株式会社幻冬舎メディアコンサルティング(本社:東京都渋谷区千駄ケ谷4丁目9番7号、代表取締役:久保田貴幸)は、新刊「ゆっくり、いっしょに 精神科訪問看護師、15のストーリー 」(著者:稲岡 勲)を9月27日に発売いたしました。『ゆっくり、いっしょに 精神科訪問看護師、15のストーリー』詳細ゆっくり、いっしょに精神科訪問看護師、15のストーリー | 話題の本ドットコム : 書籍内容患者と向き合い、心に寄り添う。精神科訪問看護師たちの奮闘の記録強迫性障害、統合失調症、解離性障害。精神疾患を抱える患者が、生きがいをもった生活を送るために。精神科訪問看護師たちの患者へのアプローチとケア。看護師と聞くと、血圧を測ったり注射や点滴をしたりといった医療を行う姿を思い浮かべるかもしれませんが、精神科訪問看護師の仕事は大きく異なります。例えば、不安や心配ごとをもつ患者の心に寄り添い、穏やかな生活を送ってもらうために精神面を支えます。ただそばにいて話を聞くだけのこともありますし、家族との調整役になることもあります。また、時には通院の付き添い、服薬のフォロー、入浴のサポート、整理整頓や身だしなみの介助といった生活の支援を行うこともあります。著者は、精神科病院の看護師時代に「患者を看護するには患者一人ひとりの気持ちやその背後にある人生に思いを巡らせることが必要だ」と気づき、それを実現するために精神科訪問看護ステーションを開設しました。以来、地域の関係機関からも少しずつ信頼を得ながら拠点を増やし、これまでに400人以上の患者を訪問してきました。本書には、ステーション立ち上げからの10年間で、看護師たちが出会った印象深い患者との15のエピソードを収録しています。それぞれのエピソードを通して、精神科訪問看護のあり方や患者との向き合い方を学ぶことができる一冊です。無限循環エネルギー社会のイメージを具体的に描いていきます。目次はじめに[ストーリー1]妄想だと片付けず、「おしゃべり」に向き合って関係を深める――語り手看護師:八木智美【コラム】医師不信が人間不信に[ストーリー2]遠方に住む家族の心のケアも、看護の仕事の一つ――語り手看護師:松本雄大【コラム】措置入院、医療保護入院、任意入院は何が違う?[ストーリー3]思春期の患者の「多動」にブレーキをかける。失敗経験の積み重ねが、患者の意欲を削がないように――語り手看護師:安蔵由希代【コラム】どう接するかで変わる若い患者の未来[ストーリー4]入院中の患者の急死。精神科訪問看護師としての後悔――語り手看護師:中野弘二【コラム】強迫性障がいは他人を巻き込む力がある[ストーリー5]心細い一人暮らし。大切な家族との別れで自立心が育まれる――語り手看護師:与那覇由美子【コラム】頻繁な救急依頼も緊急電話も「回復の証」[ストーリー6]最後に会ったのは私。気づきにくい悪性症候群の落とし穴――語り手看護師:与那覇由美子【コラム】一般にはあまり知られていない「悪性症候群」[ストーリー7]薬への不安に寄り添う。日々の見守りで減薬に成功――語り手看護師:稲岡 勲【コラム】薬が多過ぎると感じるケースもある[ストーリー8]40年断絶していた母子の40年間の溝を埋める。家族の懸け橋となって――語り手看護師:森 ひろ子【コラム】日本は精神科病院大国[ストーリー9]毎朝の電話で、生活リズムを整えるお手伝い――語り手看護師:河村登志之【コラム】患者は「ホーム」でわれわれは「アウェイ」[ストーリー10]患者からのクレームを乗り越えた看護師の「聞く力」――語り手看護師:工藤視千【コラム】ピンポンしても患者が出てこないときは要注意[ストーリー11]乳がんが発覚した患者を追い詰めた、医師の不用意な対応――語り手看護師:田中しのぶ【コラム】他科受診の困難――患者の人権はどこにある?[ストーリー12]人間不信から繰り返す自殺未遂を止める。ただそばにいて、笑顔で話を聞く――語り手看護師:八木智美【コラム】仕事も決まって「ゆっくり」から離れたOさん[ストーリー13]患者のペースに合わせ、のんびり、ゆっくり いっしょに時を重ねていく――語り手看護師:千田美樹【コラム】訪問看護は安心から始まる[ストーリー14]嫁ぎ先で孤立する患者の心のバリアを解いた 訪問看護師という「外の風」――語り手看護師:渡部朋子【コラム】「病状の全容をつかむ」ことの難しさ、大切さ[ストーリー15]ともに障がいをもつ夫婦を、地域と連携して支える――語り手看護師:佐藤俊介【コラム】患者自身は「どこも悪くない」と思っているおわりに書籍概要書籍名 :ゆっくり、いっしょに 精神科訪問看護師、15のストーリー著者:稲岡 勲価格:990円(税込)体裁 :218ページISBN-10:4344936671出版社 :幻冬舎メディアコンサルティングURL: ゆっくり、いっしょに精神科訪問看護師、15のストーリー | 話題の本ドットコム : 著者プロフィール■ 稲岡 勲/イナオカ イサオ1977年生まれ。1999年に秋田県にある看護短期大学を卒業。秋田緑ヶ丘病院(秋田県秋田市)、青木病院(東京都調布市)勤務を経て、2004年に先輩医師の「狛江のんびりクリニック」(精神科・心療内科/東京都狛江市)開設に携わる。その後、自身の「精神科訪問看護ステーション『ゆっくり』」(精神科、法人名:株式会社GGグループ/東京都狛江市)を2012年11月に開所。現在に至る。「孤立させない、孤独にさせない」をモットーに、患者やその家族が、住み慣れた地域で自分らしく安心して安定した生活が送れるように、本人や家族といっしょに考えながら、その方に合った、そのときに必要なサービスを提供している。会社概要商号 : 株式会社 幻冬舎メディアコンサルティング代表者 : 代表取締役久保田貴幸所在地 : 〒151-0051 東京都渋谷区千駄ヶ谷4-9-7設立 : 2005年6月27日資本金:42,250千円事業内容 : 出版を通じた企業のブランディング支援・コンサルティング業務URL : 本記事に関する問い合わせはこちら株式会社幻冬舎ウェブマ〒151-0051 東京都渋谷区千駄ヶ谷4丁目9番7号TEL:03-5413-0701URL : E-Mail: info@gentosha-webma.com ▼学びは本からというあなたへ「話題の本.com」話題の本.com(ドットコム) | 学びは本から!というあなたへ。 : 詳細はこちら プレスリリース提供元:NEWSCAST
2021年09月28日東京衛生病院の小児科医、私生活では3児のママでもある保田典子先生のコラム。今回は子どもの安全対策後編「やけど」と「誤嚥、誤飲」のお話です。 こんにちは、3人の子どもを子育て中の小児科医、保田典子です。今回は、子どもの安全対策について。コロナ禍で家にいることが多くなった今、もう一度気をつけたいことを私の体験談を踏まえて、お話ししたいと思います。 子どもの死亡原因1歳以降の子どもの死亡の大きな原因の1つ、「不慮の事故」。実際には、動きが活発になってくる生後9カ月ごろから、赤ちゃんはさまざまな危険に自ら突っこんでいくことが多くなっていきます。子どもから1秒たりとも目を離さない、というのは不可能なので、子どもの事故は多かれ少なかれ必ず起こります。ポイントは、「命の危険がない事故にするという工夫」です。 家の中で気をつけたい、命に危険が及ぶような事故とは、溺水、やけど、窒息が多いかなと思います。転倒で頭を強くぶつけることにも気をつけたいですね。後編は「やけど」と「誤嚥、誤飲」のお話です。 危ない事故3:やけどやけどもいろいろありますが、気をつけたいのは広範囲のやけどになるようなものです。やかん、お味噌汁、炊飯器の蒸気などには、特に気をつけましょう。 電気ケトルの転倒事故が多いよく拝見するのは、電気ケトルが倒れて大やけどをしている症例です。ケトルは転倒してフタがガバッと開いてしまうものがあります。これから買う予定のある方は、転倒対策がしてあるケトルを購入することをおすすめします。 使用後は、手の届かないところへケトルにしても、お鍋などにしても、使っているときに目を離さないのもそうですが、調理が終わったらコンロの奥に置くようにしています。奥に置いておけば、万が一倒れたときも頭から熱湯をかぶることはないからです。(もちろん、ケトルのお湯はすぐ使い切る、お鍋や揚げ物油もすぐお皿などに移すのが基本です)。 テーブル下に引っ張れるテーブルクロスは使用しないダイニングでは、お味噌汁やスープなどをかぶるおそれがあるので、下から引っ張れるテーブルクロスの使用は避けましょう。わが家ではランチョンマットを使用しています(ランチョンマットも手が届けば引っ張ってしまうのですが、うちはみんな猫舌でぬるいスープしか出さなかったので使っていました)。 危ない事故4:誤嚥、誤飲誤嚥、誤飲もよくある事故です。まだ1人目の子どもが0歳のとき、お菓子のプラ袋のカケラを食べて、喉にくっついてしまって、オエオエさせてしまったことがあります……。すごく苦しそうで反省したにもかかわらず、2人目でも同じことをやってしまって、反省しました。 約4cm以下の物は誤飲の可能性がある母子健康手帳にも書いてありますが、約4cm大の物は赤ちゃんの口を通ってしまいます。これは、トイレットペーパーの芯とほぼ同じ大きさです。ペットボトルのフタで窒息してしまったという事故もよく聞きます。電池など誤飲すると危険な物を中心に対策していきましょう。 ツルッとした食べ物の誤嚥食べ物で誤嚥(ごえん:気管支に入ってしまうこと)に気をつけたいものは、こんにゃくゼリーやミニトマト、ぶどうなどツルッとしたものです。ミニトマトやフルーツは薄皮を剥いて刻むなどして小さく切ってから食べさせるようにしましょう。 気をつけたいタバコの誤飲喫煙率の低下とともに事故の頻度も減ってきましたが、タバコを食べてしまったというお子さんがよく受診されます。タバコを吸ったらすぐに捨てるなどし、まだ吸っていないタバコは引き出しの中など、絶対に子どもの手が届かない場所にしまう習慣をつけましょう。また、缶などの容器に水を入れてタバコを消火する親御さんがいますが、タバコが溶けた水を誤飲した場合、命に関わるので絶対にやめましょう。 安全対策のポイントを決めて、完璧を目指さない1歳弱から3歳未満までの赤ちゃんは、危険意識がないわりに行動力はすごくあるので、事故を経験しない子はいないくらい安全対策は大変です。 「今はハイハイしかしていないからテーブルの上なら安全」ということはありません。ハイハイしかしていなくても何かを踏み台にして登ってしまうこともありますし、昨日できなかったことが今日できるようになって事故につながる、ということもあります。 子どもの周りは危険がいっぱいですが、何でも安全にしてしまうと危機管理能力も育たないと考えています。子どもに自分で失敗しながら学んでほしいので、大怪我や危険な事故の可能性を予防しつつ、命に関わらないものは、ある程度「しょうがない」と腹をくくって子育てしています。完璧は目指しませんでした。子ども自身にさまざまな体験をさせて学んでもらいながら、親も子も成長していけるといいなと思っています。 監修者・著者:医師 高円寺こどもクリニック院長 保田典子 先生2003年筑波大学医学部卒業、国立国際医療センター、大阪市立総合医療センター小児循環器内科勤務を経て、2014年東京女子医科大学大学院博士課程修了後現職。小児科専門医。一般診療、小児循環器診療に加えて、漢方治療や発達相談にも対応している。2021年、高円寺こどもクリニック開院。3児の母。
2021年09月25日繊維製造会社の株式会社WPSは、皮膚科医監修のもと開発された100%カシミヤの肌着ブランド『ubu de teate(ウブデテアテ)』を2021年9月15日より本格発売致しました。メインビジュアル(コピー・ロゴ付)■開発背景防寒に優れた機能性インナーの人気が定着しつつある昨今。寒い時期は毎日長袖の機能性インナーに頼っている、という方も多いのではないでしょうか。ただ保温性を優先するあまり、繊維の肌あたりについては仕方なく目をつむっているという方もいるのでは。肌着は毎日直接肌に触れるもの。そんな肌着こそあなたのデリケートな心と肌に寄り添う、天然素材でやさしい着心地のものを選びたいですよね。『ウブデテアテ』は皮膚科医監修のもと開発された100%カシミヤ素材の肌着ブランドで、調湿性・保温性に優れ、柔らかい肌触りが特徴です。ブランド名はカシミヤの「うぶ」毛が心も体も「手当て」するように、癒しを与えられますようにとの想いを込めて付けられました。■秋冬の肌着に最も適した天然素材はカシミヤWPS社が30~50代の女性を対象に行った調査によると、秋冬の肌着に求める要素は調湿性・保温性・肌ざわりの柔らかさ。実はカシミヤはこの3つの点に非常に優れ、寒い時期の肌着に最も適した天然素材なんです。■カシミヤの3つの強み(1) 調湿性が高いカシミヤは綿・ポリエステルに比べ調湿性(吸放湿性=生地が湿気を吸ったり吐いたりする性質)に優れているため、肌周りの湿度を快適な状態に保ちます。吸放湿試験*『ユニチカガーメンテック株式会社 リサーチラボ事業本部 検査結果報告書』より(2) 保温性が高い-30度の環境に耐え抜く為に生えてくるカシミヤヤギの産毛からできた素材は、空気を多く取り込むため熱伝導率が低く、保温性が高いのが特徴です。(3) 柔らかい肌触りウブデテアテのカシミヤ糸の直径は人間の髪の毛の1/5に相当する14.5マイクロン。この極細糸と平滑に並んだ繊維質の特徴が、とろけるような柔らかい肌触りを生み出します。■意外と簡単なカシミヤのケア方法「カシミヤの肌着」と聞くとケア方法が気になりますよね。実はカシミヤ糸は天然の脂分でコーティングされている為、においや汚れが付きにくく毎日洗わなくても大丈夫なんです。汚れが気になったら洗濯ネットに入れて、手洗いモードで洗濯をして下さい。■~カシミヤ肌着があなたに寄り添う~ウブデテアテは9月15日より、ブランド公式ウェブサイト( )にて発売いたしました。快適で暖かい肌着を探している方へ、今秋はカシミヤ肌着『ウブデテアテ』をお試しされることをおすすめ致します。■主な商品・ubuはだぎ(7部袖・レディース)¥17,600(税込)サイズ:M・Lカラー:無染色・ライトグレー※メンズ・キッズ用もあります。製品写真-7部袖・ubuキャミソール(カップ付き)¥13,200(税込)サイズ:M・Lカラー:無染色・ライトグレー製品写真-キャミソール・ubuウェスト&ボトムウォーマー¥17,600(税込)サイズ:M・Lカラー:無染色・ライトグレー製品写真-ボトムウォーマー■ビジュアルメインビジュアル(コピー・ロゴ付)製品イメージ1サブビジュアル1サブビジュアル2■ブランド概要ブランド名: ubu de teate (読み方:ウブデテアテ)販売開始日: 2021年9月15日(一部商品は予約販売。一部商品は期間限定で販売済。)流通 : 以下ブランド公式ウェブサイトにて販売URL : Instagram : @ubu.de.teateFacebook : @ubu.de.teateTwitter : @ubu_de_teate■会社概要商号 : 株式会社WPS代表者 : 代表取締役 三木 文夫所在地 : (本社) 大阪府大阪市中央区久太郎町4丁目1番3号 大阪センタービル10F(東京事務所) 東京都渋谷区渋谷1丁目20番24号 渋谷スカイレジテル2F設立 : 2016年9月事業内容: 繊維の製造、輸入資本金 : 3,500万円URL : 【本ブランド・製品に関するお客様からのお問い合わせ先】株式会社WPSTel : 03-5778-0061E-Mail: info@wpsjapan.com 詳細はこちら プレスリリース提供元:@Press
2021年09月21日思いをわかってもらうために人は、他人のことにはあれこれ気がついても、自分のことはわかっているようで、実はよくわかっていないところがあります。疲れ具合や顔色など、周囲から指摘され、そうかなぁと思い至るなんてことは少なくないはずです。育児や家事、仕事を優先している間は、体の痛みや食事、睡眠の具合がちょっと不安定でも、後回しにしたりして、身体の不調に鈍感で、一息ついたときに、変調に気がつくようなことです。子どもの場合、楽しいことがあれば、多少の不調感は一時的に隠れてしまうようです。研修医時代の遙か昔、総合病院でローテーションで夜間救急対応をしたとき、夕方から夜にかけて、発熱したり体調を崩す子どもとよく出会いました。小児科の先生から、子どもは夜になってから体調がくずれるもの、と教えてもらい、「どうして昼間に受診してくれなかった」という言葉を飲み込んだ記憶があります。また、自身の体の不調感だけでなく、気持ちのつらさを言葉に表しにくいのも子どもにはよくあります。3歳の子が「最近、いろいろと人間関係で悩んで」とか、小学生が「この学びが将来においてどのような意味があるのか」と言葉にすることは、ほとんどないかもしれません。言葉にしていないからといって困っていない、悩んでいないわけではありません。僕自身振り返ると、大嫌いな運動会の前夜に奇妙な喘息発作に襲われるという経験を毎年のようにしていました。さあ、明日だという切迫したときに、僕は参加したくない思いを発作に置き換えていたのです。すると、周囲に気づいてほしいのは、喘息発作のつらさより、運動会に参加したくないという僕の思いのほうだったのです。つまり、子どもは言葉よりも体で、あるいは行動で、その思いを表出することが少なくありません。そのためには、気がついてほしい大人に対して、いやでも気がつくほどの目立つ症状であること、容易に解決しない症状であること、そして大人がとても慌てて困り果てるほどの症状であることが絶対条件になります。それでも気づいてくれない場合、さらに症状は激しくなるわけです。僕の場合は、共働きの両親が、疲れて寝付く夜から深夜が病院にも連れて行けず、もっとも困り果てる時間帯だったのです。例えば園や学校に行きたくないとき経験上多いのは、寝るまでは元気だったわが子が、起床から不調を訴えることです。お腹が痛いとトイレにこもる、頭が痛いと布団から出て来ないなどです。朝起きができない、眠たいという訴えは、だって夜にずっと携帯を見ていたから、ゲームや映像を見ていたから、ということになると、症状でなく自業自得となります。大人にとって原因がわかっていると、起きられないことよりも、ゲームなどを早く終えるように、ちゃんと寝るように言っても、したがってくれず、結局は叱られることになります。言動では、ぐずったり癇癪をおこしたり、イライラして大声を上げたり、慌てて困り果てることにもなります。ここで、腹痛や頭痛を軽減する方法、あるいは癇癪を抑える方法を試行錯誤しても、ほとんど解決しないはずです。子どもにとって、わかってほしいのは、これらの「症状」を取り払うことでなく、園や学校に行きたくない思いのほうです。これを「症状にある本当の意味」と言います。症状をSOSとして捉えることができると、SOSというサインより、その意味が大切なはずです。なので、僕はこうしたサインを持って相談に来られた親子に対して、園や学校に行かない日にそのサインが登場するかどうか確認し、もしお休みのときはサインもお休みしているときは、『体と心が休ませて』と言っていると解釈します。そしてその子に「明日から症状がなくてもちゃんと家で休んでくださいね。1週間、学校(園)には行ってはいけませんよ」と伝え、「次に来たときにその1週間の様子を教えてね」とお願いします。この公認されたお休みの間、多くの子どもは、症状が薄まり、次回相談に来る前日から症状が強くなることがあれば、学校(園)に行くことが大きな負担であるという仮説が成り立ちます。時に、それでも症状が改善しない場合もあり、そのときは、それ以上に「今を生きる」ことに難しさを痛感していると仮説します。ただいずれにしても、症状を無理になくすことより、どうすれば、生活が楽になるかを検討します。休んで多少なりとも楽になったときは、症状でなく、その学校(園)の生活のなにが負担かを確認します。学校(園)は、①そこで学ぶこと、②そこにある友人関係、③担当してくれる大人との関係が、いかにうまくいっているかで良い場所かどうかがわかります。