姿勢維持のサポートグッズを試すもうまくいかず…ゆきみ(以下、ーー):小学2年生、自閉スペクトラム症のある長男けんとは、姿勢維持が苦手。食事のときは、まっすぐな姿勢で食べていられることが多いのですが、それ以外のときは椅子に座ると姿勢が悪くなってしまいます。特別支援学級での授業を見学させていただくと、机に伏せてしまったり、座面に膝をのせてエビぞりのような姿勢をとったり、あぐらをかいたり…と、まっすぐに座れている時間がとても少なかったのです。通っている学校の交流級での授業は、姿勢維持を大事にされているようで、サポートをしてくださる先生が、2~3分間に1回くらいの頻度で姿勢を正していました。Upload By ゆきみ学校から「姿勢の維持が難しいです」と何度も指摘があり、インターネットや本で調べて、いくつかのサポートグッズや対策方法を試してみました。骨盤サポートクッションを購入したり、椅子の足に「踏む感覚」を得られるゴムひものようなものを張ってみたり、小さなツブツブのついたバランスクッションを敷いてみたりしました。今もそれらを愛用していますが、それでも姿勢を維持するのが難しい現状です。さらに何かやれることはあると思いますか?何をどうしたらいいのか、もう分かりません。Upload By ゆきみ100%ではなくても…まずは環境調整をしてみましょう野田先生:すでにいろいろ試されたようなので、一周まわっている前提でお答えさせていただきます。姿勢が崩れやすい理由や背景はさまざまです。例えば、・人間には筋肉の緊張をとらえるセンサーがあり、ある程度、適切な筋肉の張りを自動的に保てるようになっているのですが、張りを保つのに努力が必要で、疲れやすい人がいる。・感覚的に姿勢が崩れていることに気づきにくい人がいる。・椅子と机の高さがあっていないなど、適切な大きさや形の道具を使えていない場合がある。・学習レベルが合っていない場合がある。難しくて分からない、つまらない、だと姿勢を保ちにくい。・多動性や衝動性が高く、じっとしているのが難しかったり、ちょっとした刺激で動いてしまったりする。など。姿勢が崩れることにはお子さまなりの理由があることを理解し、対応方法を考えることが大切です。アプローチの方法としては…・椅子や机の高さが身体に合っているか、確認する。・環境調整という意味でいうと、椅子に滑り止めシートを敷くと、頑張らなくても腰が椅子の前の方に滑りにくくなり、姿勢維持が楽になることがある。(クッションを使用する場合、クッションが滑るようならクッションの下に敷き、身体が滑るようならクッションの上に敷く)・感覚を求める傾向がある場合、足元に人工芝などの感覚刺激を入れられるものを置いてみると、感覚が入り落ち着く子どももいる。・合理的に立ってもいい時間をつくる。例えば授業中、答案用紙を教室の後ろや廊下に貼り、答え合わせをしに席を立つ時間をあえてつくることで、立つことへの感覚を満たすことができるのです。ほかにも、机上の勉強の前にトランポリンなどで5分ほど身体を動かすと、椅子に座れる時間が長くなるお子さんもいらっしゃいます。Upload By ゆきみ環境調整によって、無理のない形で座れる状況をつくり、適応的な形で身体を動かせる機会や環境をつくることが大切です。100%ではなくても、うまく場面を選んで姿勢を変えられればいいですね。すぐにできるように、というより…ーー:低緊張などで姿勢を維持するのが苦手な方は、今後もずっとこのままなのですか?野田先生:もともと筋肉の張りが緩めという可能性もありますが、「思春期に入り身体が大きくなって筋肉がついた」、「スポーツを始めた」など、身体の発達、経験でも変わってきますので必ずしも現状から変わらないわけではありません。Upload By ゆきみーー:身体を動かすことが大切なんですね?野田先生:手押し相撲、つなひき、手押し車、座りながらキャッチボール、マットを登るなどの遊びの中で体幹を使う場面を増やしてあげると、支えがしっかりしてくる可能性もあります。ただし、姿勢を保つための身体の変化には時間がかかります。「すぐにできるように」というよりも、特性を理解したうえで、「将来的には身体の成長やスポーツの経験などで少しずつ身体が変化することで、もしかしたら今よりも楽に姿勢維持ができるようになるかもしれない」と頭に入れながら、今は環境調整や遊びなどできるところから取り組まれたらいいと思います。ーー:ごはんのときだけ姿勢が崩れにくいのは理由があるのでしょうか?野田先生:活動の種類に応じたモチベーションの違いが関連しているのかもしれませんね。また、人は自然とその人にとっての合理的な動作や姿勢をとることが多いです。けんとさんの場合、ごはんを食べるときの道具の使い方や口にもってくる動作が、姿勢を保つことにフィットしているのかもしれませんね。対談を終えて対談後、家では滑り止めシートを試してみました。様子を見ていると骨盤サポートクッションからお尻がずり落ちている印象だったので、上側に敷くことに。以前よりズリズリ前にいかなくなり、姿勢をまっすぐできる時間が長くなった気がします。ほかにも身体を動かしてから勉強をしてみたり、途中で身体を動かす時間をつくるようにしています。最近、自ら椅子の前にバランスボールを持ってきて、足をのせてビョンビョンさせているときがあります。もしかしたら好みの感覚なのかもしれません。Upload By ゆきみけんとは人の話を聞くことが苦手です。学校の授業では「聞く」ことが多く、モチベーションを保つことが難しいのかなと思います。最近はテストのときや、書写で字をキレイに書く場面では、自ら姿勢をキレイにしてやり始めることがあるそうなので、持久力はないけれど「やらないといけないときはやる」と思うようになってきたのかもしれません。身体の使い方を遊びの中で身につけていくことで、天気がいい日はアスレチックのある公園へ行くようにしています。先生からの教えを胸に、「すぐできるように」というより、「いつかできるように…」という気持ちでやっていこうと思います。執筆/ゆきみコラム内では、現在一般的に使用される障害名・疾患名で表記をしていますが、2013年に公開された米国精神医学会が作成する、精神疾患・精神障害の分類マニュアルDSM-5などをもとに、日本小児神経学会などでは「障害」という表記ではなく、「~症」と表現されるようになりました。現在は下記の表現になっています。神経発達症発達障害の名称で呼ばれていましたが、現在は神経発達症と呼ばれるようになりました。知的発達症(知的障害)、自閉スペクトラム症、注意欠如・多動症、コミュニケーション症群、限局性学習症、チック症群、発達性協調運動症、常同運動症が含まれます。※発達障害者支援法において、発達障害の定義の中に知的発達症(知的能力障害)は含まれないため、神経発達症のほうが発達障害よりも広い概念になります。知的発達症知的障害の名称で呼ばれていましたが、現在は知的発達症と呼ばれるようになりました。論理的思考、問題解決、計画、抽象的思考、判断、などの知的能力の困難性、そのことによる生活面の適応困難によって特徴づけられます。程度に応じて軽度、中等度、重度に分類されます。ASD(自閉スペクトラム症)自閉症、高機能自閉症、広汎性発達障害、アスペルガー(Asperger)症候群などのいろいろな名称で呼ばれていたものがまとめて表現されるようになりました。ASDはAutism Spectrum Disorderの略。ADHD(注意欠如・多動症)注意欠陥・多動性障害の名称で呼ばれていましたが、現在はADHD、注意欠如・多動症と呼ばれるようになりました。ADHDはAttention-Deficit Hyperactivity Disorderの略。ADHDはさらに、不注意優勢に存在するADHD、多動・衝動性優勢に存在するADHD、混合に存在するADHDと呼ばれるようになりました。今までの「ADHD~型」という表現はなくなりましたが、一部では現在も使われています。SLD(限局性学習症)LD、学習障害、などの名称で呼ばれていましたが、現在はSLD、限局性学習症と呼ばれるようになりました。SLDはSpecific Learning Disorderの略。
2023年06月26日気温が高い日が増えてくると、気を付けていても熱中症になる人が増加します。本格的な暑さを迎える前に知っておきたい、熱中症や夏バテで体調を崩さないための対策について、女医の筆者がお伝えします。雨の日は熱中症にならない?熱中症と聞くと、晴れた日や暑い日になりやすいとイメージする方が多いかもしれません。しかし、雨の日でも熱中症になる可能性は十分あります。原因として考えられるのは、次の3つです。1.湿度の高さ雨の日は湿度が上昇します。湿度が高いと汗が蒸発しにくくなり、体温調節が困難に。これが、熱中症を引き起こす原因になることがあるのです。2.服装や行動が適切ではない通気性の悪い雨具を着用すると、体温が上がりやすくなります。また、雨を避けるために換気の悪い場所に長時間いると、体温調節が難しくなることも。このような服装や行動は、熱中症を引き起こす可能性があります。3.自己認識の誤り「雨の日は涼しいから大丈夫」と、熱中症対策を怠る方は多いもの。そのような自己認識の誤りも、熱中症につながりかねません。雨の日であっても、体温調節に注意を払い、こまめに水分補給することが大切なのです。雨の日も熱中症対策は必要熱中症の原因は気温だけではなく、湿度や体調、行動なども影響します。特に、女性は月経周期によってホルモンバランスが変化することから、タイミングによっては体調に影響しやすい場合も。雨の日だからといって油断せず、熱中症対策を怠らないようにしましょう。気を付けたい! 熱中症の初期症状熱中症の初期症状は自覚しにくいこともありますが、次のような症状が出る場合は注意が必要です。頭痛脱水症状や体温調整障害による熱中症の初期症状で、頭痛が起こることがあります。めまいや立ちくらみ血流が低下し、脳への血液供給量が不足すると、めまいや立ちくらみを感じることがあります。だるさや倦怠感体が重だるく感じたり、疲れやすくなったりすることも、熱中症のサインです。食欲不振暑さで食欲が落ちることはありますが、食欲不振が続く場合は、体がストレスを感じている可能性があります。喉の渇き喉の渇きは脱水のサイン。水分補給が不足すると、熱中症のリスクが高まります。異常な発汗や発汗の停止汗をかきすぎる場合や、全く汗をかかない場合は、体温調整機能が正常に働いていない可能性があります。夏バテにも気をつけて!暑さで体が熱くなると、体をしっかりと冷やすために、多くのエネルギーを消耗します。これによって体力が消耗されると、倦怠感や食欲不振などの症状が出てくるのです。また、汗には塩分も含まれ、汗をかくと水分と塩分が失われます。特に、短時間に多量の汗をかくときほど、たくさんの塩分を失います。その結果、体内の水分・塩分バランスが崩れ、頭痛やめまいなどの症状が出たりするのです。この状態が続くと夏バテにもつながり、気付かない間に不調を引き起こしてしまうことがあります。熱中症や夏バテを防ぐ方法夏の暑さは避けられませんが、日頃から体力をつけておくことで暑さに対抗できます。大切なのは、なんといっても運動と食事の2つ。ここからは、具体的におすすめの対策を解説します。運動私たちの体は、汗をかくことで体温調整を行っています。日頃から運動する習慣をつけて、しっかりと汗をかける体づくりをしましょう。具体的には、ウォーキングや水泳、ヨガなどを早朝や夕方の涼しい時間帯に行うと効果的です。食事食欲がないときには、フルーツなど食べやすいもので栄養補給を。また、暑い時期は汗で大量の水分を失うため、こまめな水分補給が必要です。特に運動や外出時、食事のときなどは積極的に水分を取りましょう。水だけでなく、スポーツドリンクなどもおすすめです。ただし、味付けのために糖分が添加されているものも多いので、摂りすぎには注意しましょう。汗をかくと塩分も失われるため、暑い日に野外で活動をする場合は、梅干しを食べたり、味噌や醤油、ソースといった塩味を少し濃い目にしたりするなど、適度な塩分補給が大切です。無理せず夏を楽しむために暑い夏が近づくにつれ、体力の消耗や水分・塩分の不足によって熱中症や夏バテなどが起こりやすくなります。しかし、適度な運動とバランスの良い食事、こまめな水分・塩分補給により、体調を整えていくことができます。暑い時期も健康に過ごすために、これらの対策をぜひ実践してみてください。自分でできる対策に取り組み、暑い夏を乗り切りましょう。©︎Pheelings Media/gettyimages©︎ImagesBazaar/South_agency/Almaje/gettyimages筆者情報ママ女医ちえこ(産婦人科医)産婦人科専門医であり、プライベートでは3人の子どもを育てる母。2020年からはYouTuberとしても活躍し、性教育としての医学情報や健康情報を中心に、女性が自分の体について考えるきっかけになる専門性を生かした情報を発信。現在のチャンネル登録者数は14万人を超える。著書に『子宮にいいこと大全 産婦人科医が教える、オトナ女子のセルフケア』(KADOKAWA)、『医師がすすめる エビデンスベースの「体にいい」食習慣』(クロスメディア・パブリッシング(インプレス))がある。YouTube:女医ちえこ産婦人科専門医/ママ女医ちえこ
2023年06月25日もうすぐ夏本番を迎え、注意しなくてはいけないのが熱中症です。最悪の場合、命を落とす危険性のある熱中症ですが、どのような対策をすることで防ぐことができるのでしょうか?JFA医学委員会の「スポーツ救命部会」の部会員で、東京オリンピックサッカー男子日本代表チームドクター、いわきFCのチームドクターとしても活動する福島理文先生(順天堂大学循環器内科准教授)に、「熱中症対策」について話をうかがいました。夏に屋外で活動するサッカー関係者、必読の内容です。(取材・文鈴木智之)<<関連記事:【梅雨時期も要注意】気温30度以下でもなる熱中症-知って防ぐ熱中症の正しい知識-サカイク公式LINEアカウントで子どもを伸ばす親の心得をお届け!■熱中症の症状熱中症とは、高温や湿度の高い環境に長時間いることで、体内の熱を外に逃がす調節機能が働かなくなった結果、体の熱が上がりすぎたり、体温が調節できなくなる状態を言います。熱中症の症状としては、以下のような症状が起きます。・めまい・吐き気・頭痛・失神・筋肉痛・筋肉の硬直・大量の汗・倦怠感(だるさ)・虚脱感(無気力になること)進行すると意識障害やけいれん、手足の運動障害などが起きます。なかでも気をつけたいのが、子どもの熱中症です。福島先生は「運動中の熱中症の多くが、10代の子どもたちなんです」と注意を呼びかけます。「サッカーの会場で熱中症になり、頭痛を訴える子やピッチで吐いてしまう子、ひどくなると、自分の力で飲み物を飲むことができない子などがいます。子どもは汗をかく機能が未発達で、更に小さなお子さんの場合は、背が低い分地面から強烈な照り返しを受けてしまうので注意が必要です」子どもの場合、熱中症に対する知識が少なく、大人ほどこまめに水分をとらないことや、積極的に日陰に入らないといったことも影響しています。大人が目を配り、声をかけてあげるのが良さそうです。サッカーする子どもを伸ばす親の心得「サカイク10か条」とは■湿度と風に注目!マスクしながらの運動は熱中症リスクが上がる熱中症対策の目安にしたいのが、WBGTと呼ばれる暑さ指数です。湿度、日射・輻射など周辺の熱環境、気温からなる指標で、サッカーの現場では専用の器械で計測しています。「熱中症というと、強烈な日差しや高い気温の下でなりやすいイメージがあると思いますが、湿度の高さも関係します。湿度が高いときや風が弱いとき、無風のときは、身体から熱を放散しにくくなり、体温が上がりやすくなってしまうのです」炎天下でマスクを着用するのも、熱中症のリスクがあるようです。「口元をマスクで覆うと、通気性が悪く酸素も取り込みづらくなり、二酸化炭素を吐き出しにくくなります。また、乾燥しにくいので、水分をとることを先延ばしにしてしまうこともあります。熱中症対策の観点からは、夏の暑い屋外では、マスクを外すことをおすすめします」■スポーツドリンクで水分と栄養を摂取熱中症対策として、サッカーの活動中に大切なことが2つあります。それが水分補給と身体冷却です。水分には大きく分けて水、スポーツドリンク、経口補水液と3種類ありますが、福島先生は「汗を大量にかくと、ナトリウムやカリウムが失われるので、それらが含まれているスポーツドリンクや経口補水液が望ましい」と言います。「スポーツドリンクにはブドウ糖も入っているので、エネルギーの補給になり、水分や塩分を効率的に吸収しやすくなります。経口補水液はナトリウムやカリウムの濃度がスポーツドリンクよりも高いので、熱中症になりそうな場面で使用すると良いと思います。クエン酸が含まれているものだと、疲労回復にも適しています」身体を冷やすことも、熱中症対策として効果があるようです。「選手の人数分、氷を用意するのはなかなか難しいことなので、水をかけてうちわで扇ぐだけでも効果があると思います。水分の蒸発とともに熱が体から逃げていくので効果があります。動脈や静脈がたくさん集まっている手のひらや足を冷やすのは特に効果的なので、バケツに氷水を作って手を入れたり、凍っている保冷剤を手で持つのも、身体を冷やす効果が期待できます」■衣類で熱から身体を守る、目を守るためにサングラスも日光を長時間浴びると、日焼けをし、疲労を感じます。それを防ぐために、帽子やインナーを着用するのも、熱中症対策として効果的なようです。「帽子は直射日光を防ぐことができますし、熱を放散しやすい素材で作られている、長袖のインナーを着ることで、直射日光をガードできます。インナーは汗を吸収し、通気性の良い素材のものを選ぶといいでしょう」大人の場合、目から入る紫外線にも気をつけたいもの。とくに長時間グラウンドにいる指導者にとって、目の健康を守ることはとても大切です。「将来的に視力が落ちるリスクを考えると、目を守ることはすごく重要です。指導者の方のように、毎日グラウンドに出て、強烈な日差しを浴びる環境に長時間いる人は、UVカットのサングラスをかけたほうがいいと思います」以上が、サッカーの現場でできる、熱中症対策の主な方法です。そして、熱中症対策でなにより大切なのは健康管理だそう。とくに睡眠不足や朝食をとっておらずエネルギーが不足している状態で激しい運動をすると、熱中症のリスクが高まるので、規則正しい生活を心がけましょう。「睡眠はとても大切です。睡眠不足だと体力が落ち、熱中症のリスクが高まります。しっかり睡眠時間を確保し、栄養をとること。その上で水分補給や身体冷却などを活用していただければと思います。」暑い夏を健康に乗り切り、サッカー選手としてレベルアップするためにも、健康管理を見過ごすことはできません。親子で体調に目を向けて安全に活動し、"成長の夏"を過ごしましょう!サッカーする子どもを伸ばす親の心得「サカイク10か条」とは
2023年06月23日大変すぎるショッピング。でも、家に置いていくわけにもいかず...うちの凸凹きょうだいのお兄ちゃんタケル(ASD・現在22歳)は、3歳ごろから非常に顕著に発達障害の特性が表れていました。興奮すると走り出してしまったり、ボリュームの調整が効かず大声を上げたり、また他人の声がうるさいと機嫌が悪くなったりします。そんなタケルを連れていくとなると、ショッピングモールやデパートはまさに「鬼門」。しかし、家に置いていくわけにもいかないのです...。発達障害3歳息子は、車から降りた瞬間に走り出す一般的な話でも、親子でショッピングに行ったときに子どもが手から離れたり、逃げ出したりすることはありますが、わが家の場合はその頻度が違います。Upload By 寺島ヒロ当時はよく「買い物してるときでも子どものことはちゃんと見てなさい!」とか、「手を放しちゃだめって厳しく言っておかないと!」などと言われていましたが、そんなレベルじゃーないのです。駐車場に停めた車から降りた瞬間に走り出すので、鍵をかけている親は初速で負けます。もちろん息子の後を追いかけはするのですが、そのまま迷子になってしまうことも少なくありませんでした。「走るな!」と言っても通じない!?困ったのは、タケルに「走るな!」と言っても全く通じないことです。タケルは普段は人の言うことをよく聞く、むしろ厳格にルールを守る性格なのですが、なぜかこの件についてだけは例外のようです。「走っちゃダメ!」と言うと一瞬は立ち止まるのですが、また何か見つけると走っていってしまいます。「〇〇するな!」と禁止するような言葉だと、次にどうするのがいいか判断がつかないこともあるという話を聞いて、「足音がしないように歩いて!」と指示を変えたこともありますが、これもダメでした。走ってはいけないところの「基準」を教えてみたら...そしてタケルが5歳になったころ、ふと、広いショッピングモールやデパートは公園みたいなものと思っているのかもしれないと思い、「まずどこかに到着したら上を見て!屋根のあるところでは走っちゃダメ!」と教えてみました。すると、ぱったりと...というわけにはいきませんでしたが、急に走りだすことがなくなり、1ヶ月が過ぎるころには全くお店で走らなくなりました!走ってはいけないところの「基準」がはっきりしたからなのか、たまたま丁度「お店で走ってはいけない」が理解できるようになった時期だったからなのかは分かりませんが...とにかく、買い物に来て汗だくで子どもを追いかけまわす日々からは卒業できました。自分のペースで動けないとストレスが溜まるほかにも、私が商品を見たくて立ち止まったりすると、頻繁に「もう帰りた~い!」とぐずったり、機嫌が悪くなったりすることがありました。私も子どもとの買い物はサッサと済ませたいので、それほど長い時間立ち止まっているわけではないのですが、立ち止まると目を三角にして服の裾を引っ張り始めます。当時のタケルは「買い物」もよく分からないし、私が「買うものを吟味してる」ってことも理解していないので、立ち止まる度に「予定変更!?」とイライラしていたようです。移動するなら同じペースで歩きたい、目的地まで一気に行きたいというこだわりもあったのかなと思います。Upload By 寺島ヒロ急に限界が来てしまうまた、さっきまではしゃいでいたのに、急に身体がぐんにゃりと倒れてしまうようなこともありました。感覚過敏のあるわが子は、お店の明るさや人ごみで疲れやすいのですが、自分がどれぐらい疲れているかは分かりにくいので、知らないうちに限界が来てしまうのです。売り場の中で動けなくなってしまったときは引っ張り出すのも、そこから家に帰るのも一苦労でした。発達障害のあるわが子とのショッピングは、特別なトラブルがなくても親は常に緊張を強いられます。最近は、車椅子(動けなくなった子どもを運ぶ!)を貸し出してくれるショッピングモールも増えてきましたが、クワイエットタイムや、センサリールームの設置などももっと広まると良いなあと思います。執筆/寺島ヒロ(監修:藤井先生)買い物先で落ち着かないので、外出ができないという相談をよく伺います。禁止するような言葉ではなく、適切な行動を具体的に伝える言葉かけで行動が変わることもありますが、寺島ヒロさんが書いているように、全てのお子さんに効果があるわけではありません。どの範囲で走り回ってはいけないのかというルールを、分かりやすく具体的に伝えたのがよかったようですね。クワイエットタイムとは、問題行動が起きた場所から少し離れて、座って静かにするように指示し、短時間の静かな時間を過ごして、元の活動に戻すようにします。そのようなやり方が一般的に広まると、家庭だけでなく、園や学校、買い物先でも、過ごしやすくなると思います。コラム内では、現在一般的に使用される障害名・疾患名で表記をしていますが、2013年に公開された米国精神医学会が作成する、精神疾患・精神障害の分類マニュアルDSM-5などをもとに、日本小児神経学会などでは「障害」という表記ではなく、「~症」と表現されるようになりました。現在は下記の表現になっています。神経発達症発達障害の名称で呼ばれていましたが、現在は神経発達症と呼ばれるようになりました。知的発達症(知的障害)、自閉スペクトラム症、注意欠如・多動症、コミュニケーション症群、限局性学習症、チック症群、発達性協調運動症、常同運動症が含まれます。※発達障害者支援法において、発達障害の定義の中に知的発達症(知的能力障害)は含まれないため、神経発達症のほうが発達障害よりも広い概念になります。知的発達症知的障害の名称で呼ばれていましたが、現在は知的発達症と呼ばれるようになりました。論理的思考、問題解決、計画、抽象的思考、判断、などの知的能力の困難性、そのことによる生活面の適応困難によって特徴づけられます。程度に応じて軽度、中等度、重度に分類されます。ASD(自閉スペクトラム症)自閉症、高機能自閉症、広汎性発達障害、アスペルガー(Asperger)症候群などのいろいろな名称で呼ばれていたものがまとめて表現されるようになりました。ASDはAutism Spectrum Disorderの略。ADHD(注意欠如・多動症)注意欠陥・多動性障害の名称で呼ばれていましたが、現在はADHD、注意欠如・多動症と呼ばれるようになりました。ADHDはAttention-Deficit Hyperactivity Disorderの略。ADHDはさらに、不注意優勢に存在するADHD、多動・衝動性優勢に存在するADHD、混合に存在するADHDと呼ばれるようになりました。今までの「ADHD~型」という表現はなくなりましたが、一部では現在も使われています。SLD(限局性学習症)LD、学習障害、などの名称で呼ばれていましたが、現在はSLD、限局性学習症と呼ばれるようになりました。SLDはSpecific Learning Disorderの略。
