発達障害の疑いがあるとき…医療機関を受診する適切なタイミングはいつ?発達障害の疑いのある方、またそのようなお子さんがいる保護者の方で、「医療機関をいつ受診するか」にお悩みの方もいらっしゃるかと思います。また、「発達障害の存在が疑われる子どもに医療機関の受診をすすめる際、どんなタイミングがよいのでしょうか」というのは、支援者の方もしばしば口にされるご質問です。発達障害のある子どもの場合であれば、保護者は様々なプロセスを経て、子どもの発達特性に気づき、その特性と長くつきあっていくための準備を進めます。その過程は男女が出会って、結婚に至るプロセスに少し似ています。Upload By 吉川徹このプロセスは、もちろん全てをたどっていく必要はありませんし、正しい道筋というものもありません。最近では結婚式を挙げない人も増えてきました。どうしても診断書やお薬が必要でなければ、かならずしも確定診断を受ける必要はないのです。ただ、もしできることであれば、発達障害の特性とずっとつきあっていく準備がそれなりに整った段階で、医療機関の受診ができると、きっとよい節目になるでしょう。医療機関を受診する前の大切なプロセス「障害とつきあう準備」は、どうすれば整うのか出典 : では、「発達障害とつきあっていく準備」はどうすればできるのでしょうか。前回の記事でも触れましたが、診断を受ける前の支援が大切になってくると私は考えています。最初に発達障害の特性に気づいた誰かが、診断を受ける前から上手く支援を始めて、医療による支援へと繋げてくれる。そうすると保護者は、子どもの特性に合わせた関わり方をすると、少し物事が楽になる、前に進みやすい、という感覚をもつようになります。このように、保護者が発達障害とつきあう準備ができていたほうが、診断は正確になり、その後も医療のサービスを最大限有効に使えることになります。もしもその準備が整っていない段階で、「あなたの子どもさんは発達障害の疑いがあるので病院に行って下さい」と言われてしまったら、何が起こるでしょうか。おそらく、一部の保護者は「絶対に障害だと言われたくない」と思って病院の門をくぐります。そうすると、「赤ちゃんの頃は?」「普通でした」「保育園では?」「年少さんは問題ありませんでした。年中になってから行くのを嫌がるようになりました」「ああ、それはきっと担任の先生が……」といった、診断に結びつかないやり取りになってしまいがちです。発達障害の診断には、もちろん子ども自身の状態の観察なども参考になりますが、それまでの発達の経過、道筋の情報が極めて重要です。ここが上手く聞き出せないと見落としや誤診に繋がってしまうのです。「『仮に』理解して、『実際に』支援する」。これはある児童精神科医が編集した書籍の副題ですが、とても良い言葉だと思います。支援を始める時に診断は不要です。まず特性に気づいた人がその「仮の理解」に基づいた支援を実際にやってみる。それが上手くいったときには、その子どもが少数派のものの見方、感じ方、考え方の道筋を持っていること、その理解に基づいた支援が上手くいったこと、その特徴がいわゆる発達障害の特性であることを保護者に伝え、専門機関を受診することで、より効率のよい支援ができる可能性があることを伝えます。準備段階の支援がうまくいかなかったときには出典 : もし最初の支援が上手くいかなかった場合はどうすればよいのでしょうか。その時には「仮の理解」に基づいて援助してみたが上手くいかなかったこと、更にほかの「理解」や援助の方法を見つけるために専門家への相談、受診が望まれることを伝えられるとよいでしょう。このときに必要なのは、受診を勧めようとする人が、子どもの特性を理解しようとしてくれて、実際に手を動かしてくれる、信頼できる人だと保護者に思ってもらうことです。診断を受けても、その支援者が引き続き関わってくれると安心できるとき、保護者は「本当は障害なんて言われたくないけど、あの先生が勧めてくれるなら」と思って、診察に臨むことができるのではないでしょうか。いつ受診を勧めるのか、その答えは、勧める人と勧められる人の間に少し信頼関係が出来てきたとき、ということになるのでしょう。
2016年10月07日このコーナーは、美輪明宏さんの公式サイト「美輪明宏 麗人だより」の中で一番人気のコーナー「本日の処方箋」から出張していただきました。美輪明宏さんからあなたへのメッセージをお届けします。 ~精神性を重んじることからスタートする〜新しい自分として再出発を図るなら、何よりも一番“心の持ち方”が重要になります。バブル迄の物欲や食欲や性欲などの“欲求”を満たすことで豊かさを感じるのではなく、今の時代は精神的な豊かさを重んじることに価値観を置ける自分になる事です。精神性を重んじるということは、日常生活で美意識を持って多くの文化や芸術に触れ、義理や人情を持ち、他人に対して優しく、その人の立場に立って考えられる思いやりがあり、「ボロは着てても心は錦」の諺通り、自分自身に恥ずかしくない清々しい行いが出来ることです。あえて一言で表現するなら“粋でいなせな生き態”でいること。多くのものがどんよりと飽和状態にある現在、これまでの数字や機能性・効率性損得だけを追求するのではなく、より貴い精神性を重んじることに価値を置けるよう自分の心持ちを向上させていきましょう。※美輪明宏公式サイト「美輪明宏 麗人だより」より
2016年10月07日発達障害の診療のための医療機関にはどんなものがある?それぞれが担う役割は?出典 : これまでの記事では、発達障害のための医療機関が少ない原因や、医療機関でできる支援についてお話させていただきました。今回は医療機関の種類をご紹介していきます。発達障害の診療に携わる医療機関には様々な種類がありますが、その分け方も色々あるのです。医療機関の種類というと、もちろん小児科や精神科などの診療科による分類が思い浮かぶのですが、今回の記事では別の切り口で分けてみたいと思います。いくつかの医療機関は日本の、時には世界の発達障害研究を担っていく役割を持っています。こうした先進的な医療機関にかかると厳密な手続きを経た診断が受けられたり、他では利用できない治療法が使えたりすることもあります。日本の、世界の発達障害支援の質の向上に貢献できる可能性があるというメリットもあります。一方でこうした機関の医療者は診療以外の業務が多く多忙です。また機関の数も限られるので、通院時間が長くなるなどアクセスも良くないことが多いでしょう。また研究途上の新しい治療には、確かめられていないリスクも伴います。良くも悪くもハイリスク、ハイリターンな選択です。その他に、地域の中核的な発達障害診療を担っている医療機関もあります。小児や障害者の病院、療育センターに附属している診療所などがこうした役割を担っていることが多いでしょう。こうした機関の専門性は高く、既存の診療技術に限って言えば、研究機関と比べても遜色がないことが大半です。また入院治療の機能を持っていることもあります。一方でこうした医療機関は比較的広域(都道府県単位)などから患者がきていることが多く、地元に密着した支援機関や学校の情報などはやや医療者に集まりにくくなります。また地域への医療サービス提供の責任を負っているので、新規患者優先、診断と投薬優先になりがちです。発達障害専門の小児科や児童精神科のクリニックなどを中心とした地域密着の医療機関も増えてきました。こうした医療機関は医師によっては、非常に高い専門性を持っていることもありますし、アクセスも良く比較的患者数も少なく、丁寧な診療が可能であることもあります。また何よりも地元の情報が集まりやすいことがメリットです。ただし地域によっては医療機関の不足のため、こうしたクリニックが中核的医療機関の役割を担わざるを得なくなっていることもあります。また最近では、地域のかかりつけ医、つまり一般の小児科医や内科医の役割にも注目が集まっています。こうした医療機関は、発熱やワクチン接種などの日常の身体的な問題に対応できるのはもちろんですが、典型的な事例の診断や専門的な医療機関での診断後のフォローアップなどが期待されています。平成28年度からは厚生労働省によるかかりつけ医向けの発達障害の診療研修も開始されました。こうした医療機関は極めてアクセスがよく、また発達障害の特性を知ってもらった上で、身体医療が受けられるという大きなメリットがあります。医療以外の支援者に恵まれている場合、医療の役割は限られるので、必要な時にかかりつけ医に相談するというスタイルでも、充分に対応が可能である場合があります。年齢の高い方の場合、成人の精神科医療機関も受診先の候補になります。現状では全ての精神科医療機関が発達障害の診療に対応できるわけではありませんが、着実にそうした機関は増えています。こうした医療機関のメリットはアクセスの良好さと、何よりも併存する他の精神疾患への対応への熟練度と手立ての豊富さです。ただし構造的に成人精神科の診察時間は短いことが多いので、それに合わせた受診の工夫を考えておく必要があります。医療機関に迷ったら、身近な支援者に相談を出典 : こうした分類は医療機関の看板に書いてあるわけではないので、利用者の方からは見分けにくいかもしれません。受診の前に保健センターなどの身近な支援者や、先輩の親御さん、ペアレント・メンターなどに受診先を相談するのはよい方法です。最後に、多くの種類の医療機関があるので、専門機関のいいとこ取りをしたい、かけ持ちをしたいという気持ちはとてもよくわかります。しかし極めて恵まれた一部の地域(ほんとにそんなのところが日本にあるのでしょうか……?)を除けば、現状ではそれはマナー違反であると考えるべきでしょう。必要な人が、少しでも早く、少なくとも正しい診断と診断書、時には薬物療法にたどり付けるような気遣いができる、余裕が持てるとよいですね。
2016年10月05日発達障害のある人のため、医療機関ができること出典 : 年現在、多くの地域で、発達障害の診療に携わっている医療機関は著しく不足しています。医療従事者、それを利用する他領域の支援者、時には本人やご家族も、限られた地域の医療資源をできるだけ効率よく活用することを考える必要があります。発達障害のある本人や家族には様々なサポートが必要です。その中には医療機関が提供できる、提供しているものもたくさんあります。その代表的なものを挙げてみます。Upload By 吉川徹けれどもこの中で、どうしても医療機関でなければ提供できない支援というのは、実はあまり多くありません。そして、医療以外でも提供できる支援は、実は他の領域の支援者の方が、有利であったり、得意であったりすることも多いのです。医療でなければできない発達障害支援は何か出典 : 医療でなければ提供できない支援の一つは「診断」です。一方で、広く診断といったときに、その人に発達障害の特性があるのかどうか、発達障害の特性を考慮に入れた支援が有効であるのかどうかという「見立て」は、必ずしも医療機関のみでなされているわけではありません。むしろ本来はこうした見立ては、保健、教育、福祉などの領域でも必要になってきますし、仮に医学的診断を後に受けるとしても、それより前から見たての作業が始まっていることが望まれます。また、「見立て」に限られた時間しか充てられない医療機関に比べて、生活を共にする時間が長い人は、そもそもとても有利でもあるのです。ここは医師の間でも見解が分かれるところなのですが、自分は発達障害のある人すべてが、医療による診断を受ける必要は必ずしもないと考えています。ただし見立てや診断において、どうしても医療機関が必要になる場面があります。それは、・患者の困りごとが、発達障害以外の他の疾患から起こっている可能性を見極め、排除する必要がある場合・患者の困りごとの背景にある疾患を診断する必要がある場合上記の2点です。特に生物学的な検査が必要である場合、医療抜きにこれを行うことはほぼ不可能です。発達障害によく似た状態を示す疾患はたくさんありますし、また発達障害のある人には、脆弱X症候群やダウン症など様々な障害が背景にあることも少なくないのです。このため、何らかの点で典型的ではない、他の際だった特徴のある人の場合、医療機関を受診しておくメリットは大きくなります。そして診断書の発行も医療機関の重要な役割であり、優先度の高い仕事です。一般に医師は診断書の発行を面倒がる傾向があるのですが、これはどうしても医師免許が必要であり、医師が(好まずとも)独占している業務なので、嫌がらずにやらないといけないと自分に言い聞かせています。そしてもう一つ、どうしても医療でないとできない業務は、処方箋の必要な薬物を使うことです。これは当然ですが、では処方箋のいらないお薬、サプリメントはどうか、ということになります。しかし、これらの中に現時点で効果と安全性が実証されているものは、ほぼありません。医師と相談せずに使うことは更におすすめしにくいので、できればそこも医師と相談できると手堅いでしょう。結局、どうしても医療でないとできない主な支援は、診断、特に診断書の発行と薬物療法ということになります。医療でも出来る支援には、他に幾つもありますが、その優先度は低くなります。医療機関が不足している地域では、医療資源はまず診断と投薬のために活用する、その姿勢が求められています。医師の側もその業務を独占している以上、優先的にそれを提供する義務があると言えるでしょう。医療の強みは、卓越した経験と専門性にある出典 : それでは診断や薬物療法以外には、医療のアドバンテージはないのでしょうか。医師の立場からすると「それはある」と言いたくなるのですが、実際にはどうでしょうか。一つには、医師、特に発達障害を専門とする医師は、他の領域の支援者と比べても桁違いに多くの事例に接しているということがあります。一人の専門の医師が同時に診療している発達障害の患者さんは、数百人から時には千人を越えることがあります。医師人生の中で会ってきた患者は数千人ということも珍しくありません。そして多数例の報告に基づいた研究論文がたくさんあるのも医療領域の大きな特徴です。また多くの医師は、ライフステージをまたいで、患者さんに関わり続けています。幼児期早期に受診した子どもが成人し、時には老年期まで診療することがあります。自分一人でそれを見届けることができなくても、連綿と書き綴られたカルテから、比較的若い医師でも目の前の患者の若い頃の姿を確かめることができるのです。多数の患者に関わる医師は、残念ながら養育者や他の領域の支援者に比べると「その子自身」の専門家になれる機会は限られます。そのかわり「自閉スペクトラム症」の専門家、「注意欠如多動症」の専門家などには、なりやすい立場です。多くの例に長く関わっているからこそ、行いやすい見立てや助言があります。それは例えば、・将来を見越して今優先すべき支援の領域を考えること・本人や家族のリソースの配分を考えること・進路の決定などの場面でのアドバイスです。このように医療による支援のなかには、医療でないとできないこと、医療でもできること、そして医療が得意なことと苦手なことがあります。皆さんにはこうした医療による支援の特性をうまく理解して頂いて、上手につきあっていただきたいと思います。
