「先月出会った女性の方に、改めてお礼とご報告をお伝えしたいのです」そんな言葉が添えられた、ある母親の投稿が注目を集め、日本人だけでなく海外の人たちまで、投稿の拡散に協力しています。母親が出会ったのは、親切な1人の女性でした。女性から渡された800円2022年4月19日の、13時30分頃のこと。南池袋2丁目にある生花店まで、chiho(@chohanach)さん親子は花を買いに来ていました。しかし、生花店は移転をしていたため、chihoさん親子は困ってしまいます。移転先を探そうとしていると、ショートカットの髪型の女性が声をかけてくれました。道案内をしてもらう話の流れで、chihoさんは女性に、東池袋自動車事故慰霊碑への献花を買いに来たことを話します。2019年4月19日に、豊島区東池袋の交差点で起こった『東池袋自動車事故(池袋暴走事故)』。母親と娘の2名が亡くなったほか、10人が重軽傷を負った日からちょうど3年となる日に、chihoさんは思い立って献花に来たのでした。話を聞いた女性は、財布を取り出すと…。「私は仕事に戻らなきゃいけないから一緒に行けないけど…。お金を渡すから私の分の気持ちも一緒に持っていってほしい…!」そういって見ず知らずのchihoさんに、献花代として800円を預けたのです!「私の迂闊(うかつ)な発言で、お金を出させてしまったかもしれない」と思いながらも、一緒に献花に行けない女性の気持ちを受け取った、chihoさん。たどり着いた生花店で、こんな素敵な花束を作ることができたそうです。メインとなる2輪で、被害者となった親子を表現。青いカーネーションには『永遠の幸福』、赤いカーネーションには『母への愛』など、花の意味にもこだわりながら選んだ生花です。託された気持ちとともに、chihoさん親子は慰霊碑に献花できたのでした。そして、「素敵な花束ができたので、お力添えくださったお姉さんにも見てほしい」との思いから、chihoさんは一連の出来事をTwitterに投稿。女性まで感謝の気持ちが届くことを願いました。重ね重ねになりますが…きちんと献花に行ったという報告と、託してくれたお金はこんな花束になりましたという報告でした♀️どうかお姉さんまで届きますように— chiho®︎ (@chohanach) May 20, 2022 また、chihoさんは自身が影響を受けた映画として『ペイ・フォワード可能の王国』を挙げながら、誰かから受けた恩をほかの人に渡して、優しさの連鎖が広がっていく大切さについても語っています。女性の優しさは、chihoさんはもちろん、多くの人の心を動かしました。・気持ちを共感し合った2人。お花がつないだ素敵なご縁ですね。・心が温かく、清らかなお姉さまですね。きっと感謝の気持ちはご本人まで届くと思います!・なんて親切な方でしょう。慰霊碑への献花、ありがとうございます。・人の優しさに、目から涙が…。女性が名乗り出るかは分かりません。ですが、きっとchihoさんの想いは女性まで届くことでしょう。grapeがchihoさんにお話をうかがうと、親子で献花に行った背景についても聞くことができました。献花の前には娘さんが事故に遭いそうに子供を案じる母親の想い東池袋自動車事故が起こった当時、chihoさんは妊娠後期。自分の住む地域で起こった大きなニュースに、元々強い思い入れがあったといいます。chihoさんは、事故から約2か月後に娘さんを出産し、新生児を抱えながら、初公判を連日テレビで見ていました。しかし、育児で忙しい毎日を過ごしていたこともあり、テレビから知ることができたのは、事故の概要やテレビで報道されている一部の情報だけ。事故が起こった日付も覚えてはおらず、被害者家族の心情なども把握できているわけではありませんでした。命日前日に感じた運命事故の被害にあった親子の、命日前日である2022年4月18日のこと。chihoさんは、午後は書類整理しようと決めて、昼食をとっていました。ふと、頭の中に東池袋自動車事故のことが浮かび、気になったchihoさんはネットで検索し始めます。東池袋自動車事故について、記事を読みはじめてからすぐに号泣してしまったものの、それでもやめられませんでした。そうしてるうちに、ふと気付いたのです。「あ…明日でちょうど3年だ…!」※写真はイメージ普段まったく思い浮かばないにも関わらず、命日前日に、突然頭に浮かんで情報を読みふけった不思議。もしかしたら、事故から3年というタイミングで、テレビなどで報道されていたのを無意識に聞いたり見たりしていたのかもしれません。それでも運命を感じたchihoさんは、「これはなんとしてでも献花に行かねば」と強く思います。実は2日前に、chihoさんの娘さんは事故に遭いそうになっていたのです。大変ショックな出来事で、その場では娘さんに危険について教え込み、chihoさんも反省しきりだったものの、翌日には忘れていました。ですが、潜在意識に強く刻まれていた様子。だからこそ、東池袋自動車事故について調べたくなったのでしょう。命の危機にヒヤリ2歳の娘さんが車にひかれそうになったのは、目の前がすぐ道路という店から帰ろうとした時。chihoさんが会計を済ませ、身支度をしている最中、娘さんが我先にと店から飛び出してしまったのです。※写真はイメージ追いかけようとしていたところ、娘さんに接近する車が、chihoさんの視界に入りました。娘さんは、すでに手の届かないところに。「危ない!止まって!」と、とっさに叫ぶと、娘さんはキョトンとした表情で振り返ります。その10cmほどのスレスレの位置を、車が徐行しながら通り過ぎました。chihoさんが声を掛けるタイミングか、娘さんが足を止めるタイミングが、あと1秒でも遅かったら、危なかったかもしれません。この時を振り返って、chihoさんは次のように述べています。こんなに心臓が飛び出る思いをしたのは初めてで、強くショックを受けた出来事でした。それと、娘本人は振り返ってこちらを見たため、10cmほど隣を車が通り抜けたことにすら気付いておらず、後から諭しても危機感を持っていないのがヒヤヒヤしました。そんなこともあり、娘さんも献花に連れていこうと決めたchihoさん。事故で犠牲になった女の子は3歳と、娘さんと年齢が近く、身長も同じくらいです。そのため、被害者により深く感情移入していたといいます。交通事故は、身近で起こる可能性があるもの。子育て中の親は特に、東池袋自動車事故に思うところがあるでしょう。その想いに共感して献花代を預けた、女性の気持ちも分かりますね。交通事故で失われる命が少しでも減ることを、多くの人が祈っています。投稿全文はこちらご本人様まで届いてほしいもう1ヶ月も前の話です。先月出会った女性の方に、改めてお礼とご報告をお伝えしたいのです。4月19日 13時30分頃、南池袋2丁目にて目当てのお花屋さんが移転していて移転先を探そうとしてる矢先、声をかけてくださり道案内してくださったショートカットのお姉様。— chiho®︎ (@chohanach) May 20, 2022 話の流れで池袋暴走事故から3年なので慰霊碑に献花に行くことを話すと、「私の分もお願いしたい」とお財布を開けてくれ、千円札がなくて「万札しかない〜」と慌ててらっしゃったので、「百円でもいいですよ」と返すと、百円玉をかき集めてくださり、見ず知らずの私に800円も預けてくれました。 pic.twitter.com/pPZ0oostOd — chiho®︎ (@chohanach) May 20, 2022 「私は仕事に戻らなきゃいけないから一緒に行けないけど…お金渡すから私の分の気持ちも一緒に持っていってほしい…!」と残念そうにしていたお姉さんの気持ち、そして託された思いはしっかり運んできましたあの時間、あの場所を通ってよかった。素敵なお姉さんに出会えてよかった。— chiho®︎ (@chohanach) May 20, 2022 あのお花屋さんを選んでよかった。お姉さんがお力添えくださったおかげで花の意味にもこだわり、こんなに素敵な花束を作ることができましたお姉さんが託してくださった気持ちは、しっかりと献花してきました。というご報告と… pic.twitter.com/dgywHCpgGI — chiho®︎ (@chohanach) May 20, 2022 素敵な花束ができたのでお力添えくださったお姉さんにも見てほしいな…という気持ちでツイートしてますご報告が遅くなりました♀️実は1ヶ月前にもツイートしたのですが、FF0の状態ではどこにも届かず、1ヶ月越しでようやくのツイートです(これを伝えたくてこのアカウントを作りました)— chiho®︎ (@chohanach) May 20, 2022 こんな子に見覚えはありませんか?ツインテールの娘を連れた黄色いトップスの者です♀️どうしても感謝を伝えたくて…あのときは本当にありがとうございます!素敵な人に出会えると素敵な日だな…と思えるし、僅かな時間だったけれど、お姉さんの優しさに触れ、共に目を潤ませた時間は忘れません pic.twitter.com/PyPpHWGgN3 — chiho®︎ (@chohanach) May 20, 2022 重ね重ねになりますが…きちんと献花に行ったという報告と、託してくれたお金はこんな花束になりましたという報告でした♀️どうかお姉さんまで届きますように— chiho®︎ (@chohanach) May 20, 2022 ちょうど24時間たったので…24時間でこんなに伸びました✨ご助力いただいた皆さん、本当にありがとうございます♀️✨ペイフォワード…『恩を返す』のではなく『恩を渡す』もちろん、返せる恩なら返していきたいし、恩返しは素敵なことだと思います✨ pic.twitter.com/qpT6683jIR — chiho®︎ (@chohanach) May 21, 2022 ですがたとえば電車で席を譲っていただいたら…その場でお礼は言えても席を譲り返すわけにもいきませんよね。なので別の誰かが困っていたとき、自分が席を譲る側になる…それが恩を渡す行為であり、譲ってくれた方への感謝を忘れない行為なのでは…と思います。— chiho®︎ (@chohanach) May 21, 2022 日本人は同調主義というか…声を掛けるのが恥ずかしかったり「誰かが譲るだろう」と率先として席を譲れない一面もありますよね。(そして譲られる側も謙虚に断ってしまうことも多いですよね)そんな状況を目にしたとき自分が譲れば満足できるし、見かけた人が次に譲れる側になれるかもしれません。 pic.twitter.com/h8ZcCeRYDC — chiho®︎ (@chohanach) May 21, 2022 [文・構成/grape編集部]
2022年05月24日エビリファイってどんな薬?「エビリファイ(一般名:アリピプラゾール)」(以下エビリファイ)は、統合失調症、双極性障害における躁状態の改善、うつ病・うつ状態に効果が期待できる飲み薬です。2016年に「小児期の自閉スペクトラム症(ASD)における易刺激性」もエビリファイの適応症となることが承認されました。易刺激性とは、ささいなことをきっかけに不機嫌になったり、怒ったり、大泣きしたりしてしまう状態のこと。ASDがある子どもは、急に癇癪を起こしたり、攻撃的になったり、あるいは自傷行動をしたりといった症状が見られることがあります。こうした症状は本人も保護者にもコントロールが難しく、日常生活にも支障をきたしてしまうこともあります。エビリファイは、こうした易刺激性をやわらげてくれる抗精神病薬です。エビリファイには、脳内でドパミンホルモン(※)が過剰に放出されているときは、ドパミンをおさえる働きをし、反対にドパミンが少量しか分泌されていないときは刺激する方向に働きます。この働きによってドパミン神経を安定化させ、気持ちを穏やかにしてくれる効果があるのです。(※)ドパミン:神経伝達物質の一つで、快く感じる原因となる脳内報酬系の活性化において中心的な役割を果たしている。参考:ドパミン|e-ヘルスネット 厚生労働省エビリファイは何歳から使える? 用量はどれくらい?小児期のASDに対してエビリファイを用いる場合、対象となる年齢は原則として6歳以上18歳未満とされています。エビリファイは錠剤のお薬ですが、錠剤を飲み込むのが苦手なお子さんには小袋に入った液剤もあります。飲む回数は1日1回。投薬開始時は、1日1mgから始めます。薬を増量する場合は、1日あたりの増量幅は最大3mgまでにとどめます。また、1日あたりの最大量は15mgを超えないようにすることが推奨されています。医師の指示に従い、用法用量を守って正しく服用することが大切です。すぐに効果が出ない場合も、自己判断で中止したり、勝手に薬を増量したりすることにないように、気をつけましょう。副作用の心配や、服用するときに気をつけることは?エビリファイは副作用が少なく、子どもにも安心して使える薬として活用されています。ただ、副作用がまったくない薬というのは存在しません。エビリファイを使用すると、次のような副作用が出ることがあります。日中の眠気体重増加、食欲増加のどの渇き起立性低血圧めまい高血糖注意力や反射運動能力の低下また、別の薬といっしょに飲むと、作用が強くなりすぎたり、お互いの作用が弱まってしまったりすることがあります。ほかに服用している薬がある場合は、必ず医師に伝えましょう。リスパダールとエビリファイの違いは?エビリファイと並んでよく使われる薬に「リスパダール」があります。リスパダールも、エビリファイ同様、ASDが原因による癇癪、衝動性を穏やかにするための治療薬です。2つの薬には、どんな違いがあるのでしょうか。まず、エビリファイとリスパダールでは、働きかける脳内の伝達物質が異なります。エビリファイがドパミンに作用するのに対して、リスパダールはドパミンとセロトニンの両方に働きかけることで、不安や緊張、精神の不安定な状態を抑えます。リスパダールは、原則として5歳から使うことができ、子どもの体重に合わせて用法用量が定められています。エビリファイとリスパダールには錠剤、液剤のほか、注射薬もあります。ただ、注射は統合失調症および双極Ⅰ型障害の方専用で、ASDのある子どもへの適応は今のところ認められていません。エビリファイとリスパダール、どちらの薬剤を使用するかは医師の判断によります。リスパダールの副作用が強かったり、薬が合わなかったりするときに、エビリファイを処方されることもあります。また、リスパダールには、リスペリドンという名前のジェネリック医薬品(後発医薬品)があり、5歳から17歳までのASDのある子どもへの易刺激性に対して投与が認められています。エビリファイにもジェネリックはありますが、まだ小児期のASDがある子どもへの投与は認められていません。医師と相談しながら適切な治療を癇癪やイライラ、気分の落ち込みは、ASDがある本人にとっても、また子どもを見守る保護者にとってもつらいものです。小児期は、薬物療法よりもまず行動療法に取り組んでいくのが一般的ですが、それは決して小児期には薬物療法ができない、という意味ではありません。子どものASDにも使える薬の正しい知識を得ることは、困りごとを解決するための選択肢の幅が広がるステップにもなります。医師と相談しながら、必要な場合には薬を上手に活用していくことも一つの手。心穏やかに、笑顔で過ごせる時間が増えるよう、専門家のアドバイスを受けながら工夫していきましょう。参考文献:お薬を正しくご使用いただくために エビリファイ |大塚製薬株式会社 HPより抗精神病薬 「エビリファイ」 小児期の自閉スペクトラム症に伴う易刺激性の適応追加承認|大塚製薬株式会社 HPより