2023年06月23日もしかしたら「自閉スペクトラム症(アスペルガー症候群)」かもしれないと気付いたゆーとぴあさんの体験を描いたマンガを紹介します。次男が通う療育園の面談をきっかけに自分自身は「自閉スペクトラム症(アスペルガー症候群)」なのではないかと思うようになったゆーとぴあさん。そんなゆーとぴあさんは25歳のときにテレビ番組を見て、自分は「自閉スペクトラム症(アスペルガー症候群)」かもしれないと思っていたのだとか。子どもの定期検診の際、思い切って医師に聞いてみたところ……。★前の話困らないなら診断はいらない?子どものころから忘れ物が多かったり、片付けが苦手だったというゆーとぴあさん。大人になってからも忘れ物でたびたび子どもたちに迷惑をかけてしまうことがありました。自分は自閉スペクトラム症(アスペルガー症候群)かもしれなと思いながら病院へは行っていなかったゆーとぴあさんは、子どもの定期検診で医師に相談をすることに。そこで医師からかけられた言葉は、意外なものでした。次男が通う療育園で忘れ物が多過ぎると指摘されてしまったことを機に、自分自身について見つめ直すことにしてみました。私は子どものころから片付けが苦手だったり忘れ物が多く、母から「ちょっと変な子」と言われることもありました。私自身はかなり悩んだりもしたのですが、自閉スペクトラム症(アスペルガー症候群)の可能性に気付いたのは25歳のとき。ただ、可能性に気付いても病院に行ったりすることはなく……時間だけが過ぎていきました。次男は発達障害を持っているため、定期的に診察を受けています。ついでに私のことについても先生に聞いてみると恐らくADHD(注意欠如・多動症)だと言われました。先生は「別に私生活でそこまで困らないなら、診断とかしなくていいと思いますよ」とあっさり言いました。忘れ物が多いと子どもたちの生活にも支障が出るので困っていると話すも「私もよく忘れます、ADHD(注意欠如・多動症)なので」と笑顔で返されてしまいました。先生いわく、世の中に完璧な人はいないし、私のようなママのほうが家庭の雰囲気が良くなるかもしれないこと。発達障害でも活躍している人はたくさんいると先生はやさしく諭すように、気にすることはないと私に伝えてくれました。私生活でどうにもならないほど困るということはありませんし、正式に診断されたからといって治るものでもない……。先生の言うこともわかりますが、それでも自分のことを知りたい! という気持ちが心の奥底にはあり、診断をしてほしいとは思いながらもどうするべきなのか今も少し迷っています。-----------------自分が「自閉スペクトラム症(アスペルガー症候群)」かもしれないことを思い切って相談してみたゆーとぴあさん。自らもADHD(注意欠如・多動症)だという先生は、ゆーとぴあさんの気持ちに寄り添ってくれるやさしい先生でした。長年特性や症状に悩み続けてきたゆーとぴあさんが、自分のことを知りたいという気持ちが膨らんでいくのも自然なことではないでしょうか。先生だけではなく、一緒に暮らす家族ともよく話し合って、不安が少しでも減るといいですね。※記事の内容は公開当時の情報であり、現在と異なる場合があります。記事の内容は個人の感想です。※本記事の内容は、必ずしもすべての状況にあてはまるとは限りません。必要に応じて医師や専門家に相談するなど、ご自身の責任と判断によって適切なご対応をお願いいたします。監修/芙和せら先生(一般社団法人芙和せら心理研究所代表理事)公認心理師(国家資格)、シニア産業カウンセラーなどの資格を多数所有。世界初となるフラワー心理セラピーを創始し、芸術療法を中心とした心のケアをおこなっている。「すべての人の心を大切にすること」をモットーに活動している。【芙和先生からのアドバイス】ADHD(注意欠如・多動症)などの発達障害は問診だけではなく、さまざまな検査をおこない診断を下します。問診を受けただけでは「発達障害の傾向がある」ということしかわかりませんので、正式な診断を受けたい場合は検査も受けるようにしてください。著者/ゆーとぴあ主にインスタとブログで実話を元としたマンガを描いています! 発達障害やその他難病、児童相談所などのテーマを取り上げています。
2023年06月21日2歳半で自閉スペクトラム症、ADHD、中度発達遅滞の診断を受けた娘現在小4の娘は2歳半で自閉スペクトラム症、ADHD、中度発達遅滞の診断を受けました。娘は普段はおっとりさんで、学校などで友達が泣いたりすると励ましたりそばにいる優しい性格です。ですが、聴覚、嗅覚、視覚過敏で神経質な面もあり、特に聴覚過敏については人の声で苦手なトーンがあるらしく、一時担任だった女の先生の声がつらく、声のボリュームを低くしてほしいとお願いしたが、「〇〇(娘)さんとは仲良しだから大丈夫です」と聞き入れてもらえず一時期不登校になったことも。また、不安になりやすく「もしお友達に意地悪されたらどうする?」「髪を引っ張られたらどうする?」などを毎日のように聞いてきたりもします。今回はそんな娘が5歳のとき、帰省の移動中に起きたトラブルのお話です。障害のある娘との帰省の道のりはいつも大変!心掛けていたこと家から20キロほど離れた義実家に帰省したときのことです。基本的に帰省は夫の車で移動します。娘は不安が強いので、電車移動にすると振動、音、周囲の人の臭い、声などに反応して落ち着きがなくなり、あと一駅我慢すれば着くのに…というところで我慢ができずに下車をして、義父もしくは義母に迎えにきてもらうこともしばしばありました。また、車で行ったとしても、途中で夫がいつもと違う道を走ると「どこに行くの?」とパニックになってしまうこともありました。なので、事前にどこに行くのかなどはしっかりと伝えるようにしているのですが、知っている場所に行くと分かれば分かったで、安心からか道中何度も「どこ行く?」と聞いてきます。基本的にはおやつを食べて一人でしゃべっているのですが、夫が運転中、渋滞にイライラして子どもに対し大声で叱責したりすると、パニックを起こしてしまいます。運転席を蹴る、窓に顔や頭をぶつけあざができる、おやつを投げる…パニック状態になった娘は手がつけられなくなってしまうのです。娘が安心して過ごせるように、出かけるときにはおやつ、飲み物を持参し、車内では好きな歌をかけて、娘にとって居心地のいい空間になるよう工夫が欠かせません。好きな絵本を持っていき休憩中に読む、タブレットで好きなキャラを見せる、童謡を一緒に歌い、手遊びをして笑顔は忘れず到着まで娘が崩れないようにと、母である私はできる限りのことはしてやろうと、頑張っていました。Upload By ユーザー体験談道の駅での休憩中、おばあさんからの暴言に娘は…そんな帰省の道中、休憩のために道の駅に入りました。娘は多動の特性もあり、道の駅で走り回ったり、(視力がよくないので)興味のあるものに対して近づいて見たり、少し大きな声で私に何度も質問をしてきました。娘の声が騒がしかったのでしょうか。高齢のおばあさん数名が娘に対して「なんだこの子は?」と話していました。その様子を見て私は娘に注意をし、そばから離れようとしていたのに「親のしつけがなってないから、こういう子どもが増えるんだ」と大きな声で私たちに聞こえるように話しはじめました。何度も繰り返し言われたので、私はその方たちに娘の特性の説明と、不快に感じられたことに対して謝罪しました。ですが、許してくれませんでした。すると私の憤りや悔しさ、怒りが伝わってしまったのか、娘が激しい癇癪を起こしてしまいました。私は焦りましたが、夫はそばにいたのに他人のふり…クールダウンさせたくても良い場所が見つからず、落ち着きを取り戻せない娘をなんとか引きずりながら、やっとのことでその場を立ち去りました。Upload By ユーザー体験談おばあさんからの暴言がトラウマに。放課後等デイサービスも拒否するようになり、私はうつに…娘はその一件で傷ついてしまい、高齢の方を見ると怖がるようになってしまいました。よく挨拶をする近所の高齢者の方にもかわいがってもらっていたのに、怖がって泣いてしまうように…。近くの公園にも、犬の散歩にも行けなくなってしまいました。当時利用していた放課後等デイサービスは、高齢者も一緒に過ごすタイプだったのですが、道の駅で会ったおばあさんに背格好が似ている人や、声の大きな方に会うと走って逃げだすことを繰り返し、放課後等デイサービスに行くことさえ拒絶するようになりました。当時の私は両親の介護と育児からくる過労で入院をした経験もあり、レスパイトもかねてデイの利用を主治医からすすめられ、ようやく紹介してもらって通えるようになった放課後等デイサービスでした。そこに行けなくなった結果、両親の介護と娘のサポートでいっぱいいっぱいとなってしまいました。娘に対しても真摯に向き合えなくなり、うつと診断されました。Upload By ユーザー体験談意を決して義母に説明。義母の言葉は…このようなことがあり、もう義実家に行くことはやめようと思いました。義実家自体に不満などはないので、夫にこの経緯を義両親に話して欲しいと言ったら即答で断られたので私が意を決して電話で伝えました。義母も「うちで何かあった?」と心配してくれていたので、こういった経緯で子どもに無理をさせたくないと伝えると納得してくれ、「自分の息子(夫)も似たようなエピソードがあったよ」と教えてくれ、「あなたは二人分(夫と子ども)、子育てしているようなもの、偉いよ」と励ましてくれました。また、義両親から「こちらに来てもらうのは大変だろうから、自分たちが遊びに行ってもいいか」と聞かれたので、そうしてもらえるとありがたいと伝えました。娘は義父母に懐いていたので、家に義父母が遊びに来てくれると大喜び!高齢者を見るとパニックを起こしていた娘ですが、義両親に対しては拒否感は全くなく、変わらず室内では楽しそうに遊んでいました。Upload By ユーザー体験談今でも忘れられない道の駅での出来事と小4になった娘の現在小4の現在は、娘も自分で選択ができるようになってきたので本人が「おばあちゃんの家に遊びに行きたい」と言ったらいつでも帰省したいと思っています。(ただ、夫の兄弟や義父の兄弟が帰省している時期ではなく人が極力少ない時期になってしまうとは思いますが…)道の駅で、私たちに注意をしたおばあさんにとっては、のんびり休憩したい気持ちがあったのだろうと思います。ですが、ほんの少しでも小さな子どもへの優しい気持ちを持ち続けていてほしかったです。謝罪しても謝罪しても新たに厳しい言葉を投げかけられたこと、いぶかしげな表情、娘をばかにするジェスチャー、娘だけでなく私にとっても、つらく忘れることができない出来事となってしまいました。娘には、人の心に寄り添える人、弱っている人に優しい気持ちでそばにいられる人に育ってほしいと考えています。やっとここ数年で笑顔がたくさん見られるまで回復してきたので、これからもいろいろなことはあるでしょうが、多くの支援者とも繋がってきていますし、娘自身も以前に比べ、スルースキルも身につけたので、しなやかに乗り越えていってほしいと願っています。イラスト/SAKURAエピソード参考/うさぎ(監修:鈴木先生)巷にはまだ診断されていないASD傾向の方が大勢いらっしゃいます。そして、ASDに関する知識がない方も大勢いらっしゃいます。今からでも学校教育の中でASDやADHDに関する知識を啓蒙する授業をやっていけば娘さんのようなお子さんにも優しく接することのできる人々が増えるのではないかと思います。母親が娘さんの行動に対して何度も謝っても許してくれなかった経緯をみると、恐らく、道の駅にいたおばあさんたちも実は聴覚過敏があったのではないかと推測されます。嫌な思い出があるとその対象すべてが嫌になってしまう傾向がASDの方にはあります。吠える犬がいて怖がるとすべての犬が苦手になるのと同じです。母親の負担が増えて母親がうつ病になることも珍しくありません。優しい義母の理解があることで少しは助かっているものと思われます。夫が実家への電話を即答で断り、協力を拒んでいることから、お父様にもASDの傾向があるのではないかと推測されます。ASDのある父親は末っ子の弟と思ってください、と私は外来でいつも話しています。コラム内では、現在一般的に使用される障害名・疾患名で表記をしていますが、2013年に公開された米国精神医学会が作成する、精神疾患・精神障害の分類マニュアルDSM-5などをもとに、日本小児神経学会などでは「障害」という表記ではなく、「~症」と表現されるようになりました。現在は下記の表現になっています。神経発達症発達障害の名称で呼ばれていましたが、現在は神経発達症と呼ばれるようになりました。知的発達症(知的障害)、自閉スペクトラム症、注意欠如・多動症、コミュニケーション症群、限局性学習症、チック症群、発達性協調運動症、常同運動症が含まれます。※発達障害者支援法において、発達障害の定義の中に知的発達症(知的能力障害)は含まれないため、神経発達症のほうが発達障害よりも広い概念になります。知的発達症知的障害の名称で呼ばれていましたが、現在は知的発達症と呼ばれるようになりました。論理的思考、問題解決、計画、抽象的思考、判断、などの知的能力の困難性、そのことによる生活面の適応困難によって特徴づけられます。程度に応じて軽度、中等度、重度に分類されます。ASD(自閉スペクトラム症)自閉症、高機能自閉症、広汎性発達障害、アスペルガー(Asperger)症候群などのいろいろな名称で呼ばれていたものがまとめて表現されるようになりました。ASDはAutism Spectrum Disorderの略。ADHD(注意欠如・多動症)注意欠陥・多動性障害の名称で呼ばれていましたが、現在はADHD、注意欠如・多動症と呼ばれるようになりました。ADHDはAttention-Deficit Hyperactivity Disorderの略。ADHDはさらに、不注意優勢に存在するADHD、多動・衝動性優勢に存在するADHD、混合に存在するADHDと呼ばれるようになりました。今までの「ADHD~型」という表現はなくなりましたが、一部では現在も使われています。SLD(限局性学習症)LD、学習障害、などの名称で呼ばれていましたが、現在はSLD、限局性学習症と呼ばれるようになりました。SLDはSpecific Learning Disorderの略。
2023年06月21日もしかしたら「自閉スペクトラム症(アスペルガー症候群)」かもしれないと気付いたゆーとぴあさんの体験を描いたマンガを紹介します。次男が通う療育園の面談をきっかけに自分自身は「自閉スペクトラム症(アスペルガー症候群)」なのではないかと思うようになったゆーとぴあさん。25歳のときにふと見ていたテレビ番組がきっかけで、自分が「自閉スペクトラム症(アスペルガー症候群)」なのではないかと思うように。そのことを母親に伝えると、まさかの発言が……!★前の話わかっていたなら教えてよ!中学生になったころから勉強について行くことが難しくなり、仕事も長続きしなかったというゆーとぴあさん。そんなある日、自閉スペクトラム症(アスペルガー症候群)に悩むママのことが紹介されているテレビ番組を目にしました。母親に「私、自閉スペクトラム症(アスペルガー症候群)かもしれない」とテレビを指しながら伝えたゆーとあぴさんに対し、母親は衝撃の言葉を放ったのでした。テレビで「自閉スペクトラム症(アスペルガー症候群)」に何年も苦しんでいたママの特集番組を見た私は、自分にも当てはまる特性や症状があることに気が付きました。どんな反応をされるかわかりませんでしたが、その場で母に「私、自閉スペクトラム症(アスペルガー症候群)かもしれない」と言ってみることに。すると、母からは「私も実は前々からそうじゃないかと思ってたんだよねー」と思ってもいなかった言葉が! どうやら母は、昔から私に自閉スペクトラム症(アスペルガー症候群)の傾向があるのではないかと思っていたようでした。「わかっていたのなら言って欲しかった」とずっと悩んでいた私は拍子抜けしてしまいました。私は片付けや勉強が苦手だったり、忘れ物が多かったりして苦労する場面もたくさんあったのに……。しかし自閉スペクトラム症(アスペルガー症候群)かもしれないと気付いた後も特に病院を受診するようなことはありませんでした。結局、私は自閉スペクトラム症(アスペルガー症候群)なのかどうかわからないまま、夫と結婚し子どもを産みました。-----------------振り返れば子どものころから気になることはたくさんあったものの、テレビ番組をきっかけに自分が「自閉スペクトラム症(アスペルガー症候群)」かもしれないと思ったゆーとぴあさん。しかし、母親は前々からそのことに気付いていたようです。本人が悩んでいるのと同じくらい、周りの家族の悩みも深かく、なかなか言いだせなかったのかもしれませんね。※記事の内容は公開当時の情報であり、現在と異なる場合があります。記事の内容は個人の感想です。監修/芙和せら先生(一般社団法人芙和せら心理研究所代表理事)公認心理師(国家資格)、シニア産業カウンセラーなどの資格を多数所有。世界初となるフラワー心理セラピーを創始し、芸術療法を中心とした心のケアをおこなっている。「すべての人の心を大切にすること」をモットーに活動している。著者/ゆーとぴあ主にインスタとブログで実話を元としたマンガを描いています! 発達障害やその他難病、児童相談所などのテーマを取り上げています。
2023年06月20日さまざまな水遊び用おもちゃUpload By まる最近暑い日も多くなってきたので、ちょっと早い気もするが水遊びグッズを出してみた。わが家にあるのはプール、ウォーターテーブル、蛇口につなげて使う噴水おもちゃ、リュック型の水鉄砲、繰り返し使える水風船などだ。さまざまなものを息子が生まれてからの5年間で購入してきた。というのも、息子は水遊び自体は嫌いではなさそうだが、長時間遊べないのだ。水遊びというかなんでも長時間集中することが苦手な様子。せっかくなのでたくさんびしょびしょになって遊んでほしくて、いろんな水遊びおもちゃを買ってきたがすぐに飽きて家の中に入ってしまう。お庭で水をためるだけのプールは5分ももたない。熱めの温泉に浸かってるのかな?といった感じで少しだけ水に浸かると「オシマーイ!」と言って出てきてしまう。おもちゃをいろいろプールの中に入れて、私も一緒に水鉄砲で遊んだりするのだがそれでもすぐに撤退してしまう。プールで楽しく遊べるのはいつになるのかUpload By まる息子はまだオムツが外れていないため、家以外のプールで遊ぶこともまだ存分に楽しめていない。オムツが取れてない子ども用のプールなどに連れて行ったりもしたが、やはりすぐに飽きてしまう。一応一緒に行動するお友達がいればそれなりに時間を過ごせるのだが、夢中になって水遊びをしているほかの子どもを見ると「同じように楽しめばいいのになぁ」と思ってしまう。きっと息子なりに遊び方が分からなかったり、服が濡れるのが嫌だったり、ちゃんと理由があるのかもしれない。これまで医師や療育の先生などに感覚過敏と言われたことはなく、どちらかと言えば感覚鈍麻と言われることもあった息子だが、暑くなってきたせいなのか、最近、やけに勝手に服を脱いだりお腹を出したりすることが増えてきた。母親の目から見ていると、多分服が汗で濡れる感覚があまり好きじゃないのかも?と感じている。水遊びから見えた友達関係Upload By まるつい先日の暑い日、わが家にお友達が遊びに来た。小学校低学年の女の子2人と息子と同い年の男の子が1人。せっかくだからと家のウォーターテーブルや水鉄砲など用意して子どもたちを遊ばせた。息子以外はみんな発達に遅れのない子どもたちで、みんな服をびしょびしょにして楽しそうに遊んでいる。息子はそんなときでもマイペースなので家の中でひとり電車で遊んでいた。せっかくだからと息子を水遊びに参加させることにし外に連れ出した。みんなで水鉄砲や水風船で水をかけ合って大笑いして遊んでいる輪に入っていくと「リュウくんもびしょびしょにしてやるー!」とみんなから水をかけられた息子はものすごい嫌な顔をしてそのままなにも言わずに一目散に家に入ってしまった。息子と同い年の男の子は水をかけられても「やったなー!」とやり返したりして仲良く遊べている。多分ひとりでのんびりと遊びたいのに水をかけられた、服が濡れて気持ち悪い、ですぐに嫌になってしまったんだと思う。これからの心配事Upload By まるそれを見てちゃんと「嫌だったから逃げる」ことができたのはよかったが、これからの人間関係のやりとりの部分について不安にもなった。大人が見てるところで遊んでるだけの今は安心だが、今後もし大人の目が届かなかった場面で嫌な思いをしたとき息子は対応できるのか。お友達と一緒に遊ぶということができるようになるのか。お友達と一緒に遊ぶことができるようになれば、集中して遊ぶ時間も増えるかもしれないと思っている。実際私と2人で公園へ遊びに行っても滑り台を2回くらい滑ったらすぐに「帰る」と言うが、お友達と一緒に行くと滞在時間が伸びるのだ。相手に合わせることや相手に自分の気持ちを伝えることなどはまだまだこれから、できる限りサポートしていきたい。執筆/まる(監修:藤井先生より)まるさんがリュウくんが少しでも水遊びを長くできるように工夫された様子はとても素敵だなと、思いながら読みました。ありがとうございます。のんびり遊ぶのが好きな子ども、友達と一緒に遊ぶのが好きな子ども、友達が遊ぶのを見ているのが好きな子どもなど、遊び方はお子さんそれぞれに違います。友達と遊ぶのが苦手でも、一人の空間で遊ぶ→複数人の人がいる中で一人で遊ぶ→友達の遊ぶ中で遊ぶ→友達の遊びを見る→短い時間一緒に遊ぶ、というスモールステップでできるようになっていくこともあります。園の先生などの協力も仰ぎながら、リュウくんの遊びの幅が広がると良いですね。コラム内では、現在一般的に使用される障害名・疾患名で表記をしていますが、2013年に公開された米国精神医学会が作成する、精神疾患・精神障害の分類マニュアルDSM-5などをもとに、日本小児神経学会などでは「障害」という表記ではなく、「~症」と表現されるようになりました。現在は下記の表現になっています。神経発達症発達障害の名称で呼ばれていましたが、現在は神経発達症と呼ばれるようになりました。知的発達症(知的障害)、自閉スペクトラム症、注意欠如・多動症、コミュニケーション症群、限局性学習症、チック症群、発達性協調運動症、常同運動症が含まれます。※発達障害者支援法において、発達障害の定義の中に知的発達症(知的能力障害)は含まれないため、神経発達症のほうが発達障害よりも広い概念になります。知的発達症知的障害の名称で呼ばれていましたが、現在は知的発達症と呼ばれるようになりました。論理的思考、問題解決、計画、抽象的思考、判断、などの知的能力の困難性、そのことによる生活面の適応困難によって特徴づけられます。程度に応じて軽度、中等度、重度に分類されます。ASD(自閉スペクトラム症)自閉症、高機能自閉症、広汎性発達障害、アスペルガー(Asperger)症候群などのいろいろな名称で呼ばれていたものがまとめて表現されるようになりました。ASDはAutism Spectrum Disorderの略。ADHD(注意欠如・多動症)注意欠陥・多動性障害の名称で呼ばれていましたが、現在はADHD、注意欠如・多動症と呼ばれるようになりました。ADHDはAttention-Deficit Hyperactivity Disorderの略。ADHDはさらに、不注意優勢に存在するADHD、多動・衝動性優勢に存在するADHD、混合に存在するADHDと呼ばれるようになりました。今までの「ADHD~型」という表現はなくなりましたが、一部では現在も使われています。SLD(限局性学習症)LD、学習障害、などの名称で呼ばれていましたが、現在はSLD、限局性学習症と呼ばれるようになりました。SLDはSpecific Learning Disorderの略。
