意外と知らない社会的な問題について、ジャーナリストの堀潤さんが解説する「堀潤の社会のじかん」。今回のテーマは「戦争犯罪」です。ルールはあっても、現実的には大国を裁くのは難しい。国連憲章では、他国への侵略行為、戦争は禁じられています。しかし、戦争になった場合も最低限守るべきルールが、ジュネーブ条約(赤十字条約)によって国際的に定められました。まず、民間人への攻撃は禁止。市民の暮らしの要になるインフラを故意に攻撃することも禁じられています。また、無差別攻撃を目的とする兵器、クラスター爆弾や焼夷弾、化学兵器や生物兵器、毒ガス、対人地雷も使用は禁止されています。兵士を含め、病人や負傷者は手当てを受ける権利が保障されており、それらの人々を助ける赤十字の関係者や施設は、中立的な立場のため攻撃してはいけません。捕虜への拷問や残虐行為も禁止。これらのルールを犯した場合、戦争犯罪になります。また、特定の民族や人種を意図的に根絶やしにするような民族虐殺(ジェノサイド)も禁じられています。ロシア軍によるウクライナへの軍事侵攻では、数々の戦争犯罪の証拠が挙がっています。自転車に乗った民間人を殺害したロシア兵は、明白な戦争犯罪だとして、ウクライナで終身刑が言い渡されました。国家間の紛争を解決するために設立されたのが国際司法裁判所(ICJ)。ウクライナ政府はロシア政府をICJに訴えましたが、ICJは国連の司法機関で、執行は国連安全保障理事会が担います。しかし安保理の常任理事国であるロシアは拒否権を持っています。そのため、ICJがロシアを戦争犯罪を起こしている国と認定しても、実際には裁くことは難しいのです。もうひとつ、国連から独立した国際刑事裁判所(ICC)があり、人道に対する罪や戦争犯罪に問われる、組織のリーダーや個人を裁きます。ICCは、ウクライナでのロシアの戦争犯罪に十分な証拠が揃っていると述べています。しかし、ICCは警察機関を持っておらず、犯罪者の逮捕はその国の警察機関に働きかけます。ただ、ロシアもアメリカも中国も、ICCには加盟していません。そのため、戦争犯罪が立証されても逮捕する手立てはないのです。そもそも戦争を起こさないための知恵を、諦めずに出し合うしか解決方法はないのだろうと思います。堀 潤ジャーナリスト。市民ニュースサイト「8bitNews」代表。「GARDEN」CEO。Z世代と語る、報道・情報番組『堀潤モーニングFLAG』(TOKYO MX平日7:00~)が放送中。※『anan』2022年7月6日号より。写真・小笠原真紀イラスト・五月女ケイ子文・黒瀬朋子(by anan編集部)
2022年07月03日嵐・松本潤が主演を務める、2023年に放送予定の大河ドラマ(第62作)『どうする家康』。物語の主な舞台の一つである愛知県内でクランクインし、甲冑を身にまとった松本の場面カットが公開された。松本が大河ドラマ初出演にして、誰もが知る偉人・徳川家康を演じる。国を失い、父を亡くし、母と離れ、心に傷を抱えた孤独な少年・竹千代は、今川家の人質として、ひっそりと生涯を終えると思っていた。しかし、三河(みかわ)武士の熱意に動かされ、弱小国の主(あるじ)として生きる運命を受け入れ、織田信長、武田信玄という化け物が割拠する乱世に飛び込む。そして豊臣秀吉、黒田官兵衛、真田昌幸、石田三成と次々と現れる強者(つわもの)たちと対峙し、死ぬか生きるか大ピンチをいくつも乗り越えていく。収録は、徳川家康と名乗る前の、若き松平元康時代からスタート。公開された場面カットは、仕えていた今川義元が桶狭間で討たれた後、織田家と今川家のどちらにつくべきかで元康が揺れるシーン。ナイーブで頼りない元康が、いかにして天下統一までの道のりを歩むのか注目だ。ファンからは「クランクインおめでとうございます」「来年の大河ドラマまで待てない」「甲冑姿の松本潤さんかっこいい」「松潤家康公がイケメン過ぎる!」「殿の凛々しいお姿初お目見えですね」などの声が寄せられている。
2022年06月07日意外と知らない社会的な問題について、ジャーナリストの堀潤さんが解説する「堀潤の社会のじかん」。今回のテーマは「沖縄本土復帰50年」です。もとは独立国家。虐げられてきた歴史に目を向けて。50年前の5月15日、アメリカの施政権下にあった沖縄が日本に復帰しました。沖縄は、古くは琉球国という約450年続いた独立国家でした。明治政府は1872年に琉球国を解体し、琉球藩に。1879年には廃藩置県により、沖縄県に生まれ変わります。「富国強兵」のスローガンのもと、近代国家の仲間入りを果たそうとしていた日本。沖縄は内地とはある種、支配・従属的な関係にありました。中央から派遣された役人や軍人は、沖縄を見下し「はやく大和になれ」と押し付けます。沖縄の人々は差別や偏見にさらされ、「私たちは日本人なのだ」という強い機運を生み、太平洋戦争末期、日本を守るために玉砕、集団自決を決行します。日本で、民間人が戦闘要員として駆り出されたのは沖縄だけです。1945年、米軍は沖縄に上陸し3か月にわたり激しい戦闘が繰り広げられました。沖縄県民の4人に1人が犠牲になり、日米合わせて約20万人の被害が出ました。沖縄戦は9月7日に幕を閉じ、アメリカに統治されることに。マッカーサー元帥は、太平洋地域に拡大した日本国の影響を弱体化させるため、沖縄・南西諸島を日本から分離させることにこだわりました。当時、ソ連や中国を筆頭に共産化の波が押し寄せており、東の果ての防波堤として、沖縄を所有することはアメリカの安全保障上、大きな意味がありました。戦後、沖縄支配は日本からアメリカに移ります。やがて「島ぐるみ闘争」という、米軍支配への反対運動が勢いを増し、日本に復帰するか、独立するか、国連の統治下に置かれるべきか、沖縄住民の間でも意見が割れました。返還交渉は1969年に始まり、年末に最終合意。沖縄県内では「核抜き、本土並み」と核の持ち込み禁止、沖縄と本土が格差のないように扱ってほしいと訴えていました。しかし、裏で秘密協定が結ばれており、沖縄返還に関する費用は日本国が負担し、核の持ち込みも密約では認められていたことがのちに明らかになりました。沖縄には、いまなお米軍基地の約7割が集中しています。国家の安全保障のなかで、沖縄県民の思いを無為にしてきた歴史があることを忘れないでほしいです。堀 潤ジャーナリスト。市民ニュースサイト「8bitNews」代表。「GARDEN」CEO。Z世代と語る、報道・情報番組『堀潤モーニングFLAG』(TOKYO MX平日7:00~)が放送中。※『anan』2022年5月25日号より。写真・小笠原真紀イラスト・五月女ケイ子文・黒瀬朋子(by anan編集部)
2022年05月21日近鉄グループの文化事業である「松伯美術館」では、3月21日(月・祝)から6月12日(日)まで、展覧会「歩々清風ー日本画家 上村松園・松篁・淳之三代の歩みー」を開催します。「歩々清風」とは、上村松篁が画家として歩んできた自らの道に思い悩んだ際に、その道が正しい道であったと確信することができた、ある禅の老師の言葉です。明治から令和まで続く、上村松園・松篁・淳之と三代にわたる日本画家の画業を辿ると、激動の時代の中であっても、一人の作家として貫いた絵画世界からは、時代を超えて今なお強いメッセージが感じられます。時代に流されることなく普遍の美を追求し、独自に歩々清風の道を歩み続けた三代の画業を展覧します。上村松篁「春」上村松園「花見」上村松篁(1902~2001)は少年時代に「道というものは生命より尊いものだ」という言葉から、自分にとっての一筋の道は絵の道だと心に決め花鳥画家を志し、制作を続けてきました。一方で自分の歩いてきた道は正しい道だったのか、思い悩みます。しかし八十をすぎた頃、ある禅の老師から「道を歩くときは 歩々清風 の歩き方でなくてはならない」という言葉に、自分の道は少なくとも濁風は吹いていなかった、と初めて自信がわいてきたと語っています。本展では、当館では約2年ぶりの展示となる上村松園の「花見」をはじめ、松篁、淳之の作品を通じて上村家三代の画業の歩みを紹介します1. 名 称 「歩々清風―日本画家 上村松園・松篁・淳之三代の歩み―」2. 開催期間 2022年3月21日(月・祝)から2022年6月12日(日)3. 主 催 公益財団法人 松伯美術館4. 会 場 松伯美術館5. 休 館 日 月曜日6. 開館時間 午前10時~午後5時(入館は午後4時まで)7. 入 館 料 大人〔高校生・大学生を含む〕820円(730円)小・中学生410円(360円)※( )内は前売り料金。前売り券は近鉄駅営業所、JTB ホームページで販売。・20名以上は団体割引(入館料1割引)・障がい者手帳のご提示によりご本人と同伴者1名まで入館料2割引8. 展示作品数 約50点9. 展示作品●上村松園「花見」明治43(1910)年「娘」大正15(1926)年「新蛍」昭和7(1932)年●上村松篁「春」昭和12(1937)年「蓮」昭和56(1981)年「春輝」昭和59(1984)年●上村淳之「春宵」平成10(1998)年「月汀」平成10(1998)年「四季花鳥図(春・秋)」平成10(1998)年 詳細はこちら プレスリリース提供元:@Press
2022年03月11日松本潤多くのドラマが物語のクライマックスを迎える中、北京五輪による休止を挟んだ『となりのチカラ』(テレビ朝日系)は新たな展開を見せている。「嵐の松本潤さんが、グループ活動休止後、初めての主演を務めるドラマとして注目を集めていました。脚本は『女王の教室』や『家政婦のミタ』などを手がけた遊川和彦氏が務めており、松本さんと上戸彩さんが演じる家族が越してきたマンションを舞台に住人たちの関わりが描かれています」(テレビ誌ライター)松本が演じているのは、なんともクセの強い役柄。「主人公の中越チカラは、マンションの住人たちの問題を放っておけず、悩みながらも“何かしてあげられることないかな……”と次々に首を突っ込むお節介なキャラクター。普段の松本さんのイメージや今までに演じてきた役ともまったく違う頼りない役です」(同・テレビ誌ライター)それだけに、苦労もあった。「今日は笑わない」松潤に異変が脚本の遊川氏もWEBインタビューでこう明かしている。《松本さんが普通に演じてしまうと、やっぱりかっこ良くなってしまうんです。止まっていても、かっこ良く見えちゃうから、『ずっとおどおどしていてほしい』とリクエストしましたし、声も『高くしてくれ』としつこく言いました》(『MANTANWEB』より)ファンの間で“ミスターストイック”と称されるほどの松本は、現場でもストイックに役を追求した。「お芝居の中に彼なりの理論を構築して、ちょっとした行動にもしっかり理由づけをするのです。だからといって、それがわざとらしくならず、すごく自然な演技に見えます。カメラワークなども細かくチェックして、自ら提案することもあるそうです」(芸能プロ関係者)番宣にも積極的に参加。「テレビ朝日系のバラエティー番組に出ずっぱりで、『相葉マナブ』での相葉雅紀さんとの共演や、『テレビ千鳥』では千鳥の大悟さんからのむちゃぶりに振り回される姿も話題になりました」(前出・テレビ誌ライター)雑誌にも複数登場したが、ある雑誌の撮影現場では、珍しい顔を見せていて……。「疲れた様子でスタジオ入りすると“今日は笑わないので”と宣言して撮影がスタートしたようで……。本当に笑顔なしでの撮影が進み、実際に掲載された写真に笑っているものはありませんでした。また、あまりに疲れた顔が気になったのか、かなり事務所からのNGカットが多かったようです」(前出・芸能プロ関係者)“となり”だけじゃなく自分の疲れにも気を配って!