僕はこの3点について子ども本人に確認し、負担に感じている項目を探ります。あとは当然のように、登校(登園)よりも、そこにある課題の解決を関係者を交えて一緒に考え続けます。親の悩みそれでも親は、SOSとわかっていても、乗り越えてほしいという思いもあります。子どもが歩む道で、大きく躓かせたくないという思いから、SOSに目をつぶり、それに屈せずに強くなってほしいと願うものです。先の公認の休暇を僕が提案したとき、一番親が「あー、いっちゃった。これで堂々と休んでしまう。困った」と思われているかもしれません。だから「最初の2日は黙ってみていたのですが、3日目にお医者さんはああいったけど、そろそろ行ってみない?と確認してしまいました。案の定、症状が強くなりました」と、わかっているけど、焦ってしまうものです。そこで、僕は、どうして、そこを乗り越えることが難しいのかについて、親と一緒に考えていくことをします。すると、以前から実はこういったことが苦手、あれが苦手というエピソードを教えてもらうことになります。横断的な理解が主だった僕に、縦断的な情報が加わり、さらに僕たちはこの子理解を深めることができるのです。SOSはヘルプサインと同時に、その子に近づくチャンスをくれるものでもあるのです。「そんなふうに考えているんですね」、「子どもだと思っていたけど、ちゃんと考えていることがわかり、ちょっと安心っていうか、すごい子だったんだと思いました」と感想を述べる親もいます。目の前のことだけでなく、その子の思いに近づけたことは、ある意味親にとって喜びでもあります。それも一瞬で、やはりしばらくすると「そろそろ登校(登園)しないと、これから先が心配で」、「いつまで待てばよいでしょうか」と、当然の悩みと焦りが再び登場します。親であることの大変さ、悩み、痛みは、そうそう簡単には消えないということも、重々承知しているのですが、ゴールが見えないことの不安は、当然僕にもあります。僕も次の一歩を先走りして、子どもから「先生も同じ大人なんですね」というような目で見透かされるときが幾度もあります。生きる上での悩み時に、単に学校とか園とかの生活空間に対してではなく、「生きるって、生き続けるって、辛いな、苦しいな」と感じてしまう子もいます。具体的に表出するのは思春期前後でしょうが、実際はかなり小さい年齢から、苦しさを抱えているようです。この場合は、当然休んだところで症状は消えません。このときは、その子が向き合う3つ(学習、友人、担当者)への向き合い方でなく、ずっと抱え込んでいた、自身にある違和感、日々の生活に対するなじみにくさ、が表面化したわけですから、根源的な危機感を、よくSOSとして出してくれたことを内心感謝しつつ、こちらも焦らず、一緒に迷いの森を歩み続けようとします。その仮説でこの子と向き合おうとすると、その子が周囲とどう関わるかより、その子が自分自身とどう向き合っているかに焦点を移動して、付き合う準備をします。実は体からのSOSの場合も心のSOSと思い込んでいたことが、本当は体の不調から来ているとわかることもあります。多くは実際の障害から生活が成り立ちにくくなっていることがあります。例えば、どうしても改善しにくい睡眠状態のとき、本質的な睡眠障害が睡眠記録などから判明することもあります。情緒不安定が、当初は対人面の負担からと思っていたところ、甲状腺ホルモンの異常からであったこともあります。ついつい心の負担からのSOSと決めつけてしまい、体からのSOSであったことを見失うことのないようにしないといけないなぁと痛感します。親だからわかるSOS親でもわからないSOSそもそも、わが子の変に気がついて受診、相談するときに、親はすでのわが子のSOSを受け止めているわけです。親だからわかること、わかるからこそ、そこから足を前にだしてほしいと願っていること、わかるからこそ、次の手立てに躊躇していること、実際、診察室で出会ったときは、子どものSOSに気がついているのです。僕はその『気づき』をより明確にするためのお手伝いをしているにすぎません。あとはそのSOSにある本当の意味を、あれこれ一緒に考えていく作業となります。本当にわからないと感じている親も、「わからない」ということに思いを巡らせているので、わからないことをわかっているのです。すると一番の問題は、ただただ本当になにも伝わっていないときでしょう。ある状態に対して、親が慌てたり、困り果てていないとき、そんなときは、他の誰かに気がついてほしいと思います。医療は来る方を待っている仕事です。保育教育は、子どもの変化に常に感知するアンテナを持っているところです。その関係者の情報と医療福祉が、どう繋がるか、そこに最後の課題があると思います。
2021年09月19日コロナ禍の今、皮膚科で急増中の相談が「消毒ダメージ爪」。毎日繰り返し行う手洗いとアルコール消毒により爪と手が荒れ、ひどくなると爪、手全体~ひじ下まで荒れてしまうケースもあるのだとか。手洗いや消毒が欠かせない今、トラブルを防ぐための注意点と正しいケア法を皮膚科医の神島輪先生にお伺いしました。コロナ禍で急増中!”消毒ダメージ爪”とは!?神島先生ここ最近相談が増えたのが、爪や手の荒れについて。コロナ禍の約2年間、毎日何回も手洗いとアルコール消毒を繰り返すことで、爪と手が荒れしてしまった人がとても増えました。なかには、手全体だけでなく、手~ヒジの下あたりまで荒れる人もいます。コロナ前も冬場はそういう方はいたのですが、最近は一年を通してその症状が出る人が増えました。ーー手洗いや消毒による手荒れの特徴はどんなものなのでしょうか?神島先生最初は、カサカサするくらいなのですが、悪化すると炎症が進み皮膚が赤くなり、かゆくなります。もっと悪化すると赤切れのようになり、指先に⻲裂が入ってしまいます。切れてからご受診される人が多く、そこまで悪化してしまうとステロイド系のお薬を使わなければ改善しません。痛みだけでなく、手は顔以上に見る機会が多いので、気持ちの面でもダメージを受ける方もいらっしゃいます。ーー説明を聞いているだけでも痛々しくなってしまうのですが、手洗いと消毒が必須の今どのように乗り切ったらよいでしょうか?皮膚科医伝授!荒れない手洗い方法と生活の中での注意点『水道橋ひふ科クリニック』神島 輪(かみしま りん)院⻑神島先生まず、手洗いは熱いお湯でしないことです。熱いお湯で手洗いするだけで、必要以上に皮脂が洗い流され、皮膚が乾燥しやすい状態になります。手を洗うときは、ぬるま湯や水で洗ってくださいね。美しい爪は「爪母(そうぼ)」でつくられる。ささくれは剝かないように注意を。ーーそれだけでも、大分違うようですね!神島先生はい、肌に与えるダメージが減ります。さらに、アルコール消毒や手洗い後は、皮膚の保湿のためにハンドクリームやネイルオイルをこまめに塗っていただくことが重要です。塗るときは、※印の『爪母(そうぼ)』を中心に指先にはさらにしっかり塗ってくださいね。この爪母は爪がつくられる部分です。よく、ささくれをいじって菌が入ってしまい炎症して、痛くなってしまうという人がいますが、この爪母の部分に炎症が起きると爪がガタガタしてしまいます。この部分はなるべくデリケートに扱って下さいね。また、食器を洗う際に使用する中性洗剤も商品によってはとても肌と爪にダメージを与えます。ゴム手袋を使って、洗剤が直接手にかからないように工夫してみてください。また、夏~秋は日焼けしやすくなり、手荒れはシミの原因にもなるので、保湿や日焼け止めなど年間を通じてケアすることできれいな手元が保たれますよ。爪と手荒れを防ぐポイント必ず、水またはぬるま湯で洗うこと。手洗い&;消毒後はハンドクリームやネイルオイルの保湿ケアはマスト。美爪をつくる「爪母」を守るため、ささくれはめくらない。食器洗いの際は、ゴム手袋で洗剤から爪と手を守ること。以上が、コロナ禍でもキレイな爪&;手を保つ方法。難しいことではなく、誰にでもできる方法ですね!ニーズが高まり、専用ケアを行うネイルサロンも。キラッとスイッチケア一般価格 ¥4,800、会員価格 ¥1,870 ※「ネイルステーション」限定のサービスです。ネイルサロン「NAIL STATION(ネイルステーション)」では、コロナ禍でアルコール消毒や手洗いにより顕著になった「消毒ダメージ爪」を施術で改善する「キラッとスイッチケア」サービスがあります。内容は、1. 爪の形を整える+甘皮をお湯で柔らかく+爪表面の余分な角質除去+保湿仕上げ、2. 指先の角質除去、3. 磨きの3つのベーシックケア。「セルフケアだけでは、ダメージが防げない」、「コロナ禍でジェルネイルをやめて自爪の生活になったけど爪が荒れてしまったのでプロによるケアを受けたい」と思ったら専用サービスを取り入れるのも手です。まだまだ続くコロナ禍。ちょっとした工夫でキレイな爪や手を保てるので、ぜひ今日から試してみてくださいね!(C)d3sign/Getty Images文・玉絵ゆきの
2021年09月16日子どものおちんちんの扱いに戸惑うママたちへ、包茎への対応方法について、「むきむき体操」をする、しないの判断について、3児ママ小児科医・保田典子先生に解説してもらいます。 こんにちは、小児科医の保田典子です。私生活では8歳、6歳、4歳の子どもを子育て中の3児の母です。今回は男の子だけに当てはまるお話、「包茎」に関してです。 生後3,4カ月の健診で「むきむき体操」のことを教わり、「うちの子、むいたほうがいいの!?」と混乱してしまうママをちらほら見かけます。今回は、“うちの子に合った”対処法の見極め方をお話しできたらと思います。 おちんちんの構造おちんちん(ペニス)は、男の子の尿道が入っています。他は血管や神経があり、尿道を包み込むように海綿体といってスポンジ状のものが詰まっているイメージです。 普段ペニスはおなかに半分くらい埋もれています。勃起したときにペニスが大きくなりますが、そのためにペニスは通常包皮に余裕があり、子どもでは余裕のある包皮がペニスの先にかぶっています。包皮がペニスの先にかぶっている状態を「包茎」と言います。 子どもの包茎は、特に心配しなくて大丈夫です包茎は「真性包茎」と「仮性包茎」という2つの種類があります。真性包茎は、皮を剥こうとしても剥けない状態の包茎、仮性包茎は普段皮がかぶっているけれど、剥こうとすれば皮がむけてペニスの先が出る状態のものを言います。 生まれたばかりの男の子はほぼ100%包茎で、包茎じゃないほうが異常の可能性があります。幼児は約60%が包茎と言われており、皮をむいて亀頭を出せる割合は3~4歳で約半数。11~15歳では7割の子がおちんちんの皮をむいて亀頭を出せるようになり、思春期以降、包茎の頻度はさらに低下します。このことからもわかる通り、子どもの包茎は特に心配する必要はありません。 むきむき体操、必要のない子も健診などで、おちんちんの皮をむく「むきむき体操」を指導されることがあります。それをするべきか迷っているというママやパパが、時にいらっしゃいます。 しかし、むきむき体操は「真性包茎」を治すために考えられたものです。なので、仮性包茎の子にはまったく必要ありません。 むきむき体操をするか悩んでいるママのお子さんを見てみたところ、しっかり皮がむけるので、全然むきむき体操が必要なかった、ということもあります。仮性包茎か真性包茎かわからない場合は、健診などで受診した際に医師に相談してみましょう。 お子さんが真性包茎の場合は、無理ない範囲でむきむき体操をやってみてもいいかと思います。ただ、痛いという子もいますし、元気すぎてじっとしておらず、なかなかできないという子もいると思います。そういうお子さんには、無理にする必要はないと考えています。どうしても包茎が心配という場合は、小児科や小児外科、泌尿器科の先生に相談しながら、むきむき体操を実践してみましょう。 おちんちんの皮をむくタイミングは?むきむき体操をしなくても、男の子はおちんちんの皮をむくシーンがしばしばあります。例えばお風呂のとき。 むきむき体操ほどしっかり皮をむかなくていいですが、やさしく外側の皮を引っぱってあげて、なるべく皮の中がきれいになるように洗ってあげましょう。シャワーをあてる程度で、ゴシゴシする必要はありません。 また、トイレが自立してきたときに問題になるのが、おしっこがあちこちに飛ぶ問題。よくトイレを汚しちゃう子に対しては、お風呂のときと同様に無理ない範囲で、おしっこをするときに亀頭を出すと、狙ったところにおしっこが飛ぶようになりますよ。 包茎で悩むのは本人ではなくご両親包茎の処置に関しては、小児泌尿器科医によっても考え方がわかれるところで、むきむき体操をするか、果ては手術をするか、などする(48%)・しない(48%)で真っ二つに意見がわかれています(第10回小児泌尿器科学会アンケート調査にて)。つまり、してもしなくても、どっちでも大丈夫とも言えます。 私は、真性包茎が強いな、と思う子には無理ない範囲でむくことを試してみつつ、子どもが嫌がったらやめてしまうようにしています。子どもは包茎でも全然困っていないですし、特にそれで病気もしていませんしね! 心配な親御さんは健診のときにでも、相談してみましょう。 監修者・著者:医師 高円寺こどもクリニック院長 保田典子 先生2003年筑波大学医学部卒業、国立国際医療センター、大阪市立総合医療センター小児循環器内科勤務を経て、2014年東京女子医科大学大学院博士課程修了後現職。小児科専門医。一般診療、小児循環器診療に加えて、漢方治療や発達相談にも対応している。2021年、高円寺こどもクリニック開院。3児の母。
2021年09月13日中学2年生の長男の「勉強や進路について」の悩みUpload By スガカズ私、スガカズは、現在4人の子どもを育てているママです。・長男(中2 ASD、ADHD)・次男(小5 、ADHD)・長女(年長 、定型発達)・三男(年中、定型発達)長男がせっかく入学した学校を変えたいと言い出しました。勉強へのモチベーションが影響しているようですUpload By スガカズスガカズ(以下、――)わが家の自閉症スペクトラムとADHDのある長男の進路と勉強について相談したいです。最近まで、「ゲームプログラマーになりたい」と言っていたのですが、1ヶ月前急に、「将来定食屋を開きたいから学校を変えたい」「今やっている勉強って意味あるの?」と言い出しました。ものづくりの仕事に精通しそうな工業大学付属の中学校に進学したのに、コミュニケーション能力が重要で、マルチタスクが必要そうな接客業への希望に、正直私は困惑しています。どうやら勉強へのモチベーションも関係していそうです。中2なのでいろいろと悩みの多い時期だとはわかっていますが、本人にどうやって現状を納得してもらえるでしょうか?三木先生:中2は難しい年頃ですよね。長男くんはどんな特性があるのでしょうか?――知覚推理指標が高くパズルや工作など、一人でもくもくと一つの作業に打ち込むことが好きです。社会秩序は守れるのですが、周りの状況を理解したり自分の考えをうまく伝えることが苦手です。勉強では、文系が苦手で理数系はまだ大丈夫な方ですが、その中でも得意不得意はかなりばらつきがあります。小学校のころからそういった特性を見てきたので、本人がやりたいことを応援したいのはやまやまではあるのですが、「定食屋はこの子に合った職業ではないのでは…」と、どうしても感じてしまいます。そういう点で言うと今の学校は理数系で、文系よりも理数系のほうが得意な長男には合っているように思いますし、長男と似た性格の子も多く、友達も増えてコミュニケーションの幅が広くなったと感じます。環境としては最適だと思うので、母親としてはできる限り今の学校に通い続けてほしいと思っているのですが…。三木先生:なるほど。ただ、長男くんの特性や意向を考えたときに、「(勉強を)やりたくない」と思ったらやらないんじゃないでしょうか。――そうです。ちょうど今、否定したい時期みたいです。こういう時期は、親として静観してあげたいという気持ちがあるのですが、長男の特性を考えると「こっちより、あっちのほうがいいんじゃない?」と意見するのも親の支援だし、子どもへの理解でもあると考えています。ただ、無下に否定するのではなく、「定食屋を開きたいならまずは料理する機会を増やしてみよう」と長男に提案をして、学校のお弁当を本人がつくるようにしたり、日曜の家族の昼食は長男につくってもらったり、と料理をする経験の場はつくるようにしています。嫌がっている様子はないのですが、あまり本気ではないようにも見えます。普段、長男が本気の場合は明らかに目がキラキラしているので…。どうやら、進路に関しては「勉強への逃げ道」として利用しているようでもあるんです。本人も「勉強から逃げたい気持ちもある」と言っていました。ほかの学校(高校)に変えたからといって、定食屋のスキルが身につくかと言われると疑問があるので「まずは今の学校に通い続けて、調理の専門学校にいく(大学は内部進学しない)のがいいと思うよ」と伝えてはいるのですが…。Upload By スガカズ三木先生:勉強するしないに関しては、日本の教育就労システムが難しくしていますよね。勉強がある程度できればOKで、勉強以外はOKとしない仕組みなので。ただ、「定食屋」といった風に、内容で絞るのはそのあと仮に失敗したときに修正が難しくなると思います。本人の意向も大事にしたいところですが、そこは大人が間に入ってうまくコントロールしてあげる必要がありそうですね。子どもの進路への親子の向き合い方Upload By スガカズ三木先生:例えば定食屋になって何を実現したいのか?もくもくと作業するのが好きなら料理じゃなくてもいいのでは。そこを大人と一緒に見極めていくことが重要だと思います。方向性を見据えるために抽象度を上げた彼の願望を知って、理解したら親としてほかの選択肢も提示できると思います。一生懸命一緒に考えた結果、もし違う方向にいったとしても彼の気持ちがやわらかくなるのでは。実は私は、もともと医者がやりたい訳じゃなくて、「困っているご家庭の方々を笑顔にしたい」というのが抽象的なモチベーションなんですよ。Upload By スガカズ三木先生:今の年齢でもできる実践を積んでおいたり他者からの話を聞くのも良いと思います。例えば抽象的な願望が「もくもくと何かを作りたい」というものであれば、もくもくと作っている人と、もくもくと作っていない人に「仕事の楽しいところ、大変なところ」をインタビューしてみるのもいいかも知れませんね。――そういえば私の職場の元同僚に、システムエンジニアからサンドイッチ屋さんに転身した人がいます。エンジニアから接客業(起業)なので、開業する際に自分で店のウェブサイトを作って集客したり、顧客分析をして結果繁盛しているので、元同僚の話から得られることは多そうだと思いました。三木先生:それはいいですね! 丸腰(思いつき)で定食屋をやって繁盛する確率って低いのではないかと思うんですが、その同僚の方からは、一度社会人をやってから起業してみてよかったという意見も聞けるんじゃないでしょうか?スポーツ選手なんかは小さいころからやっていないとできない職業ですが、定食屋の経営は、人間的に成熟してからでもいい職業ですからね。まわり道をしたほうが特長や付加価値がでてきますし。長男くんが成長していく中でこの先「思ってたのと違う」という経験は出てくると思います。たくさん親子で悩んで乗り越えましょう。子どもの勉強への親子の向き合い方Upload By スガカズ三木先生:先ほども言いましたが、長男くんの特性や意向を考えたときに、「やりたくない」と思ったことはやらないと思います。それに、「これをやるとだれでも勉強するようになる!」という魔法の支援はないんですよね。――そうですね。私からできることってあまりないと思っていて…。先ほどの進路のお話にあったように、根回しして他者から言ってもらうのはどうかなと思うんですが。例えば家庭教師の先生に「とはいえ勉強も大事だよね」と言ってもらうとか…。Upload By スガカズ三木先生:本人が気を許していたり尊敬しているなど、「この人なら」と思える相手にお願いするのはいいと思います。あとは、「勉強したくないから言ってるんじゃない?」という印象も含めて、保護者は一歩下がって見ていきましょう。子どもって「親にこれを言ったら嫌がる」と分かっていることって、正直に言わないということが多いので、子どもの意見をはなから否定してしまうと、「勉強が嫌」とも言わなくなりますから。「勉強は嫌でいいけど最低限これはやってね」という「枠の提示」は必要です。枠を提示をしながら、時間をかけて本人のやる気の芽を見つけてあげましょう。――分かりました。お話を聞いていて思ったのですが、総じて親子関係を悪化させる発言は避けて、あまり干渉しすぎず普段ニコニコしているのがいいのだろうなと思いました。否定するべきか肯定するべきか悩んでいたので、「嫌なのは分かるけど、最低限これだけはやってね」と提示をしてもいいと言ってもらえたので少し安心しました。「勉強が嫌」「学校を変えたい」と言ってくる今の状況は、「多少なりとも私を信頼しているのかな?」と思うようにします。感想その後、長男とこれからの進路や勉強について話をしましたが、先生のお話にあった、「抽象度を上げた願望」を深堀りするまでには至っていません。思春期ということもあるのか、「あまり深く考えないようにしている」という様子が伺えるので、もうしばらく様子を見てみます。しかし、枠の提示をしたところ「高校行かないで、すぐ働きたい」と言いながらも理解はしてくれているようでした。「がんばって勉強する」と言っているときもあって、やはりコロコロ言っていることが変わりますが、私も長男の気持ちを受け止める努力はしていこうと思います。親の熱量と子の熱量は、近いほうがよいと思っているので、あまりしつこく話をもちかけて、「やる気の芽」をそぐ形にならないように、長い目でこれからも見守っていこうと思います。執筆/スガカズ