2016年10月03日発達障害のある人が利用できる医療機関の不足は、なぜ起こっているのか出典 : 発達ナビで、新たに医療についての連載をさせていただくことになりました。児童精神科医の吉川徹です。現在は愛知県の障害児者専門病院に勤務しています。皆さんもおそらくはよくご存知のように、発達障害がある子どもや大人が利用できる医療機関は、ほとんどの地域でひどく不足しています。これは一体なぜなのでしょうか。一つにはいわゆる「発達障害」に属する障害、中でも自閉スペクトラム症と注意欠如多動症という障害のある人の数がとても多いことがあります。今までに子どもの心の医療に対象になってきた疾患、あるいは大人の精神医療の対象になってきた疾患と比べても、それを上回る数になっています。国際的に認められたかなり手堅い方法で調べたとき、地域の子どもの中で自閉スペクトラム症と診断できる子どもは一般的に1〜2%程度いると言われています。ところが最近厚生労働省の研究班が報告した数字では、地域によっては小学1年生の子どものうち、5%以上が自閉スペクトラム症の診断を受けているとされていました。また注意欠如多動症(ADHD)も元々とても数の多い障害で、3〜5%以上の子どもがその診断を受ける可能性があるとされています。これは、例えば知的障害を持つ人の数や統合失調症を患う人の数などと比べても、数倍にも及ぶ大きな数字なのです。発達障害の医療にまつわる困難の大半は、この患者数の極端な多さに起因しています。例えて言えば、もともと満員だった電車に今までの3倍の乗客が押し寄せていて、しかもレールが一本しかないので、増発もままならない、そんな状況が日本中で起こっているのです。診療ニーズの拡大に追いつけない原因には、医療機関としての構造的な問題がある出典 : こうした障害は比較的短い期間で広く認知されるようになり、診療のニーズが急速に拡大しました。これに応えるために、厚生労働省でも子どもの心の診療ができる医師の養成のための検討会を開催したり、モデル事業や研修を実施したりしています。平成28年度からは、地域のかかりつけ医を対象とした研修も全国規模で始まろうとしています。専門の医師が集まる学会などでも養成のための取り組みが続けられています。しかし現時点でもニーズの急増に対応できる新たな医師の養成や医療機関の整備は、充分に追いついているとは言えない状況です。まず医療による支援そのものが、他の領域に比べて極めて高コストな構造になっており、専門家の養成や維持には社会に大きな負担がかかることから、供給できる医療の内容や医師の数そのものに厳密な制限がかかっています。そして専門医は促成栽培が難しく、一人一人を手取り足取り教えていく必要があります。そのためそもそも教える立場の医師の数が増えないと、養成できる若手の数も制限されてしまうのです。また、子どもの心の診療自体、構造的に赤字体質であり、なかなか若い医師にとって魅力のある領域になりにくいなど、様々な背景があるのです。本来あるべき支援と、医療信仰とのあいだに存在するギャップ出典 : 残念ながら現在の医療の水準では、種々の発達障害の根本的な治療法は見つかっていません。逆に言えば、根治するために必ず医療を受診しなければならない、という状況ではないのです。これほどの数の多い、発達障害がある子ども達、大人達の支援は、本来は普段の生活の場所、そこから近いところで提供されなければなりません。医療のような日常の暮らしと切り離された場所での対応には、はじめから限界があります。一方で、本人やご家族、他の領域の支援者からはときに医療に対して、万能的、魔術的な期待が寄せられます。また逆に医療領域の支援者には、他の領域の支援者に対する根強い不信があることがあり、良心的な医療者ほどその不信を隠さず、必ず医療機関にかかっておくべきだと主張することもあります。この背景には、そもそも現在の発達障害の概念の多くは医療から出発しており、黎明期である1960年代〜70年代には医療以外の支援が極めて乏しかったこと、現在でも他の領域の支援で支えきれなかったこじれたケースが医療機関を受診する場合が多いことなど、様々な理由があるのですが、現在の視点から見るとそれは不幸なことであると思います。診断の前から支援を行う姿勢が必要。では、本当に「医療は役立たず」なのか?出典 : 例えばいわゆる「学習障害」の場合などでは、地域の一般的な子どもの学力のデータも、多数派の子どもに勉強を教えるノウハウすらも一般的な医療機関にはありません。しかし、最近の診断基準(DSM-5)では、学習障害(限局性学習症)の診断は、何らかの学習の困難に対して、それを対象とした「介入が提供されているにもかかわらず」6ヶ月以上困難が持続している場合に行われるとされています。文部科学省の通知でも診断の前から支援を行うという姿勢がはっきり打ち出されているにも関わらず、なぜか医療機関の受診が支援の前提のように語られることがあるのです。「クリニックからクラスへ」というスローガンにはかなりの説得力がありますね。さて、それでは「医療は役立たずなのか」と問われると、医師の立場としてはやはり「そうではない」と答えたくなります。この連載では医療そのものについての情報よりも、発達障害のあるご本人、ご家族がどのように医療とつきあっていけば、医療のサービスを最大限有効に活用できるのか、そうした観点から考えていきたいと思います。
2016年09月29日『100歳の精神科医が見つけた こころの匙加減』(髙橋幸枝著、飛鳥新社)は、数えで100歳になるという精神科医が語る人生訓。といっても、単に「100歳だから」という数字の問題だけではありません。高等女学校卒業後に海軍省のタイピストとして勤務したのち、中国・北京で日本人牧師の秘書として勤務。そうした経緯を経て医学部受験を決意し、勤務医としての経験を積んだあと、1966年に「秦野病院」を開院し、院長に就任したという人物なのです。そのぶん、私たちに学べることが多々あるということ。そしてタイトルにもあるように、人生について考えるうえで著者が重視しているのは「匙(さじ)加減」です。■人生は匙加減を見極めることが大事どんなことにも適度な塩梅、つまり「匙加減」というものが存在すると著者はいいます。それは人生にも当てはめることができるもので、つまりそれらをひとつずつ見極め、把握していくことこそが、「生きる」という営みだというのです。そもそも匙加減とは繊細なもので、そこには難しさがつきまとうことになるそうです。そればかりか、人それぞれ微妙に異なってもくるため、二重に複雑になるということ。だから「匙加減をうまく見極めようと思ってもお手本などはないだけに、誰かを真似ることはできない。けれども、自分の軸が1本しっかり貫かれていたなら、言動も一貫してくるものだ」と著者は主張します。■昔のがん告知はかなり苦労があったところで近年は、日本人の2人に1人が、がんで逝く時代となっています。そうであるだけに、ますます大切になっているのは、がん患者さんへの心のケアです。ましてや著者が若かったころは、治療法がまだ少なかったこともあり、「がん=死」というイメージが強かったといいます。そのためか、「がん告知」はいまよりデリケートな問題だったのだそうです。著者が医師の仲間に聞いた話によれば、昔は「患者さんご本人に、がん告知をしない」のが常識だったというのです。そこで医師は患者さんのご家族と綿密に打ち合わせをして、「いかに本人にがんであることを悟らせないか」、心を砕いていたのだそうです。もちろんいまでは、患者さんご本人にきちんとがんの種類などについて説明し、治療方針を決めることが常識になっています。とはいえそれは、がんの治療法が進歩したことの裏返し。昔とくらべれば「ありがたい」というだけのことです。ただし、いくら「時代が変わって医療が進歩した」と説得されたとしても、「がん」と診断されれば、不安や恐怖を伴う大きなストレスになったとしてもそれは当然のこと。そこで著者が引き合いに出しているのは、知人についてのエピソードです。■がんと仲よく生きれば気持ちも楽!その人は「がんの治療を10年続けてきたけど、大きくもならず、特別変わりないので、薬も治療もやめた」と話してくれたというのです。著者は「私はがん治療が専門ではありませんが」と前置きしたうえで、その知人の気持ちは勇気ある素晴らしいものだと感じたのだそうです。がんに無闇に抗わないことで、がんが静かになるかもしれないということ。事実、その知人は、まさにそんな状態なのでしょう。がんと仲よく生きることも大切ですし、そうすることで患者さんの気持ちも楽になるということです。著者の専門分野である精神科の治療においては、「苦しみをよく聞いてあげること」がなにより大切なのだといいます。たしかにそれは、医学的には正しい態度なのでしょう。しかし、そのことを認めたうえで、著者は実際には「苦しみをよく聞いてあげる」だけでは足りないと指摘してもいます。なぜなら、ひとつひとつ異なる問題すべてを「こういう場合はこうしましょう」というようなマニュアルで解決できるはずがないから。■心の匙加減は百人百様なので難しいそこで、「匙加減」を意識することが大切だというわけです。ご存知の方も多いと思いますが、「匙加減」とは、もともと薬の「分量」を測るときに用いた言葉が転じて、あらゆる場面で使われるようになったもの。細かな配慮や集中力などが求められるということで、だから「心の匙加減ほど、難しいものはない」もの。100歳を超えるいまも、「心は百人百様である」と痛感しているのだそうです。*柔らかな言葉で綴られているものの、そこに深みを感じずにはいられないのは、根底に100歳の人生の重みがあるからなのでしょう。人生に迷ったとき、ふとページを開いてみるといいかもしれません。(文/作家、書評家・印南敦史) 【参考】※髙橋幸枝(2016)『100歳の精神科医が見つけた こころの匙加減』飛鳥新社
2016年09月26日幸せでいるために脳トレーニングする。ハーバード大学の精神科医達によると、視点を変えることでプラス思考になり、幸せな気分になるといいます。幸せになるための3つの行動を見てみましょう。幸せを感じる脳にするトレーニング脳が「幸せを感じる」ように、訓練で変えることができます。Time紙で発表された記事「What Are The Three Ways to Train Your Brain to Be Happy?」から幸せになれるのトレーニングの方法を見てみましょう。1.毎日の中にある美しさを探す訓練毎日、自分の「存在価値」を感じることを見つけるようにしましょう。日々の日記やパソコンやスマホの中にも見つけることができます。大切なのはそれに気づくことです。いつもニコニコして幸せそうな老人を見たことがありませんか?彼らは良い思い出を心に残し、悪い事は消去しているからです。2.他人と比べる通常は他人と比べたらいけないといいますよね。それに対してこの研究室ではプラス思考でいる為に他人と比べる事はいつも悪いこととは言えないといいます。自分よりも不幸な人と比べて自分を幸せだと思う事も大切だと言います。Sunnybrook Health Sciences CentreのBauer氏は、「自分よりも優れている人と比べてばかりいると自分が惨めに見えて、不幸に感じる」と断言しています。3.現実で起こりそうなことを数パターン考える人生において「不適切」なビジョンを持っている事は落ち込む原因になります。精神テラピーでは、いくつかの「違った人生」の予想を描いておくことが、幸せでいれることに役立つといいます。Michele Crossley医師によると、「ウツや落ち込みは、1つの予想していた人生から”それた”時にくる」といいます。想定していた人生から外れると不幸だと感じたり、人生の方向を間違ったと感じます。いくつかの将来を想定しておくと対応できる自分になれますよ。