2022年03月10日東京郊外のとある公園に、アイボリーのコートを羽織った困り顔の男性が1人。嵐の松本潤(38)だ。2月下旬に松本は、現在放送中のドラマ『となりのチカラ』(テレビ朝日系)の撮影を行っていた。困っている人を放っておけず、同じマンションの問題を抱える住人たちのため、不安そうな表情で奔走する“中腰のヒーロー”チカラを演じていたのだ。ドラマの現場スタッフの間では、「松本さんは座長として頼りになる」と評判だという。「松本さんは撮影中、常に全体が見えている様子です。そのため監督と話し合いながら、カメラワークを提案したり、共演者に演技のアドバイスをしたりしています。コンサートの演出を担当している松本さんとしては、よりよい作品にするために、演者と演出の立場から率先して意見を出して、制作チームと対話するように意識されているそうです。’05年に『花より男子』(TBS系)で初共演し、今回で3度目の共演となる松嶋菜々子さん(48)は、『本当に大人になったな〜』と絶賛していましたね」(ドラマ関係者)冒頭のシーンの4日後、本誌は二宮和也(38)主演で4月にスタートする連ドラ『マイファミリー』(TBS系)の撮影現場も目撃した。同作は二宮演じるゲーム会社の社長が、誘拐された愛娘を取り返すべく奔走する物語だ。都内の海に面した公園で、二宮は妻役を務める多部未華子(33)とともにたたずんでいた。そこには本物の夫婦さながらの空気が流れていたーー。同時期に撮影を行っていた松本と二宮。あるテレビ局関係者は「決して偶然ではない」と明かす。「実は現在、嵐の“ドラマリレー”が行われているのです。まず、昨年4月クールに櫻井翔さん(40)がドラマ『ネメシス』(日本テレビ系)で主演を務めました。その後、相葉雅紀さん(39)主演のドラマ『和田家の男たち』(テレビ朝日系)が10月から放送。そして1月期で出演中の松本さんの作品と、4月期から始まる二宮さんのドラマの撮影時期が今回重なっていたのです。’09年から’11年にかけても、大野智さん(41)を含めたメンバー5人の主演ドラマが連続するドラマリレーがあったので、今回は2度目。これには“嵐は今も続いている”とファンに伝える意図もあるのではないでしょうか」実際、嵐は活動休止中でもファンクラブを閉鎖せず、限定ブログを公開したり、バースデーカードを配布するなど、ファンとの交流を図っている。もちろんメンバー間の親交も途絶えることはない。■2カ月に1度開催される5人での飲み会2月24日放送の『徹子の部屋』(テレビ朝日系)に松本が出演。司会の黒柳徹子(88)から、「(最近)嵐5人で集まったりしているの?」と聞かれ、「1週間前ぐらいにもしました。『正月何やっていた?』みたいな話をしながら、皆で焼き鳥を食べました」と明かしていた。さらに松本は顔を合わせる回数が減った5人の関係について、「変わらないですね。(むしろ)仕事していたときよりも仲いいかもしれないですね」と語っていた。また’21年11月3日に行われた嵐のライブフィルムの先行初日舞台挨拶でも、櫻井が「ちょうど1週間前に大野さん含めて5人で飲んでね」と話している。「昨秋から、2カ月に1回程度のペースで定期的に会が開かれているそうです。松本さんが幹事を担当しているようです。10代のころからともに時間を過ごしてきた5人はまさに戦友。昔話を中心に話が尽きることはないようですよ。大野さんはほかの4人の出演作をチェックしており、『楽しく見ているよ』と感想も伝えているみたいです」(前出・テレビ局関係者)2月27日放送の『ニノさん』(日本テレビ系)で、二宮は大野の名前をあげ、「出てくんないかな?暇しているらしい」と大野の近況を明かしつつ、番組出演をオファーしていた。俳優業や、バラエティ、ニュース番組などジャンルを問わず活躍する嵐のメンバー。多忙を極めながらも、それでも一堂に会するのには理由があるという。「ライブフィルムの舞台挨拶の際に大野さんはコメントを寄せて、『一日中、何もしないでソファで過ごす日とかあります。すいません』と言っていました。そんな大野さんが元気に過ごしているのか、4人は常に気にかけているそうです。そのため大野さんの“生存確認”と称して気軽に集まって、定期的に情報共有するようにしているそうです。プライベート感がましてより結束が強まっているといいます」(前出・テレビ局関係者)またテレビなどで、“嵐会”を報告するのは、ファンのためでもあるようだ。「もともとメンバー間の仲のよさは嵐の魅力のひとつです。休止中でも、自発的に5人で集まっていることを発信することは、復活を信じて待ってくれているファンへの感謝を示していると聞きました」(前出・テレビ局関係者)メンバーともファンとも、深いところでつながっている嵐。とはいえ、活動再開を焦ってはいないという。「もともと今回の活動休止は、『何事にも縛られず、自由な生活がしてみたい』という大野さんの意見を尊重したいという思いから始まっています。20年もの間、大野さんはリーダーとして嵐を支えてきましたからね。4人の間では、『リーダーが戻りたくなったときに戻ればいい』と意思統一されているそうです。そんな“掟”ゆえ、定例会を通じて、気長に待っているといいます」(前出・テレビ局関係者)ドラマリレー、そして定例会。嵐の絆が緩むことはないーー。
2022年03月09日「Snow Man」が主演を務め実写化する映画『おそ松さん』。この度、TVアニメ「おそ松さん」から6つ子たちが本作に参加していることが分かった。社会現象を巻き起こしたTVアニメ「おそ松さん」。6つ子たちは、櫻井孝宏(おそ松役)、中村悠一(カラ松役)、神谷浩史(チョロ松役)、福山潤(一松役)、小野大輔(十四松役)、入野自由(トド松役)と超人気声優たちがを演じている。今回の実写映画には、そんなアニメキャラがオープニングに登場し、「Snow Man」をサポート。劇中衣装をまとった映画オリジナルの描き下ろしバージョンで、本人(アニメ)が本人(実写)を紹介するという。本作のプロデューサーは今回の試みについて「アニメ『おそ松さん』という大人気コメディ作品を扱わせて頂くので、“せっかくなのでその勢いも借りちゃえ!”ということで今回の演出を思いつきました。そしてまさかの原作元(フジオプロ様)&豪華声優の皆様にもご快諾頂き、夢のコラボが実現することが出来ました!オープニングから『おそ松さん』ワールド全開のシーンとなっておりますので、気になる方は是非劇場に足をお運びください!!ちょっと感動すると思います(笑)」とコメントを寄せている。また、公開から3日間に鑑賞した人限定の入場者プレゼント<映画『おそ松さん』公開記念!“特製(とくシェー)”ステッカー>の配布も決定した(※数量限定)。映画『おそ松さん』は3月25日(金)より東宝系にて公開。(cinemacafe.net)■関連作品:映画 おそ松さん 2022年3月25日より全国東宝系にて公開©映画「おそ松さん」製作委員会2022
2022年02月25日松本潤「なにかしてあげられることないかな……」松本潤が不安そうな表情を浮かべながら、隣人たちのために奔走する─。1月20日から放送されているドラマ『となりのチカラ』(テレビ朝日系)が好評だ。■番宣にも全力投球「思いやりと人間愛はありながらもちょっと頼りない主人公が、同じマンションの住人たちの悩みを解決していく物語。心優しい主人公を松本さんが、彼の妻役を上戸彩さんが演じます。初回の平均視聴率は11・5%と好スタートを切りましたね」(スポーツ紙記者)’20年末に嵐が活動休止して以来、松本が連ドラで主演を務めるのは初めて。久しぶりのドラマということで、気合十分だ。「スタッフ全員の名前を覚えて積極的にコミュニケーションをとっていますね。カメラワークなど、細かいところもチェックして、“ここはこうしたほうがいいのでは?”と提案していますよ」(芸能プロ関係者)少しでもたくさんの人に見てもらおうと宣伝にも全力投球だ。「番組の告知も兼ねたバラエティー番組に積極的に出ています。以前はグループの仕事との兼ね合いで出られないこともありましたが、今回はスタッフが心配するぐらいテレビに出ずっぱりですね(笑)」(同・芸能プロ関係者)■松潤がスマホで作中では気の強い妻役の上戸に気圧されぎみな松本だが、撮影現場では、彼がリードすることが多いみたい。「実は、2人は高校の先輩・後輩という関係なんです。共演は今回が初めてですが、先輩である松本さんがアドバイスしていますね。夫婦でやりとりするシーンも多いので、打ち合わせにも力が入るのでしょう」(制作会社関係者)連日、撮影に追われているが、上戸は夜遅くの打ち合わせに参加できないこともある。「上戸さんは’15年に長女を、’19年に長男を出産しました。お子さんはまだ6歳と2歳と手のかかる年齢なので、保育園の送り迎えなどで早抜けすることもあるのでしょう」(同・制作会社関係者)そんな“時短”勤務の“妻”を松本が陰ながらサポートしていて─。「上戸さんが参加できなかった本番前の本読みや稽古の様子をスマホで動画撮影したり、録音して彼女に送っているんです。しかも、撮ったデータを編集までして!ムービーなら上戸さんも家事の合間に手軽に見られるので、“すごく助かる!”と喜んでいますよ」(同・制作会社関係者)嵐のコンサートの演出を担当するなど、裏方の事情に精通しているだけに、“カンゲキ”ムービーを作るのは朝飯前なのだろう。松潤の“チカラ”で人気ドラマになること間違いなし!?