2021年09月10日子どものころの自分が見えるときウチノコ(以下、――):息子は癇癪がすごく激しくて攻撃的で、どうにも私の心のコントロールを保つことが難しいときがあります。息子の特性も理解しているし、パニックになっているだけと頭では理解できるのですが、心がついていかないときがあって。『こんなにお母さんにしてもらってるのに、どうして我慢できないのよ!』と、まるでむっくんと同い年の子どものような幼い感情に支配されるときがあるんです。落ち着いてから、なぜ私はこの子の言動にこんなに揺さぶられるのだろうと突き詰めて考えると、子どものときの自分の傷つきが見えてくることがあって…三木先生:あ~…なるほど…Upload By ウチノコ――私は厳しい両親に子が従うという形の家庭で育ってきたので、息子を見ていると「私はこんなこと許されなかった」「こんな目線で考えてもらえなかった!」と、息子に妬み…そう嫉妬がでてきちゃうのかな。そんな子どもの自分をどう癒すかという課題を感じていて。どうしようもないとも思うのですが、どうしましょうか(苦笑)三木先生:いや~、内にある子どもの自分の存在に気がつきましたか! そこまで考えられているってことは、自力でできるとこまでたどり着いてしまった感はありますけど…。――えぇ~、でも我慢できなくて暴れたい!壁殴りたい!とかなっちゃうこともあるんです(泣)三木先生:それはね【壁を殴るかどうか】ではなくて、結局【どういう方法で発散するか】という方法論の話なんです。要は【安全に暴れる方法】を考えて解決していけばいいんですよ!――えっ!?三木先生:例えば何かを殴りたいのなら、そこになぜかサンドバッグがあればいいんです。ソファーでも、クッションでもなんでもいい。できたらお子さんには見えない場所でやれたらなおいい。見られるとモデルになってしまいますからね。殴っていいものを家の中に設置することを真剣に考えたらいいんです。子どもの自分が出てきて起こす行動を、社会的にOKなものにしていく設備や装備を整えていくんですよ。――なるほど…Upload By ウチノコ三木先生:その感情の高ぶりを、自分たちの気の持ちようだけでスッキリ解消なんてできないと思うんです。短期的、中期的には、まず行動が起きたとしても困らない状態をどうつくるか、というところに注力していくといいんじゃないかと思います。――そうか…実は先日我慢できなくて『お母さんは家出します!』って夫に子を任せて車に乗って飛び出して(笑) 一人になって落ち着いて、私何やっているんだろうって泣きながら途方に暮れたのですが…三木先生:いいじゃないですか家出! そうやっている自分を許してあげたらいいんじゃないかな? だってしょうがなくないですか?――…うん(涙)三木先生:一番大事なのは行動が起こったときに、物理的、精神的な致命的なダメージを自分にも子どもにも与えずにすむ環境整備をすることなんです。家出するなら『お母さんは今日1時間家出するけど、必ず帰ってくるからね』と冷静なときに前振り説明しておけば子どもは傷つかずに済む。それでいいんです。そういう目線で考えてみませんか?Upload By ウチノコ――そうか…そうすれば家出しても子ども側の不安感は和らぎますね。三木先生:そう!それで、ここまでは外向きの対策です。あとは自分自身に何をしてあげるのかっていうことですね。それは、自分の中に沸いてくるネガティブな感情を、嫉妬も含めて『そうだよね、そう思うよね』って自分に言ってあげられるかってことなのかな。子どもの自分に対して『本当はこうしてほしかったんだよね』って、実際に口に出しても、心の中で言ってあげてもいいんだけど。Upload By ウチノコ――うん、うん(涙)三木先生:そうすれば子どもの自分が『だって、つらかったんだよ!』とわがままを言える。それをまた『そうかそうか』と自分で聞いて、癒して治めていく。夫婦共にそういったことに理解があれば、お互い役割をもって癒し合っても良いのかもしれませんし、苦しすぎるときはカウンセリングも良いです。心の状態が良い悪いにかかわらず、周囲に言いにくいことやネガティブな感情を正直に吐き出せる場所を確保しておくのは良いですよ。特にカウンセラーさんがいらっしゃる場所がおすすめです。――ありがとうございます。本当の相談になってしまってなんだかすみません。話せてとてもよかったです。三木先生:いやいや、大切だと思います。自力で解決できることなのか、もうどうにもできないことなのか、見極める。無理なものはさっさと諦めて『ムリー!』って言って、自分を許してあげるって大事ですよ。真面目に頑張ろうとすると【~すべき】に捕らわれるんですよね。自分で自分を追い込んで、ますます子どもに適切に関われず、また自分を責めるという悪循環に陥ってしまう。心の苦しさも気づいてしまったら『全部解決するべき!』と思いがちかもしれませんが、それを抱えたまま生きていくのもあり。ごまかせるのなら、死ぬまでごまかし続けるのもありかもなって思うんです。もちろん、苦しくなってそれができなくなったら癒してってもいい。何ごとも【~べき】を手放して、柔軟に考えていけたらいいのかなって僕は思いますよ。あとがき三木先生の柔らかな思考にものすごく癒されました!私も「~べき」の呪いから解放されたいと願いつつも、無意識の「~べき」に縛られることがあります。できるときはですが、もっと肩の力を抜いて、どんな自分も肯定して息子と向き合っていけたら素敵だなと思える時間となりました。執筆/ウチノコ
2021年09月03日成長に伴い形が変わっていく”コミュニケーションの困りごと”フリーランスの児童精神科医、三木先生に息子コウを育てる上での迷いや疑問についていろいろとお聞きしました。今回は、コウの成長に伴って起きてきた”コミュニケーションに関する困りごと”について。Upload By 丸山さとこ今までは、一方的なコミュニケーションが目立ち、話が通じないと思うとムキになったり冷めてしまったりすることも多かったコウ。そんな彼も、小学校5年生になってからは「落ち着いて会話できるようになった」と言われることが増えてきました。そんな今だからこそ、コミュニケーションをとる上で浮き彫りになってきた問題や課題もあります。本人もそのことに対しては少し気にしているようで、「僕は人の意図・気持ち・空気が読めない、察せない」と言うようになりました。そんなコウに対しては、「まずは“言われていることを聞く。聞かれていることに答える。”今は、それをしていないことによるトラブルが多いように見えるよ」と伝えています。学校で教わることの多い「人の気持ちを想像しましょう」「場の状況を理解できるようにしましょう」などの話とは違ってしまいますが、「水泳に例えるなら、みんなは今クロールをしている段階。コウはまだ水に顔をつける段階だから、まわりとは違ってもそこから頑張ろう」と彼には話しています。Upload By 丸山さとこしかし、それでいいのかと迷う気持ちもあり…その部分を三木先生にお聞きしました。三木先生:「顔を水につけるところからだ」と言う考え方は正しいと思います。人とコミュニケーションを取るのには段階があって、まず最初は「相手を“人という存在”として認識する」ことが必要です。丸山(以下、――)コウは相手を“人”というより“機能”だと思っていたと思います。以前お母さんは「僕を世話する役割の人」だと思っていたということを言っていました。Upload By 丸山さとこ三木先生:「相手の存在を認識して初めて"機能"の背景に“人”がいること、そして、その存在とコミュニケーションを取る必要性を理解することができます。最近のコウくんは、"機能"の背景にある“人”の存在を認識したからこそ、コミュニケーションに行き違いがあることを自ら認識し始めたということですね。ただ、最終的にたどり着きたい「気持ちを知りましょう」と言うアプローチができるようになるためには、段階があります。まず何が必要かというと、“相手が言ったことを字面通りに受け止めて、きちっとした場所に打ち返す”ということです。それができていない段階で、「気持ちを知りましょう」と言っても、相手の気持ちを理解しないまま、本人が勝手に相手の気持ちを想像して考えた主観的な返しになってしまうので。Upload By 丸山さとこ―――その通りだと思います。1年生のときは友達にも突っ込まれるくらい何でも文字通りに受け止めるコウでしたが、その後周囲が成長して、文字通りではなく言葉の後ろに意味が込められているような会話や、会話の中であえて言ったり言わなかったりするような会話をするようになると、コウもそれを中途半端に取り込み始めました。周りと同じように「自分のする会話から、相手に意図を汲み取ってもらう」ことを試みようとしてもうまくいかずに「嘘つき」と言われたり、事実を述べていても人の心を引きつけられなかったりと上手くいかずに「何で自分だけ!」となっていました。先生がおっしゃったようなコミュニケーションの段階を数年かけてやってきた感じです。三木先生:なるほど。”見聞きしたパーツを、そのまま取り込めてしまったがゆえに起きた”トラブルですね。学校生活の中でみんなが学んでいる「気持ちを知りましょう」を今のコウがそのまま取り入れるとチグハグなことになってしまいますが、その「気持ちを知りましょう」自体は間違ったことではありません。コウが学校で覚えた誤学習の中には”覚えた内容そのものは間違っていない”ものも多くあります。それらのように学校でどうしても覚えてしまう「望ましくない学習」に対してどうしたらいいのか、三木先生に伺いました。Upload By 丸山さとこ三木先生:最初に学習内容の基本をカチっと入れちゃってもいいと思います。あとはニュアンス調整でやっていければ。いわゆる「ちゃんと教えてくれる人」を求めていくとカウンセラーとかに頼るしかなくなってくると思うのですが、本来思春期の子は、そういう人から学ぶことは少ないですよね。例えば友達とか先輩とか、顧問とか。支援も探しつつ、本人の生活上のコミュニティーや人とのネットワークとかをどうやって充実させていくかみたいなところに重点を置いてもいいと思います。――そのつながりをコウが自力で作るのは難しいかもしれません。三木先生:コミュニティーやネットワークの利点を本人に一回説明してみるっていうのも手ですけどね。そのほうが自分自身の人生が楽になるから、自分から積極的に働きかけてみるのはどうかな?って。そして、その途中でたぶんトラブルがあるから、そうなったら親でも先生でもまぁ誰でもいいですけど、本人がそのことを相談できるようにして『今回のコミュニケーションのどこに問題があったか』っていうのを都度フィードバックしていくと、コミュニケーションスキルのアップにもなるし、ネットワークの充実にもなるので。そういうものを自力で獲得する経験を積めるといいですよね。”自分で学習していき、発展していく力”を獲得すること三木先生のお話にたびたび出てくる「自分で学習していき、発展していく力」のことを、私も大切な要素だと思っています。今だけではなく、人生これから先もそれがあれば、時間はかかっても大体の物事は解決していくだろうと考えているからです。その力をこれから得ていけるといいなと望む一方で、道はなかなか険しそうだなとも思っています。「なぜだろう?どうしたらいいんだろう?」と考える練習中のコウが、今後「自分で学習していき、発展していく力」を獲得していけるようになるために、家庭で行える接し方にはどういうものがあるのでしょうか。Upload By 丸山さとこ―――コウはコップに汲んだ水をこぼしたときに「普通に歩いていただけなのに水がこぼれた!」という発想になりがちです。で、詳しく聞いてみると「水がいっぱいだったから」と言います。今は、そんな彼に『そこまでわかるようになったんだね。なら、もう一歩考えると水をこぼさず運べるようになるんじゃないかな?』と伝えているところです。三木先生:今の話だと、二言三言「振り返るきっかけ」を与えてあげれば、回りそうな感じはありますね。―――「どうしてこぼれたの?」と聞かれれば「いっぱいだったから」と答えますし、「どうしたらこぼれなかったと思う?」に対しては「少し減らせばよかった」と考えることはできています。以前だったらこのような会話が成り立たなかったと思うので、今の段階でも成長は感じますが、今後もこのような感じで続けていっていいでしょうか?三木先生:とりあえずそうですね。もうちょっと進んでいけば、最初の問いを立てるところからやっていけばいいかもしれないですね。Upload By 丸山さとこ―――その「問いを立てる」ということが鍵だな…と思います。毎年読書感想文を書くときには、コウの書いた感想に私が「問い」を投げかけて、それにコウが答えたものを最後にまとめていくという方法をとっています。それも最初は『問いに答えること』まですべて二人三脚だったのですが、今では私の「問い」にコウ自身が答えることができるようになりました。その次の段階として、先生のおっしゃる「自分で問いを立てる」ということがあるのだなと感じます。「問いを立てる」ということの掘り下げや、「問いを立てる」ための練習になればと思い、作文や文章作成系のドリルを解くようにしているのですが、何かほかに彼の助けになるようなものはありますか?「理解していないが作業はできる」と「本質が分かって作業ができる」の両輪を回すことが大切三木先生:「人のフリを見て」じゃないけど、自分のことを俯瞰で見るのは結構難しいです。だけど、人のことを俯瞰的に見るのは比較的簡単なので、そういった構造の理解を先に進めておくってところですかね。―――では、ある意味でドリルも「構造を理解するのに役立つ」というところでしょうか?三木先生:あぁ、そうですね。あとは、“作業として手順を覚えたのでできるようになった”みたいな要素もありますよね。そこは(理解を進めるのと共に)平行してやっておいたほうがいいですね。「本質が分かっていないけど作業はできる」ということと「本質を理解しながら作業ができる」ってことって全く別のことではなくて、何か分からないけどやっていった中で「あ、つまりこういうことね」という本質に気がつく…みたいなことがあると思うので。Upload By 丸山さとこ三木先生:「分かんないからやらなくていいや」とすると、本質への理解が育っていかない。それだけではダメなんですけど、作業自体ができていないと本質にも気づきにくくなってしまうので。作業としてできることを先に進めておくっていうのは、成功体験的にもアリかなと。それを理解ができないからと、やらせないのは本人にとっても「苦手」や「嫌い」につながってしまう可能性もあります。今回三木先生のお話を伺って、“自分で学習していき、発展していく力”を獲得することについての理解が深まったと思います。「問いを立てる力」によって物事を振り返ったり考えたりしつつ、「本質が分かっていないけど作業はできる」と「本質が分かって作業ができる」の両方を並行して進めていくことで体験から学んでいくことができるのだということが分かりました。執筆/丸山さとこ
2021年09月02日娘さんが生後9カ月のときにシャフリングベビーと診断されたママの体験談を紹介しています。一般的な成長と異なる点に戸惑ったこと、周囲の反応に対する心境、現実と向き合うきっかけになった小児科医のアドバイスについて伝えています。 赤ちゃんは誰でもハイハイすると思っていた私。おすわりは早かったものの、うつ伏せは苦手でなかなか動こうとしない娘は、座ったまま不思議な方法で移動するようになりました。すべてが初めてで手探り状態の育児のなか、「自分の子どもが周りとは違う」ということに悩み、気持ちが沈む日々でした。今回は、娘が生後9カ月でシャフリングベビーと診断されるまでの経緯や周囲の反応、そして当時の私の心境と葛藤をお伝えします。 わが子はシャフリングベビーかも?生後5カ月でおすわりができるようになった娘は、一方で生後7カ月を過ぎてもなかなか寝返りをしませんでした。ハイハイもする気配がなく心配していたら、いつの間にか座ったまま移動をするように。 持っていた育児書には、体の発達の順序が入れ替わったり、ハイハイをしなかったりする場合もあるとあり、赤ちゃんの成長は個人差が大きいと頭では理解していたつもりでした。しかし、実際にわが子が一般的な成長過程とは異なる現実を突きつけられると、冷静ではいられなくなるものです。 検索魔になって不安な日々当時は海外で出産・子育てをしていたので、日本語の育児書が入手困難な上に、子育て支援センターで気軽に相談にのってもらうような機会もありませんでした。それゆえ、情報収集は主にインターネットからでした。 知識は得られても、調べた情報が正しいものなのか判断が難しく、不安は拭えなかったことを覚えています。夫が赤ちゃんのころに同じ移動方法をしていたことを義母から聞いたあとは、遺伝かもしれないから仕方がないと自分に言い聞かせて過ごしていました。 好奇の目で見られることが耐え難い娘の独特な移動方法は好奇の目で見られ、次第に外で遊ばせるのがおっくうになりました。周囲の人がおもしろがる反応に対して、「恥ずかしい、隠したい」という気持ちになり、そのたびに自己嫌悪に陥りました。幸運にも否定的な言葉を言われたことはありません。 しかし、「動きがおもしろい」「珍しくてかわいい」というポジティブな意見をもらっても前向きになることは難しかったです。当事者でなければ、この苦悩はわからないと思い込み、表現しがたい負の感情に捉われていたのです。 小児科医に相談した結果を受けて…不安な気持ちが和らぐきっかけをくれたのは、娘の主治医です。9カ月健診のときに相談し、骨や筋肉、股関節を調べてもらいました。結果、シャフリングベビーという診断でしたが異常はなく、1歳健診まで様子を見ることになりました。 不安を感じたら「座って移動するのは彼女の個性で、医者の観点からはノーマルだから安心しなさい」という医師の言葉を思い出すように心がけました。私の考えを見透かしたように、立ち上がるのも遅い可能性が高いこと、フィジカルセラピーでの訓練も可能なことを説明してもらえたことも大きいです。結局、娘はハイハイしないまま1歳2カ月でつかまり立ちを始め、1歳4カ月でひとり歩きするようになりました。現在は4歳になり、健康に過ごしています。 当時は視野が狭くなり気が付かなかったけれど、皆それぞれ違う点で子育ての悩みを抱え、向き合っているのだと今ならわかります。専門家の意見を聞き、冷静に物事を見ることの大切さを実感しました。親身に寄り添い、そのことに気付かせてくれた小児科医には感謝の気持ちでいっぱいです。 ※本記事の内容は、必ずしもすべての状況にあてはまるとは限りません。必要に応じて医師や専門家に相談するなど、ご自身の責任と判断によって適切なご対応をお願いいたします。 イラスト/おんたま監修/助産師REIKO著者:新居はるみ1男1女の母。パートナーの転勤でアメリカ滞在中に2人の子どもを出産。自身の経験をもとに旅行、海外生活、子育て系の記事を中心に執筆。