2016年09月21日『めんどくさくて、「なんだかやる気が出ない」がなくなる本』(西多昌規著、SBクリエイティブ)は、数々のベストセラーを生み出してきた精神科医・医学博士による最新刊。今回のテーマは、ずばり「めんどくさい」。人間なら誰しもが持っている「めんどくさい」「やる気が出ない」という気持ちに焦点を当て、やる気を取り戻すための方法を指南しているわけです。きょうはそのなかから、「100%を目指そうとするからいけない」という考え方をご紹介しましょう。■強迫的だとまじめさに疲れることも人間は、とても些細なことにも、妙にこだわってしまうところがあるもの。日本人は特に几帳面ですが、それはよいクセでもあり、悪いクセでもあると著者は指摘しています。そして、そのような、あまりに「きっちり」「まじめすぎる」性格のことを「強迫的」と呼ぶのだそうです。料理のレシピは1グラム単位で正確に量ってつくりたいとか、あるいは仕事でもミスなく完璧に仕上げなければならないと思い込み、完全主義を貫いているような人がこのタイプだとか。強迫的な正確も、ほどほどであれば「きちんと仕事をする人」というプラスの評価を受けることになります。しかし完全主義がオーバーになったり、不完全に陥ることを恐れて後ろ向きになったりするなど、度がすぎると自分の「まじめさ」に疲れてしまうことになります。たとえば複数の仕事を同時に抱えるビジネスパーソンが、そんな心理状態で仕事に取り組めば、どんどん自分を追い込んでいくことになるわけです。失敗を恐れるあまり、あるいは承認欲求が満たされないあまり、不安や抑うつ、自分へのいらだちが高まっていくということ。そしてワーキングメモリが一気にパンクし、ヤル気を失ってしまう状態に陥ることに。無理が続けばやる気を失うだけではなく、うつ病の発症、果ては自殺へとつながっていく可能性もあるのだそうです。■失敗を恐れず思い切ることも必要!しかし大事なのは、まず失敗を恐れないことだと著者はいいます。「不完全を認めるスタンスを持つ」ということが、過度の完全主義から脱出するポイントだというのです。完全なクオリティを求めることだけがゴールではないわけです。だから、完全に仕上げなければ周囲から認められないという誤解にも、できるだけ早く気づくべきだといいます。とはいっても、融通の利かない強迫的な考えを変えるのは決して簡単なことではないでしょう。そこで意識したいのは、目標をゆるめて、失敗を恐れない態度を持つこと。仕事にしても完全だけを求めるのではなく、ある程度のところで「エイヤッ」と提出してしまう、そんな思い切りも必要だということ。何故なら100%を求めてイライラしていても、結果はあまり変わらないものだから。■悩みや不安を脇に置く効果的な方法では、具体的にどうすればいいのでしょうか?この問いに対して著者は、「悩みや不安があっても、いったんそれは脇において、ほんの少しの間でも別のことを考えてみてはいかがでしょうか」と提案しています。仕事のことしか考えられないような人だったとすれば、無理やりにでも温泉旅行の計画でも考えてみようということ。仕事の悩みや不安以外のテーマで頭を使う時間を、少しずつ長くしていくという発想です。往々にして、強迫的な人ほど型にはまることを得意とするため、悩みや不安以外のテーマを考える時間をパターン化するのは簡単だといいます。悩みや不安を「脇に置く」ためのもっとも効果的な方法は、考えることも行動も、やりすぎないように80%で抑える訓練をすること。常に100%を目指すのではなく、「80%できれば上々」だという思い込みを持つべきだというのです。■80%主義はパレートの法則と同じ「パレートの法則」をご存知でしょうか?全体の20%のなかに重要なものが80%あるという経済理論。たとえば最新型のパソコンの機能のうち20%を使いこなせれば、本来の目的の80%は達成したと考えられ、他の80%の機能は知らなくてもいいという考え方。それと同じことで、たった20%をマスターして、目的の80%が達成されたと考えるのなら、さほど難しくないわけです。だからこそ、こうした考え方を知るだけでも、過去の強迫的な行動のなかに「やりすぎ」だったものがあると気づくはず。そして、こうしたスタンスを持つことができれば、パンクしていたワーキングメモリも少しずつ回復し、徐々にやる気も戻ってくるだろうと著者は結論づけています。*著者の表現は今回も柔らかく、親しみやすいもの。押しつけがましさがないからこそ、無理なく心に入り込んできます。「やる気が出ない」ときに目を通せば、気持ちをうまく切り替えられるかもしれません。(文/作家、書評家・印南敦史) 【参考】※西多昌規(2016)『めんどくさくて、「なんだかやる気が出ない」がなくなる本』SBクリエイティブ
2016年09月17日8月13日より、連続ドラマ『ノンママ白書』(フジテレビ系)がスタート。主演は連ドラ出演18年ぶりの鈴木保奈美さん、原作は各メディアでお馴染みの精神科医の香山リカさん、とあって、話題性も見応えも期待大!ですね。「ノンママ」って何?タイトルにある「ノンママ」とは、それぞれの事情で子どもを持たない選択をした女性のこと。対して、働く子持ちの女性は「ワーママ」と呼ばれ、その存在は少子化や不況の流れを受けて、今や世論に後押しされているようにも見えます。そんな風潮に「女は産んで当たり前」といった無言のプレッシャーを感じているノンママも多いとか。生む・生まない…子どもは天からの授かりものではありますが、どう生きるかを自分で選べる時代にあるのも事実。都内在住で働くアラフォー女性4名に、自身の生き方と幸せについてインタビューしてみました。Rさん(42歳・子なし・未婚)◆子どもを持たない生き方を選択「結婚願望はそれなりにありましたが、20代~30代にかけて仕事(サービス系/会社員)にかなり熱中していたんです。その後、親の介護の問題を抱えたりといろいろなことがあり、結婚はもう少し先…と考えているうちに、30代半ばを過ぎ、気がついたら結婚へのこだわりや情熱が冷めていました。もう、今のままでもいいかなって。むしろお金も時間も自由になるし、長くつきあっている彼氏もいるので、不満も不安も特にないですね」◆子なしの人生を選んだ理由「もともと子どもを欲しいとは思っていなかったので、“結婚だけならいつでもできる”と自由に考えられたと思います。タイムリミットが延びたというか。周りからの“結婚しないの?”“子どもは産んでおいたほうが…”という助言をうるさく感じた時期もありました。でも、私がイメージする“自分の幸せ”には、子どもの存在は最初から入ってなかったので気にしませんでした」Aさん(40歳・子なし・既婚)◆子どもは欲しいけど…「子どもは欲しいけど、なかなか思うようにはいかないですね。結婚自体が遅かったので今は諦め気味です。でも、夫と猫との暮らしはとても穏やかで楽しいし幸せですよ。仕事(医療系/団体職員)もそれなりに充実してるし。この生活を続けるのもいいかな…って思い始めています」◆世間の目が気になることも「年齢が年齢なだけに、知らない人は何気なく「お子さんは?」って聞いてきますし、逆に何も言われないのも“あ、気を遣わせちゃってるなー”と深読みしちゃったり。年齢が上の方からは“もう子どもは無理、諦めたら”などとデリカシーがないことを言われることがたまにあり、やはり傷つきますね…。この年なら子どもがいて当たり前、みたいな通念に、自分が縛られているだけなのかもしれませんが」Mさん(40歳・子あり・既婚)◆自由な独身時代とのギャップに悩むことも「結婚願望は人並みにありましたが、仕事(美容系/サロン経営)が忙しくて婚期を逃してしまいました。35歳を過ぎてようやく婚活を始めたけど、まったくうまくいかず。通算3年、真剣に悩みました。4年目に夫と巡り合い、その後は怒涛のように結婚・妊娠・出産とプライベートがバタバタに。それまで自由にやってきた反動で束縛感に悩まされることも多いですが、それも良い経験と思うようにしています」◆ワーママとしての働き方を模索中「私の場合は仕事がある程度自由になるとはいえ、子どもを抱えながら仕事をするというのは、想像していた以上にしんどいものだな、と思うことは多々ありますね。特に、子どもの都合で仕事ができない日もあるワーママの肩身の狭さが、身にしみてわかりました。そして、その結果として仕事上の負担が増えるノンママやシングルの感情も経験上わかるので、葛藤も多いです」Sさん(42歳・子あり・離婚)◆子持ちで離婚、手に入れた幸せ「20代後半で結婚して子どもを2人産み、それからは基本は専業主婦で少しパートをする程度でしたが、事情があって30代後半で子連れ離婚しました。1人で子どもを育てながら仕事(クリエイティブ系/派遣)することには心配や苦労はあるし、金銭的にも時間的にも厳しい生活です。でも、自分らしく生きられるという点では、これまで得られなかった幸せを感じることもたくさんあります。ごく淡いものですけれど、十数年ぶりに恋をする喜びも思い出せました」◆ワーママとしての働き方を模索中「子どもがいる以上、どうしても仕事にしわ寄せが来ることも。子どもの急病で休まなければならない時などは申し訳ない気持ちでいっぱいになります。独身時代みたいにフルタイムで残業もできて、仕事に集中できたらどんなに楽しいだろう、とも思いますが、もうそんな働き方は無理なのかな…全てを手に入れるのは難しいですね」女性の生き方と仕事、それぞれの幸せも苦労も十人十色。そして妊娠・出産にはタイムリミットがありますが、幸せになること自体には時間制限はありません。みなさんは、たった一度の人生を存分に楽しむために、そして後悔しないために、どんな生き方を選びますか?ライタープロフィール石村佐和子エディター・Webディレクターを経て、結婚、出産後、フリーライターに。微妙に偏った恋愛経験を持つ、アラフォー二児の母。好きなことはモノ作り、工場見学、カフェ巡り。将来は陶芸などしながら優雅に暮らしたいと目論んでいます。
2016年08月09日こんにちは。エッセイストでソーシャルヘルス・コラムニストの鈴木かつよしです。村松太郎さんという刑事事件の精神鑑定なども行っている精神科医の先生が、『「うつ」は病気か甘えか』という本を出版されて話題になったことがあります。もちろん村松先生自身は、「うつなんて甘えだ。甘えてないで出勤しろ!」と言うような根性論者でも何でもなく、「うつは病気である」と断言している、まっとうなお医者様です。しかし、世の中には“うつは甘えだ”派の医師が存在することも事実 で、筆者自身も以前、経営していた会社の業績不振に落ち込んで通院していたメンタルクリニックの先生から、「うつに甘えていないで仕事をしなさい!」と怒鳴られた経験を持っています。そんな中、「うつは甘えも何も、日本人がうつだと思い込んでいる病気のほとんどは『適応障害 』という病気であり、“うつは甘えか論争”自体がナンセンス」という見解を打ち出している医師がいます。●環境を変えることで改善する場合は、厳密に言うと『うつ病』ではない千葉県の市川市で心療内科・内科・小児科・在宅ケアの『仁和医院』を開業されている医師の竹川敦先生は、医院のホームページの中で、わが国では「うつ」を主訴で来院する患者の70%以上が実は『うつ病』ではなく、『適応障害』といってその人の性格そのものに起因するものなので、抗うつ剤の服用では本質的な改善は期待できない 、としています。竹川先生によれば、本当の狭義でのうつ病というのはノルアドレナリンやセロトニンといった脳内の神経伝達物質の活性低下による病気であるため、抗うつ薬がある程度まで特効薬として奏功するもののようなのです。また、本当のうつ病では環境を変えたからといって症状が改善するということはなく、うつの期間が3か月から長くても1年続いた後、必ず元の状態に戻る というもののようです。それでは「うつは甘え」と言われてしまうことの一因になっているようにも思える、“うつと適応障害との見間違い”について、もう少し考えてみましょう。●うつ病ではないのに性格的な甘えが原因でうつ状態になっている適応障害患者が多い「うつは甘え」という言い方は間違いで、正しくは「適応障害は性格的な甘えにも原因がある 」ということ。このことについて、前述の竹川敦医師は医院のホームページの中で次のように説明しています。**********『最近「現代型うつ病」とか「新型うつ病」という日本独自の意味不明の診断名が流行っているが、これらはいわゆる「適応障害」のことを指しており、うつ病とは全く原因も違うし、治療法も違うものである。症状が単に「うつ状態」というところだけが共通しているだけにも関わらず、あえて「うつ病」と診断名を付けることは診断を非常に曖昧にさせる。(中略)「うつ病は甘えではない」という概念は間違っていないが、実際はうつ病ではないのに性格的な甘えが原因で、うつ状態になっている患者は沢山いる。「うつ病は休ませなければならない」というのも確かにそうであるが、あくまで「うつ病」の患者さんに言えることで、性格的な甘えでうつ状態になっている患者に「うつ病」の診断をつけ、長期に休ませることは甘えを助長し、症状を悪化させているだけである』**********●性格的な甘えで働けないでいる患者を長期に休ませるだけの精神科医には責任が問われるこのように考えてくると、筆者が小企業経営者だったころ通っていた精神科の先生から言われた「うつに甘えていないで仕事をしなさい!」という言葉は、言葉足らずなうえ乱暴な表現であったことを別にすれば、「あなたは資金繰りのストレスに常にさらされる小規模企業の経営者という職業に適応するには性格的に甘えが強いことが原因で“うつ状態”に苦しんでいるという“適応障害” であるから、休むことよりも甘えていないで仕事をすることで現状を打破した方がいい。