2022年01月27日漫画家である赤塚不二夫さんの名作ギャグ漫画『おそ松くん』が原作であり、赤塚不二夫さんの生誕80周年を記念して2015年に放送された、アニメ『おそ松さん』。同作品は、「クズでニート」な大人に成長してしまった松野家の6つ子が主役で、先の展開が読めないギャグコメディです。2022年3月には実写化作品の映画『おそ松さん』が公開予定で、今なお高い人気を博しています。『おそ松さん』のコラボレーションカフェが開催!同年2月9日より、東京都豊島区にあるスタンドカフェ『アニメイトカフェスタンドHareza池袋』にて、『おそ松さん』のコラボレーションカフェが開催!同企画では、フルーツパーラーをテーマに、6つ子カラーのドリンクなどのコラボメニューを楽しむことができます。ほかにも『アニメイトカフェ』限定の描き下ろしイラストを使用したオリジナルグッズも販売されるので、ファンは要チェックです!『松野家絶賛!おでんの盛り合わせ・注文特典ブロマイド付き』大根や玉子、さつま揚、こんにゃく、おさかなとうふ揚げ、ちくわ、こんぶが入ったおでんです。注文特典のブロマイドもかわいいですね!『6つ子プリントクッキーセット』6つ子が描かれたプリントクッキーと、チョコクッキーのセット。それぞれ異なる6つ子の表情がポイントですよ!『おそ松のフルーツパーラー 柚子ドリンク』長男・おそ松のテーマカラーである、赤色をモチーフにしたドリンクです。グレナデンシロップや柚子ドリンク、チェリー、もなか、ミックスベリーが入っています。『カラ松のフルーツパーラー ブルーライチドリンク』次男・カラ松のテーマカラーである、青色がモチーフのドリンクです。バイオレットゼリー、ミントゼリー、ブルーライチドリンク、ホイップクリーム、チェリー、もなか、オレンジが入っています。注文特典は、全21種類のコースター!メニューを注文するとオリジナルコースター21種から1つがランダムで手に入ります。オリジナルグッズ(一部抜粋)CoLotta トレーディングアクリルプレートキーホルダーBIGアクリルスタンドキーホルダー缶入りクランチチョコトレーディングリボンストラップさらに、同年2月11日~13日には、大阪府大阪市のフードコート『コミュニティーフードホール大阪・日本橋』にて出張版も開催されます。まだまだ展開する『おそ松さん』ワールドを、存分に楽しみましょう!【「おそ松さん」× アニメイトカフェ】開催期間:2022年2月9~28日会場:アニメイトカフェスタンドHareza池袋利用方法:同年2月9~13日…ウェブで抽選予約、他日程はフリー入場(混雑状況により整理券制の場合があります)[文・構成/grape編集部]
2022年01月21日松本潤が遊川和彦とタッグを組む「となりのチカラ」が1月20日スタート。松本さん演じるチカラに「見たことない松潤」「めっちゃ新鮮」などの声が殺到、ずっとセーターを裏返しのまま着ている姿にも「可愛い」の声が多数寄せられている。「人を救いたい」「周囲を平和にしたい」という思いから、いつも中途半端に他人の問題に関わり、簡単に解決できない問題だとわかるとオロオロと中腰になりながら悩んでしまう中越チカラを主人公に、そんなチカラが同じマンションに住む住人たちの悩みを解決し、やがてそのマンションはひとつのコミュニティーとなって強い繋がりを持っていくという、現代人の心に癒しと少しの勇気を与えてくれる、社会派ホームコメディーとなる本作。中越チカラを松本さんが演じるほか、チカラの妻で12歳の娘・愛理と10歳の息子・高太郎の母親、アパレルショップで店長を務めている中越灯に上戸彩。小学6年生のチカラの娘・中越愛理に鎌田英怜奈、高太郎に大平洋介。中越一家のお隣に住むエリート会社員で、妻と娘と仲良く暮らす理想的な3人家族に見えるが、なぜか妻と娘は何かに怯えている木次学に小澤征悦。学の妻の達代に映美くらら。小学3年生の娘・好美に古川凛。中越一家の真下に住み、数人でルームシェアをしているマリアにソニン。凶悪少年犯罪事件の真犯人“少年A”という噂がある上条知樹に清水尋也。震災で両親を失い祖母の清江と暮らす高校3年生の柏木託也に長尾謙杜(なにわ男子)。託也の祖母・清江に風吹ジュン。チカラの担当編集者・本間奏人に勝地涼(友情出演)。チカラが仕事場に使うカフェの店主に夙川アトム。マンションの管理人・星譲に浅野和之。中越一家の隣人で占いにハマっている道尾頼子に松嶋菜々子といったキャストが出演。※以下ネタバレを含む表現があります。ご注意ください。東京の郊外にあるマンションにチカラたち一家が引っ越してくる。個性豊かな住人たちに思いを巡らせるチカラに対し、灯は「ご近所のことに首を突っ込まないように」と諭す。しかし隣の部屋から叫び声が聞こえ、心配でいてもたってもいられなくなったチカラは隣の木次家を訪ね、学に怯えたような表情をみせる達代と好美が気になる。実は好美は虐待を受けているらしく…というのが1話のストーリー。チカラ役の松本さんに「面白かった! 見たことない松潤だった!」「こういう役の松潤新鮮だなー。凄い好き」「今までの松潤と違うキャラでめっちゃ新鮮」などの反応が上がるとともに、「歩き方も話し方も違って松本潤くんなのに松本潤くんじゃ無かった」など、これまでにない役柄を演じる松本さんの演技力を高く評価したコメントも。一方、放送が開始してしばらくたつとSNS上には「セーター裏返しじゃんチカラくんw」「セーター表裏逆じゃございませんか?」など、チカラがセーターを裏返しに着ているという指摘が相次ぐように。その後、裏返しに着ていることを灯に指摘されたチカラはあわてて脱ごうとするのだが、視聴者からはその姿にも「セーター表裏逆可愛い」「チカラくん可愛すぎ セーター裏返し」など、多数の“カワイイ”という反応が寄せられている。(笠緒)
2022年01月20日松本潤1月20日から松本潤主演のテレビ朝日系木曜ドラマ『となりのチカラ』が始まる。「今回演じる中越チカラは、松本さんが今までやったことのないタイプの役柄です。カッコよさは封印して、ちょっと情けないキャラですね。同じマンションの住人を助けようとするんですが、いつも中途半端な“中腰ヒーロー”。都会で隣人との絆を結ぼうとする姿を描く社会派コメディーです」(テレビ誌ライター)松本の新しい一面が見られそうだ。新感覚のドラマは、主題曲にも注目が集まる。「坂本九さんが歌った名曲『上を向いて歩こう』のピアノバージョンです。その放送回の出演者に合わせて、毎話違ったアレンジで聞かせてくれるというのが驚きですね」(同・テレビ誌ライター)■東京オリンピックでも演奏演奏するのは上原ひろみ。世界で活躍するジャズピアニストだ。「上原さんは17歳でジャズの超大物チック・コリアに見いだされ、バークリー音楽大学を首席で卒業。’03年にデビューすると、瞬く間に世界的に人気が爆発。各国を回り、年間150公演をこなすように。’11年には“グラミー賞ベスト・コンテンポラリー・ジャズ・アルバム”を受賞。’16年には“ビルボード・ジャズ総合アルバムチャート1位”という快挙を達成しています」(音楽ライター)日本でもドリカムや矢野顕子などとコラボ。今年の5月にはドリカムとジャズフェスティバルに出演する予定だ。「東京オリンピック開会式では、市川海老蔵さんの歌舞伎に合わせて演奏しました。上原さんの音楽はクラシック、ロック、ファンクなどさまざまな音楽の影響を受けてジャンルレス。同じ曲でも即興で毎回違う印象になるんですよ」(同・音楽ライター)上原は「《お芝居》と《音楽》という形で初めて一緒にお仕事できることが楽しみ」とコメントしているが、実はもともと松本とは縁が深い。「松本さんは’17年に日本テレビ系の『嵐にしやがれ』に上原さんがゲストに来たとき、“本人の前でこんなことを言うのもあれですけど、天才です。ひれ伏す感じですね”と発言して大ファンであることを明かしていました。松本さんがビートルズ、マイケル・ジャクソンからクラシックまで幅広いジャンルの音楽を聴いていることは知っていたんですが、上原さんのファンだとは知りませんでした」(前出・テレビ誌ライター)実は上原のコンサートにも顔を出しているという。「10年近く熱心に通っているんじゃないでしょうか。コンサートが終わるといつも上原さんの楽屋に一番乗りし、ほかの人が挨拶に来る前にスッと帰っていきます。楽屋に友人らを大勢連れて来るような人もいるけれど、彼は毎回1人。上原さんの音楽が心の底から好きなんだと思いますよ」(音楽関係者)■上原ひろみの夫とも親交があって上原の夫はデザイナーの三原康裕氏。松本は彼のブランド“MIHARA YASUHIRO”のファンでもある。「三原さんは多摩美術大学在学中に靴のブランドを立ち上げて、それがおしゃれな若者の間で大人気に。メンズ、レディース、ジュエリーなども手がけるようになり、ミラノコレクション、パリコレクションに参加。世界的に評価されているデザイナーです。かつてはPUMAと、昨年はGUともコラボしていますよ」(ファッション関係者)松本はプライベートでも着ることが多かったが、’15年の紅白歌合戦では嵐の衣装としてMIHARAブランドを採用。「三原さんは以前から松本さんと面識がありましたが、着てくれるように頼んだわけではありません。あるとき“ビックリしたよ、松本クンがウチの服を着ているんだもん”って目を丸くしていました。松本さんが自費で購入していたようなんです」(三原の知人)松本は嵐のライブで演出を担当し、衣装も決めていた。「忙しい合間に単独でパリコレを視察に行っているくらい、ファッションに対しては本気。三原さんをクリエイターとして尊敬しているから、自腹でMIHARAブランドを購入して、嵐にも取り入れたんだと思います。松本さんは交友関係を仕事に絡めることはしない人ですからね。今回は上原さんが主題曲を担当することになったので、ドラマの内容を松本さんが直接、上原さんに伝えたのでしょう。話し合った結果、毎回違うアドリブでやることになったのかもしれません」(前出・テレビ誌ライター)上原と三原は、松本の“推し夫婦”。クリエイター同士のつながりが、ドラマを盛り上げるに違いない!
