国税庁はこのほど、2014年分の個人の確定申告状況を発表した。それによると、贈与税の申告納税額は前年比63.1%(1,084億円)増の2,803億円となり、現行の基礎控除額となった2001年以降で最高額を更新した。2015年1月の相続税改正前に駆け込みで贈与する人が増えたためとみられる。贈与税の申告書を提出した人は同5.6%(2万8,000人)増の51万9,000人。このうち、納税額がある人は同11.1%(3万7,000人)増の36万6,000人だった。所得税および復興特別所得税の確定申告書を提出した人は同0.2%(4万3,000人)減の2,139万1,000人とほぼ横ばい。このうち、申告納税額のある人(納税人員)は同1.6%(9万8,000人)減の612万人だった。納税人員の申告状況について2013年分と比較すると、所得金額は同3.6%(1兆3,784億円)減の37兆1,054億円、申告納税額は同0.0%(6億円)減の2兆7,087億円となった。株式等の譲渡所得を申告した人は同14.7%(16万1,000人)減の93万7,000人。このうち、所得金額のある人は同30.3%(20万人)減の46万1,000人、所得金額は同55.0%(2兆6,598億円)減の2兆1,759億円となった。
2015年06月01日連載コラム「人に聞けない相続の話」では、相続診断協会代表理事の小川実氏が、その豊富な実務経験をもとに、具体的な事例を挙げながら、相続の実際について考えていきます。【ケース12】前の妻を亡くして10年が経ちます。還暦を迎える今年、縁があって30歳年下の女性と再婚することになりました。私の亡き後、私の財産は、すべて新しい妻に残したいと思っています。前妻との間には、子供がいません。私の両親はすでに他界しており、私より2歳上の姉と2歳下の弟がいます。姉と弟は、比較的裕福な生活をしており、私の再婚を大変喜んでいましたので、特に私の相続で揉めるようなことはないと思いますが、何か準備をしておいた方が良いでしょうか?【診断結果】○何の準備もしないで亡くなった場合、奥様と姉と弟で遺産分割協議子供がいない場合の相続人は、配偶者と親又は兄弟姉妹となります。あなたのご両親はすでに他界されているようですので、新しい奥様と姉と弟になります。法定相続分は奥様が3/4、姉と弟が1/8です。あなたが、何の準備もしないで亡くなった場合、奥様と姉と弟で遺産分割協議をすることになります。10年後に亡くなったとすると、40歳の奥様と72歳の義姉と68歳の義弟が話し合いをする事になります。財産の中に、先祖代々受け継がれたものがあったりすると、先祖のお墓を継ぐ事になりそうな義弟が引き継ぎたいというかもしれません。あなたの亡き後、姉弟2人と年の離れた奥様が遺産分割の話し合いをして、関係がギクシャクするのはよくある事です。○「全ての財産を妻に相続させる」という遺言を残せば、すべて妻が受取ることが可能「全ての財産を妻に相続させる」という遺言を残せば、兄弟姉妹には遺留分がないので、すべての財産を妻が受取ることが出来ます。先祖代々受け継がれたものなど、特定の財産を姉や弟に指定し、「その他の財産はすべて妻に相続させる」と書く事も良いでしょう。あなたの亡き後、姉弟2人と年の離れた奥様が遺産分割の話し合いをするというのは、容易な事ではありません。○遺言を残し、遺産分割の話し合いをしなくても良い環境を遺言を残し、遺産分割の話し合いをしなくても良い環境を作っておきましょう。兄弟姉妹は遺留分がないので、すべての財産を妻に相続させるという遺言を残せば、話し合いは必要ないですが、家が近かったり、あなたが長男であって他の兄弟姉妹と奥様との関係が続くようでしたら、財産の10分の1程度を、兄弟姉妹に渡すような遺言にしておくと「妻が独り占めした」と言われず、良好な関係を築けたりします。生命保険を利用するのも良い方法だと思います。本ケースとは違いますが、相続で一番揉めるのは、前妻の子供と後妻(及び後妻の子供)の遺産分割のケースです。まともに話し合いが出来る方が少ないと思います。母親が違う相続人がいたり、父親が違う相続人がいる場合には、必ず遺言書を残し、遺産分割の話し合いをさせないようにしましょう。その際は、遺留分の減殺請求が起きないように遺留分に配慮しましょう。遺産分割の話し合いが無ければ揉める事はありません。究極の相続対策は、遺産分割の話し合いをさせない事。遺言は、大切な家族への最後の愛情表現です。12回にわたり、「人に聞けない相続の話」を連載させていただきまして、ありがとうございました。勤勉な日本人には、自分を犠牲にして仕事をされる方がたくさんいらっしゃいます。お金や名誉のためという部分もあるでしょうが、究極的には家族のために仕事をされていると思います。その様な方が、お亡くなりなり家族が揉めてしまうと、家族のために自分を犠牲にして働き築いた財産で、大切な家族が揉める事になり、その人の人生が台無しになってしまいます。その様な不幸を日本から無くすためには、想いの詰まった遺言を残す事がとても重要です。このコラムを通じ、皆様に少しでもこの想いが伝わっていれば幸いです。○執筆者プロフィール : 小川 実一般社団法人相続診断協会代表理事。成城大学経済学部経営学科卒業後、河合康夫税理士事務所勤務、インベストメント・バンク勤務を経て、平成10年3月税理士登録、個人事務所開業。平成14年4月税理士法人HOP設立、平成19年4月成城大学非常勤講師。平成23年12月から現職。日本から"争族"を減らし、笑顔相続を増やす為相続診断士を通じて一般の方への問題啓発を促している。相続診断協会ホームページのURLは以下の通りとなっている。
2015年05月25日連載コラム「人に聞けない相続の話」では、相続診断協会代表理事の小川実氏が、その豊富な実務経験をもとに、具体的な事例を挙げながら、相続の実際について考えていきます。【ケース11】85歳を過ぎた母が相続対策のために自宅をアパート併用住宅に建て替えたいと言っています。費用は1億円ほどかかるそうです。相続人は、長女の私と妹の2人ですが、いずれも結婚し夫名義の家に住んでいます。確かに母の住んでいる家は、駅にも近く場所が良いので、相続税も掛かりそうですが、母が亡くなった後は、長女の私が借金を返済しなければいけなくなりそうで、何となく不安です。1億円の借金をしてまでの相続対策は必要でしょうか?【診断結果】○まずは、相続税の試算が必要相談者のお母さんは、相続税が心配でアパート併用住宅を検討されているようですので、まずは、相続税の試算が必要です。相続税が、対象となる方の財産の合計金額で計算する仕組みになっていますので、まずはどのような財産があるのか、「財産の棚卸し」をします。おおよその財産の内容が分かったら、相続に詳しい税理士に財産の相続税評価額と相続税額の計算をお願いして下さい。よく金融機関や不動産会社などが無料で試算を行う事がありますが、財産評価が間違っていたり、財産が漏れていたりして、相続税額が間違っていることが多いので、適正な費用を支払って計算してもらいましょう。間違った試算に基づく対策が、正しいはずもなく、結局、高くついたなんていう事は良くあります。○現金にしやすいもので、相続税が支払えるかどうか見極め相続税の計算が出来たら、財産の中の現預金、生命保険、上場有価証券など現金にしやすいもので、相続税が支払えるかどうかの見極めをします。本事例の場合、お母さんがご自宅のほかに現預金をたくさん持っていて、相続税が十分支払えるのであれば、1億円の借金をしてアパート併用住宅を建てる必要性は低いです。財産のほとんどが自宅で、しかもその評価が高く、相続税を支払える見込みがないたたない場合には、借金をしてアパートを建てる事は、良い相続税対策の一つと言えます。○相続税が払えないからすぐに借金してアパート併用住宅というのは少し気が早いそれでも、相続税が払えないからすぐに借金してアパート併用住宅というのは、少し気が早いです。本事案では、相続人となる姉妹二人はご主人の自宅にお住まいとの事ですので、お母さんが亡くなった後、お母さんのご自宅に住む可能性は低いと思われます。売却して相続税の納税資金を作るという選択肢もあります。お母さんが亡くなった後、この家と土地をどうして欲しいと思っているのか。先祖代々の土地でどうしても残したいと思っているのか、そうではないのかなどをお母さんと姉妹二人で、じっくり話し合う必要があります。○なぜ、1億円の借金をしてまで住み慣れた自宅を立て直したいと思ったのか?お母さんは、なぜ、1億円の借金をしてまで住み慣れた自宅を立て直したいと思ったのか?85歳という年齢を考えると、建て直している間に体の調子が悪くなり、住めないという事もありえます。本当に相続税だけの問題だったのか?もしかすると、人生の最後、2人のお子さんのどちらかと一緒に過ごしたいだけなのかもしれません。そのような心の底にある本当の気持ちを親子でじっくり話し合う事が、非常に大切です。この様な話し合いの末、どうしても残したいという結論になれば、借金してアパート併用住宅というのは、大変良い選択肢だと思います。相続人に相談せず相続税対策でアパートを建てたりマンションを買ったりした親が亡くなり、「現金で残してくれた方がありがたかった…」という話はよくある事です。相続税の最高税率は、6億円以上の場合で55%です。全てを取られるわけではありませんので、相続税だけを判断材料としないで受け取る側の相続人とよく話し合いをして、冷静に判断して下さい。(※写真画像は本文とは関係ありません)○執筆者プロフィール : 小川 実一般社団法人相続診断協会代表理事。成城大学経済学部経営学科卒業後、河合康夫税理士事務所勤務、インベストメント・バンク勤務を経て、平成10年3月税理士登録、個人事務所開業。平成14年4月税理士法人HOP設立、平成19年4月成城大学非常勤講師。平成23年12月から現職。日本から"争族"を減らし、笑顔相続を増やす為相続診断士を通じて一般の方への問題啓発を促している。相続診断協会ホームページのURLは以下の通りとなっている。
2015年05月18日○今年1月から相続税が増税に今年1月から相続税が増税となったことは聞いたことがある人も多いでしょう。実際今まで、相続税には、基礎控除というものが、5000万円+(1000万円×法定相続人の数)分だけ認められていました。これが、今年1月から3000万円+(600万円×法定相続人の数)に減額されました。たとえば、妻と子ども2人の家庭なら、今まで5000万円+1000万円×3人で8000万円の基礎控除が認められていました。これが、今年から3000万円+600万円×3人で4800万円まで減ってしまっています。その差、3200万円! 自宅の評価額と証券・預貯金を合計して8000万円程度の人は意外といるものですが、今までなら、相続税がかからなかったものが、今年からそういった人もすべて対象となるわけです。それではたまらないと、今注目されているのが「生前贈与」です。これは、自分が生きているうちに、早めに子や孫に現金などを贈与すれば、相続財産が減らせ、結果的に支払う税金が少なくて済むというもの。もちろん、財産をタダであげれば、贈与税という税金がかかるのですが、ここのところ、政府が目的を絞って贈与の非課税措置を強化しているのです。○生前贈与の非課税制度が次々とスタートこの仕組みでよく知られているのが「住宅取得等資金の贈与」。通常、1人110万円の贈与は非課税と決められていますが、住宅購入時に頭金などに充当するお金として親などから贈与を受けた場合は、1000万円(省エネ住宅等の場合、1500万円)まで非課税となる制度です。こういった多額の資金を必要とするときに、親や祖父母から贈与を受ければ、もらうほうにも、あげるほうにもメリットがあるというわけです。こうした一定の目的のために贈与枠を設けた制度として、今年4月1日からスタートしたのが、「結婚・子育て資金の一括贈与」制度。これは、祖父母や両親が20歳以上50歳未満の子・孫(受贈者)名義の金融機関の口座等に、結婚・子育て資金を一括して入金。この資金を1000万円まで非課税にするといったものです(ただし、結婚資金の上限は300万円)。実際、両親や祖父母が入金した後は、利用する子または孫は、必要に応じて、領収書をその金融機関に提出すると、かかった資金分だけが振り込まれるというもの。使途が決められているので、他のことには使えないので、無駄遣いをするといった心配もありません。○結婚式代をすべて親や祖父母に出してもらえる!?では実際「結婚・子育て資金の一括贈与」は、どんなことにお金を使えるのでしょうか?これは、政府のほうで使途を細く決めており、その一覧が下の表です。まず大きいのが挙式や披露宴費用。挙式代、会場費と決められていますので、たとえば披露宴に関わるものなら、ドレス代も装花代も食事代もすべてOK! ゼクシィトレンド調査(2014年)によると、挙式・披露宴・披露パーティ総額は平均333.7万円。ご祝儀等はあるものの、カップルの自己負担額平均は125万円。結婚式が終わると2人の貯蓄がすっからかんになるというのはよく聞く話。そのために、挙式・披露宴をしないというカップルも増えています。そんなカップルにとっても、この贈与制度は朗報といえるでしょう。しかもこの制度、家賃に関わる費用もOKです。結婚にともなって、家を借りるときの敷金・礼金、仲介手数料、引越代はもちろん、毎月の家賃も対象となっています。これは、かなり助かるカップルが多いのではないでしょうか?ただし、対象外となっているものもあるので、注意が必要です。たとえば、挙式・披露宴関連でいえば、指輪やエステは対象外。新婚旅行代や挙式・披露宴に関わる宿泊費もダメです。家賃関連でも、光熱費や家具・家電の買い物代はNG。家を引っ越すと、カーテンやライトなどは、どうしても購入が必要となってきますが、このあたりは、自費で購入ということになりそうです。○出産代や保育園代。なんと不妊治療費まで!この制度、結婚だけでなく、その後の子育て費用も対象となっています。妊娠中の健診費や分娩代。産後院などの産後ケア費もOKです。その後のベビーの保育園・幼稚園・認定こども園代やベビーシッター代も含まれます。また、不妊治療も対象ですので、かなり幅広い分野が適用となるわけです。結婚や出産の予定のある人は、この際、両親や祖父母におねだりしてみてはどうでしょうか?(※写真画像は本文とは関係ありません)<著者プロフィール>酒井 富士子経済ジャーナリスト。(株)回遊舎代表取締役。上智大学卒。日経ホーム出版社入社。 『日経ウーマン』『日経マネー』副編集長歴任後、リクルート入社。『あるじゃん』『赤すぐ』(赤ちゃんのためにすぐ使う本)副編集長を経て、2003年から経済ジャーナリストとして金融を中心に活動。近著に『0円からはじめるつもり貯金』『20代からはじめるお金をふやす100の常識』『職業訓練校 3倍まる得スキルアップ術』『ハローワーク 3倍まる得活用術』『J-REIT金メダル投資術』(秀和システム)など。