もしそれが無理なのであれば、資金繰りの苦しみから解放されるために会社を売却したり、廃業して自分に適した仕事に転業するとかしないと“うつ状態”は改善されない。抗うつ剤では治らない」という主旨のアドバイスを筆者に与えてくれていたわけですから、いたって的確な診療であったと言うことができます。逆に、「うつ病ですね。しばらく休んだ方がいい」と簡単におっしゃる先生を受診してしまったら、筆者はただでさえダメな経営者だったのに、もっともっとダメな経営者になっていたことでしょう。ですから、安易に「要・長期休養」の診断書を出すだけの精神科医には、ある意味でその責任が問われてしかるべきなのかもしれません。●本当の『うつ病』の診断方法それでは、患者の性格的な甘えに起因する『適応障害』ではなく、“本当のうつ病”であるかどうかを診断する方法を、竹川敦先生の医院のホームページからご紹介しておきましょう。本当のうつ病であると確定診断を下すうえでは、下記の手順を踏む必要があるとのことです。(1)全身倦怠感をきたすような身体疾患である可能性を除外すること。そのための身体的な診察と血液検査等を行うこと。(2)今までの経過から推測する。本当のうつ病の場合は一般的にうつの期間が一定期間続いたあと必ず元の状態に戻る という特徴がある。(3)性格因、環境因を除外すること。会社に行く前だけ調子が悪く休暇中は元気に遊びに行けるなどという場合はうつ病ではなく適応障害の可能性が高い。(4)本当のうつ病に特徴的な症状から推測する。環境に左右されることなく、毎日のように症状を認めている 場合はうつ病の可能性が高い。(5)治療効果から推測する。休職や配置転換といった環境調整を行っても症状が改善せず寝てばかりいる ような場合はうつ病の可能性が高い。----------いかがでしょうか。繰り返しますが、本当のうつ病はけっして「甘え」ではありません。その点についてはほとんどの精神科医のコンセンサスができているといっていいでしょう。ただし、性格因や環境因によるところが大きい適応障害の場合は、甘えの要素があることは否定しきれないということなのでしょう。人間は生活して行くためにはしょせん環境に適応しなければならないわけですから、それができないということは確かに「甘え」と言われても仕方のない面はあるのだろうと思います。最後になりますが、竹川医師によると、社会人の適応障害の原因となる性格は、『共依存 』『発達障害 』『境界型人格障害 』の3つのどれかでほぼ説明できるそうです。おそらく経営者だったころの筆者は『共依存』だったのであろうと思いますが、共依存の対象であった人たちはもう誰一人として生存してはおりません。懐かしい思い出の中にいます。【参考リンク】・仁和医院ホームページ()・適応障害 | 厚生労働省()●ライター/鈴木かつよし(エッセイスト)
2016年07月26日遠隔診療でオンライン通院愛知県名古屋市の佐井泌尿器科・皮フ科クリニックでは、7月5日より、遠隔診療を導入した外来の受付を開始している。このシステムの導入にあたっては、株式会社メドレーが提供している「CLINICS(クリニクス)」というオンライン通院システムを採用している。愛知県の泌尿器科クリニックとしては初めての導入事例となる背景には、現在の多忙過ぎるサラリーマンなどに配慮した結果がある。というのは、今回のオンライン通院で提供する予定の診療メニューは、ED(勃起障害)、AGA(男性型脱毛症)、そして女性びまん性脱毛症であり、これらの治療には定期的な通院が不可欠だという。さらにこの病気の患者傾向をみてみると、30~50代に増加傾向だ。つまり、一番働盛りで忙しいために、最初は受診したとしてもそのうちに通院を諦めてしまったり、最初から諦めてしまう人が多いという状況を打破するためなのだ。厚生労働省も推奨実は、オンラインを活用した遠隔診療の分野の促進は、厚生労働省も推奨している。もとは、離島など遠隔地にいる患者と医師をつなぐための遠隔診療に対する解釈であり、遠隔地意外ではこのシステムを導入することを原則禁止していた。しかし2015年8月に解釈を変更し、遠隔地だけではなく、患者側の希望があり、かつ患者側の利点があれば、対面診療と組み合わせることで他の医療機関も導入しても良いという方針に変わったという。しかも、処方した薬についても、予約時に登録した住所に配送してくれるというから、大変便利なシステムではないだろうか。ストレス社会に救いの手今の社会は特にストレス社会と言われ、ただ生活をおくるだけでも過酷な精神環境、また紫外線の増加など過酷な自然環境下で生活している。女性の脱毛症が増加しているのは、そういったことも要因の一つとみられている。今回の愛知県での導入事例が全国に展開していく日も、そう遠くはないかもしれない。【参考】※株式会社メドレー※佐井泌尿器科・皮フ科クリニック※株式会社メドレー プレスリリース(Dream News)
2016年07月13日こんにちは。エッセイストでソーシャルヘルス・コラムニストの鈴木かつよしです。東京都の豊島区で『クリニック西川』を開院する精神科医の西川嘉伸先生は、その公式ホームページの中で、抑うつ状態を訴えてメンタルクリニックに来院する多くの患者さんについて、 「最近は精神科の医師による治療だけではどうにも症状が改善しない症例が多すぎる。その原因は、大半の患者さんにとっては環境要因としての“社会”そのものを変えなければどうしようもない というところにある」という主旨のことを述べておられます。つまり、「努力しているのに報われず貧困から這い出せない患者さんが多すぎて、精神医学的な治療だけでは限界がある」と仰るのです。●うつ状態の患者の多くにとって精神療法と抗うつ薬による治療だけでは解決にならない西川先生はクリニックの公式ホームページの中で、次のように述べています。**********『抑うつ状態を呈する患者さんにとってはその人を取り巻く環境の中で悪い影響を与えている因子を取り除いてその人の本来の力が十分に発揮できるような環境に作り変えてあげなければ社会復帰は困難ですし復帰したとしても容易に再発してしまいます。(中略)その環境改善が容易ではなく社会そのものを変えなければならないと感じる例が増えています。極端に言えば、山ほど抗うつ薬を処方したって到底治らない。まっとうな職を見つけてあげればたちどころに改善すると思われる方が少なくありません。(中略)日常の生活に窮して絶望の淵に立っている人が増えているのです』**********●労働の非正規化が“努力が報われない社会”を生み出す一要因であることはたしか筆者の身近にいる人たちの中にも、いわゆる“うつ”の状態が長引きメンタルクリニックの治療を受けているのにもかかわらず、なかなか症状が改善しない人が何人もいます。主に20代から40代にかけて。男性も女性もいますが、そのほとんどが非正規雇用で独身の人たち です。彼(彼女)らがとてもやさしく、真面目で、正社員に優るとも劣らない責任感をもって仕事に携わっていることを、筆者はよく知っています。その人たちが一度抑うつ状態に陥ってしまうと、その状態から脱出できない。非正社員だというだけで正社員から見下されることが原因で発症したうつ状態なら、西川医師が言うように環境を変えてやる必要があるのに、そんなことを口に出しでもしたら「非正社員の雇用契約書に“配置転換”などという優遇措置は無いよ。嫌なら明日から来ないで 」と一蹴されてしまいます。●同じ立場の恋人と愚痴を言い合うだけでも違うけれど、デートするにもお金は要る働く人の非正規化が始まったのは、1980年代に成立した“労働者派遣法”からだと言われています。その後、2000年代の製造業派遣の解禁を経て着々と進み、今ではわが国で働く人の4割以上が非正規雇用 です。非正社員の人に配置転換の道など無いというのであれば、せめて同じ立場の恋人と愚痴を言い合うだけでも精神衛生上ぜんぜん違うというもの。ところが、早稲田大学教授で『恋愛学』の権威である森川友義博士によると、『デートを重ねるにしても“お金・時間・労力”が要ります。非正規雇用で低収入の人たちにとって、恋愛はしたくてもできないというのが実情です』(朝日新聞2016年6月25日付夕刊「ココハツ」欄より)ということになります。●環境調整は家族、職場、友人、地域、行政などの協力があって初めて可能になる西川嘉伸医師は言います。『環境調整は、家族、職場、友人、地域、行政などたくさんの人や組織の協力があって初めて可能になります』しかしながら、非正社員の人が“職場”に環境調整を望んでもまず無理ですし、“行政”はそもそも労働の非正規化を積極的に推し進めてきた張本人ですから、これまでの行政府とは感性のうえでまったく違うものを選挙などを通して作り上げないことには本質的な協力は期待できないでしょう。わたしたちは、西川先生のようなかたが『精神科医による治療には限界がある。(メンタルクリニックを訪れる)患者の多くが不健全な社会によって生み出されたことを素直に認めるべきです』と仰るのを、右から左に聞き流してはいけないのだろうと思います。筆者は個人的にはここまで浸透してしまった非正規という働き方を、軒並み正社員化するということにも無理があろう と考えています。それよりも正社員が非正社員を人として尊重すること。正社員でなくても、ある程度の生活可能賃金とある程度の賞与とある程度の退職金を制度として用意することが必要ではないかと思っています。努力したって認められないという疎外感。真面目に一所懸命働いたって賞与も退職金も貰えないという絶望感だけでも改善すること。難しく長い道のりであってもそれに向けての行動を継続すること。西川医師のような尊敬すべき人生の大先輩に「精神科医の限界」と言わせてしまっては、後に続く世代の者としてとても情けないような気がしてならないのです。【参考リンク】・医療法人社団 求林会 クリニック西川()●ライター/鈴木かつよし(エッセイスト)
2016年07月12日【ママからのご相談】引っ越してきたばかりで、まだ子どもの“かかりつけ医”が決まっていません。0歳児なのでまだ予防接種のスケジュールがたくさんあります。家の近所に小児科があり、一度予防接種に行きました。とても混んでいて待ち時間が長く、途中でぐずって大変でした。今度から、予防接種だけはもっと空いているところにしようかと悩み中です。わが子は突然の発熱や皮膚のトラブルなど心配が多いため、早くかかりつけ医を決めたいです。子育て中のお母さん方はどのようにしてそれぞれの“ホームドクター”を見つけているのでしょうか。また、ホームドクターを選ぶときに重要なポイントや注意したほうが良いことなどあればアドバイスをお願いします。●A. 信頼できて、“いつでも行ける”距離と安心感を重視して選んでみては。ご相談ありがとうございます。ママライターのあしださきです。ホームドクターの大切さを実感したのはやはり、自分が母親になってからという方が多いと思います。赤ちゃんは元気にしていたかと思うと夜中に急に高熱を出すこともあり、「よくわからないけれどとにかく泣き止まない」とか、ひどいあせもができてかゆみで全然寝てくれないなど、とにかく母親になってからというもの小児科にかかる回数がこんなに多いものだということは、私にはちょっとした驚きでした。そんなわが家のホームドクターは、家から一番近くにある小児科専門医です。自転車で5分、歩くと10分、駐車場も完備で言うことなしです。先生との関係性も良好ですし、どんなに軽い症状でも心配ならすぐに見てもらうことができます。今回はどのようにして自分と子どもにとってベストな“かかりつけ医”を見つけたらいいかお悩みのママたちに向けて、3つのポイントをご紹介したいと思います。●(1)通いやすい距離から探していく0歳児の赤ちゃんを連れて行く病院が、あまりにも遠いというのはママにとってもお子さんにとっても大変です。具合の悪い赤ちゃんはいつも以上にグズグズしますし、天候が悪いとベビーカーに雨カバーをつけて、傘をさして歩くことも考えなくてはなりません。まずは通いやすい距離にある小児科 はどんなところがあるかをチェックするといいと思います。地方自治体にもよりますが、転入届けや子育て支援の申請で区役所などへ行った際に、予防接種を実施している医療機関(主に小児科)の一覧表をいただけると思うので、それを参考に近所のお医者さんを探してみてください。車を普段からよく使っているママで、お子さんも自動車の移動に慣れているという方は、少し探す範囲を広げてみてもいいと思いますよ。この時点でいくつかの候補がピップアップされることでしょう。『株式会社オウチーノ』が2015年に、首都圏在住の20歳から39歳までで子どもがいる既婚女性534人を対象に行った『子育てと病院に関する調査』にも、このような結果が出ています。まず、「お子さんにはかかりつけ医がいますか」という質問に対して、「いる」と答えたのが79.0%。一方、「いない」は21.0%であり、約8割のお母さんはお子さんの“かかりつけ医”を見つけているということですが、「いる」と答えた人に「そのかかりつけ医を選んだ理由は?」という質問をしたところ、一番多かった回答は「家が近かったから」というものでした。●(2)経験者の声も聞いてみよう次にご紹介したいホームドクター探しのポイントは、地域密着の口コミ 。実際に口コミを得る方法は、家の近所の幼稚園などに近い公園へ遊びに行き、そこで出会ったママとお話をするというもの。『ベネッセコーポレーション』が2015年に実施した『かかりつけの小児科ってどう選ぶ?重視することを教えて!』