2023年06月19日もしかしたら「自閉スペクトラム症(アスペルガー症候群)」かもしれないと気付いたゆーとぴあさんの体験を描いたマンガを紹介します。次男が通う療育園の面談をきっかけに自分自身は「自閉スペクトラム症(アスペルガー症候群)」なのではないかと思うようになったゆーとぴあさん。思い返せば、子ども時代から思い当たる出来事がたくさんあったようです。中学校への進学後、勉強について行けなくなったそうで……。★前の話中学生になった途端、勉強が苦手に小学生のころ「だらしがない子ちゃん」というあだ名で呼ばれていたというゆーとぴあさん。中学生になると、だんだん勉強について行くことができなくなってしまったのだそう。高校は赤点ギリギリで卒業したそうです。中学生になると勉強にまったくついていけなくなり、数学のテストでは1問しか正解しなかったこともありました。他の科目も半分以下という悲惨な点数しか取ることができませんでした。通信簿はほとんどの科目が5段階評価の2。苦手な数学に至っては1……。そんな成績だったものの、猛勉強の末、公立高校に推薦で合格することができました。猛勉強して入学した高校でも勉強について行くことはできず、赤点ギリギリで卒業しました。高校卒業後は、進学ではなく就職を選択。工場に入社したのですが、3年もたたないうちに退職。その後は、セラピストやマンガ喫茶の店員などいろいろな職場で働いていました。仕事を転々としていた25歳くらいのとき、何げなく見ていたテレビ番組の中で「自閉スペクトラム症(アスペルガー症候群)」に何年も苦しむママのことが紹介されていました。そこで紹介されていたママの様子と自分に共通することが多く、初めて自分が「自閉スペクトラム症(アスペルガー症候群)」かもしれないことに気が付いたのです。-----------------追い詰められた状況になると一気にやる気スイッチが入り、高校受験や就職を乗り越えてきたというゆーとぴあさん。今まで努力することで進学や就職を突破してきたので、自分自身の特性や症状について真剣に調べたり、誰かに相談したりする機会がなかったのかもしれませんね。きっかけは偶然でしたが、テレビ番組で発達障害を自覚できたことは、ゆーとぴあさんにとって大きな一歩となったことでしょう。※記事の内容は公開当時の情報であり、現在と異なる場合があります。記事の内容は個人の感想です。※本記事の内容は、必ずしもすべての状況にあてはまるとは限りません。必要に応じて医師や専門家に相談するなど、ご自身の責任と判断によって適切なご対応をお願いいたします。監修/芙和せら先生(一般社団法人芙和せら心理研究所代表理事)公認心理師(国家資格)、シニア産業カウンセラーなどの資格を多数所有。世界初となるフラワー心理セラピーを創始し、芸術療法を中心とした心のケアをおこなっている。「すべての人の心を大切にすること」をモットーに活動している。【芙和先生からのアドバイス】成績不振には次のような理由が考えられます。・知的発達の遅れ・学習障害の可能性・ADHD(注意欠如・多動症)によって集中ができないため何か気になることがあるときは自己診断をせず、病院に相談してください。著者/ゆーとぴあ主にインスタとブログで実話を元としたマンガを描いています! 発達障害やその他難病、児童相談所などのテーマを取り上げています。
2023年06月19日2歳で開始!教科書通りのトイレトレーニング最初にトイレトレーニングを開始しようと思ったのはスバルが2歳になる前でした。なぜなら、私の手元にあった育児書に「トイレトレーニングスタートの目安は1歳半~2歳」と書いてあったからです。第一子で育児の知識もなく、ワンオペ育児で実家も遠く、出産直前でこの地に引っ越して来たので友達もママ友もいない。そんな私は完全にその育児書通りにものごとを進めようとしていました。1歳半の時点で言葉の遅れを指摘されているし、もはや育児書通りのスケジュールで成長してくれていないのですが、ほかに道しるべがないので「教科書通りに」「普通に」「一般的に」にこだわって、当時の私は頭がガチガチになっていたように感じます。育児書のアドバイス通りに子ども用便座と踏み台、かっこいいパンツにご褒美シールを用意して準備万端です。育児書には「便座を怖がる子がいる」と書いてありましたがスバルは平気そうでした。可愛く飾りつけしたトイレを楽しそうに眺めるスバルを見て、「これは案外早く成功するのでは?」と思いました。それから毎日時間を決めて定期的にトイレに座らせましたが1度もおしっこが出ることはありませんでした。そうじ洗濯を覚悟して天気の良い日にトレーニングパンツを履かせてみましたが、漏らすどころか尿意を感じると勝手にオムツに履き替えて用をたしていました。ならばと、オムツを隠すと血管が切れそうなほどの真っ赤な顔でおしっこを我慢していました。そのままトイレに座らせてみても「うわあああ!」と断末魔の叫び声を上げながらもおしっこは出ないのです。私も粘ったのですが、このままでは本当に血管が切れてしまうのでは?と思うほどの赤を通り越して赤紫になった顔を見て堪らずオムツを履かせてしまうのでした。Upload By 星あかりこんなパターンは育児書にもインターネットの体験談にも載ってないんですけど。数ヶ月頑張りましたが、冬が来てトイレで長時間粘るには寒すぎるので一時中断することにしました。その後はプレ幼稚園に通い始めたり、なんだかんだで発達検査を受けたり、自閉スペクトラム症と診断されたり、療育に通い始めたり、プレ幼稚園を退園になったり、新しい幼稚園を探したり、と怒涛の日々を過ごしていたためトイレトレーニングは完全に後回しになってしまいました。後回しというより、トイレトレーニングにまで手を出す余裕がありませんでした。自閉スペクトラム症と診断され「これは想像していたより長くオムツとつき合うことになるかも」と思いました。オムツが外れないまま幼稚園に入園そしてスバル3歳の春、幼稚園入園直前、私たちはトイレで2歳のころと同じことを繰り返していました。2歳のスバルはほぼ発語なしでしたが、3歳のスバルは「しっこ、でる」と事前に言うことができました。トイレに連れて行くと、すんなり便座に座るので嫌がってはいないようですが、結局顔を赤紫にして泣き叫んだあげくおしっこは出ないのでした。スバルはオムツが外れないまま幼稚園へ入園しました。幼稚園は「オムツ外れてなくて全然大丈夫!幼稚園で頑張りましょう!」という方針で安心していました。しかし、この幼稚園には備えつけのプールがあり、6月のプール開きから10月のプール納めまで、天気の良い日はほぼ毎日プールに入ると聞き、一気に不安になりました。なぜなら、オムツが外れてない子どもは大きいプールではなく、プールの横に設置した小さなビニールプールに入ることになるからです。小さいプールで毎日スバルが1人きりだったらどうしよう…。幼稚園へ入園して1週間がたち…どうなるトイトレ!?入園して1週間ほど経ちました。幼稚園へお迎えに行くと園舎から保護者が待機する昇降口まで聞き慣れた叫び声が響き渡っていました。スバルの断末魔の叫びです。これはまさに今、スバルはトイレにいると思って間違いないでしょう!スバルの叫び声をBGMにお友達は次々と帰宅して行きました。私が祈るような気持ちで待っていると叫び声がピタッと止み、しばらくしてヨレヨレの先生に手を引かれたヨレヨレのスバルが登場しました。叫び声の長さからして大変な時間を過ごしたと思われる先生が「スバルくんさっき初めておしっこ成功したんですよ~」なんてサラッと言うもんだから、もう頭が上がりません。私と先生とたまたま近くにいた名も知らぬ保護者のみな様とスバルを褒め称え、先生に何度もお礼を言い帰宅しました。Upload By 星あかり私は気合いに満ち溢れていました。そう、これはゴールではなくスタートなのです。先生が頑張って成し遂げてくれた第一歩を無駄にしないように、このあとは私が2歩目、3歩目を成功させていかなければならないのです。そんな気持ちで埃をかぶったご褒美シールを引っ張り出していると、スバルがいないことに気がつきました。リビングから出てみるとトイレへ向かう廊下にスバルのズボンとパンツが落ちていました。まさかと思ってトイレへ向かうと、なんとスバルがトイレでおしっこをしている真っ最中でした。自分でズボンを脱ぎ、子ども用便座を自分で設置しおしっこをしていました。そしておしっこが終わると便座から降りて子ども用便座を元の場所に戻し、手を洗い、脱ぎ落としたパンツとズボンを履きながらリビングに戻って行きました。それは今日初めてトイレ成功した人の所作ではないのよ。ずっと前からオムツ外れている人の所作なのよ。その後はずっと「ぼく前からトイレでしてますけど」みたいな顔してトイレでおしっこをしています。それからしばらくして、大きい方も同じ方法(さらに長時間粘る方法)で家で成功させました。それからずっとパンツです。そしてプール開き!濡れた水着が1人で脱げないみたいな問題はあったものの、無事大きなプールでみんなと遊ぶことができました。もう少しあとから気づいたことですが、どうやらスバルは1度定着した動きやクセ、ルーティーンを変更するのにものすごく時間とパワーが必要なようです。その後も育児書に載ってないタイプの成長をするスバルを目の当たりにし、いつしか育児書は読まなくなりました。発達障害のある子どもの子育ては育児書の通りには進まず、灯台の明かりが消え、まるで道しるべを失った船のようだと思ったこともありました。でも育児書を手放したことは「教科書通り」に縛られていた心を少しだけ軽くしたかな、とも思います。現在もトライ アンド エラーでスバルオリジナルの成長方法を探しています。執筆/星あかり(監修:初川先生より)スバルくんのトイトレエピソードをありがとうございます。おしっこはおむつにするもの、トイレ(便器)にするものではない。そうしたスバルくんのルーティンを変えるのは本当に大変だったことと思います。園にもよりますが、幼稚園や保育園の先生はさすがトイトレへのサポートを慣れていらっしゃいます。今こそというタイミングをうまく活かしてくださったこともあるのだと思います。また、家でたくさん練習していてもうまくいかずとも、園での集団生活の中で、ほかのお子さんがうまくやれていることにお子さん自身が気づいて頑張りだすこともあるでしょう。少し遅めのトイトレだとしても、頭での理解が進んでいる場合はその後がスムーズなこともあります。スバルくんは一度トイレで成功すると次からはとてもスムーズにできるのですね(思わず笑ってしまいました…これまでの苦労は一体、と思いますね)。それほどに、ルーティンを変えることが難しく、また一度定着したやり方は継続しやすいということですね。これはスバルくんの今後のさまざまな成長発達を支える上でのヒントになりますね。さて、今回、あかりさんはトイトレを自宅でがんばろうとし、また、間に合わなかったこともあり、園での生活の中でトイトレを継続しました。育児書を読んでがんばってみることももちろん良いのですが、発達的な特性のあるお子さんについては、例えば子育てひろばのようなところで、あるいは、地域の子ども家庭支援センターといった場で、トイトレなどに関してのご相談をしてみるのも一つです。育児書と同じような発達をしている場合には育児書は有効ですが、オリジナリティある道のりを進んでいる場合、育児書をもとにすると精神的に負担になることも考えられます。そういう場合には子育て相談を利用するのも一つです。コラム内では、現在一般的に使用される障害名・疾患名で表記をしていますが、2013年に公開された米国精神医学会が作成する、精神疾患・精神障害の分類マニュアルDSM-5などをもとに、日本小児神経学会などでは「障害」という表記ではなく、「~症」と表現されるようになりました。現在は下記の表現になっています。神経発達症発達障害の名称で呼ばれていましたが、現在は神経発達症と呼ばれるようになりました。知的発達症(知的障害)、自閉スペクトラム症、注意欠如・多動症、コミュニケーション症群、限局性学習症、チック症群、発達性協調運動症、常同運動症が含まれます。※発達障害者支援法において、発達障害の定義の中に知的発達症(知的能力障害)は含まれないため、神経発達症のほうが発達障害よりも広い概念になります。知的発達症知的障害の名称で呼ばれていましたが、現在は知的発達症と呼ばれるようになりました。論理的思考、問題解決、計画、抽象的思考、判断、などの知的能力の困難性、そのことによる生活面の適応困難によって特徴づけられます。程度に応じて軽度、中等度、重度に分類されます。ASD(自閉スペクトラム症)自閉症、高機能自閉症、広汎性発達障害、アスペルガー(Asperger)症候群などのいろいろな名称で呼ばれていたものがまとめて表現されるようになりました。ASDはAutism Spectrum Disorderの略。ADHD(注意欠如・多動症)注意欠陥・多動性障害の名称で呼ばれていましたが、現在はADHD、注意欠如・多動症と呼ばれるようになりました。ADHDはAttention-Deficit Hyperactivity Disorderの略。ADHDはさらに、不注意優勢に存在するADHD、多動・衝動性優勢に存在するADHD、混合に存在するADHDと呼ばれるようになりました。今までの「ADHD~型」という表現はなくなりましたが、一部では現在も使われています。SLD(限局性学習症)LD、学習障害、などの名称で呼ばれていましたが、現在はSLD、限局性学習症と呼ばれるようになりました。SLDはSpecific Learning Disorderの略。
2023年06月16日家での遊びの環境について考えてみる知的障害を伴う自閉スペクトラム症のあるわが家の次男Pは、遊ぶおもちゃを机の上や床にばらまいてしまい、片づけてもすぐに部屋がぐちゃぐちゃになるので、私はイライラしていました。そんなイライラを解消する方法はないか?と、遊びの環境を整えることについて考えてみました。たとえば療育を受けているときは、おもちゃを子どもの見える範囲や手の届く範囲にはあまり置いておらず、遊びの種類や順番を決めて片づけたら次のおもちゃを出すなどの工夫がされていました。でも家でとなると家事もあるので四六時中子どもにかまっているわけにもいかないし、手の届かない場所や隠せる場所も限られるので、おもちゃを隠していてもいつの間にか見つかってしまい、気づけばまた元通りなんてことの繰り返しでした。Upload By みんおもちゃを隠しても減らしても効果的ではなかった物理的に数を減らすにも、同じものにこだわりの強いPは「あのおもちゃはどこへ行った?」とパニックになってしまうのでなかなか減らすこともできず、減らすとしたら「このおもちゃでは長らく遊んでいないな」と思う物を厳選して隠し、すぐには処分せずに数ヶ月間様子をみて、Pが完全に忘れたであろうころに処分するようにしています。そうやって数を減らしても、まだまだたくさんあるし新たに買ったりもするので、やはり部屋は散らかってしまいます。たとえばPは色鉛筆を使って絵を描くことが好きなのですが、1本使ったら1本戻してから新たな色を使うということが難しく、色鉛筆を全てケースから出して机の上にばら撒いて使っていました。私は色鉛筆を片づけても片づけても出されてしまうのが大変なので、色鉛筆をケースから、ペンたてに入れてしまおうと考えました。ペンたてに入れるようになってからは前より少し片づけやすくはなったのですが、全ての色鉛筆を机の上に出してしまうのは相変わらずだったので、やはり大変なままでした。机の上に散らばった色鉛筆を見ながらどうすればこのイライラから解放されるのか?と考えたときに、この状態でも散らかっていないように感じられるようにすればよいことを思いつき、ペンたてを違うものに変えてみよう!と思い浅く広めのトレイを準備しました。すると予感は的中!トレイに色鉛筆を入れてからは、全ての色鉛筆を机の上に出してしまうことはなくなり、机の上は散らかさないようになりました。Upload By みん散らかしてしまう原因を想像して対応するこれは効果的だと思った私は、いつも床に散らばっているおもちゃも同じようにすれば良いのでは?と考え、浅い大きめのバットをおもちゃ箱に変更しました。最初はおもちゃを全て出してしまおうとしていましたが、日に日に床に散らばるおもちゃの数は減り、今では自分の必要なおもちゃだけをバットから選んで取って遊ぶようになりました。色鉛筆もおもちゃも、浅いバットやトレイに入れることで、中に何が入っているのか探しやすくなったのがポイントだと思います。今までは、自分が使いたい色の色鉛筆がどこにあるのか分かりにくかったり、自分が遊びたいおもちゃがおもちゃ箱のどこにあるかが分かりにくかったりしたので、Pは全て箱から出して目的のものを探すという行動をとっていたのだと思います。でも少しの工夫で視覚的に探しやすくしてあげたことで、私もイライラから解放されました。このような工夫をしなくてもむやみに散らかさず、使ったら自分で片づけられるようになることがもちろん1番なのですが、そんな成長をゆっくり待つためにも、できる限り生活環境を整えながら過ごしていきたいと思います。Upload By みん執筆/みん(監修:新美先生より)片づけについて、Pくんにあったやり方を模索している様子を聞かせてくださりありがとうございます。片づけの方法は世の中にいろいろありますが、人によって合う合わないがあります。また親子・きょうだい・夫婦でも、人によって片づけ法の合う合わないが違っていることもあり、その場合はお互いにストレスがたまったりするものです。お互い許容範囲を広げて妥協するしかないですね。Pくんの場合は、箱の中にしまってしまうと見えなくて分からなくていやだということに気づいたところはさすがと思いました。ざっくり、物が見えるけど、散らばりすぎないという、大きめバットのやり方、家でも取り入れてみたいです。コラム内では、現在一般的に使用される障害名・疾患名で表記をしていますが、2013年に公開された米国精神医学会が作成する、精神疾患・精神障害の分類マニュアルDSM-5などをもとに、日本小児神経学会などでは「障害」という表記ではなく、「~症」と表現されるようになりました。現在は下記の表現になっています。神経発達症発達障害の名称で呼ばれていましたが、現在は神経発達症と呼ばれるようになりました。知的発達症(知的障害)、自閉スペクトラム症、注意欠如・多動症、コミュニケーション症群、限局性学習症、チック症群、発達性協調運動症、常同運動症が含まれます。※発達障害者支援法において、発達障害の定義の中に知的発達症(知的能力障害)は含まれないため、神経発達症のほうが発達障害よりも広い概念になります。知的発達症知的障害の名称で呼ばれていましたが、現在は知的発達症と呼ばれるようになりました。論理的思考、問題解決、計画、抽象的思考、判断、などの知的能力の困難性、そのことによる生活面の適応困難によって特徴づけられます。程度に応じて軽度、中等度、重度に分類されます。ASD(自閉スペクトラム症)自閉症、高機能自閉症、広汎性発達障害、アスペルガー(Asperger)症候群などのいろいろな名称で呼ばれていたものがまとめて表現されるようになりました。ASDはAutism Spectrum Disorderの略。ADHD(注意欠如・多動症)注意欠陥・多動性障害の名称で呼ばれていましたが、現在はADHD、注意欠如・多動症と呼ばれるようになりました。ADHDはAttention-Deficit Hyperactivity Disorderの略。ADHDはさらに、不注意優勢に存在するADHD、多動・衝動性優勢に存在するADHD、混合に存在するADHDと呼ばれるようになりました。今までの「ADHD~型」という表現はなくなりましたが、一部では現在も使われています。SLD(限局性学習症)LD、学習障害、などの名称で呼ばれていましたが、現在はSLD、限局性学習症と呼ばれるようになりました。SLDはSpecific Learning Disorderの略。
