)!」とツッコミを入れるなど、ユーモラスな挨拶で会場を笑いに包んでいました。※Netflix、Amazon prime videoで視聴可能■2:『かぞくのくに』史上初、キネ旬主演・助演女優賞W受賞! 独特の受賞スピーチも話題に在日コリアンの北朝鮮への“帰国事業”によって離ればなれになった家族の25年ぶりの再会を描いた2012年公開の映画。井浦新が、25年前に北朝鮮に渡り、脳腫瘍を患って、その治療のために久々に日本に一時帰国する青年・ソンホを演じており、安藤さんは日本で生まれ育ち、ソンホと再会する妹のリエを演じています。本作は第86回キネマ旬報ベストテンで日本映画の1位に選ばれ、安藤さんも同賞の主演女優賞を受賞。また、別作品(『愛と誠』『その夜の侍』ほか)で同賞の助演女優賞も受賞しており、同賞で初となる主演・助演ダブル受賞の快挙を成し遂げました。ちなみに、こちらの授賞式のスピーチでも、受賞を知らされた瞬間について「頭がグルグルして神経性の胃腸炎になった」と告白し、「母親、父親、じいやん、ばあやん、先祖、子孫、通りすがりの知らない人にも感謝。感謝の気持ちが宇宙に向けて爆発してます」と独特過ぎるユーモラスな表現で喜びを口にし、会場は温かい拍手に包まれていました。不思議なことに、同作は日本アカデミー賞で各部門にノミネートされることはなく、作品の知名度は低いかもしれませんが、安藤さん、井浦さんに加えて韓国の名優ヤン・イクチュン、村上淳、宮崎美子ら実力派俳優が顔をそろえ、深い人間ドラマを形成しており、必見の名作です!■3:『ケンタとジュンとカヨちゃんの国』「ブス」「バカ」「ワキガ」と罵られるも純粋なヒロインを好演松田翔太、高良健吾と共に安藤さんも主演に名を連ねた、大森立嗣監督のオリジナル脚本による2010年の映画です。児童養護施設で兄弟のように育ち、劣悪な環境で暮らしているケンタとジュンの自由を求める旅を描いており、安藤さんは、2人が街でナンパしたカヨちゃんを演じています。映画の中では高良さん演じるジュンに「ブス」「バカ」「ワキガ」など罵声を浴びせられたり、旅の途中で置き去りにされたりとなかなか酷い目に遭わされ、決して美人として描かれるわけではないのですが、その心の清らかさや純粋さが見え隠れします。映画自体、決して見終わって「爽快!」というタイプの作品ではないですが、心に刺さるドラマとなっており、改めて安藤さんのすごさを感じさせる作品と言えます。■4:『愛のむきだし』デビュー数年で鬼才・園子温の衝撃作で狂気の熱演!世界が認める鬼才・園子温の名を知らしめた、3時間56分の過激な超大作!安藤さんは西島隆弘さん(AAA)、満島ひかりさんと共にメインキャストで出演。クリスチャンの家に生まれ、神父である父(渡部篤郎)とのつながりのために盗撮という罪を犯し続ける主人公と、彼が恋に落ちる女子高生の姿を描いており、安藤さんは、主人公たちが深く関わることになる新興宗教の教祖の右腕の立場にある女性を演じています。白づくめの衣装で、エロスと暴力を伴った狂気じみた役柄を文字通り熱演!映画公開は2009年で、安藤さんのキャリアにおいても初期の作品ですが、彼女の持つ“爆発力”を見せつけてくれています。※Netflix、Amazon prime videoで視聴可能。■5:『その夜の侍』わずか1シーン、カラオケとわずかな会話で存在感劇団「THE SHAMPOO HAT」が2007年に上演し、高い評価を得た同名の戯曲を主宰の赤堀雅秋が自ら監督を務め、実写化した2012年公開の映画。理不尽なひき逃げ事故で最愛の妻を亡くし、喪失感や葛藤を抱えた主人公が、刑務所から出所した犯人に復讐をしようする物語で、堺雅人さん、山田孝之さん、綾野剛さん、新井浩文さんら人気実力派俳優が出演しています。本作での安藤さんの出演シーンは、わずか1シーン。堺さん演じる主人公が、虚しさと孤独にさいなまれて呼んだ風俗嬢という役柄で、ラブホテルに来たけれど、行為に及ぶことができない堺さんそっちのけで、下着姿のままカラオケ(曲は絢香の「三日月」)を熱唱!決してコミカルなシーンではないはずなのに、なぜかクスリと笑ってしまうやりとりを見せており、ごくごく短いシーンながらも忘れられない存在感を発揮しています。ちなみに堺さんと安藤さんは、昨年公開の映画『DESTINY 鎌倉ものがたり』では、主人公の作家と死神という関係で共演しています。