2022年05月20日お友達と一緒に公園へ長女が5歳、長男が2歳のときのお話です。長女は癇癪持ちで、スイッチがはいると1~2時間ほど大声で泣き続けることがしばしばありました。特に室内にいると癇癪がおこることが多いので、なるべく開放的な公園などに遊びに行くことを心がけていました。その日は平日でしたが幼稚園はお休み。ママ友とそのお子さん2人(Aくん5歳、妹3歳)と一緒に公園に遊びに来ていました。公園には小川と池があり、小さな生き物などもいて自然がいっぱいなので子どもたちが大好きな公園で、月に何度も行っていました。5歳の2人は木の側をお家に見立てて遊んでいました。2歳の長男は、長女たちを見守る私の近くでドングリ拾い、ママ友は少し離れた小川で3歳の妹と水遊びをしていました。Upload By 発達ナビ編集部長女がお友達との言い合いから、癇癪モードに突入それぞれ楽しく遊んでいたと思っていたら…「ちがう!!そうじゃない!!」と長女が大きな声で言いました。Aくんと遊んでいる中で意見が合わず、何度話しても折り合いがつかないため、とうとう長女が大きな声を出してしまったのです。ある程度は子どもたちのやり取りを見守りたいと思っていたのですが、次の瞬間、長女がAくんを押そうとしていました。咄嗟に私は長女を止めるために駆け寄りました。長女の手を止め、私はお互いの話を聞いてみようと思いました。ところが、私が介入したことで、長女はヒートアップ!癇癪モードに突入してしまいました。初めはAくんと意見が合わないことで、怒り始めた長女だったのですが、私が介入してしまったことで「お母さんが、嫌」という思考に変換されてしまいました。私が何を言っても「お母さんは言わないで!」「お母さんあっちに行って!」、離れようとすると「行かないで!」「話を聞いて!」…とパニック状態に突入。Aくんもどうしよう…、と困り顔。そのやり取りはしばらく続いていました。長男は、なぜか気にせず、その間夢中でドングリ拾いをしていました。ママ友に助けを求めようと思ったのですが、少し離れた小川にいて声は届きません。そして長女がパニック中なので移動することも難しく、周りの人からの視線もつらく…。イライラするやら、悲しいやら、でも、怒っちゃいけない…と思いながら、冷静を装っていましたが、私もパニックになりそうでした。長男が消えた!そのとき…、私は2歳の長男が側にいないことに気づきました。長女と会話を始めたときには近くでドングリ拾いをしていたのですが、長女と私がヒートアップしていく間にどこかへ行ってしまったのです。Upload By 発達ナビ編集部公園には小川と池があり、すぐそこに車道もあります。「待って、○○(長男)がいない!」と私が言うと、怒っていた娘もハッとして癇癪が収まりました。長男は今まで、私の側を離れていくことはありませんでした。それで安心しきっていたのが私の間違いだったのです。Aくんも状況を分かってくれて、長女とAくんと私で、長男の名前を叫びながら探しました。Upload By 発達ナビ編集部なんで手を握っていなかったんだろう…なんで目を離してしまっていたんだろう…後悔と焦りの中、公園の中を探し、小川のほうに行くと…小川で遊んでいたママ友と、Aくんの妹と一緒にいる長男を発見しました。「○○(長男)くんが、お池のほうに行こうとしていたから、お母さんと一緒にみんなで行こうね、って話してたところだよ」と言うママ友。「よかった~(涙)」と泣く私を見て、慌てるママ友にさっきまでのことを話しました。長女もAくんも「よかった~」と言い、長男はポカンとしていました。Upload By 発達ナビ編集部きょうだいでも個性はそれぞれ長女が2歳ごろのときは私と離れることを怖がっていて、特定のお友達ができてもある程度大きくなるまで私から離れて遊ぶことができませんでした。長男もまた公園に行っても私から離れることはなかったので、長女と同じように「自分から私の側を離れることはないだろう」と思っていました。しかし、この出来事をきっかけに、長男は興味を持ったら「お母さんと離れる」ということを気にせずに衝動的に動いてしまうところがあることに気がつきました。それまで、長男は公園に行っても私の側から離れることはなく、いつも私の側でドングリを拾っていました。それは、長男にとって「母の側」ということが重要だったのではなく、「ドングリ拾い」が楽しかっただけだったようです。そして「ドングリ拾い」に満足した長男はその日、「あっちに池がある」ということに気づき、衝動的に池に向かっていったのだと思います。心から反省する出来事で、思い出すと今でも背筋が凍ります。長男を保護してくれたママ友に今でも感謝しています。長女の癇癪ばかりに目を向けていたことにも反省しました。長男はこのころからどんどん活動的になり、衝動性、多動性が目立っていきました。同じように生活しているきょうだいであっても、子どもは一人ひとり個性が違うことを実感しました。また子どもの傾向を決めつけず、注意深く見ること、そして何より屋外で絶対に目を離してはいけないと胸に刻みました。エピソード参考/カワカワイラスト/taeko(監修:三木先生より)お子さん二人を一人で見るのはとても大変ですよね。特に片方に手がかかっているときは、もう一方のことはうっかり見落としてしまいがちです。そのことに気づいて、でもしばらくすると忘れて、また思い出して、の繰り返しなのかもしれません。こういうきっかけでそのことに気づけたのは、とても良いことでしたね。あなたのエピソードもコラムになるかも?体験談募集中!保護者の方が日々子育てをする中で「こんなトラブルがあった」「こんなハプニングがあった」など悩みはつきないと思います。そんな発達ナビユーザーのみなさんの「困った」エピソードを募集しています。テーマは「ゲーム」「不器用」「ママ友・保護者」「祖父母や親戚関係」「ご近所トラブル」などに加え、今回より「自傷」「学習」「不登校」のお悩みも追加募集!癇癪を起こして自分の頭を叩く、地団太を踏むなどの自傷行為…読み書きや計算の困りはもちろん、授業を落ち着いて受けられないなどの学習の悩み…行き渋りや不登校などの悩み…いろいろなお悩みエピソード、お待ちしております。お寄せいただいたエピソードの中から数作品、発達ナビの連載ライターさんにコラムとしてコミックマンガエッセイ化していただき、発達ナビで公開致します!あるあるのエピソードからヒヤリとしたエピソード、SNSなどではなかなか言えないような家族やママ友とのトラブルまで。いろいろな「困った」エピソードをぜひ教えてください。
2022年05月16日パニック障害と産後うつで心療内科に通い始めて2年半。夫や子どもにイライラしてしまうことを医師に話したところ、薬の量を増やしましょうと提案されました。医師からはカウンセリングを受けることをすすめられると同時に、精神を安定させるためにはセロトニンを増やすと良いとのアドバイスをもらいました。そこで、セロトニンを増やすために、自分でできることを調べました。夫と子どもにイライラしてしまう…薬が増えるのは悪いことではない2年半ほど前に、心療内科でパニック障害と産後うつであると診断されました。それからずっと、私の体調の変化に合わせて薬の種類と量を調節しながら通院を続けています。薬を飲まない生活に戻ることを目的に治療してきたつもりでしたが、医師に夫や子どもにイライラしてしまうことを話すと薬の量を増やすことを提案され、ショックを受けました。ですが薬を飲んで2日くらいたつと、イライラする心が落ち着き、安定してきました。ただ、私はそれを手放しでは喜べず、「薬の効果だと思うと少し怖いような気もする」と心療内科の医師に伝えたところ……。「薬を飲めば落ち着くことがわかったというのが、今は良いことだと思いますよ」と言われてハッとしました。今まで私はそんなふうに考えたことがありませんでした。薬を減らすこと、飲まない状態になることが治療のゴールだと思っていたからです。医師の言葉で、自分自身が穏やかに毎日を過ごせることが一番良いことなのではないかと気付くことができました。カウンセリングの効果を期待できるように医師に「本来のあなたは穏やかな性格だと思いますよ」と言われ、そうだ本来の私は穏やかなほうだったと思い出しました。そこから夫や子どもにイライラしてしまうことに対してカウンセリングをすすめられました。カウンセリングは過去に受けたことがあるのですが、そのときはあまり効果がなく途中で通うのをやめました。でも、今回私自身の治療に対する考えも変わったので効果があるのではないかと期待しています。以前は、薬を飲まない生活に戻りたい、カウンセリングで何が良くなるのかわからないという状態でした。しかし今は、薬を飲みながら心を安定させて、カウンセリングではイライラしてしまう家族のことを話せば良いのかなと考えています。カウンセリングをすすめられるほど悪い状態なのかとショックでしたが、今では良くなるための方法の1つだと捉えています。精神を安定させるにはセロトニンが必要医師いわく、セロトニンを増やすと心が穏やかになるとのこと。ネットでも検索してみると、セロトニンは「幸せホルモン」と呼ばれ、精神が安定する脳内物質ということでした。増やす方法を調べたなかで、私が実践できそうなことは、バランスの良い食生活をする、日光を浴びて15分ほど散歩するという2つでした。簡単なことですが、私には意識しないとおろそかになる部分です。精神を安定させるためには、健康な体が必要なのだと思いました。薬と同じようにできそうなことから無理のない範囲で実践していき、自分に合う手段を見つけていこうと思います。まとめ以前は、パニック障害、産後うつの薬での治療を早く終わらせたいと考えていました。しかし、最近、薬の量を増やしてイライラが落ち着いたことで、穏やかに毎日を過ごすために時には薬を飲んで精神を安定させることも必要なのだとわかりました。以前は途中でやめてしまったカウンセリングも今は通うのを楽しみにしています。また、医師からセロトニンを増やすと良いとのアドバイスをもらったことは、薬以外に自分ができることは何かを考えるきっかけになりました。病院に通って2年半たちますが、治療のこと、薬のことを前向きに捉えられるようになってきてよかったです。※記事の内容は公開当時の情報であり、現在と異なる場合があります。記事の内容は個人の感想です。※本記事の内容は、必ずしもすべての状況にあてはまるとは限りません。必要に応じて医師や専門家に相談するなど、ご自身の責任と判断によって適切なご対応をお願いいたします。監修/駒形依子先生(こまがた医院院長)東京女子医科大学医学部卒業。米沢市立病院入職後、再び東京女子医科大学に戻り、専門医を取得。同大学産婦人科に入局し産婦人科医として働きつつ、性科学を学び、また東京女子医科大学東洋医学研究所で東洋医学を学ぶ。2019年1月に地元山形県米沢市にて、こまがた医院を開業。マンガ/山口がたこ著者/れいこ (43歳)電化製品好きな夫、保育園児の子ども2人、猫と暮らしている。コーヒーと美容家電が好き。
2022年05月06日切り替えで大癇癪勉強会で知ったのは…Upload By ゆきみ言葉が遅く、1歳半健診で指摘を受けた長男けんとは、市の発達支援の親子教室に通っていました。「毎日体を動かしましょう」とアドバイスをいただいていたのですが、散歩を嫌い、公園へ行っても座り込んで砂をサワサワ触るだけ。どうにか少しでも歩いてほしいと、大好きなエレベーターと駐車場があるショッピングセンターによく行きました。しかし3歳のころ、大好きなエレベーターに乗りまくったあと、お気に入りの場所である、地下1階にある駐車場の事前精算機の前で動かなくなってしまったのです。帰るために離れようとすると大癇癪!!床をゴロゴロ転がって抵抗し、隙をみてママから逃走してお気に入りの場所へ…。そのころはまだ弟が赤ちゃんだったので、暴れるけんとと2人を抱っこして車に連れていくのが本当に大変で、気がめいってしまいそうでした。そんなときに、親子教室や発達支援施設でおこなわれた勉強会に参加し「視覚支援」というのがあることを知ります。ネットや本でも調べてみて、軽い気持ちでやってみることにしました。視覚優位!?視覚支援がピッタリはまったUpload By ゆきみショッピングセンターに到着。「1 エレベーター」「2 ちゅうしゃけん」「3 くるま」「4 おかし」など、言葉と簡単なイラストも添えて紙を見せてみました。指をさしながら「次は駐車場だね」「次は車だね」と案内していくと、泣くこともせずに自らの足で次の場所まで歩きだしたのです!たった1枚の紙でこんなに違うの?と本当にビックリ!それからというものの「まだ帰りたくない」と癇癪をおこしてしまうような場所へいくときは紙を持っていき、順番を書いて見せることに。その後、4歳ごろに通っていた発達支援施設の臨床心理士の先生に「けんとくんは視覚優位なタイプだと思います」と言われました。文字が読めなかったり、説明するのが難しい場所へ行ったりする場合、予めインスタントカメラやスマートフォンなどで撮影をして、写真を見せるのも有効的かもしれないとアドバイスをいただきました。発達支援施設の先生の案で新たな発見Upload By ゆきみ「いつもと違う行動」というのが苦手なけんと。忘れ物に気がつき、家に引き返そうとしたときや、帰宅途中にコンビニへ寄ろうとしたときに大癇癪をおこしてしまうことがありました。「お店に寄ってから家に帰るよ」と口でいくら言っても泣き止まないのに、紙に「おみせ→いえ」と書いて見せるだけでピタリと泣き止むことも。年長で通っていた発達支援施設では「おわりの会」のときに数人が「今日の感想」を発表するというのがありました。けんとは、これが大好きで毎回発表をしたがったそうです。ですが当番制!毎回は無理です。どうしても発表したいけんとは大号泣。それが何回か続きました。そこで先生が提案してくださったのが、カレンダーを印刷し、けんとの当番の日に丸をつけてくださるというもの。施設に行く前にカレンダーを見ながら「今日は発表だね」と確認してから行くと、泣くことはなくなりました。年齢と共に少し変化!?6歳の現在は…Upload By ゆきみ6歳になった現在は「忘れ物を取りに帰る」「寄り道して帰る」というのがどういう状態なのかというのを理解したようで、文字にせず、口での説明だけでも大丈夫なことが増えてきました。それでも視覚を使わないと理解が難しいことも多く、試行錯誤の毎日です。これは最近分かったのですが、うちの子の場合「なるべく前もって見通しを伝えておく」「予定変更になりそうな予定も含めて伝えておく」というのも大事なポイントのようでした。今から思いかえしてみると、ショッピングセンターで見せた紙の最後をいつも「おかし」にしていたのがお菓子大好きけんとくんは「食べたい!」となり上手くいったのかなーなんて思ったりもします。イラストを書いたり、文字で書いたりと、ひと手間を加えるのは少し面倒なときもありますが、これからも「こんな小さなことで変わる?探し」を楽しむ気持ちでいけたらいいなと思っています。執筆/ゆきみ(監修:初川先生より)視覚支援をめぐる驚いたエピソードの共有をありがとうございます。ASDのあるお子さんは「視覚支援」「見通しを提示する」がピタッとはまることが多いです。視覚的な刺激に引っ張られやすいため、お母さんの声掛けが入りづらかったり、言葉は分かっていても、実際の物事や展開と一致させることが苦手であったりするため、絵や文字で提示するのは有効なことが多いです。また、予期せぬことにパニックになりやすいASDのあるお子さんも多くいらっしゃると思いますが、だからこそ、あらかじめ見通しを提示しておくことは安心感につながります。年齢が上がるにつれ、急な変更が入りやすい場合は、そのことも見通しの中に入れておくことができますし、そういったことにも慣れてくると、急な変更にも少しずつ慣れていくこともあります。「こんな小さなことで変わる!?探し」、素敵ですね。小さな工夫でも本人に合っていればうまく機能することは結構あるかもしれません。ぜひ楽しく探してみてください。
2022年04月27日発達ナビユーザーの体験をコミックエッセイ化!発達ナビにて行っている「みんなどんなトラブルで悩んでる?アンケート&エピソード大募集!」。今回はその中で投稿のあった「癇癪」についてのエピソードをコミックエッセイ化してご紹介します。2歳ごろから癇癪が激しかった娘娘は2歳前ころから癇癪が激しく、私の悩みの種でした。癇癪が始まると声が大きくなり、同じ娘だとは思えないような怖い表情になり、顔を真っ赤にしたまま1時間は癇癪モード。2時間くらいになるとさすがに疲れてくるのか、だんだんと落ち着いてくる、というのがほとんどでした。2歳ごろはいわゆるイヤイヤ期なのだろうと思っていましたが、3歳になっても、4歳になっても、5歳になっても落ち着くことはありませんでした。むしろ年齢が上がるごとに声はどんどん大きく出せるようになり、発語もはっきりしてきたため、癇癪を受ける側のダメージはアップしていきました。Upload By 発達ナビ編集部自分の要望が満たされなかったり、本人の予測と違ったことが起きると娘は癇癪になりました。特に癇癪を起こすタイミングは「出かける前」。そして娘が一番癇癪を起こしやすいパターンは「遊びを中断する」ということでした。そのため、出かける前に娘が時間がかかりそうな遊びを始めるのは高リスクでした。娘が遊びに熱中しすぎないように声をかけて気を逸らしたり、短いテレビ番組を流して”観終えたら出発”と約束してみたり、毎日同じ方法ではうまくいかず、とにかく娘がご機嫌に出かけられるようにできることを日々いろいろと考えました。その甲斐もあり「これから出かけるから、一旦遊びは終わらせて一緒に行こう」と落ち着いて話しをして、癇癪を未然に防ぐことができる日もありました。穏やかな朝が一変!掃除機が癇癪の引き金に娘、4歳5ヶ月のころ。その日は、いつもよりも穏やかに1日がスタートしていました。娘は朝の着替えを嫌がることもなく、朝ごはんもおいしそうに食べ、幼稚園に行くというスケジュールも理解していました。普段だったら娘が不機嫌になり、バタバタと出かける準備をしているくらいの時間だったのですが、不思議なくらいスムーズに事が運び、時間に余裕がありました。出発時間まではあと30分ほど。娘が出発前におもちゃを出して遊び始めても、落ち着いて話せば遊びをやめて出かけられそうな雰囲気がありました。時間があったので、私は少し離れたところで掃除機をかけ始めました。この油断がいけなかったのです。この日は、これが癇癪の引き金でした。娘「掃除機しないで!!」母「嫌だった?ごめんね」…娘の表情はみるみる変わっていきました。娘の表情を見たら(ああ、もうこれは癇癪モード突入だ…)とすぐに分かりました。Upload By 発達ナビ編集部癇癪のとき娘は「お母さん、ねえ、聞いて!」と叫ぶのがお決まりでした。「うん、なあに?」「聞いてるよ」と私が言っても、娘は理由などを言うわけでもなく…。娘が話し始めるのを待っていると「だまらないで!」「しゃべって!」と叫びます。そのあと私が「聞いてって言ってたから、待ってたんだよ」と言うと「しゃべらないで!」と娘、そして「お母さん、ねえ、聞いて!」に戻る…という。こんなやり取りが1時間続くというのがいつものパターンでした。こうなると私はもうサンドバッグ状態でした。完全に娘はパニック状態なので、少し距離を置いたほうがいいのかなと思い、そっとその場から離れようとすると「行かないで!」と叫ぶのです。娘が我に返るまで、私はとにかく娘のそばで終わるのを待つしかありませんでした。いつもの癇癪と思って耐えていたら、警察が…その日、癇癪が始まって40分くらいしたとき「ピンポーン」と自宅のインターホンが鳴りました。インターホンのモニターをみると、そこには警察らしき人が映っていました。「ああ、通報されちゃったんだな」とすぐに分かり、涙が出てきました。その日は窓を開けておくと気持ちがいい6月のとある日(しかも私の誕生日…)、大声で「お母さん!」