40年以上にわたりお正月の風物詩としてお馴染みの「お正月を写そう2018♪」TVCMが、今年も12月29日(金)より放送。今回は、フジカラーのイメージキャラクターを務める広瀬すず、お馴染み樹木希林に加え、今年を代表する若手俳優・竹内涼真が登場することが分かった。■竹内涼真、着物姿&パンダメイクを披露!今回の「お正月を写そう2018♪」新CMは、「人気者とお正月・チェキプリント」篇と「人気者とお正月・イヤーアルバム」篇。まず「チェキプリント」篇では、こたつで仲良くおせちを食べていた広瀬さんと樹木さん演じる名物キャラクター“綾小路さゆり”のもとへ、どこかで見たことのある“犬”を連れた竹内さんが着物姿でお正月のご挨拶。記念に今年最初の写真を撮ろうという広瀬さんの提案で、綾小路さんと竹内さんが仲良く手を取り合い、体を使ったキュートでダイナミックなハートポーズを披露する。「イヤーアルバム」篇では、こたつでテレビを見ながら初笑いをしていた広瀬さんたちのもとへ、今度は赤ちゃんを抱いたお母さんパンダが。お母さんパンダのスマホに入っている赤ちゃんパンダの写真を見ながら盛り上がっている。最後は目元を黒く塗った可愛らしい“パンダメイク”も披露!またこの赤ちゃんパンダの写真は、東京・上野動物園で今年生まれたシャンシャン。コミカルなストーリー展開と息ぴったりの掛け合い、竹内さんが歌う「チェキプリントで残そう~♪」「イヤーアルバムで残そう~♪」のお馴染みメロディーにも注目だ。■撮影中お茶目な場面も撮影では、到着するやいなや「樹木希林74歳、もうすぐ75歳、よろしくお願いいたします!」と元気いっぱい挨拶し、周りの雰囲気を和ませていた樹木さん。引き続きコンビを組む広瀬さんとの息の合った掛け合いはもちろん、シリーズ初登場の竹内さんともすぐに打ち解けて、自然なやり取りを披露するなど、圧倒的な存在感で現場をリード。またパンダメイクの撮影前、視線の先にメイキング用のカメラを見つけた竹内さんは、庭先にあった植物の陰からじっとレンズを見つめ、カメラにちょっかいを出すお茶目な一面も。そしてパンダメイクを「かわいいですよ」とスタッフに褒められると、「絶対ウソだ」と苦笑する竹内さん。すると広瀬さんは、「何だかそういう顔に見えてきました。似合ってます」とお墨付き(?)を与える場面もあった。■見どころは“パンダメイク”「広瀬すずも、樹木希林もだいたい同じ」撮影後のインタビューでは、「小さい頃からお正月はテレビの前で必ずこのCMを見ていました。そういうCMに出られるのは光栄なことですし、とても嬉しかったです」と竹内さん。また着物での出演とあって、3人ともテンションが上がったそう。「衣装合わせのとき、自分でチョイスさせていただいたんですけど、やっぱりテンションが上がりますね。着物を着る機会ってそんなにないので」(竹内さん)、「私もすごくテンションが上がっています。色遣いが新鮮だなと思って」(広瀬さん)、「私は毎年、同じ着物なんですけど、この時期だけテンションが上がります」(樹木さん)とコメント。途中、正座が限界を迎えた、と竹内さんは周囲の笑いを誘う。見どころについては、広瀬さんは「樹木さんに私が一人でツッコミを入れるのは、ちょっと新鮮だなと思いました」と話し、竹内さんは「やっぱりパンダのメイクじゃないでしょうか」とポイントを明かす。そんなパンダメイクについて樹木さんは「パンダのメイクをすると、誰でもかわいくなるんだなと思いました。パンダのメイクをしたら、広瀬すずも、樹木希林もだいたい同じよ。かわいさは変わらない(笑)」とも。■2018年、それぞれの目標は…?また2018年のお正月の予定を聞かれると、竹内さんは「竹内家は毎年必ず祖母の家に家族が大集合するので、たぶん24年目のお正月もそうなると思います」とゆっくりしたいと話す。一方、1月スタートのドラマ「anone」で主演を務めることが決定している広瀬さん。いまのところまだはっきり出ていないそうで「毎年地元に帰って、親友と一緒に過ごすので、1回は地元に帰れたらいいなと思います」と願望を語り、「ちょうど連ドラ中なので、撮影をしながら年をまたぐのが久しぶりなので、個人的にはすごくワクワクしています」とも話している。来年の目標についても、樹木さんは「75歳になるので、いろいろ問題が出てくると思いますが、なんとか乗り越えて、無事に1年を過ごしたいと思います」と語り、広瀬さんは「10代最後の年と、20代が始まる年になるので、自分がいままでしたことがないことに挑戦できたらいいなと思います」と来年もさらなる飛躍を期待させるコメント残している。そして、竹内さんは、「撮影現場での目標設定を毎回高くして、自分のやる仕事の質を上げていきたいですね」と述べた。フジカラー お正月を写そう♪2018 TV-CM 「人気者とお正月・チェキプリント」篇/「人気者とお正月・イヤーアルバム」篇は12月29日(金)より全国にてオンエア。(cinemacafe.net)
2017年12月26日名優・山崎努と樹木希林の初共演で話題を呼ぶ『モリのいる場所』。画家・熊谷守一をモデルに沖田修一監督がメガホンを取る本作の新キャストとして、若手演技派俳優・吉村界人をはじめ、加瀬亮、光石研、青木崇高ら豪華俳優陣の出演決定、「昭和49年懐かしのお茶の間」の風景とともにコメントが到着した。■あらすじ時流にも無頓着、自分のやりたいことだけに夢中になる画家の守一、通称モリは94歳。ともに人生の荒波を乗り越え、ちょっと変わった夫との暮らしを楽しむ妻・秀子76歳。自宅の庭には草木が生い茂り、たくさんの虫や猫など、モリの描く絵のモデルとなる生き物たちが住み着いている。守一は30年以上、じっとその庭の生命たちを眺めるのを日課にしていた。普段、モリは妻の秀子と2人の生活をしているが、毎日のように来客が訪れる。若い写真家、温泉旅館の主人、隣人の佐伯さん夫婦、郵便屋や画商や近所の人々、そして、得体の知れない男…。今日もまた、モリとモリを愛する人々の、可笑しくて温かな1日が始まる。■若手からベテランまで!追加キャスト発表山崎さん(80)と樹木さん(74)の初共演が話題となっている本作に、このほど、20代から60代までの個性豊かな俳優たちの出演が発表された。モリに惚れ込み、モリの写真を撮ることに情熱を燃やすカメラマン・藤田に、沖田監督と同世代で現在の日本映画を牽引する演技派・加瀬亮(42)、その藤田のアシスタントとして現場に連れてこられた鹿島に、TVドラマ「僕たちがやりました」で一躍注目を集め、『ビジランテ』『サラバ静寂』とこれからの日本映画を支える気鋭監督とのタッグが続く若手演技派の吉村界人(24)の出演が決定。さらに、経営する温泉旅館の看板を描いてもらうためにやってくる朝比奈に、多数の映画・TVで名バイプレイヤーとして大活躍する光石研(56)、熊谷家の隣のマンション建設のいかつい現場監督・岩谷に、『るろうに剣心』シリーズ、『雨にゆれる女』の青木崇高(37)、マンション・オーナー水島役に、映画に舞台にと才人ぶりを発揮する吹越満(52)、熊谷家の家事を手伝うモリの姪・美恵ちゃんには、名舞台女優・池谷のぶえ(46)、そしてモリの家に入り浸る画商・荒木役に、沖田組常連のきたろう(69)など、とびきり個性的で魅力的なキャストが勢ぞろい!■吉村界人&加瀬亮らコメント到着『南極料理人』をはじめ『キツツキと雨』『横道世之介』『滝を見にいく』『モヒカン故郷に帰る』など、国内外で高い評価を受ける沖田監督作品への出演について、キャストたちは「詩人のまどみちおにも通じるような熊谷守一の宇宙に興味をもっていたので。監督はじめ、今回参加するいろんな人の感じ方を知りたくて出演を決めました」(加瀬さん)、「熊谷×沖田×山崎×樹木。この魅力全開なスクエア映画を断る俳優はいません!現場では、最高に幸福な時間が流れておりました。有難うございました!」(光石さん)とコメント。今回、初の沖田組参加となる吉村さんは、監督の印象を「技術からは学ぶことができないその人の話し方や動きを、甘受してくださる方でした。僕は僕でいいんだと、思えました」と語り、山崎さんとの共演について「絶え間ない緊張感がありました。僅かですがお話させていただいたときに、僕は到底、聞くだけで精一杯でしたが、初心だけは、忘れたらいけないんだ。という感覚だけは感じました。それは、心も行動も。気構えが素晴らしかったです」と感銘を受けた様子。樹木さんに対する「生きていてお会いしたことないくらい稀有な方でした。映画、音楽、恋、仕事の話をしました。とても大切な時間になりました。ただ僕のことをジュリーと呼んでいましたけど…もう一度ご一緒したいです。必ず」というコメントからも、世代を超えた出演者たちの化学反応がうかがえる。また、山崎さんとの共演も出演の決め手になったという青木さんが「リラックスして関係性を探っていけたのでとても楽しかったです。樹木さんが現場で色んなアイデアを出されていたのが印象的でした」と撮影時を振り返っているほか、「まず、台本をいただいて、自分がどの役をやるのかは気にせず一度読んでモリの魅力に胸がきゅっとなり、二度めに樹木希林さんとの共演シーンがあると知り、お尻の穴がきゅっとなりました」(吹越さん)、「沖田監督の世界にどっぷり浸かることができる喜びで参加させていただきました。現場での誰よりもワクワクしている様子の監督に接して、ますますファンになりました。」(池谷さん)、「沖田監督が好きだから」(きたろうさん)とコメントを寄せるなど、数々の作品へ出演を果たしてきた名俳優たちも、沖田監督独特の世界観と、それを支える山崎さん・樹木さんの名タッグに惚れ込んでいるよう。12月1日から熊谷守一の没後40年・大規模回顧展がはじまるなど、映画ファンのみならず美術ファンからも熱い注目が集まる『モリのいる場所』。人と人との懐かしく温かいつながりを描く本作を楽しみにしていて。『モリのいる場所』は2018年5月よりシネスイッチ銀座、ユーロスペース、シネ・リーブル池袋、イオンシネマほか全国にて公開。(text:cinemacafe.net)
2017年12月07日映画『日日是好日』が2018年10月13日(土)シネスイッチ銀座、新宿ピカデリー、イオンシネマほか全国ロードショー。“人生のバイブル”と呼ばれた茶道エッセイ原作は、2002年の発行された森下典子による人気エッセイ『日日是好日—「お茶」が教えてくれた15のしあわせ—』。著者が街の茶道教室に通い続けた約25年に渡る日々を綴った内容となっており、茶道の素晴らしさを描くことは当然ながら、多くの読者にとってかけがえのない人生のバイブルのような一冊となっている。物語は、大学生の典子が母親の勧めから、従姉である美智子と共に嫌々ながら茶道教室に通うところから始まる。そこにいたのは巷で「タダモノじゃない」と噂の先生・武田のおばさんだった・・・。「お茶」との出会いを通して典子が成⻑していく姿や、就職の挫折、失恋や⼤切な人との別れなど青春時代のほろ苦さや甘酸っぱさを描き、内なる⾃由と⽣きる喜び、そして、かけがえのない“今”を映し出した作品となっている。監督は大森立嗣本作を実写化するのは、『ぼっちゃん』『さよなら渓谷』『セトウツミ』などを手掛けてきた大森立嗣監督。様々なアプローチで人間の感情を映し出してきた彼が、茶道を題材にした作品に挑む。原作に関して「茶道とは無縁の僕が原作を読み終えていたく感動していました。一人の女性が大人になっていく過程で、きらびやかな宝石とは違う、胸の奥にずっと、でも密かにある大切なものにお茶を通して気付き、触れていくお話しです。」とコメントしている。黒木華&樹木希林が茶道の弟子・師匠に主演は、『小さいおうち』『リップヴァンウィンクルの花嫁』の黒木華。そして従姉を多部未華子が、茶道教室の先生を樹木希林が演じる。3名とも初共演となる。全国の劇場にて先行上映また、10月13日(土)の公開日に先駆けて、全国の劇場にて先行上映を実施する。9月15日(土)に逝去した樹木希林の躍動する演技に触れてほしいという制作側の想いと、本作をいち早く鑑賞したいという多数の要望から実施されるこの先行上映は、10月6日(土)、7日(日)、8日(月・祝)の3日間に限り行われる。ストーリーたちまち過ぎていく⼤学⽣活、二⼗歳の典子(⿊⽊華)は⾃分が「本当にやりたいこと」を⾒つけられずにいた。ある⽇、タダモノではないと噂の“武⽥のおばさん”(樹⽊希林)の正体が「お茶」の先⽣だったと聞かされる。そこで「お茶」を習ってはどうかと勧める⺟に気のない返事をしていた典子だが、その話を聞いてすっかり乗り気になったいとこの美智子(多部未華子)に誘われるまま、なんとなく茶道教室へ通い始めることに。そこで二人を待ち受けていたのは、今まで⾒たことも聞いたこともない、おかしな「決まりごと」だらけの世界だった――。【作品詳細】映画『日日是好日』公開日:2018年10月13日(土)全国ロードショー監督・脚本:大森立嗣出演:黒木華、樹木希林、多部未華子、山下美月、鶴田真由、鶴⾒⾠吾原作:森下典子著『日日是好日–「お茶」が教えてくれた15のしあわせ』配給:東京テアトル/ヨアケ撮影:2017年11月〜12月<先行上映情報>先行上映日:2018年10月6日(土)、7日(日)、8日(月・祝)実施劇場:全国の『日日是好日』上映劇場※一部劇場を除く。