2021年09月01日こんにちは。3児の母小児科医の保田典子です。今回は、子どもが「痛い」と言ったときの対応についてご紹介します。単語が増えてくる1歳半以降になると、子どもは「いたい」と言うようになります。うちの子も点滴をしたあとに真似をして「いたかった!」と言う動画が残っています。 子どもが「痛い」と言い出したら何か大きな病気ではないかと心配になりますし、何度も言われると「本当なの?」と思ったりしますよね。子どもの「痛い」への対応について、お話ししたいと思います。 1~3歳の子の「痛い」は「痛い」だけじゃない「痛い」は親にとってかなりインパクトのあるワードで、子どもが言うと親の気持ちが一気に子どもに向く言葉です。そして、「痛い」というのはどんな感じが「痛い」なのか、子どもにはまだよくわからないことがよくあります。 つまり、「痛み」はよくわからないけれど、親の注目は一気に集められるんだ、ということが、この時期の子どもの感覚としてできます。そのため、「痛み」も「かゆみ」も「不快」も、すべて「痛い」と表現することもあります。 親がけがをしたときや注射したときは「痛いね」と言ったり、皮膚が赤くなっているときは「かゆそうだね」と言ったり、嘔吐してしまったときは「気持ち悪いね」と言ったりすることで、適切な表現方法を学んでいくのです。逆に、痛みがあるときでも、「いや」など違う言葉で表現することもあります。 緊急性があるのはどんなとき?子どもの怪我以外で痛みがでる場所といえば、頭、おなか、おしり、頻度は低いですが胸などです。頭痛は2歳ごろから起きることがあると言われています。 急激に発症してうずくまってしまうくらいの痛みのとき、嘔吐や発熱など他の症状もあるとき、血便などがあるとき、意識がおかしいとき、けいれんがあるときなどはすぐ受診しましょう。そこまでの痛みではないけれど、慢性的に痛みを訴えるときも一度受診をした方がいいかもしれません。 本当に痛いの?よくわからないときは?「痛い痛い」という割には元気に飛び回って遊んでいる、「痛い」と言うので受診し特に異常ないと診断されたが、やっぱりよく痛みを訴えるときなど、対処に困りますよね。 「うーん、これは痛くないんじゃ……?」と疑問に思ったとしても、「痛くないでしょ!」などと真っ向から否定せず、まずは「そっか、痛いんだね」と共感して、どこが痛いのかやさしく聞いてあげてみてください。ママやパパがゆっくり聞いてあげることで安心します。 そして、「いたいいたいの飛んでけ」のように、痛みを訴えている場所をやさしくなでてあげると、さらに安心するでしょう。 その上で、かゆそうな場合は「これ、かゆそうだね、冷やしてみようか」「〇〇っぽいね」と伝えてあげることで「そっか、これってかゆいんだ」と、「痛い」以外の表現力を学ぶ良い機会になります。上記に記載した緊急性がない場合は、まったく別のことで気を紛らわしてしまう、という対処法もあります。それもまずは「そう、痛い痛いだね」など一度共感してから、お子さんの好きなことなどを促してみて気を逸らすと良いでしょう。 痛みは積極的に治していいものです!これは大人もそうですが、痛みをがまんする必要はまったくありません。お子さんの訴える痛みが本当に頭痛や腹痛でありそうであれば、「頭痛ならしばらくすれば良くなるかも」と様子を見る必要はないのです。痛みが何回もある、しばらく続くなどあれば、受診して痛み止めや治療薬など適切な対処をしてもらいましょう。鎮痛薬はがまんせず使って大丈夫です。使う頻度が多いようであればまた受診して相談するなど、痛みに人生を左右されない生活を目指しましょう。 監修者・著者:医師 高円寺こどもクリニック院長 保田典子 先生2003年筑波大学医学部卒業、国立国際医療センター、大阪市立総合医療センター小児循環器内科勤務を経て、2014年東京女子医科大学大学院博士課程修了後現職。小児科専門医。一般診療、小児循環器診療に加えて、漢方治療や発達相談にも対応している。2021年、高円寺こどもクリニック開院。3児の母。
2021年08月31日こんにちは。3児の母小児科医の保田典子です。今回は、小児科医から見た「親のNG行動」についてお話ししたいと思います。そのうちの1つが、予防接種などお子さんが痛かったり、嫌がることの多い処置をするのときの親御さんの対応です。お子さんの予防接種をするときの親御さんのNG対応について、紹介したいと思います。 NG行動1:子どもに伝えない予防接種は元気なときに病院に行っておこなうものなので、「あらかじめわかっている受診」ですよね。 そんな受診のときに「なぜ病院に行くか」をお子さんに伝えずに病院に連れて来る親御さんがいらっしゃいますが、これはなるべく避けてほしいなと思います。「〇〇に行くよ」など病院ではない所へ行くと騙して連れ出すのも避けたほうがいいです。もちろん、その子の特性などに合わせて対応するのは大切ですが、不意打ちで痛いことをされるのは誰でもびっくりしますし、傷つきます。 国立成育医療研究センターでは、目安として2~3歳には数時間前、4~6歳は前日、小学生以上には1週間前に伝えると良いでしょう、とアドバイスしてくれていますので、参考にしてみてください。 NG行動2:「痛くないよ」と言う注射は、多かれ少なかれ痛いものです(インフルエンザワクチン、私も痛いので嫌ですが毎年打っています)。接種の前に「痛くないよ」など、ほぼウソになってしまうことは言わないようにしましょう。これは病院だけでなく、どこでも同じです。 「ちょっと痛いんだけど、病気にならないようにするために大切なんだよ」と伝えることが大切です。 ちなみに、接種後泣くお子さんに対して「泣かないの!」と言う親御さんもいますが、小児科医としては全然泣いてOKです。だって痛いんですから。 大事なのは痛いことを共感してあげることが大切です。その上で「痛いから泣いちゃうよね」と理解してあげるほうが良いと思っています。もし、泣かなかったときは「痛いのに泣かなかったね」と褒めてあげましょう。 事前の準備で「見通し」を!子どももれっきとした1つの人格なので、何か子どもが嫌なこと、慣れていないことをするときは、注射に限らず事前説明をするようにするといいでしょう。きちんと説明し、納得まではいかずとも、しっかり予防接種をする意図を伝えてから接種に臨めるといいですね。 伝える方法としては、子どもは目で見たほうが理解できることが多いので、ひらがなが読める子には、このメモのような「目で伝えるツール」なども使えますよ。 ▲保田先生が実際に使っているメモ 病院では、「プレパレーション(準備)」と言って、これからおこなう手術や治療の手順を、画像や人形などを使ってごっこ遊びのように説明をすると、子どもの心の準備ができるので、泣くことが減ったりすることもあります。▲保田先生が実際に使っているメモ 予防接種なら、病院の受付のところから手順を遊びつつ説明できるといいですね。例えば予防接種なら、「受付→待合室で待つ→診察室に入る→問診する→診察する→消毒する→注射する→絆創膏を貼る」という感じです。 やったあとには「褒める、認める」を!今回の小児科NGは予防接種についてでした。病院はお子さんにとって嫌なことをすることが多い場所ですが、とても大切なことをする場所でもあるので、少しでも安心して受診できるといいですね。 どんなことでも、「見通し」がたつと人は安心します。もちろん、痛いことなので見通しを立てれば必ずうまくいく訳でもないのですが、親が病院での見通しを教えてくれると思うと、他の新しい場所へ行くときでも、見通しを教えてあげることでグズグズが減ることがあるかもしれません。そして、お子さんが嫌なことを頑張ったあとは、しっかり褒めてあげてください。「痛いのにがまんしたね」「あまり動かず頑張れたね」など、お子さんの頑張りをしっかり認めて、声をかけてあげてくださいね。 監修者・著者:医師 高円寺こどもクリニック院長 保田典子 先生2003年筑波大学医学部卒業、国立国際医療センター、大阪市立総合医療センター小児循環器内科勤務を経て、2014年東京女子医科大学大学院博士課程修了後現職。小児科専門医。一般診療、小児循環器診療に加えて、漢方治療や発達相談にも対応している。2021年、高円寺こどもクリニック開院。3児の母。
2021年08月29日《私が四十歳で今のお店に勤務するようになって、ちょうど今年で十五年になります》《職場の人間関係はとても良いんですよ。皆さん和やかで、和やかで。悪い人は誰もいないというくらい》小室圭さんの母・佳代さんは昨年末、『週刊文春WOMAN』の取材にそう語ったという。都内の有名洋菓子店で働いていた佳代さんはパート勤務と報じられたこともあったが、実は正社員。《今の社員の中では、一番長く勤めていると思います》と、古株としての自負も滲ませていた。だが現在、佳代さんは洋菓子店の社長と泥沼のトラブルに陥り、絶縁危機ともいうべき状況にあるという――。4月に手術のために1カ月ほど入院していたという佳代さんは退院後、仕事に復帰。だが、6月にはまた仕事を休み始める。本誌も6月下旬、松葉杖を左手に持ち、タクシーで出かける佳代さんを目撃している。『週刊新潮』(8月12日・19日号)によれば、佳代さんは店の更衣室で靴を履き替えた際に姿勢を崩し、アキレス腱を痛めたという。医師から「アキレス腱断裂」との診断書をもらい、6月いっぱいまで店側の了解のもと欠勤するも、7月に入っても職場に復帰せず、無断欠勤となった。そもそも足のけがについても目撃者がおらず、店側は労災とは認めずに争うことに……。あまりの不義理に社長は懲戒解雇も辞さない姿勢だという。佳代さんのケースははたして労災として認められるのか。弁護士法人天音総合法律事務所の代表弁護士・正木絢生さんが解説する。「労災認定を受けるためには『業務上の事由』による傷病等である必要があります。今回のけがの原因が、佳代さんの言い分どおりに靴の履き替えに起因していたと証明できるなら、労災事故として認定される可能性はあります。労災が認められた場合には治療費と、休職期間中の給与の8割に当たる金額を受け取ることができます。仮に月給を20万円とすれば16万円になります」■恩人への不義理を繰り返してきた佳代さん’17年12月の金銭トラブル発覚後には佳代さんが適応障害と診断されて1年半ほど休職。また、店には迷惑電話もかかってきていたという。それでも社長は佳代さんを雇用し続けてきたのだ。マスコミに対しても、佳代さんに都合の悪いことは決して語ってこなかった。店の近所に住む女性に話を聞くと「社長だけでなくお店の大女将さんも、周囲からいろいろなことを言われても、ずっと佳代さんを庇っていましたよ」と語る。そんな恩人を怒らせてしまった佳代さん。佳代さんといえば、圭さんの“父親代わり”になろうとしてくれた元婚約者男性から400万円を超える金銭を受け取り、婚約解消後も返金を拒否。小室さんによる説明文書は火に油を注ぎ、金銭トラブルはいまだに解決していない。本誌は、20年ほど前に小室家と交流があった元喫茶店経営者のAさんから、こんな話も聞いている。佳代さんの夫・敏勝さんは’02年3月に自ら命を絶ってしまう。敏勝さん側の実家から「あなたが殺した」と言われて悩んでいた佳代さんは、遺産相続にかかわるやり取りをAさんに依頼。Aさんは敏勝さん側の親族にわざわざ会いに行ったこともあったそうだ。しかし佳代さんは突然、親身に協力してくれていたAさんに「手を引いてくれ」と告げる。もう用は済んだと言わんばかりの態度に不信感を抱き、Aさんは佳代さんとの付き合いをやめたという。■「自分は例外」と特権を求める傾向が手を差し伸べてくれた人たちに不義理を繰り返す佳代さん――。その言動の真意とはいったい?精神科医の片田珠美さんは「小室圭さん、そして佳代さんは『例外者』だと思います」と語る。「例外者というのは、自分は不利益を被ってきたのだから例外的な特権を求めていいと思い込んでしまう人のこと。精神科医のフロイトが名づけた性格類型です。とくに子供のころに苦労した経験があるとこのような思い込みを持ちやすい。佳代さんは母親が病気で裕福な家庭ではなかったといいますから、そうした生い立ちも影響しているのかもしれません」元婚約者との関係においても、佳代さんは何かと“特権”を求めていたように見える。佳代さんを受取人にして生命保険に加入するよう求めたり、本来なら受給資格を失うはずの夫の遺族年金を受給し続けられるよう口裏合わせを要求したりしたエピソードからも、もらえるものはすべて受け取ろうという意識が感じられる。それにしても、国民から厳しい視線が注がれている状況にもかかわらず、さらに新たなトラブルを招いてしまうのはなぜなのか。「佳代さんは、自分の言動が相手にどう受け止められるか、世間から怒りや反感を買うのではないか、といったことが想像できないのでしょう。一方で、自分がいかに苦しんでいるか、いかにつらい状況にあるのかを誇張して同情を引こうとする。これは例外者の心理に密接に結びついています。小室さんの説明文書からも、自分たち母子は被害者で、悪いのは元婚約者だと主張したい欲望が読み取れました。自己愛は誰しも持っているものですが、佳代さんの場合は悪性の自己愛なのでしょう。自分の過ちを認めようとしないため、国民との認識の違いや批判への対応が、ずれていく一方なのです」(片田さん)ついに15年来の恩人社長にも愛想を尽かされてしまった佳代さん。このままでは手を差し伸べてくれる人は誰もいなくなってしまうが、それでも“自分の生き方”を変えることはないのか――。
2021年08月24日伝わるように伝えるということウチノコ(以下、――)むっくんと暮らしていると、私の言いたいことが思うように伝わらない結果、本人が怒られたと感じて癇癪を起すことがあるんです。そこで生活する中でむっくんの琴線に触れにくい言い回しを意識しています。例えば夕飯前の「お菓子ちょうだい」に対して「今はダメ」と言うと【怒られた】と受け止めて癇癪を起しやすくなってしまうのですが「明日の3時ならいいよ」って返すと、癇癪起こさないんです。これって特殊なのでしょうか?Upload By ウチノコ三木先生:へぇ!それで納得してくれるんですね。「そんな先は嫌だ!」とはならないのですか?そんなに見通しが立つのだろうか…?――見通し…どうだろう、ひょっとしたら見通しよりも「ワード」縛りかもしれません。「ダメ」って言葉や「あとで」なんかが大嫌いなんです。それでそこを避けて、「明日の3時」と時間を具体的に伝えて「いいよ」っていう許可の言葉で伝えることで怒られていないと思うのかもしれません。三木先生:ああ~!なるほど、それはありえますね。Upload By ウチノコ――ありえますか!でも大変なんです、同義語を探す国語問題みたいで。私に余裕がないとできないし、言いながら「私、屁理屈を言ってるなぁ」って思うんですけど、なぜかむっくんは納得するという。三木先生:あ!屁理屈!!屁理屈であるという認識は良いです。要は相手の論のどこを押さえれば落ち着くかを、とにかく考え続けるってことになるんですよね。僕はあるタイプのお子さんの親御さんに「性格悪くなってください」っていう話をすることがあるんです。要求に対しての答えを「ダメ」だけではなく、『何が』『どうなって』『こうだから』『ダメ』と、理屈でねちっこく順を追って説明することで理解させてあげてくださいって。そのほうが入りやすい子や、そういう関係性もあるんですよ。――なるほど…友達にこの言い回ししちゃうと嫌われちゃうな~って思っていましたが(笑)私と息子はそういう関係性だと思えばいいのか。三木先生:いろいろ試して論を繋いだ結果、「これが一番本人が落ち着ける」に達したのならアリだと思います。仮に、子どもがおやつを食事前に食べたがったとして、親の発する「今はダメ」という言葉の奥には、「今は食事前、夕飯食べてほしいから許可できないけど、明日にはまたおやつを食べることができるよ」という意味が含まれている。そう言った曖昧な背景や状況などの隠れた情報をその子と共有できていなかったり、その子にとって意味の分かりにくい言葉を使うくらいなら、誰がどう読んでも伝わる形で、見えない部分も理解できるように細かく本人に伝えていく必要があるんじゃないかと思いますよ。Upload By ウチノコ――確かに丁寧に理屈で伝えるほうが伝わる子なんですよね。でもあんまり頑張るとお母さんの話は長い!うるさい!って言われちゃうけど(苦笑)三木先生:(笑)様子見ながら、ときに短くしたり、伝わらなければ長くしたり、それを何度も繰り返すうちに、本人も全体の構造が分かってくるとこもありますからね。――確かに以前よりは分かってきているかも。でも先は長いなぁとも思います…三木先生:繰り返すことで理解できていくこともありますからね。ただ、繰り返してる間に年齢が上がっていくから、あれこれやったのが良かったのか、単純に本人が成長したのかどっちなのか分からないという。――あ~!それあります。なんかむっくんに起こる変化って、私がどうこうじゃなくて、結局全部本人の成長のような気がするんですよね~。三木先生:お!そこのまなざしは持っていてもらうとすごくいいと思います。私がこれを頑張ったからこの子はこれができるようになった!と思う親御さんは危ういというか、つまずきやすいんです。私は果たしてどれくらいできただろうか、全部この子が頑張ったからだって思えるほうがいいんじゃないかな。――そっか……そっか!よかった~(笑)なんだか自信つきました!ありがとうございます。Upload By ウチノコいつもなら深刻になってしまう癇癪の話が、笑いながらできたこと。それがなにより嬉しい時間でした。癇癪は困るからしないように子どもを変えなくては!という思考ではなく、私はこの子が理解しやすいように、落ち着けるように、言葉を選んで発信しただろうか?という視点を忘れずにこれからもむっくんに関わっていきたいと思います。執筆/ウチノコ