「行かないで!」と言う声が外に響いていたのでしょう。Upload By 発達ナビ編集部突然のインターホンの音と「お巡りさんだ!」という私の声にびっくりして娘の癇癪も収まり、私は娘と一緒に玄関に向かいました。警察の方「○○署の者です。お子さんの泣き声がすると連絡があり…、お母さんどうして泣いているんですか?」私「すみません…。心配していただきありがとうございます。すみません、娘が癇癪を起こしてしまって…」このころ娘の癇癪がない日はほとんどありませんでした。毎日必死で向き合ってきたのに、それは誰にも伝わっていないんだな…と感じ、私はやるせなく涙が止まりませんでした(しかも誕生日なのに…!!)。Upload By 発達ナビ編集部そのあとは警察の方が、娘に「こんにちは」と言うと娘も「こんにちは」と答え、親子と警察の方で少し他愛もない会話を交わしたあと、心配ないと思ってくださったのか、特にほかに何か聞かれることはなく帰っていきました。ご近所の方への感謝と切なさ私は自分の地元を離れ子育てしており、このころご近所付き合いもほとんどありませんでした。ご近所の方は、子どもの激しい泣き声を聞いて、娘を心配して通報してくれたのだということは分かりますし、地域の方が子どものことを気にしてくださることに感謝をしています。ただ、娘がどんな子どもなのか、私がどんな子育てをしていてどんなことで悩んでいるのか、わが家がどんな家庭なのか…このとき心配してくださった方に伝える手段がなかったことが悲しく、少し苦い思い出として残っています。そして、誕生日が来る度に思い出します。この出来事のあと、私は地域の行事に親子で参加したり、地域の方と話す機会を意識してつくるようになりました。娘の激しい癇癪は私(母)に対してがほとんどですが、小学2年生くらいまで頻繫におきました。10歳になった娘は、今でもたまに怒りがコントロールできず「お母さん、ねえ、聞いて!」と言うお決まりのセリフで1時間怒っていることがあります。まさか10歳まで続くとは思っていなかったのですが、理不尽な会話で私がサンドバッグ状態になることはかなり少なくなりました。また怒りが落ち着いたタイミングで「怒る気持ちになると、自分でも言わない方がいいと思うことを言っちゃう」と話してくれるようにもなりました。娘が怒りの気持ちとこれからうまく付き合って行けるように親子でできることをしていきたいなと思っています。エピソード参考/カワカワイラスト/taeko(監修:三木先生)これはとてもつらい経験でしたね。しかし、そんな経験のあとに自分から地域に出ていくという行動を取られたことは驚きと称賛に値すると思います。そういったご苦労のおかげで、いま娘さんはだいぶ落ち着けるようになったんでしょうね。あなたのエピソードもコラムになるかも?体験談募集中!保護者の方が日々子育てをする中で「こんなトラブルがあった」「こんなハプニングがあった」など悩みはつきないと思います。そんな発達ナビユーザーのみなさんの「困った」エピソードを募集しています。テーマは「ゲーム」「不器用」「ママ友・保護者」「祖父母や親戚関係」「ご近所トラブル」などに加え、今回より「自傷」「学習」「不登校」のお悩みも追加募集!癇癪を起こして自分の頭を叩く、地団太を踏むなどの自傷行為…読み書きや計算の困りはもちろん、授業を落ち着いて受けられないなどの学習の悩み…行き渋りや不登校などの悩み…いろいろなお悩みエピソード、お待ちしております。お寄せいただいたエピソードの中から数作品、発達ナビの連載ライターさんにコラムとしてコミックマンガエッセイ化していただき、発達ナビで公開致します!あるあるのエピソードからヒヤリとしたエピソード、SNSなどではなかなか言えないような家族やママ友とのトラブルまで。いろいろな「困った」エピソードをぜひ教えてください。
2022年04月25日41歳のとき、子どものため10年ぶりに車の運転を再開。慣れない運転に追い込まれた私はパニック障害になり、激しい動悸や呼吸が苦しいという症状に悩みました。まずは心療内科へ通うことにし、併せて鍼灸院での治療もおこなったときの体験をお伝えします。パニック障害になったきっかけは車の運転子どもを送迎するために、41歳にして車の運転をなんと10年ぶりに再開することになりました。家から片道30分かかる療育園に子どもが通うことになったからです。通園が決まったのが急であったこと、さらに引っ越してきて1年もたっておらず土地勘に不安な部分が大いにあったことから、私は大変慌てました。10年ぶりの運転だったこともあり、マンツーマンで指導してくれる教習所にお願いし、運転はなんとかできるようになったのですが……。3カ月後、車の運転中に激しい動悸に襲われました。これがパニック障害の発作だったということは、あとで心療内科に行ってわかったことでした。慣れない車の運転と子どもの発達について悩み、あっという間に自分自身が追い込まれて心身ともに力尽きてしまったようです。心療内科での治療と並行して鍼灸院へ激しい動悸に襲われたあとに内科を受診しましたが、心療内科に行くことをすすめられました。心療内科ではすぐにパニック障害との診断。薬で治療をすることになり、車の運転はやめることにしました。そこで電動自転車に乗り換えたのですが、激しい動悸はしばらくの間ほぼ毎朝起こりました。病院からは薬を処方されていましたが、薬で安定するようになるには、自分に合いそうな薬を飲んで試し、数量を調整していくという長い段階が必要になりそうでした。メンタルがつらいと同時に、体も肩凝りや腰痛がひどくつらかったので、以前から興味があった近所の鍼灸院に行ってみることにしました。体が緊張状態だと心も緊張状態に鍼灸院に初めて行き自分の事情を話したところ、精神的なことで来る患者さんもいることを教えてもらい、安心しました。また先生は心療内科で出される薬の種類や生理周期を私から聞いて、私に合った治療を考えてくれました。「体が緊張状態だと心も緊張してしまう、そのあたりをほぐしていきましょう」とのことでした。お灸は「熱い!」と感じる部分と、まったく熱く感じない部分があり、不思議でした。鍼は痛いこともなく、刺されていることも感じませんでした。月に1回、約半年ほど通ったところで、先生と話し合って通院を終了することにしました。初めて来たときより調子がとても良くなっていること、私自身の激しい動悸が減ってきたことが理由です。まとめ車の運転がきっかけでパニック障害になりましたが、心療内科と鍼灸院でのダブルケアで少しずつ良くなっていきました。その間に子どもも少しは成長したので、悩みが減ったのも関係していると思います。鍼灸院の通院は終了しましたが、心療内科には月に1回、2年半ほど通院し継続して薬を処方してもらっています。鍼灸院の先生からは、体に良いツボを教えてもらい自分で市販のお灸を購入し使っています。健康になるために、自分でできることは少しでも良いからおこなっていきたいと思います。※記事の内容は公開当時の情報であり、現在と異なる場合があります。記事の内容は個人の感想です。※本記事の内容は、必ずしもすべての状況にあてはまるとは限りません。必要に応じて医師や専門家に相談するなど、ご自身の責任と判断によって適切なご対応をお願いいたします。監修/駒形依子先生(こまがた医院院長)東京女子医科大学医学部卒業。米沢市立病院入職後、再び東京女子医科大学に戻り、専門医を取得。同大学産婦人科に入局し産婦人科医として働きつつ、性科学を学び、また東京女子医科大学東洋医学研究所で東洋医学を学ぶ。2019年1月に地元山形県米沢市にて、こまがた医院を開業。イラスト/マメ美著者/れいこ (43歳)電化製品好きな夫、保育園児の子ども2人、猫と暮らしている。コーヒーと美容家電が好き。
2022年04月24日私は2人の娘を育てている専業主婦です。長女は小学校2年生、次女は幼稚園の年少です。私は昨年の4月、次女が幼稚園にあがったタイミングでうつ病を発症。現在は心療内科に通っています。育児をすることが困難でしたが、ある日、私の異変に気付いた幼稚園の先生が、声をかけてくれたのです。私の目には、思わず涙があふれました……。まさか私がうつ病に次女が幼稚園に通い始め、育児がラクになったはずのタイミングでうつ病を発症しました。原因は定かではありませんが、もともと生真面目で完璧主義な私。家事も育児もうまく手が抜けない性格で、うつ病になりやすい気質だったと思います。調子が悪いときは何もできなくなり、ベッドから出ることも困難でした。 そんななか、幼稚園の送迎とごはん作りだけは何とかやっていましたが、幼稚園から14時に帰ってくる次女の遊び相手になる余裕はなく、長女が帰宅する16時までひたすらYouTubeを見せ、その間、私はベッドに横たわっていました。 「お母さん、大丈夫?疲れている?」ある日、いつものように調子が悪いなか、娘を送迎したときのことです。よほど疲れた正気のない顔をしていたのか、娘の担任の先生が「お母さん、大丈夫? 疲れている?」と声をかけてくれました。そのやさしい言葉に思わず涙があふれました。 すると心配した担任の先生は職員室に連れて行ってくれました。そして、「つらいんだったら園の預かり保育を使ってね」と言ってくれたのです。預かり保育は仕事をするママだけではなく、病気で保育が困難なママ、リフレッシュしたいママも使ってもいいんだよ、と説明してくれました。 預けたら…娘はまだ入園したてで園生活にも慣れていないこともあり、私は預かり保育を利用することに抵抗を感じていましたが、ある日、意を決して利用することに。預かり保育中、次女はいつもとは違う様子に少し戸惑いもあったようです。しかし、お迎え時に先生からは「大丈夫です。楽しく遊んでいるときもありましたから。それよりお母さんが元気で笑顔になることが大事ですよ」とありがたいお言葉をいただきました。 普段は、次女の様子を気にしながらベッドに横になっていたのですが、幼稚園でしっかり見てもらえていると思うと、安心してゆっくりと休むことができました。また、困ったら頼れるところがあるというのは精神的な支えになりました。 最初はしぶしぶと預かり保育に行っていた次女も、今では喜んで行くように。家で構ってあげられない状態より、幼稚園で他のお友だちや先生と遊んでいるほうが次女にとっても良いと感じています。私の体調が悪く保育枠に余裕があるときにはこれからもお願いして、娘たちのためにも、私自身の体調を整えることも大事にしたいと思います。安心して任せられる環境を用意してくれている幼稚園には、本当に感謝しています。 監修/助産師REIKO著者:小川恵子8歳と4歳の姉妹の母。育児サークルの幹部や習い事、執筆活動など、精力的に育児を楽しんでいる。
2022年04月06日癇癪の理由、分かるときはまだいいけど…Upload By ぼさ子自閉スペクトラム症と知的障害のあるほぺろうは、痛い・眠い・空腹などとにかく何でも癇癪で伝えてきます。それらはまだ理由が分かるけど、ニコニコの1秒後に急に怒り出したり原因不明なことも多々あります。癇癪の理由を探るとは、想像のバリエーションを広げることぼさ子(以下、――):癇癪の原因を解消してあげたくても、何もできないときもあって…悩んでいます。三木先生:う~~~ん、まぁ言ってしまうと子どもってそういうものなのかなって気がするんですけど、赤ちゃんへの対応と一緒で思い当たるものを一つひとつ、つぶしていくしかないかな。ただそのとき、こうかな?っていう想像が必要なんですけど、想像を通り越してむしろ『妄想』でもいいくらいです。結局大人の予想とは違ってたってことはよくあるんですけど、想像のバリエーションを幅広く持てると、癇癪の理由を10回のうち1回はつぶせた、2回はつぶせた、というふうに可能性が増えていきます。Upload By ぼさ子三木先生:でも、発語があったとしても6歳なら自分で説明するのは難しいので、ある程度は理解できなくても仕方ない部分もありますね。あとはフラッシュバックしてる可能性もあるかもしれません。ただ、何がフラッシュバックしているのかは本人の頭の中を覗かない限り分からないので、大人側の心の準備としては「フラッシュバックかも」という視点を持っておくことで「理由の分からないものは仕方ない」と思うこともできます。子どもは思うよりワケ分からないもの。突拍子もない想像をしてみよう三木先生:メジャーな理由を考えてもダメだったときは、「突拍子もない想像をしてみる」ことです。「まさかこんな理由で!?」みたいな先入観なしに。ありえないと思う可能性でも意外にスッと当てはまることもあるので、一応頭の隅っこに捨てずに取っておくといいですね。例えば「カラスが鳴いていたのが気に入らなかった」とか、もっととんでもない理由でもいいのですが、そういう可能性を考えておくと積み重ねていくうちに3回目くらいに「やっぱり関係あるかも?」みたいに、その子に対する理解の幅が広がります。Upload By ぼさ子三木先生:結構大人が理解できないようなことで子どもの癇癪は起こるので、先入観がない状態で自由に想像してもらうといいかなって。それでも100%理解するのは絶対ムリなので、気が済むところまで考えたら諦めるのもアリかなと思います。大人同士であっても定型発達の子どもであっても100%は分かり合えないですからね。喋れない子どもだったら余計「分からないものだ」という前提を持っておくことも大事かな。保育園の先生が発見した意外な理由ーー実は、保育園でほぺろうは午睡から起きると機嫌が悪いことが多いのですが、最近先生から「原因が分かりました!」という報告をもらったんです。その原因というのが「午睡後のおやつが好きか嫌いか」だったという…三木先生:原因は昼寝じゃなかったと。ーーはい、寝起きの悪さじゃなかったと。Upload By ぼさ子Upload By ぼさ子三木先生:いやぁ、でも「寝起き」という先入観があるとなかなか気づきにくいですけど、発見した保育士さんたちすごいですね!そういうところまで広げていくと面白い発見がありますよね。感想最近だと「ほぺろうは保育園から帰るとき、どんなに機嫌良くても、自宅の玄関を入った途端に泣き出す」というのが悩みの一つで、私としては理由が全く分からなくて泣き止むのを待つしかない…という毎日なんですけど、三木先生のお話を参考に突拍子もない想像をしてみたいと思います。Upload By ぼさ子ほぺろうはまだ6歳ですし自閉スペクトラム症もある。私の想像をはるかに超えていて当然なのかも知れません。こちらも思い込みを捨てて観察してみると面白い発見がありそうです。そして今回も、お話の中で印象に残った三木先生の言葉があります。Upload By ぼさ子執筆/ぼさ子
2022年03月30日最長で20時間以上、泣いて怒っていたころUpload By かさはらあやこ自閉スペクトラム症と中度知的障害のある息子が3歳のころは、・眠いのにうまく寝つけない・思い通りに遊べない・嫌なことを上手に避けられない・行事などいつもと違う状況・怪我や風邪などの体調不良・気圧や天候、温度や湿度の変化上記のような理由で癇癪を起こし、1~2時間、長い時は3~4時間、最長で20時間以上、泣いて怒る。発語もなく、意思の疎通も難しいので、その時点で理由を推測するしかなく、真相は分からない。という状況でした(きっとどの理由も正しい)。一度スイッチが入ってしまうと、最終的に全力でスルーして耐えるしか策がなく、泣き叫んで暴れるわが子と共に涙を流し、ただただ心が擦り減る日々を過ごしていました。医師と相談してはじめた投薬治療Upload By かさはらあやこ3歳6ヶ月から4歳6ヶ月の一年、偏食は酷くなり、体調もずっと崩しがちで小さな成長すら感じることも少なくなりました。癇癪も、瞬間湯沸かし器のように、一瞬の激しい怒りで床に頭を打ちつけたり、壁に激突したり…。力も強くなったことで怪我の心配もあり、一日中イライラして苦しそうな息子を見ていることもつらく、4歳を過ぎたころから医師と相談して投薬療法を始めました。飲めば、穏やかになり癇癪は起こさなくなる。薬は、それぐらい精神に作用する強烈なもの。息子が息子でなくなったらどうしようという不安と、これでやっと癇癪から解放されるという期待。9ヶ月経った今、どちらも当てはまらず。心配していた副作用も特になく、息子は息子のままで、昼間に何時間も続くような癇癪はなくなったものの、小さなイライラは相変わらず起こっている状態です。薬に完全に頼るのではなく、家での環境も見直し、できるだけ落ち着けるような空間にするために努力したり、母親である自分のメンタルを崩さぬよう仕事をセーブし(コラムもお休みをいただいておりました)、とにかく無理をしないように過ごしています。癇癪を起こす理由が少しずつ分かるようになった出来事Upload By かさはらあやこ息子は12月に入り、年末が近づいてくると荒れる傾向にあります。2020年から2021年にかけての年越しで、起きている間はずっと泣いている、という過酷な状況を経験したこともあり、2021年の年末は気合を入れて臨みました。予想通り昨年もクリスマスを過ぎたころから段々と雲行きが怪しくなり、一日中イライラして泣くようになりました。そんな状態だったある日、キッチンに立っている私を見つめ、息子が「ぐぅにゅー、ぎゅうにゅう」と言ってきたので、コップに牛乳を注いで渡すと、ごくごくと牛乳を飲み干し、満足そうにニコッと笑いました。牛乳を飲まなくなって半年以上経っていたので驚いたのと同時に、彼の中で〝ぎゅうにゅう〟と〝牛乳〟がマッチした瞬間かもしれないと感じました。それをきっかけに段々、言葉と実物がマッチするようになり、癇癪を起こす理由も少しずつ分かるようになってきました。『これじゃなくてあれが食べたいんだ』『いまこのアニメが観たいんだ』『あのおもちゃで遊びたいんだ』今までまったく分からなかった〝怒っている理由〟が分かるようになると、癇癪が起きる前に防ぐことができたり、癇癪を起こしても最短で切り替えさせることに成功したり、おさまるまでただただ耐えながら全力で無視するしかなかった時間に選択肢がうまれました。一瞬のSOSを見逃さないUpload By かさはらあやこ不快な音が流れると耳を塞ぎ、見たくないものがあると隠れたり、目を閉じたり、発語が増えると共に、3歳のころはうまく避けられなかったことも、息子なりに意思表示ができるようになりました。今は、その一瞬のSOSをできるだけ見逃さないように毎日を過ごしています。まだまだ考えても分からないようなことや失敗した!と思うことも山ほどあります。オムライスを出して烈火の如く怒り出した理由が、顔を描いたのがいけなかったのか、チキンライスを卵で巻いたことに腹が立ったのか、ケチャップが嫌いなのか…考えても考えても分からないのだけれど、オムライスが原因で怒っていることが分かっただけ息子と私にとってはとても大きな進歩です。今までは、それが原因だと気づかず、無理やり食べさせようとしつこく口に運び、食べないストレスで叱り、余計に怒らせて長引かせていたからです。でもいつか聞いてみたい。アイスやかき氷をすすめると、食べるまでに警戒して凄く時間がかかるのに、雪に速攻で食らいつくのはなぜ?って。執筆/かさはらあやこ(監修:鈴木先生より)お母さんは息子さんの優秀な通訳になれたのです。もしあなたが今、一人で言葉が違う国へ行ったら、通訳がいないと生活できません。通訳の中でも知識のある通訳は、今晩何を食べたいか3、4種類候補が出るのに対して、知識がない通訳だと今日は1種類しか提示できず選択できなくなります。優秀な通訳ならこちらの言いたいことも察してくれてそろそろトイレですねとか、喉が渇きませんかなどと聞いてくれます。お母さんはそれと同じようなことができたのです。苦手でも相手の立場に立って考えていく努力が実を結ぶのです。癇癪は自閉スペクトラム症の易刺激性が原因の場合があります。ちょっとしたことでイライラしやすく、自他傷行為や汚言などがみられることがあります。環境整備をしても生活や教育に支障が出ている場合は抗精神病薬の投与によって抑えることが可能です。副作用の心配などおありでしょうが、お子さんの将来のことを考えて集団の中でつらい思いをさせないように早めの対策も必要だと思います。