2017年11月02日主演・黒木華、共演に樹木希林、多部未華子という名実共に日本最高峰の女優3人の初共演が実現。森下典子による人気エッセイ「日日是好日 ー「お茶」が教えてくれた15のしあわせー」を、『光』『まほろ駅前』シリーズの大森立嗣監督のもと映画化する『日日是好日』(にちにちこれこうじつ)に出演することが分かった。原作は、人気エッセイスト・森下典子が街の茶道教室に通い続けた約25年にわたる日々を綴ったエッセイ。文庫本の解説で、人間国宝・柳家小三治が「感動の読了だった。この感動を誰かに伝えたい。いても立ってもいられなくなった」との思いから近くの書店に飛んで行き、「茶道・華道コーナー」で見つけた平積みの本書を「ここにあるべき本じゃないんだよこの本は。(~中略~)いや、ここにも1冊ぐらい置いてもいいけど、とに角ここじゃないんだよ」と綴るように、茶道の素晴らしさ伝えることのみならず、人生のバイブルともいえる書として注目を集めている。本作で森下さんは、自ら撮影スタッフの一員として、茶道関連のアドバイザーを担当する。あらすじ就職の話がチラホラ出始めるころの大学生、典子(黒木華)は、母親から「あんた、お茶、習ったら」と突然すすめられる。「え?なんで?」と意味がわからず困惑する典子。嫌々ながらも、従姉の美智子(多部未華子)から「ねぇ典ちゃん、一緒にやろうよ」と一押しされ、2人は共に、自宅近くにある茶道教室の先生を訪ねる。その先生は巷で「タダモノじゃない」とうわさの、武田のおばさん(樹木希林)だった…。就職につまずき、失恋や大切な人の死という悲しみのなかで、気がつけば、そばに「お茶」があった主人公・典子。彼女が、がんじがらめの決まりごとの向こうに、自由を見い出し、季節を五感で味わう歓びを知り、そして「いま、生きている!」ことを実感していく。黒木華×樹木希林弟子と師匠に!山田洋次監督『小さいおうち』で第64回ベルリン国際映画祭最優秀女優賞(銀熊賞)を受賞し、同作と『母と暮せば』で2年連続の日本アカデミー賞最優秀助演女優賞を受賞した黒木さんは、岩井俊二監督『リップヴァンウィンクルの花嫁』(‘16)以来の単独主演映画。また、『わが母の記』『あん』『海よりもまだ深く』をはじめ、2018年には名優・山崎努との共演作『モリのいる場所』の公開も控える樹木さん。本作で2人は、茶道教室の生徒と先生、弟子と師匠としての役柄を演じる。実力派として各世代の最高峰にいる2人によって紡ぎ出されるやりとりに、いまからも期待が高まる。黒木華×多部未華子従姉妹同士に!黒木さんは多部さんとも初共演。多部さんといえば、映画『君に届け』『あやしい彼女』『続・深夜食堂』、ドラマ「ドS刑事」から舞台「わたしを離さないで」「オーランドー」など、娯楽作品から文芸作品まで幅広く演じられる稀有な存在。映画、ドラマ、演劇のファンそれぞれにとってかけがえのない、待望の共演となる。<キャスト・スタッフコメント>■黒木華(典子役)ずっとご一緒したいと思っていた大森監督の作品に、出演できることを幸せに思います。樹木さんも多部さんも共演させていただくのは初めてですが、お2人の出演されている作品を拝見していて、いつも素敵な表現をされているな、と思っていたので、そんなお2人と作品を創れることをとても光栄に思います。茶道は全く経験がなく、今回は勉強することが大変多いので不安もあるのですが、典子と同じように学び、成長していきたいです。■樹木希林(武田先生役)年とったからって自動的にいい顔になるわけじゃない…つくづくわかった。映画に出ることは恥多いことだ。(後期高齢者)■多部未華子(美智子役)またこうして大森組に参加させていただくことを大変嬉しく思います。黒木さん、樹木さんとは初めて共演させていただくので、少し緊張していますがいまからとても楽しみです。茶道も幼稚園で習った以来ですので一から学ばせていただき、人の生き方を変えてしまう程の茶道の魅力や奥深さが映画を観て下さるみなさんに伝わるようにお稽古をして撮影に臨みたいです。■監督・脚本:大森立嗣茶道とは無縁の僕が原作を読み終えていたく感動していました。1人の女性が大人になっていく過程で、きらびやかな宝石とは違う、胸の奥にずっと、でも密かにある大切なものにお茶を通して気付き、触れていくお話しです。素晴らしいキャスト、スタッフと共に映画を作ります。観た人の心に深く響く映画になればいいと思っています。■原作:森下典子子どものころから映画は憧れの世界でした。私の書いた本が映画に…それも、黒木華さん、樹木希林さん、多部未華子さんという、この上ないキャストで映画化されるなんて、これほどの光栄はありません。しかも、大森立嗣監督の撮影現場に、自らスタッフとしてかかわることができるなんて!!本を書く仕事をしてきて、ほんとうに良かった…。この映画の実現にお力をくださった多くの方々に、心から感謝いたします。ありがとうございます!『日日是好日』は2018年秋、全国にて公開。(text:cinemacafe.net)
2017年10月30日福山雅治主演、是枝裕和監督のタッグで贈る法廷心理サスペンス『三度目の殺人』の公開を記念して、同じく2人がタッグを組んだ2013年公開の映画『そして父になる』が、9月16日(土)に土曜プレミアムにて放送されることが決定した。大手建設会社に勤め、都心の高級マンションで暮らす野々宮良多(福山雅治)は、成功を自分の能力と努力で培ったと自負していた。そんな良多は6歳になった一人息子慶多(二宮慶多)の優しすぎる性格をもどかしく思っていた。ある日、一本の電話で良多の人生は変わる。妻・みどり(尾野真千子)が慶多を生んだ、出身地・群馬の病院で子どもの取り違えがあったことが発覚したのだ。DNA鑑定の結果、慶多は他人の子だった。みどりは気づかなかった自分を責め、良多は息子に抱いていた不満の意味を知る。良多は、戸惑いながらも相手方の家族と交流を始めるが、群馬で小さな電気屋を営む斎木雄大(リリー・フランキー)とゆかり(真木よう子)夫妻の身なりや粗野な言動に眉をひそめる。過去の取り違え事件では100%血のつながりをとるというが、一心に愛情を注いできたみどりと、温かで賑やかな家庭を築いてきた斎木夫婦は、育てた子を手放すことに苦しむ。早い方が良いという良多の意見でついに“交換”が始まるが、そこから、良多の「父」としての本当の葛藤が始まる――。第66回カンヌ国際映画祭「審査員特別賞」を受賞し話題となった本作は、日本でも昭和40年代までは頻繁にあった「取り違え事件」を丹念にリサーチしたうえ、オリジナルの脚本で贈る衝撃の感動作。福山さんが初の父親役にして人生で初めての壁にぶつかり葛藤する男という難役に挑み、その妻役を尾野真千子が演じるほか、もう一組の夫婦役に真木よう子とリリー・フランキー。さらに、風吹ジュン、國村準、樹木希林、夏八木勲ら豪華ベテラン陣が脇を固めている。土曜プレミアム映画『そして父になる』は9月16日(土)21時~フジテレビにて放送(20分拡大)。※一部地域を除く『三度目の殺人』は9月9日(土)より全国にて公開。(cinemacafe.net)■関連作品:そして父になる 2013年9月24日~27日より全国にて先行公開、9月28日より新宿ピカデリーほか全国にて公開(C) 2013『そして父になる』製作委員会
2017年09月07日企画展「日本のグラフィックデザイン2017」を、2017年6月17日(土)から8月6日(日)まで東京ミッドタウン・デザインハブにて開催。アジア最大級の規模を誇りるデザイン団体「日本グラフィックデザイナー協会(JAGDA)」。本展では、JAGDAが1981年から発行している年鑑『Graphic Design in Japan』の2017年版の発行を記念し、掲載作品の中から約300点を実物と映像で展示する。東日本旅客鉄道のポスター「行くぜ、東北。」は、雪景色を背景に電車が走る光景や柔らかな色彩が、東北らしい冷たく透き通るような冬の空気を表現。一方で、真っ赤な鉄橋が描く直線が、まるで幾何学的な模様を見ているようにも感じさられる不思議でユニークな1枚だ。出版社の新聞広告「死ぬときぐらい好きにさせてよ」は、一見シェイクスピアの戯曲『ハムレット』の1幕を描いた名画《オフィーリア》のよう。しかし、その詩情溢れる神秘的な川の中で横たわっているのは女優・樹木希林だ。そんな思わず微笑んでしまう自由な遊び心もグラフィックデザインの魅力だろう。展示作品は、新聞広告から、パッケージ、CMまで様々だ。普段生活の中であまりにも身近な存在である様々なデザインを、”作品”という形で改めて見つめることで、日常の中に潜むデザインの面白さ、美しさを再発見できるかもれない。【詳細】日本のグラフィックデザイン2017期間:2017年6月17日(土)〜8月6日(日)会場:東京ミッドタウン・デザインハブ住所:東京都港区赤坂9-7-1 ミッドタウン・タワー5F※会期中無休・入場無料【問い合わせ先】公益社団法人日本グラフィクデザイナー協会TEL:03-5770-7509
2017年05月28日映画『光』の初日舞台挨拶が5月27日(土)、都内にて開催され、水崎綾女、藤竜也、神野三鈴、樹木希林が登壇し、フランスにて開催中の第70回カンヌ国際映画祭(5月17日~28日)に参加中の河瀬直美監督、永瀬正敏とスカイプで中継を繋ぎ、カンヌでの興奮を語った。同作は、視覚障碍者のために映画の登場人物の動きや情景を言葉で伝える音声ガイドに従事する女性・美佐子(水崎さん)が徐々に視力を失っていく天才カメラマン・雅哉(永瀬さん)と出会うことから始まる物語。カンヌ国際映画祭ではコンペティション部門正式出品作品として上映され絶賛を浴びた。カンヌでの公式上映には、河瀬監督、永瀬さん、水崎さん、藤さん、神野さんが参加し、上映後に感無量の様子で抱き合う様子が大きく伝えられている。各賞の発表は、最終日の28日に行われる。現地に滞在中の河瀬監督は、街を歩いていても「すごくよかったです。すごく温かい気持ちになりました」などと声を掛けられているエピソードを紹介。「この映画を作って、(上映中のホールの)暗闇の中で映画を観終わった人たちと一体になれる瞬間、それがすごく嬉しいです。映画というのは一体感なのですよ。人と人が繋がっていく瞬間の出会いを作ってくれるもので、エンターテインメントの要素がすごくあるのですが、私たちが生きるうえでの力になるという要素もあります」と語った。「あの一体感、すごかったですよね!」と興奮した様子で、ひと足先に帰国し舞台挨拶に参加した藤さんらに呼び掛けた。さらに、「永瀬君が立てなくて!」と永瀬さんの当時の様子を紹介する一幕も。河瀬監督は、「(進化を止めないカンヌは)人類への新しいメッセージを投げると思います」といい、「その最終のコンペティションの19本の中の1本にして頂いて、この瞬間を迎えられたことはとても嬉しいと思いますし、映画がまた好きになったなと思います」と心境を語った。永瀬さんは、公式上映と、それに続くマスコミ試写の後に「インターナショナルの取材がいきなり、ものすごく増えました」と現地での反響の大きさを紹介。「人種は違うのですが、ものすごく深く理解されている。例えば、『この映画はすべての人々に対してのラブレターだ』と言ったスペインの記者の方がいらっしゃいました。そういう意見をいっぱい頂いています」と伝えた。カンヌ国際映画祭には4回参加したという藤さんは、エンドロールの段階から拍手が沸き起こった場所に立ち会ったのは今回の『光』が初めてだそう。エンドロールが終わり会場に明かりがついた瞬間に、拍手や歓声が爆発し、「あれでね、監督、永瀬さん、みんな、きちゃったの」と述懐。「映画は観た人間の数だけあるのです。100万人が観たら100万人の数だけ映画があると思います。あそこで2千数百人の数の人の胸の中で映画を作れたことを目の当たりにしました」と実感を込めて言葉にした。現地滞在中の河瀬監督と永瀬さんには、「(各賞が発表される)明日ですが、もういっぺん、あの上映後に見せた、いや、あれよりもさらに大きな笑顔と涙を見られることを期待しています。がんばってください」とエールを贈った。初めてカンヌ国際映画祭に参加した水崎さんは「圧倒されっぱなしでした」というも、「観終わったあとに外国の方から、『美佐子の目の感情がすごく表れていてよかったよ』という言葉をたくさん頂けたので、安心しました」とと声を弾ませた。神野さんは、カンヌ国際映画祭の関係者から、「直美は直美の唯一無二の世界をずっと出し続けていく。それはどれだけこの世界では怖くて、みんなと一緒じゃないと理解されないという恐怖と戦うことはどれだけたいへんなことか分からない。それに立ち向かっている彼女は同志だ」と河瀬監督を絶賛する声を聞いたエピソードを紹介した。樹木さんが「なんでこんなにカンヌに可愛がられるの?」と問いかけると、河瀬監督は、「映画が好きな人がカンヌの中にいます。その人たちが、私が真っすぐに作っていることを大事にしてくれます。自分たちが見たことのない日本の風景やそこで生きている人たちの心や心模様を抱きしめようとしてくれている。デコボコしている作品でも、次の先をもっと見つめたいと思ってくれているような気がします」と応えていた。映画『光』は公開中。(竹内みちまろ)■関連作品:光 2017年5月27日より新宿バルト9、丸の内TOEIほか全国にて公開(C) 2017“RADIANCE”FILMPARTNERS/KINOSHITA、COMMEDESCINEMAS、KUMIE