※Netflix、Amazon prime videoで視聴可能。近年では、ドラマ「ゆとりですがなにか」のヒロインに、先述の『DESTINY 鎌倉ものがたり』の死神役など、メジャーな作品でキュートな役柄を演じることも多い安藤さん。ここで紹介した作品は、決してメジャーとは言えない小規模公開の映画であり、役柄もキラキラと輝くようなヒロインではありませんが、安藤さんの演技力の高さをまざまざと感じることができる名作、佳作ばかり。唯一無二の存在感を誇る安藤さんの魅力をご堪能ください!(text:cinemacafe.net)■関連作品:愛のむきだし 2009年1月31日より渋谷ユーロスペースほかにて公開© 愛のむきだしフィルムパートナーズケンタとジュンとカヨちゃんの国 2010年6月12日より新宿ピカデリー、ユーロスペースほか全国にて公開© 2009「ケンタとジュンとカヨちゃんの国」製作委員会その夜の侍 2012年11月17日より全国にて公開© 2012「その夜の侍」製作委員会百円の恋 2014年12月20日より全国にて公開© 2014 東映ビデオ万引き家族 2018年6月8日よりTOHOシネマズ日比谷ほか全国にて公開© 2018フジテレビジョンギャガAOI Pro.
2018年06月12日女優の安藤サクラが9日、都内で行われた映画『万引き家族』の公開記念舞台あいさつに、共演のリリー・フランキー、松岡茉優、池松壮亮、城桧吏、佐々木みゆ(子役)、樹木希林、メガホンを撮った是枝裕和監督とともに登壇した。先日開催された第71回カンヌ国際映画祭のコンペティション部門で最高賞パルムドールを受賞した同作が、いよいよ日本で公開された感想を聞かれた是枝監督は「もう少し小さく産んで、小さな声で届けていくような作品を作ろうと動き出したんですけど、結果的にはこんなに広く、遠くまで届くことができたのは、スタッフとキャストがとてもいい形でこの作品を支えてくれたおかげだと思っております」と感謝し、「すごくうれしいです」と笑顔を見せた。そしてリリーは「是枝さんみたいな奥ゆかしい方は賞をもらうことに照れがありますけど、賞が決まったことで映画館の(上映)館数が増えたり、たくさんの方に見ていただく機会が増えたことはいいことですよねと(監督と)話したりしました」と告白。イベントでは、みゆちゃんがテレビ画面に映るパルムドール像を見ながら段ボールで作ったという手作りトロフィーを是枝監督へプレゼントする一幕もあり、それを受け取った是枝監督は「本物はプロデューサーにあげて、僕はこっちをいただきます」と目尻を下げた。また、周りを見渡した安藤は「ここにいる皆さん、ものすごい方なのに、納豆ご飯みたいな感じなんです(笑)。キャビアを食べているような感じなのに、いつも納豆ご飯のようでした」と独特の表現をして笑いを誘い、「監督の器の大きさと深さを見ていると本当に恐ろしくなるくらいなんですけど、その器は納豆ご飯を食べるように、心地よく受け止めてくださるので、すごく不思議な時間を過ごしています。ものすごく日常的で落ち着く時間の中で、突然、爆発が起こるので、ちょっと混乱をしております」と吐露。「初日を迎えて、この家族とひとつ区切りがつくと思うと、さっきからさみしくてしょうがないです」と目に涙を浮かべた。さらに、締めのあいさつを求められた是枝監督は「納豆ご飯のような映画です」とコメントして会場を沸かせ、「なので、毎日食べられると思いますし、見るたびに味わいかたも変わる映画になったのではないかと思います。今日見て気に入っていただけたら、また劇場に足をお運びください」とお願いした。東京の下町で質素に暮らす、一見ありふれた家族。しかし、彼らは生計を立てるため、家族ぐるみで万引きなどを重ねていた。犯罪でしかつながれなかった家族の"許されない絆"が、ある事件をきっかけに衝撃の展開を迎える。人と人との関係が希薄な今の時代に、真の"つながり"とは何かを問う、心揺さぶる感動作となっている。