2021年08月20日Upload By スガカズ私、スガカズは、現在4人の子どもを育てているママです。・長男(中2 ASD、ADHD)・次男(小5 ADHD)・長女(年長 定型発達)・三男(年中、定型発達)医療と教育の連携問題。次男のときどうすれば良かった?Upload By スガカズわが家のADHDのある次男は小学1年生のとき、親と学校側との連携がうまくいかなかった経験があります。通常学級に在籍していたのですが、次男自身も、先生と意思の疎通がうまくいかずにもどかしい思いをしたことが、たびたびありました。また、クラスには次男のほかにも発達凸凹があるお子さんが複数いたこともあり、ケンカなどのトラブルが絶えませんでした。特性も少しずつ落ち着いてきた現在、改めて当時を振り返ると「医師と担任と私とで直接情報共有やアドバイスができる場を作れたらよかったのかも…?」「でも、そもそもどうアプローチすればよかったの?」そんな疑問が出てきたので、今回三木先生に「医療と教育の連携」について質問をしました。スガカズ(以下、――)次男が小学校1年生の頃、学校でのトラブルが多く悩んでいました。もう少し学校との連携がうまくいっていたらよかったのではないかと思うのですが、医師と教育者(担任、スクールカウンセラー、特別支援コーディネーターなど)が直接話をする場を設けることは可能なのでしょうか?発達障害のある子を育てるにあたって、医療と教育での直接連携ができれば学校側により正しい理解を得られるのではないか…と。私は当時の雰囲気から「連携は難しいだろうな…」と勝手に判断していたのですが、三木先生が監修されているコミック『リエゾン~こころの診療所〜』の1巻で、医療と教育が連携しているシーンが登場したのに驚いて…。三木先生:私の働くクリニックでは、学校に出向いてケース会議を行うことはしていませんが、患者さんの在籍する学校関係者が、患者さんとご家族と一緒に診療の際に同席されることがありますよ。主に自傷、他害、脱走など、重要度の高いお子さんです。――なるほど…。現在小5(ADHD)の次男が小学校に入学したときはお友だち関係でのトラブルも多く、クラスにも迷惑をかけていると感じていたので…どのあたりまでが「重要度が高い」とされるのでしょうか。三木先生:どんな状況だったのしょうか?なかなか発達障害についての理解が得られにくく…Upload By スガカズ――次男については、もともと就学前健診の際に「ADHDの可能性が高い」と学校側に特性を伝えていました。実際入学してみると次男と同じクラスに、あるクラスメートが2人いました。1人は境界領域知能のお子さん、もう1人はわが家と同様に、就学前健診で発達障害があると伝えていた家庭のお子さんで、結果的に発達障害のある子が通常学級に3人いるという環境でした。次男を含めたこの3人はいつも一緒に行動をしていたようです。一緒なのはいいのですが、ケンカも頻繁に起こるため、授業が中断したり、集団行動がとれなくて3人で授業を抜け出したりと、日常的に困ってしまう状況が起きていました。校長先生や担任の先生を交えて話し合いなどもし、「健診で次男の発達の凸凹について伝えていたと思っていたのですが、クラス分けに配慮などはなかったのでしょうか」と質問をしました。担任の先生は初耳だったようで、私は『クラス配置は障害について考慮されていなかった』ようだと感じました。三木先生:それは確かに学校も大変かもしれませんね。――はい、先生方も大変だったと思います。当時の担任の先生は子どもとの関わりなど並々ならぬ努力をされたと感じてはいるのですが…。先生も困っていた様子は伺えましたし、私たち親へ提案をしたり、投薬などを勧めてくれたり、いろいろとできることを模索しているのはわかりました。それでも私たち親との知識の差を感じてしまい…。三木先生:通常学級の先生の障害への知識は、ほか(特別支援学校など)と比べると不足しているのは仕方のないことです。投薬ですべてが解決するわけでもないですしね。もちろん投薬することで特性が穏やかになり問題が解決することもありますが、現場の根本的解決には環境調整が重要ですからね。――そうなんです。なので、「あのとき医療と教育の連携をできていたのなら、先生方も正しい知識や理解を得られたのかもな」「私を含む三人の子どもの保護者も、あそこまで気に病まずに済んだのかもな」と感じています。学校と先生に相談したい場合、どうアプローチすればよい?Upload By スガカズ三木先生:保護者側の目的を明確にした上での提案はしていっても全然OK!先ほど話しましたが、連携するパターンとしては、診療時間に担任の先生が同席をして話をすることが多いです。プレーヤーの種類は、担任、スクールカウンセラー、養護教諭、学年主任、特別支援コーディネーターがあり得ます。気合いの入ったところだと、副校長なんかも来院されることがありましたよ。「学校がどれくらい困っているか」によって人数も種類も違ってきます。――なるほど。次男のようなケースだと、かなり関わっていただいた担任、特別支援コーディネーターあたりかな…。三木先生:学校は基本的に「医療とつながりたい」と思っています。その中で「直接つながりたい!」というニーズがどれくらいあるか見極めて、ニーズを引き出す声かけが重要なのかなと。情報共有をしたいのか?アドバイスがほしいのか?など、クリアにしてから医師に提案してみるといいと思います。提案される側が気まずい状況にならないために、提案する側は明るくふるまってみてはいかがでしょうか。もし事情があって提案が断られても、受け流すくらいの軽い気持ちでいましょう。そうすると別の支援が必要になった際にも提案がしやすいですし、断った側も身構えない状況がつくれますよ。――確かに軽い気持ちでいた方が今後のためにもよさそうですね。それと、うちの次男の場合だとクラスに発達障害のある子が3人いたし、わが家が断られたとしてもAくんBくんの主治医にも相談することで、さらっと提案してはいるけど熱い気持ちが伝わったのかもしれません。4年前の私にアドバイスしてあげたいです…!感想担任の先生とは1年限りの付き合いですが、子どもは小中学校に在籍しているので、保護者と学校の関係は続きますね。できれば学校とは足並みを揃えていきたいものです。「とは言っても、先生も忙しいから時間をとってもらうことは迷惑になるかも…」と遠慮してしまいましたが、学校の先生ももしかすると同じ気持ちを抱いている場合もあるのかも…。よりよい支援のためと理解してもらうためなら、結果がどうであれ、勇気を出すことでこの先の関わりに活きていくかもしれません。次男が中学校にあがった際の参考になりました。執筆/スガカズ
2021年08月09日言葉にできない悩みが盛りだくさん!児童精神科医 三木崇弘先生にお聞きしましたUpload By 丸山さとこ今回は、医療や学校の現場で多くの子どもや保護者の方々と関わっていらっしゃる、児童精神科医・スクールカウンセラーの三木崇弘先生にいろいろとお聞きしました。息子のコウと同じく私自身もASD・ADHDであり、悩みはあるものの「言葉にできない!」と困ることも多く…。アワアワしながらあいまいなことを言う私の話を聞いてくださった三木先生に、「スミマセン上手く言えなくて…私の話、伝わっていますか?」と聞いてみると、「7割くらいは伝わっていると思います」とのお答え。頼もしい…!コウとの生活の中で『問題があること』は突きつけられつつ『解決の見通し』が立たない状況に焦ることも多いです。問題は今現在起きていることに限りません。スクールカウンセリングや個人懇談などの話し合いの場で”今後悪い事態が起こる可能性は高い”ことは提示されつつも、『いざ悪いことが起きたときに』どうすればよいのかは分からないこともしばしばあります。Upload By 丸山さとこ現在の困りごとに対する具体的な対策も知りたいし、それが目標時点までに解決しなかったときにどのような選択肢がありうるのかも知りたい。そんな私の質問に、先生は「能力獲得ができるタイミングにはばらつきがあって、特に僕が関わっているような子たちは生活年齢で求められてもできない・難しいことが結構あります。そうすると、そこは学校ともどう対応するか相談しなくてはいけません」と、具体的に何をどう話していけばよいのか詳しく話してくださいました。学校にサポートをお願いするとき心がけたい大事なこと三木先生:例えば「5年生だからこれくらいできて欲しい」という話になったときに、「でも、それ相応のことが達成できる・理解できる準備ができてない(中身が育っていない)」ということもあります。その場合はトライさせてみたところでおそらくできないし、ただ失敗体験を積むだけで学びにならないことも多いです。なので、そこはまだ大人がサポートしよう…という考え方があってもいいと思います。ただ、そうなったときにサポートのための生活上の手間を大人が引き取るというのを、親だけではなく周りの大人も納得してやっていくことが必要になります。その現在位置ですよね、『今まだできない』『そろそろできそう』などの現在時点の状況についての把握と、『何年後にはどうなっていそうか』という予想について話していく必要があります。Upload By 丸山さとこ三木先生:(例えば、現在の息子の状況のように)「中学校に入るからできるようにならなければ困る」というのは確かに正しくて、それはなぜかと言うと「中学に入るとよりサポートがなくなるだろう」と予想されるからです。「でも今のやり方のままだと中学に入ってからも引き続きサポートがいるよね」となったときに、『じゃあそのサポートを獲得できる見通しがあるのかないのか、なければ親がどこまでやれる余裕がありそうか…』みたいなところを考えていく必要があるかもしれません。でも学校の先生側としたら『それ実際困りますよ』みたいな話になると思うので…。丸山さとこ(以下、――)私の今の現状としては、・中学以降は学校側の負担をお願いするのはやはり難しいだろうと思うので、基本的には先生に声掛けをお願いするというよりは『全教科置き勉させていただく』ような方向でいきたいと考えている。・現在は「忘れ物をしているのかしていないのか曖昧な状態をハッキリさせることでフィードバックがもっと明確になるとありがたい」ことを学校と相談しつつ、連絡帳のチェックや忘れ物の連絡をお願いしている。という状況です。三木先生:今の話はすごく大事です。学校側も納得できないことに取り組むのは大変なので、プロセスを通じて…やってみて「あぁやっぱりそうなんだな」と感じてもらうという段取りを踏んでから、やってほしいことを再度お願いするということが重要です。Upload By 丸山さとこ改めて考えてみれば、「説明し、納得してもらい、できる範囲から実行をお願いする」という手順は息子のコウ相手であれば普段していることです。もし「大人なのだから、一緒に子どもを育て教育する立場なのだから、必要性を理解して協力するのは当然でしょ!?」という考えが根底にあるとすれば、それは私自身が一番困る「もうコウ君は〇年生ですから」「もうじき中学生ですよね?これはできるようにならないと…」などの言葉と同じことを先生方に強要しているわけで…!『コミュニケーションの基本は、相手が誰であっても同じなのかもしれない』と、改めて初心にかえるような気持ちになりました。失敗は”撒いておいた種”を育てる栄養…なのかも?また、今後もし『担任の先生にどうお伝えしても全く話が嚙み合わない』ということがあればという仮定の上で「学年主任だったり、養護教諭、スクールカウンセラー、管理職などを巻き込みながら相談していくといいかもしれないですね」とのアドバイスもしてくださったので、上手くいかないケースとしてありがちなことについてもお聞きしました。連絡帳を書き忘れては「覚えてるから大丈夫!」と切り抜けている間に書く習慣が消えてしまったり、”宿題を必ず出すものと学ぶ”ために朝の読書タイムをあてられていたのに「朝やれば家でノンビリできるな!」と宿題をやらなくなったりと、視野が狭いがゆえの浅知恵で面倒なことを避けようとするコウ。Upload By 丸山さとこ――特に2~5年生にかけては思い込みからの誤学習も起きやすかったため、私も夫も(そして先生方も)しょっちゅうコウに手を焼いていました。学校も”連絡帳をチェックする”などいろいろな対応をしてくださっているのですが、どうしても最初は『もう高学年だから』などの理由で、自主性を育てるべく様子見となりがちで…。一回ダメなパターンに陥ったりグズグズになったりすると、そこから立て直すのはすごい大変で…場合によっては1年2年かかることもあるし、カバーしきれないこともあります。学校というシステム上、困ってからの対応になりがちなのは仕方のないことだと思っているので、『家庭からできること』を知りたいです。という私の相談に、三木先生は鋭くも現実的なアドバイスをくださいました。三木先生:それ結構難しいなと思っていて…どちらかと言うと、そういうトラブルが発生することをプランの中にある程度「確率的なリスク」として織り込んでおくみたいな方が、現実的かなという気がするんですよね。――そうですね。三木先生:で、どちらかというとその予備力をおいておくとか、そこの手間を『諦める』という方がいいかな~と…やっぱ転んだときってエネルギーとリソースがとられるので、そこに対しての準備か覚悟をしておく。準備っていうのは『親が余力をもって暮らしておく』ということだし、覚悟っていうのは『余力がないけど、起きたらもうしょうがないと腹を括る』みたいな。――なるほど…。『準備か覚悟をしておく』という三木先生の言葉が胸に沁みました。Upload By 丸山さとこ本当にそれだな…『親が余力をもって暮らしておく』っていう準備が理想だけれど、実際余力がないときはあるし、そのときに親が用意できるものって言ったら『起きたらもうしょうがないと腹を括る覚悟』だろうな…。と、しみじみ頷く丸山でした。追い詰められてからの覚悟ではなく『事前の心構えとしての覚悟』をすることで、少しでも『余力』を生み出せるようになったらいいなと思いました。――中学年で子どもが調子を崩して荒れたときから私もそう考えているところがありました。『絶対にそういうことは起こる』覚悟を決めた上で『あとで修正が効くように種を撒いておく』ことも含めた対処をするように方向性を切り替えました。三木先生:そうですね、これから年齢が上がっていくと、物事の因果関係とかもっと分かるようになると思うんで…。Upload By 丸山さとこ三木先生:その「撒いておいた種」がより生きてくるというか、狭い範囲しか見えてない…あるいは深みがなく物事を捉えていた小さいころって、昔やったことと今の関係とか、最近の出来事の因果ってあまり分からないままだと思うんですけど、長期スパンで物を見れるようになってくると「そもそもこういうことでやってきてて、こんな出来事があって、今こうなった」という全体の流れと、そこからどうやってリカバーしたかみたいなことが、ある程度ひとかたまりで見れるようになってくると思うんですよね。で、そうすると、失敗する価値が昔よりは高くなってるはずです。これから人生が先に何十年とある中で、失敗がゼロということはないわけで…失敗したときにどうリカバーしたかとか、「この大きい失敗はそもそも何があって起きてしまったか」みたいな検証をできるチャンスとも言えるんじゃないでしょうか。Upload By 丸山さとこ『失敗&リカバーというものを織り込んでいくことが大切なのだ』という三木先生の言葉は、先行きが見えずにジワジワと焦っていた私の心を大分落ち着けてくれました。『どっちに向かって私は進みたいの!?』と混乱する日々の中で…目の前のことに追われて対応しているだけになりがちな現状に対して、私は心の片隅で『ロングスパンでの視座や方針というものをどのようにもっていったら良いのか』という悩みを長い間抱えていました。私は、方針というものが実際の行動に与える影響は大きい部分があると考えています。例えば、二次障害を防ぐというロングスパンの視座で見ると、今ある問題に対して『これがなくなればいい・解決すればいい』ではなく『時間はかかるけれどこういう風にアプローチしていこうか』となります。そんな私にとって方針が見えないということは『将来のことが不安だな~』という気持ちだけの問題ではなく、『現在の対応をどうしていいか分からない』ということに直結する死活問題だったのです。Upload By 丸山さとこ「先の心配より今ある問題に集中しましょう」という意見はもっともです。それに対しては頷ける一方で、「その”今ある問題”に集中して対応するために指針が欲しいんだよ~!」という私の心の中の叫びは上手く言語化することができずにいました。そんな私にとって、三木先生の『失敗&リカバー』に対する捉え方は長く続く今後の指針たりうるものでした。長年の悩みが言語化できたことも含めてすごく救いになりつつ癒されましたし、親子共々『失敗がめっちゃ多い毎日』になりがちなので、失敗そのものを『失敗とリカバーのための学習の機会』と捉えることでストレスを減らせそうなのも大変ありがたいなと感じました。Upload By 丸山さとこまた、三木先生へのインタビューにて「自分で学習していき、発展していく力」と、その鍵となる「問いを立てる」ということについてもお聞きしたので、そちらも別の記事にて描いていきたいと思います。執筆/丸山さとこ
2021年08月05日人気皮膚科医の「美肌事典」最新版7月29日、テレビなどのメディアでもおなじみの皮膚科医で内科医の友利新(ともりあらた)氏による新刊『最新 美肌事典 1週間後のキレイが変わる、10年後の自分から感謝される』が発売された。出版社はKADOKAWAであり、A5判の単行本で256ページ、価格は1,760円。同書では読者それぞれに合ったスキンケアについて解説している。まずは自身の肌の本質を把握することから友利新氏は日本内科学会会員で日本皮膚科学会会員、抗加齢学会会員でもある。第36回準ミス日本という経歴があり、雑誌やテレビなどでも活躍。美容や健康についての正しい情報を発信しているYouTube公式チャンネルの登録者数は約49万人である。SNSなどを含め、美容情報があふれている現代。友利氏はよく「先生はどんなスキンケアをしていますか」などと質問されるが、友利氏のスキンケアを真似したとしても、それがその人の肌に合ったスキンケアだとは限らない。必要なのは一人ひとり異なる自分自身の肌の本質を把握し、正しいスキンケアの知識を得ることである。新刊には読者が自身の肌の本質を知るための書き込み式ツール「顔MAP」を収録。まことしやかに広まっている間違いだらけの美容情報、正しいスキンケア、肌の基礎知識などが解説されている。(画像はAmazon.co.jpより)【参考】※「最新 美肌事典 1週間後のキレイが変わる、10年後の自分から感謝される」 友利新【生活・実用書】 - KADOKAWA
2021年08月04日発達が気になる契機わが子の発達が気になるきっかけにはどういったことがあるでしょう。母親としての感覚育てていて、なんとなく違うように感じていたとか、上のきょうだいと比べてという、感覚もあるようです。もっとも初めての子どもは、こんなふうな感じかなと思っていた、という方もおられました。言葉が出る前に、なんとなく関わっても反応が薄いということを気にされていたり、そんなときにたまたま来ていた実家の母から指摘されて、やっぱりと思ったり。もっとも、実家の母が大丈夫だよと言ってくれたことでちょっと安心したという場合もあります。実際、のちに健診や医療機関で診断された親への聞き取りでも実際は2歳前後までに、なんとなく気がついていたという話が多いようです。ママ友との関わりのなかで子育てが孤育てにならないように、出産した産科医院で知り合ったり、近所や友人を通してママ友となり、そこで一緒に話したりすることで、それとなく、わが子の様子を比べてみたりして、心配したり、気になったりして。健診会場でそれまでのなんとなく、どことなく心配はしてきたのですが、1歳半健診会場で担当保健師さん等からの言葉や助言から、やはり、と思ったり。さまざまな情報から最近は子どもの育ちに関した書籍やネット情報が沢山あります。検索してみると、自分と同じような悩みを持って半歩先を歩いていた方の情報と出会い、そこからどんどんと広がって、という流れなど。いずれにしても、その多くは密やかにでも家族、特に主たる養育者が、なんとなく違う、という感覚を持っていたというのが僕の臨床現場で得た所見です。ただ、そのわが子に感じた「違う」という感覚に直面するか、もう少し様子を見たいと時間をかけるか、日々揺れながら、迷いながら、一喜一憂しながら日々を送っているような印象はあります。僕は、養育者の方が診察室に来られたときに、どのような思いで日々を過ごされてきたかを、最初の出会いや表情、仕草から思いを馳せます。そのうえで、よく決心して来て下さいましたねと向きあったり、できるだけ淡々と話を聴いたり、安心を提供するような思いを込めて対応します。かなり早い段階で気になっていた、気にされたとしても、それを医療の中へ持ち込むまでには、それぞれの養育者のなかでの戸惑いや葛藤があると、いつも僕は診察室で実感します。関係者との関わり診察するということは『診断』することになるので、養育者にとっては、わが子の現状を医学的に知ることになります。ですから受診したことで、ある程度の先が見えて、改めて関わりを考えたり、当然ショックを受けたりします。医師から診断を受けた親の心理は、以前から、ショックからはじまり、否定し拒否を経て、哀しみと怒りという感情を抱き、そのあとに原因を突き止めようとして、結果気持ちが落ち込む、再度哀しみと怒りに戻りながら一喜一憂していくと言われています。実際、養育者の思いは、健診の時期、入園前後、そして就学を迎え、入学後と、子どもの生活する場所の様子や、関わる方々からの意見や助言によって、常に揺れ動きます。ほっとするときもあれば、とても落ち込むようなこともあるでしょう。