2017年05月28日公開初日を迎えた映画『光』の舞台あいさつが27日、東京・新宿バルト9で行われ、水崎綾女、神野三鈴、藤竜也、樹木希林が出席した。28日まで開催されている第70回カンヌ国際映画祭のコンペティション部門に正式出品された河瀬直美監督の最新作となる本作。カンヌでは現地時間28日に各部門の発表が行われるが、すでにカンヌで上映された本作はカンヌの観客や世界中のプレスからも上々の評価で、同映画祭の最高賞となるパルムドール賞の受賞に期待が高まっている。そんな本作の公開初日に、ヒロインの水崎らキャスト陣が登壇し、カンヌで結果発表を待つ河瀬監督と永瀬正敏の2人とネット電話でやり取り。藤が「明日ですが、もう一回上映後に見せた大きな笑顔と涙を見られることを期待しています」とエールを送り、樹木希林は「私はどっちでも良いと思っている。日本にとってはもらえた方がいいと思うけど、受賞したら(水崎が)変わりそうなので」と会場の笑いを誘う場面も。思わず苦笑いの河瀬監督だったが、気を取り直して「こちらでは受賞のことを言われますが、私は暗闇の中で映画を見終わった人たちと一体になれた瞬間がすごく嬉しかったです」と上映後の反応や感じたことを明かしながら「私たち映画人はその思いを繋ぎながら日本としても自分としてこれから真摯に作り続けていく先にあの『光』があると実感できました。日本の皆さんも世界に出てあの体験をし、何かを持ち帰り、いい『光』を伝染してください」とメッセージを送った。本作に加え、1997年に『萌の朱雀』でカメラ・ドール(新人監督賞)、2007年に『殯の森』でグランプリを獲得するなど、カンヌ国際映画祭になじみのある河瀬監督。樹木が「何でこんなにカンヌに可愛がられるの?」と質問を投げ掛けると「映画が好きな人がいます。その人たちが真っ直ぐに作っていることを大事にしてくれますし、自分たちが見たことのない日本の風景とか心模様を抱きしめようとしてくれます。凸凹している作品でも次の先も見つめたいと思ってくれる気がしますね」と回答。また、舞台あいさつ後に行われた会見で、カンヌにいる河瀬監督と永瀬を昔から知る樹木は「2人とも成熟したわね。また一段上がったわ」と絶賛していた。
2017年05月27日永瀬正敏の大きな、日に焼けた手が、水崎綾女の頬を、鼻を、唇をなでる。ゆっくりと、何かを確かめるように。すがるように――。ただ、それだけの動作が、2人が実際に唇を交わすシーンよりもずっと官能的に映る。河瀬直美監督はこう語る。「まるでセックスをしているかのような、深いところで互いを感じ合っているように撮れたらと思いました。その後のキスシーンはどちらかというと勢いでそうなっています。本来、それは逆なのかもしれないけど、唇を重ねるよりも官能的なものが、あの顔に触れる行為の中にあるんじゃないか?心の奥底で触れ合うような…。2人とも、キスをしているときよりも、顔に触れているときの方がずっと胸が高鳴っていると思うんです」。映画『光』は、視覚障碍者のために、映画の登場人物の動きや情景を言葉で伝える音声ガイドに従事する女性・美佐子(水崎綾女)と徐々に視力を失っていく天才カメラマン・雅哉(永瀬正敏)の2人を中心に展開する。河瀬監督は、前作『あん』制作時に、この映画の音声ガイドの存在を初めて知り、映画として描くことを決めたという。「彼ら(=音声ガイドの制作に従事する人々)の映画への愛――目が見えない人にまで見せる、見られない人がいるのは嫌だという思い。それはこれまで、映画を作ってきた私たちになかった感覚でした。そうした感覚を持っている人たち、しかも映画に携わっている人たちということで、興味を惹かれました。この人たちの姿を映画化することができたなら、私の映画論、私が映画において何を良しとしているのかを伝えることができるだろうと思ったんです」。いかにして映像を見ることができない人間に、映画を伝えるか?悪戦苦闘する美佐子に、容赦なく厳しい言葉を投げかける雅哉。たまらず美佐子も「あなたの想像力が足りないんじゃないか?」と言い返す。そんなやりとりに、思わずドキリとさせられる。口に出すかどうかは別として、自分の思いをわかってもらえないとき、つい相手の想像力の欠如を責めたくなることは日常の中で誰しもあるだろう。映画を観ていると「想像力ってなんなのか?」と考えさせられる。「私たち晴眼者(=視覚障碍者の対義語で、視覚に障害のない者のこと)は、見えることでイマジネーションを働かせてないことがあるんじゃないか?でも、視覚障碍者は見えないからこそ、ものすごく想像力を働かせている。で、あるなら、彼らの方が、深く映画に入り込んでると言えるんじゃないか?とこの映画を作っている最中に思いました」。従来より、河瀬監督の作品は“余白”といわれる部分が多く、見る者の想像力に委ねることが多い作品だと言われるが…。「そうかもしれません。ただ、これまでの作品でいうと、ポンッと観客の想像力に委ねていましたが、今回の映画では登場人物たちが互いにそれを委ね、キャッチしています。観客にとっては、そこが明快だと思います」。キャスティングも興味深い。ヒロインの美佐子に、河瀬作品初参加の水崎さん。永瀬さんは『あん』に続く出演で、光を失いつつあり葛藤するカメラマンの雅哉を演じる。ほかに、美佐子を導く上司・智子を神野三鈴、その夫で視覚障碍者の男性に小市慢太郎、美佐子が携わる映画の監督をする北林を藤竜也、そして終盤のある重要なポイントで、河瀬作品の常連となった樹木希林が参加している。映画を観ると、“声”に非常に強い個性を持つ俳優陣がキャスティングされているように思えるが、この点は監督自身、最初の段階で意識していたのだろうか?「いえ、いま言われて初めて気づきましたね(笑)。ただ、希林さんに関しては、ありました。声だけの出演になるので、独特だけど、ずっしりとくるあの声がいい。永瀬くんにあの声を聴かせてあげたいって思いました」。その永瀬さんに関しては、河瀬監督は2015年に『あん』でカンヌ国際映画祭に赴いた際に『次、また一緒にやりたいね』と声を掛けていたという。本作の脚本執筆の段階で、最初から雅哉役は永瀬さんをイメージして書き進めていった。「今回、永瀬くんの中にある資質を思う存分に活用したいと思ってて、そう考えたとき、雅哉はカメラマンであるべきだと思いました。目が見えなくなることで奪われてしまうものがすごく大きい。でも、そこからどう這い上がっていくのか?光を見つけるのか?それだけで物語ができる。いや、永瀬くんが持っているものがすでにストーリーになっていて、それを映画の中に入れさせてもらうような感覚でした」。なぜ、そこまで永瀬正敏という俳優に惹かれたのか?そもそも、前作『あん』におけるどら焼き屋の雇われ店長の千太郎役に永瀬さんをキャスティングしたこと自体、新鮮な驚きがあったが…。「『あん』に関していうと、最初に原作を読んだとき、これは(原作者の)ドリアン助川さんご本人だって思ったんです。だけど、ハマり過ぎてて(笑)。千太郎は店長になる前にいろいろあって、社会から排除される立場にある人間で、そういう人はもう少しワイルドでぶっきらぼうな感じかな…?と。そうすると、ドリアンさんだとちょっと包容力があり過ぎて(笑)。じゃあ、その境地に行き着くまでの千太郎は誰か?日本映画界を見渡して、永瀬くんだって思ったんです。それまで、全然知らなくて、Facebookで『出ていただけませんか?』ってメッセージを送ったんです(笑)」。優しく、真面目で、それゆえに葛藤を抱える男――そんな雅哉のイメージが永瀬さんにぴったりと重なったという。「雅哉のようなタイプの人は本来、優しく真面目なんですけど、だからこそ、視力を失っていく段階で執着してしまうんですよね。過去であったり、もしも見えていたならば伸ばせていたであろうキャリアに…。そして、自暴自棄になってしまう。これは、私自身、取材を進めていく上で知ったんですが、男性で特に、見えなくなっていく過程で周囲に攻撃的になってしまったり、自分はダメだとあきらめてしまう人が多いということなんです。なんで初対面の美佐子にあんなに厳しい言葉を投げかけるのか?そこには見えなくなっていくことへの焦りがあるんだと思います」。永瀬くんは、すごく真面目できちんとしてるんです。『あん』のどら焼き屋さんの片付けを、いつもものすごくしっかりしてたんです。ご自分の事務所もすごくキレイで、いろんなものがきちんと整理して配置されてるんです。これは、部屋をきちんと整頓して、モニター会にもスーツを着ていく雅哉のキャラクターそのものだなって思いました」。いろんな部分で、前作『あん』があってこそ今回の『光』が生まれたと言える。河瀬監督自身、映画の作り方、臨み方において、『あん』という従来の作品とはやや異なる作風で、最大のヒットとなった作品を経たことで、生まれた変化、感じる違いなどはあるのだろうか?「『あん』が大きなポイントとなった部分ももちろんあると思いますが、やはり1作1作に大きな意味があり、その後の作品に影響を及ぼしているんだと思います。『2つ目の窓』と『あん』、今回の『光』は、ほぼ立て続けに撮っているんです。その中で『あん』のようなわかりやすさを詰め込んだ部分もあるし、でも作品そのものの“希望”は、ずっと前から自分の作品の中にあったものだとも思います。今回は、構造として“映画”を描くという難しい題材で、映画監督という存在が物語の中に出てくるのも、自分にとっては大きなチャレンジでしたが、それをやり遂げたという感覚も持っています」。(photo / text:Naoki Kurozu)■関連作品:光 2017年5月27日より新宿バルト9、丸の内TOEIほか全国にて公開(C) 2017“RADIANCE”FILMPARTNERS/KINOSHITA、COMMEDESCINEMAS、KUMIE
2017年05月26日監督・河瀬直美、主演・永瀬正敏の『あん』のコンビで描くラブストーリー『光』。その待望の予告編映像が、4月15日(土)からの劇場上映に先立ち解禁となった。人生に迷いながら、単調な日々を送っていた美佐子(水崎綾女)は、とある仕事をきっかけに、弱視のカメラマン・雅哉(永瀬正敏)と出逢う。美佐子は雅哉の無愛想な態度に苛立ちながらも、彼が撮影した夕日の写真に心を突き動かされ、いつか、その写真の場所に連れて行ってほしいと願うようになる。だが、命よりも大事なカメラを前にしながら、次第に視力を奪われてゆく雅哉。彼と過ごすうちに、美佐子の中の何かが変わり始める――。本作は、日々迷いながら生きていた女性が、視力を失いゆく天才カメラマンに出逢い、彼の内面に惹かれてゆくラブストーリー。雅哉がやがて見えなくなることを知りながらも、互いを見つめようとする切ない2人の姿には、“失うことで、思わぬ明日を見つけることができる”というメッセージが込められている。また、「映画の音声ガイド」という仕事にもスポットが当てられており、注目を集めている。このたび解禁となった予告編では、映画の音声ガイドの制作に携わる美佐子と、視力を失いゆくカメラマンの雅哉との出会いから、2人が少しずつ心を通わせていく姿を映し出す。「心臓なんだよ動かせなくなっても、俺の心臓なんだ」と、雅哉がカメラを抱きしめながら放つ、もがき苦しみ葛藤する魂の叫びに、水崎さん演じる美佐子や周りの人々が心揺さぶられる様子が、時に優しく、時に強烈に包み込む光とともに描かれていく。永瀬さんは、「誤解されたくはないんだけど、ある意味、観終わった瞬間、自分で“遺作” を観たような感覚になったんです。ネガティブな意味には捉えてほしくないんだけど。それだけ、とてつもなく強い思いがあった」と語るほど、本作に対する思い入れは強く、そんな永瀬さんの魂が刻みこまれた予告編となっている。また、雅哉に強く影響を受けた美佐子が、彼を想いながら書き上げた音声ガイドを読み上げるのは、『あん』で共演していた樹木希林。これは永瀬さん自身も、演じるそのときまで知らされていなかったそうで、『光』の製作チームが用意した“人生に迷う全ての大人たちへのプレゼント”ともいうべき演出からも、本作の温かさが伝わってきそうだ。『光』は5月27日(土)より新宿バルト9ほか全国にて公開。(text:cinemacafe.net)■関連作品:光 2017年5月27日より新宿バルト9、丸の内TOEIほか全国にて公開(C) 2017“RADIANCE”FILMPARTNERS/KINOSHITA、COMMEDESCINEMAS、KUMIE