2023年06月12日自閉スペクトラム症(ASD)とは?治療方法はある?自閉スペクトラム症(ASD)は、「対人関係や社会的コミュニケーションの困難」と「特定のものや行動における反復性やこだわり、感覚の過敏さまたは鈍麻さ」などの特性が幼少期から見られ、日常生活に困難を生じる発達障害の一つです。知的障害(知的発達症)を伴うこともあり、幼少期に気づかれることが多いと言われています。自閉スペクトラム症の症状は3歳くらいまでにあらわれることが多いと言われています。主に他者との社会的関係形成に困難さがあったり、言葉や発達の遅れ、興味・関心が狭く特定のものにこだわりがある、などが特徴です。知的障害を伴わない場合は、幼児期に気づかれず、成人期に症状が顕在化することもあります。自閉スペクトラム症自体の原因を治療することはまだ不可能と言われています。ですが、早期から療育や環境調整を通して接し方を工夫することで、日常生活における本人の困りごとの解消につながります。癇癪、衝動性、こだわりなど個別の症状に対しては、まずは一人ひとりに合った環境づくりを行います。早期から「児童発達支援」や「放課後等デイサービス」などの発達支援施設で療育的支援や適切な教育を行ったり、苦手なことに対する対応方法を工夫していくなどの特性に合わせたサポートで子どもが自分らしく成長していけるように環境を整えていくことが重要です。投薬については、自閉スペクトラム症そのものを治す薬はありませんが、ある一定年齢以上であれば、自閉スペクトラム症(ASD)の特性によって起きることが多い、癇癪、衝動性、こだわり、睡眠障害など、社会生活を送るうえで困難を感じる症状に対して、薬が処方される場合もあります。自閉スペクトラム症(ASD)ほか、神経発達症(発達障害)に処方されるのはどのような薬?自閉スペクトラム症(ASD)をはじめとした神経発達症(発達障害)による症状によって困難さがある場合に処方される薬を解説していきます。中枢神経刺激薬は中枢神経系に作用してその機能を活発化させ、非中枢神経刺激薬は主に前頭前野に働きかけ神経伝達物質の働きを強めます。多動性・衝動性や不注意に作用します。・代表的な薬例:中枢神経刺激薬/コンサータ、ビバンセ非中枢神経刺激薬/インチュニブ、アトモキセチン(ストラテラ)抗精神病薬は脳内のドパミン神経系の活動を抑えることにより症状を改善していく作用があります。定型抗精神病薬(従来型)と非定型抗精神病薬(新規)に分かれており、定型抗精神病薬は陽性症状に作用しますが、非定型抗精神病薬は陽性症状と陰性症状の両方に効果があると言われています。・代表的な薬例:定型抗精神病薬/ハロペリドール、クロールプロマジン、ピモジド非定型抗精神病薬/リスパダール、アリピプラゾール(エビリファイ)、オランザピンなど抗不安薬は感情と関係する脳の動きなどを抑えることで不安、緊張、不眠などを改善し、SSRI(選択的セロトニン再取り込み阻害薬)は脳内で神経伝達物質セロトニンの再取り込みを阻害しセロトニンの働きが増強されることで抑うつなど気持ちの落ち込みやイライラなどに作用します。・代表的な薬例:SSRI/フルボキサミン・エスシタロプラムなど抗てんかん薬は、脳内の興奮系物質の働きを抑える、抑制系物質の働きを強めるなどの作用機序があります。また、その2つとは違う新しい作用をもつ抗てんかん薬などもあります。・代表的な薬例:ダイアップ、バルブロ酸ナトリウム、トピラマートなど子どもの自閉スペクトラム症(ASD)の代表薬・衝動性や癇癪を抑える「リスパダール」「アリピプラゾール(エビリファイ)」子どもの自閉スペクトラム症の易刺激性による癇癪や他害などを抑える代表的な薬として「リスパダール」「アリピプラゾール(エビリファイ)」があります。リスパダールは、リスペリドン主成分からできている抗精神病薬で、自閉スペクトラム症がある子どもや統合失調症がある人などに処方されます。自閉スペクトラム症の症状のひとつの易刺激性(不機嫌、無視、怒りっぽさ、癇癪、泣き叫ぶ、暴力や暴言、器物破損、抑うつ気分、気分の変わりやすさ、自傷などの行動を起こしやすいなどの症状)を抑える作用があります。副作用として主に眠気や食欲増多などがあります。アリピプラゾール(エビリファイ)もリスパダール同様に、易刺激性をやわらげる抗精神病薬です。ドパミン神経系を安定させる効果があり、躁状態およびうつ状態への効果が期待されています。副作用として主に眠気や食欲増多などがあります。アリピプラゾール(エビリファイ)とリスパダールは、どちらも易刺激性をやわらげる薬ですが、働きかける脳内の伝達物質が異なります。アリピプラゾール(エビリファイ)がドパミン神経系を安定させるのに対して、リスパダールはドパミンとセロトニンの両方に働きかけることで、ドパミン神経系に作用し、陽性症状、陰性症状両方の状態を抑えます。リスパダールは、原則として5歳以上18歳未満、アリピプラゾール(エビリファイ)は6歳以上18歳未満の子どもに使うことができます。また、子どもの体重に合わせて用法用量が定められています。神経発達症(発達障害)のある子どもの不眠に「メラトベル」「ラメルテオン(ロゼレム)」自閉スペクトラム症のある人に多くみられる睡眠の悩み。睡眠障害に対しては、子どもの不眠に処方される「メラトベル」と大人の不眠に処方される「ラメルテオン(ロゼレム)」などがあります。メラトベルは、神経発達症(主に自閉スペクトラム症)から起こる睡眠障害(寝つきが悪い、夜中に何度も目が覚めてしまうなど)に処方されます。6歳から15歳までの神経発達症(主に自閉スペクトラム症)のある子どもに対して処方され、就寝前(寝たい時間の直前)に服用をします。ラメルテオン(ロゼレム)も睡眠障害に処方される薬です。メラトベルが小児も使えるのに対して、ラメルテオン(ロゼレム)は成人に処方されます。(※監修注:15歳から処方は可能だが、18歳より処方するのが望ましい)就寝前(寝たい時間の直前)に服用をします。関連リンク・その他、発達障害のときに処方される薬って?コラム内では、現在一般的に使用される障害名・疾患名で表記をしていますが、2013年に公開された米国精神医学会が作成する、精神疾患・精神障害の分類マニュアルDSM-5などをもとに、日本小児神経学会などでは「障害」という表記ではなく、「~症」と表現されるようになりました。現在は下記の表現になっています。神経発達症発達障害の名称で呼ばれていましたが、現在は神経発達症と呼ばれるようになりました。知的発達症(知的障害)、自閉スペクトラム症、注意欠如・多動症、コミュニケーション症群、限局性学習症、チック症群、発達性協調運動症、常同運動症が含まれます。※発達障害者支援法において、発達障害の定義の中に知的発達症(知的能力障害)は含まれないため、神経発達症のほうが発達障害よりも広い概念になります。知的発達症知的障害の名称で呼ばれていましたが、現在は知的発達症と呼ばれるようになりました。論理的思考、問題解決、計画、抽象的思考、判断、などの知的能力の困難性、そのことによる生活面の適応困難によって特徴づけられます。程度に応じて軽度、中等度、重度に分類されます。ASD(自閉スペクトラム症)自閉症、高機能自閉症、広汎性発達障害、アスペルガー(Asperger)症候群などのいろいろな名称で呼ばれていたものがまとめて表現されるようになりました。ASDはAutism Spectrum Disorderの略。ADHD(注意欠如・多動症)注意欠陥・多動性障害の名称で呼ばれていましたが、現在はADHD、注意欠如・多動症と呼ばれるようになりました。ADHDはAttention-Deficit Hyperactivity Disorderの略。ADHDはさらに、不注意優勢に存在するADHD、多動・衝動性優勢に存在するADHD、混合に存在するADHDと呼ばれるようになりました。今までの「ADHD~型」という表現はなくなりましたが、一部では現在も使われています。SLD(限局性学習症)LD、学習障害、などの名称で呼ばれていましたが、現在はSLD、限局性学習症と呼ばれるようになりました。SLDはSpecific Learning Disorderの略。
2023年06月11日旅行計画は何度もシミューレション!ASDのミミを連れて「忍者を知る旅」へ自閉スペクトラム症(ASD)のある小3のミミが、忍者のゲームにハマりました。それならばと思った私たちは、春休みに「忍者を知る旅」と銘打って滋賀県と三重県に旅へ行くことにしました。旅行は3ヶ月前から計画して、何度も何度もシミュレーションをしました。車の免許を持っていない夫、ペーパードライバーの私は、電車とタクシーを使って移動することに決定。電車があっても1時間に1本しかない区間だったり、タクシーの配車アプリが対象地域外という場所もありましたが、繰り返し調べて、ミミが安心できるよう、当日ミスがないようにと、無理のない計画を立てました。酔い止めを持ってくるべきだった!乗り物が苦手なミミはぐったり…。そしていよいよきた旅行当日、朝の5時台に出発しました。乗り物が苦手なミミは、新幹線に乗って30分もしないうちにぐったり。デッキに出たり、椅子に横になったりしましたがつらそうでした。心配した乗務員さんが「薬を飲みますか?」と声をかけてくれましたが、あと15分で到着するところだったのでもらいませんでした。今思い返すと、このあとの移動のためにもらっておけばよかったと思います…。新幹線から降り在来線に乗り換えると、停まる駅も増え、そのたびにドアが開くため、空気の入れ替えにもなるからか少し持ち直してくれたミミ。そしていよいよ最初の目的地に到着です。Upload By taeko忍者体験ができるアミューズメントパークに到着したミミ。楽しんでくれるかと思いきや、ミミは忍者の体験はしようとはせず、お土産にヌンチャクを買い、忍者屋敷の説明を聞いて隠し扉を通り抜ける程度でした。でも、これも予想の範囲内です。30分ほどの滞在で次の目的地へタクシーで向かいました。送迎してくれたのは、外国人スタッフの方。私が「どこの国からいらっしゃったんですか?」と日本語で聞くと、オーストラリアから来たこと、日本に来てまだ1年経っていないこと、もちろん忍者が好きなこと、日本の新幹線がキレイで大好き、お弁当が美味しい!などいろいろな話をしてくれて、楽しい道中となりました。途中、満開の桜のトンネルを通ったのですが、このスタッフの方が楽しそうにガイドしてくれて、私もとてもうれしくなりました。次の場所は、宿泊施設もある体験型ファームです。タクシーに乗り20分程で到着したのですが、タクシーが苦手なミミはまたここでぐったりして不機嫌になってしまいました。発する言葉は全て不機嫌な“チクチク言葉”で「来なければ良かった、帰りたい」と繰り返す負のループ状態。こんなときはどんなになだめても負の言葉で返してくるので、こちら側の気分も悪くなるだけです。ミミの身体と気持ちもが回復するまでに時間がかかりますが、私が楽しみにしていた「ミニブタショー」がちょうど始まるので、ミミには悪いけど楽しませてもらいました!その間パパと弟・ふーはショーは見ず、アイス休憩をしていました。Upload By taekoそして食事タイムです。ミミは、レストランのメニューを見ても「食べたいものはない」と言うので、ファーム内で売っているパンを持ち込めないか店員さんに交渉していたのですが、そのとき、弟・ふーが鼻血を出しました!びっくりしつつも『これはミミの気分が紛れるいいキッカケになる』と思ったのですが、予想通り!ミミはふーを優しく見守り、機嫌が直りました。その後もミミは、転んで顎と膝をすりむいたふーにサンドイッチを分けてあげたり、よく面倒を見てくれました。人の優しさ、景色にも感動!大切な思い出になりましたそして翌朝、ファームのミニブタに餌やりをしたり、ビュッフェ形式の朝食をとりました。ミミは、自分で食べられそうな物を選べるビュッフェがよかったようで、楽しんでくれました。朝食のとき、スタッフの方から「食べられるものはありましたか?」と声を掛けていただきました。昨日のレストランにもいらっしゃって、ミミがパンを持ち込んだ事情を知っていた方でした。覚えてくれていたことがうれしく、また人の優しさに触れて感動しました!朝食後は、この旅最後の目的の忍者のショーを見るために、忍者の博物館へ。タクシーで20分移動し(ここでもミミは車酔いでぐったり…)、昭和の時代の佇まいが残る、懐かしく素敵な駅で、電車を待ちました。3月末だったこの時期は桜が満開で、その美しい景色にも癒されました。Upload By taeko電車を乗り継ぎ「上野市駅」へ。5分ほど歩いて忍者の博物館へ到着し、最後のイベント、忍者のショーを観覧。アクションの迫力とお笑い要素も満点で、大満足でした!ミミはやや疲れ気味で、私以外はみんな寝てしまいましたが、私は帰りの関西本線の絶景に見入ったり、普段乗ることのないディーゼルカーの不思議な乗り心地を楽しませてもらいました。東京駅に着くころには、みんなぐったりでしたが(笑)。帰宅して数日後、ミミは「ミニブタショーは、ちょっと楽しかった」と話してくれました。多少のアクシデントはあったけれど、色んな方に助けてもらい、人の優しさに感動した旅になりました。私にとっても大切な思い出になりました。執筆/taeko(監修:鈴木先生より)ASDの方は予定の変更を嫌うので、修学旅行のように細かなスケジュールを立てて、できるだけスケジュールに沿った旅行ができるように配慮するといいでしょう。そのときに、実際に行く場所の写真やVTRも添えておくと、なお分かりやすいと思います。天候に左右されることもあるため、雨天時はどこになるなどさまざまな可能性をあらかじめスケジュールに組み入れるといいでしょう。それでも電車が遅れたり、途中でトイレへ行きたくなったりで予定通りいかないこともあります。時間に余裕をもってでかけ、予定通り行動できたら褒めてあげましょう。
2023年06月08日アトピー体質の自閉スペクトラム症娘。掻きむしりがすごくて…SAKURA(以下、――)最後の相談は、娘の掻きむしりについてです。娘は、アトピー体質で、皮膚が弱いんですが、精神面からくる掻きむしりがすごくて…――ここからは本人にも同席してもらって、一緒に話を聞いてもいいですか?三木先生:もちろんです。Upload By SAKURAあーさん:こんにちは。三木先生:こんにちは。あーさん:えっと…私はイライラしたりすると、腕とか足とかがかゆくなって、掻いてしまいます。どうしたら掻かなくなりますか?Upload By SAKURA三木先生:なるほど。まず、かゆみを我慢するのは無理です。Upload By SAKURAなので、かゆみ止めを飲んだり、薬を塗るなどして、アトピーでかゆくなる要素を先にゼロにしていく。そのあとにストレス側にアプローチしていく形がいいです。Upload By SAKURA――病院にはかかっていて、薬はずっと飲んでいます。そっちに関しては対応済みです。Upload By SAKURA自分に合うストレス解消法を見つけていく三木先生:なるほど。では、ストレス面ですね。色んな方法を試してもらって、自分にあうストレスを解消していく方法を探していくといいですね。――例えば…?三木先生:例えば運動…ジグゾーパズル…世の中にあるストレス解消法の中から、自分にしっくりくるものを順番に試してみるのはどうでしょう?Upload By SAKURA親が今まで見てきた中から、子どもの趣味嗜好から合いそうなものをピックアップするのが良いと思います。例えば、一人が好きか、みんなで遊ぶのが好きかなど。――本人が苦しんでいるので、私がなにかかゆくならない方法見つけて教えてあげたいと、焦ってしまって「早く!今すぐ!なにか策を!」と思ってしまっていたのですが、時間をかけて探していくしかないんですね。Upload By SAKURA三木先生:答えが欲しいと焦るのはわかりますが、親が試行錯誤している時点でもう正解です。焦って無理に答えを出そうとすると、子どもへの負担になることがあります。親が、あーでもないこーでもないと、頑張ってる姿を子どもに見せてあげることが重要ですよ。Upload By SAKURA――そうなんですね。でも、娘にとって、答えがない状況は嫌なようで…。それを見ると私も苦しいんですよね。助けてあげたいというか。このままでいいのかなって思ってしまって。三木先生:子どもは結論がでないことに納得できないことが多いですよね。でも、結論はもがいたあとにしか分かりません。時代的にインスタントに答えを出さなきゃならない傾向にありますが、実際は本人の中の構造化のプロセスを踏んだ上に納得があります。親の試行錯誤をモデルとして見てもらって、本人と一緒にやっていく…。もんもんとした中の、興味があるものを拾っていくといいと思います。Upload By SAKURA対策としては短期的、長期的アプローチがあります。薬は短期的なアプローチ。それから目の前の問題解決…例えばかゆくなるスイッチのようなものがあるなら、そこから解決していくのが良いです。――かゆくなるストレスのスイッチ…いっぱいありすぎます(笑)物事には「表」と「裏」の顔がある!三木先生:日常生活でストレスをゼロにすることはできませんからね。物事の表と裏を見せていくのもいいんじゃないですか?例えば、お母さんが怒っていたところに、電話がかかってきたら、お母さんは声を変えて普通に電話取りますよね?その様子とか。人は、本当はイライラしていても、表ではそれを見せないようにするというのを実際に見て理解してもらうといいかもしれません。Upload By SAKURA――あー!そうなると親同士の言い合いとか?最近、見せてしまうというか…見られてしまうことが増えてきてます。Upload By SAKURA三木先生:それにも、ニュアンスの調整は必要ですけどね。「これはコミュニケーションの一環」「こんな風に言っているけど実際はお父さん相手だから言ってるんだよ」「実際はそこまで思ってないよ」などの文脈の説明はいりますね(笑)――わかりました。いろんなストレス解消法試して、ピッタリの方法を探しつつ、同時に人の表と裏の気持ちも話していきます!執筆/SAKURAコラム内では、現在一般的に使用される障害名・疾患名で表記をしていますが、2013年に公開された米国精神医学会が作成する、精神疾患・精神障害の分類マニュアルDSM-5などをもとに、日本小児神経学会などでは「障害」という表記ではなく、「~症」と表現されるようになりました。現在は下記の表現になっています。神経発達症発達障害の名称で呼ばれていましたが、現在は神経発達症と呼ばれるようになりました。知的発達症(知的障害)、自閉スペクトラム症、注意欠如・多動症、コミュニケーション症群、限局性学習症、チック症群、発達性協調運動症、常同運動症が含まれます。※発達障害者支援法において、発達障害の定義の中に知的発達症(知的能力障害)は含まれないため、神経発達症のほうが発達障害よりも広い概念になります。知的発達症知的障害の名称で呼ばれていましたが、現在は知的発達症と呼ばれるようになりました。論理的思考、問題解決、計画、抽象的思考、判断、などの知的能力の困難性、そのことによる生活面の適応困難によって特徴づけられます。程度に応じて軽度、中等度、重度に分類されます。ASD(自閉スペクトラム症)自閉症、高機能自閉症、広汎性発達障害、アスペルガー(Asperger)症候群などのいろいろな名称で呼ばれていたものがまとめて表現されるようになりました。ASDはAutism Spectrum Disorderの略。ADHD(注意欠如・多動症)注意欠陥・多動性障害の名称で呼ばれていましたが、現在はADHD、注意欠如・多動症と呼ばれるようになりました。ADHDはAttention-Deficit Hyperactivity Disorderの略。ADHDはさらに、不注意優勢に存在するADHD、多動・衝動性優勢に存在するADHD、混合に存在するADHDと呼ばれるようになりました。今までの「ADHD~型」という表現はなくなりましたが、一部では現在も使われています。SLD(限局性学習症)LD、学習障害、などの名称で呼ばれていましたが、現在はSLD、限局性学習症と呼ばれるようになりました。SLDはSpecific Learning Disorderの略。
2023年06月07日自閉スペクトラム症(ASD)とADHD(注意欠如・多動症)がある中学3年生発達障害の専門家が出会った発達が気になる子どもたちや、その保護者の抱えていたリアルな「困った!」をもとに、対応策などをドキュメントタッチで解説します。今回は、自閉スペクトラム症とADHDの診断がある中学3年生のエピソードです。県立高校への進学を希望しているものの、定期テストではケアレスミスが多く正解率が20%程度。わが子を心配して涙する母親に小児科医は…。Upload By 専門家体験談Upload By 専門家体験談Upload By 専門家体験談解説:定期診療の時間を、安心して相談できる機会にーー小児科医今回は、自閉スペクトラム症とADHDのある中学3年生のエピソードをもとにお届けしました。ひとり親家庭で保護者の方は仕事に追われ、パンパンの状態であることが診療時に伺えました。お子さまは、反抗はするものの根が優しく親思いであることが伝わってきましたので、親子の目標である「県立高校に合格する」ということを意識し、定期診療でさまざまなアドバイスを行いました。診療のポイントは大きく2つです。薬物治療ADHDの主な症状である多動性・衝動性、不注意に対して薬物治療を開始していましたが、薬を飲まないことが続いていました。そこで、服薬の負担を軽減するために1日2回から1日1回の治療薬に変更して様子をみました。学校や塾の先生への協力依頼先生で注意されてばかりだったり試験結果が思わしくなかったりすると、お子さまの自己肯定感が下がっていきます。「(小児科医と相談し、服薬もしながら勉強を頑張るので)応援団になってほしい」と伝えることで、少しでも環境を変えることを大切にしました。高校受験では、通塾されるお子さまも多いことと思います。学習内容や先生の指導がわが子にあっていないと感じたら、今回のケースのようにほかの塾に移ることで勉強しやすくなることもあるでしょう。コラム内では、現在一般的に使用される障害名・疾患名で表記をしていますが、2013年に公開された米国精神医学会が作成する、精神疾患・精神障害の分類マニュアルDSM-5などをもとに、日本小児神経学会などでは「障害」という表記ではなく、「~症」と表現されるようになりました。現在は下記の表現になっています。神経発達症発達障害の名称で呼ばれていましたが、現在は神経発達症と呼ばれるようになりました。知的発達症(知的障害)、自閉スペクトラム症、注意欠如・多動症、コミュニケーション症群、限局性学習症、チック症群、発達性協調運動症、常同運動症が含まれます。※発達障害者支援法において、発達障害の定義の中に知的発達症(知的能力障害)は含まれないため、神経発達症のほうが発達障害よりも広い概念になります。知的発達症知的障害の名称で呼ばれていましたが、現在は知的発達症と呼ばれるようになりました。論理的思考、問題解決、計画、抽象的思考、判断、などの知的能力の困難性、そのことによる生活面の適応困難によって特徴づけられます。程度に応じて軽度、中等度、重度に分類されます。ASD(自閉スペクトラム症)自閉症、高機能自閉症、広汎性発達障害、アスペルガー(Asperger)症候群などのいろいろな名称で呼ばれていたものがまとめて表現されるようになりました。ASDはAutism Spectrum Disorderの略。ADHD(注意欠如・多動症)注意欠陥・多動性障害の名称で呼ばれていましたが、現在はADHD、注意欠如・多動症と呼ばれるようになりました。ADHDはAttention-Deficit Hyperactivity Disorderの略。ADHDはさらに、不注意優勢に存在するADHD、多動・衝動性優勢に存在するADHD、混合に存在するADHDと呼ばれるようになりました。今までの「ADHD~型」という表現はなくなりましたが、一部では現在も使われています。SLD(限局性学習症)LD、学習障害、などの名称で呼ばれていましたが、現在はSLD、限局性学習症と呼ばれるようになりました。SLDはSpecific Learning Disorderの略。