2022年03月29日息子の癇癪パターンはいろいろUpload By かなしろにゃんこ。自分が思い描いた目標に達成できないと怒ったり、何かに夢中になっているところを横から干渉されると癇癪を起こすわが家の息子。学童期は、「もうやだー」と家具を蹴ったりする始末……その度、「あぁ~また始まっちゃった。リュウ太が怒りだすと近所に聞こえるような大きい声で怒鳴るからヤダな~」と母の私も暗くなったりイライラすることがあります(涙)。中学生になっても癇癪のときの声の大きさは変わらず「くそーーーなんでだよーーー!」と何に対して言っているのか分かりませんが、乱暴な言葉で怒鳴り散らすのでたまりませんでした。Upload By かなしろにゃんこ。Upload By かなしろにゃんこ。成人した息子に癇癪について聞いてみると「暴言は自分に対してだったりするよ、うまくいかない自分に腹が立つ」のだそう。さらに「癇癪はなくすことはできないんだ。『ほかの人は怒るときに大声なんて出さないで怒るんだよ。だからあなたも声を出さないようにしなさい』って親や先生に注意されてきたけれど、オレは声を出さないで怒りを消すことはできないんだ」と話してくれました。息子は、怒りが発生して数秒でピークに到達する→ 怒りをリセットするにはなるべく遠くに怒りを放つ感じで吐き出すから大声になる→ 大声を出すと気持ちが収束に向かうだから怒ると大声を出してしまうんだと知りました。Upload By かなしろにゃんこ。私自身は「怒りの感情」というのが時間をかけてジワジワと来たりします。そのため瞬間湯沸かし器のようになる息子の状態が今まで私には分かりませんでしたが、息子の話を聞いて「自分の中にわいてくる”嫌なもの”を早めに排除する行動だったのね!」と知りました。Upload By かなしろにゃんこ。Upload By かなしろにゃんこ。息子は、「ものによっては声を出しても怒りが収まらないときがあるけれど、『ま、いっか!』という言葉をつぶやいて全てどうでもいいことに変えるようにしてるよ。『ま、いっか!』は小学生のころからやっていて、”怒り”に区切りをつけることができる」とも言いました。小中学生のころはまだ心のコントロールができていないように見えましたが、息子は自分なりに心の調整をする方法を見つけていたと分かりました。執筆/かなしろにゃんこ。(監修:井上先生より)「怒りの感情」は、リュウ太さんが言われていたように成長と共に少しずつ制御可能になっていきます。小さいころは「制御する」というよりは、周りの大人が「我慢させようとする」ことが多いかもしれません。子どもの場合、我慢する方法を具体的に教えてあげないと「我慢しなさい」とだけ言われたことが、火に油を注ぎエスカレートして悪循環に陥ることもあります。「叩いたり壊したりするよりは、声に出すほうがいい」「声に出すよりも、走ってみるのはどうか」「壊れないものを投げてみるのはどうか」…など怒りを鎮めるやり方を一緒に考えてあげるといいかもしれません。「怒り」を押さえつけるのではなく、怒りをうまく手なずけるための代替案を一緒に考えたり、うまく怒りを鎮められたときに褒めることが大切だと思います。
2022年03月25日マンガで癇癪を学ぼう!マンガで分かりやすく発達障害が学べる『マンガで学ぶ発達障害』シリーズ。今回は悩んでるご家庭も多い「癇癪」についてまとめてご紹介!癇癪ってどのような状態のこと?原因や背景をはじめ、起こさないようにご家庭でできる環境調整方法、起きてしまったときのクールダウン方法、発達障害との関係性など、公認心理師の井上先生の解説とともにご説明します。癇癪とは、声を荒げて泣いたり、激しく奇声を発したりするなどの興奮を伴う混乱状態を指します。癇癪行動の例やどのような気持ちの変化で起きてしまうのか、癇癪について原因を2つに分けて専門家が解説します。たびたび癇癪が起こるからといって発達障害があるというわけではありませんが、発達障害のある子どもに強く見られる傾向が癇癪が起こるきっかけと絡んでいる場合があります。そんな発達障害のある子どもに見られる4つの傾向と癇癪の関係を解説します。いったん始まってしまうと、癇癪を鎮めるのは難しいので、普段の生活から子どもに十分配慮をし、癇癪が起きないように回避することが重要です。癇癪が起きないように気をつけたいポイントや起きてしまったときのクールダウン方法などをご紹介します。まとめ子どもが癇癪を起こす背景には必ず理由があります。普段の生活や癇癪の起きるきっかけなどを探し、子どもに合った配慮を行うことで癇癪を抑えることもできます。もちろん全ての癇癪を抑えることは難しいです。ですが、どのようなときに癇癪が起きやすいか、クールダウン方法を知っておくことで保護者も安心して過ごすことができます。それでも子どもの癇癪に悩むときには一人で悩まずに周りの人や相談できる施設を頼ることが重要です。
2022年03月20日癇癪がない?Upload By まる昨年末に自閉スペクトラム症の診断を受けた息子リュウ(3歳)。今までひどい癇癪やパニックがない、おっとり鈍感タイプだ。友人たちにも「リュウちゃんは本当におっとりしてて優しいよね~」とよく言われる。叱っても泣くのを我慢することがあったり、泣いていてもそんなに長時間泣くことはなく親の私でも驚くほど切り替えが早い。人見知りや場所見知りで困ったこともほとんどない。こう言うとすごい楽な子じゃん!と誤解されがちだがそれなりに心配がある。癇癪などで、嫌な気持ちを今の小さいうちに表現したりすることで気持ちの切り替えや伝え方などを学んでいくと聞く。「小さいうちに体験して学んでおかないと、大人になって力が強くなってから思い通りにいかなくて暴れたりするとママの力じゃ抑えられないから今癇癪がある方がいいんだよ」と言われたことがある。息子はすでによく食べるお陰で年齢よりも大きく成長している、親戚中から将来はお相撲さんかな〜⁇と言われるくらい。これで将来手がつけられない癇癪などされたらたまったもんじゃない。息子が診断される前の私の中の自閉スペクトラム症のイメージが「癇癪、こだわりが強い、多動」などがあった。2歳ごろのリュウは癇癪とこだわりがあまりないが多動ではあった。静かに移動するので外で本当にすぐ見失う。私が買い物の棚を見ているほんの一瞬でいなくなるのだ。忍者か。それは保育園でも同じようで公園などでもそろ~っといなくなるらしい。迎えに行ったときに先生から「静かな多動」といわれて笑ってしまった。息子はおっとりタイプの性格…そうなると保育園ではUpload By まる発達障害かもと言われてから初めて支援センターで心理士さんと面談した際、「この子はおとなしいしぼーっとしているタイプの子なので、大人数の保育園などに入れると放置されやすくなるかもしれない。自ら学びを吸収しようと動くタイプでもない、そうなるとこれまで以上に発達が遅くなる危険があるのでちゃんと大人が一緒に関わるようにした方がいい」と言われた。現在通っている保育園は少人数制で先生の人数も多くよく見てもらえ、息子にとても合っていた。母子家庭ということもあり先生方にもすごく気にしてもらっていたので感謝しかない。2歳児までの保育園なので残念ながら3月で卒業だが、来年度からは、新しい保育園に転園するが、そこでは加配保育士(※)をつけていただけることが決まっている。※加配保育士とは:障害の診断を受けた子どもを対象に配置される保育士で、子ども2人につき1人を基準として配置されることが一般的。ついにきたイヤイヤ期(3歳前後)Upload By まるおとなしいと思っていた息子だが、徐々に3歳ごろからイヤイヤで大騒ぎするようになった。バナナを食べると言うのでむいてあげ、黒ずみを見つけたのでそこだけ取ると欠けたバナナが気に入らなくて泣いて投げつけてきたり、パンを食べるときに半分にして渡すと半分にしたことに怒って泣きじゃくったり。お散歩中駅に電車を見にいきたいと道路でひっくりかえって大泣きしたり、スーパーであっちこっち行く息子と買い物ができなくて手をがっちり捕まえると離せと大泣きして転がったり…私も思ったように動けず買いたいものも買えなく、泣きながら帰宅することも多々あった。療育でのイヤイヤもUpload By まる1番大変だったのは2歳9ヶ月ごろ療育に通い出したとき。最初は週1回通っていた(現在週2回)ので慣れるのに時間がかかったせいもあるかもしれない。行くたびにリトミックに参加したくない、教室から出たいと怒って大泣き、なにも参加できず「この療育に通って何の意味があるんだろう」と毎週ぐったりしていた。何ヶ月か過ぎたとき、不機嫌に泣いている息子を見てため息をついていると先生に「癇癪とまではいかないけど、ちゃんと自分の嫌なことは嫌って表現できているから大丈夫よ。それに前より『聞く』ことができていますね。これをお片づけしたらそっちのおもちゃ出そうね、とか聞き分けて自分で納得して動くこともできるようになってきているから!」と言ってもらえて安心したことを覚えている。もうすぐ4歳の息子、最近は…Upload By まるリュウはもうすぐ4歳になる。スーパーや道端で寝っ転がって泣くことやスーパーであっちこっち行くことも、1年ほどの間で少なくなってきた(日によってはある)。お陰で私が泣きながら買い物から帰宅することもなくなったし、療育でもすべてではないが多少参加できるようになってきた。先日療育で絵本の読み聞かせ中に座って居られなくて笑いながら逃げ回っている息子にちょっとイライラしていると先生が「でもさ!リュウちゃん変わったよ!最初のころ思い出してみて!ずっとドアのところで泣いてたんだよ!?」と言われてハッとした。一つできるようになるとできなかったことを忘れてしまう。この記事を書くまでイヤイヤで外で泣いて転がっていたことも忘れていて、うちの子大変なときあったっけ…?と考えていたほどだ。今も大変なことは多いが、少し前を思い出すと成長しているなぁと思える。執筆/まる(監修:井上先生より)癇癪が強いか弱いかというのは、周囲の受け止め方の違いもあったりするので、大きな癇癪がないことに対して過度に気にされる必要はないかと思います。リュウくんはその理由が比較的はっきりしていますね。そのような場合大人も原因が推測できるので、癇癪の代わりになる周囲に伝わる言葉や行動を教えていくチャンスにしていくこともできると思います。ただ、大人の要求水準が高すぎるとバトルになってしまうので、まるさんのように事前に予告をしたり、100%できなくても25%で良しという行動にしたり(25%ルール)、できている部分ややろうとしている部分に注目してそこを少しずつ増やしていけるようにすると良いと思います。まるさんの努力によって、リュウくんも少しずつ自分の感情をコントロールしたり、コミュニケーションに置き換えたりすることができてきたのだと思います。
2022年03月19日癇癪は減ってきているけど現在8歳のむっくんは小さいころと比べると、明らかに癇癪は減ってきていますがゼロではありません。最近特に癇癪を起こしやすいシーンが、弟のテレビゲーム視聴中です。むっくんは弟のプレイを見ているうちにゲームの世界にのめりこんでいってしまうようで、弟に対してつい口を出してしまう、思うようなプレイでないときはコントローラーを取り上げて自分でやろうとしてしまう。当然、弟は応戦してケンカになるため、私が介入するとそれが引き金となって癇癪を起こすというコースです。Upload By ウチノコ自分の行いをどう思っているの?毎日ではありませんが週に何度か繰り返されるこのパターンに困っていました。とにかく環境改善だと、弟のゲームを目にしないようむっくんに別の部屋に行っておいてもらう工夫をしつつ、むっくんとも話し合いを重ねました。むっくんは、弟のゲームが見たいなら黙って見ればいいと分かっているけれど、自分が大好きなキャラクターが負けてしまうことが耐えられない。自分がやれば負けないのにと、思わず弟からコントローラーを奪ってしまう。そんな自分の行いが好ましくないことは分かっていて、頑張って我慢しようとしているけどできなくて。そんなときにお母さんに怒られるとワケが分からなくなると話してくれました。Upload By ウチノコ私の対応を変えてみるこの件で私は、むっくんが弟に口や手を出すタイミングで介入していました。だけどむっくんの話では、介入より前は本人なりに必死で努力していることになります。だとしたら介入のタイミングが遅すぎるのかもしれないと考え、弟がゲームを始めたタイミングでむっくんのそばについてみることにしました。すると、むっくんは弟のプレイを見ながら手を出さず、口も出さず、じっと耐えています。こぶしをぎゅっと握りしめて、口を一生懸命つぐんでいます。Upload By ウチノコ弟のゲーム時間は30分間。しばらく耐えていたむっくんですが、少しずつ興奮して口を出すシーンがちらほらと現れはじめました。どうしようかな…と考えて、私は黙って背中をさすってみることにしました。すると少し興奮が落ち着いたのか、また我慢をはじめたのです。そんなふうにむっくんが興奮してきたら背中をさすることを繰り返すと、その日むっくんは最後まで弟とケンカをせず、癇癪も起こさず過ごすことができました。ひとりでがんばらせないこの日の体験で私は、ずっと彼なりに必死で頑張っていたんだなぁということを肌で感じました。私は今まで、むっくんが弟に口や手を出したことにだけに注目して介入していました。だけど、むっくんなりに努力をしていた時間もある。それなのに、頑張り続けられなかったことにだけに注目されて叱責されてしまうなら、癇癪だって起こしたくなるよな…と私はこれまでの対応を反省しました。以前「ひとりでがんばらせないで」という言葉を発達障害の本で読んだことがあります。ひとりでがんばらせないってどういうことなんだろう?と思っていたのですが、叱責ではなく努力を認め、そっと背中をさすること。これが「ひとりでがんばらせない」ということなのだなと理解することができました。Upload By ウチノコ見えない努力に注目する癇癪は目立つため、つい注目しがちですが限界を超えるまで頑張っていたから癇癪が起こることもあります。この場合結果としての癇癪ではなく、そこに至る過程や心の変化、特に【努力】への注目が大切なのだと私は感じました。癇癪前にある本人の頑張りに気づき、認めてもらえるのなら、癇癪を起こす必要なんてなくなるのかもしれません。私にとってむっくんの癇癪は「問題行動」などではなく「気づかないといけない何かに気づけていないよ!」という私へのサインだということを忘れず、これからもむっくんと向き合っていこうと思います。執筆/ウチノコ(監修:初川先生より)素敵な気づきのシェアをありがとうございます。癇癪でお困りの保護者の方は多くいらっしゃると思いますが、どう収めるか、というだけではなく、まずはむっくんと話し合いをし、そして癇癪のはじまりから見てみるようにしたのですね。むっくんの発達度合いや年齢にもよりますが、癇癪時の自分の心の動きを言葉にしているのは素晴らしいですね。むっくんの思いのように、癇癪は、その前の事象でイライラが募っていることに加え、それを収めようと関わる大人の言動でますます混乱してしまうことが多々あります(そこに気づけているむっくんは本当に立派!)。すでにイライラが限界に達しているお子さんに、いかに火に油を注がずに対応するか、そこを考えるには、イライラが限界に達する前の関わりが大切です。そういう意味では、弟くんがゲームを始めるときからむっくんの様子を見てみた、というのは重要な情報を得るためにとても重要なポイントでしたね。弟くんのプレイを見ているときの頑張って我慢している姿に気づき、そして思わず背中をさすってみた。その親子での協働的な関わりによって、むっくんにとってはお母さんが見ていてくれる中で、我慢を応援してくれている中で、安心して我慢できつつあったのでしょう。弟くんのプレイを見る時間がこれまではただただイライラして、結果お母さんにも怒られる残念な時間になっていましたが、3人で楽しく過ごすためにどうしたらよいかを母子で頑張る時間に変わりましたね。ときには我慢が効かず、癇癪を起こすこともあるでしょうが、それでも上手に我慢できたときは、「よく我慢できたね、頑張ったね」と褒められる機会に変化しています(繰り返しますが、これまでは怒られる機会だったのに!)。そうして、安心できる中で、イライラを爆発させずに我慢する時間を保つという行動を身につけてゆきます。癇癪は困ったものではありますが、大人が癇癪は困ったもの、迷惑だとだけ思ってしまうと、子どもへのまなざしがきつくなってしまいます。癇癪を起こしたくて起こしている子はいないと思います。まずは癇癪の前に注目して関わってみる、ということ。とても参考になるエピソードでした。