2017年04月13日女優の高橋春織(たかはし・はおり=19)が映画『一週間フレンズ。』(2月18日公開)で演じている姿を捉えた場面写真が19日、公開された。山崎賢人と川口春奈がW主演を務める本作は、累計130万部を突破した同名コミックを原作に、月曜日になると友だちに関する記憶を失う香織(川口)と、それをひたむきに支えようとする同級生・祐樹(山崎)の青春物語が描かれる。高橋が演じるのは、祐樹に思いを寄せるクラスメイトの沙希。所属事務所・スターダストプロモーションの公式サイトによると、憧れの女優は樹木希林(74)で、将来像について「毎回役に染まり切りたいです。そして、私以外にこの役を演じられる人はいないと思われる女優になりたいです」と熱っぽく語っている。その言葉通り、今月12日に行われた完成披露試写会では、がらりと雰囲気が変わった大人っぽい姿を見せた。ひたむきに香織を支えようとする祐樹を応援しながらも、密かな恋心を胸に抱えながら、一方で香織のことも大切に思う沙希。好きな人と大切な友だちの幸せを願う気持ち、そして自身の恋心の間で揺れ動く心情を、初々しくも確かな演技で好演している。今回公開された場面写真は、その姿を捉えたもの。撮影後に「山岸沙希としてきちんと生きられるよう役と向き合い、演じきることができました」と語っていたのもうなずける。1997年2月5日生まれ。東京都出身。身長163センチ。2014年の映画『呪怨-終わりの始まり-』でスクリーンデビューを飾り、以後は『誘拐少女』(14年)、『俺物語!!』(15年)など。そのほか、『パーフェクト・ブルー』(TBS系・12年)、『地獄先生ぬ~べ~』(日本テレビ系・14年)、『THE LAST COP/ラストコップ』(日本テレビ系・16年)などのドラマに出演している。(C)2017 葉月抹茶/スクウェアエニックス・映画「一週間フレンズ。」製作委員会
2017年01月19日『永い言い訳』の主演・本木雅弘と西川美和監督が、第20回オーストラリア日本映画祭より招待を受け、シドニーとメルボルンで行われた上映後Q&Aにそろって登壇した。突然の妻の死にも泣くことができなかった、自意識過剰な人気作家を本木さんが熱演する本作。鑑賞者のリピーターが続出し、ロングランヒットを続けており、先日は報知映画賞・日刊スポーツ映画大賞でも作品賞・監督賞・主演男優賞・助演男優賞にノミネートされた。オーストラリア日本映画祭は、1997年から始まった国際交流基金が主催する日本映画普及のための映画祭。その規模や動員数は毎年拡大しており、いまやシドニー・メルボルン・キャンベラ・アデレード・パース・ブリスベンの6都市を巡回する世界最大規模のものとなっている。本木さんは、本映画祭には初参加。2009年に『おくりびと』でアジア・パシフィック・スクリーン・アワード最優秀主演男優賞を受賞した際、ゴールドコーストで行われた授賞式に長男を伴って出席して以来の渡豪に。また、西川監督は前作『夢売るふたり』に続く2度目の参加。今回、「オーストラリアでの受賞歴もある世界的な俳優と、海外映画祭でも高く評価されている稀有な女性監督をぜひ招待したい」と映画祭側に熱望されての、2人そろっての参加となった。10月27日(現地時間)夜、本木さんと西川監督はシドニーのイベント・シネマズで行われたクロージング上映後のQ&Aに登壇。本木さんは、共演の竹原ピストルの名前を書いたTシャツ、監督は本木さんの名前を書いたTシャツをそれぞれ着込み、黒のスーツにコアラのぬいぐるみをあしらうという完全ペアルックで現れ、約400人のファンで満席となった客席に迎えられた。現在ロンドン在住の本木さんは、「この映画『永い言い訳』はどうしようもなさ、もろさを心に抱えた人々を描いています。およそ劇的とは言えない物語ですが、そんな人々のささやかな心の旅に皆さんが何かつながりを見出してくれたんじゃないかと思います」と、流暢な英語で挨拶。さらに、「私自身、非常に自意識が高く、うまくいかない人生を抱えていて、共感する部分が多々ありました。それをそのままフィルムに焼き付けたという形です。この映画は、人間とは誰でも不完全なんだということを認めて愛してくれる映画だと思います。私自身は、物語が示してくれている最終的なゴール、答え、いただけたアイデアにたどり着けるように、という気持ちで演じました」と述懐した。また、この映画を作るきっかけを聞かれた西川監督は、2011年の東日本大震災に触れ、「直接、被害にあった方はもちろんのこと、当たり前にある日常がいかにあっけなく失われてしまうかということを実感し、この物語を着想しました」とコメント。「素晴らしかった」と絶賛された子どもたち(藤田健心、白鳥玉季)については、「子どもらしさを重視し、泣いてくれと言ったら泣いてくれるという技術ではなくて、彼ら自身がもっている性格や環境がいかに役に近いかで選びました」と語り、「本木さんは子どもたちとしっかり距離をとりつつ、彼らにとっていなくてはならない『お助けマン』として、現場でオセロをやってくれたり、凧揚げをしてくれたりしてうまく演出をつけてくださいました」と明かした。すると、本木さんは、「1つ言っておきたいのは父親役のシンガーソングライター、竹原ピストルさんについてです。いま彼の(名前が入った)Tシャツを着ているんですが(と言ってTシャツを見せる)、彼もどんなお芝居をしてくるかわらからない、それがスリリングで私もリアルなお芝居ができました。チャンスがあればぜひ彼の唄を聴いてみてください。なぜ監督が竹原さんをキャスティングしたのかわかると思います」と、同じく大切な存在を失った役柄を演じた竹原さんの演技について言及。『おくりびと』のアカデミー賞受賞や、昨年のアジア・パシフィック・スクリーン・アワードで最優秀主演女優賞(『あん』)を受賞した義理の母、樹木希林についても触れられた本木さんは、「『おくりびと』は個人でいただいた賞ではないですし、自分が何かをいただいたという感覚はないんですけれども、時代と作品の出会いというものが重要だということを勉強させていただきました。役者としての自分にはハリウッドからお声がかかることもなく、特別な変化はありませんでした(笑)。樹木さんは、西川監督と同様に人間への観察眼が非常に鋭くて辛辣ですが、慈愛に満ちている人で、私の心を柔らかく導いてくれる存在です」と応じた。さらに2人は、翌10月28日夜にメルボルン・オーストラリア国立映像博物館での上映後Q&Aにも登壇。二都市を巡る短い滞在ながら、「観てくださった方の反応はどの国も共通している。何か通じてくれているものがあるのだと思う」(西川監督)、「ここでも観た人が身につまされつつもどこか前向きになってくれていると感じる。かすかな幸福感が満足感につながっているようでうれしい」(本木さん)と、本作の手ごたえを語り、世界でも広く愛されていくことに期待を寄せていた。『永い言い訳』は全国にて公開中。(text:cinemacafe.net)
2016年11月30日世界的評価を受ける河瀬直美監督の最新作『光』が、来年公開されることが決定。主演に俳優・永瀬正敏を迎えることも分かった。“映画”というもうひとつの人生を観客と共有するべく音声ガイドの制作にたずさわる美佐子。視覚障碍者向け映画のモニター会で弱視のカメラマン、雅哉と出逢う。映画の光に導かれるように2人は、音声ガイドの製作過程で衝突を繰り返しながらも互いの心をゆっくりと通わせていく――。本作の監督・脚本を務めるのは、世界最高峰のカンヌ映画祭では『萌の朱雀』で新人監督賞カメラドールを、『殯の森』で審査員特別大賞グランプリを受賞した河瀬監督。主演には、第68回カンヌ国際映画祭「ある視点」部門のオープニングとして正式出品された『あん』に続いてのタッグとなる、国内外で活躍する俳優・永瀬さんが務め、ヒロインには新進女優として注目を集める水崎綾女が抜擢された。『あん』では、樹木希林演じる徳江の生き様に影響を受けながら、人生を切り開いていく千太郎を演じ、その演技に世界中の人々が心を震わせたが、本作では、弱視の主人公・雅哉という葛藤の中で希望の光を求めさまよう男を演じる永瀬さん。役作りにおいては、撮影の20日前には奈良に入り、実際の雅哉のマンションで暮らし始め、雅哉の部屋を作っていったそう。「部屋の写真は全て自分が撮りだめてきた未発表のものを使用しました」と細部にまでこだわっていると話し、「視覚障害を持つ4~5人の方とお会いし、その生活を拝見させていただいたり、自分自身で出来ることとしては、決められたコースを目をつぶって歩くことを繰り返したりしながら、準備しました」とコメントしている。また、ヒロインとして河瀬監督に見出されたのは、タナダユキ監督の『俺たちに明日はないッス』で銀幕デビューを果たし、『マイ・バック・ページ』『つやのよる』『進撃の巨人 ATTACK ON TITAN』など様々なジャンルの作品に出演してきた水崎さん。本作では、バリアフリー映画の音声ガイドとして、その光の中に生きる意味を見出していく女性・美佐子役で、これまでの役柄とは異なる、新たな一面を見せていく。水崎さんは「撮影が始まっても、私だけ脚本をもらえていないのですが、24時間美佐子として生活することで、不思議とすんなり台詞が出てくるのです」と話し、「ストーリーの先が分からない分、予想がつかないけれど、順撮りをしているので、美佐子の気持ちがどんどん積み重なっていくという初めての経験をしています」と撮影中の様子を明かした。「『あん』で初めて音声ガイドをつくったときに原稿確認をしたのですが、音声ガイドそのものが、表現として素晴らしいものだと思いました」と本作の着想を得たきっかけを話す監督。永瀬さんとは、また一緒に映画を作りたいと話していたそうで、「実際に、永瀬さんのカメラマンとして活躍ぶりを見てきたので、今回の役柄は彼しかいないと思っていました」と絶大な信頼を寄せている。なお、美佐子と同じ職場の上司・智子役と劇中映画『その砂の行方』の女優役を、舞台から映画・ドラマへ活躍の場を広げる神野三鈴、『その砂の行方』の主演と監督役を藤竜也が演じる。『光』は2017年、公開予定。(cinemacafe.net)
2016年10月31日開催中の東京国際映画祭にて10月26日(水)、アニメーション特集「映画監督 細田守の世界」が始まり『おおかみこどもの雨と雪』が上映。その後のトークでは細田監督とゲストとして是枝裕和監督が登壇し、互いの作品に共通する“父の不在”や“家族”について語り合った。トークは細田監督が是枝監督に質問をぶつけていく形でスタート。細田監督は最近の自らの監督作2作『バケモノの子』、『おおかみこどもの雨と雪』で、いずれも父親が不在の状況が描かれており、是枝作品でも『誰も知らない』、『そして父になる』、昨年の日本アカデミー賞最優秀作品賞で、是枝作品には珍しく原作モノである『海街diary』まで、“父”またはその不在がテーマになってると指摘。「そこに“問題意識”があるのでは?」と問いかける。是枝監督は「父親が“いる”のが描けないのかも(笑)」と笑いつつ「うちの父も存在が希薄で博打だったり、よく分かんないところに行ってて、僕は姉2人と母に囲まれて、それが居心地がよかったんですね。父がいない環境が自分にとってリアルだったし、ずいぶん前に死んでるんですが、最後まで父は『よく分からない』対象でしかなかった」と理由を分析する。さらに「父親というのは、いなくなってから感じ始めるもので、『海街diary』も父がいない空間に、父の影が偏在していて、それは自分の感覚に近いもので、だから漫画を読んで『やりたい』と思ったんだと思う」とも。細田監督も「僕の父もそういうところがあって、結局、一緒に飲んだり語り合うことなく亡くなった。“不在”のまま来ちゃって宙ぶらりんになっている。それが作品にも出ているのかも」とうなずく。一方で是枝監督は、同じく父はいなくとも、細田作品について「“不在の父”が違う存在で埋められてる。男の子の成長を助ける父親的なものが血のつながりのない者で存在していて、それが(少年を)導く。それが面白い!」とも語る。また、細田監督は『おおかみこどもの雨と雪』で“母”を中心に据えて描いているが「『サマーウォーズ』の仕上げで母が亡くなったんです。自分と母が過ごした時間を違う形で表現し、映画を通して(母に)謝りたい気分で作らざるを得ない感じでした」とふり返る。是枝監督は今年公開の最新作『海よりもまだ深く』で同じく“母”を描いているが「思いがけず自分が育った場所(※実際に是枝監督が住んでいた団地)で撮影することになり、母親役の樹木希林さんに『写真と、(母が)持っていたものを持ってきて』と言われて絵手紙と老眼鏡を持って行ったんです。それを希林さんはそのまま『使いたい』とおっしゃって『しまった!困ったな…』と思いました。母の老眼鏡をかけていると、母にしか見えない瞬間があって、タイムマシンに乗って過去に立ち会っているような珍しい経験をさせてもらいました」と明かした。今後、新作が待たれる2人だが、細田監督は「脚本がやっと決定稿になりました」と明かし、順調にいけば2018年に新作が公開されるとの見通しを語った。ちなみに「父は出てきます(笑)」とのこと。一方、是枝監督は脚本を執筆中とのことだが「結局、また父のいない話なんですよね…(苦笑)。違う話を書いてみようと思ったんですが…まあいいか、『いない』のいかたが違うし(笑)と自分を納得させてます。違うメロディは作れても、歌声は同じ。開き直るわけじゃないけど、それが分かってきた」と語り、来年には撮影に入る予定だと明かした。(text:cinemacafe.net)