友達との関わりから学習の様子と、その心配のテーマも年齢や状況によって、変化していきます。診察室での相談もこうした折々の家族の揺れや子どもの育ちの様子によって、相談の間隔が縮まったり、伸びたりします。子どもの様子を見ながら、すこしでも具体的な関わりを提案したり、現状を『この子のそだち』から理解し、その意味を一緒に探ったりしていきます。それ以上に大切なものは、その子が生活する保育所、幼稚園、学校での生活ぶりであり、そこの関係者との関わりだと、僕は思っています。最近は、現場の先生がたの障害察知感覚は、非常に優れていると思いますが、察知したことと、関わり対策の整備には、若干の開きがあるように感じています。発達が心配だから医療機関に相談するように言われてきました、診断がおりれば加配の先生がつくので、今まで以上に細やかな対応ができます、と言われ受診しました、という方もおられます。そもそも親のほうもなんとなく気にされていたので、どこかで「やっぱり」という思いと、ここでの生活がどれほど豊かになるのかは不明なままで医療機関での受診を勧められたことに、不安や不満を抱えながら、診察室にいらっしゃることもあります。特別支援教育がスタートしたころに、僕はあちこちの教育現場の先生方に「発達障害」の研修を行っていました。当時は知的に遅れのない自閉スペクトラム症や、ADHD、またいわゆる学習障害についての理解が決して充分ではなく、教育現場も大きく戸惑っていたと感じています。しかし、当時はそれでも通常学級で、どうやって向き合い教育を提供したらよいのかに尽力していたように思います。当時、学校現場に足を運び、教室の様子を見せてもらい、教師と一緒になって、関わり方を模索していました。それがどうも最近は、いかに個別支援を提供するか、という流れになっているような気がします。診断がつけば、できるだけ配慮し、できるだけ個別に対応し、というような流れになっているように感じています。確かにかつては暗中模索のなかで、子どもたちの関係性にも細やかに対応することが求められ、教師は同じ教室のなかでの対応に疲弊していました。最近は、登校時間を調整したり、クールダウンできる部屋が整備されたりして、個別の対応が強化されているように感じます。最近の子どもたちの言動は、一つの視点では把握できないような複雑な様子を呈してきたような印象もあります。育ちのなかで後天的に形成されるべき関係性が作られにくくなっているようにも感じます。また、家族が抱えている課題も複雑な場合が少なくないように感じます。もっともこれは、それぞれ相談を持ちかけられる医療現場によって、その感覚も異なるかとは思います。ただ、僕の臨床では、子どもと同時に、養育者へも相応の配慮ある支援が強く求められてきたように感じています。親同士、家族全体を視野に入れた、総合的な支援策を検討する必要が求められていると痛感することも少なくありません。実際、子どもの相談を続けている途中、きょうだいや養育者が、当事者として診察を希望される場合が増えてきている印象があります。それぞれが相応の課題を抱え、個々に生きにくさを感じているのかもしれません。こうした複雑な状況のなかで、今目の前の子どもを真ん中にし、保育・教育の現場と養育者、家族との連携が改めて整備されることが求められています。さらに最近では子どもが利用している児童デイサービスなどの機関との連携も求められています。ここに医療がどう関与するか。僕はそれぞれに一定の距離を置いて、それぞれの良さを引き出しながら、折り合いをつけ、できることを大切に、できないことは無理強いしないで、今より、その子が生きやすくなる、楽しくなるような生活作りのために、関係者の連携、むすびめ作りのお手伝いをしたいと思っています。連携に思う僕は、子どもの育ちには、医療だけでは、まったく役不足だと思っています。それ以上に、日々の生活を支えるには他職種の力が必要だと痛快しています。文字通り、総力戦での支援です。そのおかげで、僕は実際同業者よりも多職種者の友人のほうが多くなりました。それでも、最近の多職種者との繋がりにくさには、危機感が募ります。実際に、他の職種の方の守備範囲や力量を知るには、僕も現場に行ったり、お会いしてお考えを聞いたりする必要があります。異職種であるため、僕の常識が通じないという異文化体験もたくさんしました。でもそのおかげで、支援の多様性ということを学ぶことができました。結果的に、同業者よりも他職種の友人のほうが多くなりました。ただ、こうしたことを20年以上行って来て、僕は他職種者との連携の難しさ、むすびめ作りの難しさを痛感し、危機感を募らせています。これは、これまで情で成立していた繋がりの衰退なのか、組織的、構造的なつながりへ移行への狭間なのでしょうか。僕は、つながりあうことへの衰退に成らないことを祈るしかありません。僕が今も大切にしている他職種の方々と手を組み、協働作業をしようとするときの心構えは、以下の7つです。1.互いの職場に足を運び、それぞれの仕事の内容・職場の雰囲気・大変さに身と心を寄せ、できるだけ理解するようにしたい2.相手の職場の仕事に就いた場合を想像したい3.己の職場の専門用語はできるだけ使用せず、日常の言葉で話をすることのないように注意したい4.出会ったときに「ご苦労様。お互い、大変ですね」と声をかけ、相手をねぎらい、くれぐれも、苦言・提言という会話をしない5.関係者の助け合い・支え合いは、支援する方々を支える基になると信じる6.それぞれの専門的立場を尊重し、尊敬したい7.支援する方々の「今の心」、「未来へ向うための生きがい作り」を最も大切にしたい連携とは、単に専門性に裏付けられた技術のやりとりではなく、人と人との関わりから作られるネットワーク、精神的絆(むすびめ)で成り立っていると思っています。そして、傷みを抱え、生活に立ち往生したとき、この見えない絆が、支えてくれることを、僕は身をもって体験してきました。そのなかで、最近生じてきた危機感に、どう関わっていくか、今最大の課題ですが、とりあえず、出会ったときに、いやな感情を相手に生じさせない配慮だけは行い続けたいと思っています。よく養育者の方に、相手とけんかだけはしないようにしましょうね、と伝えていますが、これは、僕自身にもいえることです。また次に会えるために、最初の出会いに心を込めたいと思います。
2021年07月29日Upload By スガカズスガカズ現在4人の子どもを育てているママです。・長男(中2 ASD、ADHD)・次男(小5 ADHD)・長女(年長 定型発達)・三男(年中、定型発達)障害のある子に手がかかることできょうだい児がガマンしすぎていないか?精神面のフォローはどうすればいい?Upload By スガカズスガカズ(以下、――)障害のある子にどうしても手がかかることで、きょうだい児に、例えば注意散漫や自己肯定感の低下など、発達障害に似た症状に陥る事例があると聞いています。親としてそういったことは心配です。実際子育てをする上できょうだい児にガマンさせているだろうという場面が多々あるので…三木先生:どんな場面で、心配だと感じますか。――例えばわが家の場合だと、3番目の子(年長・長女)です。長女は家では口が達者なので上の子たち(障害児)に対して指摘する場面をよく見ます。保育園では下の学年の子たちのお世話を率先して行っているようです。例えば、乳児クラスのお友達の子に靴をはかせてあげていたり。私はそんな様子の長女に感心しましたが、一方で、この子は本来世話好きな性格と言う訳ではなく、普段の生活で『私が頑張らないと』と潜在的に思って無理しているのではないか…と、心配にもなります。三木先生:長女さんだけの時間をとって、タスクオフにするとどう振る舞うのか見てみるのは大事かもしれないですね。それで本当に無理させていないかの温度感を見てみましょう。タスクオフにしてあまりにはしゃぎすぎていると確かに心配ですが、タスクオフでもお世話をするようなら、もともとお世話することが好きだと考えてもいいのではないでしょうか。――ときどき2人の時間をとっています。タスクオフにしてもお世話するタイプです。三木先生:であれば長女さんにとって、お世話をしたり他人に気を遣うことが自然なのかもしれないですね。年齢的に考えても誰かのお世話をしたがる時期でもあります。行動の是非を評価するのではなくて、彼女がしたくてやっていることを認めてあげる、というイメージです。Upload By スガカズきょうだい児を育てる上で親がとる姿勢Upload By スガカズ三木先生:きょうだい児に対しても障害のある子と同様に、普段『この子大丈夫かな?』と思う目線は大事です。子育てでトラブルをゼロにすることは不可能です。トラブルの兆候を早めにキャッチできると早めに対応しやすいので、大きなトラブルにつながりにくいと思います。――ちょっとしたトラブルが起こると、『きょうだい児だからなのか?発達障害の素質があるのか?』と、考えながら毎日子育てしています。発達障害のある子が2人いる時点で『この子は大丈夫だ』とは、まずならないので…三木先生:発達障害の特性があるとしてもどれくらい強く出るかは子どもの環境が影響しますが、長女さんの場合は『そうなのかもな』と頭の隅に置いておくくらいで大丈夫ですよ。スガカズさんはしっかりとお子さんを見ているように感じますので安心して子育てしてもらって大丈夫だと思います。親が頑張りすぎないことが大事Upload By スガカズ三木先生:とはいえ…あまり子どもたちに気を遣いすぎるとお母さんも疲れませんか。――そうですね。ときどき疲れがたまって『もうお母さん今日は何もしません!』という日もあります(笑)三木先生:その方がよいです。頑張りすぎていることに気がつかないで、ある日突然倒れるよりも、自分でオンオフを切り替えられる方が大崩れしにくいです。無理だと感じたら遠慮なく楽をしてください。そんな姿を親が見せることで、頑張り過ぎるタイプの子どもにも『力をぬいてもいいんだ』と理解してもらえるんですよ。Upload By スガカズ障害のある子を育てているお母さんは、きょうだい児に対して「この子の精神面は大丈夫なのだろうか?」「もしかしてこの子も発達障害があるのかも?」など、ふとしたときに心配する経験も多いのではないでしょうか。三木先生は、そんな親の気もちを理解し、ねぎらった上でアドバイスしてくださったので、私自身、目を光らせたり、時には楽をすることは悪いことではないのだと再確認できましたし、きょうだい児との向き合い方も明確になった気がします。
2021年07月26日「怒る」の定義が親と子で違う?ウチノコ(以下、――)むっくんは現在小学2年生。ADHDと自閉スペクトラム症の診断を3歳の時に受けました。感覚過敏もあり周囲からの刺激に対する不安感の強い子なのですが、昔から悩んでいるのが癇癪。怒られるのがいやだ!という恐怖心や怒られたらどうしようという不安から癇癪を起すことが多く、本人の恐怖心や不安をどう取り除いたらいいのか、どう関わってあげたらいいのか悩んでいます。Upload By ウチノコ三木先生:う~ん、なんでだろう。普段怒ることは多いですか?――小さなころは危険な行動の多い子だったので、それなりに叱責はあったけど…診断も早く、早期から対応を学べたので「過度に」というほどでもないかと思います。…でも、例えば「お菓子食べたい」という息子の欲求に対して「ご飯前だからダメ」と私が返すと「怒られた!」と捉えるんですよね。なので、私が思うよりも本人が怒られたと感じる回数はずっと多いかもしれません。三木先生:なるほど「要求が通らない=怒られた」になってしまうんですね。怒った(怒られた)か怒っていない(怒られていない)の定義が親子で統一できていないってことですね。そこは統一した方がいいかもしれないです。――ああ!なるほど!三木先生:本人が「怒られるんじゃないか」と怯えている時に、親側がいくら「怒っていないよ」と伝えたところで、【怒る】の意味がかみ合っていないから伝わらないのでしょうね。だからそれを本人に伝わるようにわかりやすく伝えるというのをやって、怒られたと感じる回数を減らしてみるか…。でも要求が通らないことが嫌なんだよね~。――そうなんですよね…先生のおっしゃる通り「怒った」か「怒ってない」かで親子で言い争いになることが多いので、実は一か月くらい前に「お母さんが怒るときの条件」を紙に書いて壁に貼ってみたんです。ここに書いている内容以外ではお母さんは絶対怒りません!だから安心してって。それで要求が通らない時の反応が穏やかになりました。まぁ効果は2週間くらいで既にマンネリ化してるのですが、そういうことを繰り返していくっていうイメージで合ってますか?Upload By ウチノコ三木先生:そうです!掲示は目新しい方が入りやすいと思うので、その表を数種類作って、2~3週間おきに張り替えて目新しさを維持してみるとマンネリ化を防げるかもしれません。まぁ張り替えでどの程度効果が得られるかは試してみないとわからないのだけど、2度目が初回の7割くらい目新しく感じてくれるといいですね。――ウチノコ:そっか~!それだけでも新鮮になるのですね!三木先生:とは言っても、目新しさが弱かったらまた同じことを伝える新しい方法を探さないといけないので果てしないんですけどね(笑)――ウチノコ:ひぇ~(苦笑)三木先生:まぁ、目先を変えるというのは合うと思います。他にも掲示を左右替えてみたり、色合いを変えたり、紙の縦横を変える、それでも変化になります。どういう変化が合うかはその子によって異なりますが、そういった工夫で伝えたいことを意識しやすくなればいいですよね。Upload By ウチノコ癇癪後に我に返る力を育む――瞬間的に爆発して、暴言などが起きる瞬間はどうしたらいいのでしょう…。結局きっかけの出来事ではなく、爆発中の暴言やらで怒られてしまうので、損しているなって思うんですよね。嘘でいいから黙って悲しそうな顔で下を向いていたら嵐は過ぎ去るのに…三木先生:爆発するその瞬間はどうしようもないです。でも、その後に必ずハッと我に返るタイミングがあるはずです。それが何秒後か、何分後か、どれくらい時間が必要かわからないけど、その時に「今気が付いたね!」と言ってあげる。Upload By ウチノコ――ああ!確かに爆発して私に掴みかかろうとした手を引っ込めることが最近見られます!三木先生:おお!それはすごくいいですね。それを認めて、リピートしてハッと我に返れるようにしていきましょう。そしてあわよくば、ですが我に返った後に元の場所に戻って悲しそうにシュンとする動作をやってみる。――シュンとするは本心でなくてもいいんですよね!三木先生:そうそう!それが、怒られるかもという不安に対するデフォルトの動作になるといいですよね。嫌なことがあったらシュンとする練習を普段からしていくのもいいかもしれません。見た目はちょっとシュールですが。それを「いいねいいね!悲しそうだね。お母さん守ってあげたくなっちゃう!」と褒めておく。――あはは(笑)シュンとできるようになると、すっごく助かりますね。Upload By ウチノコ三木先生:もう我に返るまでは親もどうしようもないし、本人にもどうしようもないんです。とにかく子どもがハッと我に返ったという見極めを親ができるかどうかが大事です。爆発中に声かけをしてもいいけど、無駄だと思うので…。我に返るまではしょうがないなと、本人が怪我などしないように安全にして見守る。そして我に返った後に対応していくしかないのかなと思います。三木先生との対談では、私の持つ情報ををうまく引き出してもらい、先生の言葉で改めて耳から聞くことでむっくんへの理解が深まるという不思議で楽しい時間でした!悩ましい癇癪ですが、先生のアドバイスを参考にできることから一つずつ意識していこうと思います。
2021年07月23日頑張れる場合と、頑張り切れない場合があるその昔、とある実業家の先輩に聞いた話です。その方は、とある仕事で頑張って頑張って頑張って、プロジェクトの終わりのほうで自然と涙が出てきたと。それで初めて「ああ、こんなに涙が出て止まらないほど自分は頑張ったんだな」と思えたそうです。最初から難しいプロジェクトだったので結果は残念なものだったそうなのですが、それでも納得感はあったそうです。僕を含め一定数の人が、このエピソードに対して「やっぱり『やり切る』って大事だよな」と感じたと思います。でも実際には、保護者もお子さんも、頑張りきれずに疲れてしまうことも多いのではないでしょうか。あるいはお子さんが頑張りきれずにいることにたいして、イライラすることもありますよね。それで叱ってしまったり、あるいはもう頑張りきれないところまで頑張って擦り切れて僕たち専門家のところにたどり着く子もいます。世の中には「頑張れたエピソード」があり、でも一方で自分の暮らしの中では「頑張りきれないこと」が溢れています。これって、何が違うのでしょうか?自分が頑張りたいかどうかが分かれ目一つのポイントは「本人が頑張りたくて頑張っているかどうか」です。先の先輩はおそらく、自身がやりたくてたまらないからこそ「自然と涙が出るまで」頑張りきれたのでしょう。僕もありがたいことにいろんなお仕事をいただくようになり、しかも仕事の合間に大学院にも通っていて、そしてこうやって原稿も書き…我ながらよく頑張れているなと思います。しかしこれが「嫌々やらされている」「他人の基準でやると決めた」仕事や勉強だったら、どうだったでしょうか。ここまで頑張れなかったかもしれません。単純化してしまうのは危険ですが、とは言えざっくり、擦り切れてしまう子どもたち、あるいは働きすぎてうつになってしまう人は、「やりすぎている」「自分がやりたくないものをやっている」のかもしれません。擦り切れないために、頑張る対象を絞り込もうとすると、我々は頑張る対象をある程度絞り込んだほうが良いのかもしれません。優先順位の低い家事、やったほうがいいけどやらなくても困らない雑用、気が進まない頼まれごと…。組織に属していたり、コミュニティでの関係性を維持するためには不本意ながらやらなければならないこともたくさんあります。しかし、自分が「やりたい」と思うことの比率をあの手この手で高めていくことに注力するのは一つの方法です。「疲れ」には2種類ある次は、疲れには2種類あるんじゃないかという話です。僕が疲れの違いを実感したエピソードがあります。僕は初期研修の後、小児科医としてキャリアをスタートしました。若手時代は(日にもよりますが)朝から21時や22時まで続けて働くこともありました。そのころは「あ~~疲れた~~~」と思いつつも、スッキリとした気持ちで家に帰ることができました。ところが児童精神科医になり、朝から18時くらいまで働くと、そっちのほうがものすごく疲れるのです。外来が伸びて19時、20時になった日なんて、終わったあとしばらく外来の椅子から立ち上がれないほど消耗していました。「働く時間は減ったのにこんなに疲れるなんて、前と何が違うんだろう?」と思ったとき、一つの仮説にたどりつきます。「疲れの種類が違うんじゃないか?」ということです。あなたの疲れはどっちの疲れ?それは、「体の疲れ」と「心の疲れ」があるのではないか、ということです。小児科医時代は、ある程度想像のつく風邪や肺炎、アレルギーなどパターン化された作業を大量にこなしながら、その中に混ざっている難しい症例の診断と治療に頭を使うような働き方でした。また、外来と病棟と往復したり、広い病棟を歩き回ったり、処置や診察で何回も姿勢を変えたりと、体の動きも多かった。ところが児童精神科医になってからは、基本的に外来診療がメイン。一日中椅子に座って人の話を聞いています。しかも内容は人によって千差万別で、その内容もなかなかに重いものが多い。正解がどこにあるのか分からない闇の中を、一緒にうんうん唸りながらかき分けていく感じです。この「心が擦り減る疲れ」が、疲労感の原因なんだと感じました。つまり、小児科医時代はどちらかというと体力的な疲れです。体は動かしているけど、お昼を食べる時間もそこそこに一日中活動していたことによる疲れ。一方、児童精神科的な疲れとしては、精神心理的な疲れです。さまざまな人の悩みや不安といった感情に触れ、患者さんと一緒にもがき、ぐったりする。そういう疲れです。自分の疲れに必要なのは?体と心の休ませ方、ほぐし方をみつけよう疲れたら休むのはもちろんなのですが、「どう休むか」「どうほぐすか」もけっこう大事かなと思います。先ほどの僕の例は「心が疲れたから、心は空っぽにして体を使う」という解決方法でした。でも人によっては「心が疲れたから、心が癒されるものを眺める」でもいいし、「体が疲れたから、体は休めてクロスワードパズルに熱中する」でもいいかもしれません。休む方法には人に合ったものがあります。自分は何をすると楽になるのかを見つめ直していくのも、疲れをとるヒントになるかもしれません。