というアンケート調査でも、1位は「ママ友の口コミ」という結果が出ているくらいですから、ぜひ参考までに考えてみてください。時間は幼稚園の登園時間後の午前9時半くらいから、もしくは幼稚園降園時間後の午後の2時半ごろが狙い目です。その時間の公園は子どもを遊ばせているママさんたちでいっぱいでしょう。幼稚園ママたちは地域に密着した生活をし、日々情報を更新しながら子育てしています。上に小学生の兄弟がいるママさんは子育てのベテランですし、下のご兄弟がいるママは「小児科通いは日常茶飯事」という方が多い。あなたがもし、「引っ越してきたので小児科を探しています」と相談したら、通っている小児科や他にも知っていることを教えてくれるはず。ただし、実際に通っている人の話というのは私見が入ってしまう危険性もありますから、できれば何人かに聞いてみることがオススメです。このあたりで、だいぶ候補が絞り込まれることでしょう。●(3)先生との相性は大切、しかしそれだけでない部分も要チェックよく人間関係では「相性が合う、合わない」という言い方をすることがあります。かかりつけ医との“相性”に関しては、ほとんどがお子さんとお医者さんではなく、母親とお医者さんのことを指している場合が多いのですね。人は、誰かと接するときには相手に優しくしてもらいたいと思います。しかしながら、評判の良い小児科は混み合っていることが多いので、お医者さんも看護師さんも気持ちの余裕がなく、冷たい態度で接してくることはよくあることです。アドラー心理学というユニークな心理学の提唱者、アルフレッド・アドラーはこのように述べています。**********『他者は、あなたの期待を満たすために生きているのではない』**********つまり、相手には相手の価値観があることを否定することなく、自分と相手との人間関係に光を見出すことを重要と考える、ということではないでしょうか。何が言いたいのかというと、評判の小児科を実際に受診してみたときに見るべきは、先生の態度や物の言い方ばかりではない 、ということです。「お子さんを診ているとき、聴診によく時間をかけているかどうか」や、「発熱の時間や気になる症状の有無について質問してくれていたか」といったポイントを重視してみてください。「子どもの小さな異変も見逃したくない」という気持ちでいるお医者さんはとても信頼できると思いますよ。----------いかがでしたか?この3つのポイントを参考に、良いホームドクターとの出会うことができますように!【参考リンク】・約8割もの母親が、子どものかかりつけ医を決めている! | 株式会社オウチーノ()・かかりつけの小児科ってどう選ぶ?重視することを教えて! | ベネッセコーポレーション()●ライター/あしださき(元モデル)
2016年06月27日自転車で外出をすると、憂うつな気分から解放されることを知っていましたか?1日のストレスを乗り越えるのを助け、緊張を和らげ、リラックスさせてくれます。精神科医の研究でも、ウツ患者に自転車をこぐことで、気分障害に働きかけ改善した記録があります。今回は、そんな自転車の嬉しい効果をまとめました。ダイエットのためのスポーツとして出典:weheartitより1時間自転車に乗ると、400〜500カロリーの消費ができます。走る道によっては疲れる事もあるかもしれませんが、楽しんで続ける事が一番です。外の空気を吸い、酸素を取り入れて、日光を浴びる事は精神的にも大切です。ダイエットにとても効果的!太ももが引き締まり、お尻がキュッとなり、スリムな身体になります。老化防止にも役立つ出典:weheartitより週に2〜3回乗る事をオススメします。ダイエットを目的にしている人は、回数を多くしたほうがいいです。自転車に乗る事は、脊髄の周りの筋肉を強くさせて、心臓の周りの血管系の病気予防にもなります。自転車を漕ぐ動きが足をマッサージする効果、肺の働きを良くする効果があり、静脈やリンパの流れを良くし、生きる上で大切なリズムを作る事ができます。ナチュラルで自然に優しい出典:weheartitより自転車で移動する事を覚える事は、他にも良い事があります。スポーツジムでするようなスポーツが、自然の中でできます。自転車での移動は、車よりも自由です。気の向くままに店を覗きながら走ってみたりするのも一つの楽しみです。特に長時間デスクワークなどをして固まった筋肉をほぐし、緊張までもほぐします。気分転換になります。SLOW生活の始まり出典:weheartitより電動自転車もたくさん増えてきていますよね。もし、自転車の移動が疲れを感じるのなら考えてみるといいかもしれません。「あまり乗りそうにないけど、乗るといい事がある。」という人は、自転車を乗りやすい場所における小さな自転車を玄関先に置くといいかもしれません。自転車を身近に感じるところから始めてみましょう!自転車は、ゆっくりと街の中を走りながら行動範囲を広げる事ができるから、新しいあなたの周りの情報を知る事ができて生活を楽しむきっかけになります。最後に出典:tumblrより自転車はダイエットになるスポーツとしての役割と同時に気分転換をし、筋肉と心の緊張をほぐしてくれます。爽やかな風を感じながら少し地球に優しく、自分に優しい生活を始めるきっかけにもなりそう!自転車の漕ぐリズムが、身体の血液の流れを良くして、内臓や呼吸器系の働きを良くして、健康を手に入れるきっかけになるなら、無理のない程度から始めてみたいですね!
2016年06月27日生理前・生理中の女性の体には、肉体的にも精神的にもさまざまな変化が起こっている。その変化に敏感になり適切な対処をしないと、日常生活に支障をきたすこともあるだろう。前回に引き続き、誤解しがちな生理の疑問について、婦人科の船曳美也子医師にお聞きした。女性は自分の体のために、男性は周りの女性のことをより理解するために、正しい知識を押さえておこう。Q. 生理前に性欲が高まるのはなぜですか?生理的な性欲は「リビドー」といわれ、女性も男性も男性ホルモンによって生じるものです。女性の男性ホルモンは、卵巣と副腎でつくられます。特に月経前の卵巣は黄体ホルモンを出すのですが、この黄体ホルモンが男性ホルモンをつくります(最後に、女性ホルモンに変化します)。ですので、月経前にリビドーが亢進(こうしん)するとすればホルモンの影響と言えるでしょう。排卵前は女性ホルモンだけが亢進しますが、月経前は黄体ホルモンも女性ホルモンも亢進します。ただ、黄体ホルモンの分泌も日内変動があり一定ではないこと、そして女性の男性ホルモンの量は男性の5~10%程度で非常に微量であることから、リビドーと月経時期の関係は必ずしも一定ではないかもしれません。Q. 生理中にセックスをしても大丈夫ですか?月経中の性交は特に問題があるとはいわれていません。ただ、月経血が子宮から出ているということは、雑菌も入りやすいと考えられるので、清潔にはしてほしいですね。また、生理中でも妊娠する可能性はあるので、妊娠を望んでいない場合は、しっかりと避妊をしましょう。※画像と本文は関係ありません○取材協力: 船曳美也子(ふなびき・みやこ)1983年 神戸大学文学部心理学科卒業、1991年 兵庫医科大学卒業。産婦人科専門医、認定産業医。肥満医学会会員。医療法人オーク会勤務。不妊治療を中心に現場で多くの女性の悩みに耳を傾け、肥満による不妊と出産のリスク回避のために考案したオーク式ダイエットは一般的なダイエット法としても人気を高める。自らも2度目の結婚で43歳で妊娠、出産という経験を持つ。2013年10月9日、「婚活」「妊活」など女性の人生の描き方を提案する著書『女性の人生ゲームで勝つ方法』(主婦の友社)を上梓。En女医会にも所属している。En女医会とは150人以上の女性医師(医科・歯科)が参加している会。さまざまな形でボランティア活動を行うことによって、女性の意識の向上と社会貢献の実現を目指している。会員が持つ医療知識や経験を活かして商品開発を行い、利益の一部を社会貢献に使用。また、健康や美容についてより良い情報を発信し、医療分野での啓発活動を積極的に行う。En女医会HPはこちら。
2016年06月24日女性にとって、生理(月経)に関する悩みは尽きない。女性ホルモンの変化により、生理前は「月経前症候群(PMS)」といって、気分のイライラや落ち込み、胸の張り、食欲増進などさまざまな心身の不調が出ることで知られている。一方で生理が始まると、生理痛に加えて、漏れやムレ、ニオイといったトラブルが気になることも多い。中には、生理がこない(無月経)、月経周期が一定ではない(月経不順)、月経血量が多い(過多月経)といった悩みを抱えている女性もいることだろう。男性はもちろん、実は女性にとっても不可解なことが多いのが生理。今回は、誤解しがちな生理の疑問について、婦人科の船曳美也子医師にお聞きした。正しい知識を学んでみよう。Q. 生理中でも妊娠することはありますか?はい、妊娠する可能性はあります。女性の体は、妊娠するために1カ月に1回の排卵にあわせて子宮内膜を厚くしていきます。排卵を迎えても受精に至らなかった場合は、排卵の2週間後ぐらいに厚くなった子宮内膜がはがれて、血液と一緒に体外に流れます。それが月経です。月経と月経の間に排卵があることから、その頃だけが妊娠時期なのでは、と思われますよね。実際、妊娠しやすいのは、排卵日を含めた排卵前の1週間ほど。特に排卵日および排卵前2日間くらいです。ここで重要なのは、卵子・精子の生存時間や、受精・着床といったイベントに時間差があるということです。排卵後の卵子が生存しているのは24時間ですが、精子は最も長くて7日間くらい生存します。また、精子と卵子は卵管というところで出会って受精するのですが、受精した卵子が子宮に到達するのに5日くらいかかります。このことから、月経中であっても避妊せずに性交をすれば、次の2つの場合で妊娠する可能性があります。1つ目は、精子が数日生きた場合。月経血が流れていても、もし精子が卵管までたどり着けば、そこで性交の数日後に排卵した卵子と受精できます。前述したとおり、受精卵が子宮に到達するまで5日ほどかかるので、最長の長生き精子が性交後7日目に卵子と出会った場合、性交の12日後に受精卵が子宮に着床します。月経は3~7日で終わりますから、月経中の性交でも、その後の、出血していない(はがれていない)子宮内膜にもぐりこめるというわけです。2つ目は、月経のように見えて、実は排卵時の出血だった場合です。排卵前後の一時的なホルモンの変動により、少量の出血が見られることがあります。それを月経と思いこんでしまうのです。一般的には少量のことが多いですが、たまに月経とほぼ同量の出血のこともあります。基礎体温をつけていないと、排卵出血か月経かは区別できません。ここで性交があると、排卵前後なので、非常に妊娠しやすいタイミングとなります。なお、妊娠を望んでいない場合は、月経中であっても避妊はしっかりと行いましょう。※画像と本文は関係ありません○取材協力: 船曳美也子(ふなびき・みやこ)1983年 神戸大学文学部心理学科卒業、1991年 兵庫医科大学卒業。産婦人科専門医、認定産業医。肥満医学会会員。医療法人オーク会勤務。不妊治療を中心に現場で多くの女性の悩みに耳を傾け、肥満による不妊と出産のリスク回避のために考案したオーク式ダイエットは一般的なダイエット法としても人気を高める。自らも2度目の結婚で43歳で妊娠、出産という経験を持つ。2013年10月9日、「婚活」「妊活」など女性の人生の描き方を提案する著書『女性の人生ゲームで勝つ方法』(主婦の友社)を上梓。En女医会にも所属している。En女医会とは150人以上の女性医師(医科・歯科)が参加している会。さまざまな形でボランティア活動を行うことによって、女性の意識の向上と社会貢献の実現を目指している。会員が持つ医療知識や経験を活かして商品開発を行い、利益の一部を社会貢献に使用。また、健康や美容についてより良い情報を発信し、医療分野での啓発活動を積極的に行う。En女医会HPはこちら。
2016年06月23日リチャード・ギアが、伝記小説の映画化『Three Christs』に主演することになった。ギアが演じるのは、ミシガンの精神科医。彼は、自分はイエス・キリストだと信じる3人の患者を抱えている。監督は、『フライド・グリーン・トマト』『ボーダー〈2007年〉』のジョン・アヴネット。アヴネットは、エリック・ナザリアンとともに脚色も担当する。その他の情報ギアの最近作は、『マリーゴールド・ホテル幸せへの第二章』。最近、スリラー映画『The Dinner』を撮り終えた。共演は、レベッカ・ミラー、クロエ・セヴィニー、ローラ・リニーら。北米公開予定は2017年。文:猿渡由紀
2016年05月10日米歌手ローリン・ヒルが、精神統一を理由にアトランタ公演に2時間も遅れて登場した。フージーズの創立メンバーとしても知られるローリンは、6日に同市内のチャステイン・パーク野外音楽堂のステージにやっと姿を現したものの、わずか40分しかパフォーマンスを披露しなかった。その2日後となる8日、その理由について自身のフェイスブックで「私は何も気にしないから遅刻するわけではないの。ファンのみんなには愛と尊敬心しか抱いていないわ。でもあの時、私のエネルギーを統一することが困難だったの。言葉では説明できないような他人のために提供できるエネルギーをね」と説明した。続けて、「私にはオンとオフのスイッチがあるわけではないわ。私はオープンで十分に静養を取れていて、感受性豊かで、できるだけ正直に自分を表現できる自由がある時こそ最高の自分でいられるわ。私が遅れてしまった全てのパフォーマンスの穴埋めとして、私が全てをステージに注ぎ込んで契約している2時間以上パフォーマンスをしたことは数えきれないほどあるわ」とコメント。「それは私が芸術過程をとても気にしていて、完璧にしようとしているから、それが作れるようなスペースを作ろうとしているからなんだけど、ツアーのような移動の多い時には特に簡単なことではないの。うまくできる日もあればそうでない日もあるのよ。でも私がパフォーマンスに注ぎ込む活力は、それを実践することにどれだけの労力が必要かと完全には理解できないかもしれない観衆のみなさんにもいつも喜ばれているわ」とつづった。またローリンは、ショーの後にもただローリンのエネルギーを感じたいがために会場に残っていたファンがたくさんいたことを指摘し、ファンは自身が提供しようとしているつながりを理解してくれているとした上で完全なショーをできなかったことを謝罪し、その埋め合わせをする予定であると伝えた。(C)BANG Media International