2018年06月10日これまで家族をテーマにした作品を撮り続け、国内外の映画祭にて賞を獲得してきた是枝裕和監督。最新作『万引き家族』ではあのカンヌ国際映画祭で最高賞のパルムドールを受賞した。本作が海外でも高い評価を得たのはなぜか。今回はそんな本作の魅力についてまとめてみた。■あらすじ再開発が進むなか、ポツンと残された古い住宅街。日雇い仕事の父・治と息子の祥太“親子”ならではの連携プレーで万引きに精を出している。その帰り道、団地の廊下で凍えている幼い女の子を目にした治は思わず家に連れて帰ってしまう。突然、子どもを連れてきた夫に腹をたてる信代だったが、体じゅう傷だらけのゆりの境遇を察し、面倒をみることにした。祖母・初枝の年金を頼りに暮らすその一家は、風俗のバイトをしている信代の妹・亜紀、そして新しい家族のゆりも加わり、貧しいながらも幸せに暮らしていた。しかし、ある事件をきっかけに家族の隠された秘密が明らかになっていく――。■是枝監督常連キャストから、ニューフェイスまで揃った豪華な布陣これまで多くの作品でオリジナルの脚本を自身で書き、監督を行ってきた是枝監督。本作ではこれまでの作品に出演した常連キャストと、初めて参加したキャストのアンサンブルも大きな見どころの一つになっている。リリー・フランキー/柴田治役『そして父になる』で庶民的な父親を好演したリリーさんが、本作には息子と共に万引きで生計を立てる柴田治役として出演。是枝監督とは本作で4度目のタッグとなり、「純粋に嬉しいです。是枝組独特の穏やかで澄んだ空気感の中、本作は社会や人にとって、とても重大なのに、ほんの1日で黙殺されてしまうような出来事にフォーカスを当てていく。是枝監督らしい、いい作品になると感じています」とコメントしていた。安藤サクラ/柴田信代役是枝監督作には初参加となる安藤さん。リリーさん演じる柴田治の妻・信代を演じるにあたり、「いまこのタイミングでこの作品に出演できることをとても嬉しく思っています」と感動をあらわにしていた。本作での高い演技力は、監督・共演者の度肝を抜くほど。監督は、いま安藤さん以上の女優はいないのではないかと思うほどだったそう。松岡茉優/柴田亜紀役こちらも安藤さんと同じく、本作で初めて是枝監督作に出演した松岡さん。オファーを受けた際は「あの本を読んだ、あの映画を見た。産まれて、育ててもらって、生きてきたすべてのことが正しかったんだと肯定されたような気持ちでした。夢のような顔合わせは現実には思えなかったです」と心境を明かした。樹木希林/柴田初枝リリーさん同様、いくつもの是枝監督作に出演してきた大御所・樹木さん。本作でもその存在感は健在だが、「是枝作品の中に居るのは これで おしまいちょいと ブラブラしすぎる台本は読みちがえるわ 口は出すわ悪口は言うわ 都合悪けりゃボケたふりするわ困ったもんだ」と是枝作品内での引退をほのめかすようなコメントも。小さくても、作中で大きな存在感を放つ子役たち治と信代の息子・祥太と、治が家に招いた少女・ゆりは是枝監督のオーディションによって選ばれた2人。祥太役を演じた城桧吏はNetflixオリジナルドラマ「僕だけがいない街」に出演しており、ゆりを演じた佐々木みゆは、なんと本作が映画初出演だ。監督はキャスティング理由ついて、桧吏くんは「オーディションで部屋に入ってきたときにこの子だってピンときた。いつまでも見てられると思った」と語り、みゆちゃんについては「オーディションで部屋の隅でポテトチップスを食べるシーンを演じてもらったんですが、そのポテトチップスの食べ方がよかった(笑)」と明かした。ほかにも脇を固めるキャストには、池松壮亮、高良健吾、池脇千鶴ら実力派俳優が揃っており、圧倒的キャスト陣で本作は挑まれているのだ。■あのケイト・ブランシェットが大絶賛! パルムドール受賞の理由とは?第71回カンヌ国際映画祭にて上映された際にはスタンディングオベーションが起こり、なんと9分間も続いた。辛口で知られる海外メディアからも高評価を得て、授賞式では最高賞であるパルムドールを獲得!日本作品では、今村昌平監督の『うなぎ』(’97)以来、実に21年ぶりという快挙を成し遂げた。この受賞理由について、審査員長のケイト・ブランシェットは「演技、監督、撮影などトータルで素晴らしかった」と述べるだけでなく、安藤さんの芝居についても熱を帯びた口調で絶賛。彼女の泣くシーンについて、「今後、私も含め今回の審査員を務めた俳優の中で、今後あの泣き方をしたら、彼女の真似をしたと思って」とコメントするほどだった。■ポスターを『海街Diary』と比較してみた本作には、クランクインに先駆けて昨年の夏に2日間だけ海で撮ったオフショットが存在する。台本も完成していない中、“家族”6人で撮ったそうで、リリーさんはその写真を「なんか劣化版の『海街diary』みたいだな」とボソリ。