2022年03月18日悩んでいる方も多い「癇癪」特集第二弾!発達ナビユーザーの中でも「読みたい!」との声が多い「癇癪」。そんな癇癪についてのエピソードを今回も連載ライター陣に描き下ろしていただきました。「あるある!」と共感できる癇癪エピソードや、すぐに実践できそうな癇癪への対応方法、マンガで学ぶ・専門家解説の癇癪についての原因や背景など、内容も盛りだくさんです!初めての習い事。先生は「大丈夫」と言っていたけれど…?4歳、発達グレーゾーンのとまちゃん。習い事に通わせたいけれどまだまだ癇癪が多く、不安だった母親のとまぱんさんでしたが、体操教室での体験で先生の「大丈夫!」の言葉を聞いて通う決意をします。先生の「大丈夫」の言葉に安心していましたが、参観日で目の当たりにしたとまちゃんの姿は…?!あの手この手を駆使して見つけたクールダウンアイテム9選!ADHDと自閉スペクトラム症の診断がある小学2年生、むっくん。小さなころから母親のウチノコさんはむっくんの癇癪で悩んできましたが…さまざまな経験を重ねるうちに見つけた、癇癪が起こるイメージとクールダウン方法は必見です!癇癪を起こしていたころとターニングポイントを親子で振り返る小学5年生のときに「もしかして、自分の表現って人より激しいのかな…?」と気づいたコウくん。そこからグッと癇癪も落ち着いてきました。そんな過去をコウくんと母親の丸山さとこさんが分析をしながら振り返ります!「みんなと同じ経験をしてほしい」だけなのに…行事で癇癪を起こしてしまう息子を見て遠足、運動会、発表会など子どもにとっては楽しみなイベントでも嫌がる子どもももちろんいます。立石美津子さんの、自閉スペクトラム症のある息子さんもその一人でした。今は21歳になった息子さん。立石さんは写真を見返しながら、当時の心境を思い出します。相手が謝っていても「絶対に許さない!!」という息子。担任の先生にも心配されてASDのある小学2年生ミミくんの小学校での個別面談で、担任の先生から「対人関係の形成に支障がでるかもしれない」と言われる母のtaekoさん。学校での様子では、ほかにも気になるところがあって…。まるで地雷のような息子の癇癪!何が原因なの?自閉スペクトラム症のあるPくんの癇癪がいつ、どんなときに起こるのか分からずにいつも注意を払いビクビクしていた母のみんさん。「仕方ない」と思っていたけれど一体これっていつまで続くの?と悩んでいましたが、Pくんが5歳を過ぎたあたりからその状況にも変化も見えてきて…。子ども癇癪が心配で、外出できない!広汎性発達障害(自閉スペクトラム症)のある、あーさん。小さいころからよく癇癪を起こしていました。SAKURAさんは、癇癪が起きたときの対応で消耗する体力・気力のことを考えただけで、ため息が出るほど。「癇癪をなくす方法」があるのではないかと思い、当時通っていた発達支援センターで聞いてみると…!癇癪について、マンガで専門家が解説!癇癪(かんしゃく)とは、声を荒げて泣いたり、激しく奇声を発したりするなどの興奮を伴う混乱状態を指します。そんな癇癪ですが、何故起きてしまうのか?原因や癇癪が起きてしまうまでの背景などを解説します。たびたび癇癪が起こるからといって発達障害があるというわけではありません。ですが、発達障害のある子どもに強く見られる傾向が癇癪が起こるきっかけと絡んでいる場合があります。このコラムでは発達障害のある子どもによくみられる4つの傾向を紹介します。いったん始まってしまうと、癇癪を鎮めるのは難しいので、普段の生活から子どもに十分配慮をし、癇癪が起きないように回避することが重要です。癇癪が起きないように気をつけたいこと、実際起きたときのクールダウン方法などを紹介します。まとめ癇癪の原因、対応方法などはお子さん一人ひとりで違います。そして、癇癪が起きないようにどんなに気をつけていても不慮の癇癪が起こることもあります。もし、つらい、どうしたらいいか分からないなどあれば、お近くの相談機関などに相談し、一人で抱え込まずに周りの人に頼ることも大切です。
2022年03月17日わが子の癇癪のスイッチが分からなくて悩む母自閉スペクトラム症のある息子P。こちらが良かれと思ってしたことに対して怒ってしまったり、何の前ぶれもなくパニックになったりすることもあり、私は自分が1番近くで見ている親なのにPの気持ちも、接し方も分かってあげられなくてずっと戸惑っていました。思えばPが2〜3歳のころが1番大変な時期だったような気がします。なだめようにも言葉を理解できないのでこちらの言うことも伝わらない。そしてPは言葉を発せないのでこちらも癇癪の原因を想像しかできず本当の気持ちや理由までは理解してあげることもできない。だから癇癪が起きたときはただただ途方に暮れることの方が多かったように思います。Upload By みんそしてPが原因の分からない癇癪やパニックを起こす度に、私は心の中で「大丈夫!大丈夫!時間が解決してくれる!そのうちおさまる!」と思ってひたすら耐え続けていました。「この子は自閉スペクトラム症があるから仕方ない」「この子は知的障害があるから仕方ない」と自分自身に言い聞かせ、納得させながら癇癪の対応をしていたのですが何十分、何時間とも続くか分からない癇癪にどうすることもできない日々が続き、「仕方ないとしてもこれはいつまで続くんだろう?このまま大きくなったらどうなってしまうのだろう?今でも大変なのにもっと大変になるのかな?」と未来を漠然と考えては不安になっていました。Upload By みん癇癪が起きないように常に注意していた私はありとあらゆる癇癪の原因を避け、排除し、癇癪が起きないように先回りするようになりました。そして癇癪が起きても落ち着けるようにと、Pのお気に入りのおやつやおもちゃなどクールダウンできそうな物を、出かけるときは常に持ち歩いていました。そうやっていつ爆発するかも分からない爆弾のようなわが子との日々を過ごしてきました。Upload By みんそんなPが少し落ち着いてきたかな?と思えたのは、5歳を過ぎたあたりです。まだ言葉は上手く出ませんが、ジェスチャーや、絵カードなどで少しずつ自分の要求を、人に伝えられるようになってきたことと、療育でも繰り返しお終いや切り替えの練習を積み重ねてきたので、自分の要求が通らない状況に納得できることも、切り替えられることも増えてきました。また、集団の中で過ごすことにより、家とは違って自分のペースばかりでは動けない経験や、我慢する経験なども増え、本人の中でもいろいろと変化があったのかもしれません。家で母子だけで過ごしていた日々に比べると、圧倒的に指示が通りやすくなり、簡単な意思疎通もできるようになってきたので、お互いに「相手の考えや思いを理解できやすくなった」ということが、癇癪が減ってきた理由の一つではあると思います。Upload By みん癇癪を少しでも減らすために私たち親子に必要だったことは?ずっと癇癪のスイッチが分からなくて、Pの気持ちを分かってあげられなくて悩んでいた私でしたが、それはきっとPの方も同じで、自分の願いや気持ちを伝えたくても伝わらないもどかしさや、伝える方法が分からないつらさの中で、今まではそれらを「癇癪という形でしか表現できなかった」のだと思います。まだまだ全てを分かってあげられないときもありますが、そういう場面になったとしても癇癪以外の方法に置き換えらえるように模索している途中です。自分の気持ちが伝わり、相手に理解してもらえるというのは、一方的ではなくお互いに必要です。たとえ言葉で表現するのが難しくても、さまざまな伝達方法を探し、それを習得しながら、お互いに意思疎通ができるようになるということが、癇癪やパニックを減らせる第一歩になるのかもしれないと思っています。Upload By みん執筆/みん(監修:井上先生より)自閉スペクトラム症のある子どもの子育ての悩みで一番多いのは癇癪などの行動的な問題です。子ども自身が言葉で表現できない場合、また感覚過敏やこだわりがある場合はその理由が分からず親御さんも困惑される場合が多いと思います。直接的な原因が発見しにくい場合も、一人でいるときに起こりやすい/起こりにくい、外出したときに起こりやすい/起こりにくい、など大まかに予測するようにすると、みんさんがされていたように事前の心構えや準備ができると思います。特に小さいころの癇癪については、完璧に予測したり、コントロールしたりすることは難しいと思います。またこのことで親自身が不安になったり苦しくなることもあると思います。そのようなときには、身近な人や相談機関にお話をするのも良いと思います。
2022年03月17日癇癪が心配で、外出できない。広汎性発達障害(自閉スペクトラム症)のある娘は、現在小学5年生。娘は小さいころから、よく癇癪を起こしていました。当時は、娘の癇癪がいつ起きるかいつも心配で…Upload By SAKURA起きたときの対応で消耗する体力・気力のことを考えただけで、ため息が出るほどでした。ひどい時期は、ママ友に遊びに誘われても、娘が癇癪を起して迷惑をかける可能性を考え、誘いを断ることもよくありました。娘が癇癪を起こしても、放置ができる家から出ることも嫌で、娘と二人っきりの日々を、刺激もなくただ淡々と過ごしていました。癇癪をなくす方法はない?待つのみなら…このころの私は、癇癪をどうにかしてなくす方法はないかと、考えていました。Upload By SAKURA「癇癪をなくす方法」「癇癪を起してもすぐに落ち着かせる方法」など、なにか私が知らない画期的な方法があるのではないかと思い、当時通っていた発達支援センターで聞いてみたのですが…Upload By SAKURAやはり「癇癪を起さないようにする手立て」も「起こしたときに瞬時に落ち着かせる方法」もない…なんとなく分かってはいましたが、そうなると救いはどこに?どういう心持ちでいたらいいのか分からず凹んでいると、発達支援センターの方からUpload By SAKURA「ずっと癇癪が今のままってことはない。段々変わっていく」と言われ、私は、癇癪をなくすこと、ゼロにしようとすることをやめました。それは、娘についてあきらめた訳ではありません。誰だって、うまくいかずにイライラすることもあるし、大人だって泣くこともあります。何かうまく言い表せない気持ちがあって、感情が爆発しているときに、「泣くな!」「やめろ!」は、自分だってつらい。今は「癇癪は仕方ない」「癇癪起こしたっていい」と考えることにしました。自分なりにつくった癇癪のルール。ただ…そう思っても、周りの目は気になります。そこで私は、自分の中でルールを決めました。Upload By SAKURA癇癪が起きたときは、とにかくどこにいても、娘を周りの目にさらされないところ(車や家)に戻れば、いい!どんなに娘が泣き叫んでいても、泣き止ませなくていい!と決めました。そう考えるようになってからは…Upload By SAKURA暴れた娘を抱えて家に戻り、ドアを閉めた瞬間、「よし!!ゴールした!よく頑張った、自分!」と自分を褒められるようになりました。自然と落ち着いていった癇癪。そんな考え方をするようにしてから、娘も、少しずつ…少しずつ変わっていき、癇癪を起こす頻度が減っていきました。回数も減りましたが、癇癪の起こし方も、年々パワーダウンしていきました。Upload By SAKURA特に、ここ最近は、奇声がなくなり、癇癪と言っていいのか?というほど、静かになりました。ただ、パニックになることはまだよくあり、すぐ泣いてしまうのは相変わらずです。しかし私は、それをゼロにしたいという思いは、今もありません。つい先日も、弟にゲームを取られ、大泣きしていましたが…Upload By SAKURA「小学5年生なのに、そんなことで泣くな!」とはあまり思いません。私とのやり取りは、こういう淡々とした姿勢の方がうまくいき、夫との場合…Upload By SAKURA二人で爆笑して終わる…という感じです。特別なことは何もしなかった。今振り返っても、なにか特別よかったという対応や、劇的に効果があった対策というものは、思い当たりません。ただうちの場合は、癇癪を起こしている娘を否定しないという姿勢は、ずっと同じでした。会話がほとんど成立しなかった4歳ごろまでは、ひたすら癇癪が収まるのを待ち…少しずつ会話ができるようになった5歳からは、なぜ悲しいかを聞き、共感し、どうしたらいいか、納得する答えを一緒に考えました。そして、10歳になったころからは、反抗期・思春期に入ったため、私たちの話をほとんど聞いてくれなくなったこともあり、発達外来の先生のアドバイスに従い、「泣いてもいいけど、あとは自己判断で、自己責任で」という対応にしています。(これが今の娘には、合っていたようでした)この記事を書くにあたって、娘と癇癪について話をしてみたら…Upload By SAKURA自分のことではないように、客観的に答えていました。しかし私は、娘がそうやって癇癪について、パニックについて、自分の状況の話ができるというのは、その状態の自分に罪悪感を抱かず、自分を責めていないからだと感じ、安心しました。自分のことを客観的に見ることができたり、そんな自分が嫌いじゃないというのは、きっとこれから生きていく上で、大事なこと。みんなと同じような、年相応の対応ができなくても、癇癪を起こしても、少し幼くても、娘は娘。いつか、大人になって一人で生きていけるようになる、その日まで…私は娘と一緒に、頑張っていきたいと思います。執筆/SAKURA(監修:初川先生より)癇癪についてのこれまでの歴史をありがとうございます。発達支援センターの方のご助言にもあるように「待つ」はとても大事な支援です。癇癪を起こしているときに、一生懸命良かれと思って語りかけても、それが自分にとって大切な語りであると認識できるようになるまでは、残念ながら火に油を注ぐ行動でしかありません。まずは火の勢いが小さくなるのを待つ、気を紛らす関わりができるならしてみる、というところです。大人の話が多少理解できるようになってからは、気持ちを言語化してみる(「悲しいね」「つらいね」など)、説得してみる、交渉してみるといった方法が少しずつ選択肢として浮上します。しかし、これは本当に個人差の大きいことなので、お子さんがそれを受け止められる段階がいつ来るか、それまでは成長を待つしかない面があります。癇癪を起こされたら困るから行動を制限する(ママ友さんの誘いを断るなど)気持ちも生じますよね。実際癇癪が起きたときにそばにいる家族には心身ともに大きな負担がかかってしまいますね。ただ、そこで外出しなくなってしまったり、ほかのお友達との関わりが減ってしまったりすることは、課題を先延ばしにしている面もあります。そういう意味で、癇癪を起こしても大丈夫なシチュエーションで外に連れだすという方法を検討されたのは何よりです。そして、心持ちとしても、「癇癪は仕方ない」「癇癪を起こしてもいい」と思えたこと、大きなターニングポイントとなられたことでしょう。できていないことをなんとかするだけを考えていると、そこにばかり注意が向いてしまい、大人の側がつらくなりますね。今すぐにはできないかもしれないけれど、少しずつ成長するのだと、どーんと構えられたこと、きっとあーさんにも安心感として伝わっていたと思います。
