私はカサンドラ症候群?自閉スペクトラム症のあるパートナーとの不和、子育ての難しさパートナーや子どもなどの身近な人に自閉スペクトラム症(ASD)などがあり、コミュニケーションをとることが難しく、ストレスを抱える日々が続いてしまい、それが次第に心身の不調となってあらわれてしまうことがあります。これを「カサンドラ症候群」と呼ぶことがあります。「カサンドラ症候群」は医学的な病名ではなく、明確な診断基準は定められていませんが、メディアなどでも取り上げられることもあり、カサンドラ症候群の症状を訴える人も増えているようです。発達ナビのQ&Aコーナーにもこれまでさまざまな質問が寄せられています。「カサンドラ症候群という病気があるの?」「自閉症育児。夫に頼ることができず、心療内科を受診したり、帯状疱疹になったりボロボロです。こういうのをカサンドラ症候群というのでしょうか」「自閉症のあるパートナーを持つ方、子育てにおいて心ない言葉を投げられたこと、話が通じなくてつらいなどと言われたことはありますか?わたしが悪いのでしょうか?」「ADHDと自閉症のある長男が奇声を発すると、下の子がヒステリックに怒ったり、最近では精神的にまいっているようです。これはカサンドラ症候群でしょうか?」このコラムでは、カサンドラ症候群にまつわるギモンから、家族など身近な人に発達障害がある場合のお悩みや困りごと、体験談や、専門家の先生のアドバイスを交えてご紹介します。カサンドラ症候群とは、パートナーや子どもなどの身近な人に自閉スペクトラム症(ASD)などがあるためにコミュニケーションをとることが難しく、それにより心身の不調があらわれたり、対人関係に問題が生じている状態を言います。カサンドラ症候群は、医学的な病名ではなく、明確な診断基準は定められていません。特に妻や夫といったパートナーに起こる場合が多いと言われていますが、自閉スペクトラム症(ASD)のある子どもを育てる保護者がカサンドラ症候群になる場合もあります。夫の無理解、ワンオペ自閉症児子育てがつらい。これはカサンドラ症候群?発達ナビのQ&Aコーナーに寄せられたカサンドラ症候群に関する質問と発達ナビ会員の実体験にもとづく回答をご紹介します。Q. 自閉症スペクトラムの夫を持つ方にお伺いしたいです。子育てに関して心無い言葉を投げられたこと、お前はズルい(悪い)人間だと言われたこと、お前と話すと話が通じなくて辛いと言われたことはありますか?どちらも未診断ですが、夫が自閉症スペクトラム、ADHD、幅広い障害の傾向があると自分で言っています。私は心療内科のスクリーニング検査でADHDの傾向が高いとなりました。二人とも、多動、不注意、学習障害などはありません。略私や実母に対して気に入らない事があると、人を傷付ける表現の言葉で攻撃をしてきます。その他、何人かの友人や上司にもそういった攻撃をしているようです。付き合い始めは全くいい人で、結婚、出産を機に気に入らない事があると無視、言葉での攻撃がでてきました。自分の中の「正しい事」に執着し、それを外れた言動があると激怒します。(略)こちらの質問には以下のような回答が寄せられました。A.私のパートナーも、診断こそありませんがASD傾向が強めです。ご質問に書いてらっしゃるご主人の言動と、とても似ている行動を取ります。社会・職場では、ステキなこだわりを持った面白い人家庭内では暴力こそ無いものの、困ったこだわりの多過ぎる、時々暴君となる人です。子育てに手出しは全然してくれませんでした。ですが口出しはされてきました。事あるごとに「お前の考え方では、やり方では…」とダメ出しです。特に教育・学習の面では、子どもの現実を見ず、日常こちらに任せきりなのに、何かあると「お前の考えは甘過ぎる」と散々でした。なので、共感します。とっても‼️そして共感してくれる仲間も、ここにはたくさん居ると思います。(略)小学2年生の息子は、思い通りにならないと暴言や癇癪を起こします。お薬を飲み始め、癇癪の時間は短く、軽くなりました。(中略)しかし、夫はいつまで経っても、息子を炎上させるだけの人。少しでも夫婦で連携して、家庭内で息子の気持ちが安定出来るようにして行きたい私は、どうしても夫に対して、イライラしてしまいます。また、息子の主治医に夫の言動や、実際会ってもらい話した感じから、息子の発達障害は夫からの遺伝の可能性が高いと言われました、私も今までの夫との生活からの違和感を、その言葉で納得出来ました。夫に頼れない、育児に心療内科を受診したり、帯状疱疹になったりボロボロです。こういうのをカサンドラ症候群と言うのでしょうか?同じような環境の方、どのように自分を保ち、育児してますか?こちらの質問には以下のような回答が寄せられました。A.いつまでたってもわかってくれず、イライラしても、学校での出来事や日頃の様子、さほどきにかけていないんじゃないかなー。そのとき腹がたったら怒る、っていうことだと思います。こういう場合は、仕方がない。父親がいいとこを持ってく形にし、父親と子供を対立させない事だと思います。できれば、父親から、誉めてもらうようにすることができればよいのですが。自分と同じような考え方をしてもらいたいと思っても無理です。子供の悪い点より、よいところをなるべくご主人には見せてあげて。 お気持ちわかります。私も「夫と二人で子供の成長を喜びながら、相談しながら共感しながら子育てしたい」と考えていましたが、それは叶わぬ夢でした。旦那様には聴覚過敏があって、お子さんのグズグズが辛いのかもしれません。夫と子供の接点を減らして、旦那様とご自分のイライラを減らしていきましょう。一人ぼっちの子育て、心細く、空しく、寂しいですよね。でも、考えようによっては、余計な口出しをされず、自分の思う通りに子育てができるということでもありますから。ただ、子育てに集中しすぎると、「子供に妻を取られた」と、夫が子供を敵視し、攻撃することがあります。夫に出来そうな仕事を振り、大袈裟に感謝するなどして、適度に配慮しておく工夫が必要です。夫に気持ちの共感を求めるのは難しいです。必要なことはあまり感情的にならずに損得の話に置き換えて話すと良いようです。感情的に夫に話しても「妻に攻撃された」という記憶が残るだけで、伝わりにくいでしょう。旦那様が視覚優位なタイプの方なら、ラインやメールなどで、視覚的に気持ちを伝えるのも良いかもしれません。一人ぼっちのむなしさは、お近くのカサンドラの会で、仲間に共感をもって聞いてもらうとスッキリしますよ。カサンドラ症候群に関するギモンと体験談をもとにした回答をご紹介いたしました。発達ナビQ&Aコーナーカサンドラ症候群の原因には、身近な人の自閉スペクトラム症(ASD)の特性によるトラブルがあると言えます。ここでは、カサンドラ症候群の発端となりうる自閉スペクトラム症(ASD)の特性について解説します。自閉スペクトラム症(ASD)には「対人関係や社会的コミュニケーションの困難」と「特定のものや行動における反復性やこだわり、感覚の過敏さまたは鈍麻さ」といった特徴があると言われています。◆対人関係や社会的コミュニケーションの困難表面上は問題なく会話できるのですが、その会話の裏側や行間を読むことが苦手です。曖昧な表現が苦手だったり、不適切な表現を使ってしまうことなどがあります。場の空気を読むことに困難さがあり、相手の気持ちを理解したり、それに寄り添った言動が苦手な傾向にあります。本人が意図していなくてもその場の雰囲気を無視をしたような言動をとることもあり、対人関係を上手に築くのが難しい場合があります。気持ちの理解が困難なために相手を傷つけたり、自己中心的と思われる言動や行動をしてしまうことなどがあります。◆特定のものや行動における反復性やこだわり興味を持ったことに対して過剰といえるほど熱中する傾向があります。また法則や規則が崩れることを極端に嫌うということもあり、自分のルールがあったり、興味のあることに対して話し続けてしまうことなどがあります。しかし、困ったことばかりではなく、この特性は強みとして活かすこともできます。◆自閉スペクトラム症(ASD)の特性だと頭では分かっていても…身近な人に自閉スペクトラム症(ASD)があると分かったとき、多くの方は理解をしようとするでしょう。しかし、日々の中で困惑してしまうこともあるかもしれません。特性だと分かっていても、自閉スペクトラム症(ASD)のある人と接していくうちに、思うようにコミュニケーションがとれないことに自信をなくしてしまったり、周囲に相談しても理解をしてもらえず、孤独を感じてしまう場合があります。その結果、体調不良や抑うつ状態に陥ってしまうことがあるのです。【精神科医に聞く】カサンドラ症候群かもと思ったら?自閉スペクトラム症(ASD)のある家族とのコミュニケーションのコツここまで発達ナビのQ&Aコーナーに寄せられたギモンを中心にご紹介しました。ここでは、精神科医の染村先生にカサンドラ症候群のような症状があらわれたときの対処法と、自閉スペクトラム症(ASD)のある家族とのコミュニケーションのコツについてお答えいただきます。(質問)自閉スペクトラム症(ASD)のある夫との毎日でストレスが溜まり、夜眠れない日々が続いています。カサンドラ症候群は病気ではないと聞きましたが、病院を受診してもよいのでしょうか。(回答)A.夜眠れない日々が続いている場合は、精神科(メンタルクリニック)や心療内科へ受診することをおすすめします。不眠の状態が続くと、疲労の回復が得られず、また心配や不安感を抱えやすくなり情緒不安定になります。安定した日常生活を送り、ご主人と向き合うためにも、まずは自身の健康状態を改善させることが最優先です。Upload By 発達障害のキホン(質問)夫に自閉スペクトラム症があると分かりました。家族より自分のことを優先します。5歳の子どもがいますが、子育てもほとんど私1人でしています。顔を合わせれば言い争いになってしまい、精神的に参っています。どのように対応したらいいでしょうか。離婚したほうがよいのだろうかと悩んでいます。(回答)A.結婚当初の夫婦2人のときは争いごとが少なかったのに、お子さんが生まれ、育児の負担が妻の側に大きくかかることで、夫婦の関係性が悪くなることは多いものです。このような場合は、話し合いをして、夫の家庭での役割を決めていくのもよいでしょう。夫に子育てを任せるのは不安だと感じる場合は、掃除や洗濯など夫ができそうな家事の一部を分担してもらうのが現実的です。また自閉スペクトラム症の特性として、予定や役割の急な変更、想定外の事態を苦手としているため、夫の家事の分担も具体的に取り決めておくとよいでしょう。例えば、朝のゴミ出し、週2回の掃除機かけ、毎週土曜日のお風呂掃除など、やる項目や頻度を決めておくことです。夫の家庭での協力や役割が決まると、妻自身も安心する部分もあると思います。離婚となると子どもへの影響も大きいことから、大きな決断をする前に、まずは夫婦で話し合い、協力して歩みよれる部分を探っていくことをおすすめします。Upload By 発達障害のキホン(質問)家族に自閉スペクトラム症があることが分かり、自分がカサンドラ症候群になってしまうのではないかと不安です。カサンドラ症候群にならないためのコツはありますか?(回答)A.カサンドラ症候群は、自閉スペクトラム症などのため共感性や情緒的な反応が乏しいパートナーと暮らしている人に起きるものです。典型的なものとして、夫は気持ちの共有が苦手であるが、本人は自覚もなく改善しようとしない。よって妻の方が、自分は被害者で、夫のみが反省して治療すべき問題として捉えやすいものです。しかし、自閉スペクトラム症のような特性を抱えているケースで、夫だけの問題とみなし、夫が反省して100%変えることを求めた場合に、解決に到達することは不可能となってしまいます。妻は、夫の特性を理解して、ある程度受け入れることも大切です。一緒に生活して共有する時間が増えることで関係性が悪化することも多いものです。夫婦といえども、それぞれの時間や空間を尊重して干渉しすぎないことで、関係が好転することもあります。しかし育児や親の介護など当人以外の課題が絡んでくるときに、問題が出てきます。都度2人で話し合いの場を設けて、具体的にやるべきことを取り決めていくとよいでしょう。最初から2人で話し合うことが難しい場合は、カウンセラーなどの専門家を第三者として交えて話し合いをしていくことをおすすめします。Upload By 発達障害のキホンカサンドラ症候群にまつわるコラム発達ナビに掲載されているカサンドラ症候群にまつわるコラムをご紹介します。心身に影響が出ている場合は、迷わず医療機関に相談をカサンドラ症候群とは、パートナーや子どもなどの身近な人に自閉スペクトラム症(ASD)などがあるためにコミュニケーションをとることが難しく、それにより心身の不調があらわれたり、対人関係に問題が生じている状態を言います。カサンドラ症候群は、医学的な病名ではなく、明確な診断基準は定められていません。しかし、夜眠れない、動悸がするなど心身に影響が現れている場合は、精神科(メンタルクリニック)や心療内科などを受診することがおすすめです。また「カサンドラ症候群かも」と感じるとき、自閉スペクトラム症などのある人の問題だと捉えられがちですが、相手のすべてを変えることで解決することはできません。家族が特性を理解し、互いに歩み寄ることも大切になってきます。夫婦などの場合、育児や親の介護など当人以外の課題が絡んでくるときに問題が出てくることは多くあります。特性を理解し、話し合いながらやるべきことを決めていけるとよいでしょう。難しい場合は、カウンセラーなどの専門家を第三者として交えて話し合いをしていくことがおすすめです。コラム内では、現在一般的に使用される障害名・疾患名で表記をしていますが、2013年に公開された米国精神医学会が作成する、精神疾患・精神障害の分類マニュアルDSM-5などをもとに、日本小児神経学会などでは「障害」という表記ではなく、「~症」と表現されるようになりました。現在は下記の表現になっています。神経発達症発達障害の名称で呼ばれていましたが、現在は神経発達症と呼ばれるようになりました。知的発達症(知的障害)、自閉スペクトラム症、注意欠如・多動症、コミュニケーション症群、限局性学習症、チック症群、発達性協調運動症、常同運動症が含まれます。※発達障害者支援法において、発達障害の定義の中に知的発達症(知的能力障害)は含まれないため、神経発達症のほうが発達障害よりも広い概念になります。知的発達症知的障害の名称で呼ばれていましたが、現在は知的発達症と呼ばれるようになりました。論理的思考、問題解決、計画、抽象的思考、判断、などの知的能力の困難性、そのことによる生活面の適応困難によって特徴づけられます。程度に応じて軽度、中等度、重度に分類されます。ASD(自閉スペクトラム症)自閉症、高機能自閉症、広汎性発達障害、アスペルガー(Asperger)症候群などのいろいろな名称で呼ばれていたものがまとめて表現されるようになりました。ASDはAutism Spectrum Disorderの略。ADHD(注意欠如・多動症)注意欠陥・多動性障害の名称で呼ばれていましたが、現在はADHD、注意欠如・多動症と呼ばれるようになりました。ADHDはAttention-Deficit Hyperactivity Disorderの略。ADHDはさらに、不注意優勢に存在するADHD、多動・衝動性優勢に存在するADHD、混合に存在するADHDと呼ばれるようになりました。今までの「ADHD~型」という表現はなくなりましたが、一部では現在も使われています。SLD(限局性学習症)LD、学習障害、などの名称で呼ばれていましたが、現在はSLD、限局性学習症と呼ばれるようになりました。SLDはSpecific Learning Disorderの略。
2023年05月09日自閉スペクトラム症(ASD)とは?自閉スペクトラム症(ASD)は発達障害の1つで、これまで自閉症、広汎性発達障害、アスペルガー症候群などの名称で呼ばれていましたが、2013年にアメリカ精神医学会による、精神疾患の診断基準・診断分類「DSM-5」が出版されて以降、自閉スペクトラム症(ASD)/自閉症スペクトラム障害と呼ばれるようになりました。※この記事内では以下「自閉スペクトラム症」と記述します。自閉スペクトラム症(ASD)は、「対人関係や社会的コミュニケーションの困難」と「特定のものや行動における反復性やこだわり、感覚の過敏さまたは鈍麻さ」などの特性が幼少期から見られ、日常生活に困難を生じる発達障害の1つです。知的発達症(知的障害)を伴うこともあります。幼少期に気づかれることが多いと言われていますが、症状のあらわれ方には個人差があるため就学期以降や成人期になってから社会生活において困難さを感じ、診断を受ける場合もあります。参考:(7)自閉症・情緒障害|文部科学省自閉スペクトラム症は生まれつきの脳機能障害です。乳幼児期の育て方によって発症するものではありません。自閉スペクトラム症の根本的な原因を治療することはまだ不可能と言われています。また、ひとことで「自閉スペクトラム症」と言ってもその症状は人によってさまざまなので、それぞれの特性や発達のペースに合った療育や支援、教育的な対応、合理的配慮、環境調整や本人の工夫などが必要になってきます。癇癪、衝動性、こだわりなど個別の症状に対しては、まずは環境の調整を行います。自閉スペクトラム症そのものを治す薬はありませんが、ある一定年齢以上であれば特定の症状に対して薬が処方される場合もあります。自閉スペクトラム症(ASD)と広汎性発達障害、アスペルガー症候群、高機能自閉症との違いは?広汎性発達障害とは、アスペルガー症候群や自閉症などを含む障害の概念として使われていました。 DSM-5で広汎性発達障害の名称は「自閉スペクトラム症」の診断名に統合されました。アスペルガー症候群は広汎性発達障害の1つとして定義されてきました。知的発達の遅れを伴わず、かつ、自閉症の特徴のうち言葉の発達の遅れを伴わないものがアスペルガー症候群に分類されていました。DSM-5でアスペルガー症候群の名称も「自閉スペクトラム症」の診断名に統合されました。参考:参考3定義と判断基準(試案)等|文部科学省高機能自閉症は自閉症の中で「知的発達の遅れを伴わないもの」を指す概念として使われていました。高機能自閉症と アスペルガー症候群の違いは、発達の初期の言葉の遅れの有無であり、遅れが見られたものを「高機能自閉症」と分類していましたが、明確な違いはないという指摘もありました。DSM-5で高機能自閉症の名称も「自閉スペクトラム症」の診断名に統合されました。参考:参考3定義と判断基準(試案)等|文部科学省Upload By 発達障害のキホン自閉スペクトラム症(ASD)と併存しやすい症状自閉スペクトラム症はさまざまな併存症があると言われています。約70%以上の人に1つの精神疾患が、40%以上の人に2つ以上の精神疾患があると言われています。知的発達症(知的障害)、ADHD(注意欠如・多動症)、発達性協調運動症(DCD)、不安症、抑うつ障害、限局性学習症(学習障害、LD)、場面緘黙症(選択性緘黙)などが併存することがあります。参考:ASD(自閉スペクトラム症、アスペルガー症候群)について|e-ヘルスネットADHDとは、不注意(集中力がない)、多動性(じっとしていられない)、衝動性(考えずに行動してしまう)の3つの症状が見られる発達障害のことです。限局性学習症(学習障害)は知的発達に遅れがないものの「読む」「書く」「計算する」などの能力に著しい困難を示す発達障害のことです。医学的な定義では限局性学習症は上記3点の困難を指しますが、文部科学省での定義は「聞く」「話す」「読む」「書く」「計算・推論する」の5点を指し、定義に若干の違いがあります。参考:学習障害(限局性学習症)|e-ヘルスネット参考:学習障害(LD)、注意欠陥/多動性障害(ADHD)及び高機能自閉症について|文部科学省発達性協調運動症とは、日常生活における協調運動が、本人の年齢や知能に応じて期待されるものよりも不正確であったり、困難であるという障害です。別名、不器用症候群とも呼ばれていました。知的発達症(知的障害)とは、発達期までに生じた知的機能障害により、認知能力の発達が全般的に遅れた水準にとどまっている状態を指します(発達期とはおおむね18歳までを指し、それ以降に事故や病気などで知的機能が低下しても、知的発達症とは言いません)。場面緘黙症(選択性緘黙)とは、たとえば家庭では問題なくおしゃべりができるのに、幼稚園や学校、公共の場など特定の場面で「話せない」状態をいいます。自閉スペクトラム症のある子どもとの生活の様子は?特選連載コラム自閉スペクトラム症のあるお子さんをもつ発達ナビの連載ライターさんの厳選コラムをご紹介。「あるある」と共感したり、今の悩みを解決するヒントが見つかるかも…?大人の自閉スペクトラム症の仕事での困りごとなど、関連コラム自閉スペクトラム症のある人が大人になると、仕事面で困ることが多くなってきます。自閉スペクトラム症のある人は得意、不得意がハッキリしていることが多いので、自身の得意分野をきちんと理解して自分に合った職や対処法を探すことが重要になってきます。コラム内では、現在一般的に使用される障害名・疾患名で表記をしていますが、2013年に公開された米国精神医学会が作成する、精神疾患・精神障害の分類マニュアルDSM-5などをもとに、日本小児神経学会などでは「障害」という表記ではなく、「~症」と表現されるようになりました。現在は下記の表現になっています。神経発達症発達障害の名称で呼ばれていましたが、現在は神経発達症と呼ばれるようになりました。知的発達症(知的障害)、自閉スペクトラム症、注意欠如・多動症、コミュニケーション症群、限局性学習症、チック症群、発達性協調運動症、常同運動症が含まれます。※発達障害者支援法において、発達障害の定義の中に知的発達症(知的能力障害)は含まれないため、神経発達症のほうが発達障害よりも広い概念になります。知的発達症知的障害の名称で呼ばれていましたが、現在は知的発達症と呼ばれるようになりました。論理的思考、問題解決、計画、抽象的思考、判断、などの知的能力の困難性、そのことによる生活面の適応困難によって特徴づけられます。程度に応じて軽度、中等度、重度に分類されます。ASD(自閉スペクトラム症)自閉症、高機能自閉症、広汎性発達障害、アスペルガー(Asperger)症候群などのいろいろな名称で呼ばれていたものがまとめて表現されるようになりました。ASDはAutism Spectrum Disorderの略。ADHD(注意欠如・多動症)注意欠陥・多動性障害の名称で呼ばれていましたが、現在はADHD、注意欠如・多動症と呼ばれるようになりました。ADHDはAttention-Deficit Hyperactivity Disorderの略。ADHDはさらに、不注意優勢に存在するADHD、多動・衝動性優勢に存在するADHD、混合に存在するADHDと呼ばれるようになりました。今までの「ADHD~型」という表現はなくなりましたが、一部では現在も使われています。SLD(限局性学習症)LD、学習障害、などの名称で呼ばれていましたが、現在はSLD、限局性学習症と呼ばれるようになりました。SLDはSpecific Learning Disorderの略。