2015年05月14日大垣共立銀行はこのたび、OKB大垣共立銀行のホームページから岐阜県自動車税をクレジットカードなどにより納付できるサービスを開始した。同サービスは自動車税の期限内納付率の向上を目的とする行政支援の一環として2013年から毎年実施しているという。ヤフー運営の「Yahoo!公金支払い」を利用したサービスで、OKB大垣共立銀行と取引のない人でも自宅で24時間いつでも岐阜県自動車税を納付できるという。また、共立カードおよびOKBデビット(JCB)で納付した人の中から抽選で100名にギフトカードをプレゼントする「岐阜県自動車税インターネット納付キャンペーン」も併せて開始した。OKB大垣共立銀行はこれからも、顧客の目線に合わせた利便性の高い商品・サービスを届けていくとしている。
2015年05月13日大阪府および府内27市町は12日、「大阪府域地方税徴収機構」において、地方税の滞納者を対象に府と市町の職員による共同徴収を開始すると発表した。大阪府および大阪市・堺市の政令市を含む27市町は2015年4月、個人住民税をはじめとした地方税の収入未済額の縮減を図るため、大阪府域地方税徴収機構を開設。今回、同機構へ徴収を引き継ぐ旨を記載した「徴収引継予告書」約5,000件(滞納額37億円)を発送し、完納に至らなかった滞納者を対象に府と市町の職員による共同徴収を開始することとなった。同機構では、納税に応じない滞納者に対して徹底した財産調査を行い、財産の差し押さえを実施するなど厳正な滞納整理を行っていくとしている。
2015年05月13日連載コラム「人に聞けない相続の話」では、相続診断協会代表理事の小川実氏が、その豊富な実務経験をもとに、具体的な事例を挙げながら、相続の実際について考えていきます。【ケース10】義理の母親は20年ほど前から私たち夫婦と同居し、2人の孫とも一緒に暮らしていました。義理の父は10年前に亡くなっています。義理の母親は5年ほど前から、体の調子が思わしくなくなり、家事は義理の母親の長男である夫と、その妻である私にすべて任せていました。他家に嫁いだ長女(夫の実の妹)より親身になって、実の母親のように献身的に面倒をみたつもりです。その義理の母親も先日亡くなりました。私は何も相続することはできないのでしょうか?【診断結果】○母親の面倒は長男家族任せにした長女が「お義姉さんには関係ない」過去に実際にあった事例です。母親が死亡し、相続人は同居していた長男と他家に嫁いだ長女の2人。母親は、数年前から体調が悪くなり、加えて軽い痴呆も始まり、大変手間がかかる状態でしたが、長男とその妻が献身的に面倒を見ていました。他家に嫁いだ長女は、ほとんど実家に帰る事もなく、母親の面倒は長男家族任せにしていました。母親の葬儀が終わった翌日、長男と長女二人きりになった時、遺産分割の話になりました。そういう話になっているとは知らず、長男の妻がお茶とお茶菓子を持って、部屋に入りました。その時、「母の遺産分割の話は、お義姉さんには関係ないので、席をはずしてください」と長女が長男の妻に告げました。そして、長女の要求は、「自宅5,000万円は長男に渡すので、その他の財産は合計しても5,000万円に満たないはずだから、すべて自分がもらいたい」というものでした。痴呆になり始めた義母の面倒を長男の妻が見ていると、長女と間違えているのか、よく長女の名前を呼ぶこともありました。長男の妻はそんな時、長女になったつもりで義母の面倒を見ました。そんな事はまったく知らない義妹から言われた、「お義姉さんには関係がない」という言葉が、長男の妻はどうしても許せませんでした。長男の妻は、やるせない気持ちをどこにぶつけてよいかわからず、長男と言い争いになった事もありました。○裁判所で3年間、泥沼の争い長男の妻は弁護士と相談し、自分と夫が面倒を見た寄与分を主張しました。義妹も弁護士を雇い、その寄与分を否定し、さらに母親の財産を長男夫婦が浪費していたと主張しました。3年間、裁判所で泥沼の争いとなり、結局、義母の面倒を見た寄与分を考慮するという形で、自宅のほかに長男が500万円もらう事で遺産分割は終わりました。長男の妻は、義母が亡くなった悲しさに加え、身内で争う中であらぬ誹謗中傷を受け、心身ともに疲れはててしまいました。○相続人でない人に財産を渡すためには?義父や義母を親身になって面倒を見ている方は少なくありません。しかし、血がつながっていない以上、相続権はありません(※ただし、養子縁組をすると、実子と同じ相続権を持てます)。亡くなってしまうと、相続人から蚊帳の外に出されてしまう事も少なくありません。そんな時、感謝の言葉が残っていたり、少しでもよいのでお礼のお金を受け取ることが出来ると、本当に救われます。相続人でない人に財産を渡すためには、遺言書にその旨を記載する生命保険金の受取人に指定するのいずれかで、出来ます。相続人だけではなく、家族やお世話になったすべての方に感謝の言葉を残し、場合によってはお金も残す事で、本当の笑顔相続を実現することが出来ます。○執筆者プロフィール : 小川 実一般社団法人相続診断協会代表理事。成城大学経済学部経営学科卒業後、河合康夫税理士事務所勤務、インベストメント・バンク勤務を経て、平成10年3月税理士登録、個人事務所開業。平成14年4月税理士法人HOP設立、平成19年4月成城大学非常勤講師。平成23年12月から現職。日本から"争族"を減らし、笑顔相続を増やす為相続診断士を通じて一般の方への問題啓発を促している。相続診断協会ホームページのURLは以下の通りとなっている。
2015年05月08日連載コラム「人に聞けない相続の話」では、相続診断協会代表理事の小川実氏が、その豊富な実務経験をもとに、具体的な事例を挙げながら、相続の実際について考えていきます。【ケース9】孫が私立の中学校に合格したので、お祝いに入学金やその後の教育費などを援助しようと思います。1,500万円まで非課税で渡せる制度が出来たと聞いたので、1,500万円渡してしまおうかと思っています。その話をしたら、孫の親である私の長女も大喜びしていましたので、私もワクワクしています。これできっと正月やお盆にも長女が孫を連れて遊びに来てくれます。何か問題はありますか?【診断結果】教育については将来にわたり多額の資金が必要であり、「一括贈与」のニーズも高いので、高齢者世代の保有する資産の若い世代への移転を促進することにより、子供の教育資金の早期確保を進め、多様で層の厚い人材育成に資するとともに、教育費の確保に苦心する子育て世代を支援し、経済活性化に寄与することを期待するものとして、『教育資金の一括贈与に係る非課税制度』が平成25年に創設されました。 制度の概要は次のとおりです。祖父母が、金融機関に子・孫名義の口座等を開設し、教育資金を一括で拠出した場合、子・孫ごとに1,500万円まで非課税教育資金等の使途は、金融機関が領収書等でチェックし、書類を保管孫等が30歳に達する日に口座等は終了となり、残金に対して贈与税が課税される平成25年9月末契約数は40,162件、信託財産設定額合計は2,607億円となっているそうです。ものすごい金額ですね。お孫さんのためにお金を出してあげようという優しい祖父母の方々が、たくさんいるんですね。○扶養義務者間で必要の都度支払われる教育資金は、贈与税は非課税この制度を使うメリットは、「お孫さんのために教育資金を無税で渡せる」と思っていらっしゃる方が多いのですが、実は、それはこの制度のメリットではありません。「え~?」という声が聞こえてきそうですが、そもそも、扶養義務者間(親子間等)で必要の都度支払われる教育資金は、贈与税は非課税です(相続税法第21条の3二)。従って、必要の都度、生活費や教育費をお孫さんやその父母であるお子さんに渡しても全く同じ効果が得られます。つまり、「教育資金の一括贈与」の制度は、使っても使わなくても、無税で同じ金額を贈与することが可能なのです。更に付け加えると、生活費や教育費は、金額がいくらでも合計1,500万円を超えても無税で贈与することが可能です。○教育資金の一括贈与の利用は、慎重に検討を先日、この制度を利用をした祖父の方からこんな声をお聞きしました。「1,500万円を渡した時は、子供も孫も大変喜んでくれた。お正月も夏休みも遊びに来てくれると言っていた。約束通り、お正月は1日泊って行ってくれたが、夏休みは受験やらなにやらで忙しいそうで、遊びに来てくれなかった。孫の喜ぶ顔を見たくて、この制度を利用し1500万円を贈与したのに…」「必要な時に必要な金額を贈与した方が、会える回数が多かったかもしれませんね」とお話ししたら、なんだか、とても淋しそうでした。うちはそんな薄情な孫ではないってお叱りが聞こえてきそうですが、実際にそういう淋しい想いをされている祖父母の方々がたくさんいらっしゃいます。1,500万円は金額が大きいので、渡す時は大変喜ばれますが、一度もらってしまうとだんだんありがたみが薄れるのでしょうか…必要な時に必要な金額を渡した方が、お孫さんと合える回数は増えそうですね。教育資金の一括贈与のご利用は、慎重に検討してください。この制度の一番利用価値があるケースは、余命宣告された様な方が、この制度を利用し、お孫さんに1,500万円の贈与を行うと、相続財産の金額から控除することが出来ますので、財産が多い方ですととても節税になります。「まだまだ10年以上生きる元気な方は、都度贈与」「ご病気で余命宣告されたような方は、一括贈与」と覚えておいてください。平成27年の税制改正で、「結婚・出産・育児」資金の贈与について新たに1000万円の非課税の制度が創設されました。こちらももともと非課税です。また、教育資金の一括贈与と違い、贈与者が亡くなった時に使っていない金額は、相続財産に加算されますので、節税にも使えそうにありません。いずれも高齢者の貯蓄を子や孫の世代に移転し、景気促進を狙った制度ですが、十分検討してご利用ください。(※写真画像は本文とは関係ありません)○執筆者プロフィール : 小川 実一般社団法人相続診断協会代表理事。成城大学経済学部経営学科卒業後、河合康夫税理士事務所勤務、インベストメント・バンク勤務を経て、平成10年3月税理士登録、個人事務所開業。平成14年4月税理士法人HOP設立、平成19年4月成城大学非常勤講師。平成23年12月から現職。日本から"争族"を減らし、笑顔相続を増やす為相続診断士を通じて一般の方への問題啓発を促している。相続診断協会ホームページのURLは以下の通りとなっている。
2015年04月27日2015年10月には10%になるはずだった消費税改正案が先延ばしになり、住宅購入の計画を見直している方もいるのではないでしょうか。消費税アップが先延ばしになったとはいえ、将来的に増税が見込まれることには変わりありません。いつかはマイホームを買いたい、とお考えの方は、このタイミングに住宅購入のポイントをおさらいした上で、消費税増税への心構えをしておきましょう。■消費税が上がると、マイホーム購入の負担はどれくらい増える?消費税を恐れるあまり、住宅を買い急ぐのは得策ではありません。まずは、消費税が増税するとどれくらいの影響があるのかを知っておきましょう。住宅は大きい買い物なので消費税の影響が大きい、というイメージがありますが、実は物件価格に丸ごと消費税がかかるわけでありません。土地は消費税の課税対象外のため、消費税の影響があるのは、建物のみ。したがって、マンションでも戸建てでも、物件全体の購入額が5,000万円、うち建物分の価格が2,000万円であれば、8%から10%に上がる際の消費税による負担増は、2,000万円×アップした分の2%=40万円ということになります。ちなみに、中古住宅の売主が個人である場合(不動産業者などが直接保有する物件でない場合)は、消費税の課税対象にはなりませんが、仲介手数料など諸費用部分には消費税がかかります。■消費税8%のうちに購入するには、いつまでに契約すべきか現時点では、消費税は2017年4月に10%に引き上げられる予定です。つまり、住宅の引き渡しが2017年3月31日までに完了すれば、消費税は8%、2017年4月1日以降の場合は消費税が10%となります。ただし、注文住宅や新築マンションなど、完成までに一定期間がかかるものに関しては、請負契約(※)が2016年9月30日までに完了していれば、引き渡し時期に関わらず消費税は8%となります。いずれも、期限間近の駆け込み時期には、契約を急ぐあまり、見積もりをきちんとチェックしないことや、需要が立て込むことで工期が遅れる、といった事態が起こりがちです。そうならないよう注意するとともに、できるだけ余裕を持って契約しましょう。※請負契約:工事請負契約。建築工事の完成とその報酬の支払いに関し、建築主と工事請負業者との間で取り交わされる契約のこと。■慌てないほうがいい!? 増税で控除額もアップ消費税が5%から8%に上がるとき、負担増による買い控えで景気が鈍らないように、との配慮から、政府は各種控除を拡大しました。8%→10%にアップする時にも、こうした控除枠の拡大が予定されています。慌てて購入すべきか、それとも控除枠が拡大されてからのほうがいいのか、この点をぜひ抑えて、じっくり検討しましょう。(1)年収によってメリットあり=すまい給付金「すまい給付金」は、2014年4月より始まった制度です。