すると、安藤さんまでもが「そうそう、ポスタービジュアルの縁側の写真も劣化版の『海街diary』みたいなね…」と同調。続けてリリーさんが「あのポスタービジュアルの家族の笑顔と『万引き家族』ってタイトルみると、ソフトバンクの新しい家族割りみたいだよな」と話すと笑いに包まれた。お茶目なリリーさんに現場はさぞ和んだことだろう。■安藤さん、パルムドール受賞について語るも…?実は、パルムドール受賞発表前から撮影で大阪にいたという安藤さん。「この“家族たち”と夜中だけどYouTubeで中継をみようとやりとりをしていて」と準備万端で授賞式の中継を見ていたものの、「いつの間にか眠ってしまいまして…」とまさかの寝落ちをしてしまったことを告白。「そしたら、リリーさんから『サクラ起きろ!』とメールがすごい来ていて、マネージャーさんには、真っ暗にして寝ていた部屋で『パルムドールです!』と言われて…それですぐにTVをつけてニュースが流れているをみて、これは残さなきゃとフィルムのカメラでその画面を撮りました(笑)」と、受賞の瞬間をふり返った。■本作に向けられる意見に、監督はどう向き合ったのか?是枝監督は、パルムドール受賞を受けて行われた外国人特派員協会での記者会見で「社会的、政治的問題を喚起する映画を作ったわけではない」と断った上で、「2000年代に海外の映画祭で一番言われたのが『日本映画には社会と政治がない。なぜだ?』ということ。それは、そういう作品は、興行として成立しにくいという判断を、日本の大きな興行会社をしてきたから。それは日本の映画の幅を狭くしていると自覚はしていました」と語った。しかし、パルムドール受賞という最大級の結果に、様々な反響が寄せられるようになり、是枝監督は「21年ぶりの(日本映画の)パルムドールということで、思った以上に取り上げられて、普段、映画について語らない人たちもこの映画について語る状況になって、一部で、僕と僕の映画が物議を醸しているかのような状況になっていますが」と、是枝監督を取り巻く状況が一変したことを明かしつつも、「それはこの映画が、通常の枠を超えて多くの人のところに届いているのだなと個人的には前向きに捉えています」とコメントしてみせた。海外でも非常に高い評価を得た本作。今回の受賞によって、日本と海外の距離が縮まったようにも感じる。なにより映画好きの人は、カンヌの舞台裏などを監督のコメントからも知ることができ、作品以外にも注目したい点は盛りだくさんだ。そんな魅力満載の『万引き家族』をぜひ劇場で。『万引き家族』は6月8日(金)よりTOHOシネマズ日比谷ほか全国にて公開。(text:cinemacafe.net)■関連作品:万引き家族 2018年6月8日よりTOHOシネマズ日比谷ほか全国にて公開© 2018フジテレビジョンギャガAOI Pro.
2018年06月09日◼︎日本人21年ぶりのパルムドール!読者のみなさん、こんにちは。今回みなさんにご紹介したいのは、日本人監督作品としては、1997年の今村昌平(いまむら・しょうへい)監督『うなぎ』以来、21年ぶりにカンヌ国際映画祭の最高賞であるパルムドールを獲得した是枝裕和(これえだ・ひろかず)監督の『万引き家族』です。1995年『幻の光』でデビューした是枝監督は、2004年、事件報道で断罪された家族の内側を描いた『誰も知らない』で、主演の柳楽優弥に史上最年少および、日本人として初めてのカンヌ国際映画祭・最優秀主演男優賞をもたらしました。2013年の『そして父になる』で子どもを取り違えられた夫婦を、2015年の『海街diary』では腹違いの姉妹を、2016年の『海よりもまだ深く』では離婚した夫婦とその子どもなど……さまざまな家族の形を描き続けてきた是枝監督。本作で描くのは、祖母の年金を頼りに、足りない生活品は万引きで賄う、とある家族の姿です。◼︎『万引き家族』のストーリー高層マンションの谷間にポツンと取り残された平屋で暮らす5人の家族。祖母の初枝(樹木希林)、父の治(リリー・フランキー)、妻の信代(安藤サクラ)、息子の祥太(城桧吏)、そして信代の妹の亜紀(松岡茉優)は身を寄せ合って暮らしていた。ある日、街角のスーパーで、鮮やかな連携プレーで万引きをした治と祥太は、帰り道にある団地で凍えている小さな女の子(佐々木みゆ)を見つける。母親に部屋から締め出されたらしいその様子を以前にも見かけていた治は、その女の子を家に連れて帰ることにするのだった。