2023年04月28日診断書とは?発達障害のある子どもの保育園、幼稚園、学校や受験での合理的配慮に必要?療育を受けるのに必要?診断書とは医師が患者の病名、症状、診断した内容などを記した書類です。発達障害(自閉スペクトラム症、ADHD、学習障害など)がある子どもの場合、診断書を提出することによって手帳の取得ができたり、幼稚園、学校、受験での合理的配慮を受けやすくなったりなどさまざまなメリットがあります。18歳未満の子どもの場合、発達障害の診断書が必要になるのは「精神保健福祉手帳」の取得や「特別児童扶養手当」の受給の際になります。児童福祉法に基づくサービス(療育など)の利用や、通級指導教室、特別支援学級の入級、特別支援学校への入学の際にも診断書が必要になる場合があります。合理的配慮を受けるために必ずしも診断書が必要な訳ではありませんが、学校などで合理的配慮を受ける際に診断書や病状の詳細が記載された診療情報提供書があると、どのような支援が必要になってくるのか学校側で連携しやすくなるというメリットもあります。また、「障害者差別解消法」の施行により、障害がある人が受験をする場合、個別面接、個別受験、問題文の読み上げなど負担が重すぎない範囲で配慮することが国公立の学校には義務づけられました。このような配慮を受ける場合にも、医師の診断書や診療情報提供書などを連携することがあります。参考:日本の特別支援教育の状況について|文部科学省障害者総合支援法によるさまざまな福祉サービスを受けるためには、診断書とは少し違いますが、「医師意見書」が必要になります。参考:医師意見書記載の手引き|厚生労働省発達ナビユーザーに診断書についてアンケートを取りました!学校や受験での合理的配慮、児童発達支援の利用、保育園の加配…「診断書をとったきっかけ」「診断書で変わったこと」ほか、発達障害がある子どもの保護者のリアルな声発達ナビでは2023年3月27日から4月9日の期間、で『「診断書」どのタイミングで取得した?診断書について知りたいことなどエピソードを大募集!』として診断書についてのアンケートを実施しました。結果は「子どもが未就学時代に診断書を作成したことがある(36%)」「診断書を作成したことがない(34%)」と僅差で未就学時代に診断書を作成したことがある方が多い結果となりました。それに続き「子どもが小学校時代に診断書を作成したことがある(21%)」という結果になり、お子さん比較的小さいころに診断書を作成したことがある方が多い結果となりました。「診断書」どのタイミングで取得した?診断書について知りたいことなどエピソードを大募集!Upload By 発達障害のキホン1歳7カ月(確定診断と同時)で作成しました。公立療育に通うために、受給者証が必要だったためです。現在は診断書がなくても通えるのですが、当時(約20年前)は診断書が必要でした。(あまだれさん)療育を受けるための受給者証を取得するため作成してもらいました。(夜子さん)最初は保育園で加配の先生をつけたいから取得してほしいと言われ。今は療育に通うために使ってる会社の介護支援制度申請のため年1回取得してる。(はまこ茶さん)入学時に支援級希望しており、診断書が必要だったので。(あきっちさん)療育手帳取得のため診断書を書いてもらいました。(まろさん)未就学児時代の診断書は「療育の利用」「保育園での加配」「特別支援学級入学」などで診断書を取得される方が多いようでした。学校への対応を親だけでは学校が固くて無理だったのでぶつかるよりはとドクターの知恵をお借りしました。(梛丹さん)小2の時にいよいよ特性が目立つようになってきて、服薬治療の必要を感じたのと、次年度(小3)を支援級にするか通常級のままで行くか決めるための判断材料も欲しくて、診断を受けました。(sacchanさん)読み書きに困難さがあり、授業でのデジタル教科書の使用を学校に相談するため、診断書を書いてもらいました。(kazehimeさん)小学校時代の診断書は「通う学級の判断」や「小学校での合理的配慮」などで診断書を取得される方が多いようでした。診断書が必要になる機会がなかったので1度もないです。病院とのつながりはあるので、必要になれば書いてもらえる環境ではあります。(夢野途中さん)診断名としては聞いていますが、今のところ提出が必要なことがなかったので未作成です。4月から小学生ですが、就学支援シートに幼稚園の先生、療育の先生から対応の詳細を書いてもらい提出しました。(AAAさん)診断書を作成したことがない方の多くは「必要な機会がない」とのことでしたが、取得の環境を整えたり、診断書でなくてもお子さんの詳細を学校に提出したりなど、できる準備をしていると安心してお子さんも過ごせそうです。ここまで診断書についてのアンケート結果を発表してきましたが、ここからは気になる「診断書」についての疑問を小児科医の藤井明子先生に回答していただきます。Q:子どもの診断書はどこでもらえるのでしょうか?発達障害などに関する診断書でしたら、診断した病院へ依頼が良いでしょう。直近に受診したことがなければ、かかりつけの小児科や児童精神科、小児神経科に依頼をしてみましょう。Upload By 発達障害のキホンQ:診断書の費用は大体どのくらいですか?同じ病名の診断書でも、費用は各病院によって違います。また、医療保険対象外になりますので、費用は全額自己負担となりますのでご注意ください。Upload By 発達障害のキホンQ:診断書にはどのような情報が記載されていますか?どこに使う診断書かによって必要な情報が追加されたり、逆に不要な情報は省略されることもあります。診断書作成依頼の際に医師と相談しながら必要な情報をすり合わせられると良いですね。・園へ加配申請をする場合の記載例診断名に続き、集団生活において個別的な声掛けなどの支援を要するため、加配職員の配置が望まれる、などの所見を記載します。(ただし、診断書を出しても、加配職員が手配できない園もあるので、提出の前に園や主治医と相談しましょう)・学校へ現在通院中であることを伝える場合の記載例診断名に続き、現在の薬などの治療内容、通院頻度を記載します。Upload By 発達障害のキホンQ:子どもに発達障害があり合理的配慮を受けるために詳しく書いてほしい部分があります。医師に希望を伝えても大丈夫でしょうか?診断書は医師が問診内容や検査の結果を元にして書きます。問診外や検査外のことは書くことができないので、保護者の希望に沿えない場合もあります。発達障害の併存疾患には知的障害・てんかん・睡眠障害などがありますが、これらの合併症についての対処法などは、診断書ではなく、診療情報提供書などで情報提供を行うことが多いです。Upload By 発達障害のキホンQ:診断書の作成期間は大体どのくらいですか?一部の書類は即日で作成できることもありますが、診断書の内容によっては時間がかかる場合もあります。提出期限などがある場合は余裕をもって依頼をすると安心ですね。Upload By 発達障害のキホンQ:診断書を作成してもらえない場合もあるのでしょうか?また、特別児童扶養手当、精神保健福祉手帳の診断書を、該当機関に提出しても、申請が通らない場合があることも理解しておく必要があります。診断書は「現在の症状の様子」で作成をします。過去に診断や症状があった場合でも、現在症状がない場合には診断書が作れないこともありますのでご注意ください。Upload By 発達障害のキホン診断書についての関連コラムはこちらコラム内では、現在一般的に使用される障害名・疾患名で表記をしていますが、2013年に公開された米国精神医学会が作成する、精神疾患・精神障害の分類マニュアルDSM-5などをもとに、日本小児神経学会などでは「障害」という表記ではなく、「~症」と表現されるようになりました。現在は下記の表現になっています。神経発達症発達障害の名称で呼ばれていましたが、現在は神経発達症と呼ばれるようになりました。知的発達症(知的障害)、自閉スペクトラム症、注意欠如・多動症、コミュニケーション症群、限局性学習症、チック症群、発達性協調運動症、常同運動症が含まれます。※発達障害者支援法において、発達障害の定義の中に知的発達症(知的能力障害)は含まれないため、神経発達症のほうが発達障害よりも広い概念になります。知的発達症知的障害の名称で呼ばれていましたが、現在は知的発達症と呼ばれるようになりました。論理的思考、問題解決、計画、抽象的思考、判断、などの知的能力の困難性、そのことによる生活面の適応困難によって特徴づけられます。程度に応じて軽度、中等度、重度に分類されます。ASD(自閉スペクトラム症)自閉症、高機能自閉症、広汎性発達障害、アスペルガー(Asperger)症候群などのいろいろな名称で呼ばれていたものがまとめて表現されるようになりました。ASDはAutism Spectrum Disorderの略。ADHD(注意欠如・多動症)注意欠陥・多動性障害の名称で呼ばれていましたが、現在はADHD、注意欠如・多動症と呼ばれるようになりました。ADHDはAttention-Deficit Hyperactivity Disorderの略。ADHDはさらに、不注意優勢に存在するADHD、多動・衝動性優勢に存在するADHD、混合に存在するADHDと呼ばれるようになりました。今までの「ADHD~型」という表現はなくなりましたが、一部では現在も使われています。SLD(限局性学習症)LD、学習障害、などの名称で呼ばれていましたが、現在はSLD、限局性学習症と呼ばれるようになりました。SLDはSpecific Learning Disorderの略。
2023年04月26日「床の色が変わると歩けない」息子のこだわりが生んだ独自ルールUpload By べっこうあめアマミみなさんは、何らかの施設内を歩いているとき、床の色の切り替わりに注目することはあるでしょうか?おそらく、ほとんどの人はないと思います。しかし、息子はそういった床の色の切り替わりに敏感で、歩く場所の色が変わると急に足を止めて踏み出せなくなってしまうことがよくありました。子どものころ、遊びの延長的に、「同じ色の場所を踏んで歩く」というルールを自分に課して学校などから帰った経験がある人はいませんか?もしかしたら、それを極端に強固にしてしまったものが、息子の床へのこだわりなのかもしれません。息子の床の色に対するこだわりは強く、「この床は踏みたくない」と思ったら全く動けなくなってしまいます。無理に動かそうとすると癇癪につながることもありますが、動けなくなった場所が人の迷惑になる場所だったり危険な場所だったりすると、非常に困ります。息子のこだわりは一貫性があるものではなく、あるときはダメだった床があるときは大丈夫になっていたりと、その日のコンディションにも左右されるものでした。息子は言葉が話せないので、こだわる理由の真相を聞き出すことはできません。しかし、おそらく息子は体のほかの部分に比べて足裏の感覚が敏感で、たとえ靴や靴下を履いていたとしても、足裏と近いところにある床が気になってしまうのではないか?と思っています。療育のお部屋が床の張り替え!「一歩」を踏み出せなくなった息子Upload By べっこうあめアマミ息子が未就学児のころ、療育で通っていた発達支援施設で、一部の床の張り替えをしたことがありました。息子がいつも使っていた教室の床も張り替えられ、きれいな教室で過ごせてうれしいな…と思っていない人が一人。息子です。いつもの教室の一部の床の色や素材が変わったことに、息子はすぐに違和感を感じたようでした。変わった場所に踏み入るのをためらい続け、どうにか療育は受けられたものの、療育中もソワソワして、その日はなんとなく落ち着かない様子だったようです。そして、帰りの時間。息子の「できる限り床を踏みたくない」気持ちが限界を迎え、部屋の隅から一向に動かなくなりました。どんな声がけも通じず、迎えに来た私は困り果てました。歩く場所は作ってあげればいい、先生が出した魔法のアイテムそんなとき、救世主が現れました。一人の先生が、息子の両足が乗るくらいの大きさの色のついた丸い紙を、何枚か持ってきてくれたのです。そして、その紙を息子の前に置き、ここに乗るようにと息子を促しました。Upload By べっこうあめアマミ目の前に現れた、別の色の床(紙)。息子はそこで気持ちが切り替えられたのか、先生がおいた紙に興味を持ち、その上に乗りました。そして、先生がさらにもう一歩前に紙を置くと、息子は新たに置かれた紙の上に進みました。息子が新たな紙の上に乗ると、後ろには戻らないように、さりげなく先生が後ろの紙を取っていきます。その後は先生の華麗な誘導と紙さばきで、どんどん前に進んでいった息子。床が気に入らなくて歩きたくないのなら、歩く場所として簡易的な「別の床」を作ってあげよう。この先生のアイデアのおかげで、無事息子は教室を出て、帰路につきました。Upload By べっこうあめアマミこだわりと上手につきあっていくために障害の有無にかかわらず、私たちは誰しも、何かしらのこだわりを持っているのではないでしょうか。そのこだわりを無理になくそうとしたり、本人の意思に反した動きを無理やりさせようとしても、お互いにイライラがたまってうまくいかないことは多いと思います。療育で、先生の見事な誘導により、息子がストレスなく自然と苦手な床の上を移動できたのを見て、私はこだわりを「なくす」のではなく「上手につきあっていく」大切さを感じました。そうはいっても現実は、同じ方法を使ってもうまくいかないこともありますし、どうにもならずに無理やり動かすしかないシーンは多々あります。それでも、できるだけ息子の気持ちを尊重し、親として息子のこだわりとつきあっていきたいと思います。執筆/べっこうあめアマミ(監修:藤井先生より)療育の先生のアイディアに至るには、べっこうあめアマミさんが、息子さんのこだわりに気づいていたことが大事だと思いました。急に道端で立ち止まったり、療育に参加しなかったりという状態だけを見ると、床の色にこだわっているという点にはすぐに気がつかない可能性もあります。息子さんの行動と、その状況を観察されたことで、こだわりの詳細な内容に気づかれたのだと思いました。その観察力が素晴らしいと思いました。こだわりを「上手につきあっていく」という視点で考えると、できる工夫が浮かんでくることがありますね。コラム内では、現在一般的に使用される障害名・疾患名で表記をしていますが、2013年に公開された米国精神医学会が作成する、精神疾患・精神障害の分類マニュアルDSM-5などをもとに、日本小児神経学会などでは「障害」という表記ではなく、「~症」と表現されるようになりました。現在は下記の表現になっています。神経発達症発達障害の名称で呼ばれていましたが、現在は神経発達症と呼ばれるようになりました。知的発達症(知的障害)、自閉スペクトラム症、注意欠如・多動症、コミュニケーション症群、限局性学習症、チック症群、発達性協調運動症、常同運動症が含まれます。※発達障害者支援法において、発達障害の定義の中に知的発達症(知的能力障害)は含まれないため、神経発達症のほうが発達障害よりも広い概念になります。知的発達症知的障害の名称で呼ばれていましたが、現在は知的発達症と呼ばれるようになりました。論理的思考、問題解決、計画、抽象的思考、判断、などの知的能力の困難性、そのことによる生活面の適応困難によって特徴づけられます。程度に応じて軽度、中等度、重度に分類されます。ASD(自閉スペクトラム症)自閉症、高機能自閉症、広汎性発達障害、アスペルガー(Asperger)症候群などのいろいろな名称で呼ばれていたものがまとめて表現されるようになりました。ASDはAutism Spectrum Disorderの略。ADHD(注意欠如・多動症)注意欠陥・多動性障害の名称で呼ばれていましたが、現在はADHD、注意欠如・多動症と呼ばれるようになりました。ADHDはAttention-Deficit Hyperactivity Disorderの略。ADHDはさらに、不注意優勢に存在するADHD、多動・衝動性優勢に存在するADHD、混合に存在するADHDと呼ばれるようになりました。今までの「ADHD~型」という表現はなくなりましたが、一部では現在も使われています。SLD(限局性学習症)LD、学習障害、などの名称で呼ばれていましたが、現在はSLD、限局性学習症と呼ばれるようになりました。SLDはSpecific Learning Disorderの略。
2023年04月24日自閉症息子の就学相談。通級指導教室、特別支援学級どっちがいい?わが家の小3の息子は5歳で自閉スペクトラム症(ASD)、小2でADHD(注意欠如・多動症)の診断を受けました。今は通常学級に在籍しながら通級指導教室に通っています。息子は小さなころから基本的にはおとなしい性格でしたが、こだわりが強く、一旦こだわりが出てしまうと癇癪に繋がってしまうタイプです。幼稚園に通っていたころは、友達からからかわれることもありましたが、当時はからかわれていること自体に気づいてなかったのか、本人的には楽しく通っていました。そして年長になり就学相談の時期に…。すでに自閉スペクトラム症の診断を受け、療育には通っていたので私は息子の就学先を「通常学級在籍で通級指導教室に通う」と「特別支援学級在籍」で悩んでいました。Upload By ユーザー体験談特別支援学級のほうが手厚い支援を受けられる?通常学級在籍は周りの友達に影響されて成長できるかも…。私の中でどちらにしたら良いのか希望はなかなか決まらないまま、就学相談で息子は発達検査、行動観察、グループ観察などを受け、11月になり教育委員会からの結果は…。通級指導教室と判定されて。母の気持ちは…教育委員会からの結果は「通級指導教室判定」でした。息子の場合は「知的障害特別支援学級は、IQが入級基準以上のため対象外」「集団観察のときにおとなしく、問題がないと思われた」ようですが「自閉スペクトラム症の診断はあり、療育に通っている」という部分で、通級判定につながったようです。その判定を聞いて、母である私はホッとしました。私だけでは、息子にはどんな支援が必要なのかが判断しきれず、悩むばかりで息子の進学先を決められなかったからです。子どもの発達に詳しい職員や、専門家の方々がそう判断してくれる進路ならと、心強いものがありました。夫や親戚たちにも伝えたところみんな口を揃えて「良かった!」と言っており、「4月から通級指導教室で頑張っていこう」という気持ちで息子の就学問題は一旦解決をしました。Upload By ユーザー体験談入学後、うれしい配慮を感じながらも問題も出てきて…そして入学後、通常学級在籍ですが担任の先生が配慮をしてくださり、息子の席は一番前、周りには息子がよそ見をしていたら声をかけてくれそうなしっかりしている子どもたちを配置してくれました。しかし、新たな悩みも…。通級指導教室へは毎週2コマ授業を途中で抜けていくのでクラスメイトから「なんでいなくなるの?」「どこに行っているの?」と聞かれることがしばしばありました。しかしまだ小1ということもあり息子自身もなぜ行くのかよく分かっていないので「なんでだろうね~」とうまく答えられなかったようです。Upload By ユーザー体験談その様子を見ていた先生がある日私に「こんなことが多くなってきたので、ちゃんとクラスのみんなに伝えたほうが良いかもしれません」と相談をしてくれました。みんなに説明して変な風に思われないかな?と正直怖い気持ちもありました。ですが、息子のことを理解もしてほしい…悩みましたが先生とも話し合い、朝の会のときにクラスのみんなに伝えよう、という話になりました。クラスメイトに通級指導教室へ通っている理由を説明。みんなの反応は?そして朝の会の当日…息子は自分で通級指導教室に通っている理由を言いました…が、まだ幼いということもあり、なぜ自分が通っているのかよく分かっていない息子。私と先生が渡したメモをそのまま読んでいましたが、本人の口から言うことが重要だと思ったので、そこは良かったと思います。そのあと先生が「みんなはガヤガヤしてるところで疲れちゃうことはない?」「〇〇くん(息子)はみんなよりそういう部分を感じやすいから少し離れて違う場所で勉強をしているんだよ。」とフォローしてくださったことで、クラスメイトたちも理解をしてくれたようです。その後は通級指導教室に行くときも「なんで?」と聞く子どももいなくなり、「いってらっしゃい!」と明るく送ってくれるようになりました。小3になった今は通級仲間もできて「自分だけじゃない」と安心して学校生活を楽しんでいるようです。Upload By ユーザー体験談しかし、また別の問題も出てきて…友達関係はうまくいっていますが、小3になるとどんどん勉強も難しくなり、通級で支援を受けていてもついていけなくなることが増えてきました。宿題の量も増え、終わらず癇癪を起こしてしまい、私も息子もイライラ…これでは良くないと特別支援学級への在籍移動を担任に相談しましたが、「特別支援学級は今これ以上人数を増やせない」「空きができても、息子さん以上に支援の必要な子どもが優先になってしまう」と断られてしまいました。もちろんその部分の優先順位は理解しています。ですが、それが息子が特別支援学級に入れない理由になってしまうのはまた違う問題になってきます。小学生のうちに、改めて在籍級について悩むことになるとは…通級指導教室に通えば一安心という訳ではありませんでした。今も担任や校長先生たちを交えてどのような形が一番息子に良いのかを話し合っています。これからもたくさん悩むこともあるだろうけど、先生方や息子の意見も聞きながら息子に合った環境を模索していければと思っています。イラスト/keikoエピソード提供/かけうどん(監修:鈴木先生より)「指導」と言う言葉はどうしても上から目線になってしまいがちなのでやはり「支援」という言葉にした方が私はいいと常々思っております。どちらにしても支援が必要なお子さんなので、ご本人や親御さんの意見を伺いつつ学期ごとにあるいは日ごとに変えられるような柔軟性が必要だと思います。今の制度では年度初めに決めたら1年間はそのままで行くことが多いようです。通級か在籍かを議論する特別支援教育委員会では有識者も含めて個人個人について話し合いますが、あくまでも紙の上での話だけであり、みんなが実際に本人の姿を見ているわけではありません。主治医の意見書などはなく、IQテスト中心に話が進んでいることが多く、実際に通ってみないと分からないのが現状です。どちらにするかは親御さんが決めることで、教育委員会の指示に従う義務はないのです。事務的な手続き優先ではなく、子どもファーストの考えを持って対応できる学校環境が望ましいのです。また、通級などで途中退席する子どももいることを事前に担任がみんなに分かりやすく説明して周知しておく必要があります。そうすれば「なんでいなくなるの?」ではなく、「頑張ってね」という言葉が必然的に同級生から出るはずです。隠さずにみんなで支援していく空気が必要なのではないでしょうか。毎年同じようなお子さんはいるので教員は先のことを見据えて早めにみんなと共有すべきだったのです。コラム内では、現在一般的に使用される障害名・疾患名で表記をしていますが、2013年に公開された米国精神医学会が作成する、精神疾患・精神障害の分類マニュアルDSM-5などをもとに、日本小児神経学会などでは「障害」という表記ではなく、「~症」と表現されるようになりました。現在は下記の表現になっています。神経発達症発達障害の名称で呼ばれていましたが、現在は神経発達症と呼ばれるようになりました。知的発達症(知的障害)、自閉スペクトラム症、注意欠如・多動症、コミュニケーション症群、限局性学習症、チック症群、発達性協調運動症、常同運動症が含まれます。※発達障害者支援法において、発達障害の定義の中に知的発達症(知的能力障害)は含まれないため、神経発達症のほうが発達障害よりも広い概念になります。知的発達症知的障害の名称で呼ばれていましたが、現在は知的発達症と呼ばれるようになりました。論理的思考、問題解決、計画、抽象的思考、判断、などの知的能力の困難性、そのことによる生活面の適応困難によって特徴づけられます。程度に応じて軽度、中等度、重度に分類されます。ASD(自閉スペクトラム症)自閉症、高機能自閉症、広汎性発達障害、アスペルガー(Asperger)症候群などのいろいろな名称で呼ばれていたものがまとめて表現されるようになりました。ASDはAutism Spectrum Disorderの略。ADHD(注意欠如・多動症)注意欠陥・多動性障害の名称で呼ばれていましたが、現在はADHD、注意欠如・多動症と呼ばれるようになりました。ADHDはAttention-Deficit Hyperactivity Disorderの略。ADHDはさらに、不注意優勢に存在するADHD、多動・衝動性優勢に存在するADHD、混合に存在するADHDと呼ばれるようになりました。今までの「ADHD~型」という表現はなくなりましたが、一部では現在も使われています。SLD(限局性学習症)LD、学習障害、などの名称で呼ばれていましたが、現在はSLD、限局性学習症と呼ばれるようになりました。SLDはSpecific Learning Disorderの略。