消費税率が8%時は、給付額が最大30万円で、目安としては収入が510万円以下の方が対象となります。消費税率が10%に引上げられる際には、給付額が最大50万円、対象者も収入が775万円以下まで拡大される予定となっています。(2)親からの住宅購入援助を受ける場合にメリットあり=贈与税の特例親御さんから、マイホーム購入の援助を見込んでいる方にとって忘れてはならないのが、住宅取得のための資金の贈与の一定額が非課税となる制度です。通常、人から贈与を受けた場合は、その額に応じて贈与税がかかります。それが住宅取得の際の一定要件を満たした場合には非課税となる特例があるのです。この特例の額が、上がったり下がったりするので、注意が必要です。1.まず、2015年1月から12月末までは、贈与税特例の限度額が、今までの1,000万円から1,500万円に引き上げられます。 ↓2.翌年2016年の1月から9月は、消費税増税前の駆け込み需要が見込まれるため、1,500万円からいったん引き下げられて、1,000万円から1,200万円程度を計画しています。 ↓3.同じく2016年10月から翌2017年9月末までは、増税の反動減対策として過去最大規模の3,000万円に引き上げられます。(※2015年3月25日時点の情報)そのほか、住宅ローン減税も引き続き(2017年12月31日まで)適用されます。住宅ローン減税は、年末の住宅ローン残高の1%を所得税、住民税から差し引く制度です。それまで残債の上限は2,000万円でしたが、2014年4月以降、8%の課税対象となった住宅に関しては、対象となる年末の住宅ローン残高の上限が4,000万円まで引き上げられました。これにより、年間最大40万円、10年間で最大400万円の減税となりました(長期優良住宅の場合は、さらに控除枠が大きく年間最大50万円、10年間で500万円まで控除)。住宅ローンの金額が大きい方にとっては、かなりのインパクトがあるでしょう。まずは、消費税増税で増えるマイホームの購入負担額と、増税の一方で控除や給付される金額があることについて触れました。次回、「その2」では、不動産購入のタイミングを考えるための、税制以外の要素についても考えてみましょう。
2015年04月24日「実は、本当は相続税がかかるのに、まだ、気がついていない人が多いのです」というさくら事務所の不動産コンサルタント田中 歩さんの言葉で幕を開けた本特集もいよいよ最終回。特集を通じて伝えたかったことをまとめてみた。■かつて相続税を払っていたのは100人に4~5人相続税の制度が変わったらしい。その情報を知っていても、自分とどう関連づけて考えればいいのかがわからない人も多いだろう。そんな時は人数で考えてみるとわかりやすい。 かつて(相続税の改正前)は、相続税を支払っていたのは、100人に4~5人だった。この人達は、本物の富裕層。おそらく「相続に対しての心構え」も普通の人たちと違っていて、財産を守るために、「対策を立てなければ」くらいの考えは普通に持っているだろう。事業を通じて知り合った税理士や、親の代からお世話になっている税理士などの付き合いもあって、対策をたてる手段も思いつく層なのだと思う。■都内に住む4人に1人が相続税を払うことに問題は、そうではない層だ。制度がかわって、都内に住む4人に1人が税金を支払うことになると言われている。これを100人で換算すると、その4分の1だから、25人。このうち、相続に対しての心構えがあるのは、先ほど言ったような、相続税の改正前から相続税を支払う対象だったであろう5人ほどで、残りの20人は、「知らないうちに相続税を払うことになっていた」という感じなのではないだろうか? ■とりわけ都内一軒家が危ない「知らないうちに相続税を払うことになっていた」層の筆頭が、都内に実家がある人たち。お金を持っているのなら、まだ「お金持ち」の自覚はあるかもしれない。けれども、生まれ育った実家は、ある意味、空気のような存在。そこが相続税を計算する時に、想定外の高評価をされることなど、思いつきもしないだろう。■普通に流れている情報だけを頼りにしない常日頃、ライターという、情報を発信する側の仕事をしていると、よく思う。世の中に普通に流れている情報だけでは、自分にとって本当に必要な情報をキャッチできない可能性もある、と。本特集が、今回の税改正によって、「本当は相続税がかかるのに、まだ気がついていない人」が、相続税についての心構えを見直すきっかけになると嬉しい。【連載:ママが知りたい実家の相続税 特集】・ 第1回 相続税、大丈夫? 本当は税金がかかるのに、それを知らない人たち ・ 第2回 すぐわかる! 相続税対策の4ステップ ・ 第3回 知っている人だけトクをする、相続税節税の基本 ・ 第4回 早わかり! 相続財産の評価額を小さくする「小規模宅地の特例」の概要 ・ 第5回 小規模宅地の特例を受けるための要件2つ
2015年04月17日行政書士法人アミーズはこのほど、司法書士法人アミーズ横浜事務所、税理士法人アローズの相続専門の3社で協力し、「相続用の戸籍謄本」取り寄せパックのサービスを開始した。同サービスでは、実際の相続手続きに精通した専門家が対応。相続用戸籍謄本の収集・整理を一括でサポートすることにより、相続人の相続手続きにかかる手間を低減する。サービス内容は、相続人の調査・特定サービスをはじめ、故人の戸籍の履歴書作成、相続人ごとの法定相続分の計算表や相続関係説明図、家系図(故人の戸籍の情報を元に家系図を作成)の提供、不動産の相続の登記・相続の税務・相続手続きのEメール相談(3回まで無料)などとなる。申込人数は毎月20人。料金は、相続人が故人の配偶者・子ども(孫)・父母(祖父母)の家族の場合は、基本手数料2万9,980円(税別・定額制)+戸籍の所得費などの実費(目安:5,000~1万5,000円)。特典として、遺産に不動産を所有する人は、「不動産の登記情報」や「名寄せの所得」を手数料無料(実費は別途)で依頼することが可能。また、相続登記の名義変更をアミーズに任せる場合は、司法書士の手数料1万円分を減額できる。さらに「財産目録エクセルシート」を用意するほか、希望者に「エンディングノート」または「遺言ノート(540円相当)」のいずれかをプレゼントする。
2015年04月15日「早わかり!『小規模宅地の特例』の概要」 では、相続税の有効な対策法となる「小規模宅地等の特例」の概要を知った。小規模宅地の特例を使うためには、2つの要件を満たさなければならない。その要件について、さくら事務所の不動産コンサルタント田中歩さんに引き続き内容を伺った。■誰でもわかる、小規模宅地の特例が使える要件とは? 法律の話をする際に、難解な法律用語を使うと、かえって話がわかりにくい。そこで、ある家族を設定して、具体的に考えてみよう。【設定した家族】これは、両親と私、妹の4人家族の相続のお話だ。私が生まれ育ったのは、渋谷区にある一軒家で150平方mほどある。家族は、両親と私と妹。今回、父が他界し相続が発生。母はずっと専業主婦。私は結婚して実家の近くにマンションを購入。妹も結婚して、持家がある。<宅地の要件>まず、宅地の要件から、見ていこう。法律的には、こんな言い回しとなる。(1)被相続人が居住用としていた宅地(2)被相続人と生計を同一にする親族が居住用としていた宅地被相続人とは、相続財産を残して亡くなった人のことを言う。今回の場合は父。財産を受け継ぐ側の人(母、姉、私)は、相続人と呼ばれる。実家は、父が居住用としていた宅地なので、もちろん要件(1)はクリア。要件(2)も、母はずっと専業主婦だったので「生計を同一にする親族」なので、クリアだ。<取得者の要件>次は、取得者の要件。法律的には、こんな言い回しとなる。(1)配偶者が取得(2)同居家族が取得し、申告期限まで引き続き居住し、かつ保有。(3)配偶者または同居親族がいない場合において、その宅地等を取得した親族が、相続開始の3年以内にあるその者またはその者の配偶者所有の家屋に居住したことがなく、かつ申告期限まで引き続きその宅地等を保有(4)生計一親族が取得し、申告期限まで引き続き居住し、かつ保有今回のケースだと、母(配偶者)が取得するため、(1)に該当するので要件をクリア。よって、小規模宅地の特例が使え、実際は1億2,000万の相続税評価額が、2,400万円の評価となる。■相続税で本当に怖いのは2次相続けれども、こんな一文を加えると、事態は一転する。無事相続を終え、ほっとしたのもつかの間、父の看病疲れも出たのか、1年後に母も他界。結論からいえば、私、妹ともに、取得者の要件は満たさない(※)ので、小規模宅地の特例は使えず、実家の相続税評価額は100%で計算しなければならない。そうなると、実家の評価は1億2,000万円のままで、相続税の課税対象となる。相続税の基本的な考え方として、「『代』が下に移る時に税金をかける」というものがある。父が亡くなり、母が遺産を相続した際には、財産は横にスライドしているだけ。けれども母が亡くなり、いよいよ娘世代に「代」が移った時が本当は怖いのだ。「もし、小規模宅地の特例のことを知っていたら、マンションは買わずに実家近くの賃貸マンションに住んでいたのに!」と、この話の「私」は思うかもしれない。「実は、家を買うといったライフプランを考える際に、小規模宅地の特例の概要を知り、それを踏まえた上で決断される方が得策な場合もあるのです」と、田中さん。次回はいよいよ相続税特集の最終回!「都内に住む4人にひとりが税金を払う時代」です(※)なぜ要件を満たさないのか、ひとつずつ見ていこう。(2)の要件は、妹が結婚せずパラサイトシングルでいたような場合には満たすが、妹はすでに結婚しているので×。(3)の要件は、いわゆる「家なき子」と言われ、子どもたちに持家がない場合であれば満たすことになる。ただし、赤文字の部分で「相続開始の3年以内に持家に住んでいてはダメ」という制限がかかっているので、母の体調が芳しくないからといって相続を見越して、慌てて娘達が持家を処分したとしても「家なき子」の要件は満たさない。(4)の要件は、親が仕送りをしている子どもの場合などは要件を満たすが、今回の場合、娘は2人とも結婚しているので、要件を満たすとは考えづらい。【連載:ママが知りたい実家の相続税 特集】・ 第1回 相続税、大丈夫? 本当は税金がかかるのに、それを知らない人たち ・ 第2回 すぐわかる! 相続税対策の4ステップ ・ 第3回 知っている人だけトクをする、相続税節税の基本 ・ 第4回 早わかり! 相続財産の評価額を小さくする「小規模宅地の特例」の概要 第6回 都内に住む4人にひとりが相続税を払う時代 -->
2015年04月15日「知っている人だけトクをする、相続税節税の基本」 では、節税をするためには、法律の制度を知っている必要があることを知った。各種法律制度の中で、実家の相続税の節税に関係ありそうな、「小規模宅地の特例」について、さくら事務所の不動産コンサルタント田中 歩さんに、引き続き内容を伺った。■相続税対策になる?「小規模宅地の特例」って、何? 小規模宅地等の特例とは、相続した実家などについて、相続税の計算上、一定の要件のもと、相続財産の大幅な評価の減額が認められている制度のことを言う。実際に住んでいる家などに相続税をまともにかけると、自宅に住み続けることができなくなってしまうことに配慮された制度だ。■自宅用の敷地の場合は、相続税評価額が8割減できるでは、どれほどオトクな制度なのだろうか? 小規模宅地等の特例には、自宅の敷地に対するものと、事業用地に対するものがあるが、最も利用されているのは、実際に住んでいた家(実家)。こちらは、330平方mまでなら80%の評価減をしてもらえる。たとえば、実家の相続税評価額が8,000万円の場合。本来であれば、丸々8,000万円に税金がかかるが、小規模宅地の特例を適用できる場合は、8割減の1,600万円の評価となる。このように、都内など地価が高いエリアの土地ほど、小規模宅地の特例を受けるメリットは大きい。「もしかして、うちの実家、関係があるかも!?」と気づいたならば、相続が起きた時に慌てないためにも、小規模宅地の特例の要件は知っておきたい。■どんな場合に、小規模宅地の特例が使えるのか? 小規模宅地の特例を使うための要件、つまり、どんな場合に小規模宅地の特例が使えるか?については、「宅地の要件」と、「取得者の要件」がある。このどちらの要件も満たしていないと、制度を使うことはできない。「宅地の要件」とは、その土地が、どのような土地であるのか? という条件。「取得者の要件」とは、その土地を取得するのが、どのような人であるのか? という条件だ。次回「小規模宅地の特例を受けるための要件2つ」では、この2つの要件について、もう少し細かく見ていこう。【連載:ママが知りたい実家の相続税 特集】・ 第1回 相続税、大丈夫? 本当は税金がかかるのに、それを知らない人たち ・ 第2回 すぐわかる! 相続税対策の4ステップ ・ 第3回 知っている人だけトクをする、相続税節税の基本 第5回 小規模宅地の特例を受けるための要件2つ ・ 第6回 都内に住む4人にひとりが相続税を払う時代 -->