2016年10月27日阿部寛が“ダメ人生”を送る中年男を演じた是枝裕和監督の最新作『海よりもまだ深く』。このほど、北欧ノルウェー最大の国際映画祭、第26回フィルムズ・フロム・ザ・サウス映画祭にて、グランプリに当たるシルバー・ミラー賞を受賞したことが分かった。ダメ人生を更新中の中年男、良多(阿部さん)は、15年前に文学賞を1度とったきりの自称作家。いまは探偵事務所に勤めているが、周囲にも自分にも「小説のための取材」だと言い訳している。元妻の響子(真木よう子)には愛想を尽かされ、息子・真悟の養育費も満足に払えないくせに、彼女に新恋人ができたことにショックを受けている。そんな良多の頼みの綱は、団地で気楽な独り暮らしを送る母・淑子(樹木希林)。ある日、たまたま淑子の家に集まった良多と響子と真悟は、台風のため翌朝まで帰れなくなり、“元家族”で一夜を共に過ごすことになるが――。“海よりもまだ深い”人生の愛し方を優しく教えてくれる本作が、毎年約3万人の観客を動員するノルウェー最大の映画祭、フィルムズ・フロム・ザ・サウス映画祭にてシルバー・ミラー賞(グランプリ)を受賞。今年は10月6日(木)~10月16日(日)まで開催されていた同映画祭は、1991年からノルウェーの首都オスロで開催、アジア、アフリカ、ラテンアメリカから約100本の長編映画が上映され、メイン・コンペティション部門では1本の作品をグランプリとして選出する。今回の快挙に是枝監督は、「寒い北国の、小さな映画祭で、とても暖かなご褒美をいただきました。勲章が似合わない映画だと自分では思っていましたが、国境を越えて観客の方々に泣いて、笑って貰えるのは、やはりとても嬉しいことでした」と、その喜びを語っている。『海よりもまだ深く』ブルーレイ&DVDは11月25日(金)より発売&レンタル開始。(text:cinemacafe.net)
2016年10月18日俳優の本木雅弘と女優で義母の樹木希林が10月3日(月)、都内で行われた映画『永い言い訳』のトークイベント付き試写会に出席。芸能界でもいま話題の“不倫愛”について激論を交わした。観客にはサプライズで登場した樹木さんは「配給会社からお願いされて来ました。身内が来るということはよほど(本木さんに)友だちがいないということ」と笑わせながら、観客からの人生相談に答える形でトークショーがスタート。“不倫をしてしまいそうで嫌だ”という恋多き女性の悩みには「本木さんは不倫をすると家族とかその後が面倒くさくなるから、それを考えてしないみたい」と娘婿の心境を代弁しつつ、相談者には「すればいいんじゃないですか?グチャグチャと考えないでやってみて、それで後が大変だったとわかれば人間として成熟していくはず」と大胆アドバイス。西川美和監督も「恋をすれば感受性が豊かになるので人生も豊かになるはず」と恋することに前向きな姿勢を見せると、本木さんも「その危険さは若さを保つ要素なのかもしれないですね」と否定はしなかった。また本木さんは、樹木さんの娘である妻に惹かれたポイントを「とても若いけれど、若いなりに達観している。女性という所が見えたり見えなかったり、そういった得体の知れなさに惹かれた」と告白。これに樹木さんは「うちの家族に入るなんて誰だって反対しますよ。でも本木さんは、この家族の中に入ってそこで自分がかき回されて別のものを引っ張り出してもらいたいという気持ちがあったはず」と心境を鋭く分析した。さらに“自分には人を見る目がない”という悩みに樹木さんは「見る目がないというけれど、そういう相手に出会うというのは自分の中にも同じ要素があるということ。そういった根本的な性格は一生変わりません」とバッサリ。それに本木さんが「いまの論理からいえば、(樹木の夫)内田裕也さんの中に自分を見ているということですか?」と投げかけると「そっくり!表向きは向こうが破天荒で私が尽くしているように見えるけれど、破け具合は私の方が凄い」言い切り、本木さんは「ロックというか、もはやゲリラですね…」と怯えていた。同作は、映画『ゆれる』『ディア・ドクター』で知られる西川監督による、直木賞候補となった自らの小説を映画化。人気作家・津村啓こと衣笠幸夫(本木さん)は、妻・夏子(深津絵里)を突然の事故で失うが、まさにそのとき、幸夫は不倫相手と密会中。夏子の死に一滴の涙も流すことができなかった。そんなある日、事故で亡くなった夏子の親友の父親(竹原ピストル)とその子どもたちに出会い、ふとした思いつきから幼い彼らの世話を買って出る――。映画『永い言い訳』は、10月14日(金)より公開。(text:cinemacafe.net)
2016年10月03日俳優の本木雅弘が、10月7日(21:00~22:52)に放送される関西テレビ・フジテレビ系バラエティ特番『さんまのまんま 秋の夜長に旬なあの人たちが勢揃いSP』に出演し、アイドル時代の自らの態度を反省する。本木は『さんまのまんま』に28年ぶりの登場。先にゲスト出演していたレスリングの吉田沙保里選手に、来て早々「ネイルがすてきですね」とほめ、メロメロにさせる。20代の頃にアイドルとして活動していた本木は当時、今田耕司や東野幸治らと関西の番組に出演。この収録は完全にアウェイだったと言い、「お互いに相当嫌な思いをした。私も相当失礼な振る舞いをしていたと思う」と振り返る。そして最近になり、当時の構成作家がラジオ番組で、本木を「腹が立ったアイドル」と話題にしていたことを知ったそうだが、意外にもその構成作家に謝ったという。また、義理の父母が内田裕也・樹木希林夫妻という本木は、別居しながら夫婦を続ける2人の不思議な関係を例に挙げ、「さんまさんが大竹しのぶさんと離婚した後も、誰とも再婚しないのは、やっぱり大竹さんは別格だからなんですか?」と直球質問する。この日の放送では他にも、古舘伊知郎、吉田沙保里、土性沙羅、栄和人(日本レスリング協会 全体強化委員長)、相楽樹、杉咲花が出演する。
2016年09月24日本日17日(日)、テレビ朝日では、日本のテレビ史を黒柳徹子と共にふり返る3時間の大型特番、「黒柳徹子だけが知っている THE テレビ伝説60年史」を放送。番組では、近藤真彦、杉良太郎、水谷豊といった黒柳さんを愛する男たちが、スタジオで共演する。本番組は、日本第1号のテレビ女優としてデビューし、今日までテレビと伴走し続けてきた黒柳さんの数々の体験談を、超豪華ゲスト陣と共に60年の歴史をふり返る。「徹子の歴史=テレビの歴史」。初めて明かされる“黒柳徹子のテレビ伝説"から“テレビの歴史"を紐解いていく。スペシャルゲストとしてスタジオに駆けつけたのは、黒柳さんを「芸能界の母」と慕う歌手の近藤さんと、1960年代のドラマ共演以来、黒柳さんとは半世紀の付き合いになる歌手であり俳優の杉さん、そして会うときもハグ、別れるときもハグ、お互いを“ハグ友”と呼び合う俳優の水谷さんだ。いまでは仕事よりもプライベートで会うことが多いという近藤さん。業界を騒然とさせた、自分と特別に近しいある人物と黒柳さんが結婚するという“怪文書”の謎を解き明かす。また杉さんは、当時「チャック」と呼ばれていた黒柳さんの“人間離れ”した魅力を、「女性ホルモンが出ていない」という独特の表現で語る。さらに、この日の収録でも、カメラも人目もはばからず熱い抱擁を交わした水谷さんは、「落ち込んだ時にはいつも徹子さんを思い浮かべる」という、黒柳からもらった手紙の感動の内容を告白。そして3人はそれぞれに、自身のテレビにまつわる忘れられない思い出や驚愕のエピソードなども披露していく。また、すでに話題を呼んでいる清水ミチコによる黒柳さんの再現ドラマも、エピソードトークの展開に合わせて放送。「日本で初めて、大人なのに○○を演じた黒柳徹子」「カラー放送のモデル抜擢で顔を○○された黒柳徹子」…などなど、数々の黒柳徹子伝説の真相も明らかに。そしてご意見番として、野際陽子、樹木希林が登場。さらに、サプライズゲストとして内田裕也も登場し、テレビスタジオ初となる樹木さんとの夫婦ツーショットを披露! 別居生活40年以上という謎に包まれた夫婦生活の実態を明かす。そのほか、ペ・ヨンジュンや黒柳さんとゆかりの深い人物も、黒柳さんへメッセージを贈る場面も登場する。収録を終えた黒柳さんは「すごくエキサイティングで、ドキドキハラハラするような本番でとても楽しかったです。サプライズもいっぱいありました。こんなにすごいゲストが来る番組なんてほかにないと思います。あれよ、あれよと、驚きの連続。たくさんの方が見てくださるといいなと思います」と嬉しそうに語る。また、樹木さんと内田さんの共演には、「本当に興奮しましたね。お2人並んだ映像は、これからもテレビで見ることはまずできないと思いますが、よくお似合いでした。心が通じているお2人なんだと思います。とっても…なんだかわからない面白いさがあったわね(笑)。ジーンとしましたし、素敵でした。でも、私は、ああいう激しい方とはご一緒にはいられないと思います(笑)」とコメント。さらに、「テレビの世界には、自分の子どもに上手に絵本を読んであげられるお母さんになれるかなくらいの気持ちで入ったので、こんなに長く続けられたことは奇跡に思えます」とこの世界に入った経緯を話し、「私は周りに気を遣わず、空気読まないって有名なんですが(笑)、関わってくれたスタッフの皆さんがとても優しくしてくださった。感謝の気持ちでいっぱいです」と想いを語る。そして、「『徹子の部屋』とか、自分が好きだと思う番組を続けられたのも芸能界に残れた要因だと思います。これがドラマで、3か月やって休んでの繰り返しだったら、ここまで長くはできなかったと思う。そう思うと、『徹子の部屋』が始まった時にドラマの仕事を辞めたのが良かったですね。芝居は舞台だけと決めたので、私を女優だとご存知ない方が多いでしょうけど。女優だってこと書いておいてくださいね(笑)」とメッセージを寄せた。「黒柳徹子だけが知っている THE テレビ伝説60年史」は7月17日(日)18時57分~テレビ朝日にて放送。(cinemacafe.net)
2016年07月17日歌手の近藤真彦が、きょう17日(18:57~21:56)に放送されるテレビ朝日系特番『黒柳徹子だけが知っている THEテレビ伝説60年史』に出演し、黒柳が"旦那さん"と呼ぶ相手を明かす。この特番は、日本のテレビ史を黒柳徹子とともに振り返るというもので、近藤は、黒柳の歴史を知る1人として登場。近藤と特別に近しいある人物と黒柳が結婚するという「怪文書」が飛び交い、業界を騒然とさせたエピソードを語る。黒柳はその相手を、今でも「旦那さん」と呼んでいるそうで、その特別な関係の人物が明らかになる。ほかにも、黒柳をよく知る杉良太郎が、その魅力を「女性ホルモンが出ていない」と紹介し、"ハグ友"と呼び合う水谷豊は、「落ち込んだときにはいつも徹子さんを思い浮かべる」という、黒柳からもらった手紙の内容を告白する。さらに、別居歴40年の内田裕也・樹木希林夫妻が、トークバラエティで初の2ショットを披露し、黒柳の大ファンであるペ・ヨンジュンからのビデオレターが登場。黒柳のエピソードドークの展開に合わせ、清水ミチコが黒柳役を演じる再現ドラマも放送される。黒柳は、あらためて自身の芸能活動を振り返り、「テレビの世界には、自分の子どもに上手に絵本を読んであげられるお母さんになれるかなくらいの気持ちで入ったので、こんなに長く続けられたことは奇跡に思えます」と感想。「私は周りに気を遣わず、空気読まないって有名なんですが(笑)、関わってくれたスタッフの皆さんがとても優しくしてくださった。感謝の気持ちでいっぱいです」と話してる。