2023年04月23日自閉スペクトラム症のある太郎と文字太郎は保育園時代、文字に興味を示さなかった。鉛筆を握ることも少なく、周りの園児が文字を書いていても太郎だけは書かずにウロウロしていた。保育園時代は文字を書けなくてもなんの問題もなかった。しかし小学生になると話は違ってきた。文字を覚える、書く、読む、ということが学習をするうえで大前提となった。小学1年生のとき。当時の自閉症・情緒障害特別支援学級の先生からはこう伝えられた。Upload By まゆん「太郎ちゃんはですねえ…なっかなか手強いですよ、お母さん」この言葉を言われても全然嫌味を感じなかった。私は「やっぱりそうですよねえ…」と答えた。一つの問題なら解決しやすいがそうではなかった。文字の理解、認識文字を書くという動作書きたいけど書けない葛藤、羞恥心、プライドなどの感情今振り返っても、文字を学習するうえでの問題は複合的だったし、実際にはもっと多くあったかもしれないと思っている。Upload By まゆん文字をなかなか書けない、覚えられない、ということを問題にしなくてもいいのではとも思ったが、太郎の意思は「覚えたい」の方向へ向かっていることが見ていて分かった。固まりながら、机の下に隠れながらも決して文字から逃げることはなかった。切り替えに時間はかかるが、自ら再び文字と向き合い、書くことや覚えることをあきらめなかった。家でも、「学校は楽しい」と言っていたし、行き渋りもなかった。Upload By まゆん太郎は文字を見る視点がとても細かいことが分かった。同じ「は」や「な」でも、明朝体やゴシック体など書体が異なると違うものに見えているようだった。Upload By まゆん書くことと同時に、カードを使ったクイズ方式で文字を覚えていった。先生は授業中、抜き打ちでクイズを太郎に出していた。3回正解をした文字はクリアというシステムだった。先生からは、「自宅でも、できるときに、本人のストレスにならない程度にやってみてはどうか」と伝えられていた。Upload By まゆん太郎も楽しかったのだろうか、文字をどんどん覚えていった。明朝体、ゴシック体などの書体の違いも、文字慣れしたのかスルーできるようになった。文字を覚えていくと、自然と書く方も進んでいった。ゆっくりではあるが一生懸命丁寧に一つひとつ書いていく。いまだにゆっくりと文字を書く太郎は周りから「読みやすい字だね」と言ってもらえることが多い。その後はひらがなからカタカナ、そして漢字と覚え、書くことができるようになっていった。字を覚えたあと、小学1年生の間は、私に手紙を書くことがブームになるほど文字を楽しんでいた。先生の雰囲気づくりに感銘を受けました。どうすれば太郎がストレスを感じずに、文字を覚えられるかを考え、時間をかけて寄り添ってくれた先生。本当に感謝しかありません。「手強いです」の一言からは、本気で寄り添ってくださってる優しさが伝わってきました。だから嫌味も感じなかったのだと思いました。私は社会人ですが、職場の雰囲気は働くうえで重要だと思っています。個人個人のモチベーションにも関係し、個人のモチベーションが保てると良い動きになり、結果的に良い職場になり会社としての利益につながると思っています。それくらい雰囲気づくりは重要なものだと認識してるので、当時の「クイズ方式」など楽しさを含めた指導や声かけ一つのニュアンスや口調、すべてから優しい空間がつくられていて、感銘を受けました。「なんでできないの?」と押さえつけることもなく、「どこが分からないのかな?」といつでも太郎に寄り添ってくださる姿勢に私も太郎も安心と信頼を感じることができました。先生とは、ここから3年間学校生活を共にすることになりました。執筆/まゆん(監修:鈴木先生より)このようなお子さんにはユニバーサルデザインの文字をおすすめしています。文字間や行間が適度でいいのです。また、縦書きよりは横書きのほうが読みやすい傾向があります。国語の教科書はほぼ縦書きですが、すべて横書きに書き換えた親御さんもいます。読めないと書けないので、まずは読む練習からでいいと思います。また、文字を図として扱っているため漢字などの書き順が曖昧なお子さんも多く見かけます。極端な場合、漢字を下から書く子もいます。できるだけ早くから正確な書き順を習慣として覚えさせることも重要かと思います。コラム内では、現在一般的に使用される障害名・疾患名で表記をしていますが、2013年に公開された米国精神医学会が作成する、精神疾患・精神障害の分類マニュアルDSM-5などをもとに、日本小児神経学会などでは「障害」という表記ではなく、「~症」と表現されるようになりました。現在は下記の表現になっています。神経発達症発達障害の名称で呼ばれていましたが、現在は神経発達症と呼ばれるようになりました。知的発達症(知的障害)、自閉スペクトラム症、注意欠如・多動症、コミュニケーション症群、限局性学習症、チック症群、発達性協調運動症、常同運動症が含まれます。※発達障害者支援法において、発達障害の定義の中に知的発達症(知的能力障害)は含まれないため、神経発達症のほうが発達障害よりも広い概念になります。知的発達症知的障害の名称で呼ばれていましたが、現在は知的発達症と呼ばれるようになりました。論理的思考、問題解決、計画、抽象的思考、判断、などの知的能力の困難性、そのことによる生活面の適応困難によって特徴づけられます。程度に応じて軽度、中等度、重度に分類されます。ASD(自閉スペクトラム症)自閉症、高機能自閉症、広汎性発達障害、アスペルガー(Asperger)症候群などのいろいろな名称で呼ばれていたものがまとめて表現されるようになりました。ASDはAutism Spectrum Disorderの略。ADHD(注意欠如・多動症)注意欠陥・多動性障害の名称で呼ばれていましたが、現在はADHD、注意欠如・多動症と呼ばれるようになりました。ADHDはAttention-Deficit Hyperactivity Disorderの略。ADHDはさらに、不注意優勢に存在するADHD、多動・衝動性優勢に存在するADHD、混合に存在するADHDと呼ばれるようになりました。今までの「ADHD~型」という表現はなくなりましたが、一部では現在も使われています。SLD(限局性学習症)LD、学習障害、などの名称で呼ばれていましたが、現在はSLD、限局性学習症と呼ばれるようになりました。SLDはSpecific Learning Disorderの略。
2023年04月21日あやしても笑わない赤ちゃんだった息子息子は2歳半で自閉スペクトラム症と診断されました。今思えば、産まれてすぐから反応が少なかった息子。「赤ちゃんはママがあやしたら笑う」なんてのは都市伝説じゃないかと思うくらい本当に笑わない子どもでした。渾身のいないいないばぁも、ただただ私の独り劇場で終わる始末。Upload By 海乃けだま5歳でやってきた「誤飲の心配」と、「おままごとブーム」そしてなんでも口に入れてしまう乳児期も食べ物以外全く口に入れませんでした。当時は誤飲の心配も少なく「めっちゃ楽やん?」と深く考えず…楽天家な旦那に至っては「めちゃくちゃ賢いや~ん!」と親バカが炸裂していました。が、なんと5歳になった今…洗面所でつけ置きしていた洗面器の水をペロッとしている姿を目撃してしまいました。(絶叫)※現在、つけ置きの洗面器はお風呂場へお引越し、さらに扉に鍵をかけて厳重に管理しています。Upload By 海乃けだま最近のブームは私が夕飯の準備をしている横で、おもちゃの料理道具を持ってきて本格的な料理の真似をすること。最中はものすごく微笑ましく、「このまま料理に目覚めて料理男子になってくれたら…」なんて淡い妄想を抱いたりしてます。※なお、料理を終えた後のリビングは…Upload By 海乃けだま息子と全く違った娘の乳児期。「育てやすい子」と思っていたら…一方娘は3歳9ヶ月のころにADHDと診断されました。娘の乳児期は息子のときと打って変わって、ものすごく反応があり、2ヶ月のころにはあやすとニコニコとよく笑う赤ちゃんでした。都市伝説だと信じきっていた「いないいないばぁ」にもしっかりと喜んでくれて…母親としての育児の自信を取り戻したような気さえしました。しかもすごくよく寝る。お昼寝中にどれだけ息子が騒いでいても、ほとんど起きることもありませんでした。息子のときは膝がパキッとなるだけで起きる繊細さだったので、「なんて育てやすい子なんやぁ!!」と感動したほどです。Upload By 海乃けだまそんな育てやすかった娘も、1歳を過ぎてひとり歩きできるようになったころから現在のおてんばガールの片鱗を見せ始めます。家の中でも常に駆け足、朝起きてからベッドに入るまでずっと喋り続けています。さらに好奇心旺盛で何にでも興味を持つ娘は、狙った獲物(おもちゃ)は何が何でも手に入れないと気が済みません。おっとりなお兄ちゃんからよくおもちゃを奪い取っては泣かせていました。今では息子も負けじとおもちゃを奪い返して…喧嘩の仲裁が私の日課です。Upload By 海乃けだまおっとりマイペースな息子とぐいぐい積極的な娘、真逆のような性格の二人。産みの親である私たち夫婦も、先々のことを考えて心配してしまう私と「なんとかなるやろ!」と楽天家な旦那で真逆です。でも、そんな二人だからこそお互い苦手な部分と得意な部分を刺激し合えたり、補い合えているんじゃないかと感じていたりします。喧嘩も頻発しますが、毎日ふざけ合って笑い転げている仲良し兄妹です。性格は違っても仲良しな兄妹。二人の診断に戸惑いもあるけれど…正直、子どもたちの診断を受け入れられているかと言えば、まだ受け入れられていません!メンタルも浮いたり沈んだりを繰り返していますし、受け入れられていません!!(大事なことなので2度…)ですが、それでもここまで来れたのはたくさんの人に支えてもらっているからだと思っています。まだまだ勉強中ですが、もし私の経験が読んでくださった方の支えになれば幸いです。これからよろしくお願いします!執筆/海乃けだま(監修:新美先生より)それぞれに個性の強いお子さん二人と、真逆のご夫妻のエピソードをとても楽しいイラストとともにご紹介くださいましてありがとうございます。「まだまだ受け入れられていません!」と2度おっしゃっていますが、こんな素敵なエピソードに昇華されている海乃さんのご姿勢がパワフルで素晴らしいなと思いました(感想です)。同じ両親が基本的に同じように育てても、子どもはそれぞれの個性を発揮するものですよね。世の中の「親のしつけガー」とかいうめんどくさい人たちに見せてやりたいエピソードだと思いました。子どもも大人もそれぞれの個性があるから大変で、そして楽しいものです。それぞれの個性でぶつかったり、悩んだり、工夫したり、愚痴ったりしながら、家族内でもそして他人ともいろんな形で共有していけるのは、とてもいいなと思います。これからまたいろんなエピソードを聞かせてもらえたらうれしいです。コラム内では、現在一般的に使用される障害名・疾患名で表記をしていますが、2013年に公開された米国精神医学会が作成する、精神疾患・精神障害の分類マニュアルDSM-5などをもとに、日本小児神経学会などでは「障害」という表記ではなく、「~症」と表現されるようになりました。現在は下記の表現になっています。神経発達症発達障害の名称で呼ばれていましたが、現在は神経発達症と呼ばれるようになりました。知的発達症(知的障害)、自閉スペクトラム症、注意欠如・多動症、コミュニケーション症群、限局性学習症、チック症群、発達性協調運動症、常同運動症が含まれます。※発達障害者支援法において、発達障害の定義の中に知的発達症(知的能力障害)は含まれないため、神経発達症のほうが発達障害よりも広い概念になります。知的発達症知的障害の名称で呼ばれていましたが、現在は知的発達症と呼ばれるようになりました。論理的思考、問題解決、計画、抽象的思考、判断、などの知的能力の困難性、そのことによる生活面の適応困難によって特徴づけられます。程度に応じて軽度、中等度、重度に分類されます。ASD(自閉スペクトラム症)自閉症、高機能自閉症、広汎性発達障害、アスペルガー(Asperger)症候群などのいろいろな名称で呼ばれていたものがまとめて表現されるようになりました。ASDはAutism Spectrum Disorderの略。ADHD(注意欠如・多動症)注意欠陥・多動性障害の名称で呼ばれていましたが、現在はADHD、注意欠如・多動症と呼ばれるようになりました。ADHDはAttention-Deficit Hyperactivity Disorderの略。ADHDはさらに、不注意優勢に存在するADHD、多動・衝動性優勢に存在するADHD、混合に存在するADHDと呼ばれるようになりました。今までの「ADHD~型」という表現はなくなりましたが、一部では現在も使われています。SLD(限局性学習症)LD、学習障害、などの名称で呼ばれていましたが、現在はSLD、限局性学習症と呼ばれるようになりました。SLDはSpecific Learning Disorderの略。
2023年04月19日親ばかりが焦る!自閉症息子の高校受験発達障害の専門家が出会った子どもや大人、その保護者の抱えていたリアルな「困った!」をもとに、対応策などをドキュメントタッチで解説します。今回は、自閉スペクトラム症(ASD)のある中学3年生と、その保護者のエピソードです。なかなか、わが子の志望校が決まらないとき、保護者にできることは…。Upload By 専門家体験談Upload By 専門家体験談Upload By 専門家体験談マンガ/NEGI解説:保護者が選択肢を持ち、子ども自身に決めさせることが大切今回は、自閉スペクトラム症(ASD)の中学3年生の「進路」を心配する保護者のエピソードをもとにマンガ化してお届けしました。「志望校が決まらない」という悩みは、高校受験においてよく聞かれます。保護者のみなさんは、次のポイントを押さえて、中学校の先生にも相談してみてください。1.選択肢を知る普通科高校(公立・私立)、専門学校(実業高校)、単位制高校、定時制高校、通信制高校、チャレンジスクール(4年制)、高等専修学校など、中学校に比べて多くの選択肢があり、教育システムもさまざまです。保護者が理解し、子どもと話し合えるようにしましょう。2.子ども自身に決めさせる複数の選択肢を与えるのは良いですが、最終的な決定は子どもに任せることが大切です。高校入学後にうまくいかないことがあると、「親が決めたからだ!」「本当は行きたくなかったのに!」と親に対して反発するケースもあります。また、子どもの希望した進路を否定してしまうと、「信用されていない」とショックを受けてしまう子どももいます。3.子どもと通う・学ぶイメージを持つ通学ルートをチェックする、オープンスクールで先生に話を聞いたり在校生や授業の様子を見たりすることで、実際に通うイメージを持つことができれば、ミスマッチを防ぎやすくなります。4.入学前後の合理的配慮の必要性について担任の先生と相談をする入試のときの面接や、みんなと同じ教室で試験を受けられないということが心配であれば、合理的配慮について中学校の担任の先生と相談しておきましょう。また、入学後の困難(口頭で言われただけでは課題の締め切りを守れない、感覚過敏があるなど)が想定される場合、高校生活を送る上での合理的配慮が必要かどうかについても話し合っていきましょう。5.入学後の転校も視野に入れる中学校で行き渋りがあった場合などは特に、入学した学校に通えなくなったときに備えて別の選択肢を保護者が用意しておくことが大切です。例えば入学した年の5月時点で数日しか通学できていない場合などは、通信制高校への転校なども視野に入れると良いでしょう。コラム内では、現在一般的に使用される障害名・疾患名で表記をしていますが、2013年に公開された米国精神医学会が作成する、精神疾患・精神障害の分類マニュアルDSM-5などをもとに、日本小児神経学会などでは「障害」という表記ではなく、「~症」と表現されるようになりました。現在は下記の表現になっています。神経発達症発達障害の名称で呼ばれていましたが、現在は神経発達症と呼ばれるようになりました。知的発達症(知的障害)、自閉スペクトラム症、注意欠如・多動症、コミュニケーション症群、限局性学習症、チック症群、発達性協調運動症、常同運動症が含まれます。※発達障害者支援法において、発達障害の定義の中に知的発達症(知的能力障害)は含まれないため、神経発達症のほうが発達障害よりも広い概念になります。知的発達症知的障害の名称で呼ばれていましたが、現在は知的発達症と呼ばれるようになりました。論理的思考、問題解決、計画、抽象的思考、判断、などの知的能力の困難性、そのことによる生活面の適応困難によって特徴づけられます。程度に応じて軽度、中等度、重度に分類されます。ASD(自閉スペクトラム症)自閉症、高機能自閉症、広汎性発達障害、アスペルガー(Asperger)症候群などのいろいろな名称で呼ばれていたものがまとめて表現されるようになりました。ASDはAutism Spectrum Disorderの略。ADHD(注意欠如・多動症)注意欠陥・多動性障害の名称で呼ばれていましたが、現在はADHD、注意欠如・多動症と呼ばれるようになりました。ADHDはAttention-Deficit Hyperactivity Disorderの略。ADHDはさらに、不注意優勢に存在するADHD、多動・衝動性優勢に存在するADHD、混合に存在するADHDと呼ばれるようになりました。今までの「ADHD~型」という表現はなくなりましたが、一部では現在も使われています。SLD(限局性学習症)LD、学習障害、などの名称で呼ばれていましたが、現在はSLD、限局性学習症と呼ばれるようになりました。SLDはSpecific Learning Disorderの略。