その日の深夜。自分の名前を「ゆり」と答えたその女の子を、団地まで送り届けようとした治と信代だったが、ゆりの両親が罵り合う声を聞いてしまう。「産みたくて産んだわけじゃない」という言葉を聞いたふたりは、ゆりを残して帰ることができなかった。季節は流れ、春。「荒川区で5歳の女の子が行方不明」というニュースが流れ、行方不明の「じゅり」ちゃんが、「ゆり」だと知った家族は、彼女の呼び名を「りん」に変える。「りん」として生きることを選んだ少女を加え、ゆっくりと、確かな絆で結ばれていく家族だったが、ある事件をきっかけにそれぞれに抱えてきた秘密が暴かれることとなり……。◼︎是枝作品の常連キャスト×新キャスト『そして父になる』以来、これまで三度是枝作品に出演してきたリリー・フランキーはもちろん、6作目の是枝作品出演となったベテラン女優・樹木希林の深みのある演技は必見です。祖母・初枝を演じるにあたり、「その方が気持ちが悪い」という理由で、普段よりも髪を伸ばし、入れ歯を外すという役作りを行っています。また、初の是枝作品参加となった母の信代に扮した安藤サクラ、信代の妹・亜紀に扮した松岡茉優、そしてオーディションによって選ばれた子役のふたりが、絶妙なバランスで「犯罪でしかつながれなかった」家族にリアリティを与えています。◼︎「犯罪でしかつながれなかった」すでに死亡している親の年金を、家族が不正に受給していた事件を知ったことが、本作を作るきっかけになったという是枝監督。まずはじめに思いついたのは、「犯罪でしかつながれなかった」というキャッチコピーだったそうです。家族のつながりに根底にあるものは、果たして”血”なのかどうか。2013年の『そして父になる』、2015年の『海街diary』などの作品で、家族のつながりに大切なのは血なのか?一緒に過ごした時間なのか?という問いかけを提示した監督が、血ではなく犯罪でつながった家族の姿を描き、あらためて絆とは何かを問い直します。これまで是枝作品を観たことがない方にとっても、是枝作品のエッセンスがすべて詰まっている本作。パルムドールを受賞し話題となっている『万引き家族』は是枝作品の最初の一本としてもオススメです。震災以降、家族の絆が叫ばれ続けている中、あらためて家族のつながりについて考えてみませんか?『万引き家族』は6月8日より全国で公開されています。◼︎『万引き家族』公開情報『万引き家族』6月8日TOHOシネマズ日比谷他全国ロードショー監督・脚本:是枝裕和出演:リリー・フランキー、安藤サクラ、松岡茉優、池松壮亮、城桧吏、佐々木みゆ、高良健吾、池脇千鶴、樹木希林配給:ギャガ上映時間:121分公式サイト:©2018フジテレビジョンギャガAOI Pro.
2018年06月08日カンヌ国際映画祭で最高賞であるパルムドールを受賞した是枝裕和監督が総合監修を務める、日本を舞台にした国際共同プロジェクト映画『十年Ten Years Japan』。このたび特報映像とティザービジュアルが解禁された。今年のカンヌ国際映画祭で日本人監督として史上4人目、21年ぶりのパルムドールを受賞した是枝裕和監督が、初めてオムニバス映画の総合監修を務める。このたび解禁された特報映像は、昨年の釜山国際映画祭で行われた製作発表から始まる。「フランス World Wide Festival」など国内外の大型フェスに出演しアジア、ヨーロッパでも活躍、ドラマ「僕たちがやりました」(CX/’17)の劇伴を担当するなど、世界を舞台にマルチに活 躍するKan Sano(origami PRODUCTIONS)が紡ぎ出す繊細なピアノの旋律律にのり、是枝監督によって脚本のオリジナリティ、クオリティ、将来性から選ばれた5人の新鋭監督たちが描く“5つの未来”が、美しく、そして力強く描き出されている。また、各作品の主演である杉咲花、國村隼、太賀、川口覚、池脇千鶴の“未来を見据える表情”も印象的な特報映像となっている。なお、タイ版はアピチャッポン・ウィーラセタクン(『ブンミおじさんの森』)が監督として参加し、先日の第71回カンヌ国際映画祭「特別招待作品」に選出。台湾版は台北国際映画祭「コンペティション部門」(6月28日~7月14日開催)に選出されている。『十年 Ten Years Japan』は今秋、全国にて公開。(text:cinemacafe.net)
2018年06月08日