2021年07月23日Upload By スガカズスガカズ現在4人の子どもを育てているママです。・長男(中2 ASD、ADHD)・次男(小5 ADHD)・長女(年長 定型発達)・三男(年中、定型発達)定型発達の下の子たちにとって発達障害の上の子たちが良くないお手本に…これって誤学習?解決方法は?Upload By スガカズスガカズ(以下、――):日々障害児と定型児を育てていく中で、「これって誤学習なのでは?」と感じる場面がよくあります。例えば、食事の時間だと、ADHDのある次男は食事に集中できずに遊び始める場面が頻繁にあります。偏食や注意散漫からその日によってごはんの進みが全く違います。下の子たちにとっては次男がお手本となっているようで、同じように立ち歩いて遊び始めるなどで食事に時間がかかってしまいます。Upload By スガカズ三木先生:次男さんに対して黙認状態ではなく、「これは良いこれは悪い」と提示はできていますか。――はい。毎回口酸っぱく伝えています。例えばそれぞれの子のマークを作って机に貼り、「ここがあなたの席だよ。食事中はここで食べようね」「ごはんは30分で終わりだよ」「食事中は遊ばないよ」と伝えていて、下の子たちは「わかった」と返事をします。次男も理解はできています…ですが、結局遊びだすことが多く、30分で終わりません。簡潔に「30分過ぎたから片づけるね」と言うと次男は納得するんですが下の子たちは「食べたい!」と言って泣きだすし…仕方なく「10分だけだよ」と言って延長しますがその繰り返しで多くて1時間かかる日も…。さらに、上の子たち(障害児)のこだわりは『食卓におもちゃをもっていくこと』…。それを奪うと逆に集中できなかったり言い合いに発展するので、結果落ち着いて食事をする環境を作れていません。三木先生:つまり実際のところ、「時間は守らなくてもいい」と言うような形になってしまっているんですね。――そうですね…三木先生:うーん…まぁ、現状難しいと思います。だって好ましくない見本が目の前にあるわけですから。上の子と下の子の食事の時間をずらすなどの対応もあると思いますが、そうすると別の問題(母親のタスクが増える)が出てきますからね。「できる」「わかる」どちらを優先したらいい?Upload By スガカズ三木先生:ADHDのある次男くんのように、高学年だったらもう理解と自制がある程度伴なっているので、食べなければ片づければいいと思いますが、下のお子さんたちはまだ幼く、行動が伴わない年齢なので、難しいですね。この年の子(未就学〜低学年)は、『できる』より『わかる』を大事にした方がいいです。もちろん「なんだかよく分からないけどやる→褒められる→行動が定着」と言った『できる』を優先して成功するルートもあります。でも今のこの場合でしたら大事なのは『枠の提示』ですね。――『できる』より『わかる』ですか…『わかる』はできていそうなのですが、実際子育てする上で『できる』に目がいきがちです。三木先生:できることを求めだすと毎日がげんなりして過ごすことになるので、そこは一旦3~5年後くらいに「ごはんって、ちゃんと座って食べるよね」と運用実行できることにゴールを置いた方が現実的じゃないでしょうか。メッセージ(枠の提示)とできるは即イコールにならないことが多いです。今は60~90分など長時間になってないだけ一旦OKとしてあげていいと思います。逆に年中さん年長さんでちゃんとできていると心配だなと。下のお子さんたちは充分がんばっているんじゃないでしょうかね。――確かに…生活する上で、きょうだい2人とも『がんばっているな』と感じる場面も多いです。3番目の子(長女 年長)は、特にがんばり屋さんな面もあります。誤学習の確認方法は?今回は食事中でのできごとでの悩みについてお話しましたが、「これって誤学習じゃない?」と感じる機会がとても多いわが家…。誤学習かどうかの確認についても三木先生からアドバイスをいただけました。Upload By スガカズ三木先生:誤学習の心配については、下2人が「お兄ちゃんだってぐだぐだしてるじゃん」と心底思っているか聞いてみても良いかもしれないですね。――「お兄ちゃんずるい」「ボクも!」「私も!」と言う機会はよく目にします。三木先生:それが理念ベースで言っているのかエクスキューズ(言い訳)から言っているのかの違いがわかればいいですね。うらやましさから言ってるのであれば、「うらやましいのはわかるよ。でも本当はわかってるよね?」でOKです。外でできることは基本的に「できる」とみなしてOKです。――それでいうとエクスキューズ(言い訳)なのかもしれません。保育園では座って給食を食べているのに、家では違っているので、オンオフを切り換えていそうです…。三木先生:であれば、状況理解と自覚が整えばできるということですね。家で食事に時間がかかったとしても多少目をつむってあげてもいいと思います。感想きょうだい児の誤学習を心配していた私。現実問題上の子と下の子を育てる上で誤学習に繋がりそうな機会はとても多いです。ですが、そんな中でもきょうだい児たちはがんばっていると再確認…。親が心配する気もちが、「誤学習にならないようにしないと…」「物事の良し悪しを正しく理解してもらわないと…」と、肩に力が入っていたのでしょう。短期的に解決させる問題ではないので、「『今できなくても仕方ない』と割り切る」「枠の提示はくずさない」「緊急性がないものに関しては3~5年後をゴールに置く」ことを大事にしようと思いました。
2021年07月22日塗りムラや塗り残しがない日焼け止めの塗り方とは2021年7月15日、皮フ科医の梶田尚美氏は「おすすめの日焼け止めの塗り方」というタイトルで自身のオフィシャルブログを更新。塗りムラ、塗り残しがない日焼け止めの塗り方を紹介している。梶田氏は日焼け止めは少しずつ指先に出して、顔全体に点塗りしていくことを推奨。こめかみや鼻下も忘れずに点塗りした後は、点塗りした日焼け止めを1つずつらせんを描くように延ばしていく。らせん塗りが終わったら、まっすぐ、横に引き上げるようにして肌になじませていく。梶田氏曰く、日焼け止めを同じ方向だけに塗ると、塗りムラや塗り残しができやすいという。塗りムラや塗り残しを防ぐためにも、らせん塗り後に、引き上げ塗りをするのがおすすめだ。皮フ科クリニックの院長を務めている梶田尚美氏梶田尚美氏は岐阜県出身。愛知医科大学を卒業後、同大学の皮フ科に入局。大雄会病院皮フ科や一宮西病院皮フ科で経験を積んだ後、2005年に5月になおみ皮フ科クリニックを開院する。なおみ皮フ科クリニックの住所は岐阜県岐阜市神田町9-2、電話番号は058-265-0703。同院では、アトピー性皮膚炎やじんましんなどについて受診する一般皮フ科(保険診療)と、しみ、肝斑、くま、しわなどに対応する美容皮フ科(自費診療)を用意している。(画像は梶田尚美オフィシャルブログ「Dr703の休診時間」より)【参考】※梶田尚美オフィシャルブログ「Dr703の休診時間」※なおみ皮フ科クリニック
2021年07月19日多くのママが「育児が大変! つらい!」と思うことについて、3児の母である小児科医がラクになる方法をアドバイス! ママ目線で「ここまでならラクしてOK」というポイントをお伝えします。今回は【母乳育児編】です。授乳、おむつ替え、抱っこに寝かしつけ……赤ちゃんのお世話はやることがたくさん! 「育児を楽しむ余裕なんてない」「いつもお世話や家事に追われている」と感じたら、頑張りすぎているのかもしれません。毎日の育児を笑顔で楽しく続けられるように、ほんの少し肩の力を抜いて、ラクをしてみませんか? 多くのママたちが大変と感じているお世話のなかで「この育児はしなくて大丈夫」「ここまでならラクをしてOK」というポイントを、小児科医であり、3児の母でもあるさくらんぼこどもクリニックの三日市薫先生が紹介します。今回は母乳育児編です! 育児を完璧にこなすことよりママが笑顔でいられることが大事 こんにちは。さくらんぼこどもクリニックの三日市です。「育児でラクをする」というと、抵抗を持たれるお母さんもいるかもしれません。しかし、ママたちに余裕がなくなってイライラすると、赤ちゃんも不安になって泣いたりグズったりと、悪循環になってしまいます。家事や育児を完璧にこなすことよりも、お母さんが常に笑顔でいられるためにはどうすれば良いかを大事にしてください。 とはいえ、赤ちゃんのお世話をする以上、守るべきボーダーラインはあります。 第一は衛生面です。決して神経質になる必要はありませんが、やはり清潔を保つことは大事です。 もう1つは安全面です。赤ちゃんの手の届く範囲に危険な物を置いていないか、足がかりになるようなものを置いていないか、などです。衛生面や安全面に気を配るためにも、適度に息抜きをして疲れすぎないことが大切なのです。 ここが大変①:授乳の回数が多くてつらい! 3カ月以降なら「泣いたら授乳」は見直してみて生後3カ月を過ぎると、一度に飲む量も増えて授乳回数が減ってきます。もし生後3カ月以降で「泣いたらすぐ授乳」を続けているのであれば、そろそろ見直してみましょう。おっぱいを吸って泣き止むのは、おなかが空いている場合のほかに、赤ちゃんの原始反射の1つであり、物が口に入ると吸う「吸啜(きゅうてつ)反射」による場合もあります。 吸っている間は泣き止むので、「おっぱいが欲しかったから泣いていたんだ」とママが錯覚しているのかもしれません。おむつの濡れ具合やお部屋の温度を確認したり、抱っこやおもちゃであやすなどほかの方法を試してみましょう。 5カ月になると間隔が空くから自然とラクに!また、ちょこちょこ飲むというのは、大人にしてみると常に食べているのと同じこと。そうすると空腹感がなくなり、まとまった量を飲めなくなってしまいます。次に飲むまでの時間をきちんと空けてあげることが、赤ちゃんの生活リズムを整えるためにも大切です。生後5カ月以降になり離乳食が始まると間隔も空いてくるはずなので、焦らずに取り組みましょう。 夜は起こしてまで授乳しなくてOK夜の授乳は、赤ちゃんが寝ていたら起こしてまでおこなう必要はありません。寝ている間は、赤ちゃんにとって成長するホルモンが分泌されている大切な時間。体重の増えが悪くてしっかり飲ませてくださいとお医者さんに言われない限りは、ゆっくり寝かせてあげましょう。 ここが大変②:授乳をすると体のあちこちが痛い…たくさん密着すると授乳体勢がラクに授乳の際の抱き方を工夫してみましょう。横抱きやフットボール抱き、添い乳などさまざまな授乳の体勢がありますが、いずれもポイントは、赤ちゃんと体を密着させるように意識することです。授乳の時間は赤ちゃんの様子が気になって体が離れがちになります。皮膚と皮膚が触れ合う面積が増えるほど、赤ちゃんは温もりを感じて安心するし、お母さん自身の体勢も安定してラクになります。 神経質にならず腕全体で赤ちゃんを包み込んでみてまた、特に赤ちゃんの首がすわっていない間は、首を守ろうとしてご自身の腕や手首を痛める方が多いですが、基本的にそこまで神経質になる必要はありません。手首や腕の一部でなんとかしようとせず、腕全体で包み込むようにしましょう。 ここが大変③:母乳のために毎日栄養バランスの良い食事は無理!総菜パンやレトルト食品などに頼って自炊にこだわらず、大変なときは惣菜パンやお弁当、レトルト食品に頼りましょう。極端に偏食をする人でなければ、そこまで過敏にならなくても大丈夫です。タンパク質がとれる冷奴や納豆、野菜がとれる具だくさんのスープなど、不足している栄養分を手軽に補える一品を常備・作り置きしておけば献立がラクになります。サプリは過剰摂取による健康被害が出ているケースもあり、医師としては基本的におすすめしません。栄養は食事から補給するようにしましょう。 また、栄養のほかに大切なのは水分です。母乳の約90%は水分でできており、水分が不足すると母乳の量などにも影響します。1日に2L以上を目安に、しっかり飲むように心がけてくださいね。 まとめ月齢が低いころは頻回授乳で大変な日が続きますが、生後5カ月ごろから離乳食が始まるとだんだんと授乳の回数も減り、1歳を過ぎれば卒乳へと向けて負担も減ってきます。特に母乳育児の場合はお母さんの負担が多くなりますが、ほかの家事をお父さんや家族に協力してもらうなど、少しでもラクになる方法を探してみてくださいね。 監修者:医師 さくらんぼこどもクリニック院長 三日市 薫 先生東京女子医科大学卒業、東京大学医学部附属病院、日本赤十字社医療センター、川崎市の保健所勤務などを経て、東京・府中市にさくらんぼこどもクリニックを開院。3人のお子さんをもつ母親でもあり、地域の方々と一緒に病気を考え、子育てができる環境づくりに励んでいる。著者:ライター 大浦綾子2015年8月生まれの男児の母。出版社勤務を経てフリーの編集・ライターに。「夜の寝かしつけ後に仕事を残さない!」を目標に日々奮闘中。
2021年07月01日3児のママ小児科医で、高円寺こどもクリニック院長の保田典子先生に、ママたちが気になることを聞ける人気企画。今回は、離乳食を始める前の赤ちゃんに麦茶を飲ませたほうがいいかどうか悩むママたちの悩みについて、解説してもらいました。こんにちは、小児科医の保田典子です。最近よく外来で乳児のママに「子どもが麦茶を飲まないんです」と相談されることが増えてきました。 暑くなってきたし、脱水になりやすいから麦茶を飲ませなきゃ!と思ってしまいますが、実は麦茶は飲ませなくて大丈夫です。今回は赤ちゃんの麦茶事情について解説します。 赤ちゃんに麦茶は、必要ありません市販の赤ちゃん用麦茶には、よく「生後1カ月から」と書いてあります。なので、1カ月健診が終わったころから麦茶をあげるのは間違いではありません。 ですが、医学的には「いつから」というのは決まっていません。それは、離乳食を始める前の赤ちゃんは、母乳か育児用ミルク以外の水分は基本的に必要ないとされているからです。白湯も同様で、離乳食前の赤ちゃんには必要ありません。なので、正しくは「生後1カ月から可能だけど、通常生後5〜6カ月から飲むことを考慮」します。生後5〜6カ月でも、離乳食と母乳か育児用ミルクだけで大丈夫なので、基本的に麦茶を飲ませなくてはいけない時期というのはありません。 夏の水分補給はどうする? 夏でも、赤ちゃんは母乳か育児用ミルクだけで大丈夫です。乳児であれば、3〜5時間おきには水分(母乳か育児用ミルク)を摂取しているので、過酷な環境にいるわけでもないときにはいつもの母乳か育児用ミルクで大丈夫です。 汗が増えるので、多少おしっこが濃いように感じても、“欲しがるときに母乳か育児用ミルク”が摂取できていれば他の水分はいりません。私の場合、家にいるときは母乳か育児用ミルクだけにしていて、外に遊びに行くときに麦茶を準備していました。水分を欲しがるたびにおっぱいや育児用ミルクの準備をするのが面倒だったからです(基本めんどくさがりなので)。 もちろん、赤ちゃんは「のど渇いた」とは言ってくれないので、こまめにあげてみて、「飲まなければいいや」という感じでした。もちろん、外出中でも授乳のほうが適切だなと思うタイミングでは授乳にしていました。 幼児は水か麦茶で水分摂取を!幼児になると母乳や育児用ミルクよりも食事からの栄養摂取がメインになり、母乳や育児用ミルク以外にも水分摂取をする必要が高くなります。水分摂取にはジュースやイオン飲料は使用しないほうがいいので、自然とお水や麦茶、牛乳などを飲むことになります。牛乳も飲み過ぎは注意なので、水や麦茶をメインに水分摂取を考えていただけるといいと思います。 監修者・著者:医師 高円寺こどもクリニック院長 保田典子 先生2003年筑波大学医学部卒業、国立国際医療センター、大阪市立総合医療センター小児循環器内科勤務を経て、2014年東京女子医科大学大学院博士課程修了後現職。小児科専門医。一般診療、小児循環器診療に加えて、漢方治療や発達相談にも対応している。2021年、高円寺こどもクリニック開院。3児の母。
2021年06月17日失恋は本当につらいもの。大事な彼氏を失ってしまったら、胸が張り裂けそうになりますよね。でも、失恋休暇なんてものはないですから、変わらず日常生活を送っていかないといけない……。とても残酷な現実です。一刻も早く失恋の傷から癒えるためには、どうしたらいいのでしょう?精神科医の視点から、つらい失恋から少しでも早く立ち直るためのコツをお伝えします。■ 失恋はかなりつらいもの大事なものを失ってしまう体験を「喪失体験」といいます。失ったものが大きいほど、喪失体験はあなたの心に傷を残してしまうもの。失恋のあと、涙がずっとこぼれてとまらないなんてことも珍しくありません。メンタルクリニックで診療をしていると、気分が落ち込んで戻らないとか、寝むれないとか、いろいろな訴えを持った人が来ます。そして、ゆっくりお話を聞くと「失恋が原因かもしれません……」と教えてくれることがよくあります。最初にそれを言えないのは、「失恋くらい大したことではない」という思いがあるからでしょう。でも、失恋の苦しみは、自然な心の動きです。それから目を背ける必要もないし、恥ずかしく思う必要もない。彼氏を全力で愛していたあなたを誇りに思ってあげてよいのです。■ 「立ち直る」とは?立ち直るというのは、つぎの恋愛に向かう・前彼とよりを戻す・ほかのなにかに打ち込むなど、失恋に縛られず自由になることです。後悔は、あなたを縛り付けてしまいます。恋愛には、間違いなんてないのですから、力の限り恋愛していた過去のあなたを認めてあげてください。また、立ち直らなきゃいけないと焦り、必死にもがくことも、自分を苦しめてしまいます。急ぐ必要はありませんし、立ち直れないほど苦しいこともあっていいのです。それは、今のあなたの心を作り上げている大事な一部なのですから。立ち直れない、今の自分もひっくるめて認めて、許してあげましょう。よく頑張った自分、あのとき泣いた自分、笑っていた自分、すべてあなたが全力で恋をした証です。つらいかもしれませんが、その経験が今のあなたを作っているのですよ。■ 自分を労わることが大切恋愛がうまくいかないとき、あなたには、どうしようもないことがたくさんあります。すれ違いや勘違い、そして出会うタイミングもあります。恋愛がうまくいかないと自分を責めてしまいますが、忘れてはいけないのは「恋愛はあなたひとりで、作り上げていくものではない」ということ。彼氏とうまくいかなかったとしても、それはあなただけのせいではないのです。後悔はどうしても出てきます。でもその恋愛で、あなたは一生懸命、必死に頑張って、その場で一番いいと思った方法を選んだのです。それでいいので、頑張った自分を、褒めてあげてください。これは難しいことですが、あなた自身を許してあげることは、立ち直る最初の一歩。まずは、自身を労ってあげましょう。■ 自分自身を認める立ち直るためのコツは、まず、ありのままの自分自身を認めてあげること。とても難しく感じるかもしれませんが、実はとても単純なことです。苦しいときは泣いてもいいし、笑うときは笑ってもいい。それができたとき、あなたは恋愛から立ち直ったな、と思えることでしょう。(秋佳珠/精神科医)(愛カツ編集部)presented by愛カツ ()