2023年06月06日持ってきたはずのお財布がない!爆発寸前!?ゲームセンターで「う~~!」とうなりだす息子自閉スペクトラム症の息子が、見通し不安で大パニックを起こしたのは、当時小3だった息子と一緒に、ショッピングセンターへ行ったときのことです。その日は「ゲームコーナーにあるアーケードゲームをする」「ゲームは自分のお小遣いでやる」と家を出る前に約束をしていました。ですから、自分のお財布を持ってきている…はずでした。ですが、ゲームセンターについてお財布を出そうとしたところ、ないのです…!なんと息子は家に自分の財布を忘れてきてしまったのでした。息子はそれに気づくと「う~~!」と声を出し、パニックを起こしかけました。「このままではいけない、大暴れしてしまう!」と慌てた私は、「お金は貸してあげるから、大丈夫だよ」と息子に伝えました。すると、それならゲームはできると納得してくれたようで、なんとか不穏な様子はおさまりました。そして息子は予定通りのやりたかったアーケードゲームを楽しむことができました。もうちょっとでパニックを起こすところだった…、これにて一件落着…と、ほっとしたのもつかの間、次は母の用事である買い物に付き合ってもらうため、食料品売り場へ移動すると、再び息子の様子があやしくなってきました。Upload By ユーザー体験談食品売り場でじだんだ。帰ろうとしても連れ戻される私。どうすればいいの⁉ゲームが無事終わったあと、食品売り場で買い物をしていたところ、息子はだんだんと苦しそうな表情を浮かべ、やがて叫びたいのを我慢しているといった様子でじだんだを踏みだしました。さっきのゲームセンターでは、「お財布を忘れた」ことがパニックの原因だったと思います。でも今はなぜ?わからないままお惣菜売り場につき、そこで「なに買おうか?」と聞いたのですが返事はありません。この様子だと買い物はせず帰った方がいいなと感じた私は、「じゃあ、帰ろう」と食品売り場から出て、駐車場へ向かおうとしました。ですが息子はそんな私の服の袖をつかんで、お総菜売り場まで連れ戻すではありませんか。お惣菜売り場でなにかしたいことがあるの?なにか欲しいものがあるのかな?と思って、「じゃあ、これ買おうか?それともこっち?」と尋ねても、やっぱりなにも答えず、ただじだんだを踏む息子…。その後も帰ろうとしては連れ戻され、ということが繰り返されました。これ以上パニックがひどくなって、大声を上げたり突然走り出したりしないようにしなければと、私は努めて冷静に息子の様子を観察しました。これはなにか買わなければ帰れないなと思い、私は「じゃあこれね」とお惣菜を一つ選んで会計、息子を刺激しないよう注意しながら、ようやく車に戻ることができました。それまで周りを気にする余裕はありませんでしたし、何か言われたりもしなかったですが、ようやく車に乗ると「あんなに大きい子が駄々をこねて」とか「お母さんがしっかりしないから」とか思われていたんじゃないかと不安になりました。ついに来た大パニック!車の中の大絶叫!そして家からの逃亡!あとは家に帰るだけ…と思った私でしたが、そこからがその日最大の修羅場でした。ショッピングセンターから家までの10分あまり道のり、息子は車の中で全力で泣き叫び続けたのです。言葉ではなく、とにかく泣きながらギャーギャーと叫んでいました。耳が痛いほどの絶叫の中、私はとにかく事故を起こさないようにしなければと自分に言い聞かせ、必死に運転して帰りました。Upload By ユーザー体験談なんとか家に到着すると、息子はまだ怒ってはいたものの、騒ぐのを止めてくれました。家の中に入り、息子のパニックの原因であろう財布を見つけようと思った私。「お財布どこに置いたか覚えてる?」と聞いたところ、玄関から「バタン」という音。息子が外に出てしまったのです!慌てて外に出ましたが、もう息子の姿は見えず、探しても見つからず…。しばらく時間がたったあと、息子はスッキリした顔で戻ってきました。無事に帰ってきてくれてよかったとホッと胸をなでおろしながら「どこへ行ってたの?」と聞いたのですが、なにをどう聞いてみても、最後まで教えてくれませんでした。私は息子が帰ってこなかったら、外でパニックを起こしてしまったら、と不安な気持ちで探し回っていたので、とにかく無事に家に戻ってきてくれたのだから、とそれ以上聞くことはやめました。本人もパニックの原因はわからず…。スクールカウンセラーに言われたこと落ち着いた息子に、パニックになった原因はなにか聞いてみたところ、「ゲームはできたのに、なんでパニックになったのかわからない」とのこと。また、車の中での記憶はないと言っていました。私もなぜ息子があそこまで怒ったのか、原因はわかりませんでした。後日、スクールカウンセラーにこの話をしたところ、「予定の変更が苦手で、『自分のお金でゲームをやる』や『買い物するはずだったのに、買い物せずに帰ろうとした』ことがパニックに繋がってしまったのかもしれませんね」と言われて、なるほどと腑に落ちました。Upload By ユーザー体験談なんとかお財布を忘れたという予定変更を乗り越えても、ストレスがたまっていたのでしょう。買い物をしている間、息子はなかなか買うものを決めず、またカゴに商品も入れない私の様子に「いつになったら買い物は終わるんだ」「ちゃんと買い物はするのか?」と不安を感じて、爆発してしまったのかもしれない、そう思いました。その後もゲームセンターへ行くのに同じような忘れ物をして、何度かパニックになったりしましたが、徐々に自分で折り合いをつけられるようになりました。まず、お金は忘れても親から借りればいいと思えるようになったようで怒ることはなくなったのですが、ゲームに使うカードや太鼓を叩くバチを忘れたときは、親から借りられないので「う~~っ」とじだんだを踏んでいました(さすがに、大声で泣き叫ぶことはしなくなりました)。それが、中学生になったころから、このような忘れ物をすると私に「ここで待ってるから、買い物してきて」と告げて、自分でその辺をウロウロしてクールダウンできるようになり、やがてカードを忘れても「カードがなくてもできるゲームをやる」、バチを忘れたら「太鼓に付いてるバチの方が、使いにくくて練習になるから、今日はこれで練習する」と、考えを変えられるようになり、忘れ物をしても大丈夫になってきました。Upload By ユーザー体験談14歳になった今は…また新たな問題も出てきたけれど中2になった今でも「入れたはずのカードがない。絶対に入れたはずだ!」と不穏になることはありますが(車の中に落ちていました)、大騒ぎすることはありません。一方、中学生になって落ち着いたかと思いきや、しばらくは環境が変わったストレスからか、宿題が思うようにいかなくて、ノート数十ページにわたってグチャグチャに書きなぐったり、朝の準備がうまくいかなくて、家を飛び出してどこかへ行ってしまったりしました。宿題のプリントをハサミで切ってしまったこともあります。落ち着いてきてはいますが、まだまだ不安なところも当然あります。ですが、以前に比べると、大分落ち着きましたし、自分で折り合いをつけたり、代わりの案を考えたりすることができるようになってきました。今後は、気持ちよく周囲を頼ったり、頼られたりができて、そして困っている人が居たら助けてあげられる優しい人に成長していってほしいな、と思っています。イラスト/keikoエピソード提供/なまちゃん(監修:井上先生より)突発的な出来事で予定が変わってしまったり、見通しが立たないことによる不安やパニックも年齢を重ねるごとに徐々にコントロールできるようになってきているんですね。お母さまのおかげで、気をそらせたり、少し我慢したりすることで成功体験も得られてきているのだと思います。自分だけで解決するのではなく、お母さん以外の人で先生や支援者と一緒に考えて乗り切れる体験を少しずつ積んでいけるとよいと思います。
2023年06月03日「授業中にフリーズ」自閉スペクトラム症のある太郎自閉スペクトラム症のある太郎は、小学校1年生時、国語、算数、図画工作の授業は特別支援学級で個別に受けていた。特別支援学級の先生の判断だけではなく交流学級の先生と情報交換しながら、「太郎にあった授業」というものを考えてくださっていた。Upload By まゆんUpload By まゆん交流学級での太郎の様子を先生はこう言っていた。・黒板の文字を写すことに時間がかかる・周りについていけずにフリーズする・そのことを引きずりそのあとの授業にまで影響がある・図画工作では手先の不器用さが目立つ・テーマにそって何かを創作するということが難しい・そしてフリーズする・そのことを引きずるその繰り返しだと。個別授業では、太郎のペースに合わせてノートを取れるように待ってくださったり分からない個所への助言をしてくださったので、通常学級の授業の進行ペースに間に合うように勉学を進められた。フリーズすることは変わらずあったそうだが、切り替えの時間を設けたり太郎が納得するまで問題を一緒に考えてくださったりした。最高の相談者先生の言葉で覚えていることがある。「太郎ちゃんはとにかくこだわりが強いので、納得がいくまでは固まって動きません」「適当ということがないので、そこがいいところでもあるのですが、もう少し柔軟性が出ると本人もきつさが和らぐのだと思うのですが」先生の言葉には共感がわいた。太郎に真剣に向き合っているからこそ分かる特性だったし、私が悩んでいることとまったく同じで喜びがわいてきたのだと思う。最高の相談者、味方ができたと心強くなった。特別支援学級の先生は、交流学級での太郎の授業の様子もみにきてくださっていた。先生が太郎にアドバイスをしやすいように、太郎の交流クラスでの席は決まって一番前の廊下側の席だった。太郎もきっと先生が来ると安心していたのではないかと思う。Upload By まゆん面談時に、先生が私に弱音を吐くこともあった。図画工作の時間でどうしても太郎がテーマにそって絵を描かなかったときのこと。先生が参考になる絵を用意したところ、太郎が真似して時間をかけて描いたと思ったらなんと勢い良く消し始めたとのことだった。「お母さんー、こんなことがあったんですよー、すっごくうまく、やっと描けたのにですねー、もうほんっとにもうー」とベソをかいていた。Upload By まゆん私も先生の苦労が身に染みて分かっていたのだが、なんて言っていいのか分からず、とにかく感謝の気持ちを伝えた。「先生ありがとうございます」すると先生は「大変ですけど、太郎ちゃんかわいいですし、楽しいです」ますます感謝の気持ちがこみあげてきた。Upload By まゆん先生に出会えたことを本当に幸せに思っていた。特別支援学級でどのような配慮をしてくださるのか。学校や先生によって対応も違うだろうし「どんなものなのだろう」と思っていました。太郎が入学した年に特別情緒障害支援学級が設立された学校だったため、事前情報が一つもないまま入学しました。不安な気持ちを持っていたのは保護者の私もですが、先生も模索しながらの日々だったことと想像しています。生徒の一人ひとりに違った個性がある特別支援学級。先生の太郎に対する対応には、何一つ不満はありませんでした。先生は太郎に試みたことを根拠から太郎の様子、評価までありのままを話してくださいました。小学校低学年のころは、まめに私の仕事が終わる時間に情報共有として電話連絡をいただいていました。そんな日々を振り返り、とても安心できる環境に置かれていたのだと実感しています。執筆/まゆん(監修:鈴木先生より)理解と知識のある先生に出会えたようですね。黒板の文字を写すのに時間がかかるのは、同時処理やワーキングメモリーの低さからくるものと思われます。WISCというIQテストでその程度は分かります。私の外来では板書が写せないお子さんには、タブレットなどで写真を撮ってそこに記入するようにすすめています。学校側の理解と配慮が必要となります。また、手先の不器用さは、発達性協調運動症のあるお子さんによく見られます。病院などで、リハビリを行う作業療法士(OT)さんによる感覚統合訓練を受けることができます。それには医師の診断が必要になります。症状だけで療育や教育を続けているお子さんが目立ちます。これは羅針盤を使わずに航海しているようなものです。しっかりと診断してそれに向けて将来の対策を講じることが大切だと思います。コラム内では、現在一般的に使用される障害名・疾患名で表記をしていますが、2013年に公開された米国精神医学会が作成する、精神疾患・精神障害の分類マニュアルDSM-5などをもとに、日本小児神経学会などでは「障害」という表記ではなく、「~症」と表現されるようになりました。現在は下記の表現になっています。神経発達症発達障害の名称で呼ばれていましたが、現在は神経発達症と呼ばれるようになりました。知的発達症(知的障害)、自閉スペクトラム症、注意欠如・多動症、コミュニケーション症群、限局性学習症、チック症群、発達性協調運動症、常同運動症が含まれます。※発達障害者支援法において、発達障害の定義の中に知的発達症(知的能力障害)は含まれないため、神経発達症のほうが発達障害よりも広い概念になります。知的発達症知的障害の名称で呼ばれていましたが、現在は知的発達症と呼ばれるようになりました。論理的思考、問題解決、計画、抽象的思考、判断、などの知的能力の困難性、そのことによる生活面の適応困難によって特徴づけられます。程度に応じて軽度、中等度、重度に分類されます。ASD(自閉スペクトラム症)自閉症、高機能自閉症、広汎性発達障害、アスペルガー(Asperger)症候群などのいろいろな名称で呼ばれていたものがまとめて表現されるようになりました。ASDはAutism Spectrum Disorderの略。ADHD(注意欠如・多動症)注意欠陥・多動性障害の名称で呼ばれていましたが、現在はADHD、注意欠如・多動症と呼ばれるようになりました。ADHDはAttention-Deficit Hyperactivity Disorderの略。ADHDはさらに、不注意優勢に存在するADHD、多動・衝動性優勢に存在するADHD、混合に存在するADHDと呼ばれるようになりました。今までの「ADHD~型」という表現はなくなりましたが、一部では現在も使われています。SLD(限局性学習症)LD、学習障害、などの名称で呼ばれていましたが、現在はSLD、限局性学習症と呼ばれるようになりました。SLDはSpecific Learning Disorderの略。
2023年05月24日白米しか食べられない日も。偏食の自閉症息子、小学1年の1学期3歳で自閉スペクトラム症と診断を受けたけんとは偏食で、年長まで通っていたこども園の給食がほとんど食べられませんでした。見た目がドロドロしていたり、グチャっとしていたりするものがあると、気分が悪くなってしまうことも。お皿の上に乗っているのを見るのが嫌なだけでなく、それらを人が食べているのを見るだけでもダメでした。そのため、小学校に入ってからの給食がとても心配でした。入学時に担任の先生にお伝えしたところ、給食の時間はパーテーションで区切って、ほかの子が食べているのを見えないように配慮をしてくださいました。Upload By ゆきみ小学1年生の1学期は、給食はほとんど食べられなかったようです。パンや麺類も食べられず白米だけは食べられるので、白米の日は、たくさんおかわりをしていたそうです。それを見て、先生のほうから「よかったら、ふりかけなどを持ってきてもいいですよ」と言ってくださり、持っていくとご飯をモリモリ食べていたそうです。給食をほとんど食べない日が続いていたからなのか、体重もなかなか増えず、「お弁当を持たせようかな…」と、悩んでいたとき、先生からある提案をいただきました。献立表に赤い丸をつけて壁に貼ると…その提案は、学校から配られる1ヶ月の献立表を見て、けんとが食べられそうなものに私が赤いペンで丸をつけ、先生に提出するというもの。その紙を教室の壁に貼ってみたいとのことでした。Upload By ゆきみ試しに始めてみると、掲示物が大好きなけんとは、毎日、給食の前にその献立表をチェックするように。私が丸をつけた、自分が食べられそうなものを確認して、お皿に乗せてもらい食べていたそうです。1ヶ月分の献立表に丸をつけていると、いくつか「これ、食べられるかな?」と母の私にも分からないものがありました。「もしかしたら食べられるかも」、というものには「まぁいっか。丸つけちゃえ」と気軽な気持ちで試しに丸をつけてみることに。すると、何やら頑張って食べることができたそうなのです。「食べられたぁ!」と嬉しくなったのですが、だからといって、無理だと分かっているものに丸をつけてしまったりしたら、けんととの信頼関係に傷をつけてしまう気も。なので、食べられないだろうというものには欲張って丸をつけることはせず、「もしかしたらちょっと頑張れば食べられるかも」と思えるものに丸、どうしても分からないものには三角をつけるようにしてみました。見通しが立ったことによってできた変化献立表に赤い丸をつけるようになってから、ほんの数品ですが、少しずつ給食で食べられるものが増えていきました。たまに、丸をつけていない品や、三角をつけた品を、頑張って食べるということもでてきたそうです。スープなど、以前は家では飲めなかったものも飲めるようになりました。そしてさらに!給食で食べたおいしい品を「家でも食べたい」と言うこともでてきたのです。Upload By ゆきみ先生とお話ししたときに「この前、ししゃもフライをモリモリ食べていましたよ」と情報をいただいたので試しに家で出してみると…、何やら給食と違ったようで食べてくれなかった…などの失敗もありますが…。食べられるものが増えた、だけではなく違う変化も出てきました。丸をつけた献立を確認することによって「何が出てくるのか」が分かり、見通しが立つようになったからなのか、パーテーションをせず、特別支援学級のみんなと同じ空間で食べられるようになったのです。給食の時間が「ほかの人が食べているものを見るのが怖い」という不安に囲まれた時間から、「ほかの人が食べていても安心」という時間に変化したように感じ、嬉しくなりました。Upload By ゆきみ焦らず少しずつ願いをかけてつける赤い丸給食で食べられるものが少なく、お弁当を持たせていただこうかなと思っていたときに始まった献立表への赤い丸つけ。その紙を壁に貼り確認するだけですが、それがけんとの不安を軽減したのかなと思っています。小学2年生になり、給食2年目が始まりました。まだまだ食べられないものが多いですし、今年度も何か食べられるものが増えるかは分かりませんが、少しでも安心して、おいしく楽しい給食の時間になったらいいなと願っています。母のつける丸が、心の安心に繋がりますように…。執筆/ゆきみ(監修:井上先生より)給食が食べられず体重が増えないのは親として心配だったと思います。偏食の原因は、味や食感などの直接的な要因だけではなく、ゆきみさんが書いておられるような食事場面の環境や、どんな食べ物がだされるか分からない、食べられるかどうか分からないという不安もあると思います。お母さまが丸をつけることで安心を得ることができ、予測ができるようになることやそれについて先生と話ができるようになったことで不安も少しずつ減少してきたのではないでしょうか。視覚的に分かりやすく提示してあったのもよかったんでしょうね。別の紙にクリアできたものを張り出したり、ポイント制にする(食べにくいものはポイントも高い)などもよいかもしれません。偏食の原因はお子さん1人ひとりによって異なります。成功体験を感じられるようスモールステップで進めていくこと、ゲーム感覚のように楽しく進められる工夫も加えていくとよいでしょう。コラム内では、現在一般的に使用される障害名・疾患名で表記をしていますが、2013年に公開された米国精神医学会が作成する、精神疾患・精神障害の分類マニュアルDSM-5などをもとに、日本小児神経学会などでは「障害」という表記ではなく、「~症」と表現されるようになりました。現在は下記の表現になっています。神経発達症発達障害の名称で呼ばれていましたが、現在は神経発達症と呼ばれるようになりました。知的発達症(知的障害)、自閉スペクトラム症、注意欠如・多動症、コミュニケーション症群、限局性学習症、チック症群、発達性協調運動症、常同運動症が含まれます。※発達障害者支援法において、発達障害の定義の中に知的発達症(知的能力障害)は含まれないため、神経発達症のほうが発達障害よりも広い概念になります。知的発達症知的障害の名称で呼ばれていましたが、現在は知的発達症と呼ばれるようになりました。論理的思考、問題解決、計画、抽象的思考、判断、などの知的能力の困難性、そのことによる生活面の適応困難によって特徴づけられます。程度に応じて軽度、中等度、重度に分類されます。ASD(自閉スペクトラム症)自閉症、高機能自閉症、広汎性発達障害、アスペルガー(Asperger)症候群などのいろいろな名称で呼ばれていたものがまとめて表現されるようになりました。ASDはAutism Spectrum Disorderの略。ADHD(注意欠如・多動症)注意欠陥・多動性障害の名称で呼ばれていましたが、現在はADHD、注意欠如・多動症と呼ばれるようになりました。ADHDはAttention-Deficit Hyperactivity Disorderの略。ADHDはさらに、不注意優勢に存在するADHD、多動・衝動性優勢に存在するADHD、混合に存在するADHDと呼ばれるようになりました。今までの「ADHD~型」という表現はなくなりましたが、一部では現在も使われています。SLD(限局性学習症)LD、学習障害、などの名称で呼ばれていましたが、現在はSLD、限局性学習症と呼ばれるようになりました。SLDはSpecific Learning Disorderの略。
2023年05月23日もしかしたら「自閉スペクトラム症(アスペルガー症候群)」かもしれないと気付いたゆーとぴあさんの体験を描いたマンガを紹介します。次男が通う療育園の面談をきっかけに自分自身は「自閉スペクトラム症(アスペルガー症候群)」なのではないかと思うようになったゆーとぴあさん。自分の子どものころのことを思い返し、たびたび「自閉スペクトラム症(アスペルガー症候群)」の兆候があったかもしれないと気付きました。ゆーとぴあさんは小学生のとき、母親を怒らせてしまったことがあり……。★前の話ゆーとぴあさんは小学生のころ、「だらしがない子ちゃん」というあだ名で呼ばれてしまうほどにボーッとしていることがあったのだそう。髪はボサボサ、左右で違う靴下をはいていたというゆーとぴあさんのだらしなさは部屋にまで影響していたのだとか。そんなゆーとぴあさんに対し、ついに母親が激怒!私は子どものころからだらしがなく、片付けることがとても苦手でした。小学校から帰宅すると、いつも居間をマンガや教科書で散らかしてしまうので母に散々注意されていました。いつものように居間を私物で散らかし、こたつでゴロゴロとしながらマンガを読んでいた私。当然母はと注意してきますが、どうせいつものことだと私は聞く耳を持ちません。しかし、この日の母の様子はいつもと違いました。一向に動こうとしない私に対して、ついに母がブチ切れたのです!「こんニャロ~~! こんなの捨ててやるー!」そう叫びながら、母は居間に散らかっていた私のランドセルや教科書、マンガなどをすべて庭へと投げ捨てたのです……。あまりのショックと驚きに私は、思わず泣きながら叫び声を上げていました。-----------------「片付けないと捨てちゃうよ! 」と、子どものころ親から注意を受けた方も多いはず。ゆーとぴあさんの場合は、本当に私物を投げ捨てられてしまったようです。何度注意しても直らなかったことで、母親は追い詰められていたのかもしれませんね……。大事な私物を捨てられることは、いろいろな意味で忘れられない出来事になりますよね。※記事の内容は公開当時の情報であり、現在と異なる場合があります。記事の内容は個人の感想です。★関連記事:「かわいそうなくらい筋腫ができています」初めて受診した婦人科で手術と言われ #子宮筋腫で開腹手術 6★関連記事:「アカン!」精神的にヤバい…父からの鬼電に幻聴まで聞こえて #預金資産ゼロの父が倒れた話 68★関連記事:「忘れ物し過ぎですよ!」忘れ物が多く、子どもにも迷惑が #私ってアスペルガーなんちゃらかも 1著者/ゆーとぴあ主にインスタとブログで実話を元としたマンガを描いています! 発達障害やその他難病、児童相談所などのテーマを取り上げています。