2022年03月16日癇癪を起こさないために普段から気をつけたいことUpload By 発達障害のキホンUpload By 発達障害のキホンUpload By 発達障害のキホンUpload By 発達障害のキホンUpload By 発達障害のキホンUpload By 発達障害のキホンいったん始まってしまうと、癇癪を鎮めるのは難しいので、普段の生活から子どもに十分配慮をし、癇癪が起きないように回避することが重要です。・刺激の過敏性に対する配慮気になるものをなくす、不快な刺激を生み出すものを遠ざける、違うものに変更するなど・見通しの立てられるような言葉がけを気持ちの切り替えを行うことは子どもにとっては難しいことです。いきなり遊びを中断されたりすることは子どもにとって大変ストレスなことなので、癇癪を起こす要因の一つとなります。あらかじめ予定を視覚的に見せることで伝わりやすくしたり、感覚過敏のある場合には、苦手な環境や状況を避けるなど、癇癪の背景にある特性に合わせて、癇癪が起きにくい環境を整えることが大切です。・自分の気持ちを知ってもらう「今、自分はこんな気持ちだ」ということが周囲に知ってもらうだけでも、気持ちが楽になっていくこともあります。例えば、困ったときに口に出すべき具体的なセリフを教えてあげることで、「困ったときには人に頼ってもいいんだ」という安心感が生まれます。・余暇グッズを用意する長時間待たなければならない場合など、何もすることのない状態だと手持無沙汰によるイライラや不安などから癇癪に繋がることがあります。本人の楽しめる余暇グッズを用意することで気を紛らわし癇癪を減らすことができます。・ルールを一緒に決める言葉を理解し、話すことができるくらいの年齢の子どもに対して有効な方法です。癇癪が起きてしまったときにつぶやくと落ち着く言葉や、落ち着く場所や行動など子どもと一緒にルールを決めておくとよいでしょう。対処方法をルール化することで、怒りの感情から抜け出すための「いつもの方法」をもつことができ、癇癪が起こったときに子どもが自分で冷静さを取り戻すことも可能となります。子どもが癇癪を起こしてしまった! クールダウンの方法は?癇癪への対応はそれが起こる前の環境調整や対応に力を注ぐことが原則です。しかし、十分な対応をしても癇癪が起きてしまう場合があります。その場合はどのように接するべきか前もって知っておくことで、焦らずに対応しやすくなります。癇癪が起きたときは、まずは子どもが怪我をしないように安全を確保します。危険なものを遠ざけたり、周りの安全を確保したりします。癇癪が生じた場合、必要以上に声掛けをしたり、注意したりしてかまうことで、結果的にそれが子どもの注目要求をかなえてしまったり、より興奮させてしまうことに繋がってしまうかもしれません。難しいところもありますが、できるだけほかのことに気を散らしたりして落ち着くまで待つほうがよいでしょう。癇癪が止まり、子どもが完全に冷静さを取り戻したタイミングで落ち着けたことをしっかり褒めるようにしましょう。褒めてあげることで子どもは安心感を抱き、さらには気分を落ち着けるための方法を学ぶことで、予防にもつながります。時間が経ってからだと、癇癪を起して落ち着いたという一連の流れを忘れてしまうので、落ち着いたらその場で褒めてあげることを心がけましょう。不適切な対処は、癇癪をエスカレートさせてしまう先に述べたように子どもが激しい癇癪を起こしている様子に周囲の大人が感情的に引きずられないように注意しましょう。親自身も子どもの隣にいるだけでイライラしたり、気分が乱れてしまいます。対応する大人の心が乱れていては、子どもに冷静に対応することはできません。物が飛んできたり、たたいたりと怒りの矛先が自分に向いたときには距離をとることも大切です。・感情的に叱るのはNG頭ごなしに叱りつけたり、いきなり力でおさえるような対応は、子どもを混乱させ、癇癪をエスカレートさせてしまうこともあります。逆に、強い癇癪に対して好きなものを与えてその場をおさめることを繰り返すと癇癪によって自分の要求をかなえると言う事を学習してしまう可能性もあります。・要求を通さないようにする癇癪を鎮めるためにおもちゃやお菓子を与えると、子どもの癇癪はその場では止むこともありますが、子どもに「癇癪を起こすとなにかいいことがある」と言うことを学習させてしまうことに繋がります。また、要求を通さないと最初に子どもに言ったならば、その態度を貫き一貫性をもって接することが大切です。ただ、乳児期の子どもの泣きやぐずりについては、子どもと保護者の愛着関係をつくり上げるための大切なコミュニケーション手段となり、その後の子どもの気持ちの発達の基礎となるので、子どもの要求に合わせて応対するという姿勢が必要です。子どもの癇癪に悩んだら、早めに相談を子どもがたびたび過剰に癇癪を起こす場合、保護者が一人で継続して向き合うことは簡単ではありません。また、癇癪が起こる場面を予測し、予防の方法を考えるには、専門性が求められることがあります。特にプランを見直しながら継続するのは負担が大きいので、専門家と連携しながら取り組むとよいでしょう。もし現在子どもとの関わり方や、癇癪への対応に一人で悩まれているのでしたら、なるべく早く相談できる味方を見つけることをおすすめします。子育て支援センターは、乳幼児の子どもと子どもをもつ親が交流を深める場です。市区町村ごとに、公共施設や保育所、児童館などの地域の身近な場所で、乳幼児のいる親子の交流や育児相談、情報提供などを行っています。子育てをしている家庭の支援活動を行う施設であり、保護者にとっては、育児に関する不安の相談に総合的に応じてくれる心強い施設です。詳しくは、お住いの市区町村のHP内の子育て・育児のページをご覧ください。子どもの特性や困りごとに応じた支援を行う、いわゆる療育プログラムを提供している福祉施設です。事業所によっては相談支援事業も行っており、保護者からの子育ての相談にも乗ってもらえます。また施設にもよりますが、言語聴覚士や理学療法士、 作業療法士などの専門家による支援を受けられる場合もあります。利用までにはお住まいの自治体の福祉担当窓口への申請が必要となりますが「通所受給者証」を取得することで、低い自己負担額で利用できます。発達障害の当事者、及びその周囲の関係者(保護者や教師など)を支援する機関です。大人の発達障害や、その関係者の支援が充実している施設ですが、基本的に年齢に関わりなく相談できる場所です。子どもの問題行動について機能分析の知識をもつ発達支援の専門家がいることもあります。癇癪があまりに強すぎると、反抗挑戦性障害や破壊的気分調節不全障害 、行為障害として診断される場合があります。そのようなときには何らかの医療・福祉的な配慮によってトラブルを解決できることもあります。あまりに高頻度で長時間の癇癪が続いたり、自傷行動を行うなど身体的、精神的にダメージが大きいときや、解決に緊急性が求められるときには医療機関への相談も選択肢の一つです。医療機関に相談する場合、「発達外来」や「小児神経科」「児童精神科」が専門となります。まとめ子どもが癇癪を起こさないように気をつけていても、すべてうまく対応できる訳ではありません。予期せぬ癇癪や、子どもの癇癪が続くことで親自身が落ち込んでしまったり、子どもに対して感情的な態度をとったことで自分自身を責めてしまうことがあります。つらい、どうしたらいいのか分からない、など悩むことがあれば、一人で抱え込まずに上の相談機関などに相談することが重要です。イラスト/かなしろにゃんこ。
2022年03月13日癇癪と発達障害って関連はあるの?Upload By 発達障害のキホンUpload By 発達障害のキホンたびたび癇癪が起こるからといって発達障害があるというわけではありません。ですが発達障害のある子どもに強く見られる傾向が癇癪が起こるきっかけと絡んでいる場合があります。自閉スペクトラム症、ADHDなど発達障害のある子どもによく見られる4つの傾向と癇癪の関係自閉スペクトラム症のある子どもには、感覚過敏がある場合が多くあります。周りの子が大丈夫な刺激でも過敏に反応して癇癪を起こしてしまうことがあります。また、自閉スペクトラム症のある子どものこだわりや不安の強さによって、普段と違うことが起きたり、突然の予定変更に気持ちがついていかず、癇癪に繋がってしまうこともあります。強い癇癪の背景には、言葉の理解と表出の発達に関するアンバランスさが影響している場合があります。また、知的障害を合併する場合は言葉の発達全般に遅れが見られたり、身振りや手振りなど言葉以外での表現も苦手であることで、その伝わらないもどかしさや要求を伝えるための手段として、癇癪を起こしやすくなると考えられます。このほかにも感覚の過敏性がある、決まったパターンが乱れることが苦手(同一性保持)、余暇の乏しさなどが、癇癪の背景にある場合もあります。私たちは、自分の意思と相手の意思の両方を考えながら、時には譲ったり、自分の願いを優先させるために交渉したりして、他人との関わりの中で生きていきます。発達障害のある子どもたちは、他者の意思と自分の意思を調節することが難しい傾向があります。自分と他者の意思を調整するためには、まず相手の気持ちを把握した上で、「これぐらいなら譲れる(または要求できる)」という2つのステップが必要です。自閉スペクトラム症といわれる発達障害のある子どもの場合、まず最初に必要な相手の気持ちや意図を理解するというステップを通過することが難しく、そのために自分と相手の意図を調節するための材料を持ち合わせていない状態に陥りやすいのです。こだわりがある、他人のペースに合わせるのが苦手、ということもあります。また、ADHD(注意欠如・多動性障害)がある場合は、「やりたい」という気持ちを抑えるのが難しいために、相手の気持ちが分かったとしても、その気持ちを譲ることができないことと、感情がすぐに表面化することで、爆発的に怒ってしまうことがあります。成長するにつれて人は自分のストレスを減らすために工夫を行います。発達障害のある子どもたちは、この自己調整や衝動性のコントロールを行うことが難しい傾向があります。このような行動の工夫を行うことが苦手なので、不快な状況をそのまま経験することになり、ストレスが蓄積されていきます。最後には自分の気持ちをコントロールすることができずに不満や怒りが爆発して癇癪を起こすことがあります。まとめ癇癪の原因は必ずしも子どもに発達障害があるから、というわけではありません。ですが発達障害のある子どもに強く見られる傾向を知っておくことで、子どもに癇癪が起きたときにより良い対応が取れる可能性があります。イラスト/かなしろにゃんこ。
2022年03月05日癇癪の予兆をつかむむっくんは小さなころから癇癪を起しやすい子でした。最近では以前と比べると自力でコントロールできるようになってきましたが、相変わらずときどき元気いっぱいに癇癪を起しています。パニック状態になり叫んだり暴れたり、周囲の言葉が届かなくなるので勘弁してよと言いたくなるむっくんの癇癪ですが、起こすときは必ず理由があります。むっくんの場合は周囲からの強い刺激(騒がしい音などの不快な感覚)や疲れに眠気。また、物事が思うようにいかないフラストレーション、他者から怒られるという恐怖、周囲に自分の想いを伝えられない苦しさ、自分を理解してもらえない悲しさなどが多いです。Upload By ウチノコこういった経験を重ねるうちに、私はむっくんの中にストレスや不快感をためておくコップがあってそれがあふれるときに癇癪が起こるイメージを持つようになりました。一度コップがあふれはじめると、むっくんはある程度発散し終わるまで落ち着くことが難しくなります。だけど癇癪を起こしたいと思っているわけではありません。それしか発散方法がない所まで追い詰められるから、癇癪で放出するしかなくなるのだろうと感じています。そのため、わが家の癇癪対応のカギのひとつは【コップの中身をあふれさせない過ごし方】であると考えています。Upload By ウチノコクールダウンアイテムむっくんの癇癪の予兆は、イライラしていたり家族の生活音を嫌がるなどがあります。基本的には不快、恐怖、不安などがストレスの成分なので、予兆を感じたら安心安全心地よさを感じられるアイテムを発動します。むっくんの大好きな揺れや包まれた感覚、浮遊感などの感覚刺激を入れることができます。そこで本を読む時間がとれると、最高に落ち着けるようです。体重を預けて横になると、とてもリラックスできるようで本人も疲れると自分から横になっています。周囲を囲まれた段ボールの中などの狭い空間は落ち着く様子で、イライラしてくると自分からソファーの下に潜り込んだり、静けさを求めて自分の部屋にこもったりすることもあります。そういうときは家族みんなむっくんが落ち着くまで刺激を与えず、そっと見守るように心がけています。好きな音楽はむっくんにとってクールダウン効果の高いアイテムです。好きな音楽はむっくんのタブレット端末に入れてあり、自分の判断で聞けるようにしてあります。また、好きな音楽を使った音楽ゲームなども視覚、聴覚から心地よい感覚を入れることができる様子です。Upload By ウチノコこれはむっくんが小さなころから大好きな4原則。この要素を含んでいてぼんやり眺めることのできるおもちゃは8歳の今も相変わらず大好きです。こういった同じ動きを反復するものを静かに眺めることはクールダウンにつながりますむっくんは大人向けの宇宙の番組が小さなころから好きでいくつかお気に入りがあるのですが、疲れを感じるときほど好んで見ている様子です。興奮したりワクワクする番組ではなく、何度も繰り返し見ている静かな宇宙の番組を選ぶのは安心できて落ち着くからなのだろうと感じています。全身でお湯の心地よさを感じることができるお風呂やシャワーは小さなころからクールダウン効果の高いアイテムです。癇癪を起こしてからでも水に触れると落ち着きやすいのでよく利用しています。むっくんは空腹感で癇癪を起こしやすくなることがあります。彼には感覚鈍麻な一面があり空腹に気づきにくいことがあるので、イライラしていたらラムネやチョコなどで血糖値を上げることを意識しています。むっくんはどこへ行くにも決まったお気に入りのおもちゃ(ぬいぐるみやブロック)を持っていきます。これは遊ぶためではなく、かばんに入っていると思うだけでとても安心できるから持ち歩きたいのだと教えてくれました。年齢にそぐわない行動かもしれませんが、外出時はいつも以上に不安を感じやすいので彼なりのお守りなのかな?とその習慣を尊重するよう心がけています。Upload By ウチノコ自分と折り合いをつけていく小さなころは癇癪を自制することがとても難しかったむっくんですが、現在は一生懸命自分の中にある激しさと折り合いをつける努力を重ねるようになりました。癇癪は問題行動とレッテルを張られてしまうこともありますが、何より、誰より、本人がそれと折り合いをつけたいと思っているように感じています。むっくんが7歳になったころから、ストレスにうまく対処する方法【ストレスコーピング】を意識してどんなときに緊張が高まるか、どんな方法をつかうと緊張が和らぐかということを一緒に話し合うようになりました。自分の感覚を共に言語化していくことで、自分を知り少しずつ対処できることも増えてきたむっくん。これからも相談し合いながら心地よい環境を整えていけたらと思っています。執筆/ウチノコ(監修:初川先生より)癇癪を起こすことを“コップに注がれるストレスや不快感があふれるイメージ”と捉え、癇癪を起こしたくて起こしているのではなく、そういう方法しかないところまで追いつめられているからそうなっているのだ、という理解。その理解によってどれほどむっくんは救われていることか…!と思います。癇癪を起こされると、保護者や周りの関わる大人はご自身が困ってしまうため、いかにして癇癪を起こさないようにするか、だって癇癪が起きたら迷惑…そんな風に考えてしまうこともあると思います。しかし、癇癪を起こしたくて起こしているのではなくそうせざるを得なかったから、という理解があるだけで、お子さんへのまなざしはとてもあたたかいものになっているだろうと感じます。不快感やストレスを減らし解消する具体的な方法も、同じように困っている子や保護者の方にはとても参考になりますね。さまざまなところで言われているように、触覚、聴覚、視覚に働きかけるものが多いですね。お子さんの好みに合うものをぜひ探してみてください。持ち歩けないものは写真で持ち歩き安心感を得る、というのはなるほどそういう方法もあるんだなと勉強になりました。むっくんはまだ子どもですが、大人になるにつれて、自分自身でどういう場面でどう疲れてしまうのか、そのためにどうしたらよいか、ということを理解していく(自己理解を深めていく)ことが求められていきます。その準備として、親子で試行錯誤してみることはとても大切ですね。親子での理解、自己理解が深まるにつれ、「折り合いをつける」ことがどんどん上手になってゆくことと思います。
2022年03月04日子どもをうまく愛せない……。そう深く思い悩み、心療内科を受診した私の行き着いた先は「愛着障害の疑いがある」という診断でした。なぜ愛着障害になったのか? それは私自身の生い立ちにありました。 なぜ無性にイライラするの?私は現在2児の母親ですが、上の子どもを出産したときは実家との折り合いが悪く、里帰り出産をしませんでした。したがって、退院してからは自分ひとりで子育てをしなければならず、毎日とても必死だったのを覚えています。そんなストレスフルな環境で、上の子どもが1歳半くらいのときから、子どもに対して無性に腹立たしくなってしまうことがありました。 子どもは特にかんしゃくがひどいとか、何か成長に関して大きく気になることがあるといった問題もありません。冷静に考えてみれば、ごく一般的な子どもが、ごくごく普通にママに愛情を求めて泣いたり、自己主張したりしているだけなのに、それだけでもイライラしてしまう自分がいたのも事実です。 2人目もワンオペ。そして精神の限界へ本格的に上の子に対して嫌気がさしてきたのは、下の子を出産したときでした。このときも里帰りはせず、退院直後から3歳になった上の子と新生児をワンオペで見る毎日。もう私の精神も限界に達していたのでしょう。思わず感情的に怒鳴り散らしたり、またある日は突然涙が止まらなくなったり。 そんな状態が下の子を出産して半年。私の情緒は落ち着くばかりか、ますます不安定になっていき、ついに意を決して心療内科を受診することに。結果は「適応障害」と「産後うつ」。おまけに「発達障害の疑いがある」とも言われ、後日心理テストを受けることになったのです。 発達障害を調べるテストを受けた私発達障害などを詳しく調べる検査は2日かかりました。1日目は臨床心理士さんとの面談があり、具体的にどのような家庭で生まれ育ったか、また学業成績など客観的な私の過去のデータについて話したのです。2日目はIQテストや、日常生活においてどれほど困難さを感じるかの自己記入式テストをしました。 2日合わせて3~4時間ほど費やして、精密に検査をしていただきましたが、結果は「発達障害はない」との所見でした。しかし、私の症状や実親からの虐待などの出来事から「愛着障害である可能性がある」と聞かされたのです。 検査を通してわかったこと「愛着障害」とは、乳幼児期において暴力やネグレクトなど適切な愛情を持って育てられなかった子どもが、社会人になったときに対人関係や仕事、そして育児などに支障が出る障害のことだそうです。 愛着障害と聞かされたときは「やっぱりな」と腑に落ちる私がいました。しかし、この検査を通して愛着障害と判明したことで、今までの生きづらさの理由がわかり、それを私の子どもたちに味合わせたくないと強く感じたのです。 イライラの理由が明確にわかったことで、これからは自分のつらかった過去とも向き合いながらも、子どもたちを育てていこうと心に決めることができたので、私は検査を受けてよかったと感じています。 ※本記事の内容は、必ずしもすべての状況にあてはまるとは限りません。必要に応じて医師や専門家に相談するなど、ご自身の責任と判断によって適切なご対応をお願いいたします。 「共感した」「私の場合はこうだった」など、ぜひベビーカレンダーサイトのコメント欄にご感想をお寄せください。また、ベビーカレンダーでは皆さんから募集した体験談を記事でご紹介させていただくことも。ベビーカレンダーに会員登録すると届くメルマガから、皆さんのオリジナル体験談をご応募ください。 イラストレーター/あさうえさい著者:仲本まゆこ自身の体験をもとに、妊娠・出産・子育てに関する体験談を中心に執筆している。 監修者・著者:助産師 松田玲子医療短期大学専攻科(助産学専攻)卒業後、大学附属病院NICU・産婦人科病棟勤務。 大学附属病院で助産師をしながら、私立大学大学院医療看護学研究科修士課程修了。その後、私立大学看護学部母性看護学助教を経て、現在ベビーカレンダーで医療系の記事執筆・監修に携わる。