2022年01月20日松嶋菜々子1月20日にスタートする嵐・松本潤主演ドラマ『となりのチカラ』(テレビ朝日系)に松嶋菜々子が出演することが明らかになった。松潤とは『花より男子』(TBS系、2005年ほか)シリーズ、『ラッキーセブン』(フジテレビ系、2012年)に次ぐ3回目の共演となる。「脚本を手がけるのは、松嶋さん主演ドラマを多数ヒットさせてきた遊川和彦氏。最終回視聴率40%を記録して社会現象となった、大ヒットドラマ『家政婦のミタ』(日本テレビ系、2011年)では彼女の正統派イメージを一転させる役柄を描き、新たな一面を引き出しました。『チカラ』でも松嶋さんにあてがわれた役どころは、主人公の隣に住む“占いにハマっている女性”とクセ強め(笑)。どんな“怪演”を見せてくれるのか楽しみでなりません」(テレビ誌記者)昨年の10月期に放送された『SUPER RICH』(フジテレビ系)から2クール続けてのドラマ出演になる松嶋だが、同作は江口のりこ、そして今作は松潤が主演と、与らえた役割は“サブ”だ。■主演作が減ってきている松嶋1996年のNHK朝ドラ『ひまわり』のヒロインに抜擢され、1998年の映画『リング』で日本アカデミー賞優秀主演女優賞を受賞して以降は、彼女の定位置は常として“主演”。ところが、近年はというと、ドラマや映画も含めて主演を務める機会が減ってきている。なぜかーー、「いえ、松嶋さんへの主演オファーは今も絶えませんよ」とは、ドラマ制作会社営業担当。「現在もギャラはトップクラスですが、それでも女優としての評価はゆるぎなく起用を推す局は多いと聞きます。『ミタ』で演技の幅を広げたことで、正統派だけではない、“難役を演じてほしい”と制作側の要求も上がっているとか。当の松嶋さんも『Uber Eats』CMで衝撃の“Matt化”を披露したように、周囲からの見る目の変化を楽しんでいるように見えますね」そして“サブ”起用にも積極的に応え始めた背景には、松嶋が慕った、とある名女優の影響があるのだとも。昭和を代表するスター・二谷英明さんの妻で、自身も女優として多くのドラマや映画に出演してストーリーを彩った白川由美さん。2016年6月に心不全のために亡くなると、故人を忍んで通夜には多くの参列者が並んだ。そこに参列し、《つい最近もお会いしたばかりだったので、元気で可愛い白川さんの笑顔と笑い声が思い出されます》とのコメントを寄せたのが、所属事務所の後輩だった松嶋。老舗芸能プロマネージャーによると「まるで親友のようでした」と2人の関係性を明かす。「二谷さんの娘でトライグループ代表取締役の友理恵さんとも仲が良く、家族ぐるみの付き合いをしていた松嶋さん。白川さんともお茶友達で、公私にわたって相談に乗ってもらう仲で、広い庭に畑も作らせてもらっていたみたい」■名バイプレーヤーへの道を歩む白川さんとは共演する機会も多かった松嶋。かの『ミタ』でも家政婦紹介所の少々お節介な所長役として、“三田灯”を心配して世話を焼いていたのが印象的だ。「慣れない役柄に緊張する面持ちの松嶋さんに、“そんなにガチガチにならないの”と優しくほぐしていた白川さん。いつも朗らかな笑顔で現場を明るくし、事務所の後輩からは“お母さん”として慕われていましたね。一方で主演級でなくとも、凛とした女性や家族を見守る母親、そして所長さんのような役もこなす演技力を備えた、ドラマや映画には欠かせない名バイプレーヤーでもありました。松嶋さんは、そんな憧れの名女優と同じ道にも踏み出そうとしているのでは。主演に責任を感じて現場でピリピリしていた頃とは違って、今の松嶋さんはすごくリラックスしていて周囲とも笑顔が絶えないみたいですよ」(前出・芸能プロマネージャー)七回忌を迎える今年、松嶋は白川さんにどんな言葉をかけるのだろうか。
2022年01月07日意外と知らない社会的な問題について、ジャーナリストの堀潤さんが解説する「堀潤の社会のじかん」。今回のテーマは「親ガチャ」です。階層の固定化をどのように崩していくのか。「親ガチャ」とは、カプセル玩具やソーシャルゲームの“ガチャ”になぞらえて、親や生まれる境遇を選べない状況を表す言葉で、国会でも取り上げられました。かつては「一億総中流」といわれ、どの家庭に生まれても平準化された暮らしがありましたが、いまは大きく変わってしまいました。一般的に親の年収ごとに400万円以上ならN(ノーマル)。1000万円以上ならR(レア)。3000万円以上ならSR(スーパーレア)、400万円以下はB、C、D…と、ゲームのランキングのように、年収と職業を符号させることがネット上で流布されています。階層化をまざまざと認識させるような手法は、社会の分断を加速させてしまいます。一番の問題は、階層移動が不可能な格差が固定化されていることでしょう。これまでは、個人の努力によって、いかなる家庭に生まれようとも望む暮らしが手に入れられるチャンスがありました。ところが、いまは頑張ったところでどうにもならない状況に追い込まれています。この問題の解決には政治の力が求められます。少なくとも、「機会の均等」について対策をとるべきでしょう。日本は教育への投資がGDP比率で圧倒的に低い状況にあります。大学までは国が無償で面倒をみる、給食費は国や自治体が税金でまかなう、タブレットやパソコンなどのデジタル機器・通信環境は家庭によって差が出ないように補助していくなど、方法はいくつもあると思います。アメリカのシリコンバレーでは、難民や移民、貧困層の子供たちに民間の企業が寄付を呼びかけるなど、教育機会を与えて人材育成に力を注いでいます。日本では孫正義さんが率いる財団で、進学や留学、研究などを志す若者たちのサポートをしていますが、民間企業全体ではそういうサポートがまだ足りていません。自分たちの国を支える技能者を育てるという観点からも、必要なことなのではないかと思います。子供たちを国や社会で育成するという視点が重要なのではないでしょうか。読者のみなさんも、自分が親になったときに、子供の人生が自分の年収で決まってしまう社会でいいのか?考えていただけたらと思います。堀潤ジャーナリスト。市民ニュースサイト「8bitNews」代表。「GARDEN」CEO。Z世代と語る、報道・情報番組『堀潤モーニングFLAG』(TOKYO MX平日7:00~)が放送中。※『anan』2021年12月8日号より。写真・中島慶子イラスト・五月女ケイ子文・黒瀬朋子(by anan編集部)
2021年12月04日意外と知らない社会的な問題について、ジャーナリストの堀潤さんが解説する「堀潤の社会のじかん」。今回のテーマは「中国TPP加盟申請」です。中国も台湾も加盟を申し出た。行く末に注目。TPP(環太平洋パートナーシップ)協定の始まりは、ASEAN(東南アジア諸国連合)や南米地域の経済連携でした。ところが、オバマ政権時にアメリカが加わることになり一気に色合いが変わりました。中国の台頭が目覚ましくなり、中国を牽制する連携が必要と、自由主義諸国の中国経済圏への対抗措置として交渉が進められるようになったのです。日本は最初は関心を示していませんでしたが、この巨大な貿易圏に入っておかなければ、将来孤立しかねませんし、最初からルール作りに参加しておいたほうがよいだろうと判断。反対意見もあるなか、民主党政権下で参加を決め、交渉を開始しました。ところが2017年、ようやく貿易交渉も合意したところに、トランプ政権が誕生し、アメリカはTPPを離脱。一気に、規模が縮小してしまいました。そこからは日本主導となり、2018年に11か国がTPPに署名しました。今年、バイデン政権になり、日本はアメリカのTPP復帰を求めていますが、バイデン大統領は静観しています。そんな折、中国がTPP加盟を申し出ました。習近平国家主席は当初からTPPに関心を持っていたらしく、米国が抜けたいまがチャンスだったんですね。中国は戦争という武力で圧力をかけることよりも、交渉のなかで自国に有利なルールを作り、中国の貿易圏に取り込むことで他国を経済的支配下におくことに注力してきました。TPPはその大きな入り口になるところでした。そこへTPP加盟を申し出て牽制に入ったのが台湾です。これには「中国は一つではなく、台湾は台湾」というメッセージが込められています。TPPの加盟には参加国全員の合意が必要です。中国を先に入れれば台湾やアメリカの加盟は不可能になるでしょう。また、台湾を先に入れれば中国を敵に回すことになり、アジア太平洋地域の緊張につながります。日本にとって頭の痛い問題なのです。TPPの先には、さらに国や地域を拡大した連携などの構想があります。政治と経済を切り離し、東アジア全体の安定につながるような交渉ができるといいのですが、そう簡単にはいかないでしょう。堀潤ジャーナリスト。市民ニュースサイト「8bitNews」代表。「GARDEN」CEO。Z世代と語る、報道・情報番組『堀潤モーニングFLAG』(TOKYO MX平日7:00~)が放送中。※『anan』2021年12月1日号より。写真・中島慶子イラスト・五月女ケイ子文・黒瀬朋子(by anan編集部)
2021年11月26日アイドルグループ・Snow Manが主演を務める映画『おそ松さん』(2022年公開)のティザービジュアルが29日、公開された。同作は赤塚不二夫生誕80年記念として2015年10月からアニメ化された、赤塚不二夫の名作ギャグ漫画『おそ松くん』を原作にしたアニメ。20歳を過ぎてもクズでニートで童貞、だけどどこか憎めない大人に成長した松野家の6つ子を主人公に、何でもありの予測不可能な物語が人気を博している。実写化にあたり、おそ松役を向井康二、カラ松を岩本照、チョロ松を目黒蓮、一松を深澤辰哉、十四松を佐久間大介、トド松をラウール、今回オリジナルキャラクターとなるエンドを渡辺翔太、クローズを阿部亮平、ピリオドを宮舘涼太が演じる。公開されたティザービジュアルでは、“おそ松さん”おなじみのパーカーを身につけた6つ子、そして謎の黒の役衣装を着たオリジナルキャラクターのエンド、クローズ、ピリオドが、イヤミの代名詞とも言える「シェー」のポーズを決める。青空をバックに色鮮やかな9人が映え「笑い盛り過ぎちゃってスイマシェーン!」のコピーが配置された。このティザービジュアルは、11月19日より順次劇場にて掲出される。
2021年10月29日「Snow Man」が主演をつとめる人気アニメの実写化映画『おそ松さん』よりティザービジュアルが解禁となった。本作は、赤塚不二夫の名作ギャグ漫画「おそ松くん」を原作にした大ヒットアニメ「おそ松さん」の実写映画。大人気グループ「Snow Man」が主演し2016年には流行語大賞にノミネートされるほどの社会現象を巻き起こした人気作品と最強のコラボレーションを見せる。監督は『映画 賭ケグルイ』『東京リベンジャーズ』の英勉。実写版ならではのオリジナル要素を盛り込んで、“おそ松さん”の世界を描く。この度初お披露目となったビジュアルは、青空をバックに色鮮やかな9人が映える、メデタさ満点の1枚。主演の「Snow Man」が、“おそ松さん”お馴染みのパーカーとオリジナルキャラクターのエンド、クローズ、ピリオドは謎の黒の役衣装を着て、イヤミの代名詞である「シェー」のポーズを披露。大きく口を開けたビックスマイル、何かに向かって叫ぶような表情は共通ながら、それぞれに個性を見せている。「笑い盛り過ぎちゃってスイマシェーン!」のコピーが表すように、日本中に“笑いの渦”を巻き起こすような印象的なビジュアルとなっている。またこのティザービジュアルは、11月19日(金)より順次劇場にて掲出される予定で、来年3月の公開に向けてますます盛り上がりを見せそうだ。映画『おそ松さん』は2022年3月25日(金)より全国東宝系にて公開。(text:cinemacafe.net)■関連作品:映画 おそ松さん 2022年春公開予定©映画「おそ松さん」製作委員会2022