2023年05月21日自閉スペクトラム症の息子はパニック連発。そんなとき定型発達の娘は…わが家には自閉スペクトラム症のある息子と、息子より3歳年下の定型発達のがいます。息子は9歳で診断を受けました。息子は真面目で優しい子なのですが、予定変更が苦手で、とくに忘れ物をするとひどくパニックを起こしとても大変でした。忘れたら誰かに借りればいいと思うのですが、借りるという行為自体も許せないので、忘れ物をした日は、私の職場まで電話がかかってきて学校まで忘れ物を届けるということが、何度もありました。また、息子が学校から帰宅後、宿題や筆箱などを学校に忘れてきたことに気づくともっと大変です。このような場合は学校に取りに行くことになるのですが、出かけることによって帰宅後のルーティンが崩れてしまうことに息子はパニックを起こし大泣き!そんな息子を連れて、もしくは私一人で忘れ物を取りに行くことがよくあり、仕事帰りの大仕事に私はヘトヘトでした。それ以外にも宿題を間違えると、「もう終わりだ!」とこの世の終わりのように泣き叫びます。それをなだめる私は、心身共に疲れ切っていました。Upload By ユーザー体験談わが家のムードメーカー!明るい娘が息子と母親を笑わせてくれていた息子の度重なるパニックに振り回され、私がぐったりしたとき、よく定型発達の娘 が私の心をほぐしてくれました。例えば、そのころ流行っていたお笑い芸人の歌や踊りを完コピして踊ってくれたり、ダンボールなどを使ってビデオカメラやマイクをつくっては、カメラマンになってインタビューごっこをしてくれたり…。家庭の暗い雰囲気を察知すると、全然関係のないことで笑わせてくれる娘。今にして思えば、気をつかわせてしまっていたのだと思います。娘は、息子に対してもテレビのお笑いの話をしたり、一緒におもちゃの剣で遊んだり、ときには息子の背中にシールを貼ってイタズラをしていました。息子にも娘にも診断のことは伝えていませんでしたが、娘なりに息子の特性については理解していたようです。でもそのことを嫌がったり、バカにしたり、恨んだりする様子はありませんでした。娘が息子にこのように関わり続けてくれたことは、息子がほかの人と人間関係を築く上でとてもいい経験になったと思っています。Upload By ユーザー体験談「ママは私よりもお兄ちゃんの方が好きなんだよね」いつも明るい娘の言葉にショックそんな娘が、小1になったある日のことです。私と2人きりになったとき、突然娘が、「ママは私よりもお兄ちゃんの方が好きなんだよね」とボソッとつぶやきました。寂しそうな、あきらめている感じの表情を見て、私は頭が殴られたようなショックを受けました。私は息子、娘に対し平等に接していたつもりだったので、娘がそんな風に思っていたことに気づいていませんでした。ただ、息子に比べてなんでも1人でできてしまう娘を後回しにしてしまうなど、私も娘に甘えていたのかもしれません。娘はあまり泣いたりわがままを言ったりする方ではなかったので、ただただ我慢していたのでしょう。Upload By ユーザー体験談夜寝るときもそうです。私は息子と娘、2人の間に私が入って寝ていましたが、息子は寝るときもなかなか寝つけず、私はいつも息子の方を向いて機嫌を取っていました。息子を寝かせたあとに娘を見ると、すでに寝ているということが多くありました。娘は、寝るときも息子を優先している私の背中を見てどんな気持ちだったのか…それを思うと心が張り裂けそうでした。寂しい気持ちにさせていたことを、本当に申し訳なく思いました。Upload By ユーザー体験談もう寂しい思いはさせない!平等を心がけて、今は仲がいい兄妹を見守っていますこの件があってからは、以前よりも意識して娘のことを見て、相手をするように心がけたました。これが功を奏したのか分かりませんが、あれから娘がこのようなことを言ったことはありません。今は息子も中学生になり、だいぶ特性も目立たなくなってきました。また、娘と一緒に遊ぶ機会も減ってしまいましたが、娘は息子が家にいると何かにつけてちょっかいを出したりからかったりして関わっています。息子もそんな娘を無碍にせず、優しくつき合ってあげていて、本当に仲がいいと思います。私は今も「どちらかを優先することなく平等に」を心がけています。これからも2人仲良く、自分の決めた道を進んでいってほしいと思います。イラスト/SAKURAエピソード参考/ゆゆ(監修:藤井先生より)小1の娘さんの言葉は、私もいるよという娘さんのメッセージだったのかもしれませんね。その言葉を大事にして、娘さんとの時間を意識的に持たれたのだと思います。どうしても、発達障害の特性が強いお子さんの対応に追われてしまうことがあると思います。平等にと心がけていても、なかなか実行できないこともあるかと思います。複数お子さんがいる場合に、親御さんが一人ひとりのお子さんに長時間関わるのは難しいでしょう。しかし、お子さんからの話を手を止めて、体を向けて、心を向けて話を5分聞くことはできるかもしれません。1分間のハグはできるかもしれません。短い時間でも良いので、意識的に関わる時間を持つだけでも良いと思います。コラム内では、現在一般的に使用される障害名・疾患名で表記をしていますが、2013年に公開された米国精神医学会が作成する、精神疾患・精神障害の分類マニュアルDSM-5などをもとに、日本小児神経学会などでは「障害」という表記ではなく、「~症」と表現されるようになりました。現在は下記の表現になっています。神経発達症発達障害の名称で呼ばれていましたが、現在は神経発達症と呼ばれるようになりました。知的発達症(知的障害)、自閉スペクトラム症、注意欠如・多動症、コミュニケーション症群、限局性学習症、チック症群、発達性協調運動症、常同運動症が含まれます。※発達障害者支援法において、発達障害の定義の中に知的発達症(知的能力障害)は含まれないため、神経発達症のほうが発達障害よりも広い概念になります。知的発達症知的障害の名称で呼ばれていましたが、現在は知的発達症と呼ばれるようになりました。論理的思考、問題解決、計画、抽象的思考、判断、などの知的能力の困難性、そのことによる生活面の適応困難によって特徴づけられます。程度に応じて軽度、中等度、重度に分類されます。ASD(自閉スペクトラム症)自閉症、高機能自閉症、広汎性発達障害、アスペルガー(Asperger)症候群などのいろいろな名称で呼ばれていたものがまとめて表現されるようになりました。ASDはAutism Spectrum Disorderの略。ADHD(注意欠如・多動症)注意欠陥・多動性障害の名称で呼ばれていましたが、現在はADHD、注意欠如・多動症と呼ばれるようになりました。ADHDはAttention-Deficit Hyperactivity Disorderの略。ADHDはさらに、不注意優勢に存在するADHD、多動・衝動性優勢に存在するADHD、混合に存在するADHDと呼ばれるようになりました。今までの「ADHD~型」という表現はなくなりましたが、一部では現在も使われています。SLD(限局性学習症)LD、学習障害、などの名称で呼ばれていましたが、現在はSLD、限局性学習症と呼ばれるようになりました。SLDはSpecific Learning Disorderの略。
2023年05月20日もしかしたら「自閉スペクトラム症(アスペルガー症候群)」かもしれないと気付いたゆーとぴあさんの体験を描いたマンガを紹介します。次男が通う療育園の面談をきっかけに自分自身は「自閉スペクトラム症(アスペルガー症候群)」なのではないかと思うようになったゆーとぴあさん。発達障害と向き合っていく中で、とある出来事を思い出しました。その出来事とは一体……。★前の話子どものころから同じミスを繰り返してしまったり忘れ物が多く、鉛筆やお箸を正しく持てないことにも引け目を感じることがあったというゆーとぴあさん。思い返せば、小学生のころの出来事で「これも自閉スペクトラム症(アスペルガー症候群)と関係あるのかな?」と気になる節があるのだそう。それは、授業中にボーッとして上の空になることだったのです。私は昔からボーッとしてしまうことが多かったので、周りからよく注意されていました。ですがボーッとしているように見えても、頭の中は常に何かを考えています。家族と食卓を囲んでいても、脳内はマンガのネタでいっぱいの状態なのです。夫から「何、またボーッとしてたの?」と指摘をされてしまうこともしばしば。そんな私の小学校2年生のときのあだ名は、「だらしがない子ちゃん」。小学生のころの私は毎日忘れ物ばかりで、身なりは整っているとは言えず髪はボサボサ。国語のテストは0点ですし、左右違う靴下をはく始末……。昔の話とはいえ、私のあまりのだらしなさにはぴったりなあだ名でした。さらに学校にいる間だけではなく、下校中もぼんやりすることが多々ありました。上着を腰に巻いて帰れば、帰り道でなくしてしまい、落としたことにも気付かないほどだったのです。-----------------一見ボーっとしているゆーとぴあさんの頭の中は、いろいろな情報であふれているようです。外見からはわからないので、先生やクラスメイト、家族も「ボーッとしている」としか思わなかったのでしょう。見た目だけではわからないこともありますから、その人がどんなことを考えているのか聞いてみることは大切ですよね。※記事の内容は公開当時の情報であり、現在と異なる場合があります。記事の内容は個人の感想です。※本記事の内容は、必ずしもすべての状況にあてはまるとは限りません。必要に応じて医師や専門家に相談するなど、ご自身の責任と判断によって適切なご対応をお願いいたします。著者/ゆーとぴあ主にインスタとブログで実話を元としたマンガを描いています! 発達障害やその他難病、児童相談所などのテーマを取り上げています。
2023年05月20日3歳までこだわりや癇癪がほぼなかった息子。でもこだわりのタネは少しずつ芽を出し始めていて…赤ちゃんのころから反応が少なかった息子。癇癪・こだわりも例外ではなく、特に産まれてから3歳あたりまで「どうしてもこうしたい!!」という息子からの強い思いはほぼありませんでした。たとえば、おもちゃで遊んでいても目の前からなくなるとすぐにあきらめて違うおもちゃで遊びだすので、児童館でお友達と取り合いになるようなこともなく…というか全てのおもちゃ・遊びに対して興味が薄く、夢中になることがほとんどなかったように思います。親としては「もっと熱くなれよっ!!」と言いたくなるくらい、物事への執着を感じることがありませんでした。Upload By 海乃けだまうちの子はもしかしたらこのままこだわりや癇癪が少ないタイプなのかもしれない…そう思っていた矢先、4歳を過ぎたころから何気ない日常生活で積み重ねた「いつもの習慣」が突如地雷となって爆発する日がやってきたのです(恐怖)。ある日、何の前触れもなく突然現れたこだわり。まるで地雷!!日常生活がサバイバル!?それはある晩のこと…毎週土曜日の夕飯は祖父母の家(義実家)でつくっていただいているのですが(とてもありがたい)、わが家の玄関を出て左の階段が正門、右の階段が車庫に続いており、その日は車に置き忘れた物を取りに行ってから祖父母宅へ向かおうとしていました。息子に「ちょっと車に忘れ物したから取りたいねん」と一声かけてから手を引いて車庫の方へ歩きだすも…息子はピクリとも動きません。「どうしたの?」そう声をかけようとした途端、『ごっぢー(こっち)』ととんでもない声量で叫び出したのです(唖然)。それこそ知らないうちに積み重ねていた"いつもと同じ通路"が息子の中でこだわりとなっていたことを知った瞬間でした。Upload By 海乃けだまこの出来事があってから、今までの間に次々とこだわりという名の地雷が発掘されております(白目) 。誰得‼︎祖父母宅関連の息子のこだわり一覧・必ず玄関を出て左の正門から・祖父母宅へ行く専用の靴下・祖父母宅へ行く専用のサンダル・家の前の道路を横断する際の左右確認←妹・パパママたちもちゃんとしてるかチェックされます(笑)・息子専用のお皿・スプーン・フォーク・息子専用のコップ・ストロー、そしてティースプーン←(お茶を混ぜるため)一つひとつは取るに足らない小さなこだわりなんですが、数が多くなってくるとなかなか大変です…。一方で、こだわりがいい方向に働くことも…息子は今ミニカーに激ハマりしているのですが、そこから派生して道路標識にも興味を持ち始めています。交通ルールに関して教えると、必ずそのルールを守ってくれます。道を渡るときは車が来ないか左右確認、手を挙げて渡る、交差点の歩行者の止まれマークは必ず止まる。そして横断歩道があればその白線の上を必ず歩く。Upload By 海乃けだまパパやママ、そして妹もしっかりとルールを守っているかチェックされます。息子の「交通ルールを守る」こだわりは、スーパーの駐車場なども例外ではなく…たとえ目の前にスーパーの入り口があったとしても、横断歩道があるところまで遠回りしていく徹底ぶりです。Upload By 海乃けだまこだわりのタネになると困ることは避けているつもりでも…もともとの息子の性格上、何時間でも泣き続けるような強いこだわりというのはないのですが、どんな毎日の習慣がこだわりのタネになってしまうか分からないので、今日はAの日、別の日はBの日など変化を持つように意識しています。しかし、無意識で毎日同じ行動をしていることもあり、息子の「ママはいつも○○なのー?」や「〇〇に行くから右から出る!(車)」などの言葉で習慣化していることに気づかされます。ちょっとした脳トレと思いながら、日々過ごしております (※ただし、余裕のあるときのみ) 。執筆/海乃けだま(監修:藤井先生より)息子さんのこだわりの内容の詳細がよく分かるコラムをありがとうございます。ASDのあるお子さんで、言葉で自分の気持ちをうまく表現できない場合、どうして癇癪を起こすのか分からないままのこともあります。癇癪の理由が分からない場合もありますが、(小さな)こだわりの積み重なりによることもあると想像できますね。こだわりを強化しないように、変化を持つように意識しているとのこと、とても良いことだと思います。ルーティンは持ちつつ、緩められるところは緩めて、行動の幅を持たせられると良いですね。コラム内では、現在一般的に使用される障害名・疾患名で表記をしていますが、2013年に公開された米国精神医学会が作成する、精神疾患・精神障害の分類マニュアルDSM-5などをもとに、日本小児神経学会などでは「障害」という表記ではなく、「~症」と表現されるようになりました。現在は下記の表現になっています。神経発達症発達障害の名称で呼ばれていましたが、現在は神経発達症と呼ばれるようになりました。知的発達症(知的障害)、自閉スペクトラム症、注意欠如・多動症、コミュニケーション症群、限局性学習症、チック症群、発達性協調運動症、常同運動症が含まれます。※発達障害者支援法において、発達障害の定義の中に知的発達症(知的能力障害)は含まれないため、神経発達症のほうが発達障害よりも広い概念になります。知的発達症知的障害の名称で呼ばれていましたが、現在は知的発達症と呼ばれるようになりました。論理的思考、問題解決、計画、抽象的思考、判断、などの知的能力の困難性、そのことによる生活面の適応困難によって特徴づけられます。程度に応じて軽度、中等度、重度に分類されます。ASD(自閉スペクトラム症)自閉症、高機能自閉症、広汎性発達障害、アスペルガー(Asperger)症候群などのいろいろな名称で呼ばれていたものがまとめて表現されるようになりました。ASDはAutism Spectrum Disorderの略。ADHD(注意欠如・多動症)注意欠陥・多動性障害の名称で呼ばれていましたが、現在はADHD、注意欠如・多動症と呼ばれるようになりました。ADHDはAttention-Deficit Hyperactivity Disorderの略。ADHDはさらに、不注意優勢に存在するADHD、多動・衝動性優勢に存在するADHD、混合に存在するADHDと呼ばれるようになりました。今までの「ADHD~型」という表現はなくなりましたが、一部では現在も使われています。SLD(限局性学習症)LD、学習障害、などの名称で呼ばれていましたが、現在はSLD、限局性学習症と呼ばれるようになりました。SLDはSpecific Learning Disorderの略。
2023年05月19日もしかしたら「自閉スペクトラム症(アスペルガー症候群)」かもしれないと気付いたゆーとぴあさんの体験を描いたマンガを紹介します。次男が通う療育園の面談をきっかけに自分自身は「自閉スペクトラム症(アスペルガー症候群)」なのではないかと思うようになったゆーとぴあさん。子どもたちの面談でお箸や鉛筆の持ち方について指摘された際、自分にも心当たりがある、と胸騒ぎがして……。★前の話ゆーとぴあさんは忘れ物が多いだけではなく、何度も同じ間違いを繰り返してしまうことがあったのだそうです。そんなゆーとぴあさんには、子どもに教えることができないことがあるのだそう。そのことを指摘されるとドキッとしてしまうのだとか。私は鉛筆やお箸を正しく持つことを指摘されると、ドキッとすることがあります。長男の面談や次男の面談で、子どもたちの鉛筆の持ち方がグーと握るような形になってしまうことがあると指摘を受けてしまいました。先生方からは、「家庭でも指導してください」と言われ、次男に至っては「しつけ箸でなく普通の箸の練習もお家でしてください」と言われてしまいました。ですが、実際のところ私自身が鉛筆やお箸を正しく持てないのです。それを理由に、子どもたちに正しい持ち方を教えることができない……とお箸や鉛筆の持ち方を教えることを避けていたのでした。小学生のとき、母から鉛筆の正しい持ち方を教えてもらいましたが、「別に書ければいいじゃん」と思い、何でちゃんとした持ち方じゃないといけないのか理解できませんでした。しかし、親となった現在、ちゃんとした鉛筆やお箸の持ち方ができる大人でないと子どもに教えることができない! と気付きました。いまさらではありますが、子どもたちと一緒に正しい持ち方ができるよう猛練習中です。-----------------小さなころから、鉛筆の持ち方を指摘されていたゆーとぴあさん。当時はどうして正しい持ち方をしなければならないのかわからなかったようですが、子どもに正しい持ち方を教えてあげたいという思いで意識が変わったようです。必要だと思ったときが、勉強する一番のチャンスかもしれません。正しい持ち方への道のりは遠くても、懸命に努力するゆーとぴあさんの姿を子どもたちにも見てもらいたいですね。著者/ゆーとぴあ主にインスタとブログで実話を元としたマンガを描いています! 発達障害やその他難病、児童相談所などのテーマを取り上げています。
2023年05月17日ひどい癇癪は経験してこなかったUpload By まる穏やかタイプの息子を育ててきて、今まで特に癇癪やこだわりに悩まされることはなかった。もちろん気に入らないことがあるときは泣いたり、散歩中息子の行きたい方向と違う方向へ行こうとすると泣いて地面に座り込み動かなくなるなどはあったが、息子自身の切り替えがうまいのか、その場を移動してしまえば長時間泣き続けて悩まされる…といったことはほぼなかった。ただし、苦手な場所やこの場にいたくないなどの状況だと、その嫌な場所を離れるまで泣いたり不機嫌は続く。今までも慣れない療育に通い出したときは泣いて教室から出ようとしていたり、いつもと違う保育園の行事のときには泣き続けて行事に参加できずに帰宅したこともあった。つい最近だと息子は動物園や水族館が苦手なようで、動物園内に入ってからずっと不機嫌で動物を何も見ずに通り過ぎ早々に帰宅するなどがあった。嫌なことに対する表現ができているからか、暴れたり手がつけられないほどの癇癪はない。思い通りに行かないときUpload By まるそんな息子も最近になって困りごとが出てきた。自分の気持ちを表現できるようになったが、その方法が思い通りにいかないことがあるときに叩いてくるようになったのだ。息子はテレビが見たいのに「今からご飯だからあとで見ようね」と言われたときや、息子は別の方向へ行きたいのに「こっちに移動しようか」と言われたときなど、思い通りにならないとすぐに手が出てしまう。ママの「ダメよ」「やめなさい」などの否定的な言葉にはとても敏感で、すぐに不機嫌になり叩いてくるので、あまり否定的な言葉にならないように言い換えたりしてるが、日々忙しい毎日を送っていると言い換えなど忘れて叩かれお互い嫌な気持ちになることが増えている。療育の先生に相談したところ、まだ嫌な気持ちを説明できないせいで、叩くことが表現方法になってしまっている。言葉で説明できるようになれば変わってくるよ。と言われた。「いらなーい」「かえるー」の連呼Upload By まる息子自身単語はよく出るようになっており、最近は気に入らないことがあると「いらなーい」「かえるー」などのマイナスな言葉を連発するようになっている。この前、ファミリーレストランに入った際に混んでいて少し順番待ちをしなくてはいけなかった。私は息子に「順番だよ」「待ってようね」などのできるだけ簡単な言葉で何度も説明したが、息子はそれが気に入らなかったようですぐに「いらなーい、かえるー」を連発で私を叩く。それなら仕方ないとレストランを出ると、「(さっき出てきたレストランへ)いくー!」と怒っている。仕方なく戻るとまた順番待ちをしなければいけないため「いらなーい、かえるー」の連発。息子に繰り返し説明しながら順番待ちをしたが、周りの目も気になるしなんだかとても疲れてしまった。手が出たときはUpload By まる保育園でも話を聞くと、気に入らないときに先生を叩くことも増えているとのこと。ただ「もっと前はかみつくこともありましたよね」と先生から言われて、そういえばと思い出した。頻繁じゃないからすっかり忘れていたが、気に入らないときにガブっとやられてあざになったこともあった。かむではなくて手で叩くになっただけ成長しているのかもしれないとふと思った。ただ、叩くのが今のところまだ大人に対してだけだが、いつお友達に手が出るか分からない不安があり、先生にも相談をしている。叩かれるたびに息子の目を見て「痛いよ」「悲しい気持ちになる」「○○が嫌だったね」などとお話するようにし、状況に応じて「ごめんね」と言ってもらうようにしている。執筆/まる(監修:新美先生より)お子さんが小さいころ、同世代の子どもが喜ぶ場所や、そこまで嫌がらない場面でも、自分の子どもだけが不機嫌になってしまうと、保護者としては困ってしまって、そうしたことが繰り返されると疲弊してしまうことがありますね。お子さんが一人ならお子さんに合わせて行動することができても、ほかのきょうだいもいたりすると対応できないこともあります。この子はこういう場面は苦手だからと、はっきり分かってしまえばそこには近寄らないようにすればよいですが、そこまで開き直るまでの期間が保護者としては苦い思い出になることもありますね。お疲れさまです。まだ言葉が十分育っていない時期に、拒否やイライラを伝える手段として、「叩く」などの手段をとることがあります。もちろん不適切な表現であることは確かで、やめさせたいものではありますが、このことに対して「だめだよ」と言葉で叱っても効果はほとんどありません。嫌だということを伝える手段が獲得できれば叩くということをしなくてもよくなるのですが、簡単にはいかないです。視覚支援などを使って活動の見通しを伝えて、やるかやらないか選べるようにする、やりたくない行動は「×」などのジェスチャーで拒否すれば受け入れてもらえる、その場を離れてカームダウンスペースで落ち着けるなど、本人が拒否できる環境と手段を獲得していくことが必要です。ですがそんなことを試みる前に、言葉が増えてきて、言葉で伝えられるようになると、激しい他害・癇癪は減っていくということも実際には多いかもしれません。お子さんがまだ発語は単語レベルという場合、言葉の理解もしているようで、複雑なところは十分に伝わっていないかもしれません。この段階では、叩いたことを謝るということにはこだわらなくてもいいかもしれません。「叩くー謝る」が、ただのパターンになって定着するだけになることもあります。叩くことがよくないことであることを伝えたいのであれば、〇と×を絵にかいて伝える(〇:「いや」のジェスチャーの絵、×:叩いている絵)とか、叩くとけがをして血が出てしまって泣いてしまう、というような場面をイラストにして伝えるなど、言葉だけではなく視覚的に伝える工夫もしてみるといいかもしれません。コラム内では、現在一般的に使用される障害名・疾患名で表記をしていますが、2013年に公開された米国精神医学会が作成する、精神疾患・精神障害の分類マニュアルDSM-5などをもとに、日本小児神経学会などでは「障害」という表記ではなく、「~症」と表現されるようになりました。現在は下記の表現になっています。神経発達症発達障害の名称で呼ばれていましたが、現在は神経発達症と呼ばれるようになりました。知的発達症(知的障害)、自閉スペクトラム症、注意欠如・多動症、コミュニケーション症群、限局性学習症、チック症群、発達性協調運動症、常同運動症が含まれます。※発達障害者支援法において、発達障害の定義の中に知的発達症(知的能力障害)は含まれないため、神経発達症のほうが発達障害よりも広い概念になります。知的発達症知的障害の名称で呼ばれていましたが、現在は知的発達症と呼ばれるようになりました。論理的思考、問題解決、計画、抽象的思考、判断、などの知的能力の困難性、そのことによる生活面の適応困難によって特徴づけられます。程度に応じて軽度、中等度、重度に分類されます。ASD(自閉スペクトラム症)自閉症、高機能自閉症、広汎性発達障害、アスペルガー(Asperger)症候群などのいろいろな名称で呼ばれていたものがまとめて表現されるようになりました。ASDはAutism Spectrum Disorderの略。ADHD(注意欠如・多動症)注意欠陥・多動性障害の名称で呼ばれていましたが、現在はADHD、注意欠如・多動症と呼ばれるようになりました。ADHDはAttention-Deficit Hyperactivity Disorderの略。ADHDはさらに、不注意優勢に存在するADHD、多動・衝動性優勢に存在するADHD、混合に存在するADHDと呼ばれるようになりました。今までの「ADHD~型」という表現はなくなりましたが、一部では現在も使われています。SLD(限局性学習症)LD、学習障害、などの名称で呼ばれていましたが、現在はSLD、限局性学習症と呼ばれるようになりました。SLDはSpecific Learning Disorderの略。