2022年03月03日子どもの癇癪とは?何故起きるの?Upload By 発達障害のキホンUpload By 発達障害のキホンUpload By 発達障害のキホンUpload By 発達障害のキホン癇癪(かんしゃく)とは、声を荒げて泣いたり、激しく奇声を発したりするなどの興奮を伴う混乱状態を指します。怒りや不安などの感情を持つこと自体は誰にでも起こる自然な現象ですが、気持ちのコントロールがうまくできないときに癇癪は起こります。具体的な癇癪行動としては以下のような状態がよく見られ、子どもによって一人ひとり異なります。・床にひっくり返って泣きわめく・物を投げたり、自分の頭をものにぶつけたりする・周りの人を殴ったり蹴ったりするそれまでは問題なく穏やかに過ごしていた子どもが突発的に癇癪を起こすこともあります。また過度な場合だと癇癪を起こしているときに、自制できない衝動的な行為として自分を傷つけてしまったり(自傷行動)、物を壊したり、他者を傷つけてしまう(他害)こともあります。癇癪は、乳児期には空腹や眠気、痛み、おむつが濡れたりといった不快な刺激や状況によって不快な刺激や状況によって生理的に引き起こされるものですが、成長に伴って子どもにとっての何らかの不都合を親や周りの人へ伝え、それを取り除く社会的なコミュニケーションの機能をもってきます。例えば、おもちゃを取り上げられてしまって癇癪を起している子どもの状況を考えてみましょう。おもちゃを取り上げられた子どもにとっては「おもちゃが自分の手元からなくなったこと」が不都合なことです。そのおもちゃを取られたという状況をなくすために、手段として癇癪を起こすという行動の流れになります。ですので子どもの癇癪をただ「怒っている」「泣き叫んでいる」という単なる一つの行動ではなく、「不都合な現実(原因)」→「不都合を取り除く方法(手段)」→「目的の達成」というグループ化された行動のまとまりとして捉えていくことが大切です。上の例でいうとおもちゃを自分の手元に取り戻すことが「目的の達成」です。もう一つ大切な点は、癇癪を起こす子ども自身も怒りの爆発を抑えられず困っている場合があるということです。泣き叫ぶ子どもを見ると「どうして早く泣き止まないの?」とイライラすることもあるかもしれませんが、癇癪がひとたび始まると本人も感情を抑えようとしても抑えられないのです。詳しいことはあとで述べますが、これは子どもの癇癪を理解するために重要な、もう一つのポイントとなります。癇癪は赤ちゃんから幼児期、児童期にも見られ、思春期や大人になっても続くこともあります。発達段階やその場の状況によって原因は異なるものの、癇癪が起きているときには、「何か不都合を取り除こうとしている」そして「困っているよとサインを発している」という二つの点を思い出してみてください。癇癪を起こす原因は?その場の状況や子どもの気質によって、癇癪を起こす原因はさまざまです。癇癪を起こす子どもにはどのような背景があり、癇癪がどのような目的を達成するための役割を果たしているのかを考えていきます。子どもが生まれてからしばらくの間は、保護者の養育のもと、眠ったり、おっぱいを飲んだりします。その際に「眠たいのに眠れない」、「お腹が空いた」、「痛い」、「オムツか濡れた」などの生理的な不快を泣くことで表現します。赤ちゃんが泣くと、保護者はあやしたり、ミルクをあげたりといった生理的な不快を解消するお世話をします。この関わりによって、赤ちゃんはコミュニケーションを学んでいきます。ですので、赤ちゃんが癇癪を起したり泣いたりすることは、この時期に必要なことです。※自閉スペクトラム症のある子どもの中には、感覚過敏がある場合が多くあります。周りにいる子どもが大丈夫な刺激でも、過敏に反応して癇癪を起こしてしまうことがあります。1歳ごろになると、保護者のしてほしいことと子ども自身がしたいことが違う場合があることをぼんやりと分かり始めるようになります。このころから、保護者の行為に対して拒否的な反応を示すようになっていきます。癇癪を起してしまうのは、どうしても不都合で回避したい出来事があるようなときでしょう。これらの反応は、自分が保護者とは別の意図をもった人間であるということを子どもが学習し、次第に気付いてきたという成長のあらわれです。これはだいたい1歳ごろから始まるとされており、2・3歳になると言葉も加わって「いやっ!」といいながら自分の意見を主張します。これがイヤイヤ期といわれる時期です。周囲の人と言葉でコミュニケーションができる子どもであれば、苦痛や拒否、要求などを適切に表現して伝え、助けを求めることができるでしょう。前に述べたように、乳児期の不快な状況に対する生理的な泣きは、成長とともにコミュニケーションの機能を持つようになります。特に言葉をまだ覚えていない乳幼児期の子どもの場合には、泣き叫んだり、暴れたりするなどの行動によってしか、自らの気持ちを伝える手段がありません。このような学習性の癇癪には、大きく分けると注目、要求、拒否の3つの場合があります。【注目】注目を引きたい、かまってほしい【要求】物が欲しい、活動を行いたい【拒否】活動をやめたい、ある状況を避けたい等、嫌だという気持ちを伝えたいつまり過去に、癇癪を起こすことによって結果的に要求を叶えたり、嫌なことしなくて済んだりしたといった経験があった場合にはコミュニケーションの手段として癇癪が習慣化してしまっていることが考えられます。例えば、癇癪を起こすと母親が駆けつけて抱きしめてくれた、癇癪を起こしておもちゃを貸してもらったなど、親にとっては癇癪をやめさせようとしてとった行動が、子どもにとっては「癇癪を起こすことで望ましい結果が得られる」というご褒美になっていることもあるのです。癇癪はそれぞれの子どもの状況において別々の原因がありますが、こうした経験が重なることで、かまってほしいときに行うコミュニケーション行動として「泣き叫ぶ」「暴れる」ことが学習され、定着してしまっている可能性もあります。まとめ子どもの癇癪の原因は一人ひとり違います。乳児期には生理的な不快感や状況によって引き起こされる生理的な刺激に基づいた癇癪が多いですが、成長するにつれて学習性の癇癪へと変化していきます。まずは子どもがどのような状況で癇癪を起こすことが多いのかを理解し、癇癪が起きる前に子どもの癇癪の原因の「不都合」や「困り」をできるだけ取り除くこと、癇癪に変わる適切なコミュニケーションを教えていくことがポイントです。イラスト/かなしろにゃんこ。
2022年02月27日好きな人と距離を縮めるために、LINEに頼る人もいるでしょう。必死にアプローチしようとすると、男性を困らせてしまう可能性も。今回は、男性を困らせるLINEをご紹介します。ぜひチェックしてみてくださいね。■ 独り言LINE男性にアプローチしたいと思いつつも、露骨になりすぎないようにしようとすると「独り言LINE」になりがちです。「今仕事終わったー」や「このカフェ気になる」などと言っても、返信に困らせるだけかもしれません。気を遣ってうまく返信してくれる男性もいるかもしれませんが、なかには「面倒くさい」と既読無視する男性もいるのだとか。まずは相手に質問したり、リアクションしたりしてコミュニケーションを取ろうとすることが大切です。独り言にならないように気を付けましょう。■ 「今なにしてるの?」とにかく話題を探さなきゃ……と思ったときには、「今なにしてるの?」と聞くこともあるかもしれません。いつでも送信できるLINEだとはいえ、受け取る側に余裕がない場合も。忙しいときや疲れているときに「なにしてるの?」と言われても、ただうんざりするだけの男性が多いようです。相手の状況を考慮したり、「お疲れ様」などねぎらいの言葉を添えたりしれ気遣う心を忘れずにいましょう。■ 親しくなのに相談男女が仲良くなるために、相談するのは有効な手段だといえるでしょう。人は「助けた相手に好意を抱く」傾向があります。これをうまく活用できれば進展も可能ですが、それほど親しくない仲だと警戒させてしまうことも。まずはある程度信頼関係を築くようにしましょう。文章だけで相談すると相手に時間を取らせることにもなるので、会う約束をしたり電話で済ませたりするのがいいかもしれませんね。■ 楽しくなるよう意識してみてLINEではいつでも簡単に送れる半面、文字だけのやり取りなので難しさを感じることもあるでしょう。対目での会話のように、お互いが楽しめるような会話を心がけられるといいかもしれません。一方的にならないように注意してみてくださいね。(岡あい/ライター)(恋愛メディア・愛カツ編集部)presented by愛カツ ()
2022年02月06日■前回のあらすじ病院の予約を取らず先延ばしにする夫をせっついて、やっと心療内科の診察の日を迎えました。看護師さんのヒアリングを経てようやく診察室へ…。■ADHDの傾向はある、しかし…?最初は、前回かかった適応障害についての話から始まりました。当時ナギさんはこの病院に行って、適応障害の診断書と薬を貰ったのですが、その後退職&体調も良くなったので自己判断で薬をやめて(本当は勝手にやめるのはダメです)、病院にも行っていませんでした。なので、その後と現在についての簡単な聴き取りがありました。そして次に私に、ふだん夫に落ち着きのなさや衝動的な行動は見られるか? という主旨の質問がありました。私は「最初は気づかなかったんですけど、ADHDの存在を知って多動という言葉を見た時に、夫はこれかも、と思いました」と答えました。ただとっさだったので具体例が挙げられなかったのが悔やまれます…。※私は後から「もっとこう言えばよかった」と思うことがいくつかあったので、もし心療内科へ行く時は事前に伝えたいことやエピソードをメモしておくことを強くおすすめします!■なんかコレジャナイ感がある!出された薬をネットで検索してみたら、どうやら「うつ」に効く薬らしい…? ナギさんは「俺がストレスあるって答えたのは、自分の特性からくるストレスなんだけど…。この薬でいいのかな?」と言っていました。正直私も同意見だったのですが、「夫はADHD?」という考えに偏りすぎているのかもしれないと思いました。「先生はプロだし、何か考えがあってこの薬を出したんだろう。この薬の効果によって今後の方針を決めようとしてるのかも。だから言われた通り飲んでみようよ」とナギさんに伝えました。そして薬を飲み始めたナギさんですが、どうやら薬を飲んだ直後からものすごく眠くなるらしい。(もちろん個人差あると思います)ナギさんはしばらくは仕事の休みもなく病院には行けない状態。また勝手に飲むのをやめようとしていたので慌てて「電話して聞いてみなよ」と言うと、なんとか納得してくれました。次回に続く「もしかして、夫はADHD?」(全19話)は21時更新!※この記事に記載された症状や治療法は、あくまでも筆者の体験談であり、症状を説明したり治療を保証したりするものではありません。気になる症状がある場合は医師にご相談ください。
2022年01月11日■前回のあらすじどうして病院に行ってほしいか理由を話すと理解してくれた夫。しかし、もし治療することになった場合の薬の服用については不安感を示し…。■病院予約するまで2ヶ月…「行く」と言ってから実際に病院予約するまで2ヶ月かかりました。私がせっつかなかったら、恐らくまだ行ってなかったと思います (こういう大事なことに関する先延ばし癖も本当に多いです)。 私が病院を調べてURLを送るところまでして、やっと動いてくれました。しかし、私がおすすめした病院はかなりの人気らしく「予約が2ヶ月以上先まで埋まっている」と言われたそうです。心療内科ってそんなに混んでるんだ…。ナギさん(夫)は独身の頃に仕事が原因で適応障害になっているのですが(転職したことで回復)、そのときにかかった病院にダメ元で電話してみたら、ちょうどナギさんが休みの日に予約が取れたので、そちらの病院に行くことにしました。■いよいよ診療内科での診察私が看護師さんに聞かれたのが・ここに来た目的・どういう状態になるのが理想か・その他ナギさんについて気になる点看護師さんは基本的に聞き役で、私が言ったことを紙にまとめていました。そしてその後、私とナギさんで先生のいる診察室に呼ばれたのでした…。次回に続く「もしかして、夫はADHD?」(全19話)は21時更新!※この記事に記載された症状や治療法は、あくまでも筆者の体験談であり、症状を説明したり治療を保証したりするものではありません。気になる症状がある場合は医師にご相談ください。
2022年01月10日「助けて」運良く空きがあった発達クリニックへ2歳の後半からほぺろうの癇癪は悪化。一日のうち10回は癇癪が起爆し、一回につき1時間ほど引きずるという毎日を繰り返し、当のほぺろうも、つき合わされる私も満身創痍でした。さすがの私も「成長を待てば何とかなるものではないかも」と察し、誰かに助けを求めなければと思い始めました。調べてみると、ちょうど近所に発達クリニックがあったので意を決して電話。一般的に発達クリニックは予約を取るのが大変だと聞いていたので、半年は待つことを想定していましたが、運良く「2週間後に空きがあります」との返事に私は飛びつきました。Upload By ぼさ子初めて訪れた発達クリニック。病院っぽい佇まいを見ただけで、ほぺろうは案の定、大号泣!!パニックを起こし、抱きかかえるのも至難の業でした。待合室に検査の人が来て「こんなに泣かれては検査できません。本当に今日検査しますか?」と聞かれました。そう言われて「発達検査って、泣かない子しか受けられないものなの!?」と頭をよぎりましたが、当時の私は発達クリニックをよく知らなかったので、この時点で「ほぺろうは発達クリニックでも手に負えないんだ」と愕然としました。でも今日を逃したらもう予約は取れないと思った私は、「すみません、すみません…やれることだけでもお願いします」と必死にお願いしました。Upload By ぼさ子ほぺろうに検査は到底できないので、暴れるほぺろうを抱えながら行った”保護者の聞き取り調査“。待合室中にほぺろうの泣き声が響き渡り、ほかの患者さんやクリニックに申し訳ない気持ちで心が折れそうでした。検査の人にも「今日は無理じゃないですか?」と何度か声をかけられましたが、当時の私はほぺろうの困りごとを助けてほしくて「聞き取り調査だけでもお願いします!」と必死でした。しかし、やがてベテランらしきスタッフが登場し強い調子で言われました。「こんなに泣くなんて、すごい声」と。お子さんは連れてこないでさらに、「聞き取り調査の結果は10日後に出ますが、説明が泣き声で聞こえないのでお子さんは連れてこないでください」と言われました。結果が出る日は夫にもほぺろうを預けられないことが分かっていたので、「どうか子ども連れでもお願いします」と私は頭を下げましたが、「無理なら諦めてください。その日しか予約は取れませんよ」と言われてしまいました。そして当日、嫌な顔をされると分かりつつ この日しか話を聞けないということなので、号泣するほぺろうを抱えて再び来院。待合室に入るなり、「詳しい説明はいらないでしょう」と言われてしまい、そのまま追い返されるように帰りました。Upload By ぼさ子「今 本当に困っているけど、ほぺろうもしんどいし周りにも迷惑かけるから、ほぺろうに手がかからなくなる日まで診察は諦めるべきなのかな…」そのときすでに心身擦り減っていた私は、何が正しい判断か分からなくなっていました。そして「私たち親子は、発達クリニックにも助けてもらえない存在なんだ」と、ますます孤独が深まりました。Upload By ぼさ子クリニックが変われば対応も変わる時が経ち、その後、引越しを機に現在お世話になっている発達クリニックを発達支援センターより紹介してもらいました。そこでもほぺろうは変わらず大号泣。申し訳なさすぎて、以前の発達クリニックでの経験から「次回から先生のお話だけの日は、息子を夫に預けてきた方がいいですか?」