2021年10月29日意外と知らない社会的な問題について、ジャーナリストの堀潤さんが解説する「堀潤の社会のじかん」。今回のテーマは「東京オリパラ」です。パラの成長を見た東京大会。認知に広がりも。東京オリンピック・パラリンピックは大会としては結果的に成功だったように思います。無観客でさまざまな制約があったにせよ、特にパラリンピックは過去の大会に比べると注目度もたいへん高く、史上最多の4403人の選手が参加しました。アフガニスタンでは開催直前に政変が起き、選手が大会に参加できず他国に逃れるという事態に。開会式では国連難民高等弁務官事務所の方が代わりに国旗を持って入場行進をし、最終的にはサポートを得て2人の出場が叶いました。女性選手も、LGBTQをカミングアウトする選手も、これまでの大会以上に参加が増えました。僕はパラリンピックの取材に関わっていましたが、会場内の感染対策は徹底していました。関係者はPCR検査を毎日無料で受けられ、毎朝専用アプリに体温を入力。それが自分のIDナンバーに紐づけられていました。誰か記入漏れがあると同じ取材グループ全員にメッセージが届き、入力を促すシステムで、すごく安心感がありました。こういうデジタル化された管理システムが街中でもできればと思います。日本のボランティアは、海外から高い評価を得ました。しかしそのバックヤードでは、1年延期により指揮命令系統や担当者の引き継ぎに不具合があり、ボランティアのみなさんに大きな負荷をかけてしまっていたようです。東京五輪は、政治的な抗議パフォーマンスが認められた初めての大会でもありました。女子サッカーなどでは試合開始前に選手が片膝をつき、女子砲丸投げの銀メダリストは表彰台で両腕をクロスして人種差別等に抗議を示しました(表彰台上でのパフォーマンスは本来は禁止)。Black Lives Matterなどの流れを受けたことが背景にあります。ミャンマーの選手の日本への難民申請が異例の早さで認定されたのも、オリパラという世界が注目する場だからできた判断だったと思います。今回、オリンピックよりもパラリンピックのほうが、理念をより体現した大会だった印象です。世界中の人々が集まり、出身国の政治状況を身近に知る機会になったのは、大きな財産になったのではないでしょうか。堀潤ジャーナリスト。市民ニュースサイト「8bitNews」代表。「GARDEN」CEO。Z世代と語る、報道・情報番組『堀潤モーニングFLAG』(TOKYO MX平日7:00~)が放送中。※『anan』2021年10月27日号より。写真・中島慶子イラスト・五月女ケイ子文・黒瀬朋子(by anan編集部)
2021年10月23日展覧会「上村松篁展「美の構成」に触れる」が、奈良の松伯美術館にて、2021年11月2日(火)から2022年2月6日(日)まで開催される。伝統と自然に織りなされる“美の構成”上村松篁(うえむら しょうこう)は、上村松園の長男として京都に生まれ、近現代の京都画壇で格調高い花鳥画を描き続けた日本画家だ。幼少期からの精緻な観察力と伝統的な円山四条派の写生に基づき、近代的な構成をもつ洗練された作品を手がけた。展覧会「上村松篁展「美の構成」に触れる」では、伝統のなかで育まれ、自然の神秘にふれて織りなされる、松篁芸術の「美の構成」に着目して作品を紹介。火炎木と印度孔雀、スコールを描いた70歳時の代表作《燦雨》、《白木蓮》の本画をはじめ、作品の制作過程を知ることができる下絵や素描も展示する。展覧会概要展覧会「上村松篁展「美の構成」に触れる」会期:2021年11月2日(火)〜2022年2月6日(日)会場:松伯美術館住所:奈良県奈良市登美ヶ丘2-1-4開館時間:10:00~17:00(入館は16:00まで)休館日: 月曜日(1月10日(月・祝)は開館)、1月11日(火)、年末年始(12月27日(月)~1月3日(月))入館料:大人(高校生・大学生を含む) 820円、小学生・中学生 410円※20名以上は団体割引1割引※障がい者手帳の提示により本人と同伴者1名まで2割引※出品作品は、都合により変更となる場合あり【問い合わせ先】松伯美術館TEL:0742-41-6666
2021年10月23日舞台・COCOON PRODUCTION 2021+大人計画『パ・ラパパンパン』のオンライン取材会が15日に行われ、松たか子、松尾スズキが登場した。演出を松尾、脚本を藤本有紀氏が担当し、松、神木隆之介、小日向文世らが出演する同作。藤本氏は『ちりとてちん』に続き、2021年後期放送予定の『カムカムエヴリバディ』で2度目のNHK連続テレビ小説の脚本を手掛けるなど、テレビドラマを中心に活躍する脚本家である。そのため、松尾は「ドラマの脚本家の方なので、精密なミステリー劇が上がってくるのかなと思っていたら、すごく混沌としていて」と驚きつつ、「でも伏線、トリックがちゃんとあって、最終的に回収されていくという演劇とドラマが合わさった不思議な作品になっています」と感想を述べた。また、松と神木が掛け合いを見せる舞台冒頭のシーンについて「二人のメジャー感、ポップさは、今まで自分が作ってきた芝居と180度違う感じで新鮮」と伝え、「そのシーンばかり稽古してますね」と笑いを誘う松尾。「元々、松さんとご一緒したくて、以前から何度もオファーをしていたのですが、断られ続けて(笑)。今回、僕以外の人が書いた脚本でやると(オファーを受けてもらった)」「たまたま今回は松さんのバイブスが合致したんでしょうね」などと冗談めかして打ち明けると、松は「違います(笑)!」「そんなことないです!」と首を何度も横に振った。さらに松尾は「松さんの動きが面白いんですよね。無駄がないって言うか。笑いの間って言うのは動きによって決まるのですが、止まるところは止まる、動くところは動くっていうのができている人は笑いができていると思う」と言い、「(稽古の段階で)期待はもう上回っている」と絶賛。また今回、松の歌唱シーンがあることについても「僕は松さんの歌声が大好きで、初めからそれありきということでお願いさせていただきました」と話していた。舞台『パ・ラパパンパン』の東京公演はBunkamura シアターコクーンにて11月3日〜28日、大阪公演は森ノ宮ピロティホールにて12月4日〜12日に上演。公演は11月10日(18:00〜)の回にてライブ配信も実施される。撮影:引地信彦
2021年10月15日意外と知らない社会的な問題について、ジャーナリストの堀潤さんが解説する「堀潤の社会のじかん」。今回のテーマは「世界の気温1.5℃上昇」です。加速する温暖化。脱炭素に向けた新技術に注目。8月、IPCC(国連の気候変動に関する政府間パネル)は、今後20年以内に、世界の平均気温上昇が産業革命前と比べて1.5度に達するという予測を発表しました。これは3年前の報告よりも10年早まっています。温暖化は人間の影響により起きており、そのせいで熱波や豪雨、干ばつなどの異常気象が増加。気温の上昇は2050年頃にCO2の排出をゼロにしても1.5度、ゼロにならなければさらに上がり、脱炭素対策が急務であると警告しました。日本政府は4月、2030年度には‘13年度比でCO2を46%削減すると発表しています。しかし、産業界からは、それさえ難しいという声が上がっており、再生可能エネルギーの普及促進を政府に求めています。家庭でのCO2排出量削減は66%減が必要と国は試算していますが、個人でできる範囲は限られます。電力の使用量を可視化できる「スマートメーター」も個人で新たに設置するには高額です。国は街づくりと一体化して、効率的に電力を運用していく必要があるのではないでしょうか。環境省は、‘19年より省エネ製品買換ナビゲーション「しんきゅうさん」をウェブで公開。また、ステイホームで長時間使用するようになったエアコンのサブスク化の検討も進めています。新しい省エネ機種を購入するのではなく、月額使用料を支払い、導入しやすくする狙いがあります。また、大学や公的機関のインフラを再生エネルギー100%に変えていく試みも始めようとしています。企業に対しては、太陽光パネルの設置の義務化も提案されましたが、それには森林を切り開かなければいけなかったり、台風や土砂災害により太陽光パネルが産業廃棄物になってしまうという環境負荷の問題もあり、異論が出ています。そんななか、非常に薄いフィルム状の「ペロブスカイト太陽電池」が開発されました。世界で注目の次世代型太陽電池で日本でも研究が進んでいます。将来は自分の使用するエネルギーを、身につけているものでまかなう時代になるかもしれません。新しいテクノロジーに社会的関心が高まり、研究促進の後押しになるといいなと思います。ジャーナリスト。市民ニュースサイト「8bitNews」代表。「GARDEN」CEO。Z世代と語る、報道・情報番組『堀潤モーニングFLAG』(TOKYO MX平日7:00~)が放送中。※『anan』2021年10月6日号より。写真・中島慶子イラスト・五月女ケイ子文・黒瀬朋子(by anan編集部)
2021年10月01日意外と知らない社会的な問題について、ジャーナリストの堀潤さんが解説する「堀潤の社会のじかん」。今回のテーマは「アフガニスタンとタリバン」です。タリバンの圧政を恐れ、逃げる国民。世界の監視が必要。8月16日、武装勢力タリバンがアフガニスタンのほぼ全域を制圧しました。タリバンは1996年に政権を樹立。しかし2001年、アメリカ同時多発テロの首謀者・ビンラディンを匿っているとして米軍などがアフガンを空爆、政権を崩壊させました。その後、約20年間、タリバンは駐留米軍や政府軍と戦闘状態にありましたが、前トランプ政権時に米軍が撤退することで合意。引き継いだバイデン大統領が5月から撤退を本格化させるとタリバンは次々に全土を掌握、首都を包囲されたガニ大統領は国外に逃れ、8月末の米軍の完全撤退前に政権が崩壊しました。元タリバンの兵士で、現在は現地で平和構築活動をしている方を3年前に取材したことがあります。そのときに、「シリア内戦やISの台頭など、世界の注目がアフガニスタンから外れていった。その空白(時期)が生まれると暴力が起きる」とおっしゃっていました。今回の制圧も急に進んだのではなく、ガニ政権は腐敗しており、タリバンの活動は近年活発化していたのです。旧タリバン政権は女性の教育や就労を認めず、男性家族が同伴しない外出を禁止。人権侵害だけでなく、反政府勢力となってからは無差別テロをたびたび起こすなど残虐性が増していると指摘する海外メディアもあります。復権による圧政を恐れた国民は、国外に逃れようと空港に押し寄せ、離陸する飛行機にしがみつき振り落とされて亡くなる悲劇も起こりました。そんななか、中国やロシアはいち早くタリバン新政権を支持すると表明しました。中国にとっては一帯一路構想の重要な地域なので、タリバンと良好な関係を築いておきたいのです。一昨年、アフガニスタンの緑化運動を進めていた中村哲医師が、武装勢力に殺害されました。現地には日本の人道支援に対して、強いリスペクトを持つ人が大勢います。こういうときこそ、アメリカかタリバンかではなく、市民の側に立ち、生活が安定するように関わり続けることが重要なのではないかと思います。いま現地では、激しい攻撃を受けながらも、女性たちが権利を求めて抗議活動を行っています。動向を注視しなければなりません。堀 潤ジャーナリスト。市民ニュースサイト「8bitNews」代表。「GARDEN」CEO。Z世代と語る、報道・情報番組『堀潤モーニングFLAG』(TOKYO MX平日7:00~)が放送中。※『anan』2021年9月29日号より。写真・中島慶子イラスト・五月女ケイ子文・黒瀬朋子(by anan編集部)