2016年07月17日歌手の内田裕也と、女優の樹木希林夫妻が、17日(18:57~21:56)に放送されるテレビ朝日系の大型特番『黒柳徹子だけが知っている THEテレビ伝説60年史』で、トークバラエティ番組初のツーショットを披露することが13日、明らかになった。この番組に、樹木はご意見番として出演。テレビCMの歴史を振り返るコーナーで、樹木が内田と共演した結婚情報誌「ゼクシィ」(2011年)のCM映像が紹介される。別居生活を続ける夫婦が、紋付き袴と留め袖姿で結婚を語るというシュールさで注目を集めたが、数カ月後に内田がある事件で逮捕され、放送中止となったいわくつきのCMだ。それについてトークをしている最中に、突然サプライズゲストとして内田が登場。スタジオは騒然となるが、内田はそんなことに目もくれず、黒柳に赤、樹木に白のバラをプレゼントし、そのまま黒柳が仕切って『徹子の部屋』ばりのトークがスタートする。2人が会うのは昨年秋以来で、今年に入って初めて。年に1~2回のペースで会うそうだが、樹木いわく「介護保険料の報告とか、お互いにしゃべることがいっぱいある(笑)」そうだ。サプライズ登場という演出に、内田は「珍しくあがった」、一方の樹木は「照れます」と終始伏し目がちで進行する。別居生活について、内田は「良かったと思う」と言い、「(ケンカしたら)半端なくすごい。男相手にやってるみたい」と樹木の意外な一面を紹介。これに対して樹木は「寝ているときは無防備だから刺せる。とっくにどっちかが刺されていておかしくない」と、常人には理解しがたい同居の恐怖を語る。収録後、黒柳は「お2人並んだ映像は、これからもテレビで見ることはまずできないと思いますが、よくお似合いでした。心が通じているお2人なんだと思います」と興奮。内田のような男性は「ああいう激しい方とはご一緒にはいられないと思います(笑)」と遠慮したが、先日の『徹子の部屋』で、元占い師の脚本家・中園ミホ氏に「来年の7月に結婚する」と言われたのをとても喜んでおり、「相手は今のところまだいませんが、1年以上ありますから、なんとかなるんじゃないかしら」と、ウキウキになっていた。
2016年07月13日8日(水)、第42回「放送文化基金賞」が発表され、「番組部門」のテレビドラマでは、最優秀賞に「赤めだか」(TBS)、優秀賞に「天皇の料理番」(TBS)が選ばれた。同部門の演技賞には、「天皇の料理番」主演の佐藤健と、福岡発地域ドラマ「いとの森の家」で樹木希林が受賞している。過去1年間の放送番組から優れたテレビ、ラジオ番組や個人・グループに毎年贈られる「放送文化基金賞」。今年も平成27年4月~28年3月に放送されたものを対象に選出した。全国の民放、NHK、プロダクションなどから、全部で268件の応募、推薦があり、テレビドキュメンタリー、テレビドラマ、テレビエンターテインメント、ラジオの4つの番組部門で、それぞれ最優秀賞、優秀賞、奨励賞の16番組と、演技賞や企画賞など個人5件、さらに個人・グループ部門の放送文化、放送技術で8件を決定した。昨年は「相棒 season13」(テレビ朝日)が最優秀賞に選ばれた「番組部門」におけるテレビドラマ番組。今年は、立川談春の同名エッセイを原作に、「嵐」二宮和也主演で昨年12月28日(月)に放送された、年末ドラマ特別企画「赤めだか」が受賞。ビートたけしが立川談志を演じ、17歳で談志に入門した二宮さん演じる談春と、談志の弟子たちの成長物語。「厳しさを自らのものとすることで人は成長できることを教えてくれる啓発的ドラマでありながら、笑いを随所に盛り込んでぐいぐい引き込むストーリー」などと評され、最優秀賞に輝いた。優秀賞に選ばれた「TBSテレビ60周年特別企画 日曜劇場『天皇の料理番』」。大正・昭和時代に宮内省の厨司長を務めた秋山徳蔵氏の人生を描いた杉森久英の同名小説が原作で、田舎のやっかい者・秋山篤蔵を佐藤さんが演じ、天皇の料理番を勤め上げるまでに成長していく物語。「キャスティング、ストーリーの構成どれをとっても完成度が高い」と絶賛され、主役の脇を固めた黒木華、鈴木亮平といった俳優たちの演技も「質がみな高かった」とされた。主演の佐藤さんは演技賞も本作で受賞し、「難しい役柄を、多くのハードルを越えて演じ切り、ドラマの強力な牽引力となった演技は秀逸」と評価されている。(text:cinemacafe.net)
2016年06月08日是枝裕和監督が公開中の最新作で団地を舞台にした映画『海よりもまだ深く』について、団地をこよなく愛し、活動する「団地団」の大山顕、佐藤大、速水健朗、山内マリコと5月26日(木)、上映後のトークセッションに出席。団地について熱く語り合った。映画は作家崩れのダメ中年の主人公が、別れた妻、妻に引き取られたひとり息子と共に、団地でひとり暮らしをする老母の元を訪ね、台風のひと晩を過ごすさまを描き出す。「団地団」は写真家の大山さん、アニメ脚本家の佐藤さん、「ラーメンと愛国」「フード左翼とフード右翼食で分断される日本人」などの著書で知られる速水さん、「ここは退屈迎えに来て」で鮮烈なデビューを飾り、「アズミ・ハルコは行方不明」が蒼井優主演で映画化されることも決まっている作家の山内さんら、団地を深く愛する異業種の面々で結成されたグループで、団地にまつわるトークイベントや著書の刊行を行なっている。大山さんは本作を「最高の団地映画!」と団地という観点から称賛。「安易な“団地あるある”で描かれておらず、あざとさがない」と語る。大山さんいわく、団地を舞台にした映画では、往々にして「いまの団地にはないよね」というものや描写が多く存在するそうだが、本作で“ジップロック”という現代的な台所用品が登場する点に言及し、きっちりと“現代の団地”が丁寧に描かれており「感動しました」と語る。是枝監督はこれについて「固有名詞を出して『ジップロックを…』と言ったわけではないけど、団地の部屋の時間の積み重ねを見せないといけないと思った」と説明する。また、団地ならではの“狭さ”を映像の中できちんと描き切っていることについても、団地団メンバーからは絶賛の声が上がる。佐藤さんは「冷蔵庫を開けるとき、よけないといけない!(描写が)細かい!」と語り、大山さんは、主人公の姉の家族も部屋にいる状態での会話シーンについて「姉の夫や娘が後ろにいることが感じられる。団地の狭さが感じられて感動しました」と感激を口にする。これらのシーンは実際の団地での撮影とセットを組んでの撮影を組み合わせて作られたそうだが、是枝監督は「スタジオで撮る場合も、カメラを部屋の広さよりも外に出して、引いて撮らないというルールを決めてました。それじゃウソになるから」と明かす。また、阿部寛が約190cmの巨体を縮めて入るお風呂のシーンに関しても、本物ではなくセットであることを明かした上で「(団地用のお風呂の中で)一番古くて小さいタイプのものを選びました」と語った。山内さんは、狭い空間に複数の人間がいるが故の、会話や動きの多さについて言及。「室内が狭いから、人の距離が近くて、会話が増えているのでは?」と指摘する。監督は自身の経験を踏まえ「ああいう状況だと母親は喋り続け、動き続けるんですよね(笑)。基本的に、(母親役の)樹木希林さん(の動き)をいかに止めないかを重視しました」と語った。映画の最後で、主人公たちを老母が団地の階段から見送るという画も団地ならでは。速水さんは、この樹木さんを「団地の妖精のよう」と語り、大山さんも「トトロみたいに見える」と表現。会場は笑いに包まれたが、是枝監督は納得とばかり深くうなずいていた。このほか、団地団からは団地に存在する「分譲組」と「賃貸組」の静かな対立や格差、遊具、団地ならではの人工的な緑地などについて、様々な視点から質問や指摘が飛び交い、是枝監督は鋭い分析に時に驚きつつ、嬉しそうな笑みを浮かべていた。『海よりもまだ深く』は全国にて公開中。(text:cinemacafe.net)
2016年05月27日2013年のカンヌ国際映画祭審査員賞に輝いた『そして父になる』に続き、是枝裕和監督の最新作『海よりもまだ深く』に出演した真木よう子さん。その見どころを語っていただきました。「是枝組は、まだ2作品目ですけど、すごくあったかくて、やりやすいです。役者への押し付けも、プレッシャーもないし、役者が素のまま、すっと自然に役に入っていけるような世界を作ってくれるんです」『海よりもまだ深く』は、“夢見た未来とちがう今を生きる、元家族の物語”。真木さんの役どころは、阿部寛さん演じる主人公のダメ男・良多の元妻・響子。15年前に一度文学賞を取ったきりの自称作家でギャンブル好きの良多に愛想を尽かし、離婚後は11歳の息子と二人で暮らしている。サラリーマンの恋人もいる。「愛だけでは人は生きていけない、というセリフもあるように、響子は今を生きつつ、ちゃんと将来を考えた最善の決断ができる強い女性です。でも良多は確かにダメ男ですけど、共感できる部分は男女問わず、みんなきっとあると思うんですよね。私も良多に共感するところがたくさんありました。だからこそ、この作品は、誰の心にもすっと入りやすいんじゃないかと思います」良多の母、響子の義理の母にあたる淑子を演じたのは樹木希林さん。「樹木さんが何気なくおっしゃるセリフがすごく良くて。“普通の人は海よりも深く人を愛したことなんてないけど、それでも生きていくのよ”とか。そうだな、そうやって生きていくのかなと、グサッときて…」ある日、団地で気ままな一人暮らしをする淑子の家に、良多、響子、息子の真悟の3人が偶然集まり、その晩は台風のために帰れなくなる。元家族は一夜を過ごし、夜が明けて台風が去った後、再びそれぞれの生活へと戻っていく。台風の翌朝に、芝生がキレイになった団地を歩く風景は、団地の物語を撮りたいと思った是枝監督の中に最初に浮かんだものだという。ロケ地は是枝監督がかつて暮らした団地。その記憶は、真木さんにも懐かしく重なった。「是枝さんの実家があった団地と、私が子供の頃に暮らした団地がすごく似ていて、私も実家に帰ったような気持ちになりました。懐かしいな、この狭さって(笑)。響子という役は、複雑な状況におかれていて、元旦那、元旦那のお母さん、元旦那のことを否定する今の恋人など、人との距離の取り方が難しいところもありましたけど、団地という空間に助けられたような気がします」是枝監督が、脚本の最初に記した言葉は、「みんながなりたかった大人になれるわけじゃない」。優しいまなざしと言葉と登場人物に励まされ、観終えた後は、大人になった今を少し誇れるような気持ちになれる。完成した作品を観た真木さんは、「自分がどう映っているかなんてどうでもよくて…。こんなすごい作品に出演させてもらえて光栄だな、早くいろんな人に観てもらいたい、という気持ちがいちばんでした。心に響く名言も、笑えるシーンもたくさん。最高の映画を観ました」◇まき・ようこ1982年10月15日生まれ。千葉県出身。2013年の主演映画『さよなら渓谷』、同年『そして父になる』で、日本アカデミー賞最優秀主演女優賞、最優秀助演女優賞の2冠達成。◇原案・監督・脚本・編集/是枝裕和音楽/ハナレグミ出演/阿部寛、真木よう子、小林聡美、リリー・フランキー、池松壮亮、吉澤太陽、橋爪功、樹木希林5月21日(土)より丸の内ピカデリー、新宿ピカデリーほか全国ロードショー。(C)2016 フジテレビジョン バンダイビジュアル AOI Pro. ギャガ※『anan』2016年5月25日号より。写真・内田紘倫スタイリスト・三田真一(KiKi inc.)ヘア&メイク・AYA(ラ・ドンナ)インタビュー、文・今村 望
2016年05月24日2016年5月21日、22日の全国映画動員ランキングは公開5週目の『ズートピア』(全国349館)が首位を守ったほか、4位まで順位に変動はなく、『海よりもまだ深く』(全国244館)は初登場5位に入った。映画動員ランキング&その他の画像『海よりもまだ深く』は、『そして父になる』『海街diary』などの是枝裕和監督が阿部寛を主演に迎えて描くヒューマン・ドラマ。樹木希林、真木よう子、池松壮亮、リリー・フランキー、橋爪功らが出演し、小説家を目指すバツイチ中年男と、彼を取り巻く人間模様が描かれる。2位の『殿、利息でござる!』(全国308館)、3位の『世界から猫が消えたなら』(全国290館)、4位の『名探偵コナン 純黒の悪夢(ナイトメア)』(全国350館)までは先週と変わらず。そのほか『ガールズ&パンツァー 劇場版』(全国152館)が28位から大きくジャンプアップして9位に。『機動戦士ガンダム THE ORIGIN III 暁の蜂起』(全国15館)が初登場10位に入っており、トップ10内にアニメ作品が5本ランクインしている。全国映画動員ランキングトップ10(興行通信社調べ)1位『ズートピア』2位『殿、利息でござる!』3位『世界から猫が消えたなら』4位『名探偵コナン 純黒の悪夢(ナイトメア)』5位『海よりもまだ深く』6位『64-ロクヨン- 前編』7位『シビル・ウォー/キャプテン・アメリカ』8位『映画クレヨンしんちゃん 爆睡!ユメミーワールド大突撃』9位『ガールズ&パンツァー 劇場版』10位『機動戦士ガンダム THE ORIGIN III 暁の蜂起』