2023年05月17日もしかしたら「自閉スペクトラム症(アスペルガー症候群)」かもしれないと気付いたゆーとぴあさんの体験を描いたマンガを紹介します。次男が通う療育園の面談で「忘れ物が多い」と保育士から注意を受けてしまったゆーとぴあさん。自分自身の忘れ物の多さに「自閉スペクトラム症(アスペルガー症候群)」なのではないかと思うように。思い返せば子どものころから心当たりがあり……。★前の話療育園での面談をきっかけに自分自身に「自閉スペクトラム症(アスペルガー症候群)」の疑いがあるのではないかと思い始めたゆーとぴあさん。発達障害と向き合い、治療に向けて一歩踏み出したいと考えるようになりました。そこで自分の子どものころのことをふと思い返すと、今も変わっていない一面がありました。私自身の子どものころを思い返すと、「そういえば今と変わっていないな……」と感じる出来事が。小学生のころから、絵を描くことが好きだった私は家でよく落書きをしていました。自由帳に描けばいいものを、学校に提出しなくてはならない大事なプリントの裏に落書きをしてしまったことがありました。それを見つけた母からは「あー! そのプリントに描いちゃダメー!」と怒られてしまい……。一体何のプリントなのか、本当に絵を描いてもいい紙なのか確認せず、落書きを繰り返す娘に、母はさぞ困っていたことだろうと思います。しかし今も変わらず、無意識のうちに提出しなければいけないプリントに落書きをしてしまうことが。絵を描いてはいけないものだったと気が付くのはいつも紙いっぱいに落書きを終えた後……。同じ失敗を繰り返してしまうということも、自閉スペクトラム症(アスペルガー症候群)の特性の1つのようです。振り返ってみれば、小学生から同じことを繰り返し、現在も変わらない自分がいました。-----------------目の前の事に集中するあまり、落書きをしている紙が大事なプリントと気が付かないというゆーとぴあさん。子どものころだけではなく大人になった今でも、同じ失敗を繰り返しているようですが、短所と長所は紙一重ではないでしょうか。絵を描くことに対する集中力が、現在の活動につながっているともいえますよね。※記事の内容は公開当時の情報であり、現在と異なる場合があります。記事の内容は個人の感想です。※本記事の内容は、必ずしもすべての状況にあてはまるとは限りません。必要に応じて医師や専門家に相談するなど、ご自身の責任と判断によって適切なご対応をお願いいたします。監修/芙和せら先生(一般社団法人芙和せら心理研究所代表理事)公認心理師(国家資格)、シニア産業カウンセラーなどの資格を多数所有。世界初となるフラワー心理セラピーを創始し、芸術両方を中心とした心のケアをおこなっている。「すべての人の心を大切にすること」をモットーに活動している。著者/ゆーとぴあ主にインスタとブログで実話を元としたマンガを描いています! 発達障害やその他難病、児童相談所などのテーマを取り上げています。
2023年05月16日もしかしたら「自閉スペクトラム症(アスペルガー症候群)」かもしれないと気付いたゆーとぴあさんの体験を描いたマンガを紹介します。ゆーとぴあさんの次男は発達障害を抱えており、療育園に通っています。ある日、療育園の面談で保育士から注意を受けてしまったゆーとぴあさん。次男のことかと思いきやまさかの自分自身のことで……。★関連記事:「見るのきついな」授業参観で息子が黙ってしまって… #看護師でシングルマザーな私の話 42次男が通っている療育園にて面談をすることになったゆーとぴあさん。保育士から「忘れ物があると次男はパニックになる」という指摘を受けました。それに対して、申し訳なく思っていると、保育士から「ママ、忘れ物し過ぎですよ!」と怒られてしまいました。ある日、次男が通う療育園の面談で保育士さんから「忘れ物があると次男くんはパニックになってその日1日、ずっと機嫌が悪いんです」と告げられました。元々私自身に忘れ物が多く、療育園の持ち物を忘れてしまうことがありました。保育士さんからも「ママ忘れ物し過ぎですよ! 次男くんのほうがしっかりしていますよ」と言われる始末……。保育士さんからは小学校へ入学したときの練習も兼ねて、次男と一緒に持ち物を確認をするように。実は私に忘れ物が多いのは今に始まったことではありません。当時小学2年生だった長男のお弁当を作り忘れたのは1年間の間だけでも2回あり、週明けの月曜日には必ず何かを忘れてしまうほどです。子どもは病院で診察をしてもらったり療育園に通ったりしているけれど、私自身が診断をしてもらい改善していかないと「子どもにとって良くないのでは……」と思い始めました。以前、発達障害の専門書を読んだときに「多分自分は自閉スペクトラム症(アスペルガー症候群)なのだろう」となんとなく思っていました。しかし大人の治療は薬が高額なお金もかかる上に副作用も心配。いまさらどうすればいいのだろう? と悩み、なかなか受診や治療に向けての一歩が踏み出せずにいます。-----------------保育士からの指摘と提案をきっかけに、自身のことについて悩み始めたゆーとぴあさん。自分が忘れ物を繰り返すことで、子どもの日常生活に支障が出るとなると心配です。診断を受け、治療を始めることは、大人であっても心身ともに負担が大きいのではないでしょうか。それでも、子どものために! と行動を起こそうと悩んでいるゆーとぴあさんを応援したいですね。※記事の内容は公開当時の情報であり、現在と異なる場合があります。記事の内容は個人の感想です。※本記事の内容は、必ずしもすべての状況にあてはまるとは限りません。必要に応じて医師や専門家に相談するなど、ご自身の責任と判断によって適切なご対応をお願いいたします。監修/芙和せら先生(一般社団法人芙和せら心理研究所代表理事)公認心理師(国家資格)、シニア産業カウンセラーなどの資格を多数所有。世界初となるフラワー心理セラピーを創始し、芸術両方を中心とした心のケアをおこなっている。「すべての人の心を大切にすること」をモットーに活動している。【芙和先生からのアドバイス】忘れ物が多いことや何かをしているときに考え事をしてしまう過集中などはADHD(注意欠陥・多動症)の特性です。他にもASD(自閉スペクトラム症)やLD(学習障害)など発達障害にはさまざまな種類があり、それぞれに特性があります。何か気になることがあれば自己診断せず、病院に相談して明確にしたほうが良いです。発達障害の特性は治すというものではなく、一生付き合っていくものです。特性を理解した上で社会に適応できるようにトレーニングすること、周りも特性を理解して対応することが大切です。(ただし、発達障害から二次障害として、うつ病などを発症した場合は治療が必要です。)また、自立支援医療(精神通院医療)の制度を使うと診察や薬の費用が軽減されます。一般に3割負担の方が1割負担になります。著者/ゆーとぴあ主にインスタとブログで実話を元としたマンガを描いています! 発達障害やその他難病、児童相談所などのテーマを取り上げています。
2023年05月14日口頭の指示をすぐに忘れがちな娘。「メモを取れば?」とアドバイスしても…広汎性発達障害(自閉スペクトラム症)のある中1娘。情報を耳で聞き、頭で処理する力が弱いという特性があるので、口頭の指示をすぐに忘れがちです。そんな様子を見て「メモを取ったら忘れないんじゃない?」とアドバイスをしても…Upload By SAKURA「大丈夫!私、ちゃんと覚えておけるから!」の一点張りでまた忘れて…の繰り返しでした。Upload By SAKURA一人モヤモヤしていた私は、夫に相談しました。Upload By SAKURA「待つしかない」これは、娘の療育の日々が始まって、何度もしてきたことでした。Upload By SAKURA最近、できることも増え、成長してきた娘を見てきたので、特性を理解しつつも、私は急激な変化を求めていたと気がつきました。そこからは、自分の感情と戦いながら、心を落ち着かせ、無心で言葉を繰り返しかけ続ける日々…。Upload By SAKURAもちろんずっと無心ではいられず、ついイライラしてしまうときもありました。何か言ってしまいそうになるときは、娘から離れ、悶えながら耐えたり、夫に愚痴ったりして、ストレスを発散させました。Upload By SAKURAメモをとるように言い始めてから2年…とうとう娘に変化が!?そして、娘にメモをとるように言い始めてから、2年近く経ったある日…Upload By SAKURA娘はメモをとり始めました!私は、なかなか咲かない花に、水をあげ、待ち続け…やっと花が咲いたような気持ちになりました。Upload By SAKURAしかし、私の思いとは裏腹に、言われた日々を覚えていなかった娘…。私が試行錯誤し、いろんな感情と戦っていた日々は、娘にとって、たいした時間じゃありませんでした。そうだ…この子はそうだった!と思うと、なんだか笑えました。それから娘は、ちょっとしたことでもメモをとるようになりました。Upload By SAKURA言われたことをメモにとり、もう一度視覚から情報を入れることで、娘はきちんと覚えるようになりました。それから娘は、学校にもメモ帳を持っていくようになり、こまめにメモ。通常学級の担任の先生と、特別支援学級の担任の先生から「最近、あーさんがすごいです!なんでもメモとって、しっかり行動できます!」とお褒めの言葉をいただきました。Upload By SAKURA中学生活は、今までより大変なことが起きるかもしれませんが、この経験を活かし、「気長に言い続ける」「とにかく待つ」ということをしっかりと頭に入れたいと思います。執筆/SAKURA(監修:鈴木先生より)せっかくメモをとってもそれを見ない人もいます。気長に待っても毎回忘れることが多い人は不注意優勢に存在するADHDの可能性もあります。その場合、忘れる以外にも、部屋を片付けない・失くしやすい・人の話を聞かない・授業中集中できない・準備にもたもたするなどの症状もあります。診断がつけば治すこともできます。どんなに短いことでも初めてメモを取ったら思いっきり褒めてあげることも重要です。褒められることでメモをとる軌道に乗れるからです。次はメモを見てそれを実行するかどうかです。実行できたらさらに褒めてあげましょう。そうすることによりメモをとって実行する習慣がつけば周りから注意されることも減り、自尊心が上がるはずです。コラム内では、現在一般的に使用される障害名・疾患名で表記をしていますが、2013年に公開された米国精神医学会が作成する、精神疾患・精神障害の分類マニュアルDSM-5などをもとに、日本小児神経学会などでは「障害」という表記ではなく、「~症」と表現されるようになりました。現在は下記の表現になっています。神経発達症発達障害の名称で呼ばれていましたが、現在は神経発達症と呼ばれるようになりました。知的発達症(知的障害)、自閉スペクトラム症、注意欠如・多動症、コミュニケーション症群、限局性学習症、チック症群、発達性協調運動症、常同運動症が含まれます。※発達障害者支援法において、発達障害の定義の中に知的発達症(知的能力障害)は含まれないため、神経発達症のほうが発達障害よりも広い概念になります。知的発達症知的障害の名称で呼ばれていましたが、現在は知的発達症と呼ばれるようになりました。論理的思考、問題解決、計画、抽象的思考、判断、などの知的能力の困難性、そのことによる生活面の適応困難によって特徴づけられます。程度に応じて軽度、中等度、重度に分類されます。ASD(自閉スペクトラム症)自閉症、高機能自閉症、広汎性発達障害、アスペルガー(Asperger)症候群などのいろいろな名称で呼ばれていたものがまとめて表現されるようになりました。ASDはAutism Spectrum Disorderの略。ADHD(注意欠如・多動症)注意欠陥・多動性障害の名称で呼ばれていましたが、現在はADHD、注意欠如・多動症と呼ばれるようになりました。ADHDはAttention-Deficit Hyperactivity Disorderの略。ADHDはさらに、不注意優勢に存在するADHD、多動・衝動性優勢に存在するADHD、混合に存在するADHDと呼ばれるようになりました。今までの「ADHD~型」という表現はなくなりましたが、一部では現在も使われています。SLD(限局性学習症)LD、学習障害、などの名称で呼ばれていましたが、現在はSLD、限局性学習症と呼ばれるようになりました。SLDはSpecific Learning Disorderの略。
2023年05月10日私はカサンドラ症候群?自閉スペクトラム症のあるパートナーとの不和、子育ての難しさパートナーや子どもなどの身近な人に自閉スペクトラム症(ASD)などがあり、コミュニケーションをとることが難しく、ストレスを抱える日々が続いてしまい、それが次第に心身の不調となってあらわれてしまうことがあります。これを「カサンドラ症候群」と呼ぶことがあります。「カサンドラ症候群」は医学的な病名ではなく、明確な診断基準は定められていませんが、メディアなどでも取り上げられることもあり、カサンドラ症候群の症状を訴える人も増えているようです。発達ナビのQ&Aコーナーにもこれまでさまざまな質問が寄せられています。「カサンドラ症候群という病気があるの?」「自閉症育児。夫に頼ることができず、心療内科を受診したり、帯状疱疹になったりボロボロです。こういうのをカサンドラ症候群というのでしょうか」「自閉症のあるパートナーを持つ方、子育てにおいて心ない言葉を投げられたこと、話が通じなくてつらいなどと言われたことはありますか?わたしが悪いのでしょうか?」「ADHDと自閉症のある長男が奇声を発すると、下の子がヒステリックに怒ったり、最近では精神的にまいっているようです。これはカサンドラ症候群でしょうか?」このコラムでは、カサンドラ症候群にまつわるギモンから、家族など身近な人に発達障害がある場合のお悩みや困りごと、体験談や、専門家の先生のアドバイスを交えてご紹介します。カサンドラ症候群とは、パートナーや子どもなどの身近な人に自閉スペクトラム症(ASD)などがあるためにコミュニケーションをとることが難しく、それにより心身の不調があらわれたり、対人関係に問題が生じている状態を言います。カサンドラ症候群は、医学的な病名ではなく、明確な診断基準は定められていません。特に妻や夫といったパートナーに起こる場合が多いと言われていますが、自閉スペクトラム症(ASD)のある子どもを育てる保護者がカサンドラ症候群になる場合もあります。夫の無理解、ワンオペ自閉症児子育てがつらい。これはカサンドラ症候群?発達ナビのQ&Aコーナーに寄せられたカサンドラ症候群に関する質問と発達ナビ会員の実体験にもとづく回答をご紹介します。Q. 自閉症スペクトラムの夫を持つ方にお伺いしたいです。子育てに関して心無い言葉を投げられたこと、お前はズルい(悪い)人間だと言われたこと、お前と話すと話が通じなくて辛いと言われたことはありますか?どちらも未診断ですが、夫が自閉症スペクトラム、ADHD、幅広い障害の傾向があると自分で言っています。私は心療内科のスクリーニング検査でADHDの傾向が高いとなりました。二人とも、多動、不注意、学習障害などはありません。略私や実母に対して気に入らない事があると、人を傷付ける表現の言葉で攻撃をしてきます。その他、何人かの友人や上司にもそういった攻撃をしているようです。付き合い始めは全くいい人で、結婚、出産を機に気に入らない事があると無視、言葉での攻撃がでてきました。自分の中の「正しい事」に執着し、それを外れた言動があると激怒します。(略)こちらの質問には以下のような回答が寄せられました。A.私のパートナーも、診断こそありませんがASD傾向が強めです。ご質問に書いてらっしゃるご主人の言動と、とても似ている行動を取ります。社会・職場では、ステキなこだわりを持った面白い人家庭内では暴力こそ無いものの、困ったこだわりの多過ぎる、時々暴君となる人です。子育てに手出しは全然してくれませんでした。ですが口出しはされてきました。事あるごとに「お前の考え方では、やり方では…」とダメ出しです。特に教育・学習の面では、子どもの現実を見ず、日常こちらに任せきりなのに、何かあると「お前の考えは甘過ぎる」と散々でした。なので、共感します。とっても‼️そして共感してくれる仲間も、ここにはたくさん居ると思います。(略)小学2年生の息子は、思い通りにならないと暴言や癇癪を起こします。お薬を飲み始め、癇癪の時間は短く、軽くなりました。(中略)しかし、夫はいつまで経っても、息子を炎上させるだけの人。少しでも夫婦で連携して、家庭内で息子の気持ちが安定出来るようにして行きたい私は、どうしても夫に対して、イライラしてしまいます。また、息子の主治医に夫の言動や、実際会ってもらい話した感じから、息子の発達障害は夫からの遺伝の可能性が高いと言われました、私も今までの夫との生活からの違和感を、その言葉で納得出来ました。夫に頼れない、育児に心療内科を受診したり、帯状疱疹になったりボロボロです。こういうのをカサンドラ症候群と言うのでしょうか?同じような環境の方、どのように自分を保ち、育児してますか?こちらの質問には以下のような回答が寄せられました。A.いつまでたってもわかってくれず、イライラしても、学校での出来事や日頃の様子、さほどきにかけていないんじゃないかなー。そのとき腹がたったら怒る、っていうことだと思います。こういう場合は、仕方がない。父親がいいとこを持ってく形にし、父親と子供を対立させない事だと思います。できれば、父親から、誉めてもらうようにすることができればよいのですが。自分と同じような考え方をしてもらいたいと思っても無理です。子供の悪い点より、よいところをなるべくご主人には見せてあげて。 お気持ちわかります。私も「夫と二人で子供の成長を喜びながら、相談しながら共感しながら子育てしたい」と考えていましたが、それは叶わぬ夢でした。旦那様には聴覚過敏があって、お子さんのグズグズが辛いのかもしれません。夫と子供の接点を減らして、旦那様とご自分のイライラを減らしていきましょう。一人ぼっちの子育て、心細く、空しく、寂しいですよね。でも、考えようによっては、余計な口出しをされず、自分の思う通りに子育てができるということでもありますから。ただ、子育てに集中しすぎると、「子供に妻を取られた」と、夫が子供を敵視し、攻撃することがあります。夫に出来そうな仕事を振り、大袈裟に感謝するなどして、適度に配慮しておく工夫が必要です。夫に気持ちの共感を求めるのは難しいです。必要なことはあまり感情的にならずに損得の話に置き換えて話すと良いようです。感情的に夫に話しても「妻に攻撃された」という記憶が残るだけで、伝わりにくいでしょう。旦那様が視覚優位なタイプの方なら、ラインやメールなどで、視覚的に気持ちを伝えるのも良いかもしれません。一人ぼっちのむなしさは、お近くのカサンドラの会で、仲間に共感をもって聞いてもらうとスッキリしますよ。カサンドラ症候群に関するギモンと体験談をもとにした回答をご紹介いたしました。発達ナビQ&Aコーナーカサンドラ症候群の原因には、身近な人の自閉スペクトラム症(ASD)の特性によるトラブルがあると言えます。ここでは、カサンドラ症候群の発端となりうる自閉スペクトラム症(ASD)の特性について解説します。自閉スペクトラム症(ASD)には「対人関係や社会的コミュニケーションの困難」と「特定のものや行動における反復性やこだわり、感覚の過敏さまたは鈍麻さ」といった特徴があると言われています。◆対人関係や社会的コミュニケーションの困難表面上は問題なく会話できるのですが、その会話の裏側や行間を読むことが苦手です。曖昧な表現が苦手だったり、不適切な表現を使ってしまうことなどがあります。場の空気を読むことに困難さがあり、相手の気持ちを理解したり、それに寄り添った言動が苦手な傾向にあります。本人が意図していなくてもその場の雰囲気を無視をしたような言動をとることもあり、対人関係を上手に築くのが難しい場合があります。気持ちの理解が困難なために相手を傷つけたり、自己中心的と思われる言動や行動をしてしまうことなどがあります。◆特定のものや行動における反復性やこだわり興味を持ったことに対して過剰といえるほど熱中する傾向があります。また法則や規則が崩れることを極端に嫌うということもあり、自分のルールがあったり、興味のあることに対して話し続けてしまうことなどがあります。しかし、困ったことばかりではなく、この特性は強みとして活かすこともできます。◆自閉スペクトラム症(ASD)の特性だと頭では分かっていても…身近な人に自閉スペクトラム症(ASD)があると分かったとき、多くの方は理解をしようとするでしょう。しかし、日々の中で困惑してしまうこともあるかもしれません。特性だと分かっていても、自閉スペクトラム症(ASD)のある人と接していくうちに、思うようにコミュニケーションがとれないことに自信をなくしてしまったり、周囲に相談しても理解をしてもらえず、孤独を感じてしまう場合があります。その結果、体調不良や抑うつ状態に陥ってしまうことがあるのです。【精神科医に聞く】カサンドラ症候群かもと思ったら?自閉スペクトラム症(ASD)のある家族とのコミュニケーションのコツここまで発達ナビのQ&Aコーナーに寄せられたギモンを中心にご紹介しました。ここでは、精神科医の染村先生にカサンドラ症候群のような症状があらわれたときの対処法と、自閉スペクトラム症(ASD)のある家族とのコミュニケーションのコツについてお答えいただきます。(質問)自閉スペクトラム症(ASD)のある夫との毎日でストレスが溜まり、夜眠れない日々が続いています。