2015年04月13日「すぐわかる! 相続税対策の4ステップ」 では、相続対策の流れを整理した。今回は資産の中で大きな割合を占めることが多い、家(実家)の相続対策に的を絞って引き続き、さくら事務所の不動産コンサルタント田中 歩さんに内容を伺った。■相続税対策の基本をおさらい前回も説明したが、相続税(納税額)は、以下の算式で計算する。相続税の納税額 = (相続財産 - 基礎控除額) × 税率相続対策というのは、上記の計算式で言うところの「相続財産」をいかに少なくするか? ということに尽きる。少なくする方法は、大きく分けて2つある相続税対策(1)減らす → 贈与で相続財産を減らす相続税対策(2)評価を落とす → 評価額を小さくする制度を活用する■相続税の対策法を知っているだけでトクをする! 上記のうち、不動産に関わるのは、主に(2)の話。つまり、不動産の評価額をいかに小さくするか、という話だ。「不動産の評価!? うわっ、面倒くさそう」と、思う人もいるだろう。何を隠そう、私も最初はそう思った。けれども、ここは踏ん張り時。不動産の評価を小さくする制度の存在を知っていることは、日常的なお金テク、たとえば「ポイントを貯める」とか、「節約をする」という類のものとは桁違いの大きな効果(節税効果)が期待できるからだ。「そんな話があるのね」と、名前だけを知っておくだけでも損はない。 ■財産の評価額を小さくするテク=小規模宅地の特例そんな制度の筆頭が、小規模宅地の特例だ。「相続税の計算をする時に、小規模宅地の特例という制度がある」ということが頭の片隅に入れば、本特集の大きな目的のひとつは果たせたとも言える。もっとも、小規模宅地の特例を使うためには一定の要件があり、相続が起きた時に慌てないように、あらかじめ、その要件を確認しておくに越したことはない。小規模宅地の特例について、詳しくは次回「早わかり!『小規模宅地の特例』の概要」で説明しよう。【連載:ママが知りたい実家の相続税 特集】・ 第1回 相続税、大丈夫? 本当は税金がかかるのに、それを知らない人たち ・ 第2回 すぐわかる! 相続税対策の4ステップ ・ 第4回 早わかり! 相続財産の評価額を小さくする「小規模宅地の特例」の概要 第5回 小規模宅地の特例を受けるための要件2つ ・ 第6回 都内に住む4人にひとりが相続税を払う時代 -->
2015年04月10日連載コラム「人に聞けない相続の話」では、相続診断協会代表理事の小川実氏が、その豊富な実務経験をもとに、具体的な事例を挙げながら、相続の実際について考えていきます。【ケース8】5年前、母が無くなりました。相続人は、父と私と妹。母は、相続税評価で約5,000万円のアパートと現預金約3,000万円を所有していました。父の強い意向で、「母の財産はすべて妹が相続し」、父が亡くなった時には、「父の財産(約1億円)を全て私が相続する」という約束をして、母の財産はすべて妹が相続しました。当時妹は、「父が亡くなった時は、私は放棄するから」と言っていました。最近、妹の子供が大学に入学するという事で、父に300万円ほど教育資金の援助を求め、父もそれに応じたようです。妹と父のやり取りを見ていると、父が亡くなった時、本当に約束どおり父の財産をすべて相続することが出来るのか不安になってきました。何か良い方法はないでしょうか?【診断結果】お父さんが亡くなった時に、妹さんが法定相続分の権利を主張すると、残念ながら2分の1の財産しか相続することが出来ません。それでは約束が違うではないかと納得できない気持ちはわかりますが、「お母さんの相続」と「お父さんの相続」は、法律上は別のものです。お母さんの相続の法定相続分は、お父さん1/2、兄1/4、妹1/4。遺産分割において、お父さん1/2、兄1/4の法定相続分の財産をもらわず、妹がすべての財産を相続したとしても、もらわなかった兄1/4の法定相続分がお父さんの相続の時に繰り越されるわけではありません。お父さんが亡くなった場合の法定相続分は、兄1/2、妹1/2です。お母さんが亡くなった時の約束通り、妹が相続放棄をするか、すべての財産を兄が取得することで遺産分割協議が調えば良いのですが、妹が1/2の権利を主張すると、1/2の財産は妹に渡さなければなりません。理不尽に思えますが、民法がその様に定めています。妹さんもお母さんの相続の時は、「お父さんの相続は、放棄する」と思っていらっしゃったかもしれませんが、それから何年も経ち、経済状況も変わったりすると、良く起こるトラブルです。○お父さんの生前に「お父さんの相続を放棄する」と口約束していたとしても法律的な効力はない「相続の放棄」は、被相続人の生前に行うことはできず、また、「家庭裁判所に申述」しなければいけないので、お父さんの生前に「お父さんの相続を放棄する」と口約束していたとしても法律的な効力はありません(民法第938条)。それでは、どうすれば妹に約束を必ず守らせることが出来るでしょうか?お父さんの財産を確実にすべて兄のものにするためには、お父さんに「すべての財産を兄に相続させる。」旨の遺言書の作成してもらう妹に、「遺留分の放棄」をしてもらう今からでも遅くないので、この2点を調えましょう。○「遺留分の放棄」は、相続開始前でも裁判所の許可があればする事ができる「相続の放棄は、被相続人の生前に行う事はできません」が、「遺留分の放棄は、相続開始前でも裁判所の許可があればする事ができます」(民法第1043条)。「すべての財産を兄に相続させる。」というお父さんの遺言書だけでも、大丈夫な気がしますが、妹が遺留分の減殺請求をすると、遺留分(法定相続分の1/2)は、妹に渡さなければいけません。従って、「遺言書」と「遺留分放棄」をセットで行う事が重要です。お母さんの相続の際、この2つを同時進行しながら、遺産分割協議書にサインをしていれば、心配は少なくなったと思います。ただし、お父さんが生前に、財産を費消してしまう妹に財産を贈与してしまう生命保険に加入し受取人を妹に指定してしまう等が行われると、実質的にもらえる財産が少なくなってしまう可能性もあるので、やはり、現実的にはお母さんの相続の際、法定相続分を主張しておいた方が良かったという事もあります。相続はいつ起こるかわかりませんし、時間が経過し経済状況や家族の心境も変化するので、本当に難しいものです。(※写真画像は本文とは関係ありません)○執筆者プロフィール : 小川 実一般社団法人相続診断協会代表理事。成城大学経済学部経営学科卒業後、河合康夫税理士事務所勤務、インベストメント・バンク勤務を経て、平成10年3月税理士登録、個人事務所開業。平成14年4月税理士法人HOP設立、平成19年4月成城大学非常勤講師。平成23年12月から現職。日本から"争族"を減らし、笑顔相続を増やす為相続診断士を通じて一般の方への問題啓発を促している。相続診断協会ホームページのURLは以下の通りとなっている。
2015年04月10日「相続税、大丈夫? 本当は相続税がかかるのに、それを知らない人たち」 では、実は相続税がかかるのに、相続税対策を何もしてない人が、ごく普通にいることを知った。では、今からできる相続税対策には、どんなことがあるのだろうか? ■相続税対策は、ステップを踏むことが大切相続税対策というと、多くの人が「生前贈与が」とか「遺言書が」と、気になることから始めようとする。でも相続税対策に何が必要なのかを知るためのはじめの1歩とは、しっかりと手順を確認することなのだ。そのためにも、まずは流れを整理してみよう。<相続税対策のステップ1> 財産リストを作成する相続対策のステップは、財産リストの作成から。でも、親にいきなり「財産について教えて欲しい」と切り出すのは厳しい。市販されているエンディングノートなどを使って、親に財産項目をピックアップしてもらうだけでも整理の方向性は見えてくる。この時、娘世代がやるべきポイントとしては、実家がある土地の評価額を調べること。通常は資産の中で、土地の占める割合が大きいので、揉め事の要因になりやすいからだ。一軒家の土地の評価額を調べる方法は、 国税庁のWebサイト に説明がある。「土地評価額」といった言葉を聞くと、難解なイメージがあるかもしれないが、実家の敷地面積さえわかれば、5分程度でできる簡単な計算だ。マンションの場合は、土地全体の評価額のうち、登記簿謄本で確認できる持分相当が評価額となる。<相続税対策のステップ2> 財産の分け方を考える財産の把握ができたら、どう引き継いでいくかを家族で話し合う。そのために知っておきたい基礎的なルールは2つある。1つ目は、誰が相続人になれるのか? 民法で定められている相続人は、配偶者と血族関係者(子、父母、兄弟姉妹の順番)だ。2つ目は、遺産に対する相続人の権利の割合である「法定相続分」を知っておくこと。そうはいっても、法定相続分より優先されるのが、遺言書であることは知っておきたい。つまり、財産の分け方を考えるということは、家族全員が納得できる遺言書を作ることが最終目標なのだ。そのために、家族で法律の基礎的なルールを理解した上で、話し合いを持つことが、もっとも重要だ。<相続税対策のステップ3> 相続税を確認する財産の分け方を考えたら、次に確認しておきたいのが、「相続税がかかるかどうか?」だ。相続税は、課税ライン(相続税の基礎控除額)を超える財産を持っている場合にかかる。その時に注意が必要なのは、基礎控除額の計算。今回の税法改正が実質的な「増税」だと言われているのは、基礎控除(相続財産から引き算できる額)がこれまでの4割減になっている点にある。相続税を計算する基本的な数式は、ザックリいうと下記の通り相続税の納税額 = (相続財産 - 基礎控除額)× 税率この基礎控除額が、平成26年12月31日までは基礎控除 = 5,000万円 + 1,0000万円 ×相続人の数だったのが、平成27年1月1日からは基礎控除 = 3,000万円 + 600万円 × 相続人の数と変更になった。ここは大きなポイントなので、ぜひとも頭に入れておきたい。<相続税対策のステップ4> 相続税対策を考える相続税がかかりそうだな、と思ったら、対策を考えておいたほうがよい。なぜなら、知っているだけでトクをする節税対策というものもあるからだ。次回からは、資産の中で占める割合が大きい不動産についての節税対策に的を絞って、レクチャーしていこう。「不動産についての節税対策を知りたい」と思った人は、次回「知っている人だけトクをする、相続税節税の基本」へ【連載:ママが知りたい実家の相続税 特集】・ 第1回 相続税、大丈夫? 本当は税金がかかるのに、それを知らない人たち ・ 第3回 知っている人だけトクをする、相続税節税の基本 ・ 第4回 早わかり! 相続財産の評価額を小さくする「小規模宅地の特例」の概要 第5回 小規模宅地の特例を受けるための要件2つ ・ 第6回 都内に住む4人にひとりが相続税を払う時代 -->
2015年04月08日相続税法が改正されたことは何となく知っていても、自分とは無関係だと思っていませんか? 「実は、本当は相続税がかかるのに、まだ気がついていない人が多いのです」と教えてくれたのは、さくら事務所の不動産コンサルタントの田中 歩さん。詳しく内容を伺った。■23区内に一定の敷地のある人は相続税がかかるとりわけ東京23区内に、戸建ての実家がある人は要注意だ。都内でなくても、神奈川や地方の大都市エリアも、注意しておくにこしたことはない。 何が危険なのかというと、実家の価値が思っている以上に高いこと。普通の家庭の場合、資産の中で大きな割合を占める自宅(実家)の価値を知っておくことは、相続税を考える際に、とても大切だ。ちなみに相続税を計算する時は、土地の価値は時価(実際に売買される金額)とは別の「相続税評価額」という数字を使う。■東京23区の相続税、増税危険エリア・ランキングたとえば、いわゆる下町といわれる台東区エリアでも、敷地が150平方mあれば土地評価額は、およそ8,300万円。杉並区でも、5,200万円。これに対して、基礎控除額を差し引いた課税遺産(税金がかかる遺産)の表を作成してもらった。多くの場合、資産は不動産だけではなく、貯金、株や保険といった金融資産もあるだろうから、実際の課税遺産はもっと多くなる。また、今回は、相続人が3人(配偶者、子2人)で試算しているが、これより相続人が少ない時も課税遺産は多くなる。もうお判りだろう。相続税評価額 > 基礎控除後の課税遺産となっているので、上記の表にある土地はすべて、相続税の課税対象となるのだ。「23区内に一定の敷地がある人は、ほとんど『相続税がかかる』と考えないわけにはいかないのです」と、田中さん。ちなみにマンションの場合は、土地全体の相続税評価額のうち、登記簿謄本や登記識別で確認できる持分相当が評価額となる。■相続税は「たぶん大丈夫!」が一番危ないそうは言っても、「うちはたぶん、相続税の課税対象外だから大丈夫」と思いたくなるのが人情。でも、相続税は思った以上に怖い税金だ。なぜなら、法律で「相続税は相続開始から10ケ月以内に現金で一括納付」ということが決められているから。支払えない場合は、利息のような高い延滞税がかかる。税務署から「相続についてのお尋ね(相続税がかかりそうだと思われる人に税務署が送る書類)」が届いて、初めて自分が税金を支払わなければならないことを知る人もいるらしい。「えっ!? うち、大丈夫!?」と思った人は、次回「相続税対策の4ステップ」で、正しい対策法を学ぼう。【連載:ママが知りたい実家の相続税 特集】・ 第2回 すぐわかる! 相続税対策の4ステップ ・ 第3回 知っている人だけトクをする、相続税節税の基本 ・ 第4回 早わかり! 相続財産の評価額を小さくする「小規模宅地の特例」の概要 第5回 小規模宅地の特例を受けるための要件2つ ・ 第6回 都内に住む4人にひとりが相続税を払う時代 -->