2016年05月10日忙しい毎日を過ごしていると、あたかも自分が充実した人生を送っているかのように錯覚してしまいがちです。しかし、それは大きな勘違いだと指摘するのは、精神科医・医学博士である『ぼんやり脳! 上手にボーッとできる人は仕事も人生もうまくいく』(西多昌規著、飛鳥新社)の著者。充実しているどころか、常になにかをやって忙しくしているのは、脳にとって「非常に不健康な状態」だというのです。そして、だからこそ「なにもせずにボーッとしている時間」が必要なのだということが本書の考え方。実際、ボーッとしているときには、脳内において意識的課題を行っているときの15倍にもおよぶエネルギーが使われているというのですから驚きです。ちなみに、ぼんやりしているときの脳活動システムは「デフォルト・モード・ネットワーク」(本書では「ぼんやりモード・ネットワーク」と呼ばれています)。脳をすこやかにキープしていくためには、その機能を落とさないようにしていくことが重要だというのです。■ボーッとすると脳の健康にいい!書店には、「時間術」「手帳術」などをテーマにした本や雑誌がたくさん並んでいます。しかし、その多くに書かれているのは、「ほんの数分の時間もムダにすべきではない」「すき間時間をフル活用しよう」というようなことばかり。たしかに時間は大切で、有効に使うに越したことはないでしょう。しかし、ほんのわずかな時間に対して汲々とするのは、ちょっと余裕がなさすぎると著者はいいます。すき間というすき間をすべて予定で埋めてしまったら、ほっと一息つく時間すらなくなってしまうということです。むしろ、ビジネスや自分磨きなどにおいて他人に差をつけるために重要なのは、「いかに効率的にぼんやりするか」なのだとか。脳を健やかに機能させていくためには、ボーッとする時間が不可欠。だからこそ、仕事と仕事の合間のすき間時間になるべくボーッとするようにしていれば、脳の疲れがスッキリとれて、その後の仕事に対してフレッシュな頭で臨むことができるということ。■ボーッとするといい企画が浮かぶまた、ボーッとしていると、ひらめきが湧きやすくなるのだともいいます。つまり、いい企画や、仕事上の懸案に対しても「そうか、こうすればよかったんだ」という解決策が浮かぶ可能性が高まるということ。また、ぼんやりしているときの脳内においては、過去のことを反省したり、未来に対する準備をしたりしながら、自分の現在の状況を立てなおすようなネットワークが働いているのだそうです。無意識のうちにぼんやりと頭に浮かべている反省や準備のイメージが、あとあと自分の思考や行動を修正する際に生きてくるのです。だからこそ、「時間術」を学ぶよりも「ぼんやり術」を学ぶほうが、より脳の力を引き出して自分を伸ばしていけるという考え方。■活動時の15倍もエネルギー消費ちなみに「デフォルト・モード・ネットワーク」の存在を世界で初めて明らかにしたのは、ワシントン大学のM・E・レイクル教授。その研究においては、脳の活動エネルギーの大半をデフォルト・モード・ネットワークが使っていたという点に多くの注目が集まったといいます。レイクル教授によれば、脳が消費するエネルギーのうち、本を読んだり仕事をしたりといった「意識的活動」に使われるエネルギーは、全体のわずか5%程度。約20%のエネルギーは脳細胞のメンテナンスにあてられ、残り75%のエネルギーが「なにもせずにぼんやりしているときの活動」のために使われているそうなのです。「なにもせずにボーッとしているとき」には、「意識的な活動をしているとき」の15倍ものエネルギーが使われているということです。■ボーッとする時間を大切にしようつまりエネルギー消費という側面からみれば、「なにもせずにぼんやりしているとき」の活動のほうがメインだったことになるわけです。逆に、仕事や作業に集中するなどの「意識的な活動」は、脳のエネルギー消費量からすれば“どうでもいい”という程度のものであったということ。私たちは多くの場合、「なにもせずにボーッとしていること」に価値を見出すことはなく、むしろ「意識的に働いていること」を重要視して日々の生活を送っているのではないでしょうか?事実、ぼんやりしている姿は、周囲の人から「仕事や作業をなまけている」「集中力を欠いている」と見られがちでもあります。ところが、そんな「ぼんやり時間」にこそ、脳は大量のエネルギーを投入して重要な活動を行っていたというわけです。だからこそ私たちは、これまでの先入観や価値観をいったんリセットし、「なまけモード・ネットワーク」「ぼんやりモード・ネットワーク」の大切さを見なおしていく必要があるのではないか?著者はそう提言しています。*たしかに著者がいうように考えれば、ずいぶん気が楽にもなります。精神的な負担を意識せず、最良のかたちで物事を進めるために、「ぼんやり時間」を意識してみるべきかもしれません。(文/作家、書評家・印南敦史) 【参考】※西多昌規(2016)『ぼんやり脳! 上手にボーッとできる人は仕事も人生もうまくいく』飛鳥新社
2016年04月10日「みんなの肌育」スペシャルイベント開催”皮膚科医が採用する敏感肌のためのスキンケアブランド”であり、肌悩みを持つ方から絶大なる信頼を得ている「LA ROCHE-POSAY(ラ ロッシュ ポゼ)」。そんなラ ロッシュ ポゼのママ・プレママを集めたスペシャルイベント「みんなの肌育」が3月6日(日)に開催されました!イベントには、スペシャルゲストとして皮膚科医でもあり1児のママでもある友利新先生と、プライベートでもラ ロッシュ ポゼを愛用しているという、VERYモデルでもあり、1児のママでもあるEnna(エンナ)さんが登場。友利新(ともりあらた)先生Enna(エンナ)さんお二人のトークショーでは、UV対策やPM2.5などの大気汚染とお肌について、そしてリニューアルしたBBクリームについてなど、普段詳しくわからないことも丁寧に説明してくれ、とても充実したお話でした。GODMake.モデルもメイクデモに参加GODMake.モデルの山田千尋さんも、メイクデモモデルとしてイベントに参加してきました!メイクデモ以外のイベント内容も実際に体験した山田さんは「スキンケアとベースメイクの重要性を改めて考えるきっかけにもなり、とってもタメになるイベントでした!」と大満足の様子。Ennaさんとのフォトシューティングや参加した方との楽しいお話など終止笑顔が絶えない素敵な時間になりました。乾燥肌に悩まされていたという山田さんはこの「UVイデア XL プロテクションBB」をすごく気に入ったようで、イベントが終わってからも毎日使うほど、ヘビーユーザー化しているんだとか。パワーアップしたBBクリームがスゴいそんな山田さんに、イベント後にセルフでもBBクリームでメイクをしてもらいました。こちらの「UVイデア XL プロテクションBB」は二色展開。ピンク系のお肌の方には「01 ライト」が、そしてイエロー系の方には「02 ナチュラル」がオススメ!!UVイデア XL プロテクションBB【01:ライト】・透明感のある仕上がり肌色:色白で明るい、ピンク系統の方UVイデア XL プロテクションBB【02:ナチュラル】・健康的で自然な仕上がり肌色:黄色肌の系統の方今回「SPF50+ PA++++」にパワーアップ。環境ストレスから肌を守り、敏感肌にも使えるので安心!カバー力もばっちりなので、コンシーラーなしでも綺麗なお肌に仕上がります。1本3役のクレンジングウォーターそして、お肌に悩みを抱える方に合わせて使って頂きたいのがこの「クレンジングウォーター」敏感肌にも使えて、お肌に優しいのに1度でしっかり落ちます。そして1本でメイク落とし、洗顔、化粧水の3役をこなしてくれるため、もちろんダブル洗顔不要。メイクオフ後のつっぱり感もなく、もっちりとした肌に仕上がります。(※ミセラ―テクノロジー採用)日中はBBクリーム「UVイデア XL プロテクションBB」で、メイクしながらスキンケア、夜はクレンジングウォーターでメイクオフしながらスキンケアといったように、忙しいママも、お肌悩みを抱える方も、毎日のちょっとした時間で、お肌を労われるのが良いですよね。ラ ロッシュ ポゼの詳細はコチラから
2016年03月24日こんにちは、ママカウンセラーの赤井理香です。今回は、精神科医の和田秀樹さんの著書から、感情的になりやすい人の特徴と感情的な人への接し方についてお伝えします。●感情的になる人は自分の思い込みにこだわる人本書の中で、感情的になりやすい人は、ものごとをまともに受け止める傾向があると伝えています。感情的になる人の特徴として、以下のように述べています。**********よく言えば真面目なのですが、悪く言えば「硬い」とか「融通が利かない」 ところがあります。だから相手のことばや態度に悪意を感じると、それをまともに受け止めて「なんだ、こいつは!」とか「わたしがなにをしたっていうの!」と腹を立てます。ちょっとした皮肉や嫌味でも、受け流すことができなくてカチンと来ます。相手の挑発に乗りやすいのです。**********なぜ、相手の嫌な態度をまともに受け止めてしまうのかという理由について、「こうなるはずだ」という思い込みが強すぎるのが原因と述べています。「わたしの考えに賛成してくれるはずだ」「わたしは間違っていない」「ここはこうするしかない」という思い込みが強いほど、予想と違うことを言われたときに、自分への悪意として受け止めてしまいがちだそうです。では、そんな思い込みが強くて感情的になりやすい人には、どう接すればよいのでしょうか?次に、感情的になりやすい人への接し方についてお伝えします。●感情的になる人の言葉を“あっさり受け入れる”本書の中で、理屈が正しくてもいい結果にはならないと伝えています。「自分の方が正しい」「相手は自分を下に見ている」といった、白黒にこだわる思考や、どちらが上か優位性に対するこだわりが、感情的な相手との関係を悪化させます。**********つまり、感情というのは押されれば押し返そうとします。相手が強く出てくれば、こちらも負けまいと強く出てしまいます。**********強く押すと押し返されるのが“感情”なので、押し返そうとせずに“あっさり受け入れる” ことで、相手は拍子抜けし、感情を悪化させないで済むのですね。●「それもそうだね」と一呼吸おく本書の中で、本心を伝えながらも、相手とリラックスした関係を築くのに有効な受け止め方を紹介しています。**********「それもそうだね」とか、「なるほどなあ」「そういう考え方もあるね」といった柔らかい受け止め方をします。こういう態度はものすごく大切なことです。自分の意見はあくまで1つの見方。他人の意見もまた1つの見方。その場で決着をつける必要はありません。**********自分の感情と違ったとしても、相手の感情も「それもそうだね」と、受け入れることで、敵味方、正しい正しくないと言った、二元論の考え方にとらわれることなく、リラックスした関係につながる のですね。筆者も、感情の渦に巻き込まれそうになったときには、「そうだね」と、一呼吸おくことを心がけようと思います。----------感情的な人の特徴と接し方を知って、自分が“感情的”にならず、“穏やか”でいられるようにしたいですね。【参考文献】・『感情的にならない本』和田秀樹・著●ライター/赤井理香(働くママ応援家)