カサンドラ症候群は病気ではないと聞きましたが、病院を受診してもよいのでしょうか。(回答)A.夜眠れない日々が続いている場合は、精神科(メンタルクリニック)や心療内科へ受診することをおすすめします。不眠の状態が続くと、疲労の回復が得られず、また心配や不安感を抱えやすくなり情緒不安定になります。安定した日常生活を送り、ご主人と向き合うためにも、まずは自身の健康状態を改善させることが最優先です。Upload By 発達障害のキホン(質問)夫に自閉スペクトラム症があると分かりました。家族より自分のことを優先します。5歳の子どもがいますが、子育てもほとんど私1人でしています。顔を合わせれば言い争いになってしまい、精神的に参っています。どのように対応したらいいでしょうか。離婚したほうがよいのだろうかと悩んでいます。(回答)A.結婚当初の夫婦2人のときは争いごとが少なかったのに、お子さんが生まれ、育児の負担が妻の側に大きくかかることで、夫婦の関係性が悪くなることは多いものです。このような場合は、話し合いをして、夫の家庭での役割を決めていくのもよいでしょう。夫に子育てを任せるのは不安だと感じる場合は、掃除や洗濯など夫ができそうな家事の一部を分担してもらうのが現実的です。また自閉スペクトラム症の特性として、予定や役割の急な変更、想定外の事態を苦手としているため、夫の家事の分担も具体的に取り決めておくとよいでしょう。例えば、朝のゴミ出し、週2回の掃除機かけ、毎週土曜日のお風呂掃除など、やる項目や頻度を決めておくことです。夫の家庭での協力や役割が決まると、妻自身も安心する部分もあると思います。離婚となると子どもへの影響も大きいことから、大きな決断をする前に、まずは夫婦で話し合い、協力して歩みよれる部分を探っていくことをおすすめします。Upload By 発達障害のキホン(質問)家族に自閉スペクトラム症があることが分かり、自分がカサンドラ症候群になってしまうのではないかと不安です。カサンドラ症候群にならないためのコツはありますか?(回答)A.カサンドラ症候群は、自閉スペクトラム症などのため共感性や情緒的な反応が乏しいパートナーと暮らしている人に起きるものです。典型的なものとして、夫は気持ちの共有が苦手であるが、本人は自覚もなく改善しようとしない。よって妻の方が、自分は被害者で、夫のみが反省して治療すべき問題として捉えやすいものです。しかし、自閉スペクトラム症のような特性を抱えているケースで、夫だけの問題とみなし、夫が反省して100%変えることを求めた場合に、解決に到達することは不可能となってしまいます。妻は、夫の特性を理解して、ある程度受け入れることも大切です。一緒に生活して共有する時間が増えることで関係性が悪化することも多いものです。夫婦といえども、それぞれの時間や空間を尊重して干渉しすぎないことで、関係が好転することもあります。しかし育児や親の介護など当人以外の課題が絡んでくるときに、問題が出てきます。都度2人で話し合いの場を設けて、具体的にやるべきことを取り決めていくとよいでしょう。最初から2人で話し合うことが難しい場合は、カウンセラーなどの専門家を第三者として交えて話し合いをしていくことをおすすめします。Upload By 発達障害のキホンカサンドラ症候群にまつわるコラム発達ナビに掲載されているカサンドラ症候群にまつわるコラムをご紹介します。心身に影響が出ている場合は、迷わず医療機関に相談をカサンドラ症候群とは、パートナーや子どもなどの身近な人に自閉スペクトラム症(ASD)などがあるためにコミュニケーションをとることが難しく、それにより心身の不調があらわれたり、対人関係に問題が生じている状態を言います。カサンドラ症候群は、医学的な病名ではなく、明確な診断基準は定められていません。しかし、夜眠れない、動悸がするなど心身に影響が現れている場合は、精神科(メンタルクリニック)や心療内科などを受診することがおすすめです。また「カサンドラ症候群かも」と感じるとき、自閉スペクトラム症などのある人の問題だと捉えられがちですが、相手のすべてを変えることで解決することはできません。家族が特性を理解し、互いに歩み寄ることも大切になってきます。夫婦などの場合、育児や親の介護など当人以外の課題が絡んでくるときに問題が出てくることは多くあります。特性を理解し、話し合いながらやるべきことを決めていけるとよいでしょう。難しい場合は、カウンセラーなどの専門家を第三者として交えて話し合いをしていくことがおすすめです。コラム内では、現在一般的に使用される障害名・疾患名で表記をしていますが、2013年に公開された米国精神医学会が作成する、精神疾患・精神障害の分類マニュアルDSM-5などをもとに、日本小児神経学会などでは「障害」という表記ではなく、「~症」と表現されるようになりました。現在は下記の表現になっています。神経発達症発達障害の名称で呼ばれていましたが、現在は神経発達症と呼ばれるようになりました。知的発達症(知的障害)、自閉スペクトラム症、注意欠如・多動症、コミュニケーション症群、限局性学習症、チック症群、発達性協調運動症、常同運動症が含まれます。※発達障害者支援法において、発達障害の定義の中に知的発達症(知的能力障害)は含まれないため、神経発達症のほうが発達障害よりも広い概念になります。知的発達症知的障害の名称で呼ばれていましたが、現在は知的発達症と呼ばれるようになりました。論理的思考、問題解決、計画、抽象的思考、判断、などの知的能力の困難性、そのことによる生活面の適応困難によって特徴づけられます。程度に応じて軽度、中等度、重度に分類されます。ASD(自閉スペクトラム症)自閉症、高機能自閉症、広汎性発達障害、アスペルガー(Asperger)症候群などのいろいろな名称で呼ばれていたものがまとめて表現されるようになりました。ASDはAutism Spectrum Disorderの略。ADHD(注意欠如・多動症)注意欠陥・多動性障害の名称で呼ばれていましたが、現在はADHD、注意欠如・多動症と呼ばれるようになりました。ADHDはAttention-Deficit Hyperactivity Disorderの略。ADHDはさらに、不注意優勢に存在するADHD、多動・衝動性優勢に存在するADHD、混合に存在するADHDと呼ばれるようになりました。今までの「ADHD~型」という表現はなくなりましたが、一部では現在も使われています。SLD(限局性学習症)LD、学習障害、などの名称で呼ばれていましたが、現在はSLD、限局性学習症と呼ばれるようになりました。SLDはSpecific Learning Disorderの略。
2023年05月09日自閉スペクトラム症(ASD)とは?自閉スペクトラム症(ASD)は発達障害の1つで、これまで自閉症、広汎性発達障害、アスペルガー症候群などの名称で呼ばれていましたが、2013年にアメリカ精神医学会による、精神疾患の診断基準・診断分類「DSM-5」が出版されて以降、自閉スペクトラム症(ASD)/自閉症スペクトラム障害と呼ばれるようになりました。※この記事内では以下「自閉スペクトラム症」と記述します。自閉スペクトラム症(ASD)は、「対人関係や社会的コミュニケーションの困難」と「特定のものや行動における反復性やこだわり、感覚の過敏さまたは鈍麻さ」などの特性が幼少期から見られ、日常生活に困難を生じる発達障害の1つです。知的発達症(知的障害)を伴うこともあります。幼少期に気づかれることが多いと言われていますが、症状のあらわれ方には個人差があるため就学期以降や成人期になってから社会生活において困難さを感じ、診断を受ける場合もあります。参考:(7)自閉症・情緒障害|文部科学省自閉スペクトラム症は生まれつきの脳機能障害です。乳幼児期の育て方によって発症するものではありません。自閉スペクトラム症の根本的な原因を治療することはまだ不可能と言われています。また、ひとことで「自閉スペクトラム症」と言ってもその症状は人によってさまざまなので、それぞれの特性や発達のペースに合った療育や支援、教育的な対応、合理的配慮、環境調整や本人の工夫などが必要になってきます。癇癪、衝動性、こだわりなど個別の症状に対しては、まずは環境の調整を行います。自閉スペクトラム症そのものを治す薬はありませんが、ある一定年齢以上であれば特定の症状に対して薬が処方される場合もあります。自閉スペクトラム症(ASD)と広汎性発達障害、アスペルガー症候群、高機能自閉症との違いは?広汎性発達障害とは、アスペルガー症候群や自閉症などを含む障害の概念として使われていました。 DSM-5で広汎性発達障害の名称は「自閉スペクトラム症」の診断名に統合されました。アスペルガー症候群は広汎性発達障害の1つとして定義されてきました。知的発達の遅れを伴わず、かつ、自閉症の特徴のうち言葉の発達の遅れを伴わないものがアスペルガー症候群に分類されていました。DSM-5でアスペルガー症候群の名称も「自閉スペクトラム症」の診断名に統合されました。参考:参考3定義と判断基準(試案)等|文部科学省高機能自閉症は自閉症の中で「知的発達の遅れを伴わないもの」を指す概念として使われていました。高機能自閉症と アスペルガー症候群の違いは、発達の初期の言葉の遅れの有無であり、遅れが見られたものを「高機能自閉症」と分類していましたが、明確な違いはないという指摘もありました。DSM-5で高機能自閉症の名称も「自閉スペクトラム症」の診断名に統合されました。参考:参考3定義と判断基準(試案)等|文部科学省Upload By 発達障害のキホン自閉スペクトラム症(ASD)と併存しやすい症状自閉スペクトラム症はさまざまな併存症があると言われています。約70%以上の人に1つの精神疾患が、40%以上の人に2つ以上の精神疾患があると言われています。知的発達症(知的障害)、ADHD(注意欠如・多動症)、発達性協調運動症(DCD)、不安症、抑うつ障害、限局性学習症(学習障害、LD)、場面緘黙症(選択性緘黙)などが併存することがあります。参考:ASD(自閉スペクトラム症、アスペルガー症候群)について|e-ヘルスネットADHDとは、不注意(集中力がない)、多動性(じっとしていられない)、衝動性(考えずに行動してしまう)の3つの症状が見られる発達障害のことです。限局性学習症(学習障害)は知的発達に遅れがないものの「読む」「書く」「計算する」などの能力に著しい困難を示す発達障害のことです。医学的な定義では限局性学習症は上記3点の困難を指しますが、文部科学省での定義は「聞く」「話す」「読む」「書く」「計算・推論する」の5点を指し、定義に若干の違いがあります。参考:学習障害(限局性学習症)|e-ヘルスネット参考:学習障害(LD)、注意欠陥/多動性障害(ADHD)及び高機能自閉症について|文部科学省発達性協調運動症とは、日常生活における協調運動が、本人の年齢や知能に応じて期待されるものよりも不正確であったり、困難であるという障害です。別名、不器用症候群とも呼ばれていました。知的発達症(知的障害)とは、発達期までに生じた知的機能障害により、認知能力の発達が全般的に遅れた水準にとどまっている状態を指します(発達期とはおおむね18歳までを指し、それ以降に事故や病気などで知的機能が低下しても、知的発達症とは言いません)。場面緘黙症(選択性緘黙)とは、たとえば家庭では問題なくおしゃべりができるのに、幼稚園や学校、公共の場など特定の場面で「話せない」状態をいいます。自閉スペクトラム症のある子どもとの生活の様子は?特選連載コラム自閉スペクトラム症のあるお子さんをもつ発達ナビの連載ライターさんの厳選コラムをご紹介。「あるある」と共感したり、今の悩みを解決するヒントが見つかるかも…?大人の自閉スペクトラム症の仕事での困りごとなど、関連コラム自閉スペクトラム症のある人が大人になると、仕事面で困ることが多くなってきます。自閉スペクトラム症のある人は得意、不得意がハッキリしていることが多いので、自身の得意分野をきちんと理解して自分に合った職や対処法を探すことが重要になってきます。コラム内では、現在一般的に使用される障害名・疾患名で表記をしていますが、2013年に公開された米国精神医学会が作成する、精神疾患・精神障害の分類マニュアルDSM-5などをもとに、日本小児神経学会などでは「障害」という表記ではなく、「~症」と表現されるようになりました。現在は下記の表現になっています。神経発達症発達障害の名称で呼ばれていましたが、現在は神経発達症と呼ばれるようになりました。知的発達症(知的障害)、自閉スペクトラム症、注意欠如・多動症、コミュニケーション症群、限局性学習症、チック症群、発達性協調運動症、常同運動症が含まれます。※発達障害者支援法において、発達障害の定義の中に知的発達症(知的能力障害)は含まれないため、神経発達症のほうが発達障害よりも広い概念になります。知的発達症知的障害の名称で呼ばれていましたが、現在は知的発達症と呼ばれるようになりました。論理的思考、問題解決、計画、抽象的思考、判断、などの知的能力の困難性、そのことによる生活面の適応困難によって特徴づけられます。程度に応じて軽度、中等度、重度に分類されます。ASD(自閉スペクトラム症)自閉症、高機能自閉症、広汎性発達障害、アスペルガー(Asperger)症候群などのいろいろな名称で呼ばれていたものがまとめて表現されるようになりました。ASDはAutism Spectrum Disorderの略。ADHD(注意欠如・多動症)注意欠陥・多動性障害の名称で呼ばれていましたが、現在はADHD、注意欠如・多動症と呼ばれるようになりました。ADHDはAttention-Deficit Hyperactivity Disorderの略。ADHDはさらに、不注意優勢に存在するADHD、多動・衝動性優勢に存在するADHD、混合に存在するADHDと呼ばれるようになりました。今までの「ADHD~型」という表現はなくなりましたが、一部では現在も使われています。SLD(限局性学習症)LD、学習障害、などの名称で呼ばれていましたが、現在はSLD、限局性学習症と呼ばれるようになりました。SLDはSpecific Learning Disorderの略。
2023年04月28日診断書とは?発達障害のある子どもの保育園、幼稚園、学校や受験での合理的配慮に必要?療育を受けるのに必要?診断書とは医師が患者の病名、症状、診断した内容などを記した書類です。発達障害(自閉スペクトラム症、ADHD、学習障害など)がある子どもの場合、診断書を提出することによって手帳の取得ができたり、幼稚園、学校、受験での合理的配慮を受けやすくなったりなどさまざまなメリットがあります。18歳未満の子どもの場合、発達障害の診断書が必要になるのは「精神保健福祉手帳」の取得や「特別児童扶養手当」の受給の際になります。児童福祉法に基づくサービス(療育など)の利用や、通級指導教室、特別支援学級の入級、特別支援学校への入学の際にも診断書が必要になる場合があります。合理的配慮を受けるために必ずしも診断書が必要な訳ではありませんが、学校などで合理的配慮を受ける際に診断書や病状の詳細が記載された診療情報提供書があると、どのような支援が必要になってくるのか学校側で連携しやすくなるというメリットもあります。また、「障害者差別解消法」の施行により、障害がある人が受験をする場合、個別面接、個別受験、問題文の読み上げなど負担が重すぎない範囲で配慮することが国公立の学校には義務づけられました。このような配慮を受ける場合にも、医師の診断書や診療情報提供書などを連携することがあります。参考:日本の特別支援教育の状況について|文部科学省障害者総合支援法によるさまざまな福祉サービスを受けるためには、診断書とは少し違いますが、「医師意見書」が必要になります。参考:医師意見書記載の手引き|厚生労働省発達ナビユーザーに診断書についてアンケートを取りました!学校や受験での合理的配慮、児童発達支援の利用、保育園の加配…「診断書をとったきっかけ」「診断書で変わったこと」ほか、発達障害がある子どもの保護者のリアルな声発達ナビでは2023年3月27日から4月9日の期間、で『「診断書」どのタイミングで取得した?診断書について知りたいことなどエピソードを大募集!』として診断書についてのアンケートを実施しました。結果は「子どもが未就学時代に診断書を作成したことがある(36%)」「診断書を作成したことがない(34%)」と僅差で未就学時代に診断書を作成したことがある方が多い結果となりました。それに続き「子どもが小学校時代に診断書を作成したことがある(21%)」という結果になり、お子さん比較的小さいころに診断書を作成したことがある方が多い結果となりました。「診断書」どのタイミングで取得した?診断書について知りたいことなどエピソードを大募集!Upload By 発達障害のキホン1歳7カ月(確定診断と同時)で作成しました。公立療育に通うために、受給者証が必要だったためです。現在は診断書がなくても通えるのですが、当時(約20年前)は診断書が必要でした。(あまだれさん)療育を受けるための受給者証を取得するため作成してもらいました。(夜子さん)最初は保育園で加配の先生をつけたいから取得してほしいと言われ。今は療育に通うために使ってる会社の介護支援制度申請のため年1回取得してる。(はまこ茶さん)入学時に支援級希望しており、診断書が必要だったので。(あきっちさん)療育手帳取得のため診断書を書いてもらいました。(まろさん)未就学児時代の診断書は「療育の利用」「保育園での加配」「特別支援学級入学」などで診断書を取得される方が多いようでした。学校への対応を親だけでは学校が固くて無理だったのでぶつかるよりはとドクターの知恵をお借りしました。(梛丹さん)小2の時にいよいよ特性が目立つようになってきて、服薬治療の必要を感じたのと、次年度(小3)を支援級にするか通常級のままで行くか決めるための判断材料も欲しくて、診断を受けました。(sacchanさん)読み書きに困難さがあり、授業でのデジタル教科書の使用を学校に相談するため、診断書を書いてもらいました。(kazehimeさん)小学校時代の診断書は「通う学級の判断」や「小学校での合理的配慮」などで診断書を取得される方が多いようでした。診断書が必要になる機会がなかったので1度もないです。病院とのつながりはあるので、必要になれば書いてもらえる環境ではあります。(夢野途中さん)診断名としては聞いていますが、今のところ提出が必要なことがなかったので未作成です。4月から小学生ですが、就学支援シートに幼稚園の先生、療育の先生から対応の詳細を書いてもらい提出しました。(AAAさん)診断書を作成したことがない方の多くは「必要な機会がない」とのことでしたが、取得の環境を整えたり、診断書でなくてもお子さんの詳細を学校に提出したりなど、できる準備をしていると安心してお子さんも過ごせそうです。ここまで診断書についてのアンケート結果を発表してきましたが、ここからは気になる「診断書」についての疑問を小児科医の藤井明子先生に回答していただきます。Q:子どもの診断書はどこでもらえるのでしょうか?発達障害などに関する診断書でしたら、診断した病院へ依頼が良いでしょう。直近に受診したことがなければ、かかりつけの小児科や児童精神科、小児神経科に依頼をしてみましょう。Upload By 発達障害のキホンQ:診断書の費用は大体どのくらいですか?同じ病名の診断書でも、費用は各病院によって違います。また、医療保険対象外になりますので、費用は全額自己負担となりますのでご注意ください。Upload By 発達障害のキホンQ:診断書にはどのような情報が記載されていますか?どこに使う診断書かによって必要な情報が追加されたり、逆に不要な情報は省略されることもあります。診断書作成依頼の際に医師と相談しながら必要な情報をすり合わせられると良いですね。・園へ加配申請をする場合の記載例診断名に続き、集団生活において個別的な声掛けなどの支援を要するため、加配職員の配置が望まれる、などの所見を記載します。(ただし、診断書を出しても、加配職員が手配できない園もあるので、提出の前に園や主治医と相談しましょう)・学校へ現在通院中であることを伝える場合の記載例診断名に続き、現在の薬などの治療内容、通院頻度を記載します。Upload By 発達障害のキホンQ:子どもに発達障害があり合理的配慮を受けるために詳しく書いてほしい部分があります。医師に希望を伝えても大丈夫でしょうか?診断書は医師が問診内容や検査の結果を元にして書きます。問診外や検査外のことは書くことができないので、保護者の希望に沿えない場合もあります。発達障害の併存疾患には知的障害・てんかん・睡眠障害などがありますが、これらの合併症についての対処法などは、診断書ではなく、診療情報提供書などで情報提供を行うことが多いです。Upload By 発達障害のキホンQ:診断書の作成期間は大体どのくらいですか?一部の書類は即日で作成できることもありますが、診断書の内容によっては時間がかかる場合もあります。提出期限などがある場合は余裕をもって依頼をすると安心ですね。Upload By 発達障害のキホンQ:診断書を作成してもらえない場合もあるのでしょうか?また、特別児童扶養手当、精神保健福祉手帳の診断書を、該当機関に提出しても、申請が通らない場合があることも理解しておく必要があります。診断書は「現在の症状の様子」で作成をします。過去に診断や症状があった場合でも、現在症状がない場合には診断書が作れないこともありますのでご注意ください。Upload By 発達障害のキホン診断書についての関連コラムはこちらコラム内では、現在一般的に使用される障害名・疾患名で表記をしていますが、2013年に公開された米国精神医学会が作成する、精神疾患・精神障害の分類マニュアルDSM-5などをもとに、日本小児神経学会などでは「障害」という表記ではなく、「~症」と表現されるようになりました。現在は下記の表現になっています。神経発達症発達障害の名称で呼ばれていましたが、現在は神経発達症と呼ばれるようになりました。知的発達症(知的障害)、自閉スペクトラム症、注意欠如・多動症、コミュニケーション症群、限局性学習症、チック症群、発達性協調運動症、常同運動症が含まれます。※発達障害者支援法において、発達障害の定義の中に知的発達症(知的能力障害)は含まれないため、神経発達症のほうが発達障害よりも広い概念になります。知的発達症知的障害の名称で呼ばれていましたが、現在は知的発達症と呼ばれるようになりました。論理的思考、問題解決、計画、抽象的思考、判断、などの知的能力の困難性、そのことによる生活面の適応困難によって特徴づけられます。程度に応じて軽度、中等度、重度に分類されます。ASD(自閉スペクトラム症)自閉症、高機能自閉症、広汎性発達障害、アスペルガー(Asperger)症候群などのいろいろな名称で呼ばれていたものがまとめて表現されるようになりました。ASDはAutism Spectrum Disorderの略。ADHD(注意欠如・多動症)注意欠陥・多動性障害の名称で呼ばれていましたが、現在はADHD、注意欠如・多動症と呼ばれるようになりました。ADHDはAttention-Deficit Hyperactivity Disorderの略。ADHDはさらに、不注意優勢に存在するADHD、多動・衝動性優勢に存在するADHD、混合に存在するADHDと呼ばれるようになりました。今までの「ADHD~型」という表現はなくなりましたが、一部では現在も使われています。SLD(限局性学習症)LD、学習障害、などの名称で呼ばれていましたが、現在はSLD、限局性学習症と呼ばれるようになりました。SLDはSpecific Learning Disorderの略。
2023年04月26日