2021年09月24日意外と知らない社会的な問題について、ジャーナリストの堀潤さんが解説する「堀潤の社会のじかん」。今回のテーマは「新型コロナの治験」です。多くの治験が新薬の完成を早めます。新型コロナウイルス感染症の感染拡大がなかなか収まらないなか、急がれるのは治療薬の開発です。そのために行われるのが「治験」です。治験とは、新しい治療薬の候補が開発される過程で、健康な人や患者さんに使ってもらい、効果や安全性、副作用の有無などを確かめる臨床試験のこと。体を使って調べるため、もちろんリスクを伴いますが、検査費用の負担はなく日本では何かあればすぐさま医療機関による手厚いフォローが受けられます。現在、国立国際医療研究センターの治験管理室や「生活向上WEB」で、新型コロナの治験参加者を募集しています。「生活向上WEB」の募集案内によれば、自宅で服薬しながら病院に定期的に通い、7か月にわたり経過を調べる。通院は、自宅から病院まで専用タクシーが送迎。参加することにより、薬の開発は進み、社会貢献になると記されています。ただし、治験にはデータを採るのに適した検体でなければいけません。新型コロナの治療薬候補の場合、陽性患者で症状があり、ワクチンをまだ一度も接種していない成人男女が対象になります。あらゆる治療薬の開発に治験は欠かせません。日本での治験の数は近年増えていますが、先進国のなかでは下位に位置します。アメリカなどは医療費が高額なため、無料で治療を受けられる治験を希望する人は大勢いますが、日本では一定水準の医療が保険適用で受けられるので、無理して受けようという人は限られているのです。治験の数が足りない分は、アジアの他の国のデータを活用しますが、日本人の治療には、やはり日本人による治験の結果が必要です。たとえば、海外の製薬会社で新薬が開発されても、日本人の治験結果がなかなか採れないためその薬が日本に投入されない、もしくは日本向けには開発されないという問題が起きてしまいます。このことに厚労省は危機感を抱いています。治験については、まだ一般にはよく知られていません。政府はもっと広くアナウンスするべきではないでしょうか。新型コロナの治療薬も、多くの治験データ収集が、完成に少しでも近づけることになります。堀潤ジャーナリスト。市民ニュースサイト「8bitNews」代表。「GARDEN」CEO。Z世代と語る、報道・情報番組『堀潤モーニングFLAG』(TOKYO MX平日7:00~)が放送中。※『anan』2021年9月22日号より。写真・中島慶子イラスト・五月女ケイ子文・黒瀬朋子(by anan編集部)
2021年09月18日意外と知らない社会的な問題について、ジャーナリストの堀潤さんが解説する「堀潤の社会のじかん」。今回のテーマは「熱海土砂災害」です。突発的な災害に備えるため、住む地域を見直そう。7月、熱海市伊豆山地区にて大規模な土石流が発生し、約130棟の建物が被害に遭い、多くの死者と行方不明者を出しました。現地に行ってみると、典型的な土石流とは明らかに様子が違いました。これまでの現場では大岩や根から折れた木などが流れてきて、土は粘り気のある泥状でした。ところが今回は、土を踏むと膝まで埋まってしまうサラサラのシャーベット状で、足が掬われそうになりました。専門家の調査では、「盛り土」により造成された山が崩壊し、そのまま土砂となって流れていたことが判明。この場所の、度を越した盛り土問題は県も把握しており、業者に対して指導をしていたにもかかわらず、対策が取られていなかったことが問題になっています。土石流を引き起こしたのは短時間の集中豪雨。熱海市の72時間降水量は、過去最大量の1.3倍にあたる500mm以上だったことが分かりました。明らかに気象が変わってきているため、防災基準の見直しは必須でしょう。国土交通省は大規模盛土造成地の徹底調査を行っており、全国で5万1306か所存在していると昨年3月に発表していました。しかし、自治体に対し国が安全対策の必要性を伝えても、自治体には、民間業者に販売権利を撤回する権限はありません。また、この背景には、都市近郊に人口が集中し、土地のないところに土地を造成して住宅を増やさねばならないという近年の宅地開発の流れも深く関係しています。やはり自分の身は自分で守るしかないと思います。山や川が近い、液状化が起きるかもしれないなど、自分の住む地域に災害の可能性を少しでも感じているのならば、何らかの対策を検討する必要があります。熱海の土砂崩れの第一報は、公的機関の発表より前に住民のグループラインによって、「あそこが危ないらしい」と連絡が回ったそうです。集中豪雨はすさまじい雨音のため、広報車の避難アナウンスもほとんど聞こえなくなります。予期せぬ大規模災害を即座に察知するには、地域住民の連携による防災発信が大切になります。これからは、“地方創生と防災”が、住みやすさの大きなキーワードになると思います。堀潤ジャーナリスト。市民ニュースサイト「8bitNews」代表。「GARDEN」CEO。Z世代と語る、報道・情報番組『堀潤モーニングFLAG』(TOKYO MX平日7:00~)が放送中。※『anan』2021年8月25日号より。写真・中島慶子イラスト・五月女ケイ子文・黒瀬朋子(by anan編集部)
2021年08月24日意外と知らない社会的な問題について、ジャーナリストの堀潤さんが解説する「堀潤の社会のじかん」。今回のテーマは「育休法改正」です。現場の声を反映。男性が取得しやすい制度に。改正育児・介護休業法が成立し、2022年より施行されることになりました。この改正の大きなポイントは、「男性が育児休業を取りやすくするように定めた」ということです。これまでの男性の育休取得率は7.48%、1割にも達していませんでした。さらに、取得した人のうち、7割が取った期間が1週間以内。もっと長期に、必要なときに分割して何度でも取れるようにと、現場のお父さんお母さんの声が改正案には反映されました。これは大きな前進だと思います。現在、孤立してしまうお母さんの産後うつの問題が深刻です。また、僕も経験がありますが、働く男性にしてみたら、いったん長期間休んで前線を離脱してしまったら、元のポストに戻れないのではないかという怖さもあります。さらに、休めば残業代が減ってしまいます。そういう経済的理由からも育休は取りにくいものでした。改正後は新たに出産日から8週間の間に4週間の育休を取れ、子供が1歳になるまでに女性は2回、男性は最大4回に分けて取得することが可能になります。さらに、育休取得日の半分を上限に仕事をすることも認められます。給付金は育休開始時賃金の67%が支給され、厚生年金など社会保険料が免除されるため、実質、収入の8割程度が保障されることになります。これまでは正社員だけの制度でしたが、改正法では、働いて1年未満の非正規雇用でも育休を取れるように変更されました。ある調査で男性の5人に1人が、育休を取らなかった理由を「職場が育休制度を取りづらい雰囲気だったから」と答えています。「取っていいと思っているのか?」と上司に言われ、申請できなかったという例も聞きました。そんな職場の空気を是正するため、育休取得対象の男性に、会社は制度の説明をし、取得の意向を確認をすることが義務化されることになりました。日本は有給休暇も取得率が極端に低い。けれども休みを取りやすい会社のほうが生産性が高いという数字も出ています。休むことで仕事のパフォーマンスも向上します。子供の有無にかかわらず、休みが取りやすい職場に変わっていくことを期待したいですね。堀潤ジャーナリスト。市民ニュースサイト「8bitNews」代表。「GARDEN」CEO。Z世代と語る、報道・情報番組『堀潤モーニングFLAG』(TOKYO MX平日7:00~)が放送中。※『anan』2021年8月4日号より。写真・中島慶子イラスト・五月女ケイ子文・黒瀬朋子(by anan編集部)
2021年08月03日赤塚不二夫の名作ギャグ漫画「おそ松くん」を原作にした大ヒットアニメ「おそ松さん」が「Snow Man」主演で実写映画化されることが決定した。赤塚不二夫生誕80年記念として2015年10月からアニメ化された「おそ松さん」。20歳を過ぎてもクズでニートで童貞、だけどどこか憎めない大人に成長した松野家6つ子の何でもありの予測不可能な物語が人気を博し、2016年には流行語大賞にノミネートされるほどの社会現象を巻き起こした。シリーズは3期に渡って放送され、2019年には劇場版も公開、2.5次元の舞台化も果たし、いずれもファンを虜にしてスマッシュヒットを飛ばした。2021年に6周年を迎えたアニメ「おそ松さん」は、記念企画の一環として、新作も2022年、2023年に全国劇場にて期間限定公開決定。ますますファンの心を熱狂的に捉え続けている。そんな「おそ松さん」実写映画の主演をつとめることとなった「Snow Man」は、2020年に「D.D./Imitation Rain」でシングルデビュー。オリコンデイリーランキング初登場1位を記録し、デビュー作、2枚目、3枚目の3作連続のミリオンを達成するなど、いま最も勢いを見せる大人気グループだ。おそ松役を向井康二、カラ松を岩本照、チョロ松を目黒蓮、一松を深澤辰哉、十四松を佐久間大介、トド松をラウール、今回オリジナルキャラクターとなるエンドを渡辺翔太、クローズを阿部亮平、ピリオドを宮舘涼太が演じる。監督は、『ヒロイン失格』(2015年)、『映画 賭ケグルイ』(2019年)などの話題作を手掛け、最近では『東京リベンジャーズ』(2021年)の大ヒットも記憶に新しい英勉。実写版ならではのオリジナル要素を盛り込み、新たな世界で彼らがどのような活躍を見せてくれるのか。予想だにしないコラボレーションの実現はまさに“最強”だ。岩本照(Snow Man リーダー)コメント"え!「おそ松さん」実写でやるの?"大好きな作品であると同時にその世界観にメンバー一同、嬉しさと「どうしよう?」