2015年04月06日今8%の消費税が、2017年10月には10%に上がることが決まっていますよね。でも、世界的に見ると、日本は消費税が非常に少ない国だってご存知でしたか?実は10%以上も消費税を納めている国は、148ヶ国中139ヶ国なのです!それでは、高い国はどこなのでしょうか?また、その消費税がどのように使われているのでしょうか?日本よりも消費税が高い国の事情を知ると、10%が「高い」なんて言えなくなります。そこで今回は、全国間税会総連合会が発表している、世界の消費税税率トップ10(平成26年4月版)をご紹介します。■10位(同率):アイルランド・・・23%アイルランドは、日本の約3倍の消費税。しかし先進国の大半では、食料品などの生活必需品とそうでない商品は税率が異なり、アイルランドも食料品に関しては0%の税率なのです。また、子どもの衣糧品や書籍も0%。パッと見の消費税は高いですが、お金に余裕がない人には負担が少ないので、日本のように不満の声が上がることがありません。■10位(同率):ギリシャ・・・23%税率が高く、国民からの不満も声も多く、経済も破綻していると言われているギリシャ。その使われ方とは、とにかく国家公務員が多いということ。つまり国民の税金で生活している人が多い。それに加え、税金を正しく支払わない人が多いのです。そのため、消費税が引き上げられても、国民に還元されるわけではないので、払いたくない人が続出しています。ちなみに、ポーランドとポルトガルの消費税も23%でしたが、GDPがギリシャより低いので割愛しました。■8位(同率):フィンランド・・・24%高い税率の北欧の中で、1%だけ低いフィンランド。ムーミンの作家の出身国ということもあり、優しいイメージの国ですが、税金は高い!しかし、軽減税率があるので一律24%ではありません。当然ですが、医療費、学費は無料。本、薬などは10%で、食料品は14%。アルコールは29.9%で、タバコに至っては81.3%。学力世界一を誇るフィンランドは、少人数制のクラスでしかも受験戦争も学校間格差もない手厚い教育を受けられます。ここにも消費税の高さが隠されているようです。■8位(同率):ルーマニア・・・24%財税事情が厳しいルーマニア。2011年に消費税が19%から24%に一気に引き上げられました。国民のデモもあり、国民からの不満は爆発状態。物価も上昇しています。消費税がどう使われているのか、国民も不明では困りますよね。■6位(同率):クロアチア・・・25%様々な国の支配下であったクロアチアは、近年EUに参加し、色々な文化が混在している国です。諸費税は25%と高めですが、軽減税率もあり、0、10、25%の3段階。食品や薬品は0%。医療費や高校までの学校は無料となっています。ちなみに所得税に関しては、最高税率40%もあるとか……。結構、財政難の国です。■6位(同率):スウェーデン・・・25%オーロラの美しい国スウェーデン。高福祉国家と言われるほど、手厚い待遇です。18歳までは医療費が無料で、教育費は大学院まで無料です。消費税25%と一見高いのですが、食品に関しては12%と少し低めの設定。消費税以外の税金も高いそうですが、福祉が充実しているため、国民からの不安はほとんどないそうです。■6位(同率):デンマーク・・・25%消費税が25%でも、国民の満足度はトップクラスのデンマーク。医療費、教育費は無料。風邪をひいても、手術しても、出産しても無料。働くママにも優しいので、育児制度も充実。国民が政治に対しての関心が高く、税金の使い道も厳しくチェックしている感じです。失業手当制度の充実など、とにかく“世界一幸せな国”と言われるゆえんがここにありました。■6位(同率):ノルウェー・・・25%物価が高い北欧の中でも、特にノルウェーは高いと言われています。そして実はノルウェーは、世界一旅行者のお財布に厳しい都市に首都オスロが選ばれたことがある国です。しかし、国民に対しては優しくて、出産費用、大学までの学費はほぼ無料です。失業保険や年金なども充実しており、また、世界初の男性に対する育休を認めるなど、福祉が充実。物価が高くても、多大なるメリットがあります。見習うべきところは本当に多そうです。■2位:アイスランド・・・25.5%日本と同じく火山国。電力は地熱でまかなわれているのは有名な話です。アイスランドでは大学までの学費が無料です。また、シングルマザー、障害者、高齢者に対しては手厚い補助があります。犯罪が少ない国としても有名で、家の鍵を開けっ放し安全。一人でも安心して暮らせる国です。■1位:ハンガリー・・・27%ダントツ1位のハンガリーはさぞかし福祉国家なのかと思いきや、その逆をいくほどで近年では、「生活満足度ランキングOECD加盟国」の中でも最下位。政治の不安定さや、公務員が多いなどがあり、財政難は必死の状況。どうやら行政の体制が悪く、あらゆる面で増税され、塩分やカロリーの高い食品に課せられるポテチ税や、犬を飼った人が納める犬税、ありとあらゆるものに税が課せられ、「一体、消費税は何に使っているの?」と国民の不満も限界のようです。消費税が高いからと言って国民に還元されるわけではなく、国によっては財政難により、それを国民が負担する形になっていることもあります。高い税金を支払うのだから、満足できる生活保障は受けたいですよね。ちなみに、日本の生活満足度は36ヶ国中21位(2012年)と非常に低いです。ただ、こうやって他の国の事情を見ていくと、「消費税が高くなっても、福祉が充実していて、老後の心配や失業の心配がなければいい」と思ってしまいませんか?(文/Jeana)【参考】※世界の消費税(付加価値税)の税率……平成26年4月版-全国間税会総連合会
2015年04月02日サイバートラストは4月1日、「マイナンバー制度」(社会保障・税番号制度)において、企業の本格運用に向けてマイナンバーの利用に際するセキュリティ対策サービスを4月から提供すると発表した。マイナンバーを含む個人情報は「特定個人情報」として、企業での厳格な取扱義務が課せられる。マイナンバー制度の開始までに、企業はマイナンバーの利用・保管のための体制やポリシーの設定、セキュリティ強化が必要になるが、企業内のシステムや操作端末・ユーザーに対するセキュリティ強化や脆弱性の評価などは、企業にとって大きな負担になると同社は予想する。同社が提供する「マイナンバー制度対応サービス」は、「ネットワーク認証・暗号化通信向けサービス」「ネットワークセキュリティサービス」「コンサルティングサービス」「マイナンバー秘匿化サービス」の4種類。ネットワーク認証・暗号化通信向けサービスでは、マイナンバーを含む特定個人情報にアクセスする操作端末やユーザーを限定し、マイナンバーを保管するサーバなどへの通信路を暗号化するで、不正アクセスによる情報漏洩を防止するための電子証明書を提供する。ネットワークセキュリティサービスは、マイナンバーを取り扱うシステムやネットワークにおいて、検疫ネットワークの構築、標的型攻撃への対策、統合ログ管理・分析など、包括的なもの。コンサルティングサービスには、マイナンバーを含む特定個人情報をシステムで利用・保管するために必要なセキュリティ・リスク・アセスメント、ポリシー策定や脆弱性診断などを含む。マイナンバー秘匿化サービスでは、システムで保管するマイナンバーを無作為に生成したデータである別のコード(トークン)に自動的に置き換える技術を用いることで、漏洩リスクを低減する。マイナンバー秘匿化サービスは提供準備中だが、その他のサービスは4月から提供開始の予定だ。
2015年04月02日連載コラム「人に聞けない相続の話」では、相続診断協会代表理事の小川実氏が、その豊富な実務経験をもとに、具体的な事例を挙げながら、相続の実際について考えていきます。【ケース7】20年前、長男に孫が生まれました。初孫という事もあり、嬉しくなって近くの銀行で孫の名前の口座を作り100万円を入金しました。以来、毎年、孫の誕生日のお祝いを贈る頃、100万円の入金を続けました。この度、孫が20歳になったので、2,000万円貯まった預金通帳を孫に渡そうと思います。贈与税の非課税枠は、1年間に110万円と聞いているので、毎年100万円ずつ預金していましたから問題ないと思いますが、このまま渡して大丈夫でしょうか?【診断結果】そのまま渡すと695万円の贈与税が、課せられてしまいます。(2,000万円-110万円)×50%-250万円=695万円贈与は、自己の財産を無償で相手方に与える意思を示し、相手方がそれに受諾することによって成り立つ片務・諾成・無償の契約です(民法549条)。つまり、毎年、通帳へ入金する時、(1)お孫さん(親権者である父母)にあげるよと言い、(2)お孫さん(親権者である父母)がありがとう! と言い、かつ、実際にお金を渡す事で成立します。20年間100万円をお孫さん名義の口座に入金していましたが、通帳をずっと持っていましたので、お孫さんに贈与したことにはなっていません。ご相談者様名義の預金通帳からお孫さん名義の預金通帳にお金を移動しただけです。通帳も印鑑もカードもご相談者様が持っていれば、いつでも預金を引き出す事も出来ますので、この預金はご相談者様のものです。これを名義預金と言います。最近は、架空名義を使った振込詐欺などもあり、本人確認が厳しくなって他人名義の預金通帳や貯金通帳は作るのが難しくなっていますが、以前は容易に作る事も出来ました。○本事案では、通帳を渡した時点での贈与に本事案では、通帳を渡した時点での贈与になります。2,000万円の贈与です。無税で渡せると思っていたのに、695万円も税金がかかると知ったら、ビックリしてしまいますね。この様なご相談を時々お受けしますが、ご相談者様の贈与の気持ちを確実にするためには、通帳は最初の入金後にお孫さん(未成年者の場合には、親権者である父母)に渡してしまい、毎年、送金する事が重要です。ごくまれに、「そんな事黙っていれば、あるいは20年前に渡したことにすれば、税務署にばれないでしょ…」とおっしゃる方もいますが、例えば、ご相談者様は名古屋にお住まいで、お孫さんが東京に住んでいる場合、毎年の入金がご相談者様の家の近くの銀行で入金されていたりすると、すぐにばれてしまいますので、注意をして下さい。○贈与の"あげたつもり"は、思わぬところで贈与税がかかり大変危険「贈与の"あげたつもり"は、思わぬところで贈与税がかかり大変危険です!」今からでも、毎年100万円ずつとか200万円ずつ引き出して実際に贈与しましょう。平成27年から直系尊属(祖父母や父母など)から、一定の年齢の者(贈与を受けた年の1月1日現在で20歳以上の直系卑属のことをいいます)への贈与については、税率が下がりました。500万円の贈与をした場合の贈与税は、平成26年までは53万円だったものが、平成27年からは48.5万円です。2,000万円の贈与は、20歳になった翌年であれば、695万円が585.5万円と100万円ほど安くなっています。また2,000万円を4年に分けて贈与すると、48.5万円×4年=194万円です。贈与税は、累進税率の適用がきついので、金額が大きくなると税金がビックリするほど高くなります。しかし、少し工夫をすると、695万円が194万円と約400万円も安くなりますので、上手く賢く年数や人数を分けて暦年贈与を利用してください。○相続税対策としても、暦年贈与は一番手軽でかつ効果相続税対策としても、暦年贈与は一番手軽でかつ大変効果があります。まず、相続税額を計算し、ご自分の財産に対する相続税の税率を計算してください。例えば、財産が3億円で、法定相続人が子供2人の場合、相続税は6,920万円です。つまり、6,920万円÷3億円=23%。何もしなければ、亡くなった時の財産に23%で相続税がかかります。生前に500万円ずつ2人のお孫さんに5年間贈与すると、48.5万円×2人×5年=485万円の贈与税がかかります。その後亡くなると、500万円×2人×5年=5,000万円の財産が減っていますので、3億円の財産は2.5億円に減っており、相続税は4,920万円です。何もしなかった場合との差額は、6,920万円-485万円(贈与税)-4,920万円(相続税)=1,515万円となります。暦年贈与を上手に利用すると、1,515万円も簡単に節税することが出来ます。財産が2億円以上あると思われる方は、暦年贈与を上手に利用して、節税を考えてみて下さい。○執筆者プロフィール : 小川 実一般社団法人相続診断協会代表理事。成城大学経済学部経営学科卒業後、河合康夫税理士事務所勤務、インベストメント・バンク勤務を経て、平成10年3月税理士登録、個人事務所開業。平成14年4月税理士法人HOP設立、平成19年4月成城大学非常勤講師。平成23年12月から現職。日本から"争族"を減らし、笑顔相続を増やす為相続診断士を通じて一般の方への問題啓発を促している。相続診断協会ホームページのURLは以下の通りとなっている。
2015年04月01日連載コラム「人に聞けない相続の話」では、相続診断協会代表理事の小川実氏が、その豊富な実務経験をもとに、具体的な事例を挙げながら、相続の実際について考えていきます。【ケース6】平成26年3月、数年前から患っていた病気が原因で母が亡くなりました。享年75歳、仲の良い息子2人が揉めるはずもないし、相続税も関係なさそうだしと「遺言書」などは特に残していませんでした。長男「自宅は自分が取得し、現預金を次男が取得するしかないだろう」。次男「母親の財産は、法定相続分である2分の1ずつきっちり分けたい」。母親の財産は、長男家族と同居していた東京の自宅5,000万円と現預金1,000万円の合計6,000万円。両者の主張は妥協点を見いだせず、母親が亡くなって、すでに半年が経過していました。次男の要求を満たすためには、自宅を2分の1の共有にし、1,000万円を500万円ずつ分けるしかないのでしょうか。【診断結果】相続がもっとも"争族"になりやすいのは、遺産が「自宅と現預金少し、相続人複数」というケースです。遺産の大部分が自宅の場合、相続人間で平等に遺産を分けられないので、揉めてしまいます。本事案では、長男が妻と2人の子供と一緒に母親と同居し、数年前から少し体が不自由になった母親を長男家族が親身になって世話をしていました。10年ほど前にガンで父親が亡くなってからは、長男が家の大黒柱として家計を支え、古くなった家のリフォーム費用なども支払っていました。母親の生活も長男がすべて面倒を見ていましたので、長男としては、自宅以外のその他の現預金などは次男に譲っても良いが、自宅は自分が引き継ぐのが当然であると考えていました。一方、次男は、大学卒業後、大阪で就職・結婚し2人の子供と暮らしていましたが、勤務していた会社がリーマンショックの後遺症から立ち直れず、年収も下がり、妻もパートに出るようになっていました。長男から提案があった分割案は、自宅5,000万円を長男、現預金1,000万円を次男が取得することになっており、次男には不利な遺産分割案でした。長男が母親の面倒を看ていたこともわかっているので、長男と揉めたくはないという気持ちもありながら、5,000万円対1,000万円は、何も言わず印鑑を押すには金額の差が大きすぎる気がしていました。長男と仲違いしたいわけではないので、率直に勤務する会社の状況を長男に伝え、法定相続分をもらいたい意向を伝えました。長男も次男の状況に理解を示したものの、自宅を2分の1に分ける事も出来ず、かといって長男から2,000万円の不足分を支払うあてもなく、着地点が見えず膠着状態が続いていました。