2016年03月20日●子宮頸がんや乳がん、検査の内容と適応年齢は?あなたは「婦人科検診」を受けたことがありますか? 婦人科検診とは、婦人科で行われている、子宮頸がんや乳がんなど女性に特有のがんの検査を含む検診のこと。婦人科系の病気の早期発見のために、20歳をすぎたら1年に1回程度、受けておきたいものです。まだ受けたことがないという人は、初めての検診に備えて、検査内容や注意点を知っておきましょう。○20・30代は「子宮頸がん検査」が中心検査内容は、病院や検診プランによってさまざま。20・30代の女性であれば、この年代に多い「子宮頸がん検査」を中心に、子宮や卵巣の様子を見る検診が一般的です。通常は、問診を行った後に、医師が膣内に指を入れて触診する「内診」、子宮の入り口(子宮頸部)の細胞を採取する「子宮頸部細胞診」、膣内に超音波の器具を入れて子宮や卵巣の様子をモニターに映して詳しく見る「超音波検査」という流れで行われます。プランによっては、子宮内膜症や子宮体がん、卵巣がんの有無を調べる「腫瘍マーカー」と呼ばれる血液検査が付くこともあります。前述の基本的な検診に加えて、30歳からは「乳がん検査」、40歳からは「子宮体がん検査」を受けることをおすすめします。乳がん検査では主に、X線で乳房を撮影する「マンモグラフィー検査」や、乳房に超音波をあてて異常がないかを見る「乳腺超音波検査」を行います。一方、子宮体がんの検査では、子宮の内部から細胞を採取して調べる「子宮体部細胞診」を行います。○検診前の注意点とNG行為婦人科検診をできるだけ苦痛なく受診し、より正確な検査結果を得るためには、いくつか注意したいことがあります。検診を受ける前には、次のポイントに気をつけましょう。・生理中の受診は避ける生理中でも婦人科検診を受けることはできますが、細胞診で採取した細胞を医師が顕微鏡で見る際に、血液が混ざって見にくくなることがあります。生理が終わったタイミングで受けるのがベストです。・前日のセックスは控える検診の前日にセックスをすると、膣内に精液が残っていたり、一時的に細菌が増えたりして、検査の妨げになることがあります。前日にはセックスを控えるか、コンドームを使いましょう。・ビデで膣内を洗わない清潔を心がけようと検診前にビデ(温水洗浄便座に付いている膣を洗浄する機能)で膣内を洗浄すると、細菌が洗い流されてしまい、検査のときに感染を見逃すことがあります。前日にお風呂に入って、外側をいつも通りに洗う程度にしましょう。●検診当日、「経験」について聞かれたら……○検診当日のポイント次に、検診当日に気をつけるポイントも覚えておきましょう。・リラックスを心がける内診や膣に器具を入れる際に緊張していると、体が硬くなって痛みを感じやすくなります。なるべくリラックスして力を抜きましょう。・服装はスカートがベスト検診では下着を脱ぐ必要があります。パンツスタイルで行くと、下半身に身につけているものをすべて脱ぐことになります。下着を脱ぐだけで受診できる、裾の広がったスカートがおすすめです。・セックス経験に関する質問には、正直に答える問診でセックス経験の有無を聞かれたら、恥ずかしがらずに正直に答えましょう。セックス経験がない女性は、子宮頸がんにかかるリスクは低くなりますが、子宮体がんのリスクは高くなります。また、膣が狭いために器具が入りにくいことが多いので、医師の判断によっては、器具を使用せずに細胞診をするか、極小の器具を使用して採取します。超音波検査では、肛門から器具を入れるか、お腹の上から超音波を当てて検査を行う場合があります。婦人科検診にかかる費用の目安は、子宮頸がん検査中心の基本的な検診であれば、数千円から1万円前後。乳がん検査や子宮体がん検査、診察などをプラスすると、2万円以上かかることもあります。各自治体が実施している婦人科検診では、無料または低料金で受けることができるので、自治体ホームページまたは窓口に問い合わせてみましょう。最後になりますが、特に子宮がんは、早期発見・早期治療のために、検診が最も有効といわれる病気です。適応年齢になったら検診を受けることを強くおすすめします。※画像は本文と関係ありません○記事監修: 善方裕美医師日本産婦人科学会専門医、日本女性医学会専門医1993年高知医科大学を卒業。神奈川県横浜市港北区小机にて「よしかた産婦人科・副院長」を務める。また、横浜市立大学産婦人科にて、女性健康外来、成人病予防外来も担当。自身も3人の子どもを持つ現役のワーキング・ママでもある。主な著書・監修書籍『マタニティ&ベビーピラティス―ママになってもエクササイズ!(小学館)』『だって更年期なんだもーん―なんだ、そうだったの?この不調(主婦の友社)』『0~6歳 はじめての女の子の育児(ナツメ社)』など
2016年03月18日新しい季節がやってくると、新しいことに挑戦したり、変化を求めたくなるもの。運動などでは高い目標を掲げがちだけど、実は手堅い目標からでもいい様子。専門家に聞いてみました。新しい自分に変わるには、全く新しい何かに挑戦するべき?「高い目標を設定したり、難しく考える必要はありません。自分が限界だと思っているラインを、ほんのちょっと越えてみればいいんです」(精神科医・名越康文さん)例えば、比較的体力のある人なら1日1回、子どもの時みたいに全力ダッシュをしてみる、なんてことでもいい。走る距離は設定せず、30秒でもとりあえず一生懸命に走れるだけ走ってみる。「昔のようには走れないことに気づくかもしれませんが、カラダの重さを感じることも大事。1日1回続ければ、徐々に変化していくカラダを実感できるでしょう。自分が忘れてしまった“全力”を取り戻すことで、自分自身の中に秘められた力や、限りない可能性に気づくかもしれないんです」その気づきこそ、私たちに必要な変化をもたらすもの。「子どもの頃、ジャングルジムに登った時の気分を思い出してください。ちょっと視点が変われば、見える世界が変わってきます。大人になっても、ほんの少しの変化を感じるだけで、新しい自分に変わるきっかけにもなるのです」名越さん自身も、最近本格的に歌を習いだし、自分のカラダに起こっている変化を実感している。「ちゃんと声を出して歌うのは本当に大変。全身を使い、全力で歌っています。そして、前回のレッスンより今回、そして次の回と、ほんの少しですが、確実に進歩している自分に気づけると、喜びとパワーが湧いてきます。ボイストレーニングの歌の先生は『80歳から始めた方も、練習をすることでどんどん声が出るようになります。何歳からでも成長はできるんですよ』と言っています。何事に対しても、喜んで面白がる気持ちが必要なんです」新しいことに挑戦するなんて無理、と弱気の虫が襲ってきたら、自分の限界を見つめ直して。「私たちは、無意識に限界を設定して生きているんです。限界なんて本来はありません。自分で勝手に作ってしまった限界が、大切な生命力や若さを奪っているのだと気づきましょう。そもそも、誰もが頭でっかちになってしまう現代では、本来の自分の力を発揮できずにいて、カラダを甘やかしています。だからこそ、簡単なことでもいいから、全力を出せる何かにチャレンジしてほしいのです。それは、たった一瞬で人生を変えてしまうかもしれない、ものすごく価値ある行動なのです」さあ、あなたも靴を履き替えて、見慣れた町を全力疾走してみよう。◇なこし・やすふみ精神科医。コメンテーター、映画評論など、様々な媒体で活躍中。近著に『「男はつらいよ」の幸福論』(日経BP社)。◇みつしま・みなみモデル。沖縄県出身。「いま続けていることは、毎朝の朝食づくり。春が来たら、運動もはじめてみようかなと思います」※『anan』2016年3月9日号より。写真・津留崎徹花(モデル)スタイリスト・白男川清美ヘア&メイク・信沢Hitoshiモデル・満島みなみ取材、文・板倉ミキコ瀬尾麻美 Tシャツ¥7,000(W&E)バイカラーブルゾン¥18,000(エミ スタジオ)共にエミ ルミネ横浜店
2016年03月04日恋愛から遠ざかっている女性が多いが続出しているという現代。アンアン読者100人への恋愛に関するアンケートでも、「仕事や趣味が忙しくて時間がない」「恋愛をする気にならない」「ときめかない」などと言った意見が。なぜ女性はそのように考えているのでしょうか。精神科医の星野概念さんがその理由を分析してくれました。* **恋愛していない女性が増えているということで、その現状を僕なりに考えてみたいと思います。脳の中には「報酬系」という回路があって、自分の欲求が満たされそうなことがあると、「ドーパミン」という神経伝達物質が活性化され、ワクワク感が湧いて、欲求を満たす行動を起こします。そして実際に欲求が満たされる、つまり“報酬が得られる”と、脳内麻薬様物質により「快」の感覚を得ます。この回路は繰り返すたびに強化されていく仕組みです。つまり、人間の行動の源となるのがこの報酬系です。で、ちょっと前までは多くの女性にとって、ナンバーワンの報酬は恋愛だったと思うんです。「好きだよ」って言われれば承認欲求が満たされ、自己肯定感も得られる。でも女性もバリバリ仕事をする今、仕事の達成感でも報酬が得られやすくなった。しかも、恋愛は頑張ってもままならない場合も多いのに、仕事は頑張れば、それに見合う成果が出ることも多い。報酬系って、報酬がもらえないとやる気をなくすんです(笑)。だから努力次第で報酬が得られやすいほうを選ぶ傾向にあるのかなと。ただ、承認欲求や自己肯定感は仕事や他のことでも得ることができますが、恋人と触れ合ったりすることでしか得られない安心感や愛着感もあります。このような感覚は、巷で恋愛ホルモンや愛情ホルモンとも呼ばれる「オキシトシン」によるものです。人と抱き合ったり触れ合うことで、このオキシトシンは分泌されます。そしてもうひとつ、恋愛がらみでは「フェニルエチルアミン」という物質が。これは恋愛のドキドキ感を活性化させる中毒性の高い物質ですが、残念ながら長くても3年、短いと3か月くらいでその働きは落ち着いてしまう。だから脳科学的な見地からも、刺激一辺倒の情熱的な関係性より、安心感を得られる関係性のほうが長続きするといえます。◇ほしの・がいねん精神科医。総合病院に勤務する傍ら、雑誌やウェブで連載コラムを執筆。コーラスグループ星野概念実験室などミュージシャンとしても幅広く活動。twitterは@gainenhoshino※『anan』2016年2月3日号より。文・熊坂麻美(C)kupicoo
2016年01月29日『オーシャンズ』の監督コンビが描くネイチャードキュメンタリー『シーズンズ2万年の地球旅行』。この度、公開を間近に控えた映画で、ネコ科とイヌ科に分類した動物たちの社会構造の比較も見て取れることが明らかとなった。本作は、2万年という悠久の時間、そこで懸命に生きる生命をドラマティックに描いた壮大な旅。総製作費40億、構想4年、400人のスタッフが最新の撮影機材を駆使し、歴史学、動物行動学、人類学、哲学、民俗学、植物学ら多くのスペシャリストと共に、氷河期が終わり、あらゆる生命が春を謳歌し始めた2万年前から現在、そして未来へと至る地球の歩みを、動物の目でとらえる全く新しいネイチャードキュメンタリーだ。日本でも大ヒットを記録した『オーシャンズ』のジャック・ペランとジャック・クルーゾ監督コンビが挑戦する、新たなる映画。日本語版ナレーションには、笑福亭鶴瓶が落語家ならではの語り口でいままでにないネイチャードキュメンタリーの世界観を表現し、女優・木村文乃は壮大な時間軸の中で、移ろいゆく自然の様子と懸命に生きる動物たちを、俯瞰の立場でナビゲートしている。今回到着したのは、本作で登場する“イヌ科”と“ネコ科”の動物たちの写真。家族をもってなんぼのイヌ科のオオカミと、一人でチャキチャキ生きていきたいネコ科のオオヤマネコ。イヌ科とネコ科の大きな違いの一つには、群れの社会構造の違いがあるという。ライオンは例外だが、ネコの仲間は単独で狩りをして、母親のみが育児をする。そのため、イヌ科動物が複数で仕留める獲物も、ネコ科は単独で捕らえるだけの高い運動能力が必要になる。一方、オオカミなどイヌ科動物は、群れをなし夫婦交代で狩りと育児を行うので、高いコミュニケーション能力が必要だ。オオカミなど群れの動物は、集団なので狩りの成功率が上がるものの、分け前が少なくなってしまう。オオヤマネコなど単独性の動物は、獲物を独占できるが、狩りに失敗すると空腹がつづくこともある。同じ生態系ピラミッドの頂点に君臨していても、それぞれに悩ましい一長一短があるというのだ。そんな動物たちの社会構造の比較が世界初の迫力ある映像で観ることができるのも本作の見所のひとつ。2万年という時を力強く生きてきた野生動物たち、そんな動物たちの姿に勇気や希望が湧いてくるかもしれない。『シーズンズ2万年の地球旅行』は2016年1月15日(金)よりTOHOシネマズ日劇ほか全国にて公開。(cinemacafe.net)
2016年01月04日「子ども心がイマイチ理解できない……」と感じたことはありませんか? 特に育児中のお母さんやお父さんは、赤ちゃんや子どもの心をもっと知りたいと思っていることでしょう。今回の精神科医のゆうきゆう先生の著書『子育てがもっと楽しくなる子どもゴコロの心理学』(KKベストセラーズ)では、心理学を使って子どもの内面を分かりやすく説明しています。その一部をご紹介しましょう。■子どもを叱る5倍ほめることが大事心理学的には、叱るよりもほめる方が学習効果を期待できるようです。叱ることは、子どもの精神衛生や発達にはあまりよい影響を与えません。子どもに物事を教える場合は、叱るのではなく、ほめながら学ばせるのがよいでしょう。1つ叱ったら5つほめるくらいがちょうどいいあんばいのようです。意識的にほめる回数を増やしていけば、子どもの心も安定してきて、叱られたときの態度も少しずつ変化してくるのかもしれませんね。■まわりの子と比較して叱るのはNG一番いけないのは「まわりと比較して子どもを叱る」ことです。誰かと比較するのは、大人でも気持ちいいものではありません。子どもの場合も同様で、くらべられて叱られると心を深く傷つけてしまいます。その後の人生にも影響してしまうような、大きな劣等感を植えつけてしまう恐れもあるようです。もちろん、ほめる場合もまわりとくらべた表現はよくありません。他の子とは比較せず、その子自身のよいところをそのままほめてあげるのがよさそうです。■ダメな理由を子どもにも理解させよう「ダメ!」「なんでそんなことするの!」などと頭ごなしに叱っても、子どもは「なぜダメなのか」を理解できません。また、怒りをぶちまけるような感情的な叱り方も子どもにとってよくないようです。叱るときは落ち着いて「なぜダメなのか」理由を必ず伝えることが大切。また、人格を叱るのではなく、その子の行動に焦点を当てて叱るということも重要なポイント。叱った後に子どもがよい行動をしたら、笑顔でたくさんほめてあげましょう。子どもは自分がした行動がほめられると、うれしくなってまたその行動を繰り返すようになるようです。子どもがよくない、危険なことをしたら、叱ることはあるでしょう。しかし、頭ごなしで叱るのではなく、正しい叱り方のポイントを押さえれば、子どもだってよいことと悪いことの区別がついてくるはず。*その他、この本では大人が疑問に思う、赤ちゃんから小学生までの子ども心や気持ちを代弁してくれています。子育てに悩むお母さんお父さんは、読むだけで気持ちがラクになることでしょう。心理学的な子育てアドバイスが欲しい人は、ぜひ手にとってみてほしいと思います。(文/齊藤カオリ)【参考】※ゆうきゆう(2015)『子育てがもっと楽しくなる子どもゴコロの心理学』(KKベストセラーズ)