2023年04月18日2歳入園を目指してプレ幼稚園に通った日々まゆみがまだ乳児だったころ、私は幼稚園の2歳クラスからまゆみを入園させるつもりでいました。やがて自閉傾向があることが分かり、1歳後半から療育を始めていましたが、療育を受けながら園に通うお子さんの話をほかのお母さんから聞いていたため、「2歳クラスから入園」という希望はそのまま持ち続けていました。いくつかの幼稚園のプレに顔を出し、最終的に近所のA園に入園させようと決めて毎週のプレに通いましたが、入園希望の子どもたちの中でまゆみだけが名前を呼ばれても返事ができず、先生の呼びかけにも応えられないことが続きました。Upload By にれそんな姿に不安を抱きつつも、当時の私は発達障害とまゆみ自身の障害程度への理解が浅く、「療育にも通っているし、こうしていろいろな子どもたちがいる場所で刺激を受けていればいつかは周りに追いつくかもしれない」と考えていました。A園への願書も提出し、まゆみが2歳11ヶ月になる4月から2歳クラスに通えるつもりでいたのです。5ヶ月限定の保育園実はまゆみは保育園の1歳クラスに通ったことがあります。まゆみが2歳半のときに下の子が生まれ、産前産後の5ヶ月間(まゆみ2歳3ヶ月~2歳8ヶ月ころ)公立保育園のB園に通いました。B園は自宅から車で片道25分かかるため少し遠かったのですが、年度途中の入所のためほかに空きがありませんでした。けれど、大きなお腹でまゆみの多動ぶりに対応することが難しくなって外遊びも十分させてあげられない状態だったので、思い切り遊ばせてもらえることがありがたかったです。当時すでに療育に通っており、コミュニケーションに難があることは面接時からB園に伝えていました。先生方は「大丈夫ですよ~まだ1歳クラスですし、ほかのお子さんもまだ一人遊びの時期なので」と温かく迎え入れてくれましたが、実際の園生活はけっこう大変だったようです。お迎えのとき、心配性の私が「お友達と仲良くできていますか?」と聞くと、先生方はいつも決まって「ほかのお子さんたちもまだ周りのお友達と仲良くできる段階ではないですよ。お母さん、大丈夫です」という返事でした。実際、5ヶ月間の園生活の中でまゆみが問題を起こしたと聞くことはなく、意外なほど平穏に過ぎているように思えていましたが、最終日に先生が目に涙を浮かべてこんな報告をしてくれました。Upload By にれ聞けば、毎日毎日お遊戯室へ入るのを嫌がって逃走していたそうです。B園では先生の加配がない状態だったので、まゆみを追いかけるために1人割くことになって先生方は本当に大変だったことでしょう…。しかも、やっと慣れて入室できるようになったのかというとそうではなく、クリスマスツリーを出したらまゆみも物珍しさにつられて入室できたというのが真相でした。そんな手のかかるまゆみに園生活の経験をさせてもらえたありがたさと、5ヶ月間の先生方のご苦労に胸が詰まり、何度も何度も頭を下げてB園をあとにしました。2歳クラスでの入園をあきらめてB園を退園してから少しあと、A園への入園を控える2歳10ヶ月のまゆみに自閉スペクトラム症と知的障害の診断がついたとき、ようやく「この状態でA園に受け入れてもらえるのかな?」と焦り始めました。B園に通ったことで生活習慣にはある程度自信がついていましたが、コミュニケーション面ではまだまだ意思の疎通が難しく、入園できたとしても『みんなが先生とお遊戯をしている後ろで黙々と一人遊びをしているイメージ』しか湧かなかったのです。診断後、すぐA園に相談に行きました。先生は「診断がついても、同じ教室にいてくれるんでしたら受け入れできますよ」と答えてくれましたが、多動気味のまゆみはその「同じ教室にいてくれるか」という点に不安がありました。A園では加配の先生をつけることが難しいと聞いたため、安全確保の面から「来月からの入園は無理だ」と悟りました。A園での2歳クラス入園をあきらめるか、プレ保育にもう一年通って年少からの入園を目指すかで悩んでいた折、A園からの連絡で「やっぱりまゆみは歓迎されていないのかも」と受け取れる出来事があり、夫婦で相談してA園への入園そのものをあきらめることにしました。単独通所の療育へA園に入園することをあきらめ、「じゃあどうしよう?市内の公立幼稚園に2歳クラスはないし、もし私立で加配ができないなら今年は自宅保育で…?」と考えていた矢先、まゆみの問題行動が増えて私は精神的に追い詰められてしまいました。あることがきっかけで「もうダメです、このままでは虐待してしまうかもしれない」と泣きながら療育の先生に電話をかけました。生後半年にもならない第二子を抱えながら、問題行動の増えたまゆみと24時間を同じ空間で過ごすことに限界が来ていました。療育の先生から計画相談の先生にすぐ連絡がいき、翌週から単独通所という形で別の療育施設に月~土曜の日中預かってもらえることになりました。そのときの私は疲れ切った顔をしていたようで、先生の「下のお子さんと一緒に少し休んでください」の言葉に涙があふれました。あのとき助けてくださった先生方にはいくら感謝しても足りません。こうしようと思っていたわけではなかったのですが、結果的にまゆみは幼稚園へ行くのと同じくらいの時間を療育先で過ごすことになりました。「単独通所の療育へ幼稚園並に預けることができる」ということを知らなかった私は、そんな方法があったのか…!と衝撃を受けました。集団生活とまではいかなくても療育先にはほかの子どもたちもいて、まゆみに合った形で丁寧に療育しながらできることを増やしてもらえるので、まゆみにとっても家族にとってもベストな道だったと思っています。Upload By にれ年少での入園も無理?それまでも週に2度の母子療育に通っていましたが、まゆみ自身も親を離れるタイミングが来ていたのか単独通所の効果は目を見張るものがありました。人にあまり興味のなかったまゆみが、半年通ううちに担当の先生によく懐くようになって生活習慣も少しずつついてきました。まゆみの変化に喜んだ私は、仕事復帰が控えていたこともあって療育先に保育園の年少入所の相談をさせてもらいました。今度こそ入園できるものと信じて疑わず…。ところが療育の先生の答えは、「もう1年療育に通った方がいいでしょう」というものでした。まゆみは母親や担当の先生との愛着形成は成功しているけれども、まだ『一対一の関係』を築くことに弱さがあるので、ここがしっかりできるようになってから集団生活へ入った方がいいとのことでした。園長先生も出てきてくださり詳しい理由を聞きましたが、ガーンと殴られたような衝撃でした。まゆみはまだまだ集団生活できるレベルではないのか…そもそも2歳クラスなんて高望みだったのか…、いろいろな考えが巡り、母親なのに自分の無知が恥ずかしくなりました。幸い、育休を延ばすことができたので問題なく療育へもう1年通えることになったのですが、今度は周りの友人や知人たちの「えっ、まだ保育園に入れないの?」「早くから集団生活させた方が伸びるよ」「園でお友達をつくった方がいいよ」といった声が気になってしまいます。中には私よりも事情に詳しいだろう保健師や保育士の方もいて、もちろんみんな善意で言ってくれているのです。ありがたい反面、私は途方に暮れました。どうするのがいいのか分からない、発達障害のことが分からない、娘のことが分からない、母親なのに何も分からない…。子どもの発達を考えたとき、療育を優先するか集団生活を優先するかはきっとさまざまな考え方のある問題なのだと思います。何をどうするのがベストなのか私には分かりませんでしたが、日頃から実際のまゆみを見て分かってもらっている療育の先生方の方針を信じようと決めました。念願の入園それから1年が過ぎました。まゆみは担当の先生だけでなく、周りの先生方や特定のお友達にも関心を持つようになってきて、「今の状態なら、保育園と療育の併用でやっていけると思います」というお言葉をいただけるようになりました。ただ、まゆみは医師からも療育先からもマンツーマンで加配の先生がつかないと安全確保が難しいと言われているため、入園先を決めるにもかなりの制限が伴いました。市内の私立保育園に10ヶ所近く電話をかけて問い合わせましたが、やはり人員配置の都合上マンツーマンでの加配はできないということで、通える範囲の公立保育園2ヶ所のうち、特性があっても目が届きやすく、比較的騒がしくなりすぎない小規模園のC園を希望しました。多少遠くても5ヶ月間通ったB園へ戻ることも考えましたが、残念ながらB園は統廃合でなくなってしまったために選ぶことができませんでした。幸い希望も通り、春からはC園にて念願の就園を果たす予定です。ずっと「未就園児」だったため、「未」が取れるまでにこんなにかかるとは思ってもいませんでした。Upload By にれ最後に産休に入るときは、「職場のすぐ近くに認定こども園も保育園も幼稚園もあるし、仕事復帰しやすくて恵まれた環境だな~」と思っていたので、まさかその中のどこにも入れないとは予想外でした。さらに言うと、まゆみの妹も特性ありで、まさか2人の療育のために仕事を辞めることになろうとは想像すらしていませんでした。保育方針などをしっかり調べて「ここにしよう!」とプレに通った園にも入れず、2歳入所も年少入所も時期尚早と、入園に関しては希望がことごとく打ち砕かれてきたため、今はやっと集団生活へ入れるようになったという喜びをかみしめています。希望が打ち砕かれてきたと書きましたが、私に「集団生活に入るにはどの程度のコミュニケーションスキルがあった方が後々良いのか」という知識と、まゆみの状態を客観的に判断する力がなかったという話なので、たくさんの子どもたちを見てきた療育の先生方に判断してもらえたことはとてもありがたかったと思っています。まゆみも本当によく頑張ってくれました。よく「自閉スペクトラム症の困難が大きくなってくるのは集団生活に入ってから」といった話を聞くので、きっと本番はこれからなんだろうと思いますが、まずはまゆみの成長と頑張りを褒めて保育園へ送り出してあげたいです。また、仕事や家族のためにどうしても療育よりも入園を優先させないといけないご家庭もあると思います。実際、うちも療育優先にして育休を延ばしたり退職したりしたことで家庭の状況はガラッと変わりました。仕事と療育の兼ね合いをどう判断するかは夫婦が決めることで、誰も口出しはできないと思います。事情は家庭によっていろいろですが、自分と子どもが置かれた状況の中で、自分も子どもも笑って過ごせるような道があればきっとそれが一番なんだろうと思っています。執筆/にれ(監修:藤井先生より)まずは、まゆみさん、ご入園おめでとうございます。新しい環境で慣れないことも多々あるかとは思いますが、新たな刺激を受けて、きっと楽しいこと、できること、成長することもたくさんあると思います。ここに至るまでににれさんが、いろいろな方へ相談したのはとても良かったと思います。精神的に追い詰められながらも、心のSOSを療育の先生に相談されたことで、通所の療育につながることができました。地域によって、療育園や、保育園、幼稚園の発達障害のお子さんへの対応が一律ではありません。しかし、個別に相談することで、お子さんにとって、その地域に暮らす上での、ベストはないかもしれないですが、ベターを探すことはできると思います。新しい園でまゆみさんが笑って過ごせることを願っています。コラム内では、現在一般的に使用される障害名・疾患名で表記をしていますが、2013年に公開された米国精神医学会が作成する、精神疾患・精神障害の分類マニュアルDSM-5などをもとに、日本小児神経学会などでは「障害」という表記ではなく、「~症」と表現されるようになりました。現在は下記の表現になっています。神経発達症発達障害の名称で呼ばれていましたが、現在は神経発達症と呼ばれるようになりました。知的発達症(知的障害)、自閉スペクトラム症、注意欠如・多動症、コミュニケーション症群、限局性学習症、チック症群、発達性協調運動症、常同運動症が含まれます。※発達障害者支援法において、発達障害の定義の中に知的発達症(知的能力障害)は含まれないため、神経発達症のほうが発達障害よりも広い概念になります。知的発達症知的障害の名称で呼ばれていましたが、現在は知的発達症と呼ばれるようになりました。論理的思考、問題解決、計画、抽象的思考、判断、などの知的能力の困難性、そのことによる生活面の適応困難によって特徴づけられます。程度に応じて軽度、中等度、重度に分類されます。ASD(自閉スペクトラム症)自閉症、高機能自閉症、広汎性発達障害、アスペルガー(Asperger)症候群などのいろいろな名称で呼ばれていたものがまとめて表現されるようになりました。ASDはAutism Spectrum Disorderの略。ADHD(注意欠如・多動症)注意欠陥・多動性障害の名称で呼ばれていましたが、現在はADHD、注意欠如・多動症と呼ばれるようになりました。ADHDはAttention-Deficit Hyperactivity Disorderの略。ADHDはさらに、不注意優勢に存在するADHD、多動・衝動性優勢に存在するADHD、混合に存在するADHDと呼ばれるようになりました。今までの「ADHD~型」という表現はなくなりましたが、一部では現在も使われています。SLD(限局性学習症)LD、学習障害、などの名称で呼ばれていましたが、現在はSLD、限局性学習症と呼ばれるようになりました。SLDはSpecific Learning Disorderの略。
2023年04月18日SNSの普及により、自分で自分の写真を撮る『自撮り』をする人が増えた現代。しかし、自撮りをするのは決して人間だけではありません。猫のしろあんちゃんは、飼い主(@shiroan_chan)さんのスマホに、多数の自撮り写真を残していたのです。そのクオリティたるや…飼い主さんが「何度見ても最高すぎる」と絶賛するほどでした。猫が勝手に撮ってた写真、何度見ても最高すぎる pic.twitter.com/sbDp5DiXfN — しろあんでっかい北欧猫 (@shiroan_chan) April 14, 2023 スマホでの写真撮影は、ロックを解除せずともできます。しろあんちゃんは、スマホでじゃれている間に、偶然にもカメラを起動し自撮りをしていたのでしょう。しかし、その中にはばっちりとカメラ目線を決めているものもあり、偶然であってもしろあんちゃんの自撮りのテクニックに拍手を贈りたくなります!あまりのかわいさに、飼い主さんはしろあんちゃんが自撮りした写真の何枚かに『お気に入り』のマークをつけたほど。しろあんちゃんの自撮り写真に心を奪われた人は飼い主さんだけでなく、多くの絶賛のコメントが寄せられました。・自分がかわいいのを自覚してるね。めっちゃかわいい。・ 絶対に操作方法を分かっていますやん。・ちゃんとカメラ目線なの、すごい。しろあんちゃんが天性のアイドル猫であることを、確信した飼い主さん。それは決して、飼い主さんのひいき目ではないはずです…!なお、飼い主さんはしろあんちゃんの動画をYouTubeで公開しています。動画を見れば、あなたもきっとしろあんちゃんの魅力のとりこになることでしょう。[文・構成/grape編集部]
2023年04月15日「こだわり」なのかも分からないUpload By カタバミまちゃは今特別支援学級に通う小学1年生。自閉スペクトラム症と知的障害があります。小さなころのまちゃにこだわりがあったのか思い出しても分かりません。希望が通らなくてもほとんど癇癪はなく、反応も薄く、大人しい子どもでした。私はまちゃの反応を増やしたくて、まちゃが喜びそうなことは進んで叶えていたと思います。年少のときに幼稚園の先生から「私たちを頼らずなんでも自分でやろうとします。全くしゃべりません」と言われました。そして年長のときに療育園の先生からは「何かをやってほしいときにもできるだけしゃべらずに伝えようとします。まちゃくんにとって言葉は最終手段のようです」と言われました。「水ちょうだい」など、家では言えていたことも幼稚園や療育園ではしゃべってないようでした。今考えるとこれは「できるだけしゃべりたくない」と言うまちゃのこだわりだったのかもしれませんが、このときには分かりませんでした。ただ食事だけはどんどん偏食が強くなり「こだわりだらけだな」と良く感じていました。特別支援学級への登校はこだわりだらけUpload By カタバミまちゃは小学生になると特別支援学級に入り、私は4月から片道20分ほどの道のりを毎朝一緒に登校することになりました。登校途中、軒下にメダカのいる大きな甕(かめ)を置いているお宅がありますが、まちゃは必ずそれをのぞき込んで「メダカ」と言います。それから綺麗で大きなマンションの脇に歩道と並行して細いじゃり道があるのですが、まちゃは必ずそこを通りたがります。そのあと30cmほどの高さのコンクリートの塀で囲われている駐車場がありますが、そこは必ず登って歩きます。気に入っているえん石の箇所もあり、そこも必ず踏んで通ります。少しの増減はありますが、まちゃのお気に入りは全体的に増えてきています。こだわりで困る点Upload By カタバミ家を出るのが少し遅れたとき、私はまちゃに「たまにはそこをのぞかなくても良いんじゃない?」とメダカの甕(かめ)をのぞかせなかったことがありました。まちゃは「ウワーン!」と怒って道路に寝そべり、再び歩き出すまでに時間もかかりましたし、登校中ずっと不機嫌でした。それから細いじゃり道の入り口でなぜか30秒ほど止まるようになりました。何もせずに立ってじゃり道を見つめます。おしゃれなマンションの扉にガラスが埋め込んであり、まちゃはそこをのぞこうとしましたが、人の家をのぞくことは良くないので止めると、まちゃは怒って道に座って頭を伏せるようなポーズでしばらく動きませんでした。学校に着くとのんびりと靴を履き替えながら下駄箱でボーッと数分間、校庭を眺めながら寝そべって動かなくなります。どれも時間がかかりますし、朝、ほかに通る方にも迷惑になるのではないかと心配になります。頑張るまちゃと見守ってくださる方々Upload By カタバミ登校のときのこだわりは日に日に増えて、登校にかかる時間は20分から30分になりました。朝まちゃの担任の先生に登校中のこだわりが多いことを話すと「大人でもそういうこだわりって実はありますよね。私にもあります。それに私にはまちゃくんのこだわりは許容範囲内です。今は寝転がっていますが、教室に入ってからの行動は早くて着替えなど朝の準備も時間内に終わっていますよ」と言ってくれました。特別支援学級の中でもまちゃの家はたぶん1番遠いのですが、まちゃは今のところ学校への行き渋りは全くありません。それからマンションの扉のガラスをのぞくのはダメだということを1度注意したときにはひどく怒りましたが次からはのぞかなくなりました。どうしてもダメなことは止めますが、登校途中のメダカやじゃり道やえん石が、まちゃが学校に行く力になってくれているのなら、これからもできるだけ付き合っていきたいと思います。執筆/カタバミ(監修:新美先生より)自閉スペクトラム症のある方のこだわり行動は奥が深いです。お決まりのルーティンで行動することで、いつもと同じ安心を得られるので、それをして自分も周囲の人も特に困らないルーティンであれば尊重していただければよいでしょう。ただ、ときにはそのルーティン行動をすることで、他者に迷惑をかけたり、自分にとって危険だったり、時間がかかりすぎるなどしてかえって自分が苦しくなるような行動になる場合は、対策を考えていく必要もあります(ここでは省きます)。教えていただいたエピソードは、ほんの少し登校時間が長くなるものの許容できる範囲なようなので、まちゃくんにとっては大事なルーティンなのだと見守っていただいているのですね。学校に行くのはそれなりの気合が必要なので、学校に行く道のりでおきまりのルーティンにこだわることで、自分のコンディションを整えて安心して登校できているのかもしれませんね。コラム内では、現在一般的に使用される障害名・疾患名で表記をしていますが、2013年に公開された米国精神医学会が作成する、精神疾患・精神障害の分類マニュアルDSM-5などをもとに、日本小児神経学会などでは「障害」という表記ではなく、「~症」と表現されるようになりました。現在は下記の表現になっています。神経発達症発達障害の名称で呼ばれていましたが、現在は神経発達症と呼ばれるようになりました。知的発達症(知的障害)、自閉スペクトラム症、注意欠如・多動症、コミュニケーション症群、限局性学習症、チック症群、発達性協調運動症、常同運動症が含まれます。※発達障害者支援法において、発達障害の定義の中に知的発達症(知的能力障害)は含まれないため、神経発達症のほうが発達障害よりも広い概念になります。知的発達症知的障害の名称で呼ばれていましたが、現在は知的発達症と呼ばれるようになりました。論理的思考、問題解決、計画、抽象的思考、判断、などの知的能力の困難性、そのことによる生活面の適応困難によって特徴づけられます。程度に応じて軽度、中等度、重度に分類されます。ASD(自閉スペクトラム症)自閉症、高機能自閉症、広汎性発達障害、アスペルガー(Asperger)症候群などのいろいろな名称で呼ばれていたものがまとめて表現されるようになりました。ASDはAutism Spectrum Disorderの略。ADHD(注意欠如・多動症)注意欠陥・多動性障害の名称で呼ばれていましたが、現在はADHD、注意欠如・多動症と呼ばれるようになりました。ADHDはAttention-Deficit Hyperactivity Disorderの略。ADHDはさらに、不注意優勢に存在するADHD、多動・衝動性優勢に存在するADHD、混合に存在するADHDと呼ばれるようになりました。今までの「ADHD~型」という表現はなくなりましたが、一部では現在も使われています。SLD(限局性学習症)LD、学習障害、などの名称で呼ばれていましたが、現在はSLD、限局性学習症と呼ばれるようになりました。SLDはSpecific Learning Disorderの略。