という思いでした(笑)。先日、メンバー、共演者の方々と本読みをしましたが、今までの本読みの中で一番笑ったかもしれません。僕が登場しないシーンでもメンバーがやりとりしているのを聞いて、声に出して笑ったのは初めてです。撮影はこれからになりますが、全部が楽しみです。他のメンバーのシーンで実際に撮影を見られないシーンもあるので、作品が出来上がった時にどういうふうに脚本から変わるのか、本読みで自分が笑った部分がどのような映像になっていくのか、とてもワクワクしています。「おそ松さん」を好きな方にも、Snow Manを知ってくださっている方、知らない方も、誰が観てもくすっと笑えたり、声を出して笑ってしまうような作品に仕上がると思います。観ていただく方に楽しんでいただけるよう、まずは自分達が精一杯楽しみながら撮影に挑みたいと思っています。菅原大樹(プロデューサー)コメントアニメ「おそ松さん」は毎週楽しみに見ていました。6つ子の関係性を中心に多種多様な“笑い”全開の作品で、深夜に何も考えずに見て笑えるアニメでした(笑)。そんなアニメ「おそ松さん」の実写映画を企画した意図としましては、コロナ禍という状況が大きかったかと思います。閉塞感のある状況が続く中、観てくれた方が一瞬でもそういった気持ちを忘れ、何も考えずに笑えるような作品を制作したくて「やるなら今しかない!」と思いました。また主演でご出演頂くSnow Manさんですが、彼らの公式YouTubeチャンネルを拝見する機会があり、そこで見せる無邪気なやり取りや、お互いのことを想っている様子は見ていて本当に微笑ましくて、まさに「兄弟」そのものだなと感じました。もちろん笑いのセンスもある皆様ですので、彼らとなら「おそ松さん」を実写化出来ると確信しました。本作が「おそ松さん」「Snow Man」ファンの皆様はもちろん、今回初めて知って頂いた方々にも“笑い”や“笑顔”を届けられる作品にしたいと思いますので、皆様是非ご期待ください。なお、Snow Man YouTube公式チャンネルにて特別映像が公開された。大人気作品と大人気グループ、そしてヒット作を手掛ける監督の最強コラボレーションに注目だ。『おそ松さん』は2022年春公開。(text:cinemacafe.net)
2021年08月03日2021年8月3日、アイドルグループ『Snow Man』主演でテレビアニメ『おそ松さん』が実写映画化されることが発表され反響を呼んでいます。/㊗️Snow Man主演「 #おそ松さん 」実写映画化!\映画『おそ松さん』2022年春公開です! #映画おそ松さん #SnowMan #スノーマン #おそ松 #カラ松 #チョロ松 #一松 #十四松 #トド松 #エンド #クローズ #ピリオド pic.twitter.com/D701MMGxXW — 映画「おそ松さん」公式 (@osomatsusan_SN) August 2, 2021 赤塚不二夫さんの漫画『おそ松くん』を原作とし、2015~2016年にテレビアニメとして放送された『おそ松さん』。20歳を過ぎてもクズでニート、だけどどこか憎めない大人に成長した松野家の6つ子を主人公に、何でもありの予測不可能な物語が人気を博し、2016年には流行語大賞にノミネートされるほどの社会現象を巻き起こしました。また、2019年に劇場版が公開されたほか、2.5次元の舞台化も果たし、いずれも大ヒットを記録。2022年には新作アニメの放送が予定されており、2023年に全国の劇場にて期間限定公開も決定するなど、依然として高い人気を誇ります。実写版『おそ松さん』主演、Snow Man・岩本照コメント今回の実写映画化にあたり、『Snow Man』のリーダーを務める岩本照さんは「観ていただく方に楽しんでいただけるよう、まずは自分たちが精一杯楽しみながら撮影に挑みたい」と意気込みを語っています。「え!『おそ松さん』実写でやるの?」大好きな作品であると同時にその世界観にメンバー一同、嬉しさと「どうしよう?」という思いでした(笑)先日、メンバー、共演者の方々と本読みをしましたが、今までの本読みの中で一番笑ったかもしれません。僕が登場しないシーンでもメンバーがやりとりしているのを聞いて、声に出して笑ったのは初めてです。撮影はこれからになりますが、全部が楽しみです。ほかのメンバーのシーンで実際に撮影を見られないシーンもあるので、作品が出来上がった時にどういうふうに脚本から変わるのか、本読みで自分が笑った部分がどのような映像になっていくのか、とてもワクワクしています。『おそ松さん』を好きな方にも、Snow Manを知ってくださっている方、知らない方も、誰が観てもくすっと笑えたり、声を出して笑ってしまうような作品に仕上がると思います。観ていただく方に楽しんでいただけるよう、まずは自分達が精一杯楽しみながら撮影に挑みたいと思っています。プロデューサーの菅原大樹さんは、『Snow Man』の起用に対して、「彼らがYouTubeチャンネルで見せる無邪気なやり取りや、お互いのことを想っている様子は見ていて本当にほほ笑ましく、まさに『兄弟』そのものだなと感じました」とし、「彼らとなら実写化出来ると確信しました」と、自信をのぞかせました。監督は2021年公開の実写版映画『東京リベンジャーズ』が記憶に新しい英勉さんがメガホンを取ります。『Snow Man』主演の映画『おそ松さん』は、2022年の春に公開予定。予告編の公開をはじめ、続報も今から楽しみです!©映画「おそ松さん」製作委員会2022[文・構成/grape編集部]
2021年08月03日意外と知らない社会的な問題について、ジャーナリストの堀潤さんが解説する「堀潤の社会のじかん」。今回のテーマは「LGBT法案」です。LGBTと一括りではなく個別の課題解決を。与野党合意で進められていた、性的少数派をめぐる「理解増進法案」は自民党内の強い反対を受け、今国会での提出を断念しました。オリンピック憲章では、いかなる差別も認めず、ジェンダー平等を謳っています。オリンピック開催国でありながら、この法案が成案できないというのは恥ずかしい状況だと思います。2014年のソチオリンピックでは、ロシア政府が同性愛を認めないとLGBT運動を弾圧したため、各国の首脳は抗議の意を示し、開会式の参加をボイコットしました(日本は参加していました)。自民党内でも、稲田朋美議員をはじめ、LGBT当事者と対話を重ねてきた議員はなんとか成案させようと与党幹部に詰め寄りましたが、「家族観が壊れる」など、ベテラン議員からのクレームがついて進みませんでした。もともと野党は、ヘイトスピーチや、同性愛者という理由で入居を拒否されたり、社内で差別を受けたりすることを禁止する「差別解消法案」を提出していました。それに対して自民党はLGBTの人々の実情をまず知ってもらおうと「理解増進法案」を進めていました。結局、自民党案を修正する形で与野党合意したのですが、「差別は許されない」という文言に対して、与党内の保守派が「権利を与えることで、権利を極度に主張されると訴訟が起こり、かえって分断を生む。何をもって差別とするかを定義づけないかぎり法案は認められない」と強硬姿勢を崩さず、国会提出も叶わなかったのです。たとえ法律ができたとしても、差別感情を持つ人の意識が一変するわけではありません。理解を深めるためには、対話や交流の場を増やすことが肝要なのだと思います。残念なのは、この制度を決める国会議員の中に、公表しているLGBT当事者がほとんどいないということです。議員の多様性のなさにも問題があると言わざるを得ません。最初からLGBT法案に賛成か反対か、という二択から始めるのではなく、もっと小さな主語で、性別の問題で困っているさんの課題に対処するには、どんな方法があるのか。具体策を一つずつ見出すことが、状況改善の糸口になるのかもしれません。堀潤ジャーナリスト。市民ニュースサイト「8bitNews」代表。「GARDEN」CEO。Z世代と語る、報道・情報番組『堀潤モーニングFLAG』(TOKYO MX平日7:00~)が放送中。※『anan』2021年7月21日号より。写真・中島慶子イラスト・五月女ケイ子文・黒瀬朋子(by anan編集部)
2021年07月17日俳優の池松壮亮さんが心に大きな喪失を抱えるシングルファーザーを演じた映画『アジアの天使』(石井裕也監督)が7月2日に公開されます。最愛の妻を亡くした池松さん演じる剛が8歳の息子を連れて韓国在住の兄・透(オダギリジョーさん)の元に身を寄せる……という展開で、95%以上のスタッフ・キャストが韓国チームという座組で撮影されました。映画では、ソウルで出会った日本と韓国の二つの家族が国籍や言葉を超えて次第に心を通わせていく様子が丁寧に描かれています。池松さんにお話を伺いました。「小さな救い手の一部に」コロナ禍で公開される意味——まず、脚本を読んだ感想を教えてください。池松壮亮さん(以下、池松):今回、プロデューサーとして参加しているパク・ジョンボムさんという韓国の映画監督がいるのですが、僕は6年ほど前に石井監督からパクさんを紹介していただいたんです。その後、お互い日本と韓国を行き来したり交流が始まりました。数年対話を繰り返す中で互いの真ん中には常に映画がありました。だからいつかきっとみんなで映画を作ることになるんだろうなというのはうすうす感じていました。そんな中で2018年くらいかな?石井さんが今回の映画の脚本を読ませてくれたんです。最初の形とはだいぶ変わったのですが、挑戦しようとしている作品のテーマが本当にすばらしいなと思いました。当時日本と韓国の関係は戦後最悪ともいわれ、冷えきっていました。日本と韓国は手を組んだりいがみあったり長い歴史があります。なんとか、この映画を成功させたいと思いました。人や国が内に向かい、どんどん孤立していって分断があらわになってしまうこの世界において、その再生の兆しがあるとすれば、この映画における家族のようなもの、ゆるやかな団結によって希望を得ていくことなんではないかと感じましたし、それを二つの国の家族にフォーカスして描こうとするこの作品は、非常に先進的かつ優れていて、挑戦のしがいがありました。——撮影が終わって日本に帰国したのが最初の緊急事態宣言(2020年4月7日)が発令される直前のタイミングだったと伺いました。くしくもコロナ禍の今、この作品が公開される意味についてはどう感じていますか?池松:決してこうなることを見据えて作ったわけではないのですが、この映画がこの困難な時代に何か小さな救いの手になれるとしたらすごくうれしいことです。コロナの前の数年間の、世界各地であらゆるものが急速に崩壊してゆく様を受けて生み出された物語であることは確かですし、この世界にとって必要な映画を目指してきました。そこにコロナが重なって、コロナ前に企画され、コロナと共に進行し、コロナ後に公開されるというこの映画の運命に、何かを感じています。傷ついてきた世界への救いとなれれば嬉しいですし、新しい時代を切り開くための冒険、希望を得て、互いの間よりも互いの前にある未来に目を向けるようなこの作品に、大きな自信を持っています。「100%分かり合うことは無理。