と恐る恐る聞いてみました。すると先生が、「お子さんの様子を見るのも診察のうちなので、なるべく連れてきてほしいです」と仰ってくださり、存在を否定されなかったことに私は目頭が熱くなりました。Upload By ぼさ子医療・療育関係のみなさまへの願い初めて発達クリニックを訪ねてから数年が経ち、優しく親身になってくれる方々にたくさん出会うことができました。今なら「初めて行った発達クリニックは、配慮がなかったな」と思うことができますが、何も知らなかった当時の私は、発達障害のある子を助けてくれるはずの機関に見放されるなんてと思い詰めていました。あのような対応は滅多にないと信じたいですし、現在お世話になっている発達クリニックのような対応が一般的なのかもしれません。『もしかして発達障害?』とわが子の発達に心配を抱える親子は、おそらく診断が出る前が一番精神的に不安定なのではと想像できますし、心身がすでにボロボロになっている可能性が高いと思うのです。医療機関や療育関係のみなさまにとっては、数多くいる相談者の中の一組かもしれません。でもその一人ひとりの親はわが子を心配し、とまどい悩み必死です。どうか保護者の気持ちにも寄り添っていただけたらと願ってやみません。Upload By ぼさ子執筆/ぼさ子(監修:初川先生より)あぁ、なんと最初のクリニックのひどいこと…!!拝読しながら衝撃を受けました…!困っているから受診しているのに、そんな親子をさらに追い詰めて、一体何がしたいんだと怒りすら湧いてきます…。同じ支援者界隈の人間として、つらい思いをさせてしまったことをお詫びしたいくらいです。ほんとにもう…!さて、しかしながら、残念な支援機関や医療機関が存在するというのは、私も各所で耳にすることです。それを回避する方法として、一つには、地域の相談機関や子育て支援機関にまず相談して、その中でおすすめの医療機関など地域の情報を得るという方法があります。行政の相談窓口だと、特定の医療機関をおすすめすることは実は難しいことですが、それでも実際には、「このあたりの人がよく受診する医療機関」については教えてくれたりします。ぼさ子さんが最後のイラストで描かれているように、「子どもの安心って親の安心からつくられる」はまったくその通りです。保護者の方をまず支えるのが支援機関の最低限の務めだと思います。クリニックであれ、相談機関であれ、最初に訪れる際にはとても勇気が要ったことと思います。「相談に来てよかったです」や、「あのとき勇気を出してよかったです」と感じていただけるのが支援者の使命だと多くの支援者は思っています(なのにほんとに、どうしてあんなことに…!)。みなさまが良き支援者・機関と出会えることを祈りつつ、支援者として気が引き締まるお話でした。
2021年12月17日育児につまずき、思い詰めて心療内科を受診した私。そこで医師から投げかけられた言葉は「発達障害の疑いがある」という、私にとって意外な言葉でした。そこで心理テストを受け、結果を受け止めた今の自分の心境をお伝えします。ほかのママとどこかで比べてしまう現在、私は3歳と0歳の姉妹を育てている2児の母親ですが、上の子も下の子も出産後から両親や親戚などに頼らず、ほぼワンオペで育児をおこなっていました。孤独に育児をしていたこともあってか、ほかのママ友たちと自分を比べると「どうも私は子どもに対する愛情に欠けているのではないか」と思ってしまう自分がいることに気付いたのです。たとえば、子どもとどうやって遊べばよいか本気でよくわからなかったですし、一生懸命に育児本を読んでそのようにおこなっても、いまいち乗り気になれない自分がいたりしました。特に下の子を出産したあとの数カ月の間は、上の子に対して感情的に怒鳴るなどひどい扱いをしていたことも事実です。そんな出来事から「私はもしかして産後うつなのでは?」と思い悩み、また慢性的な睡眠障害もあって、思い切って心療内科を受診したのです。 思い切って心療内科を受診心療内科を受診したのは下の子が生後半年を過ぎたころでした。医師からの診断は「適応障害と産後うつ」そして「発達障害の疑いがある」という、私にとっては衝撃的な話でした。恥ずかしながら発達障害というワードだけは聞いたことがありましたが、詳しくは知りませんでした。早速家に帰って発達障害について調べてみたり、セルフチェックテストなどをおこなったりしました。たしかに今までの人生を振り返ってみて対人関係においてのつまずきや、職場でのトラブルなどはあったのも事実ですし、いわゆるADDやADHDの症状である「忘れっぽさ」や「衝動性の強さ」「こだわりの強さ」があったように感じました。 愛着障害と診断を受けて後日、2日ほどに渡って精密な発達障害の心理テストを受けたのですが、結果は「発達障害の所見はなし」でした。しかし、私が過去に実親から暴力などの虐待を受けたことがあるということから、「愛着障害の可能性がある」と医師から聞かされました。愛着障害とは、乳幼児期において暴力やネグレクトなどで傷を負い、適切な愛情を持って育てられなかった子どもが、社会人になったときに対人関係や仕事、そして育児などに支障が出る障害のことだそうです。医師からその診断を受けたときは、正直言って「やっぱりな」と思う自分がいました。 まさか自分が発達障害の疑いを持たれるとは思いもよらず、心理テストの結果が出るまではモヤモヤでいっぱいでしたが、発達障害やそのほかの精神疾患などについての勉強にもなりました。客観的に自分が親にされてきたことは虐待だったのだと受け止め、過去の自分と向き合うことで本当の私になれる気がしています。 ※本記事の内容は、必ずしもすべての状況にあてはまるとは限りません。必要に応じて医師や専門家に相談するなど、ご自身の責任と判断によって適切なご対応をお願いいたします。 監修/助産師REIKO著者:仲本まゆこ自身の体験をもとに、妊娠・出産・子育てに関する体験談を中心に執筆している。
2021年11月29日育児につまずき、思い詰めて心療内科を受診した私。そこで医師から投げかけられた言葉は「発達障害の疑いがある」という、私にとって意外な言葉でした。そこで心理テストを受け、結果を受け止めた今の自分の心境をお伝えします。ほかのママとどこかで比べてしまう現在、私は3歳と0歳の姉妹を育てている2児の母親ですが、上の子も下の子も出産後から両親や親戚などに頼らず、ほぼワンオペで育児をおこなっていました。孤独に育児をしていたこともあってか、ほかのママ友たちと自分を比べると「どうも私は子どもに対する愛情に欠けているのではないか」と思ってしまう自分がいることに気付いたのです。たとえば、子どもとどうやって遊べばよいか本気でよくわからなかったですし、一生懸命に育児本を読んでそのようにおこなっても、いまいち乗り気になれない自分がいたりしました。特に下の子を出産したあとの数カ月の間は、上の子に対して感情的に怒鳴るなどひどい扱いをしていたことも事実です。そんな出来事から「私はもしかして産後うつなのでは?」と思い悩み、また慢性的な睡眠障害もあって、思い切って心療内科を受診したのです。 思い切って心療内科を受診心療内科を受診したのは下の子が生後半年を過ぎたころでした。医師からの診断は「適応障害と産後うつ」そして「発達障害の疑いがある」という、私にとっては衝撃的な話でした。恥ずかしながら発達障害というワードだけは聞いたことがありましたが、詳しくは知りませんでした。早速家に帰って発達障害について調べてみたり、セルフチェックテストなどをおこなったりしました。たしかに今までの人生を振り返ってみて対人関係においてのつまずきや、職場でのトラブルなどはあったのも事実ですし、いわゆるADDやADHDの症状である「忘れっぽさ」や「衝動性の強さ」「こだわりの強さ」があったように感じました。 愛着障害と診断を受けて後日、2日ほどに渡って精密な発達障害の心理テストを受けたのですが、結果は「発達障害の所見はなし」でした。しかし、私が過去に実親から暴力などの虐待を受けたことがあるということから、「愛着障害の可能性がある」と医師から聞かされました。愛着障害とは、乳幼児期において暴力やネグレクトなどで傷を負い、適切な愛情を持って育てられなかった子どもが、社会人になったときに対人関係や仕事、そして育児などに支障が出る障害のことだそうです。医師からその診断を受けたときは、正直言って「やっぱりな」と思う自分がいました。 まさか自分が発達障害の疑いを持たれるとは思いもよらず、心理テストの結果が出るまではモヤモヤでいっぱいでしたが、発達障害やそのほかの精神疾患などについての勉強にもなりました。客観的に自分が親にされてきたことは虐待だったのだと受け止め、過去の自分と向き合うことで本当の私になれる気がしています。 ※本記事の内容は、必ずしもすべての状況にあてはまるとは限りません。必要に応じて医師や専門家に相談するなど、ご自身の責任と判断によって適切なご対応をお願いいたします。 監修/助産師REIKO著者:仲本まゆこ自身の体験をもとに、妊娠・出産・子育てに関する体験談を中心に執筆している。
2021年11月29日私は5歳と2歳の娘たちを育てています。5年間子育てをしていますが、イヤイヤ期に突入した下の子と上の子の対応が大変で、ここ数カ月ほどが一番育児がつらいと感じ、現在、うつ状態になってしまっています。どのような症状が出ているのか、症状を良くするために何をおこなっているのかをお話ししたいと思います。 つらくなった原因下の子が2歳になりイヤイヤ期に突入する前は、上の子のペースで物事を進められました。しかし下の子に自我が芽生えてきてからは、何をするにも姉妹で意見が衝突して、時間がかかるように。例えば、1人が階段で帰りたいと言えばもう1人はエレベーターが良いと言い、次はエレベーターのボタンをどちらが押すかでもめるなど……その繰り返しなのです。 「なるべく2人の意思を尊重してあげないと」と思い、1回で済むことも順番にやらせたり、諭したり、なだめたりと頑張っていたのですが、争いが減ることはなく私の神経だけがすり減っていきました。 私の体の変化特につらかったのが幼稚園の夏休み期間中です。2カ月弱の間、姉妹が四六時中一緒にいることでいざこざは絶えず、私のストレスもマックス! 仲良く楽しく過ごしたいのに、怒ってばかり。そんな自分に嫌気がさし、母親としての自信も喪失。そして、夏休みが明けたころ体調に変化を感じるようになってしまいました。 とにかく体が重く、何もしたくないし、すぐ涙が出るのです。家族のためにも元気に普段通りにしなくては、と気持ちを奮い立たせても、何かがおかしく、子どもたちと一緒の空間にいることさえしんどかったです。 心療内科と育児相談へそんな状態が1カ月ほど続いたので私は心療内科に行く決心を……。初診では何がつらいのか、どのような症状かを10分ほど医師と話し、安定剤が2週間分処方されました。そして2回目の受診で、あまりよくなっていないことから抗不安剤が追加されることに。 薬の力を借りるとともに、育児の悩みや不安も聞いてもらいたいと思い、地域の子育て相談にも行ってみました。相談にのってくださった子育て支援者さんは真摯に話を聞いてくださり、母として頑張りすぎないためのコツをいろいろと教えてくれました。普段人には言えないような深く、暗い話を支援者さんたちとすることで、私は自分の気持ちを整理することができ、ストレス発散ができました。 体調がおかしいなと感じてから2カ月ほど経ちました。まだ本調子ではありませんが、どん底のときに比べるとかなり良い状態です。もうしばらく医療と地域の子育て支援者さん、そして家族の力を借りて本来の自分を取り戻していきたいです。 監修/助産師 松田玲子作画/はたこ著者:山本加奈子2児の母。自身の体験をもとに、妊娠・出産・子育てに関する体験談を中心に執筆している。
2021年11月28日ほぺろう2歳。少しでも癇癪を改善したくて…ネット検索漬けの日々Upload By ぼさ子自閉症と知的障害のある、わが家の息子ほぺろうは、現在保育園の年長さん。6歳になりましたがいまだに発語はありません。1歳半健診のときに発達の遅れを指摘されていましたが、言葉の遅れを気にしている余裕がないくらい悩まされたものが『癇癪』。ほぺろうは2歳を過ぎたあたりから癇癪が激しくなり始め、『なだめる・共感する』も一切通用せず抱っこも拒否。眠っているとき以外は朝から夜中まで、一日10回は地雷を踏み、1回につき1時間は泣き暴れる…そんな毎日を繰り返し、ほぺろうも私も心身疲れ果てていました。こんな大きな困りごとがあるのに当時の私はほぺろうに発達障害の可能性があることを信じたくなくて、「私にできる改善方法はないだろうか」と隙あらばネット検索漬け。暴れ疲れてようやくほぺろうが眠ってくれたとき、私も疲れているのだから寝ればいいのに、チャンスとばかりにスマホにかじりついては検索。疲れているのに頭はさらにフラフラになり、取り憑かれているかのように『検索魔』になっていました。Upload By ぼさ子ネットから得た情報を何でも試しました。声かけや接し方のみならず、コミュニケーションを増やすためにテレビを一切視聴しなくしたり…。でもほぺろうには響かず、ついには『食生活の変更』まで。迷走。約1年続けるほど必死だったそのときよく目にしていた情報の一部ではありますが、それを元に私は『いくつかの食材を断つ』という取り組みをしました。ほぺろうがほしがるといけないので夫にも協力してもらいましたが、今までの食生活を変えることは大人でもストレスを強いられるし、偏食のほぺろうにとってはさらにに食べられるものが狭まってしまう。それでも「この癇癪がおさまるなら…」と私は続けました。レシピ本を購入したり、ほぺろうのおやつもなるべく手づくりしたり(しかも午前と午後)、何をほぺろうに食べさせたら良いのだろうということばかりで毎日頭がいっぱい。当時お世話になっていたデイサービスにまで、おやつの出し方に条件を出して協力をお願いしていました。そんな生活を約1年続けました。ズボラな私がそこまでするなんて今では想像できません。それだけ必死だったんだと思います。とにかく「あのとき取り組んでおけば良かった」という後悔はしたくなかったのと、ほぺろうのためにやれることは何でもやらなきゃとガムシャラだったのです。Upload By ぼさ子迷走を続けた結果、今は…約1年そんな生活を続けましたが、結果ほぺろうの癇癪に何ら変化はありませんでした。保育園に入ったあたりから、給食を選り好みしてる場合でもなかったし、何より食材制限に縛られる私が疲れてしまって、やめました。制限を強いられる生活を続けたことで疲れ果てはしましたが、時間の無駄だったとは思っていません。ほぺろうには効果がなかったと実証できたし「あのときやっておけば…」という後悔にはならなかったので、今はスッキリしています。でも、当時の私に言いたいことがあります…。当時を振り返り、大切だと思うこと今現在 不安を抱えている親にとっては、将来が見通せなくて「とにかくやれることはなんでもやりたい」という気持ちになると思います。そして私も実際そうでした。私の場合ですが、ほぺろうの癇癪を改善することばかりに縛られていた当時は本当に殺伐としていたし、睡眠もろくに取れていないので常にイライラしていました。もしかしたらほぺろうの癇癪は、外部的な要因で起こるものだけじゃなく、イライラした私の顔を見てずっと不安を抱えていたことも原因のひとつだったかも知れません。今は「私がリラックスしていると、ほぺろうもリラックスしているな~」と感じます。私が「ほぺろう大好き」と伝えるようになってから少しずつ癇癪が和らいできた気がするのですが、「ボクは愛されている」という安心感も大切な要素なんだと思います。反省を踏まえて当時の私に言うならば、まずは「とにかく寝なさい」ということ。育児をしながら睡眠時間を確保するのは難しいけれど、誰かに助けを求めてでもしっかり寝てほしい。体もそうだけど脳を休めないと、イライラするし迷走する。焦る気持ちもわかるけど、リラックスして接したほうが子どもにとってきっと良い結果に向かうよ。Upload By ぼさ子そして、「“今は”仕方ないと受け止めて」ということ。何をやってもダメな時期ってある。でもそれは、受け入れられる成長段階じゃないだけかもしれない。どんなにこちらが努力しても響かないわが子を見ては「それほど、ほぺろうに問題があるんだ」「ほかのママなら上手くできるのに私にはできないんだ」とマイナス思考になっていたけど、「“今”できないだけ」と受け入れると焦る気持ちが軽減するよ。Upload By ぼさ子悩みの中にいた当時の私は気持ちが擦り切れていたので、上記のことを言ってもなかなか受け入れなさそうですが、「とにかく睡眠だけは取って!!」と言ってやりたいです。周りは変わらない。でも自分が変わって得たもの6歳になった現在のほぺろうは相変わらず癇癪を起こしますし、発達年齢は2歳のままです。それでも今は、ほぺろうと過ごす毎日が楽しいし、ほぺろうが可愛くてたまらないと思えることが幸せだなと感じています。おそらく、ほぺろう以上に変わったのは私の方なんだと思います。Upload By ぼさ子執筆/ぼさ子(監修:井上先生より)子どもの頻繁な癇癪は、親御さんを疲弊させたり精神的に追い込んだりすることがあります。また、それによってさらに子どもへの対応が困難になり、癇癪も激しくなるという悪循環に陥ることもあります。当時のお母さんの大変さがよく伝わり、「まずは休んで」というメッセージもその通りですね。癇癪については、どんなときに癇癪を起こすのか、どんなときに癇癪を起こさないで済んでいるのかを振り返ってみることが大切です。そのためには、少し離れた視点で見られるようになることが必要ですので、難しいとは思いますが割り切って休養を取り、心に余裕をつくっていただけたらと思います。
2021年10月22日