○「代償分割」とは?この様な状況の場合、「代償分割」という方法があります。長男が、自宅をもらう代わりに、次男に長男の財産を渡すという方法です。実際に、次のような会話をしました。小川 : 「弟さんの希望は、何でしょうか? 2分の1の財産をもらう事ですか? 自宅の2分の1の持分をもらって、希望はかなえられますか?」次男 : 「年収が下がって、かなり家族に負担をかけているのを少しでも家族を楽にさせたい。長男家族が母親の面倒をずっと見てくれていたので、事を荒立てたくもない」。小川 : 「それなら自宅の2分の1の持分をもらっても、自宅を売却でもしない限り、弟さんの希望はかないませんね。現預金1,000万円を分け2分の1の500万円を受け取る事も希望に逆行します。2分の1の持分をもらい自宅を売却すると、20%の税金が引かれるので、弟さんの手元に残るのは、2,500万円の80%=2,000万円。500万円の現預金と合わせて手元に残るのは、2,500万円です。しかもいつ売れるかわからないし、兄弟が育った家が無くなり、住むところを無くしたお兄さん家族から恨まれてしまうかもしれません。自宅はお兄さんに渡し、その代り、現預金1,000万円とお兄さんから代償金として、1,500万円受け取ってはいかがでしょう?」長男 : 「1,500万円の現金は、とても用意できません」。小川 : 「1,500万円は、一括じゃなくても良いのです。100万円ずつ15年で渡してはいかがでしょう?」長男 : 「それなら支払えます」。結局、長男は、5,000万円の自宅を相続する代わりに、100万円×15年次男に支払う。次男は、現預金1,000万円相続し、100万円×15年受け取る。という条件で遺産分割がまとまりました。長男の相続した金額は、5,000万円-1,500万円=3,500万円次男の相続した金額は、1,000万円+1,500万円=2,500万円受け取った金額は、1,000万円の差がありますが、長男も次男も大変満足し、これからも仲良く助け合って生きていく約束をしました。自宅が遺産の大部分を占める場合には、分けられないために"争族"に発展することも多いのですが、兄弟がお互いの立場を理解し、譲り合いの気持ちで遺産分割の交渉をすることが出来たので、大切な財産と家族を守ることが出来ます。(※写真画像は本文とは関係ありません)○執筆者プロフィール : 小川 実一般社団法人相続診断協会代表理事。成城大学経済学部経営学科卒業後、河合康夫税理士事務所勤務、インベストメント・バンク勤務を経て、平成10年3月税理士登録、個人事務所開業。平成14年4月税理士法人HOP設立、平成19年4月成城大学非常勤講師。平成23年12月から現職。日本から"争族"を減らし、笑顔相続を増やす為相続診断士を通じて一般の方への問題啓発を促している。相続診断協会ホームページのURLは以下の通りとなっている。
2015年03月27日連載コラム「人に聞けない相続の話」では、相続診断協会代表理事の小川実氏が、その豊富な実務経験をもとに、具体的な事例を挙げながら、相続の実際について考えていきます。【ケース5】「すべての財産を長男に相続させる」。49日法要が終わり、生前父が親しくしていた弁護士が預かっていた自筆証書遺言を読みあげました。兄は無言でうなずき、弟は無言でその場を立ち去りました。父親の生前、兄は地元に残り父親が経営していた事業を手伝い、弟は東京に出てサラリーマンをしていましたが、数年前に父親とちょっとした口論があってから何年も実家に顔を見せていませんでした。後日、弟は弁護士に相談し、遺留分減殺請求の訴訟を提起しました。小さい頃は仲の良かった兄弟ですが、相続の境に互いに口を利くことはなくなり、遺留分減殺請求の裁判が決着するまでに3年の年月がかかりました。【診断結果】遺言を書くと有効又は書かなければいけないのは、次のようなケースです。法定相続人以外の人に財産を渡したい法定相続分とは異なる割合で、財産を渡したい特定の財産を特定の人に渡したい(1)の典型は、内縁関係の方に財産を渡したい場合です。内縁関係の方は法定相続権を持たないため、遺言がないと財産を承継することは出来ませんので、法的な婚姻関係に無い方に財産を残したい場合には、遺言は必須です。その他、親身になって介護をしてくれた長男の奥様などがいる場合には、遺言で感謝の言葉とともに少しでも良いので財産を渡す事をお勧めしています。(2) 不動産や未上場会社の株式などが多い場合、法定相続分で均等に財産を分ける事は極めて困難です。相続人である当事者間の話し合いで決めるようとすると、均等に分けられないので、争いになってしまいます。平等に分けられない場合には、親が指定した方が子供は納得するものです。(3) (2)と同様、不動産は収益性が高いものやそうでないものもあり、利回りや換金性の高い財産は、誰もが欲しがり、活用が難しい田舎の不動産などは、誰もが敬遠します。相続人である当事者間で話し合いで、決着をつけることは非常に難しいものです。やはり、財産を誰に何をもらって欲しいかの親の意思表示があった方が子供は納得します。「先祖代々の土地は、近所付き合いやお墓の管理も含めて長男に相続させる。東京のマンションは、次男に相続させる。その他の財産は、2分の1ずつ相続させる」といった感じです。財産を均等に分けられなくても、親が誰が何を引き継ぐかを決め、その理由も残す事によって、無用な争いが減ります。○遺言を書く際に注意すべき事とは?遺言書の最大のメリットは、「相続人間で話し合いをしなくて済む」事です。「話し合いをしない」事が、「争いの防止」になります。この様な観点で考えると、遺言を書く際には、次の3点に注意が必要です。すべての財産を明記する包括遺贈は避ける遺留分に配慮する(1)すべての財産を明記する相続人 : 長男・次男遺産 : 自宅5,000万円現預金5,000万円この様なケースで父親が「自宅は長男に相続させる」いう遺言を残すと、現預金5,000万円の分割についての話し合いをしなければなりません。その際、長男は、「遺言にある自宅5,000万円と現預金の2分の1の2,500万をもらえるはず」と主張し、次男は、「長男は、自宅5,000万円で法定相続分の2分の1に達しているので、現預金5,000万円は自分がもらえるはず」という主張をします。5,000万円の現預金についての父親の真意が分からず、兄弟が争ってしまい、何のための遺言だったかわからなくなってしまう事があります。(2)包括遺贈は避ける包括遺贈とは、「長男に2分の1、次男と3男に4分の1ずつを相続させる」という書き方ですが、結局何をもらうか話し合わなければならないので、揉めてしまう事がしばしばです。現預金や上場有価証券など、分割が容易な財産なら良いですが、不動産や未上場会社の株式には避けるべき遺言です。(3)遺留分に配慮する「長男に全財産を相続させる」という遺言は、ほぼ100%遺留分の争いになります。結局、他の相続人と遺留分について話し合いをしなければならなくなり、最も訴訟になりやすい遺言です。遺留分に配慮した内容に変更するか、親の財産がどうしても分け難く、遺留分を満たすことが出来ない場合には、長男の財産から遺留分を渡すように指示することも良い方法です。「全財産を相続させる」という遺言は、相続人が、配偶者と遺留分のない兄弟姉妹の場合には有効ですが、遺留分がある相続人がいる場合には、避けるべき遺言です。○遺言は、大切な家族に想いを伝える最後の手紙遺言は、大切な家族に想いを伝える最後の手紙です。しかし、書き方を間違えると、遺言によって、大切な家族が争い壊れてしまう事もありますので、相続に詳しい専門家と相談しながら、作成してください。また、亡くなってから親の本当の想いを知っても子供は寂しいだけです。遺言を書いたら、生きているうちに、大切なお子さんたちに想いと一緒に遺言の内容を伝えて下さい。きっと家族の絆が、深く強くなります。(※写真画像は本文とは関係ありません)○執筆者プロフィール : 小川 実一般社団法人相続診断協会代表理事。成城大学経済学部経営学科卒業後、河合康夫税理士事務所勤務、インベストメント・バンク勤務を経て、平成10年3月税理士登録、個人事務所開業。平成14年4月税理士法人HOP設立、平成19年4月成城大学非常勤講師。平成23年12月から現職。日本から"争族"を減らし、笑顔相続を増やす為相続診断士を通じて一般の方への問題啓発を促している。相続診断協会ホームページのURLは以下の通りとなっている。
2015年03月16日写真提供:マレーシア政府観光局2015年4月1日よりマレーシアで消費税(Goods and Service Tax)が導入されることが決定した。消費税(税率6%)はマレーシアを観光やビジネス目的で訪れる外国人にも適用される。ただし、外国人旅行者は、マレーシア滞在時に購入した物品に対し、条件を満たした場合は観光客免税システムを利用し消費税の払い戻し手続きが可能!特に大きな買い物をした場合は、払い戻し金額も大きくなるため、出発前にチェックしておこう!1. マレーシア8つの国際空港で払い戻し請求が可能観光客は、マレーシア国内にある8つの国際空港※のいずれかの空港から出発する際、観光客免税システムの登録販売店で購入した対象商品に対して、消費税の払い戻しを請求することができる。利用対象となるのは、有効なパスポートを持った、消費税の払い戻しの権利がある外国人観光者に限られる。登録販売店で買い物をした際は、Tax Invoiceまたは領収書原本を貰い、観光客免税システムの払い戻し申請用紙を作成してもらうことを忘れずに。※クアラルンプール国際空港(KLIA)、ペナン国際空港、ランカウイ国際空港、コタキナバル国際空港、クチン国際空港、セナイ国際空港(ジョホールバル)、スバン国際空港(クアラルンプール)、マラッカ国際空港2. 観光客免税システムの条件をチェック!観光客免税システムには細かい条件があるが、特に注意したい項目は下記の通り。・同じ登録販売店で消費税を含め最低300リンギット(約9,800円)以上購入している。(※同一販売店での合計が消費税を含め300リンギットを超える場合は合算でも可能)・マレーシア国籍&永住権を持っていない、有効な国際パスポートを持っている。・マレーシア国内にある8つの国際空港から空路にて出発する。・申請はマレーシア出発日から3ヶ月以内に行うこと。・対象商品は機内持ち込み荷物またはチェックイン預け手荷物として、マレーシア国外へ持ち出すこと。※その他の条件についてはこちら3. 免税システム対象外の製品以下は対象外となるので注意しよう。・ワイン、スピリッツ、ビール、麦芽酒・タバコとタバコ製品・貴金属や宝石・マレーシア国内で開封や消費された物品(※衣類で、税付請求書が付いている場合はOK)・法律上、輸出が禁止されている製品・機内持ち込み荷物またはチェックイン預け手荷物として、対象商品をマレーシア国外へ持ち出せないもの。※その他の詳細についてはこちらマレーシア政府観光局「消費税(GST)の導入のお知らせ」
2015年03月06日サンセキはこのほど、お墓のポータルサイト「お墓フェ」をオープンした。お墓やお墓参りに関する様々な知識や、最新の情報を発信していく。同サイトは、お墓参りをする側の視点に立ち、お墓やお墓参りを取り巻く新しいライフスタイルを提案・紹介することで、お墓と一生の締めくくりに関して、ポジティブかつ真摯に向き合うきっかけを作り出すことを目的としているという。サイトでは、「おハカせ」「りた」「ボッヒー」のオリジナルキャラクター3人が、お墓や終活に関する知識や最新情報などを紹介。主なコンテンツとして、お墓の値段や準備の仕方など基本情報を掲載する「お墓のキホン」、お墓に関する様々なトピックスを集めた「お墓フェレポート」などを用意している。このうち、「お墓フェレポート」では「生前墓」に関するトピックスを紹介。2015年1月に行われた相続税改正により、基礎控除が4割縮小されることになり、相続税対策を検討する人が増えている。そのため、非課税財産に当たり相続税の課税対象にならない「生前墓」への関心が高まっているという。今後は、日本エンディングサポート協会佐々木悦子理事長による終活についてのコラム連載も予定している。