でも分かり合おうとしないのはもっとナンセンス」——韓国で言葉も通じず途方に暮れる剛ですが、「必要なのは相互理解だ」と自分自身と息子に言い聞かせます。「相互理解」はこの映画のテーマの一つですが、コロナ禍でいろんな人の考えや立場が分断されている状況で相互理解というのはますます大変になってきています。「相互理解」について池松さん自身はどうお考えでしょうか?池松:難しい質問ですね……。変なふうに聞こえてしまうかもしれないのですが、人と人が100%理解し合うことって無理だと思うんです。ただ、理解し合おうとしないことはもっとナンセンスです。違うということ、理解し合えないことを大前提にして、愛をもってどれだけ対象に迫ることができるか、そのことが今人類に試されているんではないかと思っています。おっしゃるように、より人間が社会的なつながりから隔離や孤立に向かい、グローバル資本主義の行き止まりからナショナリズムに移行する思想が強くなってきた中で、きっと映画もそうなっていきます。映画がこれからいかにして人とコネクトできるかをずっと探っています。今、この世界の隅々まですべての人がある意味共通の”痛み”を味わったわけですよね。このことは長い目でみれば、人類にとっての好機になると思います。コロナをどう定義するかはまだ早い段階だろうとは思いますが、これまでも長い人類の歴史の中で疫病や困難を乗り越えてきたことの恩恵はあるわけですから、ここから人がどういう未来を求めていくかが何より重要だと思います。違いを認め合い、相互理解をもとに真の民主主義に迎えていけるのか、映画や表現がその助けとなれるか、自分たち次第だと思います。大変な時期ではありますが、社会とのつながりや人とのつながりをみんながこれほど求めている機会は少なくとも僕がこれまで30年間生きていきた世界ではなかったので、これをどう一人一人が考えて、みんなで生き延びる術(すべ)を考えられるか、見つけられるかはおそらく映画だけではなくいろいろなところで課題なのだと思います。「食べることと生きることがつながっている」韓国のやり方を見て思ったこと——95%以上のスタッフ・キャストが韓国チームという座組で撮影されたそうですね。韓国の撮影スタイルややり方で「ここは日本と違うな」と思ったことや発見はありますか?池松:たくさんありますね(笑)。本当にいっぱいあるんですけど、どれにしようかな?ほっこりするやつがいいですかね……。あ、撮影中のご飯なんですが、お弁当ではないんですよ。撮影場所の近くの食堂を人数分予約して、昼になったら全員が撮影を止めるんです。みんなで食堂に行ってご飯を食べるのですが、そのやり方がすごくいいなあと思いました。朝は軽食なんですが、昼と夜はいったん撮影を止める。日本は時間をずらしてお弁当を個々に食べるスタイルが多いんですが、韓国ではみんなで食べるんですね。みんなで「いただきます」って言ったらみんなで「おいしく召し上がれ」って言うんですよ。誰かがいただきますというたびにおいしく召し上がれという言葉が返ってくる。最初は作った人じゃないのに変な会話だなと思っていましたけど、確かに誰が言っても良い言葉じゃないかと思ってとても好きになりました。愛情深い言葉ですよね。韓国では食べるということをとても大切にしているように感じました。テーブルにはたくさんのおかずが並び、体に良いものを好みます。生きることと食べることが密接につながっている感じがしました。——お互いの距離は近づきましたか?池松:近づきましたね。みんなで地べたに座って。おいしく召し上がれですから。——最後のシーンもご飯を食べているシーンでしたね。池松:石井さんも韓国の食文化、食卓文化にはもともと非常に興味を抱いていました。あのシーンは、共に生きているということが感じられるお気に入りのシーンです。——最後に、池松さんが決めている仕事ルールってありますか?池松:なんだろうな……難しいですね。そうだなあ……人を見ることかな。俳優って、表現全般的にそうなのかもしれないですが、表現を形にして与えることに目が行きがちなんです。それってすごく簡単なことですし、個人レベルではやるべき前提だと思うのですが、人と何かを作ったりお芝居をするときに、人を見つめた上でやるべきことの可能性を探っていかなきゃいけないと思っているんです。与えることと受けとることのバランスが重要といいますか……。あとは、こんなこと言うとまた変な人だと思われるからあんまり言いたくないんですが、自分が関わって世の中に手渡す作品に当然責任を感じますし、もっと言うとその中の役柄のそれぞれの人生に責任を取りたいと思ってやっています。何かすみません、「勝負パンツをはいています」とかじゃなくて(笑)。■映画情報『アジアの天使』2021年 7月2日(金)テアトル新宿ほか全国公開【監督・脚本】石井裕也【出演】池松壮亮チェ・ヒソオダギリジョーキム・ミンジェキム・イェウン佐藤凌【クレジット】 (C)2021 The Asian Angel Film Partners【配給・宣伝】クロックワークス(聞き手:ウートピ編集部・堀池沙知子、写真:宇高尚弘)
2021年07月03日池松壮亮が『映画 夜空はいつでも最高密度の青色だ』『ぼくたちの家族』などの石井裕也監督と再びタッグを組んだ『アジアの天使』。この度、池松さん演じる主人公と“兄”役のオダギリジョー、韓国で出会う元アイドル役のチェ・ヒソをとらえた【兄弟編】【恋愛編】2つの特別映像が解禁された。【兄弟編】最愛の妻を失い喪失感を抱える小説家の青木剛(池松さん)は8歳のひとり息子・学を連れ韓国へ渡った。疎遠になっていた兄・透(オダギリさん)から「韓国で仕事がある」という言葉を頼りにしたが、あてにしていた仕事は最初からなかったことが判明。代わりに韓国コスメの怪しげな輸入販売を持ちかけられるが、その事業も失敗。剛たちは、藁をも掴む思いでソウルから北東部にある海沿いの江陵(カンヌン)を目指す。妻を失い深い悲しみと向き合ったからこそ、言葉や文化を超えて人と人が分かり合おうとすることをあきらめない剛と、剛とは対照的な、いい加減に見えるがどこか憎めない飄々とした兄の透との息の合った掛け合いのシーンが映し出された本映像。江陵に向かう電車の中で黙々と小説を書く剛と、暇を持て余したように剛の後部座席からパソコン画面をのぞき込みちょっかいを出し始める透。うんざりしている剛をよそに「うるさくてもお兄ちゃんは言うべきことは言うよ」と話しかけ、続けて「お前の小説全然売れないな、ていうかお前旅が好きだよな、だから韓国まで来たんだろ、いや違う、生活に困ってたのか」と言う。剛はたまらなくなり「お前マジ勘弁してくれ、そのデリカシーの無さやばいぞ、お前のせいでこんな事態になっているんだぞ」と淡々と詰め寄るが、透はのらりくらり「お前って言うな、お兄ちゃんと言え」と適当にかわしてしまう。この池松さんとオダギリさんが織りなす兄弟ならではの軽快なやりとりも本作の魅力の1つ。疎遠だった兄弟は、この旅を通してどんな変化を見せるのか注目だ。【恋愛編】ソウルのショッピングセンターの一角で、剛は観客のいないステージに立つソル(チェ・ヒソ)を目撃する。元・人気アイドルで歌手のソルは、自分の歌いたい歌を歌えずに悩んでいたが、若くして亡くなった父母の代わりに、兄・ジョンウ(キム・ミンジェ)と喘息持ちの妹・ポム(キム・イェウン)を養うため、細々と芸能活動を続けていた。市場で再びソルを見かけた剛は言葉が伝わらないことを知りながら、泣いているソルをほっておけず、「大丈夫ですか」と日本語で話しかける。ソルは剛に気づくが、自分を見ながら笑っている剛に対して「なに笑ってるのよ!」と一蹴。その後、江陵行きの列車で再会した剛とソルは、それぞれの行き先を目指しながら旅を共にすることに。ソルの「あなたは私の言葉が理解できないからこっそり弱音をはいているだけ」と剛につぶやく。そして剛は言葉が分からないながらも、サングラス奥のソルの悲しげな表情を心配し寄り添っていく。映像には、旅を共にするうちに、同じ痛みを抱えていたこと、2人とも“天使“を見たことがあったことなど、しだいに距離が縮まっていく2人の様子が映し出されている。「あなたは私の運命の人なの?」最後に流す2人の涙の理由とは――。剛とソルの関係の行方も見逃せない。『アジアの天使』は7月2日(金)よりテアトル新宿ほか全国にて公開。(text:cinemacafe.net)■関連作品:アジアの天使 2021年7月2日よりテアトル新宿ほか全国にて公開
2021年06月15日意外と知らない社会的な問題について、ジャーナリストの堀潤さんが解説する「堀潤の社会のじかん」。今回のテーマは「温室効果ガス46%削減」です。環境の問題だけではなく、経済の生き残り策 。4月に気候変動サミットが開かれ、各国が温室効果ガスの削減目標を表明しました。日本は2030年度までに2013年度比で46%削減するという新たな目標を掲げ、「50%の高みに向けて挑戦を続ける」と発表。それまでの目標値は26%削減でしたから、一気に引き上げた形になります。ところが、環境問題に熱心に取り組む若い人たちが、その数字では足りないと、経産省前でハンガーストライキを行いました。パリ協定では、世界の気温上昇を産業革命前と比べて1.5°Cに抑えることを目標に定めています。そこまで効果を出すには日本は62%の削減が必要だと訴えたのです。ちなみに他国の目標値は、アメリカは2005年比で50~52%削減。EUは1990年比で55%以上減。イギリスは1990年比で78%以上減です。アメリカのバイデン大統領は、オバマ政権で謳われた、温暖化防止と経済格差是正の両方を行う経済刺激策「グリーン・ニューディール」をさらに強化し、「クリーンエネルギー/持続可能インフラ計画」に4年間で総額2兆ドルを投入すると公約で掲げました。中国は、公害により健康被害が多く出たことを機に、環境対策に積極的になり、2030年までの温室効果ガス削減目標は2005年比で65%以上削減。また、2035年の新車販売でガソリン車をゼロに。電気自動車を中心に省エネ・新エネルギー車の割合を5割にし、残りの5割もすべてハイブリッド車にすると昨年秋に発表しました。欧米や中国の削減目標値が高いのは、環境対策がこれからの経済の主戦場になると踏んでいるからです。欧米の大手企業は、石炭や火力による電力に依存する企業とは取引しないと公言していますから、日本も再生可能エネルギーの比率を上げるなどの対処をしないと、このままでは世界の経済市場から日本の企業は排除されてしまいます。環境対策は、地球を守るというイデオロギー的なものから、産業の生き残り策に大きく変わったんですね。AIや再生可能エネルギーなど、あらゆるテクノロジーを駆使し、環境に負荷をかけない産業政策を、国が本格的にとる必要があるのではないかと思います。堀 潤ジャーナリスト。市民ニュースサイト「8bitNews」代表。「GARDEN」CEO。Z世代と語る、報道・情報番組『堀潤モーニングFLAG』(TOKYO MX平日7:00~)が放送中。※『anan』2021年6月16日号より。写真・中島慶子イラスト・五月女ケイ子文・黒瀬朋子(by anan編集部)
2021年06月12日