2023年04月09日小学3年生ごろから勉強についていけなくなったゆいは小さいころからおとなしい性格で、親や先生の指示も理解して行動できる子どもだったので、特に発達について心配だと感じたことはありませんでした。イヤイヤ期なども多分、一般的なものだったと思います。その証拠に、当時の私は母子手帳に『育児の不安:なし』と記入しています。ただ、人見知りが強い子どもだな、程度にしか感じていませんでした。低学年当時はまだ勉強が簡単なので周りについていくことができていたのですが、小学3年生あたりから、だんだんと成績が落ち始めていきました。ゆいが持ち帰ったテストを見ると、苦手な問題は考えた形跡がなく、白紙になっていました。この点は先生からも指摘を受けましたが、ゆいはどうやら最初からまったく取り組んでいないのです。それを見て、私は怠けていると感じ、腹立たしく思いました。Upload By 吉田いらこやる気がなさそうな娘に、母はイライラ…『やる気がない』というのは、ゆいが宿題をしているときに横で見ていても感じました。ゆいは分からない問題にさしかかるとフリーズしてしまうのです。無言で鉛筆が止まり、そのまま時間がながれていきます。私が「どこが分からないの?」と聞いても、ゆいは固まったままです。多分、どこが分からないのか説明することもできないくらい分からなかったのだと思います。そんなゆいに勉強を教えていると、私はどうしてこんな簡単なことが分からないのだとイライラしてきてしまいました。そして自分でも分かるくらいに教えている口調がだんだん冷たくなっていってしまい、最終的にゆいがポロポロ涙を流してしまいました。Upload By 吉田いらこ今振り返ると、ゆいにとって問題が難しすぎたということもありますが、私もどうやって教えればゆいが理解できるのかが分からず、教えながらイライラしていました。そうしているうちに勉強の時間がつらくなってしまったことも、ゆいの勉強に対する意欲がなくなってしまった原因ではと思います。小4のとき、ついに成績表で1が…。そして、軽度知的障害があることが判明そしてとうとう小学4年生の2学期終わりに、3段階の成績表で1がつきました。このままではゆいも私もつらいと感じ、プロに任せることにしました。個別指導塾に申し込みをしたのです。塾では1学年下の問題をじっくり教えていただいています。その後、小学5年生のときに軽度知的障害の診断がおりて特別支援学級のお世話になるようになり、学校でもゆいに合った簡単な内容で指導してもらえるようになりました。成績評価も通常学級の進度に合わせるのではなく、特別支援学級で学んでいることの成績として採点していただいています。Upload By 吉田いらこ特別支援学級で学ぶ現在は…現在のゆいは当時を振り返って「3段階の成績表で1がつくのは職員会議ものらしいよ。私ってヤバかったよね」と自嘲しますが、これくらい軽く言えるようになってよかったなと思います。あのまま通常学級でついていくのが難しいままだと、もっとつらい思いをさせてしまっていたかもしれません。小学5年生のときに障害の診断が下りてから、小学校での目標は『楽しく学校に通う』に決めました。特別支援学級の力を借りて、なんとか勉強のつらさを減らすことができたのではと感じます。中学校ではどのようなことが起こるか分かりませんが、本人の負担を減らしつつも周囲とうまくやっていく方法を親子で見つけていけたらなと思っています。執筆/吉田いらこ(監修:新美先生より)知的な面での困難さがあると、学校での一斉学習では大変さがでてくるかもしれません。初めのうちは、勉強を嫌がる態度で現れてくることも多いので、一見すると「なまけている」「さぼっている」「やる気がない」といったようにとらえられてしまうことも多いです。子どもは、学校という場で、怠ける・さぼるということはほぼめったにないので、学業に手がついていない様子が見られたら、分からないのか、やり方がお子さんに合っていないのか、心のゆとりがなくなっているのか…なにか理由があるかもしれないと探してみるといいですね。吉田さんの娘さんのエピソードを聞かせていただきありがとうございます。知的障害があると分かるまでは、親子ともども困惑したり、大変な日々だったかと思います。でもその後お子さんに合った学習をされていることで、お子さんも自分の大変だった時期を冷静に振り返ってコメントができるぐらいになっているのはとても素敵です。コラム内では、現在一般的に使用される障害名・疾患名で表記をしていますが、2013年に公開された米国精神医学会が作成する、精神疾患・精神障害の分類マニュアルDSM-5などをもとに、日本小児神経学会などでは「障害」という表記ではなく、「~症」と表現されるようになりました。現在は下記の表現になっています。神経発達症発達障害の名称で呼ばれていましたが、現在は神経発達症と呼ばれるようになりました。知的発達症(知的障害)、自閉スペクトラム症、注意欠如・多動症、コミュニケーション症群、限局性学習症、チック症群、発達性協調運動症、常同運動症が含まれます。※発達障害者支援法において、発達障害の定義の中に知的発達症(知的能力障害)は含まれないため、神経発達症のほうが発達障害よりも広い概念になります。知的発達症知的障害の名称で呼ばれていましたが、現在は知的発達症と呼ばれるようになりました。論理的思考、問題解決、計画、抽象的思考、判断、などの知的能力の困難性、そのことによる生活面の適応困難によって特徴づけられます。程度に応じて軽度、中等度、重度に分類されます。ASD(自閉スペクトラム症)自閉症、高機能自閉症、広汎性発達障害、アスペルガー(Asperger)症候群などのいろいろな名称で呼ばれていたものがまとめて表現されるようになりました。ASDはAutism Spectrum Disorderの略。ADHD(注意欠如・多動症)注意欠陥・多動性障害の名称で呼ばれていましたが、現在はADHD、注意欠如・多動症と呼ばれるようになりました。ADHDはAttention-Deficit Hyperactivity Disorderの略。ADHDはさらに、不注意優勢に存在するADHD、多動・衝動性優勢に存在するADHD、混合に存在するADHDと呼ばれるようになりました。今までの「ADHD~型」という表現はなくなりましたが、一部では現在も使われています。SLD(限局性学習症)LD、学習障害、などの名称で呼ばれていましたが、現在はSLD、限局性学習症と呼ばれるようになりました。SLDはSpecific Learning Disorderの略。
2023年04月07日自己肯定感が高い広汎性発達障害(自閉スペクトラム症)のある娘広汎性発達障害(自閉スペクトラム症)のある娘は、4月から中学1年生になりました。これは娘が小4~小6のときのお話です。娘は小さいころから自己肯定感が高く、「自分はできる!」という気持ちが強い子どもでした。私たち夫婦は、娘に発達障害があると分かってから、自分に自信をなくしたり、他人と比べて落ち込んだりしないように、育ててきました。「発達障害があっても、引け目を感じることがない」「あなたには、あなたの良さがある」と声をかけていました。Upload By SAKURA元々、特性上周りをみないところがあるので、自分と他人を比べることはなく、純粋な性格が影響してか、自己評価の高い子どもになりました。しかし、成長するにつれ、この接し方が、悪い方に影響するようになってきました。耳から聞いたことを、覚えておくのが苦手。娘は、情報を耳で聞き、頭で処理する力が弱いという特性があります。そのため、口頭で指示を出しても、記憶に定着せず、すぐに忘れてしまうことが頻繁にあります。Upload By SAKURA言われたことを思い出した瞬間、「またやっちゃった!」「なんで私はこうなの!?」と過剰に反省し、自分を責めることをするのですが…Upload By SAKURAその反省は長く続かず、数分後に同じミスを繰り返したりします。視覚から記憶するため、メモを提案するものの・・・私は視覚優先な娘に対して、「メモをとってみたら?」と何度もアドバイスをしましたが・・・Upload By SAKURAその度に娘は、「大丈夫!私、ちゃんと覚えておけるから!」と言い、メモをとることをしませんでした。私が指示を紙に書き、見せるということをしようと思えばできたのですが、ちょうどこのときは、娘の思春期&反抗期が激しかった時期で…発達外来で、先生から「自立力を伸ばすために、あーさんに決めさせてください。その結果、起きたことも自分の責任だと思ってもらいましょう」とアドバイスされたこともあって、私は、自分が手助けすることはせず、メモをとることを娘に強制することもしませんでした。Upload By SAKURAメモを取らないことで負の無限ループに…なんとかメモを取り入れてほしいという思っていた私は、無駄かもしれないと思いつつ、メモの良さ、便利さなどを話したのですが…Upload By SAKURA娘の考えを変えることはできませんでした。娘は長い期間、聞く→忘れる→激しく反省する→アドバイス→無視→聞く→忘れる…という流れを何度も繰り返しました。Upload By SAKURAその間私は、何度もイライラし、なんで!?と、娘の特性そのものを責めそうになりました。過剰に反省しながらも、自己肯定感の高い娘。「私ならそんなに自分を追い詰めるほどの失敗したら、自信がなくなるけどな・・・」と、自己肯定感が低すぎる私は、娘の行動がまったく理解できませんでした。Upload By SAKURAいつまで私はこのことを娘に言い続けなければならないのか…モヤモヤした日々が続きましたが、とうとうある日、メモをとるようになったのです!そのお話はまた別のコラムで書けたらと思います。Upload By SAKURA執筆/SAKURA(監修:鈴木先生より)自己肯定感の低い神経発達症のお子さんが多い中、親御さんに「あなたの良さがある」と育てられた娘さんは幸せだと思います。一般的にはASDのお子さんは視覚優位と言われていますが、聞いたことを忘れるのは言語性が高くないか不注意が多いかのどちらかが多いです。詳しく知りたい場合はIQテストやADHDのチェックをすることで分かることも多いので専門の医師に相談することをおすすめします。ADHDの場合はメモしてもそれすら見ないことが多く、周りから責められて自尊心が低下していきます。せっかく自己肯定感が高く育ってもASD以外の併存疾患で負のループに陥ってしまうお子さんもいますので、気になる場合は主治医に相談をしてみましょう。無限のループも原因が分かれば無限でなくなり、出口が見えてくるはずです。コラム内では、現在一般的に使用される障害名・疾患名で表記をしていますが、2013年に公開された米国精神医学会が作成する、精神疾患・精神障害の分類マニュアルDSM-5などをもとに、日本小児神経学会などでは「障害」という表記ではなく、「~症」と表現されるようになりました。現在は下記の表現になっています。神経発達症発達障害の名称で呼ばれていましたが、現在は神経発達症と呼ばれるようになりました。知的発達症(知的障害)、自閉スペクトラム症、注意欠如・多動症、コミュニケーション症群、限局性学習症、チック症群、発達性協調運動症、常同運動症が含まれます。※発達障害者支援法において、発達障害の定義の中に知的発達症(知的能力障害)は含まれないため、神経発達症のほうが発達障害よりも広い概念になります。知的発達症知的障害の名称で呼ばれていましたが、現在は知的発達症と呼ばれるようになりました。論理的思考、問題解決、計画、抽象的思考、判断、などの知的能力の困難性、そのことによる生活面の適応困難によって特徴づけられます。程度に応じて軽度、中等度、重度に分類されます。ASD(自閉スペクトラム症)自閉症、高機能自閉症、広汎性発達障害、アスペルガー(Asperger)症候群などのいろいろな名称で呼ばれていたものがまとめて表現されるようになりました。ASDはAutism Spectrum Disorderの略。ADHD(注意欠如・多動症)注意欠陥・多動性障害の名称で呼ばれていましたが、現在はADHD、注意欠如・多動症と呼ばれるようになりました。ADHDはAttention-Deficit Hyperactivity Disorderの略。ADHDはさらに、不注意優勢に存在するADHD、多動・衝動性優勢に存在するADHD、混合に存在するADHDと呼ばれるようになりました。今までの「ADHD~型」という表現はなくなりましたが、一部では現在も使われています。SLD(限局性学習症)LD、学習障害、などの名称で呼ばれていましたが、現在はSLD、限局性学習症と呼ばれるようになりました。SLDはSpecific Learning Disorderの略。
2023年04月05日「生活費がなくなったから貸して」「保険証がない」一人暮らしをしている発達障害息子発達障害の専門家が出会った子どもや大人、その保護者の抱えていたリアルな「困った!」をもとに、対応策などをドキュメントタッチで解説します。今回は、自閉スペクトラム症(ASD)と軽度知的障害のある社会人のケースです。会社に勤めて一人暮らしをしているのですが、保護者の悩みは尽きなくて…。Upload By 専門家体験談Upload By 専門家体験談Upload By 専門家体験談マンガ/カタバミ解説:支援制度の特徴を理解し利用を検討、外部との接点を増やすことも大切今回は、自閉スペクトラム症(ASD)と軽度知的障害があり一人暮らしをしているわが子を心配する保護者のエピソードをもとにマンガ化してお届けしました。このケースのように、就労し一人暮らしをしている場合、「自立してくれてうれしいけれど、何かあるたびに親を頼るのでこれからのことを考えると心配」という保護者の方もいらっしゃるかもしれません。特に、お金の管理や手続き関係、重要物の紛失などはサポートが必要な場面もあるでしょう。ここでは3つの支援を簡単にご紹介します。1.社会福祉協議会の日常生活自立支援事業今回のマンガでご紹介した制度です。社会福祉協議会に連絡し、相談・打ち合わせ、支援計画の作成などを行い、契約・サービス開始となります。日常的なお金の出し入れ、契約手続き、通帳やハンコの預かりなどの支援を受けられます。2.自立生活援助自立生活援助は、2018年4月より新たに創設されました。障害のある人が一人暮らしを始めたときに、定期的な巡回訪問などを受けながら生活や健康、必要な手続きなどについて助言や支援を受けられるサービスです。まずは市町村の福祉窓口に相談します。標準利用期間は1年間ですが、さらにサービスが必要な場合は、市町村審査会の個別審査を経て、複数回の更新が認められます。3.成年後見制度障害者や高齢者など判断能力の乏しい人の法律行為や契約をサポートする制度です。すでに判断能力が不十分な場合の法定後見と、判断能力が不十分な状態になったときに備える任意後見があります。どのような制度があるのかあらかじめ知っておくことが大切です。また、地域とのつながりを増やすために、余暇活動に参加する、民生委員に早めに相談する、など外部との接点を増やしておくことをおすすめします。厚生労働省|日常生活自立支援事業コラム内では、現在一般的に使用される障害名・疾患名で表記をしていますが、2013年に公開された米国精神医学会が作成する、精神疾患・精神障害の分類マニュアルDSM-5などをもとに、日本小児神経学会などでは「障害」という表記ではなく、「~症」と表現されるようになりました。現在は下記の表現になっています。神経発達症発達障害の名称で呼ばれていましたが、現在は神経発達症と呼ばれるようになりました。知的発達症(知的障害)、自閉スペクトラム症、注意欠如・多動症、コミュニケーション症群、限局性学習症、チック症群、発達性協調運動症、常同運動症が含まれます。※発達障害者支援法において、発達障害の定義の中に知的発達症(知的能力障害)は含まれないため、神経発達症のほうが発達障害よりも広い概念になります。知的発達症知的障害の名称で呼ばれていましたが、現在は知的発達症と呼ばれるようになりました。論理的思考、問題解決、計画、抽象的思考、判断、などの知的能力の困難性、そのことによる生活面の適応困難によって特徴づけられます。程度に応じて軽度、中等度、重度に分類されます。ASD(自閉スペクトラム症)自閉症、高機能自閉症、広汎性発達障害、アスペルガー(Asperger)症候群などのいろいろな名称で呼ばれていたものがまとめて表現されるようになりました。ASDはAutism Spectrum Disorderの略。ADHD(注意欠如・多動症)注意欠陥・多動性障害の名称で呼ばれていましたが、現在はADHD、注意欠如・多動症と呼ばれるようになりました。ADHDはAttention-Deficit Hyperactivity Disorderの略。ADHDはさらに、不注意優勢に存在するADHD、多動・衝動性優勢に存在するADHD、混合に存在するADHDと呼ばれるようになりました。今までの「ADHD~型」という表現はなくなりましたが、一部では現在も使われています。SLD(限局性学習症)LD、学習障害、などの名称で呼ばれていましたが、現在はSLD、限局性学習症と呼ばれるようになりました。SLDはSpecific Learning Disorderの略。
2023年04月03日療育手帳の判定結果は「中度」知的障害、落胆して泣いた自閉スペクトラム症のある息子は、1歳ごろから「なんだか怪しい…」と感じる行動をすることが多かった。母である私は、息子が3歳になるとすぐ、療育手帳(障害者手帳)を申請した。療育手帳は、3歳をすぎないと申請できなかったからだ。療育手帳の申請は児童相談所が窓口だった。Upload By 立石美津子息子は児童相談所で検査を受けた。結果は3度(中度)の判定で「4度(軽度)ではないんだ」とショックを受けた。障害児向けの福祉サービスを受けるため、療育手帳が欲しくて自ら出向いたのにも関わらず…。児童相談所からの帰り道、駅まで泣きながら歩いたことを思い出す。1ヶ月後、療育手帳が郵送されてきた。交通機関の割引制度を利用するには、手帳を提示する必要があったが、当時の私はものすごく抵抗があったので、しばらく使うことができなかった。東京都の場合、療育手帳(愛の手帳)は知的障害の重さで4つの度数に分かれている。最重度1度…知能指数19以下重度2度…知能指数20~34中度3度…知能指数35~49軽度4度…知能指数50~75参考:対象者(愛の手帳Q&A)|東京都福祉保健局軽度の目安が、IQ75未満の自治体もある。IQ70〜75が、療育手帳がもらえるギリギリの、ボーダーラインで、IQが70〜75より高く、日常生活の能力に問題がない場合は、療育手帳の認定基準に満たないので、療育手帳はもらえない。療育手帳がもらえるかもらえないかの境界は、自治体によって異なる。療育手帳交付のボーダーラインは、IQ70が基準の自治体もあれば、IQ75が基準の自治体もある。療育手帳の再判定、結果は変わらず「3度」で中度の知的障害だった息子が18歳になり、療育手帳の成人更新をすることになった。結果は今までと同じ3度だった。少しホッとする。福祉サービスが今までと変わらず受けられるからだ。児童相談所からの帰り道、駅まで泣きながら歩いた昔と比べると、自分も随分変わったものだ。療育手帳を持っていても使うのに抵抗があった昔に比べると、持っていくのを忘れたら家に取りに戻るくらい変化した。タクシーに息子と乗ったとき「障害者手帳持っているんですけれど、持ってくるの忘れてしまいました。でも障割にしてくれますか?」と図々しく聞くくらいだ。親として成長したのか、諦めたのか、悟ったのか…。Upload By 立石美津子特別支援学校高等部時代、学校のママたちとランチした。あるママ友が呟いた。「療育手帳の成人更新で3度が4度になっちゃった~(=軽度になったこと)『3度が4度に上がりました』と担任に話したら、『そうでしたか…』複雑な表情をされて、こちらも複雑な気持ちになったよ~。」「あるあるだよね。」そんな会話が交わされる。愛の手帳が3度から4度(中度→軽度)になって本来喜ばしいことなのだろうが、それによって利用できなくなる福祉制度があるからだ。私が住んでいる自治体では、“緊急介護人制度”というのがあって、愛の手帳(療育手帳)が1度から3度だとこれを利用できる。しかし、4度だと利用できなくなる。ほかにも、一般企業の障害者雇用枠では、療育手帳の1度や2度だと、ダブルカウントされる。つまり1人雇うと2人分とカウントされるのだ。手帳の判定が変わるのは、親と嬉しくもあり、利用できる福祉サービスが減るのではと不安になることもあり、複雑な気持ちになるものだ。そして、それくらい親と一心同体になってくれる特別支援学校高等部の先生方はありがたい存在だった。「残念だ」とは決して口には出さないが、表情から、わが子のことを深く考えてくれいることは読み取れるから。障害区分認定は?療育手帳の成人更新とは別に、19歳になったら、区分認定も受けた。これは知能指数による判定ではなく、日常生活するのにどれくらい困難があるかを示す度数である。療育手帳(愛の手帳)は「1・2・3・4」と数字が上がるほど軽度ということだが、区分認定は「1・2・3・4・5・6」とあり、数字が上がるほど重く、福祉サービスは手厚くなる。逆なのだ。ややこしい!!Upload By 立石美津子当時、ママ友との会話はもっぱら…「成人更新で療育手帳は何度になった?」「区分指定は何度?」だった。成人を前にやらなくてはいけない申請も多く、何しろいろいろ難しい。経験者としていえるのは、17歳になる前くらいから、いろいろ調べておくとよいということだ。執筆/立石美津子(監修・鈴木先生より)療育手帳のボーダーラインはいつも疑問に思います。IQ69と71で何が違うのか?自治体で差がないように医師の診断書を添えて70以上でももらえるようなシステムがいいのではないかと常々思っています。IQ49と51でも同様です。中にはIQ51でも中等度の知的発達症にしてくれる児童相談所の方もおられます。そのためには、いかに生活で困っているかを保護者が児童相談所に伝えられるかどうかにかかっているようです。発達障がいは以前、軽度発達障がいと言われていました。障がいに軽度も重度もないことからスペクトラムという領域という意味の言葉が用いられ、軽度という言葉は診断名から消えました。知的発達症もいずれ軽度や重度の枠がなくなってスペクトラムとなり、みんな同じ福祉サービスが受けられる時代が来ればいいですね。コラム内では、現在一般的に使用される障害名・疾患名で表記をしていますが、2013年に公開された米国精神医学会が作成する、精神疾患・精神障害の分類マニュアルDSM-5などをもとに、日本小児神経学会などでは「障害」という表記ではなく、「~症」と表現されるようになりました。現在は下記の表現になっています。神経発達症発達障害の名称で呼ばれていましたが、現在は神経発達症と呼ばれるようになりました。知的発達症(知的障害)、自閉スペクトラム症、注意欠如・多動症、コミュニケーション症群、限局性学習症、チック症群、発達性協調運動症、常同運動症が含まれます。※発達障害者支援法において、発達障害の定義の中に知的発達症(知的能力障害)は含まれないため、神経発達症のほうが発達障害よりも広い概念になります。知的発達症知的障害の名称で呼ばれていましたが、現在は知的発達症と呼ばれるようになりました。論理的思考、問題解決、計画、抽象的思考、判断、などの知的能力の困難性、そのことによる生活面の適応困難によって特徴づけられます。程度に応じて軽度、中等度、重度に分類されます。ASD(自閉スペクトラム症)自閉症、高機能自閉症、広汎性発達障害、アスペルガー(Asperger)症候群などのいろいろな名称で呼ばれていたものがまとめて表現されるようになりました。ASDはAutism Spectrum Disorderの略。ADHD(注意欠如・多動症)注意欠陥・多動性障害の名称で呼ばれていましたが、現在はADHD、注意欠如・多動症と呼ばれるようになりました。ADHDはAttention-Deficit Hyperactivity Disorderの略。ADHDはさらに、不注意優勢に存在するADHD、多動・衝動性優勢に存在するADHD、混合に存在するADHDと呼ばれるようになりました。今までの「ADHD~型」という表現はなくなりましたが、一部では現在も使われています。SLD(限局性学習症)LD、学習障害、などの名称で呼ばれていましたが、現在はSLD、限局性学習症と呼ばれるようになりました。SLDはSpecific Learning Disorderの略。