2016年05月23日阿部寛と樹木希林が親子を演じる、是枝裕和監督の最新作『海よりもまだ深く』。先日は第69回カンヌ国際映画祭「ある視点」部門で正式上映され、喝采を受けた本作から、阿部さん演じる息子・良多と樹木さん演じる母・淑子が、実の親子のように息ぴったりの掛け合いを見せる本編抜粋映像がシネマカフェに到着した。『そして父になる』『海街diary』の是枝監督が新たに送りだすのは、“なりたかった大人”になれなかった大人たちが、いまを生きる物語。阿部さんにとって初めてとなったカンヌでは、上映中には笑い声が上がり、上映後は7分間におよぶスタンディングオベーションで迎えられるなど、絶賛を受けた。そんな本作から届いた今回の映像では、“元家族”だった良多、響子(真木よう子)、真悟(吉澤太陽)の3人が、久しぶりにひとつ屋根の下に集まったことを喜び、淑子が自慢のカレーうどんを振る舞っている。良多は久しぶりの母の味に舌鼓を打ち、おかわりをせがむも、食べたカレーが半年も前に冷凍していたものだと分かると、途端にニガ~い顔をみせる。さらに、良多のシャツにカレーが飛んでいることに気づいた淑子が、自分の唾をつけた布巾でその汚れを取ろうとすると、「いま舐めたろ。汚ぇなぁ」と思わずツッコみ。しかし、そんなふうに言われても母の愛は変わらず、「いくつになっても、誰かがついていてあげないと…」と息子を心配する様子をみせる淑子の姿が映し出されている。そんな母の愛あふれる言葉を、“元妻”の響子が複雑な表情を浮かべながら聞いているのも印象的だ。今回、『歩いても 歩いても』以来、2度目の親子共演となった阿部さんと樹木さんだが、“神レベル”とも呼べるほど息の合った掛け合いで見せる、母らしい気遣い(お節介?)とそれを煙たがる息子の姿は本当の親子のようで、自然と笑みがこぼれてしまうシーンとなっている。阿部さんは、樹木さんとの共演について「演技の合間に作品のことだけではなく、色々なお話をしてくださって、そういう時間を一緒に過ごすうちに、自然と親子の空気が生まれていきました。樹木さんは、もともとそれを考えて下さったのかな、とも思います」とふり返り、大ベテランに感謝の思いを含ませた。息子・阿部さんと母・樹木さんのリアルな掛け合いに象徴される本作の“家族”を、まずはこちらから確かめてみて。『海よりもまだ深く』は5月21日(土)より丸の内ピカデリー、新宿ピカデリーほか全国にて公開。(text:cinemacafe.net)
2016年05月22日旬なゲストのここでしか見ることのできない素顔に迫るトーク番組「おしゃれイズム」(日本テレビ系)の5月22日(日)放送回に女優の真木よう子がゲスト出演、番組MCの上田晋也、藤木直人、森泉の3人と様々なトークを繰り広げる。小学生時代から芸能界を志望し中学卒業後には俳優養成所の「無名塾」に入塾。その後2001年に映画デビューした真木さん。2006年に「ベロニカは死ぬことにした」で映画初主演を果たすと、その後『UDON』や、ドラマから映画化もされた『SP』シリーズなどに出演。その演技力とクールな美貌で一躍脚光を浴びる存在に。その後も映画『モテキ』や『脳内ポイズンベリー』、ドラマ「問題のあるレストラン」「精霊の守り人」、そして『MOZU』シリーズなど話題作に続々出演。コメディからハード&シリアスまであらゆるタイプの役柄を演じこなす実力派として高い評価を受けた。そして2014年の第37回日本アカデミー賞では『さよなら渓谷』で最優秀主演女優賞を、『そして父になる』で最優秀助演女優賞をダブル受賞。35年ぶりの2冠という快挙を達成した。その評価は国内だけにとどまらず、『さよなら渓谷』は第35回モスクワ国際映画祭審査員特別賞を受賞したほか、『そして父になる』が第66回カンヌ国際映画祭で審査員賞を受賞するなど世界が注目する女優へと成長を遂げた。番組では、謎多き真木さんのプライベートの姿を知るという3人の人気芸人たちが“素顔”を暴露。大の尾崎豊ファンだという真木さんが休日にカラオケで熱唱するという“名曲”を今回初披露するほか、いま、最も“お熱”だというフィギュアスケーターの羽生結弦選手についても語ってくれる。また酔っぱらうとしてしまうという意外な一面なども明かされる。そんな真木さんだが最新作『海よりもまだ深く』が5月21日から全国公開中。同作は今年3月の第39回日本アカデミー賞で最優秀作品賞、監督賞ほか4冠を獲得した『海街diary』を手がけた是枝裕和監督作品。是枝監督がかつて実際に暮らしていた団地を舞台に、台風の夜、ダメ人生を送る中年男・良多と“元家族”が、偶然ひとつ屋根の下に集まり、夢見た未来と、少し違ういまを生きる大人たちに向けた、温かくもほろ苦い家族の物語を描く。阿部寛と樹木希林が2度目の親子役で共演するほか、小林聡美、リリー・フランキー、池松壮亮らが出演。真木さんは阿部さん演じる元夫に愛想を尽かした元嫁を演じている。「おしゃれイズム」は22日(日)22時~放送。(笠緒)
2016年05月22日第69回カンヌ国際映画祭「ある視点」部門に出品されている是枝裕和監督の『海よりもまだ深く』が5月21日(土)に全国で封切られ、東京・新宿ピカデリーで阿部寛、真木よう子、樹木希林による初日舞台挨拶が行われた。是枝監督と阿部さんらキャスト陣は5月16日(現地時間)にカンヌ入りし、海外プレスの取材を受けるなど、多忙な時間を過ごしつつ18日の公式上映に立ちあった。是枝監督を残して、3人は帰国したばかりで、阿部さんは「たった3日間の滞在だったが、夢のような体験だった」「お客さんと一緒に映画を観るのも貴重な機会ですし、スタンディング・オベーションも本当にうれしかった。一生忘れない光景でした」と初のカンヌ参戦に感激しきりだった。是枝監督の『そして父になる』以来、2度目のカンヌとなった真木さんは、「前回が連日雨でしたが、今回は晴天続きで、歴史ある街並みを歩くことができた」と現地を満喫した様子。「予想をはるかに超える反応をいただき、うれしかったです」と現地のリアクションに手応えを示した。「ばあさんが行くところじゃないですね。もうヨレヨレ」と少々お疲れ気味の樹木さんは、「カンヌはお客さんが厳しいから、普通にブーイングとか起こるでしょ。もしそうなったらと、逃げる用意もしていた」。同行した阿部さんについて、「背が高くてカッコいいから、カンヌの街にぴったり!」とほれぼれしていた。売れない作家の良多(阿部さん)、愛想を尽かし離婚した妻の響子(真木さん)と息子、そして団地で気楽なひとり暮らしを送る良多の母・淑子(樹木さん)。ある日偶然、淑子の部屋に集まった“元家族”は台風が去るのを待つため、一夜をともに過ごすことに…。暖かくもほろ苦い家族の人間模様を描いた本作は、是枝監督が9歳から28歳までを暮らした東京都清瀬市の旭が丘団地で撮影された。『海よりもまだ深く』は全国にて公開中。(text:cinemacafe.net)
2016年05月21日第69回カンヌ国際映画祭『ある視点』部門に出品されている是枝裕和監督の『海よりもまだ深く』の初日舞台あいさつが5月21日に、東京・新宿ピカデリーで行われ、阿部寛、真木よう子、樹木希林が登壇した。舞台あいさつ/その他の写真小説家を目指すも一向に開花しないバツイチ中年男と、そんな息子を深い愛で包み込む母の姿を感動的に描く本作。阿部ら登壇者3名に加えて、是枝監督がカンヌでの公式上映(現地時間18日)に立ちあったばかりだ。初カンヌから帰国した阿部は、「3日間の滞在でしたが、夢のような体験でした。一生忘れない」と感無量の面持ちで、上映後約7分間に及んだというスタンディング・オベーションを「本当にうれしかった。現地でもいい評判をいただいている」と振り返った。真木のカンヌ入りは、是枝監督の『そして父になる』以来2度目となり、「前回は連日の雨で、観光ができなかった。今回、晴天に恵まれて歴史ある街並みを見ることができて、うれしかった」とニッコリ。「予想をはるかに超える反応だった」とこちらも現地での高評価に喜びを示していた。一方、樹木は「ばあさんが行くところじゃない。もうヨレヨレ」と“希林節”で会場を沸かせ、「カンヌは評論家もお客さんも厳しいから、(ブーイングが起こったら)逃げる用意はしていた」。それだけに暖かな反応に安どした様子で、「やっぱり、カンヌでの是枝監督の評価がすごい」と尊敬の念。阿部も「向こうで一番人気があったのが是枝監督。改めてすごいなと思った」とうなずいていた。『海よりもまだ深く』公開中取材・文・写真:内田 涼
2016年05月21日『海街diary』の脚本執筆のさなかの2013年の夏、是枝裕和監督は以前から温めてきた、団地を題材にした脚本の第一稿を書き上げた。執筆の時点で、団地にひとりで暮らす老いた母として、樹木希林をイメージしていたという。2人が初めて作品を共にしたのはお盆に両親の家で顔を揃えた家族の姿を描いた『歩いても 歩いても』(’08)。その後も『奇跡』、『そして父になる』、『海街diary』において、主人公たちの祖母、義母、大叔母という立場で、出演シーンは多くないが絶妙な存在感を見せてきた。『歩いても 歩いても』は、いしだあゆみのヒット曲「ブルー・ライト・ヨコハマ」の一節を用いたタイトルだが、今回の最新作につけられた『海よりもまだ深く』というタイトルもまた昭和歌謡の名曲でテレサ・テンの「別れの予感」の歌詞に由来しており、阿部寛が息子役を演じているという点も同様!作家崩れで探偵として暮らすダメ中年の良多とそんな息子をそれでも愛する母、良多に愛想をつかし彼の元を去った元妻と妻に引き取られた息子の4人が、台風の一夜をひとつ屋根の下で過ごすことになるが…。約8年の歳月の中で是枝監督はどのように変化し、5本もの作品を共にした樹木さんは何を感じたのか――?――脚本の執筆段階で樹木さんをイメージしていたそうですが、ここで描かれる団地に住まう母親には、是枝監督ご自身の亡きお母さまが反映されているのでしょうか?是枝監督:似てる部分はあります。ただ、『歩いても 歩いても』のときもそうだったけど、「僕の母親を演じてほしい」とお願いしたわけじゃなく、あくまでキャラクターとして別人格で作られてます。僕の母のいろんなところ――すごく“世間”であるところや“毒”である部分になっていただいてるのは間違いないですね。――樹木さんは、是枝作品における“母親像”について、どのようにお感じですか?樹木:私も監督の母親として捉えているわけじゃなくて、女の人、母親であれば誰もが持っているであろう、かわいらしさとちょっと意地悪なところ、そういうのを含めて「母親になるとああなるんだろうな」と感じるところはあります。――映画の中では、真木よう子さんが演じた良多の元妻を例に「いまの母親」について少し批判的な部分もありますが…樹木:女の人の生活力が上がるのは素晴らしいことだけど、その分、自由になるので、昔の「食べていけないので我慢する」ということの良い部分まで捨てているんだなとは感じますね。自分の意思通りに進むことで、逆に女の人が持つ忍耐強さが磨かれないままに終わってしまうところもある。それを含め、女性の地位が向上するというのは、良いことであり、一方で損している部分もあるのかもしれませんね。是枝監督:ただ、映画はそれが正しいとか間違っているとかジャッジするわけじゃなくて、そういう育ち方をしてきた老いた母親は、おそらくいまの若い母親たちをそう見ているんだろうという描き方をしています。――監督が最初に本作を構想したのは2001年とかなり早い時期だったそうですが…是枝監督:「団地を撮りたい」と考えたのはそれくらいですね。――『歩いても 歩いても』以降、『奇跡』『そして父になる』『海街diary』とほぼ一貫して“家族”の物語を紡いでいますが、2001年に頭に浮かんだ団地の物語をいまこのタイミングで形にしたのは…是枝監督:この作品のノートを作り始めたのが2009年で『歩いても 歩いても』の公開のすぐ後なの。その段階で(キャストは)阿部さんと樹木さんだったんだけど、実際に、きちんと物語になったのは撮影の1年前くらい。その間に、僕も阿部さんも父親になったというのが、一番大きいと思います。『歩いても 歩いても』は息子から見た親の話で、原田芳雄さんが演じる父が生きてたけど、そこに父親から見た息子という視点を加えたのは、やはり僕が父親になったからでしょう。――『歩いても 歩いても』以降のご自身の各作品の影響、テーマの連続性という部分はありますか?