2015年03月04日連載コラム「人に聞けない相続の話」では、相続診断協会代表理事の小川実氏が、その豊富な実務経験をもとに、具体的な事例を挙げながら、相続の実際について考えていきます。【ケース4】長男 : 「父さんが亡くなった後、弟や妹たちと遺産相続で揉めたくないし、相続税が払えなくても困るから、父さんの財産をわかるようにしておいていただけますか?」父 : 「縁起でもない事言うんじゃないよ。俺はまだまだ死なないし、財産を狙っているのか?」「自分の父親にどうやって、相続の準備をさせたら良いか? 相続の話をすると不機嫌になって怒り出すんですよ」【診断結果】この様な相談を良く受けます。前回のコラムに書いた相続が揉める原因「財産を平等に分けられない」に次いで、相続が揉める2番目の原因は、「家督相続」と「平等相続」のギャップだと思います。明治31年の民法相続編は、江戸時代の武家相続を範型として、「家督相続」を規定していました。「家督相続」は「戸主」の交替と観念されましたが、現実には戸主に属する一切の財産の承継を意味していました。家督相続の相続順位は第5順位まで規定され、第1順位の家督相続人としては、被相続人の家族たる直系卑属があげられ、この直系卑属のうちでは、親等の遠い者より近い者を、女子より男子を、非嫡出子より嫡出子を、年少者より年長者を優先することになっていました。これは、多くの場合、「長男の単独相続」を意味しました。明治民法の「長男単独相続」は、社会的基盤として「家」制度の維持・存続をはかるものであったと言われています。○新憲法において「家督相続制度」は終焉昭和22年5月3日に施行された新憲法において、「個人の尊厳と両性の本質的平等」が尊重され、武家時代から続いた「家督相続制度」は終焉を迎えました。昭和23年1月1日施行された新民法においては、配偶者は常に相続人となり、第1順位直系卑属、第2順位直系尊属、第3順位兄弟姉妹とされました。そして、同一順位の相続人が数人いる場合には、その相続分は相等しいものとされました。昭和22年以前の相続においては、単独で全財産を承継した「家督相続人」か、ほとんど財産をもらえなかった「その他の人」という事になります。新民法が施行された昭和23年生まれの方は、今年67歳になりますので、80歳を超える方は、旧民法相続の経験の可能性がある方と言えます。○昭和10年前後の生まれで「家督相続世代」と「平等相続世代」との境界また今年80歳を迎える昭和10年生まれの方は、民法が改正された昭和23年までに小学校教育(尋常小学校又は国民学校初等科)を終えていますので、昭和10年前後の生まれで「家督相続世代」と「平等相続世代」との境界があります。私の父は平成10年に亡くなっていますが、昭和3年生まれの「家督相続世代」の大変厳しくも優しい父でした。母はいつも父を立て、家では絶対的な権限を持つ「家督相続制度」における「戸主」そのものでした。「戸主」である父の考えが、我が家の判断基準で、他の家族の多種多様な意見は採用されない場合が多かったですが、それでもあまり不満は無かった気がします。それは、「戸主」である父が、絶対的な権限を持っていましたが、家族に対する責任と深い愛情をしっかり持っていたからだと思います。一方、昭和23年「個人の尊厳と両性の本質的平等」を尊重する新民法が施行されてから、絶対的権限を持つ「戸主」はいなくなり、すべての家族を平等に尊重する「平等家族制度」となりました。「民法第900条第4項 子、直系尊属又は兄弟姉妹が数人あるときは、各自の相続分は、相等しいものとする。」とされ、兄弟姉妹は平等に親の財産を相続する権利が与えられました。「介護が必要になった親と同居をして親身に世話をした子供」も「たまにしか実家に帰って来なかった子供」も平等に財産を相続する権利があります。親の面倒を看た貢献を「寄与分」として、財産を多く取得できる制度もありますが、金額的にはそれほど多く評価されません。○寄与分や配偶者の財産形成を相続時にもっと配慮するなどの民法改正が検討先日、寄与分や配偶者の財産形成を相続時にもっと配慮するなどの民法改正を検討している事が法務大臣より発表されたところです。現在、相続対策が必要な80歳以上の方は、「家督相続世代」で、家を継ぐ「戸主」がすべての財産を取得する事が「家」を守る事であり、財産を分割することは「家」を弱くする事であり、悪い事であると教育を受けた世代です。幼いころから、「戸主」がすべての財産を引き継ぐ事が「善」で、分割をすることは「悪」であると教えられ育っているので、自分の相続においても「分割」を前提に準備をしようとはなかなかなりません。○「家督相続」と「平等相続」のギャップが、"争族"の2つ目の大きな原因冒頭の相続の話をすると不機嫌になるお父さんは、このような心情だと思います。一方、財産を引き継ぐ60歳より若い方は「平等相続世代」です。平等にもらうのが当然であり、「家督相続は古き悪しき風習」と考える世代です。ここに、生前に相続の準備をしない「家督相続世代」の親が亡くなり、「平等相続世代」の子供が平等の権利を主張し、遺産を巡って争いになるという構図があります。「家督相続」と「平等相続」のギャップが、"争族"の2つ目の大きな原因です。「家督相続世代」は、「会社」や「家」を守るため、財産を分割しすぎない為の「遺志を残す」。「平等相続世代」は、自分たちの権利のみを主張せず、「果たす責任に見合った権利を主張する」。これらにより、「家督相続」と「平等相続」のギャップが埋まり、無用な"争族"を減らすことが出来ます。(参照:『基本法コンメンタール相続』(日本評論社))(※写真画像は本文とは関係ありません)○執筆者プロフィール : 小川 実一般社団法人相続診断協会代表理事。成城大学経済学部経営学科卒業後、河合康夫税理士事務所勤務、インベストメント・バンク勤務を経て、平成10年3月税理士登録、個人事務所開業。平成14年4月税理士法人HOP設立、平成19年4月成城大学非常勤講師。平成23年12月から現職。日本から"争族"を減らし、笑顔相続を増やす為相続診断士を通じて一般の方への問題啓発を促している。相続診断協会ホームページのURLは以下の通りとなっている。
2015年03月03日連載コラム『人に聞けない相続の話』では、相続診断協会代表理事の小川実氏が、その豊富な実務経験をもとに、具体的な事例を挙げながら、相続の実際について考えていきます。【ケース3】弟 : 「兄ちゃんは大学も行って、ずいぶんお金かかったよね。俺は高校出てすぐ親父のお店手伝うようになったから、兄ちゃんとはお金のかかり方が全然違うよ」兄 : 「何言ってんだよ。お前は、高校時代、頭悪いのに勉強もしないで遊んでばっかりいて、浪人してでも大学行けばよかったじゃないか。俺は一生懸命勉強して、なるべく親に負担がかからないように、国立大学に行ったんだぞ」弟 : 「姉ちゃんは、結婚の時、ずいぶんお金出してもらったよね。それに昔からよく親父にブランドもの買ってもらってたし」姉 : 「何言ってるのよ。お父さんは私が可愛いから、『何が欲しい?』って聞くから、親孝行のつもりでもらってあげてたのよ」【診断結果】父親が亡くなり、まだ葬儀が終わっていないのに始まった遺産を巡る争い。一般社団法人相続診断協会が落語家の「桂ひな太郎」師匠と共同で作った「笑顔相続落語」の一節です。相続が揉めてしまう一番の原因は、「財産を平等に分けられない」からです。相続財産の50%超を占める土地や建物などの不動産は、分割する事は困難ですし、共有にすると後々にいろいろな問題が発生します。また、親が経営していた会社の株式は、兄弟姉妹3人いるから株式を3分割すれば良いかというと、そのような分割をすると社長となった長男は3分の1の議決権しかなく、残り2人が結託すると社長を解任される可能性もあり、やり辛くて仕方無い状態になります。遺産の大部分が、現預金などの金融資産であれば、平等に分ける事も可能ですが、現実的には、"遺産はほぼ、平等に分けられません"。また、親が亡くなった時の財産を平等に分ければ争いが起きないかというと、そうでもありません。冒頭の兄弟姉妹の争いのように、大学に行った行かない、留学したしない、結婚費用を出したもらった、マンションの頭金を出してもらったなど、生前に親が子供に使ったお金は、平等ではありません。亡くなった時の財産を均等に分けられたとしても、生前に親が子供たちに使ったお金を巡って、より複雑な議論が始まります。○すべての相続人が納得する"平等"という状況は極めて希少各人の"平等"だと思う概念が同じではないので、"平等"に分けると言っても、すべての相続人が納得する"平等"という状況は極めて希少です。民法では、被相続人から遺贈を受け、又は婚姻、養子縁組、若しくは生計の資本として贈与を受けた財産が「特別受益」といい、遺産の総額に贈与を加えたものを遺産とみなし、特別受益を受けた者については、相続分から贈与の価額を控除した残額を相続分とする法定相続分の調整規定があり、法律上の平等は規定されていますが、「結婚式の費用」は特別受益の対象にならないが、「嫁入り道具」は特別受益の対象になるなど、一般人が理解し納得出来る内容ではありません。では、"平等"とは、どういう状況なのでしょうか?その子供が生まれてから親が死ぬまでにその子供のために使ったお金その子供が生まれてから親が死ぬまでにその子供に贈与したお金や物親が亡くなった時に相続で受け取ったお金と物1+2+3が、兄弟姉妹で同じ金額になれば、究極の平等です。子供が生まれてから、家計簿をつければ可能です…。実際の裁判でも、これに近い論点で1円まで遺産の奪い合いをしています。なぜ子供たちが平等に財産を要求するかというと、『民法第900条第4項 子、直系尊属又は兄弟姉妹が数人あるときは、各自の相続分は、相等しいものとする。』となっているからに他なりません。民法第900条第4項が、兄弟姉妹に均等の相続権を保障しているため、同じ金額をもらわないと損と感じてしまうのです。『兄弟姉妹の相続分は相等しい。』という民法を信じ、同じ金額をもらえると考える。しかし、現実には平等には分けられない。結果、争いになる。という構図があります。○争っている兄弟姉妹の心情は、「親から受け取る財産が平等=親の愛情が平等」この時、争っている兄弟姉妹の心情は、「親から受け取る財産が平等=親の愛情が平等」です。「親から受け取る財産が少ない=親の愛情が少ない」という心情ですので、引くに引けない争いです。「兄弟姉妹の遺産"争族"は、親の愛情の奪い合い」です。親の愛情をお金で測っているわけですから、きっちり平等に分けるか、1円でも多く他の兄弟姉妹よりも多くもらいたいと争います。実際に、どうしてここまで拘るのかと思うような争いをしている兄弟姉妹がありますが、「自分の方が親から愛されていたはず」という想いが、争いを泥沼化させています。○揉めない相続の秘訣は、『親の愛情を受け取る財産の多寡で判断させない事』一方、遺産分割が不平等でも、揉めない兄弟姉妹もたくさんいます。それは、親の愛情がしっかり伝わっている兄弟姉妹です。「親の愛情」というものは、子供に使った金額や残した財産の大小ではありません。「親の愛情」が伝わっていれば、受け取る財産の多寡で愛情を確認する必要がないので、金額に不平等があっても、役割の違いや関わり方の違いと納得し争う必要がありません。揉めない相続の秘訣は、『親の愛情を受け取る財産の多寡で判断させない事』です。子供たちに親の愛情が平等である事を生前にしっかり伝え、また遺言やエンディングノートに想いを残し伝える事が、大切な家族を守る秘訣です。子供たちが納得できる真の"平等"とは、「受け取る財産が平等」ではなく、『親の愛情が平等』という状況です。(※写真画像は本文とは関係ありません)○執筆者プロフィール : 小川 実一般社団法人相続診断協会代表理事。成城大学経済学部経営学科卒業後、河合康夫税理士事務所勤務、インベストメント・バンク勤務を経て、平成10年3月税理士登録、個人事務所開業。平成14年4月税理士法人HOP設立、平成19年4月成城大学非常勤講師。平成23年12月から現職。日本から"争族"を減らし、笑顔相続を増やす為相続診断士を通じて一般の方への問題啓発を促している。相続診断協会ホームページのURLは以下の通りとなっている。
2015年02月23日連載コラム『人に聞けない相続の話』では、相続診断協会代表理事の小川実氏が、その豊富な実務経験をもとに、具体的な事例を挙げながら、相続の実際について考えていきます。【ケース2】相続のセミナーを受けたAさん(50歳)は、エンディングノートに想いを残す重要性を知り、早速エンディングノートを購入し、記入し始めました。自宅の書斎でエンディングノートを記入していると、妻(46歳)がコーヒーを持って入って来ました。妻 : 「あなた、お仕事?」夫 : 「実は、相続のセミナーに参加してきたんだけど、エンディングノートに想いを残すと良いって聞いたんで、早速買ってみたんだよ」妻 : 「えっ? あなたどこか具合でも悪いの? エンディングノートって亡くなる前に書くものでしょ? どうしたの?」と焦って聞き返してきました。夫 : 「いや、違うんだよ…」妻 : 「どこも悪くないのに、どうして死ぬ準備なんかするのよ?」と今度は、泣きそうになって私に問い返してきました。【診断結果】一般の方にとって、『遺書』『遺言書』は、いずれも「亡くなるための準備の文書」なのかも知れません。そして、エンディングノートは、年配の方の「老いや死への準備」という印象が強いと思います。Aさんの奥さんは、ご主人が「エンディングノート」を記入しているのを見て「死」を連想し、狼狽されたのだと思います。辞書を引くと、『遺書』は、(1)死後のために書き残す文書や手紙、(2)自殺者が死に際して書き残した文書。『遺言書』は、(1)死後のために書き残す文書や手紙、(2)死後の財産の処置について書き残す文書や手紙、とあります。死後のために書き残す文書や手紙という広義の意味では、『遺書』と『遺言書』は、同じです。一般的な理解としては、『遺書』は、「自殺者が死に際して書き残した文書」。つまり、死を間近に感じている方が記入するものです。一方、『遺言書』は、「死後の財産の処置について書き残す文書や手紙」。例えば、「全財産を長男に相続させる」などです。『遺書』は、「死」までの時間が間近。『遺言書』は、「死」までの時間が、十分にある。死までの時間軸が違うと考えていただけると分かりやすいと思います。○『遺言書』と『エンディングノート』の違いは?そして、『遺言書』と『エンディングノート』の違いは、『遺言書』は、「死後の財産の処置について、法的な効力を備えられるもの」、『エンディングノート』とは、「法的な効力は有しないが、死後の財産の処置だけではなく、葬儀の方法、生きている間の延命治療や介護の方法、その他家族への想いやお世話になった方への感謝など多岐にわたって自由に記入することができるもの」です。『遺言書』と『エンディングノート』は、「まだすぐには、死なない人が書くもの」とも言えます。『遺言書』は、15歳以上で意思能力があればだれでも作成する事が出来ます。○『遺言書』の種類は?『遺言書』の種類は大きく、普通方式と特別方式があります。普通方式(1)自筆証書遺言(2)公正証書遺言(3)秘密証書遺言特別方式(4)危急時遺言(5)難船危急時遺言(6)隔絶地遺言(7)船舶隔絶地遺言特別方式の(4)危急時遺言は、やしきたかじんさんが、亡くなる4日前に弁護士3人の立ち合い下で作成し話題になりましたが、特別方式の遺言は死期が差し迫っている場合などのやむを得ない状況で行う事が認められている特別な遺言の方式であるため、遺言者が普通の方式で遺言を行う事ができるようになってから6カ月間生存した場合には、遺言の効力はなくなります。○一般的には、普通方式の(1)自筆証書遺言、または(2)公正証書遺言、を作成従って、一般的には、普通方式の(1)自筆証書遺言、または、(2)公正証書遺言、を作成します。(1)自筆証書遺言本人が、全文、日付、氏名を自筆で書き、印を押します。家庭裁判所での検認の手続きが必要。