2021年06月11日仕事での学校との出会い僕が最初に「学校」というものに触れたのは、児童精神科医として勤務しはじめてすぐのころでした。当たり前ですが、発達障害や不登校の子どもは学校でも困ったことが発生します。ですから、患者さんが先生方やスクールカウンセラーと一緒に外来を受診することもありました。ところが、僕が小学校を卒業したのはその時点で20年以上前です。外来で話を聞いても「この子が困っている学校って、そもそもどんな場所だったっけな…」とあまりうまく想像ができませんでした。そこで「現場では実際にどう困っているのか」に興味が湧き、折に触れて「学校に行ってみたいです」という話をしていました。学校から仕事が来たそんなことをあちこちで言っていると、少しずつですが学校から仕事の依頼を頂くようになりました。教員向けの研修講師や、ケースのコンサルティング(困っている子どもの様子を観察して教員にアドバイスする仕事)です。そうやって少しだけ学校に出入りするようになった僕は、そこで3つのことを感じました。1 先生たちは納得していない2 自分で見ないと分からないことがある3 やっぱり学校は良い場所だ学校で仕事をして気づいたこと研修では一般的な話もしますし、質問があった場合には具体的なケースの対応策などもお話しします。熱意があって前向きな先生は一生懸命聞いてくださるのですが、全体研修ではそんな先生ばかりではありません。うしろのほうで眠そうにしているベテランの先生や、明らかに興味のなさそうな管理職の先生もおられました。僕が国立病院の医師として「外部講師」に招かれ、話をしている限り、研修を受けても意識は変わらないんだろうなと思いました。その場では「貴重なお話をありがとうございました」とお礼を言ってくださっても、職員室では「あんなことできるわけない」と話しているのではないかと。そこで僕は「外の人」ではなく「中の人」になればいいんじゃないかと思ったのです。先生方がなぜ興味が持てないのか、なぜ納得できないのか、どうすればできるようになるのか。僕が外から偉そうなことを言ってるだけではだめなのではないかと。学校の様子は、診療中には子ども本人や保護者の方から伺います。しかし、見たことのないものは想像することができません。先ほども書きましたが、僕が自分の学校に行っていたのは20年前の話で、しかもいま働いている場所ではありません。時代も地域も違う学校のことを想像するのは難しい。実際に見てみた学校では「授業中立ち歩くってこういうことか」「この位置関係だと先生が個別に指示するのは難しいな」など、現場を見るからこそ気づくこともたくさんありました。僕が学校に行ってみた一番の感想は「学校は良いところだ」です。たくさんの子どもたちが生活を紡いでいて、彼らの成長を願っている大人たちが一生懸命に働いている。一見つまらなく感じるかもしれないような、小さなこと一つひとつを大人と子どもがお互いの視点から悩み、より良い人生になることを願っている。こういう「素敵な祈り」がある場所に、もっと触れていたいなと感じました。学校の「中の人」になりたいそんなエピソードもあり、僕は学校の「中の人」になる方法はないかと考えました。そうやって悶々としていたある日、友達のスクールカウンセラーから「精神科医はスクールカウンセラー採用試験の受験資格あるよ」という話を聞きました。なぜ採用対象に医師が入っているのかは謎でしたが、一も二もなく採用試験に申し込み、無事に東京都教育委員会に採用されました。中の人になってみて思うのは、やはり現場を知らずにコメントをしても実効的ではないということ。そとからの「こうあるべき」と学校現場がマッチしないことはしばしばありますし、全体の流れの中でしか分からないこともあります。定期的に見ているからこそ分かることや、先生たちの考え方、思い、できることとできないこと。教育行政のカタさや、一方でどういう方法ならその難しさをクリアできるのかなど、新しい学びがたくさんあります。(詳しくは次回以降で触れられればと思います)また、実際に働いてみると学校現場は楽しく、生き生きとしたものだと感じています。(ただ、子どもたちのエネルギーを浴びてものすごく疲れますが…笑)※厳密にはスクールカウンセラーは「学校の中の人」ではない立ち位置なのですが、僕的には「中の人=学校で定期的に働いてる人」でいいかな、という整理です。とにかく学校はいい!しつこいようですが、学校というのは本当に素敵な場所です。たくさんの大人が、たくさんの子どもの成長と幸せを願っています。(保護者の方によってはそうは思えないこともあると思いますが、基本的には学校関係者は善良で前向きな方が圧倒的に多いと思います)そういう場に身を置くことによって、また僕自身も子どもたちの未来に思いを馳せられる。誰かの暮らしの中で働くと、こういう楽しみがあるのだなと感じています。
2021年06月01日こんにちは。3人の子どもを子育て中の小児科医、保田典子です。最近、汗ばむ日も増えてきて、虫刺されの相談も増えてきました。赤ちゃんや子どもは蚊に刺されやすい感じがしますよね。なるべく虫刺されを増やさないために、親がしてあげられることをお伝えできたらと思います。 赤ちゃんは蚊に刺されやすいって本当?蚊は二酸化炭素やにおい、体温を感知して吸血をするとされています。つまり、運動や飲酒によって二酸化炭素を多く吐き出していたり、汗をたくさんかいていたり、体温が高い人が刺されやすいそうです。足の常在菌の種類が多いと刺されやすい、という研究もあります。 赤ちゃんや子どもは体温が高く、汗もよくかくことから、蚊に刺されやすいと考えられます。 感染症による後遺症、死亡例も蚊に刺されるとかゆくなりますよね。かゆいことでQOL(生活の質)が悪くなってしまいます。かきむしると、虫刺されや湿疹などをかきこわし、その傷口に細菌が感染する「とびひ」の原因になることもあります。 特に生まれたばかりの赤ちゃんはあまり症状がひどくならないのですが、幼児期は人生の中で一番かゆみや腫れが強くでやすい時期です。 「蚊アレルギー」と呼ばれますが、少し腫れるだけでは済まず、腕全体がパンパンに腫れてしまったり、水疱ができて痛みを伴ったりしてしまう人もいます。ひどいと発熱してしまう人もまれにいます。こうした症状が見られたら、すぐに受診してください。 さらに怖いのは、かゆみや腫れだけでなく、蚊を介してデング熱やジカ熱、日本脳炎といった感染症に感染してしまうことです。デング熱は高熱や嘔吐などの症状が出るほか、重症化すると死に至ることがあるので、早期受診が必要です(※注1)。 日本脳炎は突然の高熱、頭痛、嘔吐などを引き起こす病気で、発症すると後遺症が残ることもある感染症です(※注2)。対症療法が中心となるため、「蚊に刺されないための対策」と「予防接種」の予防が大切です。まずは蚊に刺されないことが大事!一番確実なのは虫よけを使うことです。虫よけ成分に含まれる「ディート」は、塗っていればほぼ蚊が皮膚に止まるのを予防できます。ただし、小さい赤ちゃんへの使用制限が定められています。 赤ちゃんが小さいためディートを使えない、もしくは使いたくない場合は、赤ちゃん用のハーブなどを使った虫よけや、使用回数などに制限がない「イカリジン」という成分を含んだ虫よけもあります。市販の虫よけ商品を購入する際は、お子さんの月齢などにあわせて、有効成分を確認すると良いでしょう。 他にできることとしては、蚊はボーダーや黒い色に集まってきやすいため、白い長そでの洋服を着ることでもある程度予防になります。ただ、汗をかくと蚊が寄ってきやすいため、薄手のものにしましょう。足の臭いを抑える、菌の繁殖を抑えるという意味では、お風呂で足の裏を石けんなどでしっかり洗うことも予防になるかもしれません。簡単にできるので、ぜひお風呂で楽しみながらやってみてください。蚊に刺されてしまったら子どもが蚊に刺されても、特にかゆがっているなどなければ特に処置をする必要はありません。自然に腫れがひくのを待ちましょう。かゆがっていて、特にお薬などがない場合は、冷やすとかゆみが抑えられるのでやってみてください。 かきむしってしまう場合は市販のお薬でもいいですし、効果が足りないと感じる場合はかかりつけ医に受診しましょう。水疱ができて痛がっている、かいてしまってとびひになりそう、刺されたところ全体が腫れるなどの場合も受診が必要です。 子どもは「かかないで」と言ってもかいてしまうことも多いので、とびひにならないように爪を短く切っておくことも大切です。 今の時期から蚊の対策をしっかりと!まだ本格的に蚊がたくさんいる時期ではありませんが、もう蚊は飛んでいます。蚊に刺されないためにずっと家にいるのは子どもの発達や精神衛生上良くありません。外出する際は、虫よけや服装など対策をしっかりしましょう。 もし、刺されてしまってもかきむしったり、ひどく腫れたりするなどの反応がでなければ、あまり気にしなくて大丈夫。刺されない方法や刺されたときの対処法を事前に知っておくことで、慌てずに対処できます。ぜひ試してみてください。 ※注1:厚生労働省デング熱について※注2:厚生労働省日本脳炎監修者・著者:医師 高円寺こどもクリニック院長 保田典子 先生2003年筑波大学医学部卒業、国立国際医療センター、大阪市立総合医療センター小児循環器内科勤務を経て、2014年東京女子医科大学大学院博士課程修了後現職。小児科専門医。一般診療、小児循環器診療に加えて、漢方治療や発達相談にも対応している。2021年、高円寺こどもクリニック開院。3児の母。
2021年05月30日精神科へ行くとき発達が気になるわが子のことで、保護者の方が精神科に相談に行こう!と思っても、「診察でどんなことを相談したらよいのだろう」と迷っていたり、困っていたりしているのではないかと思います。あるいは連れて行くわが子になんと言ったらよいかと思っているかもしれません。ここでは、発達が気になる子どもの保護者の方が精神科に行くことについて、ちょっと考えてみたいと思います。そのうえで精神科でできることについてもすこし考えてみました。そもそも、受診前の保護者の思いは?とても前向きです。おそらくすでにいろいろと学ばれ、ある程度は医療的にどういった診断がつくかも想定されているかもしれません。そのうえで、自身も家族もきちんと理解したうえで、できれば関係者と手を携え、わが子のそだちを応援していきたい、という思いがあるのでしょう。その場合は、医療はきちんとその子の発達の様子を聞き取り、どういった関わりをしていくことが、よりよいかを一緒に相談し、可能な範囲で周辺の関係者とも連携をしていくことになるでしょう。でも…どんなに学んでも、どれほど頑張ろうとしても、本当は、わが子の思いに寄り添い、理解して関わりたい、それが一番の望みではないでしょうか。診断が付いた、関わりも整理できた、味方も得た。でも…本当は気になるわが子がなにを感じて、どう思って日々を送っているか、それが知りたいと思っているのではないかと思ったりしています。確かにわが子の様子も気になるが、まだなにを相談したいか、あるいはもう少しそだちの様子をみてから判断したいと思っている。でも、まだあれができない、これが遅い、あれが心配、これをどうしたら、と言われると、なにもしていない保護者のように思われているような気がする。医療に行ってなんになるという思いと、行くことで、わが子の様子がある程度はっきりするのかもしれない、という揺れる思いでいるかもしれません。だから…なんとなく、今いろいろなことがはっきりしてしまうことに、その後になにをしたらよいのかに、ただちょっと不安だったりしています。家族でも、段々と育っていくのではないかと、いう話になったり、周囲の様子を見て焦ったり、日々揺れています。だから…自分が、これをはっきりさせたいと思ってしまうと、どんどん、待ったなしでことが進んでしまうのではないかと、不安ばかりです。でも…もし、相談に行って、この揺れる思いがちょっと落ち着いて、わが子のそだちに向き合えるようなことになれば、いいなと思っているかもしれません。だから…きっと保護者として知りたいのは、わが子に今なにをすることができるのか、するべきなのか、という示唆なのではないかと思います。そもそも精神科ではなにをしてくれるの?上記のように、保護者はそれぞれ複雑な思いを抱えています。診断もさることながら、わが子にどう関わっていくべきかを知りたい、そして周囲にも理解してもらいたいという思いは一緒かもしれません。精神科は医療のひとつなので、当然病気を治すことに力点を置いてはいます。でもその一方で、困っていることを整理して、ちょっと生活をよくしたいと思う方々へのお手伝いもするところです。つまり、日々の生活をすこしでも過ごしやすくすることです。そのために、もつれているような糸を、一緒にほぐしたいと思っています。もつれは、保護者とわが子の関わりにあるかもしれません。保護者同士、家庭内にもつれがある場合もあります。関係者ともつれているかもしれません。わが子が他の子どもたちとの間でもつれている場合もあるでしょう。それは、それぞれによって異なります。そのもつれをほぐすために、医師は、その子の思いに想像を巡らし、保護者、関係者の思いに近づくために、面接をします。面接や心理検査、いろいろな情報を取得して、その子の言動や考え方を理解しようとします。一見奇妙に見える言動も、こちらの思いが届いていないように見える様子にも、一定の仮説を立てていきます。ひょっとしてこの子は、こんな風に物事を感じて、あんな風に考えているのかもしれないな、と想像し、日々の現実から検証します。想像が外れたら、また別の想定をして、できるだけその子の思いに近づこうとします。その過程で保護者や関係者が感じている、その子理解との検証をしていきます。ある人のその子理解と、別な人の理解は決して同じではないでしょう。かんしゃくを起こした子がいます。ある人はお腹がすいて不機嫌なんだと思うかもしれません。また別の人は好きなメニューでないから、また別の人は早く家にかえりたいから、他にも、さっきの遊びが思うように行かなかったからと、それぞれがその子の思いを代弁します。でも本人はちょっと眠たかったけどそれをうまく言葉で伝えられず、そしてちょっと寝ていいよと、誰も言ってくれないので、かんしゃくを起こした。でもそれは、その子が『眠たい』と言わない限り、なかなかわかり得ないことです。決めつける前に、いろいろとこれまでの経験から一緒に協力して推測する情報交換することで、その子理解は深まります。曖昧ななかでも精神科に相談しようと思った時点で、なにかしら漠然とした思いが保護者にはあるはずです。その思いを言葉にすることで、徐々に輪郭をはっきりとさせて、曖昧な相談が確認したい項目へと整理されていきます。診察室で大切にしていることできるだけ個々の不安や心配事に近づき、整理するお手伝いをしていきたいのです。でもその思いは個々に異なります。両親が来たときも、それぞれの保護者が不安に感じていることは別々なものです。保護者が発達の気になる子どもをつれて受診されたとき、僕は子どもに向かって「今日ここに来ることを、どんな風に説明されたの?」と確認します。ほとんどの子どもは、首をかしげます。「聞いていないのかもしれないね」、「ここは、生活しているなかで困ったこと、いやなこと、心配なこと、相談したいと思っていることを相談する場所なんだ」と伝えます。「もしかして、お父さんやお母さんが、なにか君が相談したいことがあると感じたのかもしれないね」と付け加えることもあります。いずれにしても、多くの子どもは、最初は「ないよ」と話します。初対面の大人に、気楽にべらべらと相談できるほうが、心配な位ですから、僕は「ないか、よかった。今はない。でも、もしこれからなにかあったら、相談しようね。ここはそのための場所だから」と伝えます。「じゃ、同じように今日はお父さんやお母さんからも、心配なことがあれば相談したいので、ちょっと待っていてね」と、子どもにはプレイルームへ移動してもらいます。もっとも、切羽詰まっている子どもの場合は、最初の関わりでたくさんの困りごとを語ることもあります。その場合は、診察室での面接を続けていきます。プレイルームに移動した場合でも、スタッフと遊びながら、ちょっと困ったことを口をしたりすることもあります。そのときは、スタッフは、それを相談したらいいんだよと後押しします。診察室では保護者の困りごとを聞きます。発達のうえで「気になっている」ところ、そして今日、受診するまでにあった思いを聞き取り感じ取りたいと思います。診察室は、子どもの、そして保護者の、今困っているこが語られるところです。そうしたことが、できるだけ肩の力が抜けて相談できるよう、環境、雰囲気を大切にしたいと思っています。精神科は生活相談する場所でもあります。生活相談は多種多彩です。漫画(ドラマ化もされた)『深夜食堂』のマスターの台詞に「できるものなら、なんでもつくるよ」というのがあります。生活相談も「できるだけのことはするよ」というようなことです。同時に子どもたちや保護者、関係者にも「できることはしてね」と思っています。できること、でいいのです。
2021年05月25日私にはかかりつけの婦人科があります。ネットや口コミでいろいろ調べて決めた、というよりはたまたま近くにあったから行き始めた総合病院の婦人科です。そこでひとりで診察されているのが、おじいちゃん婦人科医。いつ行っても空いている印象ですが、この見た目がサンタのようなおじいちゃん医師を私はとても信頼します。その理由は……。 産後の生理の再開を当ててびっくり!初診のきっかけは、生理とは関係のない時期に出血が続いたことで何かの病気かと心配になったこと。その病院を選んだ理由は、「家から一番近くにあったから」でした。診察の結果、思いがけず妊娠が判明したため、このときはそれ以上通うことはなく、お産を扱っているほかの病院へ紹介状を書いてもらいました。 その後無事出産し、慣れない子育てに奮闘していたある日のこと。ひどい下腹部痛が続いたことが気になり、私は妊娠判明したとき以来、久しぶりにおじいちゃん医師のいるその病院を受診しました。 すると、おじいちゃん医師はややのんびりとエコーを見たあと、「あと3日ぐらいで生理が再開すると思うから様子を見ましょう。そのときは、いつもより量が多かったり色が黒かったりするかもしれないね」と言われました。 特に薬が出るわけでもなかったので、ちょっと不安に思いながら過ごしたのですが、3日後、本当に黒ずんだ出血があり、生理が再開しました。そして「おじいちゃん医師の言った通りだ!」とびっくりしたのです。 検診で次の生理も当てた!それからしばらくして、子宮がん検診を受ける機会がありました。集団検診の日は都合がつかなかったので、自分でかかりつけの婦人科を予約。いつものおじいちゃん医師に診てもらいました。 するとやはりゆっくりとエコーを見たあと「今日か明日中には生理があると思うよ。細胞を取るから、ちょっと出血が長引くかもしれないからね」とのこと。 私は、いつも通りの生理周期であれば、生理が始まるのは来週ぐらいだったので、私はちょっと驚き、半信半疑でした。しかし、以前のことがあるので「この医師に言われたことなら当たるかも」と、ちょっと楽しみにしていたところ、なんと翌日生理が始まったのです。 次の検診もおじいちゃん医師に二度も言い当てられるとと、だんだんと診てもらうのが楽しみになってしまい、翌々年の検診のときも、同じ婦人科を予約しました。サンタさんのようだった大きな姿がちょっぴり小さくなった感じがするおじいちゃん医師。やはりエコーをゆっくりと丁寧に見てくれました。 そして、今度は自分から「次の生理っていつぐらいになりそうですか?」ときいてみると、「来週かな……5日から7日後ぐらい」という返事。 私は今回も当たるかな?と楽しみにしていましたが、5日後に生理は始まらず……。今回ははずれかなと思っていたら……ぴったり7日後にやってきました。 患者さんの生理周期をぴたりと当てる、これが普通のことなのかはどうかわかりません。聞けば、子宮をエコーで診ることによって、婦人科医はだいたいの生理日を予想することができるのだそうです。ゆっくり丁寧に診察をしてもらえるうえに、生理日をぴたりと当てるおじいちゃん医師の診察は、私にとってちょっとわくわく感があり、憂うつになりがちな検診が楽しみに変わっていきました。おじいちゃん医師には、これからも元気でいていただきたいです。 ムーンカレンダー編集室では、女性の体を知って、毎月をもっとラクに快適に、女性の一生をサポートする記事を配信しています。すべての女性の毎日がもっとラクに楽しくなりますように! 監修/助産師REIKO--------著者/oniko
2021年05月04日