2023年04月02日「あるような、ないような…?」小さかったころのコウのこだわりUpload By 丸山さとこ自閉スペクトラム症(ASD)の特性として主にあげられるものに、『対人関係や社会的なやりとりの困難さ』と『こだわり』があります。ですが、ASDがある息子コウについて改めて振り返ってみると、特定の大きなこだわりはパッと思いつきません。夫に聞いてみると、「こだわりは何かあった気がするんだけど、コレっていうのは思い出せないな…?」と首を傾げていたので、やはり印象に残るほどの大きなこだわりはなかったのかもしれません。にもかかわらず、なぜか私も夫も「こだわりはなかった」「こだわりに関して手を焼いたことはない」とは言えませんでした。『こだわりに関して何かあったはず』という感覚ははっきりしていたからです。具体的なエピソードは思い出せないのに『何かあった感』だけが心に残りモヤモヤしていると、うっすらと記憶がよみがえってきました。コウのこだわりで手を焼かないために、私と夫は可能な範囲で「ルーティーンになったら困ること」を避けていたのです。コウは、小学校低学年のころまでは特に『コウの中でルールとして定まったこと』へのこだわりが強くありました。それは大体において地味でささやかなものだったため、私と夫の記憶から抜け落ちやすかったのかもしれません。けれど、「当時の私と夫を振り回すには十分な『こだわり』だったな~!」と思います。ルールへのこだわりが強かったコウでした例えば、コウが保育園児のときのことです。水遊びのために靴をサンダルに履き替えさせようとしたら、靴を脱がせる段階で「くつをはかなきゃいけないんだよ~!」と泣いて抵抗され、暴れるコウを相手に汗だくになったことがありました。Upload By 丸山さとこそんな彼を取り押さえながら「サンダルに履き替える途中だから!水遊び用の靴にしよう!!」と言ったところで「『水遊びのときは必ず水遊び用の靴に履き替えないとパニックになるヤバイ前例』をつくってしまったのでは?」と気づいて、私はゾ~ッとしました。その程度には「コウの中でこだわりやルーティーンが新しく決まってしまうこと」に慎重になっていたのだな…と、今思い返して改めて気がつきました。改めて思い返さないと『慎重になっていたこと』に気づかないくらい、当時の私と夫にとって『コウのこだわりが強化されないように気をつけて過ごすこと』は当たり前だったのだと思います。『些細だけれど生活の中で困るこだわり』を避けるために気をつけていたことの一つに、『同じ道を通らない』というものがありました。同じ道を通っていると、それがルーティーンとして定着することがあります。例えば、いつも保育園への最短ルートを通っていたのですが、工事やコウが苦手なクモの巣を避けるためなどルートを変更しようとすると、コウは「保育園に行くのはこっちだよ」と言い中々動きませんでした。工事中の道に対しては看板を読み上げてコウに伝えたところ、ルートの変更を受け入れてくれました。『看板の指示に従うルール』がルーティンより優先されたのかもしれません。また、ルーティーンの変更を余儀なくさせるほど強かったクモの巣への恐怖心に対しては、コウが自ら『図鑑で知識を得る』という方法で解決してくれました。Upload By 丸山さとこある日、クモの巣をじーっと見つめていたコウは、「クモの巣はたて糸とよこ糸で性質が違う。よこ糸はくっつくけどたて糸はくっつかない。クモはたて糸の上だけを歩くので、自分の巣にくっつくことなく動くことができる」と言ってクモの巣の横を通過しました。看板や図鑑などの文字や絵図による知識は、コウにとって信頼できるものなのだな…と感じた出来事でした。こだわりで生活上困らないために心がけていたことそうして「いつものルートへのこだわりが出ると困ることもあるのだな」と気づいてからは、ときどき別の道を通って登園するようにしました。いろいろなルートを通ることにより、コウが「ほかの道でも大丈夫」と知ってくれたらいいなと思ったからです。また、コウにとって心地よいことや安心できることを探しつつ、その種類を増やすべく新しい物や行動を取り入れたり提案したりするようにしていました。こだわりの対象以外に『心地よいことや安心できること』が増えると、コウも楽なのではないか?と考えたからです。そうして選択肢や変化を取り入れようとしていた私でしたが、同時に『選択肢を絞ることや変化が少ないこと』はコウにとって安心につながるのだということは覚えておくようにしていました。Upload By 丸山さとこそれを特に強く意識させられた出来事がありました。コウが小学4年生のころ塾の説明会に親子で参加したときのことです。講師の方から「勉強をすると選択肢がたくさんになるね。勉強をしないと少なくなる。どちらがいいと思う?」と聞かれたコウは、「勉強をしない方がいいです」と答えました。「選択肢が多いのは不安だから、『これしかない』って方が安心できます」と言うのです。その理由を聞いて、私は「なるほど…コウらしいな」と納得しました。「選択肢を広げることは、コウの負担を減らすこともあれば増やしてしまうこともあるのだな」と改めて思った出来事でした。また、こだわりに関しては「大きく困らないこだわりはそのままにしておく」という方針も持っていました。例えば、前述の『クモの巣を見ると始まるコウの解説』はクモの巣を怖がらなくなってからもしばらく続きましたが、「解説を聞くだけでOKならいいか」と思い、毎日「そうだね」と相槌を打っていました。コウがクモの巣という存在を受け入れるのに必要な時間だったのか、単に飽きるまでの時間だったのか…3ヶ月ほど続いたころ、そのクモの巣解説の儀式はスーッと消えていきました。Upload By 丸山さとこ「大きく困らないこだわりであれば安心のもとになるからいいのかな?」と考えて長い間続けたルーティンには、『お弁当の中身を変えない』というものもありました。コウのお弁当は、長い間「特定のメーカーの特定の1商品のミートボール・たまごやき・ブロッコリー・菜飯のおむすび」からほとんど変わっていません。自宅で食べられるものが少し増えてからは違うおかずを入れたこともありましたが、食べたり食べられなかったりしているうちに自宅でも食べられなくなることがありました。Upload By 丸山さとこコウにとって、園や学校行事でお弁当を食べるときは、遠足や運動会など『日常ではない特別なイベント』が行われているときです。そんな日は『いつも通りのお弁当』があることが何かしら安心につながるのかもしれません。当時のコウが何を考え何を感じていたのかは分かりませんが、「多分、残さず食べられるお弁当がコウにとってはよいお弁当なんだろうな」と思い、変化のないお弁当をつくるようにしました。中学生になった現在はウインナーもハンバーグも唐揚げも野菜炒めもムシャムシャ食べるコウですが、今でも定番のおかずは飽きないと言います。そんな風にこれまであれこれと対応を考えたり試行錯誤をしたりしてきた私ですが、大体の『コウの困りごと』に対しては、伝家の宝刀『成長を待とう』で見守ることにしています。「いやいや、これは見守ってる場合じゃなくない!?」ということも多々ありますが、できる限りの対応をしたあとは、もう見守るしかないことがほとんどだなと感じます。Upload By 丸山さとこ医師やスクールカウンセラーに相談をしても「本人の成長を待つしかないですね…」「前頭葉の発達待ちですね…」と返ってくることは多く、実際にそうなのだろうなと思いつつ薄目でコウを見守ることはしばしばです。これからも環境を整えたり周囲に相談したりしつつ、『こだわり』などのコウの凸凹と付き合っていけたらいいなと思っています。執筆/丸山さとこ(監修:藤井先生より)丸山さとこさんが、コウさんのこだわりと強化しないように、試行錯誤された様子がとてもよく伝わってきました。薄目で見守るという表現、とても良いですね。お子さんのペースを大切に、そのときを待つしかないといことはよくあります。こだわりを緩められるように対応できるところはしながら、あとは待つのみです。両目を大きく見開いて見ることでいろいろ気にして、焦りからお子さんのペースよりも先回りの、声かけ、手をかけることより、ときを待つのはもどかしいと感じる部分もあるかもしれません。遠回りに思えるかもしれませんが、お子さんの育ちを信じて待つ、とても大切ですね。コラム内では、現在一般的に使用される障害名・疾患名で表記をしていますが、2013年に公開された米国精神医学会が作成する、精神疾患・精神障害の分類マニュアルDSM-5などをもとに、日本小児神経学会などでは「障害」という表記ではなく、「~症」と表現されるようになりました。現在は下記の表現になっています。神経発達症発達障害の名称で呼ばれていましたが、現在は神経発達症と呼ばれるようになりました。知的発達症(知的障害)、自閉スペクトラム症、注意欠如・多動症、コミュニケーション症群、限局性学習症、チック症群、発達性協調運動症、常同運動症が含まれます。※発達障害者支援法において、発達障害の定義の中に知的発達症(知的能力障害)は含まれないため、神経発達症のほうが発達障害よりも広い概念になります。知的発達症知的障害の名称で呼ばれていましたが、現在は知的発達症と呼ばれるようになりました。論理的思考、問題解決、計画、抽象的思考、判断、などの知的能力の困難性、そのことによる生活面の適応困難によって特徴づけられます。程度に応じて軽度、中等度、重度に分類されます。ASD(自閉スペクトラム症)自閉症、高機能自閉症、広汎性発達障害、アスペルガー(Asperger)症候群などのいろいろな名称で呼ばれていたものがまとめて表現されるようになりました。ASDはAutism Spectrum Disorderの略。ADHD(注意欠如・多動症)注意欠陥・多動性障害の名称で呼ばれていましたが、現在はADHD、注意欠如・多動症と呼ばれるようになりました。ADHDはAttention-Deficit Hyperactivity Disorderの略。ADHDはさらに、不注意優勢に存在するADHD、多動・衝動性優勢に存在するADHD、混合に存在するADHDと呼ばれるようになりました。今までの「ADHD~型」という表現はなくなりましたが、一部では現在も使われています。SLD(限局性学習症)LD、学習障害、などの名称で呼ばれていましたが、現在はSLD、限局性学習症と呼ばれるようになりました。SLDはSpecific Learning Disorderの略。
2023年04月01日「世界自閉症啓発デー」とはUpload By 発達ナビニュース2007年の国連総会で、毎年4月2日を「世界自閉症啓発デー」とすることが定められました。国連加盟国では、自閉症(自閉スペクトラム症/ASD)についての理解が進むように意識啓発の取り組みを行うよう求められています。日本では、4月2日から4月8日は発達障害啓発週間となっています。自閉症(自閉スペクトラム症)についての認知は、日本でもここ最近高まってきています。しかし、今もなお偏ったイメージを持っていたり、正確ではない情報が存在しています。自閉症(自閉スペクトラム症)の研究は現在も続いていますが、はっきりとした原因はまだ特定されていません。何らかの脳機能の障害であると考えられており、しつけや愛情不足など育て方が直接の原因ではないといわれています。自閉症(自閉スペクトラム症)のある子どもは、さまざまなこだわりを持っていることが多いです。また、感覚過敏や感覚鈍麻などの特性がある場合も多くあります。そのため、育てにくさを感じたり、適切な接し方が難しいと感じる保護者も少なくありません。しかし周囲の自閉症(自閉スペクトラム症)についての理解や支援が十分であれば、自閉症(自閉スペクトラム症)があっても住みやすい環境で、その人らしく充実した生活をすることができます。「世界自閉症啓発デー」は、この社会で、多くの人が自閉症(自閉スペクトラム症)への理解を深めることで、自閉症(自閉スペクトラム症)のある人を含めたすべての人が過ごしやすい世界を実現していくための日です。「世界自閉症啓発デー」には、シンボルカラーがあります。「癒やし」や「希望」などを表すブルーが、その色です。毎年4月2日は、ナイアガラの滝やピラミッドなど、世界中のさまざまなランドマークが青に染められ、また青い服を身に着けるなどの青をテーマにした啓発イベントが各国で行われます。日本でも、東京タワーやスカイツリーをはじめ、各地のシンボルとなっている建物などが、例年、青く染め上げられています。SNSを「ブルー」にそめよう!Warm Blue2023キャンペーンUpload By 発達ナビニュース4月2日には、シンボルカラーである「青い」ものを身に着けたり、ブルーにデコレーションした施設などの写真をSNSに投稿してみませんか?以下のハッシュタグをつけてぜひ投稿してください。#自閉症啓発デー #WB_2023 #2023TT #LIUB #発達ナビ投稿したブルーの写真やメッセージは、下記のSNSアカウントなどでシェアされる予定です。東京都自閉症協会twitter東京都自閉症協会facebook Blueギャラリー | 東京都自閉症協会発達ナビ連載陣にも「青」をテーマにイラストを描きおろしてもらい、SNSで発信中です。青いイラストとともに、みなさんのメッセージを添えて、ぜひシェアをしてください。多くの人たちにメッセージを伝えてみてほしいと思います!4月2日、さまざまなイベントが開催!2023年4月2日は、オンラインで、さまざまなブルーアクションを紹介する生配信が企画されています。日本各地の当事者団体や賛同する企業などの取り組みに注目です!日時:2023年4月2日17:30配信スタート(予定)司会:不破ふわお、東海林杏朱ゲスト:東ちづる、天道清貴ほか2023も企業や自治体、当事者団体、自閉症のある仲間たちなど、さまざまな参加を予定しております。また今年はウクライナ・ヘルソンの自閉症のあるご家族の団体が、世界自閉症啓発デーに向けて動画を寄せてくださったそうです。ぜひご覧ください。参考:ウクライナから届いた動画| 東京都自閉症協会参考:東京都自閉症協会コラム内では、現在一般的に使用される障害名・疾患名で表記をしていますが、2013年に公開された米国精神医学会が作成する、精神疾患・精神障害の分類マニュアルDSM-5などをもとに、日本小児神経学会などでは「障害」という表記ではなく、「~症」と表現されるようになりました。現在は下記の表現になっています。神経発達症発達障害の名称で呼ばれていましたが、現在は神経発達症と呼ばれるようになりました。知的発達症(知的障害)、自閉スペクトラム症、注意欠如・多動症、コミュニケーション症群、限局性学習症、チック症群、発達性協調運動症、常同運動症が含まれます。※発達障害者支援法において、発達障害の定義の中に知的発達症(知的能力障害)は含まれないため、神経発達症のほうが発達障害よりも広い概念になります。知的発達症知的障害の名称で呼ばれていましたが、現在は知的発達症と呼ばれるようになりました。論理的思考、問題解決、計画、抽象的思考、判断、などの知的能力の困難性、そのことによる生活面の適応困難によって特徴づけられます。程度に応じて軽度、中等度、重度に分類されます。ASD(自閉スペクトラム症)自閉症、高機能自閉症、広汎性発達障害、アスペルガー(Asperger)症候群などのいろいろな名称で呼ばれていたものがまとめて表現されるようになりました。ASDはAutism Spectrum Disorderの略。ADHD(注意欠如・多動症)注意欠陥・多動性障害の名称で呼ばれていましたが、現在はADHD、注意欠如・多動症と呼ばれるようになりました。ADHDはAttention-Deficit Hyperactivity Disorderの略。ADHDはさらに、不注意優勢に存在するADHD、多動・衝動性優勢に存在するADHD、混合に存在するADHDと呼ばれるようになりました。今までの「ADHD~型」という表現はなくなりましたが、一部では現在も使われています。SLD(限局性学習症)LD、学習障害、などの名称で呼ばれていましたが、現在はSLD、限局性学習症と呼ばれるようになりました。SLDはSpecific Learning Disorderの略。
2023年03月29日過去の自分と重なった後輩ママさんUpload By ぼさ子2023年が明けたころ、私の住む地域にも次年度小学校入学予定のお子さんに向けて入学決定通知書が届けられました。そして間もなく療育の先生から「ほぺろう君と同じ学校に入学する事が決定したお子さんを育てるお母さんがいるのですが、その方とお話してくれませんか?」という依頼が。過去に私も、身近に同じ境遇の方がいなくて「誰か先輩を紹介してほしい」と療育先にお願いした経験があったので、私でお役に立てるなら…と引き受けさせていただきました。お会いしたママさん(以下、後輩ママさん)のお子さんもほぺろうと同じく自閉スペクトラム症の診断。後輩ママさんの「私は今まで同じ境遇の人に会ったことがなかったんです」という言葉にハッとさせられました。この後輩ママさんは過去の私だと。不安感・疎外感…。「頑張らなきゃ」と感情を押し殺して毎日を乗り越える育児。自分と重なるほかの人に会ったことで「本当はいろんな感情があったんだよな…」とあふれてくるものがありました。私の居住地ではまだペアレント・メンターなどの地域内での繋がりが整備されていないので、後輩ママさんの依頼を受けたとき「よくぞ勇気を出して誰か紹介してほしいと相談してくれた」と思いました。同じ地域の先輩だからこそできる話Upload By ぼさ子後輩ママさんは進学についての不安を持っている様子で、主にほぺろうが通う特別支援学校のことや準備についての話をさせていただきました。大半の子どもたちとは違う進路に行くことによる情報の少なさ・不安感を一年前の私も抱えていたよなぁ…としみじみ。この日は、以前に私もお世話になった先輩ママさんも同席してくださっていたので、一緒に「この特別支援学校で準備する物、放課後等デイサービス、移動支援サービス、病院、この地域での療育手帳の使い方」などなどの情報を伝えました。私が話した内容はすべて かつて先輩ママさんから聞いた話の受け売りですが、過去の私は先輩ママさんにすごく救われたので同じ話をせずにはいられませんでした。先輩ママさんからもらった大切なものUpload By ぼさ子過去、それまで同じ境遇の方に会ったことのなかった私が初めて先輩ママさんにお会いしたとき、育児についてや地域ならではの情報を聞けたことももちろんすごくためになったのですが、一番良かったと思えたのが「先輩ママさんの表情を見られたこと」。このとき、先輩ママさんが不幸そうな顔をしていたら今の私とは違っていたでしょう。お子さんはほぺろうと状況が似ていたので大変な思いもたくさんしてきただろうと容易に想像できましたが、先輩ママさんの穏やかな空気から「ああ、この人は今 幸せなんだな…」と希望をもらえたことを憶えています。私は今でもここが自分のターニングポイントだったと思っています。今回後輩ママさんとお話したとき、同じ進路の子どもを持つ親として私もそんな空気感を出せていたらいいな~なんてチョッピリ意識してしまいました。後輩もいつか先輩へ。つながるバトンUpload By ぼさ子ほぺろうの人生はまだまだこれからだし、障害児育児の先輩と言うには早い私(むしろまだまだ後輩)ですが、今回自分の経験を誰かの役に立てるという機会をいただけたのは、私でも少しは成長した?次のステージに立てた?そして何より、ほぺろうの存在が意味のあるものになったという気がして感慨深かったです。闇の中にいる感覚だった時代の自分に「そんな日が来るよ」と教えてあげたい。月日を経ながら先輩ママさんと後輩ママさん両方と接することができて「これはバトンなんだ」と感じました。最後に、新しい進路を行くお子さんたち、ご入園ご入学おめでとうございます!そして ここまで頑張って育ててきた親御さんたちを褒め称えたい!みなさんにとって希望いっぱいの未来になりますように。Upload By ぼさ子執筆/ぼさ子(監修:初川先生より)特別支援学校に通う子どもを持つ先輩ママとして後輩ママさんとお話をされたのですね。情報の少なさもそうですが、保護者としての心がまえやありようについてのモデルとして、以前ぼさ子さんが助けられたように、今度はぼさ子さんが助ける側になる。ただ助けるというだけではなく、ご自身のこの1年を振り返り、ほぺろうくんやぼさ子さんの成長を感じる機会でもあり、以前お話を聞いた先輩ママの素敵だった笑顔を思い出す。なんと素敵な循環だろう、なんと素敵な機会・ご縁なのだろうと思います。いい意味での「持ちつ持たれつ」が機能しているように感じました。「あのころは私も不安だった」「後輩ママさんは過去の私だ」。日々子育てでみなさん奮闘されていることと思いますが、立ち止まって振り返ってみると、実は結構たくましく成長していたりしますよね。不安の内容や質も以前とは変わっていたり。いろいろな意味で、とても素敵なメンター経験になられたことと思います。コラム内では、現在一般的に使用される障害名・疾患名で表記をしていますが、2013年に公開された米国精神医学会が作成する、精神疾患・精神障害の分類マニュアルDSM-5などをもとに、日本小児神経学会などでは「障害」という表記ではなく、「~症」と表現されるようになりました。現在は下記の表現になっています。神経発達症発達障害の名称で呼ばれていましたが、現在は神経発達症と呼ばれるようになりました。知的発達症(知的障害)、自閉スペクトラム症、注意欠如・多動症、コミュニケーション症群、限局性学習症、チック症群、発達性協調運動症、常同運動症が含まれます。※発達障害者支援法において、発達障害の定義の中に知的発達症(知的能力障害)は含まれないため、神経発達症のほうが発達障害よりも広い概念になります。知的発達症知的障害の名称で呼ばれていましたが、現在は知的発達症と呼ばれるようになりました。論理的思考、問題解決、計画、抽象的思考、判断、などの知的能力の困難性、そのことによる生活面の適応困難によって特徴づけられます。程度に応じて軽度、中等度、重度に分類されます。ASD(自閉スペクトラム症)自閉症、高機能自閉症、広汎性発達障害、アスペルガー(Asperger)症候群などのいろいろな名称で呼ばれていたものがまとめて表現されるようになりました。ASDはAutism Spectrum Disorderの略。ADHD(注意欠如・多動症)注意欠陥・多動性障害の名称で呼ばれていましたが、現在はADHD、注意欠如・多動症と呼ばれるようになりました。ADHDはAttention-Deficit Hyperactivity Disorderの略。ADHDはさらに、不注意優勢に存在するADHD、多動・衝動性優勢に存在するADHD、混合に存在するADHDと呼ばれるようになりました。今までの「ADHD~型」という表現はなくなりましたが、一部では現在も使われています。SLD(限局性学習症)LD、学習障害、などの名称で呼ばれていましたが、現在はSLD、限局性学習症と呼ばれるようになりました。SLDはSpecific Learning Disorderの略。