2015年12月03日アートの力で心を癒す“ホスピタルアート”にフォーカスしたセミナーが、10月8日、21日、11月5日の3回に渡って、東京・六本木のイマコンセプトストア(IMA CONCEPT STORE)にて開催。第3回には、写真家の若木信吾も登場する。昨今の医療現場で広まりつつある、アートの力で心を癒す“ホスピタルアート”。“アートフォトは人の心を鎮めるか”をテーマとした同イベントでは、アートフォトの新たな可能性に迫るため、専門家を招いたトークセッションを行っていく。第1回の「アート鑑賞が心に効く3つの理由」では、『エグゼクティブは美術館に通う』の著者でもある聖徳大学児童学部長の奥村高明と、日本精神科看護協会会長の末安民生が、写真を見ることで生じる心への影響についてトークを展開。第2回の「アートは心を開く~医療現場の実践から」では、これまで実際にアートフォトを病院に展示してきた医師の杉山武毅と、アートを活用して医療現場に癒しの空間をつくりあげる森口ゆたかが、“アート・イン・ホスピタル”のリアルな実例について語られる。そして、第3回の「アートのある生活が心を豊かにする」では、『The New York Times Magazine』、『SWITCH』などの雑誌や広告、音楽媒体などで活動を行う写真家の若木信吾が登場。精神科医の斎藤環とともに、“暮らしの中にアートフォトを飾り、観る”ことの価値や可能性についてのトークを繰り広げて行く。なお、定員は各回80名で、申込期日は各回当日まで。(※満席の場合は申込不可となる場合も有り)【イベント情報】第1回「アート鑑賞が心に効く3つの理由」第2回「アートは心を開く~医療現場の実践から」第3回「アートのある生活が心を豊かにする」会場:IMA CONCEPT STORE住所:東京都港区六本木5-17-1 AXISビル3階会期:第1回 10月8日、第2回 10月21日、第3回 11月5日時間:19:00~20:30料金:一般 税込3,000円、『IMA』定期購読会員 税込2,400円
2015年09月28日抜け毛や薄毛に悩みだすと、毎日の意識が頭髪にいきがちとなり、その人のQOLにも大きな支障が出かねない。では一体、どうすればよいのだろうか。本稿ではメンズヘルスクリニック東京の院長で、精神科医でもある小林一広医師の解説をもとに、髪の毛が生えてくるメカニズムや、頭髪とストレスの関係について紹介する。○髪が薄くなる原因は"髪の飛び級"まず、髪の毛が生えてくるメカニズムについて知っておこう。髪の毛は、皮膚の中に入り込んで外からは見えない「毛根」と、皮膚の外に出ている「毛幹」に大別できる。毛根の下部には「毛球」と呼ばれる部分があり、その底に髪の毛の生産拠点である「毛乳頭」がある。毛球には髪の毛を成長させる「毛母細胞」が詰まっており、この毛母細胞が毛細血管から酸素や糖質などの栄養素を吸収する。毛母細胞は24時間ずっと細胞分裂を行っている。2個に細胞分裂すると、1個が次の細胞分裂に備えてその場にとどまり、もう1個が髪の毛になるという仕組みだ。そして、新たに生えてきた髪の毛を含め、すべての髪の毛は「成長期」「退行期」「休止期」という「ヘアサイクル」を経て、再び成長期へと戻っていく。抜け毛が多い人は、このサイクルに問題があると小林医師は話す。「一般的に髪の寿命(ヘアサイクル)は5~6年ほどなので、毛髪を小学校に見立ててみましょう。頭には1年生から6年生に相当する髪の毛が均等に生えています。『6年生の髪の毛』が卒業する形で抜け落ちると、新1年生に相当する髪の毛が生えてきて、全体の毛髪量はある程度一定に保たれます。ところが、中には2年生からいきなり5年生になるように、『飛び級』をしてしまう髪の毛もいるんですね」。髪の毛が太く長く育つためには成長期が長いほどよいが、「飛び級」によって成長期が短いヘアサイクルが続くと、次第に髪が細く短くなってしまう。男性型脱毛症(AGA)の場合、円形脱毛症のようにしばらく髪が生えてこないことはなく、きちんと髪は生えてくる。だが、その髪が太く長く育たずに、細く短くなる。そして次のヘアサイクルを経て、さらに細く短くなり、最後には産毛のようになってしまうというわけだ。○ストレスが髪に影響を及ぼす明確な根拠はないこのヘアサイクルによる薄毛は加齢に伴うもので、悩む年代には個人差があると小林医師は話す。また、ストレスの影響については、「ないとは言えませんが、エビデンス(科学的根拠)はありません」と解説する。「ストレスによって身体にいろいろな影響が出ることは、生理学的に言えます。例えば免疫力が落ちるとか、自律神経がアンバランスな状態に陥ってしまうとかですが、それらがどのように髪に悪影響を与えるかを証明したエビデンスがないのです。ただ、やはりそれらの症状が起きると、頭皮への血流が滞るとか代謝バランスが落ちるなど、髪に何かしらの影響は及ぼしているのではないでしょうか」。加えて小林医師は、「何をもって『ストレス』とするかは非常に難しい」と断ったうえで、「ストレスにさらされた期間が何年も続けば、AGAを促進させる可能性はあるでしょうね」と話す。○「薄毛」の医学的定義はないストレスが薄毛や抜け毛につながる可能性もあるし、その逆もしかり。頭髪が徐々に後退していくことをストレスと感じれば、さらに発毛に悪影響を及ぼす可能性も出てくるだけに、まさに「負のスパイラル」だ。ただ、そもそも論として、「薄毛」という言葉の医学的定義はない。薄毛とは、「当人がどのように感じるか」という極めてあいまいで主観的な指標なのだ。小林医師の下にも、一般的に見れば十分髪の毛がある人たちが「薄毛で困っています」と訪れるという。なるべく自らの毛髪を気にしないようにして、どうしても気になってしまったら、専門医に相談のうえで治療にあたるようにしよう。写真と本文は関係ありません○記事監修: 小林一広(こばやし かずひろ)医療法人社団ウェルエイジング メンズヘルスクリニック東京院長。精神保健指定医、日本臨床精神神経薬理学会専門医、特定非営利活動法人アンチエイジングネットワーク理事、特定非営利活動法人フューチャー・メディカル・ラボラトリー理事。北里大学医学部卒業後、同大学病院でメンタルヘルスケア中心の医療に従事。1999年新宿に城西クリニックを開院。精神科医として皮膚科医、形成外科医と共に心身両面からの頭髪治療に力を注ぐ。2014年東京・丸の内に移転し、メンズヘルスクリニック東京と名称を変え、男性の外見と内面を医療によってサポートするクリニックを立ちあげる。
2015年09月16日フランス人精神科医が執筆し、世界中で大ベストセラーとなった「幸福はどこにある―精神科医ヘクトールの旅」を映画化した話題作『しあわせはどこにある』。現代社会で幸せを求める多くの人々から、共感と感動の声が上がっているハッピーなハートフルストーリーです。美しいガールフレンドとおしゃれなフラットに暮らし、ロンドンで何不自由ない生活を送っていた精神科医のヘクター。しかし、毎日患者たちの不幸話を聞き続けていくなかで、自分自身の幸せもわからなくなっていたヘクターは、徐々に自分を見失いつつあった。そして、「一体、幸せとはなんだろう?」という問いへの答えを探すため、ついに一人で旅に出ることを決意する。様々な国でたくさんの人との出会いを経て、ヘクターが見つけた本当の幸せとは……?本作でヘクターを演じた主演のサイモン・ペッグが見せる繊細でチャーミングな姿には、思わずくすっと笑いが込み上げ、最後には温かい気持ちにさせてくれます。そして、ガールフレンド役のロザムンド・パイクをはじめ、脇を固めるのはトニ・コレットやジャン・レノ、クリストファー・プラマーといった豪華俳優たち。幸せ探しに奔走するヘクターを優しく見守り、作品をさらに盛り立てています。また、北アメリカ、ヨーロッパ、アジア、アフリカと4大陸にわたって撮影されたという本作の移り変わる様々な景色も見どころ。ぜひ、ヘクターと一緒に旅行気分を味わってみては?たとえ大人になっても、完璧に見える生活を送っていても、時には誰もが迷ってしまうもの。ヘクターが旅の途中で見つける幸せのヒントの数々は、あなたの幸せ探しのヒントにもなるかもしれません。幸せの形は人ぞれぞれであり、自分の幸せがどこにあるか見つけられるのは自分自身だけなのです。ヘクターがたどり着いた答えは、「私たちには幸せになる○○がある」。あなたの考える“幸せ”とはなんですか?イベントデータ:『しあわせはどこにある』公開表記:6月13日(土)より、シネマライズ、新宿シネマカリテ、品川プリンスシネマ他全国順次公開!配給:トランスフォーマー(c) 2014 Egoli Tossell Film/ Co-Produktionsgesellschaft "Hector 1" GmbH & Co. KG/Happiness Productions Inc./ Wild Bunch Germany/ Construction Film. 2014 All Rights Reserved.
2015年06月09日恋人や配偶者など大切な人が、もしかしたらうつ病かもしれない――。そう感じたときはどうすればいいのだろうか。「ゆうメンタルクリニック」総院長で、精神科医・心理研究家のゆうきゆうさんに聞いた。* * * * *もしも「あなたのパートナーがうつ病かもしれない」と感じたら、まずはよく相手の話を聞いてあげてください。相手の状態を知る意味でも、相手の受け口になるという意味でも、「聞く」ということはとても大切です。○焦って何とかしようとすることが彼の負担にも自分にとて大切な存在が「うつかもしれない」と感じた時、多くの人は動揺します。そして、なんとか解決しようと評判のいい病院を勧めたり、民間療法などでも良いと言われることを実践したりしようとします。それらは決して悪いことではないのですが、残念なことにうつになった本人の状態や気持ちを置き去りにしてしまっていることが多いようです。どうしてそういったことが起きるのでしょう? それは「相手の状態を異常だ」と感じ、そのことに不安や恐怖を感じ、動揺して「なんとか元に戻そう」としてしまうからです。解決策を探そうとすることはとてもいいことですし、心の動揺も人として自然なことです。しかし自分に余裕がないため、相手の状態をよく見ずに動揺した自分の気持ちだけで行動してしまいがちです。そんな風に周囲が焦って何とかしようとするほど、「うつになった自分が悪い」「申し訳ない」と負担をかけてしまうことがとても多いものです。また、うつの方がふさぎ込んでしまう原因のひとつに、「理解してもらえない」「受け入れてもらえない」と感じてしまうことがあります。自分自身でもうつの状態を受け入れられないのですが、周囲からも受け入れてもらえないと感じることで身の置き場が無くなってしまい、さらに心理的な負担が増してしまうことが多くあります。○まずは彼の話をよく聞いてだから、まずは相手の話を聞いてください。相手が話し始めるまで待って、相手が本当に話し終わるまで、ただ聞いてあげてください。自分の状態の受け入れ先があるだけで、人はずいぶんホッとするものなんですよ。だからまずは、「ただ、聞く」ということを実践してみてほしいのです。否定せず、さえぎらず、途中で切り上げたりもしません。そこで原因を探そうとするのではなく、相手の言葉や表情・そこから読み取れる感情を受け止めてあげてください。パートナーであるあなたもショックかもしれませんが、相手だって自分の状態に戸惑っているはずですし、つらい気持ちを感じているはずです。そこになるべく同化せず、相手に関心を持って気持ちを受け止める練習をしていってみてください。また、治療は長期化することがありますから、支える側の焦りは禁物です。「励ましてはいけない」というのはよく知られるようになりましたが、これは相手に焦りを感じさせたり、「もっと頑張らなければ」と思わせてしまったりするためです。しばらくは見守るつもりで「少しずつよくなってるよ」「人間は気分にムラがあって当たり前なんだから、そんなに重く受け止めないようにしよう」など、前向きな言葉をかけていけるといいですね。もし支えている自分も「危ないな」と感じたら、迷わず受診しましょう。共倒れにならないよう自分自身をこれまで以上にいたわることも、とても大切なことですよ。<著者プロフィール<ゆうきゆう精神科医・心理研究家。東京大学医学部卒業。『相手の心を絶対に離さない心理術』など心理学に関する著書は50冊にのぼる。総計300万部の人気漫画シリーズ『マンガで分かる心療内科』の最新刊13巻も発売中。ゆうメンタルクリニック総院長。ゆうメンタルクリニックは、心安らげるクリニックとして評判が高い。 上野院(上野駅0分) 池袋東口院(池袋駅東口1分) 池袋西口院(池袋駅西口0分) 新宿院(新宿駅0分) 渋谷院(渋谷駅0分) 秋葉原院(秋葉原駅0分)※写真と本文は関係ありません
2015年06月05日