是枝監督:ほかの作品との関連付けは観る側がすることで、自分の中で、別の作品を引き継いだりというのはあまりないんですよね。テーマや関連性は意識してというより、自然に出てくるんですよね。樹木:時代背景とか、あとは誰が映画製作にお金出してくれてってところで作る順番が変わったりもするからね。結果的にこうなったというもんなのよ。是枝監督:そう(笑)。ただ、『海街diary』の脚本と並行してこの作品も書いていたので、向こうは原作があり、僕がそこにどうコミットするかという作業だったし、あっちは背筋を伸ばして生きようとする人たちの物語だから、自分の中のバランス感覚として、こっちは背中を丸めた人たちの話をやりたいというのはあった気がします。樹木:あっちは憧れの美人女優がいっぱいいて背筋が伸びたっていう夢の映画作りで、こっちは(現実の世界に)密着した映画作りなの(笑)。――樹木さんは、作品ごとに監督を見ていて変化は感じますか?樹木:それは感じないけど、ただ、監督にも失敗作ってあるわけですよ。本人は「全部が代表作」とか言うかもしれないけど。是枝監督:言ってませんよ(笑)!樹木:私は「この作品はちょっと…」なんて文句を言うんですけど、ただ、そうは言っても、その都度、人間を見る目というのは成熟してるなと感じますね。上から目線ではなく、(登場人物たちの目線にまで)下がって一緒に生活しているというか。一緒に物を作っているという感覚が魅力的ですよね。――役者に対する接し方に関しては…樹木:それは最初から変わらず平等です。子どもだろうが、何十年やっている役者だろうが、態度が豹変することもない。それは人間として基本的なことだけど、そうじゃない監督、現場って多いから。そういう意味で信用が置けるんです。ただね、時々、私のような何十年もやってるに人間に遠慮がちなことがあるから、もっとズバっと言ってくれていいわね。この顔立ちじゃ、いくらいばっても偉そうになんて見えませんから。もっと大胆にね。是枝監督:なるべく子どもにも、橋爪(功)さんにも、希林さんにも同じように接したいと思ってるけど、それは希林さんがまさにそうですからね。誰にでも同じなんです。樹木:子どもと本気でケンカしてるから!是枝監督:全然、遠慮しないですから。かっこいいんです、それが。それがかっこいい大人なんだって、希林さんを見てると思います。――『歩いても 歩いても』と同じように昭和歌謡が出てきますが、最初の構想の段階から歌ありきで?それとも物語が先だったのでしょうか?是枝監督:歌ですね。樹木:好きなんですって、あの曲(テレサ・テン「別れの予感」)。私は初めて聞いたんだけど、なかなか覚えられなくて(苦笑)是枝監督:どこかのタイミングで、映画の中で一曲かけるってことを決めたんです。そことは全然関係ない、探偵のシーンから書き始めたんだけど、どうやってテレサ・テンにたどり着くのか?自分でも楽しみにしながら書いてました。樹木:へぇ、そんな書き方するのね?――監督の中で、そもそも昭和歌謡が好きというのが大きいんですね。ちなみに一番お好きな曲は?是枝監督:沢田研二かな(笑)?樹木:「壁ぎわに寝がえりうって背中できいている」って是枝監督:そう、やっぱり「勝手にしやがれ」ですかね。子どもの頃に見てかっこいいなって。かっこよかったんですよ、あの頃の沢田研二やショーケン(萩原健一)。子ども心に「色っぽいな」ってわかったんだよね。※余談だが、向田邦子脚本のTVドラマ「寺内貫太郎一家」で樹木さん演じる祖母が沢田研二の大ファンという設定で、壁のポスターに向かって「ジュリー!」と叫ぶ名シーンが!――ではあの当時のTVドラマなども?是枝監督:「前略おふくろ様」、「傷だらけの天使」(どちらも萩原健一主演)で育ってるからね。原点だね。――本作の中には、何気なく発せられるセリフに深い含蓄があります。子どもが口にする「フォアボールを狙ってる」や「パパはなりたいものになれた?」といった言葉にドキッとさせられたりします。脚本段階で樹木さんにあて書きしたということですが、樹木さんに「これを言ってほしい」という思いで書いたセリフなどはありますか?是枝監督:セリフありきではなく、書いていくうちに出てくるんですよね。だから最初から「このセリフを言ってほしい」というのはなかったかな…?ただ「みんながなりたかった大人になれるわけじゃない」というのは、阿部さんがどこかで言うと決めてました。でも、ジーンと来るような感じで言いたくないので、笑っちゃうようなシチュエーションでと決めてました。――あえて、あのひどいシチュエーションで…(笑)?樹木:それはね、そういうもんなの。いいセリフほどそうなのよ!是枝監督:あのセリフは、よくない状況で言わないと。樹木:「さあ、いいセリフを言うぞ!」ってわかってて言うのは…高倉健にしかできないわよ!是枝監督:あの状況はひどいでしょ?ひどいからいいんだよね。阿部さんが言った後、隣にいる池松(壮亮)が吹いちゃう(笑)。「お前がそれ言うか?」って感じで。あのシーン以外でも、希林さんが良いセリフを言った後で「私、いまいいこと言ったでしょ?」と言う。そこは崩さないと、本当にいいこと言ったと思っちゃうから。自分でいいことを言った後に崩すのが、あのお母さんの品なんだよね。樹木:品なのよ、そこは。余談だけど「寺内貫太郎一家」で(自身が演じた)ばあさんが、食べてる最中にグシュっとやったり、汚いことするの。でもそれをその中にいる人間が「きたねーな、ばあちゃん!」って言う。そう言わせないと、作品自体が下品になっちゃうのよ。中の人間に言わせて解決する。それが日常生活のシーンの鉄則なの。是枝監督:面白いですね。――逆に、監督ご自身が書いたセリフなのに、樹木さんが現場で発することで、イメージを超えたものになったシーンなどはありますか?樹木:それはないわよ。やっぱり台本の段階でしっかりと…是枝監督:ありますよ(笑)!孫が「宝くじが当たったら、またみんなで一緒に暮らしたい」と言うところ。書くときはサラッと書いたけど、お芝居でそのひと言が出てきたら、自分で書いたセリフなのに、ウッときたんだよね。樹木:へぇ…。是枝監督:それは、希林さんもそうなのか…あの映画の中のおばあちゃんもウッときてるんだよね。「こんな風にセリフが立つのか!」と思いました。孫はどこかでそれを信じたくて、でもおばあちゃんはそんなこと起きないってわかってる。でも、そのズレを孫に気づかせちゃいけないと思ってて、そうやって互いに間接的に思いやっている様子がすごくよかった。樹木:あれは孫のいる女優じゃなきゃできなかったかもしれないわね…。是枝監督:ああいうこと、あるんでしょうね。そんなに深く考えていない孫のひと言にグッときちゃうことが。――阿部さんが演じた良多は、これまでの是枝監督の作品の中でも、類を見ないほどのダメ男として突出しているように思います。監督の中でいつも以上に踏み込んだという意識は?是枝監督:ギリギリまで攻めてみようかと。樹木:ただ、私は「あそこまで」と特別なものとは感じなかったわね。もっとすごい人を周りでいっぱい見てきたし…。是枝監督:いろんなことを時代のせいにして、背中を丸めながら生きてる男。――ただ、そこまで特別な悪い男という思いは…是枝監督:なかったかな…。ひとつひとつの行動を撮りだすと、息子としても、父親としても、夫としても弟としてもダメなんだけど…。――子どもへのプレゼントを無理やり値切ろうとしたり…結構、サイテーですが…(苦笑)是枝監督:でもね、そこまではやるよ、きっと(笑)。樹木:誰でもそういうところ、持ってますよ。是枝監督:高校生から金をゆすろうとするのが、行為としては一番最低かもしれないけど…。無理やり値切ろうとするというのは、人間の“小ささ”としてはあるかな。樹木:ありますよ。――「悪さ」ではなく「小ささ」?是枝監督:そう、人間の小ささ!樹木:自分を見つめていけば、ある種の状況に置かれたら出てくるものですよ、みんな。是枝監督:でもね、そこは確かに難しいところでもあった。自分ならどこまで可能か?「あるな、これくらいは」と思えるのはどこまでか?すごく微妙なところで、女の人が見てどこまで許せて、どこから「ナシ」なのか?いや、そもそも「ナシ」なのはいけないのか?――せめぎあいが…是枝監督:阿部さんもそこは苦労してやってました。真木さんに触れるシーンで、最初脚本には「足首に触る」ってあったんです。阿部さんは「足首かぁ…」ってずっと言ってて「おれの体の大きさで、小柄な真木さんの足首に触るってどう見えるのかな?」って。考えた末に、ひざのあたりにスッと行ったんです。それが笑えるんだけど、足首だったらまた芝居が違ってたかもしれない。そこはすごく考えて、自分の役のキャラクター、大きさ、おかしみとか…ギリギリまで攻めたり、やめたりして面白かったです。――最後に「団地」について監督なりの想いを聞かせてください。是枝監督:どちらの想いもあるんですよね。「なりたいものになれなかった」哀感もあるし、でも、そこで20年を暮らして、団地は原風景でもあるから、無機質なものでは決してない。いろんな情感、表情、陰影があって、それをきちんと愛をもって撮りたかったんです。樹木:最初はね、団地に当選するってすごくラッキーだったわけですよ、当時。NHKのニュースになるくらい。団地に住むのが憧れの的だった時期もあったんですから。是枝監督:良い悪いってジャッジじゃないんですよね。小3の9月に引っ越してきて、台風が来て、家族で喜んだの(笑)。「今年はどんな大きいのが来ても、鉄筋コンクリートだから大丈夫だ」って。翌朝、台風が去って、外に出た時、すごくキレイだったんだよね。そういう読後感のある映画にしたかったんです。あそこであの母親は死んでいくんだろうし、息子があそこに戻ってくることはないだろうけど、それでも台風がやってきて、翌朝の芝生がキレイで…そういう映画がいいなって。(photo / text:Naoki Kurozu)
2016年05月20日『そして父になる』『海街diary』の是枝裕和監督が描き出す最新映画『海よりもまだ深く』。本作は監督が9歳から28歳まで暮らした東京都清瀬市の旭が丘団地で約1か月半に渡って撮影が行われた。主演の阿部寛は撮影前、監督から演技についてではなく、団地での思い出話を聞いていたそうだ。「撮影中も監督の地元というだけあって、撮影ができるのかなと心配になるくらい歓迎されていましたよ」と話す。『海よりもまだ深く』/その他の画像是枝監督4作目となる阿部は、叶わぬ夢ばかりを追い続ける情けない中年男、良多を演じる。良多の特徴はこうだ。小説家でありながら、小説を書く気配はない。その癖、執筆のためのリサーチだといって興信所に務める。妻・響子(真木よう子)に愛想をつかされ離婚させられるも、未練たらたらで、張り込みをするほど。息子(吉澤太陽)へプレゼントをするためにギャンブルへ行けば、あっさり全額負けてしまう。あげくの果てに、お金目当てに団地に暮らす母・淑子(樹木希林)に寄り付いたはずが、淑子にお小遣いを渡して帰ってくる始末。一筋縄のダメ男ではない、彼のちぐはぐな行動は、見ていて憎めない。それどころか愛嬌すら感じてしまう。そんな良多のちぐはぐさを、阿部は「人間味として捉えて演じた」という。「良多にとって、息子の真悟は、愛おしくて仕方がない存在。彼がいるから、響子と繋がっているという希望もあって、良多は懸命に父親になろうとする。子どもといるときには無駄にいろんなことを話している姿が温かくて、『可愛いな、この男』って思いました、すごく泣けました。でも、まさか是枝さんの作品の中で親のお金を盗もうとする男を演じるとは思いませんでしたけど(笑)」。一方で真木は、それを女性目線で語ってくれた。「良多のことは嫌いになって別れたわけではなくて、良多が家庭に向かなかっただけなんですよね。響子にとって息子の真悟は、当たり前にすごく大切だと思います。けれど、それだけでなくて、これから先一緒に生活をしていかなければいけない、という母親としての覚悟は強くあると思うし、そのために将来を選択するという行動は女性らしいなと思います」。また、良多と響子のかすがいである真悟(吉澤)の純朴な表情も映画の要だ。「子役に台本を渡さずに現場で指示をする」という是枝監督の演出方法は、今作でも用いられた。「監督の作品は、やっぱり子どもの表情が魅力。私自身も笑ったり泣いたり、深く共感できました。いろんな想いが詰まっている素晴らしい作品に自分が出演していることがすごく光栄です」(真木)「彼(吉澤)からしたら、すごい役者の大人たちが出ているんだけど、負けていない。それどころか、映像を見たら、真悟の心が大人たちを見守っているかのようでした」(阿部)“なりたかった大人”になれなかった大人たちの、深く温かい物語がいよいよ公開となる。『海よりもまだ深く』5月21日(土)新宿ピカデリー、丸の内ピカデリーほか全国ロードショー取材・文・写真:小杉由布子
2016年05月19日