2023年03月28日娘は言葉が遅い?…でも1人目が未だに喋らないので「普通」が分からないUpload By べっこうあめアマミ娘の発達に関しては、これまで特に健診等で問題を指摘されたことはありませんでした。1歳から保育園に通っていましたが、4歳の今まで、園側からも何か娘の発達について指摘されたり、療育を勧められたりしたことはありません。しかし、私は上の子どもに重度知的障害があることから、いわゆる「普通の子どもの成長」がいまいち分からず、娘の発達が本当に問題なく進んでいるのか、ずっと心配でした。私が娘の発達で何に一番ひっかかっていたかというと、言葉の発達が遅いことでした。娘は、身体の発達状況は定型発達の範囲内で、対人関係でも気になる点はなく、これといった問題行動もありません。成長していくにつれ、身の周りのことも人並みに自分でできるようになっていきましたし、息子と比べると、驚くほど成長が早いようにも思えました。しかし、唯一言葉の発達においては、同年齢の子どもたちよりぎこちない気がしていました。そして、それを決定的に感じる出来事があったのです。これはなんとかしてあげたい...!娘を療育につなげたいと思ったきっかけUpload By べっこうあめアマミ娘が2歳のある日、保育園にお迎えにいくと、玄関で娘のクラスのお友だち数人と一緒になりました。人懐っこい娘はお友だちに何か話しかけていましたが、話しかけた女の子にバッサリと「〇〇ちゃん、なにいってるかわかんない!」と言われてしまったのです。正直、娘が何を言いたかったのかは私にも分かりませんでした。私が分からないということは、2歳の女の子にも分からなくて当然です。しかし、女の子に言われた言葉を受け、しゅんと下を向いて静かになってしまった娘を見て、私はいたたまれない気持ちになりました。このことがあって、やはり娘の言葉の力をもう少し底上げして、お友だちとスムーズにコミュニケーションがとれるようにしてあげたい。娘がこんな風に悲しい思いをしなくてすむように、なんとかしてあげたいと思うようになりました。こんなとき、私の頭にパッと浮かぶのは、息子が通っていた発達支援センターです。発達支援センターは私にとって馴染みの場所だったので、先生たちも娘のことは赤ちゃんのころから「妹ちゃん」としてよく知ってくれていました。こうして私は発達支援センターに相談し、それからは娘のことで時々通うようになりました。かつて息子が通った療育施設、でも娘と息子で療育内容は全然違うUpload By べっこうあめアマミ娘は最初の1年間は、年齢や必要度などの関係から集団療育は勧められず、発達相談と個別療育での対応となりました。数ヶ月に一度発達支援センターに行き、先生に娘の様子を見てもらいながら一対一でいくつかの課題をして、最後にその日の振り返りの面談をします。その中で、やはり娘は言葉以外の日常生活のことはちゃんとできているけれど、実年齢に比べて言葉の面で遅れがみられるため、丁寧に見ていったほうがいいと言われました。具体的には・語彙が少なく、ものの名前の認識が弱いので「これ」「それ」などの便利な言葉を使いがち・言葉を違う意味で捉えていたときに修正するのが難しく、何度も伝える必要がある・数字は言えるけれど、概念としての把握はできていないなどの課題が挙げられました。これらの課題を克服していくために、年少になる次の1年はもう少し頻度が多い、月2回の集団療育に通うことになったのです。ここで、息子の療育を振り返ってみます。息子の場合は、後に重度知的障害と診断されるほど明らかな発達の遅れがあったので、療育の主な目的は身辺自立でした。必然的に療育の頻度も多く、週の半分くらいは通いました。療育の内容も、言葉を交わさなくても気持ちを伝えられることや、身辺の自立を生活の中で少しずつ進めていくことが主な目的で、発語がないお子さんも多かったです。幼稚園や保育園には通っていないお子さんもいましたし、子どもたちにとって安心できる居場所としての意味合いも大きかったように思います。対して娘の療育のクラスは頻度も少なく、あくまで生活の中心は保育園でした。保育園では学びきれないことを補う形の、お勉強や習い事に近い療育だったように思います。娘の集団療育のクラスに通うお子さんはみんな、ぎこちなさがあっても話すことができましたし、机を前に椅子に座って課題に取り組んだり、集団でルールのある遊びをしたりしていました。娘と息子、2人の療育を見てきて、ひとことで「療育」といっても本当に幅広いと感じたものです。1年が経ち、目覚ましい成長を見せた娘、療育は卒業?Upload By べっこうあめアマミ今、娘は4歳となり、この春には年中になります。1年間の集団療育を経て、大きな成長が見られました。まず、この1年でたくさんの言葉を覚え、一気に語彙が増えました。時々「そんな言葉どこで覚えたんだろう?」と思うほどです。これまで勘違いして捉えていたと思われる物の名前や言葉の意味も、かなり修正されていったように思います。そして、以前はただ数字を唱えられるだけだったのが、小さい数字なら量の把握ができるようになりました。ごはんのおかわりなどを「1たべたい」「2ほしい」などと量を指定して求めたり、みかんを1房ずつはがしてテーブルに並べ、1つずつ数えて「ぜんぶで10こ!」などと教えてくれるようになりました。このように、数字や言葉の概念の把握が進んだことで、娘との会話が成立しやすくなったと感じています。今でも会話の中で、伝えたいことがはっきり分からないことは多々ありますが、1年前と比べると確実にステップアップしていると思います。言葉が上手に扱えるようになって、お友だちのことも家でよく話してくれるようになりました。保育園生活にプラスし、細かい専門的な指導を療育で補えたことで、めざましく成長できたのかなと思います。療育のハードルはそんなに高くない、「ちょっと気になる」くらいの子どもこそ飛び込んでみては?療育になんとなく抵抗がある人の中には、「一度療育の世界に入ったらやめられない」と思う人もいるかもしれません。でも、娘はこの1年間の成長を受け、来年度は今の療育とは別の形での支援を勧められています。今より頻度を抑えた、数ヶ月に1度の発達相談と個別療育のスタイルに戻り、もっと保育園中心の生活にしていくことを提案されています。娘の今後はまだ分かりませんが、このような形で徐々に療育を卒業していく人だってたくさんいると思います。療育にはさまざまな種類がありますし、障害の有無だけで必要か不要かを判断できるものでもありません。そして、重度の障害がある息子と、障害というわけでもないけれど発達の遅れがあった娘、2人を療育に通わせて思うのは、娘のような「ちょっと気になる」くらいの子どものほうが効果が見えやすいということでした。どちらも確実に成長はしていますが、もともとの成長速度のベースが早い分、娘の成長のほうが分かりやすかったように感じます。療育はどこも待機が多く、必ずしも入れるとは限りませんが、あまりハードルを高く考えず、ちょっとでも気になることがあれば飛び込んでみるのもいいかもしれません。執筆/べっこうあめアマミ(監修:鈴木先生より)療育とは、「心と科学」です。優しい心で接してあげて最新の正しい知識を持った人々が担当するので、安心してお子さんを預けることができるのです。障がいの有無にとらわれず、困ったことがあれば遠慮なく利用したほうがいいと思います。それと同時にかかりつけの小児科医にも相談するのがいいでしょう。何かの病気が隠れていて言葉が遅れている可能性もあるからです。発熱などで混んでいる小児科外来で気軽に相談するのは難しいかもしれませんが、知識のある先生ほどきちんと話を聴いてくれます。障がいのあるお子さんだけでなく、そのご家族やきょうだい児の事情も気遣って日々診療したいと心がけています。コラム内では、現在一般的に使用される障害名・疾患名で表記をしていますが、2013年に公開された米国精神医学会が作成する、精神疾患・精神障害の分類マニュアルDSM-5などをもとに、日本小児神経学会などでは「障害」という表記ではなく、「~症」と表現されるようになりました。現在は下記の表現になっています。神経発達症発達障害の名称で呼ばれていましたが、現在は神経発達症と呼ばれるようになりました。知的発達症(知的障害)、自閉スペクトラム症、注意欠如・多動症、コミュニケーション症群、限局性学習症、チック症群、発達性協調運動症、常同運動症が含まれます。※発達障害者支援法において、発達障害の定義の中に知的発達症(知的能力障害)は含まれないため、神経発達症のほうが発達障害よりも広い概念になります。知的発達症知的障害の名称で呼ばれていましたが、現在は知的発達症と呼ばれるようになりました。論理的思考、問題解決、計画、抽象的思考、判断、などの知的能力の困難性、そのことによる生活面の適応困難によって特徴づけられます。程度に応じて軽度、中等度、重度に分類されます。ASD(自閉スペクトラム症)自閉症、高機能自閉症、広汎性発達障害、アスペルガー(Asperger)症候群などのいろいろな名称で呼ばれていたものがまとめて表現されるようになりました。ASDはAutism Spectrum Disorderの略。ADHD(注意欠如・多動症)注意欠陥・多動性障害の名称で呼ばれていましたが、現在はADHD、注意欠如・多動症と呼ばれるようになりました。ADHDはAttention-Deficit Hyperactivity Disorderの略。ADHDはさらに、不注意優勢に存在するADHD、多動・衝動性優勢に存在するADHD、混合に存在するADHDと呼ばれるようになりました。今までの「ADHD~型」という表現はなくなりましたが、一部では現在も使われています。SLD(限局性学習症)LD、学習障害、などの名称で呼ばれていましたが、現在はSLD、限局性学習症と呼ばれるようになりました。SLDはSpecific Learning Disorderの略。
2023年03月24日もうすぐ年長なのに…自閉スペクトラム症(ASD)と知的発達症のある子ども発達障害の専門家が出会った子どもたちや、その保護者の抱えていたリアルな「困った!」をもとに、対応策などをドキュメントタッチで解説します。みなさんは音楽療法やホースセラピーをご存じでしょうか。今回は、自閉スペクトラム症(ASD)と知的障害のある子どものエピソードをお届けします。Upload By 専門家体験談Upload By 専門家体験談Upload By 専門家体験談解説:医療と連携した療育の重要性、音楽療法とホースセラピー(乗馬療法)今回は、自閉スペクトラム症(ASD)と知的発達症のある子どもの癇癪やパニック、人に向かって物を投げるなどの他害、発語や身辺自立に悩む保護者の視点でお届けしました。知的発達症のある子どもは、赤ちゃんのころから筋肉の緊張が弱い「低緊張」が多く見られます。神経発達症(発達障がい)や知的発達症がある子どもを、療育に通わせている保護者の方も多くいらっしゃることと思います。大切なのは、医療と連携した療育を行い、定期的な診察を行って療育の効果を確認することです。同時に、私たち医師や療育に携わる人たちは、お互いに連携し合い、最新の知識を取り入れることが大切です。今回ご紹介した音楽療法やホースセラピーの期待される主な効果は次のとおりです。音楽療法・情緒の安定や自己コントロールを促す・コミュニケーションやソーシャルスキルトレーニングになる・「音楽が終わったらやめようね」という声がけで「時間の感覚」や「切り替え」を身につけることにより、癇癪や人に向かって物を投げるなどの他害行動を抑える・片足立ちや平均台を歩くことで小脳を鍛えてバランスのいい姿勢がとれるようになる・小脳を鍛えることでADHD(注意欠如・多動症)の症状改善にアプローチできるホースセラピー(乗馬療法)・人と馬が一体となって、馬の気持ちも考えて乗馬することで相手の気持ちを考えられるようになる・脳性麻痺やフロッピーインファント(※)の子どもも両側で支えながら乗馬することで、骨盤や体幹のバランスを鍛え良い姿勢がとれるようになる(※)筋緊張低下により、抱いたときにグニャグニャする乳児の総称
2023年03月21日自閉症・情緒障害特別支援学級を選んで太郎は、4歳のころに自閉スペクトラム症の診断を受けている。小学校入学を目前に、私は不安がたくさんあった。太郎が今までと違う環境にどのような反応を示すのか、担任の先生はどういう対応をされる方なのか。太郎が通うことになる自閉症・情緒障害特別支援学級は、ちょうど太郎が入学する年に発足とするとのこと。学校側の自閉スペクトラム症への理解はどこまであるのだろうか。小学校へ入学する前に太郎の特性などプロフィールに記載し提出はしたけれど、ドキドキと不安に不安が重なっていた。Upload By まゆんあんまり不安がっても仕方がない、なるようになるさという気持ちで行こうと思っても私の不安はふくらんでいった。小学校から突然の電話Upload By まゆん記憶は定かではないが、3月の終わりか4月の初めに学校から電話が入った。4月から自閉症・情緒障害特別支援学級の担任を務めるという先生からの電話だった。先生はまず自己紹介をされた。特別支援学級で教えるための勉強をして資格を取り、今年から発足する情緒級の担任になったということだった。通常学級での指導経験も長いようで、先生の自己紹介と説明からは児童を思う明るさと優しさ、真剣さを感じた。そして最後に提案をされた。「ご都合が大丈夫で、ご家庭でもお気持ちがあれば、入学式の練習をしに来られませんか?」先生の提案は心に刺さった。強要でもなく、提案であり私たちのことを考えていることが分かったからだ。先生も太郎をひと目みたいという気持ちもあったのかもしれないが、この提案が不安な気持ちであふれていた私の心にはズバっと刺さった。Upload By まゆん返事はもちろん、「ぜひともよろしくお願いします!」だった。太郎はなんのことか理解していなかったが拒否なく「行く」と答えた。提案された練習日は、入学式の前日。体育館で待ち合わせだった。体育館はすでに会場設営されており入学式の雰囲気が漂っていた。保護者や在校生がいない代わりに学校の先生が数人いた。すでに先生たちの心遣いに目頭が熱くなる私がいた。そして担任の先生が笑顔で私たちの前に現れた。「こんにちは」長い黒髪の先生だった。私「こんにちは」太郎「こんにちは」ここからが先生と太郎の数年間の始まりとなった。Upload By まゆん太郎は緊張しながら先生のゆっくりとした説明や仕草を見ていた。説明後入学式の練習へと移った。私と数人の先生は体育館で待機し、担任の先生と太郎は体育館の外へ出た。そして「新入生入場」のアナウンス後に、入場曲が流れた。担任の先生を先頭に太郎も入場してきた。緊張してる様子で右肩が上がっていたが、落ち着いて先生の後ろをついて行き自分の席へ着席することができた。Upload By まゆん先生はその姿をみてうなずき、練習は終わった。練習後、私だけではなく3人とも安心した顔になっていたことが記憶に残っている。太郎は本番の入学式でも緊張してはいたものの、固まることや動き回ることもなく先生の後ろを右肩上げて練習通りに歩くことができていました。前日の入学式の練習は、私と太郎に大きな安心と自信を与えてくれました。また、先生と前日にコミュニケーションをとれたため、太郎の特性や太郎の雰囲気を分かってもらう良い場になったと思ってます。入学後も、催しがある前などに先生と電話でこまめに連絡を取ることがありました。1年生のころは週に一回は電話で情緒の共有や方向性を考えていた記憶があります。教育者、保護者、本人が考える方向性を共有することが教育の場面で重要になるのだな、とも感じた時期でした。執筆/まゆん(監修:初川先生より)入学式、そしてそこから始まる小学校生活は期待とともに不安も高まるかもしれないですね。今回、まゆんさんのお子さんは自閉症・情緒障害特別支援学級に入学するということで、担当される先生から入学式前日に練習することをご提案されたのですね。お子さん本人も、保護者の方も、そして先生方にとっても、練習して見通しを立てたり、お子さん・先生がどんな方かお互いに知っておけたりすることで、安心して本番に臨むことができますね。新奇が苦手なお子さんにとってはとてもよい機会になると思います。さて、これは特別支援学級に限ったことではないとも思います。通常学級に入学される方でも同様の手立てを取っていただくことは案外多いように思います。新入生保護者会前後から春休み期間で、例えば就学支援シート(お子さんにとってどんな支援があるといいか、在籍園や保護者の方、療育機関などで記入したもの)を提出するなど、学校と事前に面談に行く場合は、「新しい場面が苦手」であることを伝えると、練習しましょうかという話が出てくることはあると思います。また、保護者の方から、お子さんの特性を説明して、「可能なら、入学式の会場ができあがったあとで、子どもと体育館を見せていただけないか」と聞いてみると、承諾してもらえることもあるように思います。担任の先生を事前に伝える(事前に会う)ことは難しいことも多いかと思いますが、会場を見ること、当日使用するトイレを下見すること、1年生の教室のフロアをさらっと見せていただくことなどはできることがあると思います(※最終的には学校の判断なのでできない場合もあるかもしれませんが…)。先生方も、お子さんや保護者の方にとって小学校の入学式が一生に一度しかない特別なものであることはよく分かっていらっしゃり、入学式がよき一日となり、そこから始まる新生活へ弾みをつけてほしいと願っているように思います。ご心配な方は4月の頭までの間で、小学校に面談や相談をしてみてもいいかもしれません(ただし、繰り返しますが、できるかどうかは小学校の判断になります。さまざまな事情で受け入れが困難な場合もあるので、それも含みおいてお問合せをしてみていただければと思います)。コラム内では、現在一般的に使用される障害名・疾患名で表記をしていますが、2013年に公開された米国精神医学会が作成する、精神疾患・精神障害の分類マニュアルDSM-5などをもとに、日本小児神経学会などでは「障害」という表記ではなく、「~症」と表現されるようになりました。現在は下記の表現になっています。神経発達症発達障害の名称で呼ばれていましたが、現在は神経発達症と呼ばれるようになりました。知的発達症(知的障害)、自閉スペクトラム症、注意欠如・多動症、コミュニケーション症群、限局性学習症、チック症群、発達性協調運動症、常同運動症が含まれます。※発達障害者支援法において、発達障害の定義の中に知的発達症(知的能力障害)は含まれないため、神経発達症のほうが発達障害よりも広い概念になります。知的発達症知的障害の名称で呼ばれていましたが、現在は知的発達症と呼ばれるようになりました。論理的思考、問題解決、計画、抽象的思考、判断、などの知的能力の困難性、そのことによる生活面の適応困難によって特徴づけられます。程度に応じて軽度、中等度、重度に分類されます。ASD(自閉スペクトラム症)自閉症、高機能自閉症、広汎性発達障害、アスペルガー(Asperger)症候群などのいろいろな名称で呼ばれていたものがまとめて表現されるようになりました。ASDはAutism Spectrum Disorderの略。ADHD(注意欠如・多動症)注意欠陥・多動性障害の名称で呼ばれていましたが、現在はADHD、注意欠如・多動症と呼ばれるようになりました。ADHDはAttention-Deficit Hyperactivity Disorderの略。ADHDはさらに、不注意優勢に存在するADHD、多動・衝動性優勢に存在するADHD、混合に存在するADHDと呼ばれるようになりました。今までの「ADHD~型」という表現はなくなりましたが、一部では現在も使われています。SLD(限局性学習症)LD、学習障害、などの名称で呼ばれていましたが、現在はSLD、限局性学習症と呼ばれるようになりました。SLDはSpecific Learning Disorderの略。
2023年03月14日たくさんの人の目が気になるお葬式で問題行動だらけのわが子葬儀では、普段顔を合わせることが無い人たちがたくさんいるし、みんな黒い服で静かな独特な雰囲気があります。そんな中、幼い子どもと一緒に参列するというだけでも大変なのに、発達障害のあるわが子が長い時間耐えられるわけもなく、会場では人前で床にゴロンと寝転んでしまったり、大きな声を出してしまったり、走って祭壇の物を触りに行こうとしたり、蝋燭の火を吹き消そうとしたりなど、それはそれは大変なことばかりでした。Upload By みんでもまだ「Pには障害があります」とはハッキリと言えない時期だったので、障害を理由に言い訳をするわけにもいかなかったし、「まだ小さいから仕方ないね」「悪戯をしたい時期だよね」と周りの人たちには思ってはもらえていたかもしれませんが、「躾のできていない子」だと誰かに思われていたとしても仕方ないなと思っていました。でも人の視線を気にしてばかりでは私自身の心がもたないので、せめて近しい人たちには私の不安を知っておいてもらいたいと思い、Pには発達障害の疑いがあることを簡単に話はしていました。そして退席しやすい位置に座らせてもらい、何かあったら無理をせずに退室するようにしていました。Upload By みん退室してからは会場を歩いたり、控室で過ごしたり、それでもまだ人目が気になるときは駐車場へ行き車の中で過ごしていました。絵本やシールブック、音の鳴らないおもちゃをたくさん用意して持って行っていたのでそれらで遊ばせたり、飲食が可能な場所ならお菓子やジュースを与えたりして何とか時間を潰していました。Upload By みん人の目が気になるなら、自分たちのほうからその場を離れる葬儀中はヒヤリとしたこともたくさんありましたが、できるだけ癇癪を起こさないようPに無理をさせないことが1番でした。誰かに話しかけられても無視をしてしまったり、大人しく座ることもできなかったけれど、それならもうその場から離れるようにすることが私にとっても1番でした。今回は幼いころ冠婚葬祭に出席した話をしましたが、今後もそういう機会はあると思います。Pの身体が大きくなった今、冠婚葬祭の場ではPの言動は目立ってしまうこともあるかもしれませんが、そんなときは家族や周りの人たちに少しでも理解してもらい、決して無理はせずに参列できればと思います。執筆/みん(監修:鈴木先生より)葬儀への参列に関するコラムは、発達ナビでもほかにいくつか掲載されています。別のケースでは参列せず引き返したということもありました。今回は何とか参加できたので素晴らしいことだと思います。それにはみんさんがP君の好きなおもちゃを持参したこと、そして何よりもずっと参列するのではなく、退室しやすい位置に座り無理せずに控室で過ごせたことが良かったのだと思います。事前にVTRでどういったことをやるか予習させることも重要ですが、全ての時間参加することは不可能に近いので今回のように退室しやすい(例えば最後列の)座席に参列することが重要です。学校の座席でも廊下側の最後列にいたほうが自由に特別支援学級へ出入りできるのです。コラム内では、現在一般的に使用される障害名・疾患名で表記をしていますが、2013年に公開された米国精神医学会が作成する、精神疾患・精神障害の分類マニュアルDSM-5などをもとに、日本小児神経学会などでは「障害」という表記ではなく、「~症」と表現されるようになりました。現在は下記の表現になっています。神経発達症発達障害の名称で呼ばれていましたが、現在は神経発達症と呼ばれるようになりました。知的発達症(知的障害)、自閉スペクトラム症、注意欠如・多動症、コミュニケーション症群、限局性学習症、チック症群、発達性協調運動症、常同運動症が含まれます。※発達障害者支援法において、発達障害の定義の中に知的発達症(知的能力障害)は含まれないため、神経発達症のほうが発達障害よりも広い概念になります。知的発達症知的障害の名称で呼ばれていましたが、現在は知的発達症と呼ばれるようになりました。論理的思考、問題解決、計画、抽象的思考、判断、などの知的能力の困難性、そのことによる生活面の適応困難によって特徴づけられます。程度に応じて軽度、中等度、重度に分類されます。ASD(自閉スペクトラム症)自閉症、高機能自閉症、広汎性発達障害、アスペルガー(Asperger)症候群などのいろいろな名称で呼ばれていたものがまとめて表現されるようになりました。ASDはAutism Spectrum Disorderの略。ADHD(注意欠如・多動症)注意欠陥・多動性障害の名称で呼ばれていましたが、現在はADHD、注意欠如・多動症と呼ばれるようになりました。ADHDはAttention-Deficit Hyperactivity Disorderの略。ADHDはさらに、不注意優勢に存在するADHD、多動・衝動性優勢に存在するADHD、混合に存在するADHDと呼ばれるようになりました。今までの「ADHD~型」という表現はなくなりましたが、一部では現在も使われています。SLD(限局性学習症)LD、学習障害、などの名称で呼ばれていましたが、現在はSLD、限局性学習症と呼ばれるようになりました。SLDはSpecific Learning Disorderの略。