一番手軽に作成できますが、紛失や変造の可能性があり、また、本人が書いたかどうかで争いになる事もあります。(2)公正証書遺言本人が口述し、公証人が作成します。原本が公証役場で保存されるので、紛失や変造の恐れがありません。手間は掛かりますが、一番安心です。『遺言書』には、どの様な事でも書くことが出来ますが、法的に効力があるのは、次のとおりです。(1)身分に関する事子供の認知後見人及び後見監督人の指定(2)相続に関する事相続人の廃除及び廃除を取り消し相続分の指定遺産の分割方法の指定遺産の分割の禁止相続人間の担保責任の指定遺言執行者の指定遺留分の減殺方法の指定(3)財産の処分に関する事財産の遺贈財団法人を設立する為の寄付行為財産を信託法上の信託に出すこと以上、遺言によって法的に効力のある3つの事は、生前であれば当然に本人の意思で行う事が出来る事でもあり、内容によっては、相続人にとって納得しがたいこともあります。従って、法的には効力がありませんが、付言事項により遺言の説明を書くことは非常に重要です。○不動産は売却して良いか悪いかが書いてあるとトラブルを避ける事につながる残された家族への想い、お世話になった方への感謝の気持ちなどが書かれている遺言書は、大切な家族を亡くした喪失感を和らげてくれます。また、自分の親が亡くなって、知らない「子供の認知」が書かれた遺言が出てきたら、家族は戸惑うばかりです、やはり、お詫びの言葉や説明は必要でしょう。相続財産の分割は、法定相続分どおり平等に分ける事は、不可能になるケースが多いのです。財産を引き継いで欲しい理由が書いてあると、不平等な分割であっても納得しやすくなります。不動産については、処分を巡ってもめることがありますので、売却して良いか悪いかが書いてあると後々のトラブルを避ける事につながります。『遺言書』は、ある相続人に法定相続分より多く財産を引き継いで欲しい時、法定相続人ではない人に財産を渡したい時に確実に想いを達成する事が出来ます。従って、十分時間をかけ大切な家族が揉めないような付言事項を書き添える事をお勧めします。○執筆者プロフィール : 小川 実一般社団法人相続診断協会代表理事。成城大学経済学部経営学科卒業後、河合康夫税理士事務所勤務、インベストメント・バンク勤務を経て、平成10年3月税理士登録、個人事務所開業。平成14年4月税理士法人HOP設立、平成19年4月成城大学非常勤講師。平成23年12月から現職。日本から"争族"を減らし、笑顔相続を増やす為相続診断士を通じて一般の方への問題啓発を促している。相続診断協会ホームページのURLは以下の通りとなっている。
2015年02月16日連載コラム『人に聞けない相続の話』では、相続診断協会代表理事の小川実氏が、その豊富な実務経験をもとに、具体的な事例を挙げながら、相続の実際について考えていきます。【ケース1】母親は、東京で長男家族と同居していました。もう一人の相続人となる次男は、大阪の会社に勤務し、家族とともに大阪に住んでいます。母親が亡くなる1週間前にお見舞いに来ましたが、その前に母親の顔を見せたのは2年以上も前の事でした。母親は、亡くなる1年ほど前から足が不自由になり、一人ではトイレに行くのも難しい状況でしたが、長男の妻の献身的な介護もあって、非常に安らかな最期を迎える事が出来ました。亡くなった母親の財産は、長男と同居していた先祖代々の家(5,000万円)と預金(1,000万円)でした。平成27年から相続税法の基礎控除が下がり、相続人2人の場合の基礎控除は4,200万円に下がりましたが、母親と同居していた長男が家を引き継げば、小規模宅地の評価減の特例が使えるため相続税も0円となるので、「我が家には相続は関係ない」と長男は思っていました。次男から「法定相続分である3,000万円をもらいたい」と言われるまでは…【診断結果】相続の話になった際、「うちには大した財産はないから相続は関係ない」とおっしゃる方が、たくさんいらっしゃいます。そういう方は、ほとんど「相続税がかからないから」関係ないと思っています。確かに、「財産の金額が相続税に基礎控除を下回る場合には、相続税は関係ありません。しかし、「相続は、相続税を支払う事だけ」ではありません。財産が基礎控除以下の方も、遺産分割をしなければいけません。実際には、"大した財産がない"場合のほうが、揉めています。遺産分割事件の数は年々増える傾向にあり、平成25年度は1万2,263件に上ります。その内訳を見ると5,000万円以下の財産の方が4分の3を占めています。つまり、遺産分割調停の4分の3は、昨年までであれば、財産が相続税の基礎控除以下の方「大した財産がない」場合なのです。家1軒、現預金がわずかという財産の方が、分けられない遺産を巡って、骨肉の争いをしています。なぜ、相続が"争族"になってしまうかというと、平等に分けられない家督相続と平等相続のギャップ近くに相続について相談する相手がいないの3つが大きな原因として挙げられます。○(1)平等に分けられない相続財産の1/2を占めるのが不動産で、分けられない財産の典型です。冒頭のケースで、自宅を売却して財産を1/2に分ける事が出来ない為、弟の申し出もあり、母親と長男家族が住んでいた自宅を、「長男と次男の共有」にしたとします。10年後に弟が先に亡くなると、長男の家の家主として、次男の妻や甥姪が登場し、やがて家賃を請求されるようになったり、持分の買取りを要求されるようになったりします。母親の死後10年も経ってから、元々兄弟が生まれ育った家を巡って、長男は悩み、最悪は売却をしなければいけない事も起こりえます。未上場会社の株式もまた、会社の支配権をめぐって争いが起きやすいので、平等に分けづらい財産です。全てが金融財産でもない限り、法定相続分どおり平等に分ける事は不可能に近いのです。また、親が亡くなった時の財産を平等に分ければ、相続人すべてが納得するかというと、「大学へ行った。留学した。高校しか出ていない。マンションの頭金を出してもらった。結婚式の費用を出してもらった」など生前に親が子供に使った金額も平等ではないので、相続の際、そのような不満が爆発することも良くあります。兄弟姉妹の争族は、親の愛情を巡ってのケンカ、自分の方が愛されていたと思いたいケンカです。「相続でもらう財産の多寡で、親の愛情を確認する争い」になってしまうと、他の兄弟姉妹よりも「財産が少ない=親の愛情が少ない」という構図になり、お互い後に引けなくなってしまいます。○(2)家督相続と平等相続にギャップ現在、相続を検討しなければいけない70歳以上の方は、戦前民法の家督相続で財産を引き継がれた家長の方、あるいは家長ではなく財産をあまり引き継がなかった方です。その世代の方々は、本能的に「家長となるものが財産を引き継げば良い」と思っていらっしゃいます。日本は戦争に負け、昭和22年に民法が、平等相続に改正されました。渡す側は、家督相続。もらう側は、平等相続。渡す側の70歳以上の方は、あまり多くを語らない世代なので、自分の死後の財産について子供たちに話していません。そのような状況で、親が亡くなると、一生懸命親の面倒を見た子供も何年も家によりついていない子供も同じ割合の相続権を主張しますので、やはり揉めてしまいます。○(3)近くに相続について相談する人がいない相続は、親の財産を明らかにし、誰が引き継ぐかという非常にプライベートな問題ですので、気軽に誰にでも相談出来る問題ではありません。また、税理士・弁護士・司法書士などの専門家に相談すればよい事はわかっていても、どの専門家が親切に答えてくれるのかわからなかったり、相談料が不安だったりで、実際に専門家に相談に訪れる方は少ないのが現実です。この大きく3つの事が原因で、実際に対策が進まないのが相続です。結果、何も対策されないまま相続が始まり、争族になり家族が壊れてしまう事が少なくありません。しかし、戦後の日本を支えた私たち両親の世代の方々は、何のために自分を犠牲にして24時間365日働いていたのでしょうか?お金のため・名誉のため、もちろんあったと思います。しかし、究極的には「家族のため」に働いていたと思います。家族のために自分を犠牲にして働いて築いた財産を巡って、自分の家族が壊れてしまったら、その人の人生は台無しになってしまいます。そんな不幸を減らすためには、どんな準備をしていけばよいで良いでしょうか?相続が円満で終わるケースは、「家やお墓を守る役割がある子供は、引き継ぐ財産も責任も大きい。家やお墓を守る責任がない子供は、引き継ぐ財産は少ない。それは役割が違うから仕方のない事。しかし、親の愛情は、兄弟姉妹すべてに平等。親の愛情をしっかり受け継ぎ、兄弟姉妹仲良く助け合って暮らして欲しい」そんな親の愛情が、しっかり伝わっている家族です。相続を"争族"にしないため一番大切な事は、「家族に愛情を伝える事」です。(※写真画像は本文とは関係ありません)○執筆者プロフィール : 小川 実一般社団法人相続診断協会代表理事。成城大学経済学部経営学科卒業後、河合康夫税理士事務所勤務、インベストメント・バンク勤務を経て、平成10年3月税理士登録、個人事務所開業。平成14年4月税理士法人HOP設立、平成19年4月成城大学非常勤講師。平成23年12月から現職。日本から"争族"を減らし、笑顔相続を増やす為相続診断士を通じて一般の方への問題啓発を促している。相続診断協会ホームページのURLは以下の通りとなっている。
2015年02月12日大和ネクスト銀行および大和証券は2月2日、相続発生時に金利を優遇するサービス「相続定期預金 紬~つむぎ~」の取扱いを開始した。○「相続定期預金 紬~つむぎ~」のサービス内容具体的内容ダイワのツインアカウントとは、大和証券の総合取引口座と大和ネクスト銀行の預金口座の両方を開設し、両口座の連携により、投資の待機資金を普通預金で自動運用し、効率的に資産を管理することができるサービス。必要書類相続人と確認できる書類:戸籍(除籍)謄本の写し、遺言書(公正証書遺言または自筆証書遺言で検認済のもの)の写しなど相続により引き継いだことが確認できる書類:金融機関に提出した依頼書の写し、被相続人名義の解約済通帳と計算書、遺産分割協議書の写し、遺言書(公正証書遺言または自筆証書遺言で検認済のもの)の写し等取扱窓口「ダイワ・コンサルティング」コース、「ダイワ・ダイレクト」コースいずれの顧客も、大和証券取引店(本・支店)にて申込む。コンタクトセンター、インターネットでは、同サービスは利用できない
2015年02月04日前回 に続き、よくある節税対策例についてご紹介していきます。今回は、不動産を利用した節税方法です。相続税増税を前に、ハウスメーカーや一括借り上げサービス業者の営業が加熱気味ですが、不動産投資による相続税対策は、方法を誤ってしまうと借金ばかりが残ってしまう悲惨な結末になりかねません。不動産による相続税対策例とその注意点について、お話していきましょう。■高層マンション購入による節税高齢になると、階段の昇り降りやちょっとした段差がつらくなってきます。そこで、戸建て住宅をリフォームするのではなく、駅近で利便性の高いタワーマンションをあらたに購入して、セカンドライフの住処とするシニアも増えています。マンションの相続税評価額は、土地の敷地持分と建物持分のそれぞれを評価していく仕組みです。タワーマンションは立体空間を活かした建築物なので、相続税評価額のうち、土地代の割合が少なくて済みます。さらに、建物の固定資産評価額は、面積のみを基準に計算されるので、1階でも最上階でも同じ評価額となるのです。美しい夜景や見晴らしの良い眺望は、評価額には一切考慮されません。そこで、人気のある地域のタワーマンションの高層階の部屋を購入しておくと、マンション自体の資産価値は下がりにくいので、売却価格と相続財産評価額に大きな差が生まれ、相続税対策になります。マンション特有の相続財産評価方法を活用した節税対策方法です。■不動産経営による節税アパートやマンションなど賃貸経営による節税対策は、相続財産額の大きな富裕層向けの対策といえるでしょう。賃貸物件にすることで、借地権や借家権が発生し、所有者が自由に土地と建物を処分しにくくなる分、相続税評価額が下がることを利用した節税方法です。相続税増税を前に、あちこちで似たようなマンションが増えていくのを目にしますが、営業マンの話を鵜呑みにして安易に手を出すと、節税額以上の財産を失うことになってしまうかもしれません。同じようなアパートを近くに建てられてしまうと、どうしても新築や駅近物件が有利になってしまい空室リスクが上がってしまいますし、現在のような低金利がずっと続く保証などないからです。営業マンが最初に見せる資料は、あくまでも現在の金利や空室率を条件にした見通しにすぎません。30年一括借り上げサービス(サブリース)についても、30年間の家賃を保証してもらえるサービスではありません。30年間借りてもらえるだけの契約です。家賃保証はされません。アパート経営による相続税対策は、親子で新規事業を立ち上げるという意識と覚悟が必要になります。分厚い契約書にもすべて目を通し、20年先までの長期的なプランを立ててみましょう。家賃収入・空室率・金利・リフォーム費用の楽観的な数値から悲観的数値まで、いくつものパターンのキャッシュフロー表を作成し、納得のいく結果にならないのであれば、ほかの節税対策を検討すべきです。不動産による節税対策は、空室リスク、金利変動リスク、入居者トラブルリスク、法的リスク、流動性リスクなど、数々のリスクをうまくコントロールできれば、相続税だけでなく所得税など税金の優遇制度も多く、収益まで手に入れることのできる、ほどほどのリスクとリターンのある投資方法ともいえます。リスクを下げる最良の方法は、人任せにせず、自分でしっかり考えることです。相続税に強い税理士やファイナンシャルプランナーなど、第三者の専門家に相談しながら、綿密な相続税対策プランを練りましょう。※この記事は2015年1月時点の法令に基づいて書いています。【連載:相続税の基本を学ぶ】・ (1)相続税の対象となる財産とは ・ (2)相続税の計算方法 ・ (3)相続税対策で人気の「教育資金等一括贈与」とは ・ (4)節税対策の注意点・その1
2015年01月28日