2023年03月13日娘の食事中の姿勢の悪さが気になる!自閉スペクトラム症(広汎性発達障害)の診断を受けている小6の娘。食事中、テーブルに近すぎてよくコップを倒してしまうので食事中の姿勢が気になっているのですが、アドバイスをしてもこだわりからか聞いてくれず…。そんな悩みを児童精神科医の三木崇弘先生に聞いてみました!――SAKURA(以下、――)夫が気になっているということで、食事中の姿勢について質問です。娘は普段特別姿勢が悪いということではないのですが…食事をするときに、ものすごく机に近づいてしまいます。三木先生:具体的に、どういう感じですか?――えーっと…椅子、娘、机のそれぞれの距離が、全くないぐらいですね。Upload By SAKURA――私は、そこまで気になっていないのですが、夫は、明らかに違和感のある姿勢を、どうにかしたいということでした。三木先生:その姿勢でなにか生活に支障はありますか?――机に近すぎるので、手が動かしにくいようで…よく食べ物をこぼしたり、コップを倒してしまったりしてます。あまりに近すぎるので、「机とお腹を拳一個分離して」と具体的に指示してますが、どうにも落ち着かないようで、結局、元の姿勢にすぐ戻ってしまいます。本人のこだわりなのか「これじゃ無理!やりにくい!できない!」と言ってます。でも、その状態だと一つひとつの動きが遅くなります。Upload By SAKURA三木先生:例えば、食器を離してみるなどはどうでしょうか?――やってみましたが、食器を離すと、結局気になるようで、すぐに近づけてしまいます。Upload By SAKURA三木先生:ASDの特性的に、お腹に机がくっついている状態、全部が近い状態が、安心するのかもしれませんね。コップを倒したりするのも、たまになら許容範囲と言うことでよい気がしますが…――あ、結構頻繁です(笑)三木先生:なるほど(笑)マナー的な部分を教えていくと良いかもしれませんね。どんな場所とか、どんな相手とか、「そういうときにはちゃんとしようね」と話していくのもいいかもしれません。相手があーさんの姿勢の悪い状態を見たり、頻繁にものをこぼしたり、倒したりしたら、どう思うかとか、自分の姿勢優先じゃなくて、そのシーンによって臨機応変に対応しないといけないことがあるという部分を教えていくとか。今、小学6年生ということなので、「中学生になったら、大人の仲間入りだから、素敵な姿勢がかっこいいよ」といった声かけで、姿勢も意識させたらいいのかもしれません。Upload By SAKURA――あ、たしかに!今、大人と同じ扱いをしてほしいって気持ちがあるみたいなので、いいかも…!姿勢の悪さは体幹も関係してるかも?三木先生:あと…姿勢が悪いのは、体幹が弱いのかもしれません。――体幹!たぶん弱いです…運動も嫌いで、筋力もないので(笑)Upload By SAKURA三木先生:体幹が弱いと、姿勢を維持できないので。バランスをとることが重要なスポーツにチャレンジしてもいいかもしれませんね。乗馬や、サーフィンなどが姿勢にいいと言われていますが、なかなかチャレンジさせるのは難しいので、バランスボールなども家で手軽にできてオススメです。Upload By SAKURA運動で体幹を鍛えれば少しずつ姿勢なども変わっていくかもしれません。あとは本人の試行錯誤ですね。原因として怪しいものからトライしていくといいです。――なるほど!やってみます!Upload By SAKURA執筆/SAKURAコラム内では、現在一般的に使用される障害名・疾患名で表記をしていますが、2013年に公開された米国精神医学会が作成する、精神疾患・精神障害の分類マニュアルDSM-5などをもとに、日本小児神経学会などでは「障害」という表記ではなく、「~症」と表現されるようになりました。現在は下記の表現になっています。神経発達症発達障害の名称で呼ばれていましたが、現在は神経発達症と呼ばれるようになりました。知的発達症(知的障害)、自閉スペクトラム症、注意欠如・多動症、コミュニケーション症群、限局性学習症、チック症群、発達性協調運動症、常同運動症が含まれます。※発達障害者支援法において、発達障害の定義の中に知的発達症(知的能力障害)は含まれないため、神経発達症のほうが発達障害よりも広い概念になります。知的発達症知的障害の名称で呼ばれていましたが、現在は知的発達症と呼ばれるようになりました。論理的思考、問題解決、計画、抽象的思考、判断、などの知的能力の困難性、そのことによる生活面の適応困難によって特徴づけられます。程度に応じて軽度、中等度、重度に分類されます。ASD(自閉スペクトラム症)自閉症、高機能自閉症、広汎性発達障害、アスペルガー(Asperger)症候群などのいろいろな名称で呼ばれていたものがまとめて表現されるようになりました。ASDはAutism Spectrum Disorderの略。ADHD(注意欠如・多動症)注意欠陥・多動性障害の名称で呼ばれていましたが、現在はADHD、注意欠如・多動症と呼ばれるようになりました。ADHDはAttention-Deficit Hyperactivity Disorderの略。ADHDはさらに、不注意優勢に存在するADHD、多動・衝動性優勢に存在するADHD、混合に存在するADHDと呼ばれるようになりました。今までの「ADHD~型」という表現はなくなりましたが、一部では現在も使われています。SLD(限局性学習症)LD、学習障害、などの名称で呼ばれていましたが、現在はSLD、限局性学習症と呼ばれるようになりました。SLDはSpecific Learning Disorderの略。
2023年03月08日「クレーンではなく言葉で伝えてくれたら…」自閉スペクトラム症のある子どもの保護者発達障害の専門家が出会った子どもたちや、その保護者の抱えていたリアルな「困った!」をもとに、対応策などをドキュメントタッチで解説します。今回は、ほぼ発語がない自閉スペクトラム症(ASD)のある子どもとのコミュニケーションの悩みにまつわるエピソードです。Upload By 専門家体験談Upload By 専門家体験談Upload By 専門家体験談マンガ/taeko解説:クレーンも言葉も、コミュニケーション手段の一つーー言語聴覚士今回は、自閉スペクトラム症(ASD)のある子どもとのコミュニケーションに悩む保護者のエピソードをもとにマンガ化してお届けしました。発達障害のある子どもの保護者の方から「クレーンではなく、言葉で伝えられるようになってほしい」というご相談をよくいただきます。マンガでも描いていますが、大切なのは「クレーンも指さしも言葉も、コミュニケーション手段の一つである」という考え方です。ポイント1.今、子どもが手段としているコミュニケーションを受け入れるポイント2.子どものコミュニケーションについて、場面と手段を整理して、伝えたい意図を確認する例えば、場面:お腹が空いている手段:保護者の手を取って冷蔵庫の前に誘導するなど。ポイント3.指さしや発語といったコミュニケーションにつなげるために、同じ物を見て、ことばで伝えることや顔(表情や口形)への注目の機会を増やす同じ物を見て言葉を伝えたり、物を指さしながら名前をはっきり言って口の動きを見せるようにしましょう。ポイント4.絵カード等を活用することで、要求やコミュニケーションにつなげていくマンガのように、物が近くにない場合にも伝える手段として有効です。コラム内では、現在一般的に使用される障害名・疾患名で表記をしていますが、2013年に公開された米国精神医学会が作成する、精神疾患・精神障害の分類マニュアルDSM-5などをもとに、日本小児神経学会などでは「障害」という表記ではなく、「~症」と表現されるようになりました。現在は下記の表現になっています。神経発達症発達障害の名称で呼ばれていましたが、現在は神経発達症と呼ばれるようになりました。知的発達症(知的障害)、自閉スペクトラム症、注意欠如・多動症、コミュニケーション症群、限局性学習症、チック症群、発達性協調運動症、常同運動症が含まれます。※発達障害者支援法において、発達障害の定義の中に知的発達症(知的能力障害)は含まれないため、神経発達症のほうが発達障害よりも広い概念になります。知的発達症知的障害の名称で呼ばれていましたが、現在は知的発達症と呼ばれるようになりました。論理的思考、問題解決、計画、抽象的思考、判断、などの知的能力の困難性、そのことによる生活面の適応困難によって特徴づけられます。程度に応じて軽度、中等度、重度に分類されます。ASD(自閉スペクトラム症)自閉症、高機能自閉症、広汎性発達障害、アスペルガー(Asperger)症候群などのいろいろな名称で呼ばれていたものがまとめて表現されるようになりました。ASDはAutism Spectrum Disorderの略。ADHD(注意欠如・多動症)注意欠陥・多動性障害の名称で呼ばれていましたが、現在はADHD、注意欠如・多動症と呼ばれるようになりました。ADHDはAttention-Deficit Hyperactivity Disorderの略。ADHDはさらに、不注意優勢に存在するADHD、多動・衝動性優勢に存在するADHD、混合に存在するADHDと呼ばれるようになりました。今までの「ADHD~型」という表現はなくなりましたが、一部では現在も使われています。SLD(限局性学習症)LD、学習障害、などの名称で呼ばれていましたが、現在はSLD、限局性学習症と呼ばれるようになりました。SLDはSpecific Learning Disorderの略。
2023年03月06日ADHDと自閉スペクトラム症(ASD)傾向のある娘わが家には、ADHDと自閉スペクトラム症(ASD)の傾向がある長女(現在は成人しています)と、重度知的障害がある次女がいます。今回は、長女の小学校での出来事をお話しします。長女は、発達障害の正式な診断は受けていませんが、小さいころからコミュニケーションが苦手で、「空気が読めない」ことがたびたびありました。次女と一緒に発達支援施設に通いながら、先生方に成長をサポートしていただき、地元の公立小学校の通常学級に入りました。行き渋りなどもなく元気に通っていたのですが…。小学5年生に進級したばかりのころ。担任の先生が授業の終わりに、「今日の授業がつまらなかった人は手を挙げてください」と問いかけたそうです。もちろん先生が冗談で言っていることを理解して同級生は誰も手を挙げなかったのですが、長女だけが素直に手を挙げてしまいました。それをきっかけに、担任の先生から無視をされるようになり、クラスの中でもいじめられるようになってしまったのです。Upload By ユーザー体験談中学校進学への不安、発達支援施設の先生に相談をするとなぜ、先生はそんな問いかけをしたのでしょう。小学校生活は残り2年あります。そして、このまま同級生たちと同じ公立中学校に進学したらどうなってしまうのだろうか…。不安で仕方がありませんでした。そこで、次女がお世話になっていた発達支援施設の先生に相談をしました。すると、「私立の中学校のなかには、発達障害などの特性がある子どもを受け入れていて、対応にも慣れている学校があるのではないか」とアドバイスをいただきました。「私立中学校という選択肢があるのか!」私たち夫婦は目からうろこでした。当時住んでいた地域には私立中学校がほとんどなく、中学校受験をすることなど考えたこともありませんでした。Upload By ユーザー体験談ただ夫婦で相談し、「このままではいけない」という思いに突き動かされて、急いで情報を集めました。今はインターネットで発達障害などがある子どもへの支援体制、保護者からの評判なども容易に調べられる時代ですが、当時は頼れるものといえば本のみ。塾も比較したりはできず、家から一番近いところに通うことにしました。あとから知ることになるのですが、中学校受験の準備を小5から始めるのは、かなりギリギリでした。それでも、長女がその気になってくれたのが救いでした。一緒に学校見学にも行って、「楽しそう!ここに通いたい!」と思えたことが、さらなるやる気を引き出してくれたように思います。Upload By ユーザー体験談中高一貫校に進学し、家族で引っ越しもそうして、なんとか中高一貫校の女子校に合格することができました。夫婦で心からホッとしたのを覚えています。それを機に、家族で引っ越しもして、まさに心機一転。つらい思いをした長女の環境を大きく変えることができました。進学した中学校の面談では、先生が「大丈夫ですよ」「同じようなお子さんもいらっしゃいますよ」と言ってくださったので、特性も含めて娘のことを受け止めてもらえているという安心感がありました。好きなことを見つけて大学にも進むことができ、6年間、長女を支えてくれた先生方や友達に感謝しています。Upload By ユーザー体験談もちろん、小学校のときも長女の特性を理解し、対応してくれた先生もいたのだろうと思います。ただ、本当に一つの出来事をきっかけに、学校生活が一変してしまいました。受験準備や引っ越しなど大変なこともありましたが、娘の話を聞いて早めの決断ができて本当に良かったです。その後は高校、大学受験をし、社会人となりました。現在も空気が読めないなどの特性はあるものの、支援を使いながらも家を出て生活をしています。これからも自立した生活ができるように、何かあるときには影ながらサポートなどをしていければと思っています。イラスト/taekoエピソード参考/booskaコラム内では、現在一般的に使用される障害名・疾患名で表記をしていますが、2013年に公開された米国精神医学会が作成する、精神疾患・精神障害の分類マニュアルDSM-5などをもとに、日本小児神経学会などでは「障害」という表記ではなく、「~症」と表現されるようになりました。現在は下記の表現になっています。神経発達症発達障害の名称で呼ばれていましたが、現在は神経発達症と呼ばれるようになりました。知的発達症(知的障害)、自閉スペクトラム症、注意欠如・多動症、コミュニケーション症群、限局性学習症、チック症群、発達性協調運動症、常同運動症が含まれます。※発達障害者支援法において、発達障害の定義の中に知的発達症(知的能力障害)は含まれないため、神経発達症のほうが発達障害よりも広い概念になります。知的発達症知的障害の名称で呼ばれていましたが、現在は知的発達症と呼ばれるようになりました。論理的思考、問題解決、計画、抽象的思考、判断、などの知的能力の困難性、そのことによる生活面の適応困難によって特徴づけられます。程度に応じて軽度、中等度、重度に分類されます。ASD(自閉スペクトラム症)自閉症、高機能自閉症、広汎性発達障害、アスペルガー(Asperger)症候群などのいろいろな名称で呼ばれていたものがまとめて表現されるようになりました。ASDはAutism Spectrum Disorderの略。ADHD(注意欠如・多動症)注意欠陥・多動性障害の名称で呼ばれていましたが、現在はADHD、注意欠如・多動症と呼ばれるようになりました。ADHDはAttention-Deficit Hyperactivity Disorderの略。ADHDはさらに、不注意優勢に存在するADHD、多動・衝動性優勢に存在するADHD、混合に存在するADHDと呼ばれるようになりました。今までの「ADHD~型」という表現はなくなりましたが、一部では現在も使われています。SLD(限局性学習症)LD、学習障害、などの名称で呼ばれていましたが、現在はSLD、限局性学習症と呼ばれるようになりました。SLDはSpecific Learning Disorderの略。
2023年03月04日外出は苦難。だけどご近所さんにバーベキューに誘われて…ほぺろうは現在、特別支援学校に通う小学1年生。今でこそ経験を重ねて少しずつ改善してきたものの、もっと小さなころは場所見知りが壮絶で外出するのも苦難でした。一般的に子どもが喜びそうな場所やイベントに遊びに行くなんてとても無理。泣いて暴れて収拾がつかなくなり、逃げるように帰るのが常。ほぺろうが3歳のとき、良かれと思ってチャレンジした動物園も、遠路はるばるやって来て入園できたと思ったら大号泣!…結局、入園料だけ支払って即また遠路はるばる帰宅したという記憶があります。Upload By ぼさ子そんなほぺろうが就園し年中になったある日、私たち家族はご近所さんからバーベキューのお誘いを受けました。しかし、お誘いを受けてもほぺろうの事情で参加することは難しい。「子どもはみんな泣くもの。大丈夫!ほぺろう君 連れておいで~」と優しく言ってくださるが、ご近所さんが想像する「泣く」とほぺろうのものは絶対違う。みなさんを困惑させ迷惑をかけてしまうことが目に見えていたのでバーベキューをお断りしました。が、しかし…。ご近所さんを見送ったあと、私たち夫婦は自分たちの対応を思い出して落ち込みました。言葉で説明するのが難しいほぺろうの状態。親切で誘ってくれる相手から見たら、頑なに断るわが家の態度はワケが分からなかっただろうと。そんなつもりはないのに輪に入ることを拒絶しているように見えたのではないかと…。ご近所さんにほぺろうのことを口頭では説明していたけど、実際に様子を見てみないと障害の程度や事情は伝わりにくいのだと悟ったのと同時に、伝わらないままだと「ワケの分からない家族」として孤立してしまう気がして、それはほぺろうのために良くないと反省しました。Upload By ぼさ子ほぺろうを見てもらおうと決意した夫婦会議当時は、今よりさらにほぺろうの困りごとが激しかったので、人を避けたいという気持ちがなかったと言えばウソになります。でも、中途半端にほぺろうを人から遠ざけたままでは周囲から心配や誤解を招く可能性があると考え直しました。今後どうしていこうか夫婦で会議したときの夫の言葉が印象的でした。「ご近所さんにはちゃんとほぺろうを見てもらった方がいい。『自閉スペクトラム症があります』だけでは普通は伝わらない。どんな子どもか知ってもらった上で受け入れてくれる人がいればありがたいし、逆に抵抗のある人がいれば距離を置くように配慮しよう」「迷惑をかけるのは生きている限り避けられないだろう。でも、ご近所さんには知ってもらおう…」Upload By ぼさ子人への挨拶を大切にしてきた私たち夫婦ですが、ほぺろうの癇癪が酷くなってからというもの「迷惑かけないために」と ほぺろうを遠ざけるように即撤退することが多くなっていました。でも、ほかの場所ではそれで良くても、長期的に考えると『生活圏』でこのままの状態は良くない。なぜなら、人を避けてばかりだと不可解さで周りに不安を与えてしまい、その結果ほぺろうの印象が悪くなる可能性もある。保育園や学校は数年で卒業するけど家はずっと暮らす場所。ここで暮らしていくほぺろうのことを考えると、口で説明するだけではなく私も勇気を出してもっとほぺろうの様子をご近所さんに見てもらおうと思いました。これだけは!親子で頑張って参加する行事それからは、相変わらずお出掛け的なイベントには行かないわが家ですが、ゴミ拾いや花火大会など町内行事だけは積極的に家族で参加するようになりました。ほぺろうが場所見知り人見知りしてパニックになるのでご迷惑をお詫びしつつ途中リタイアがほとんどですが、5分だけでも顔を出すところから始めて、少しずつ滞在時間を延ばしていっています。Upload By ぼさ子自宅=生きていく場所ほぺろうを知ってもらうことで優遇してほしいとか可愛がってほしいとか、ましてや発達障害について勉強してほしいとかでは決してありません。ただ「こういう子どもなんだな~」とフンワリとでも思ってもらえたらありがたいのです。ほぺろうが生きていくための居場所とは…と考えたとき、「自宅」のウエイトは非常に重い。ほぺろうもご近所さんもお互いが気持ち良く暮らせるには?と思うと「少しでもほぺろうをオープンにすること」「親である私たち夫婦が周りに不安を与えない、話しかけやすい雰囲気をつくる」ことを心がけています。特別な行為ではありませんが、小さな積み重ねでほぺろうが社会の一員に加えてもらえたらと願って。ほぺろうが小学生になった現在、いまだに「ご近所さんに障害が十分伝わった」というワケではないし、理解を押しつけようとも思いません(逆の立場で考えてみても、難しさを感じます)。でも年月が経ち、最初は顔を出すだけでも大変だったほぺろうがご近所さんの顔を覚えてきて、相変わらずコミュニケーション取れないまでもリラックスしてその場にいられるようになってきました。夏に開催された花火大会では、小学1年生にしてやっと!最後まで泣かずにその場に居続けることができました。わが家に一番近いお宅の方は 泣き暴れの激しい時代からほぺろうのことを見てくれていました。ずいぶん騒音で迷惑をかけてしまったり心配させてしまったりしたはずなのに、「今日のほぺろう君、最後までいられてスゴイ!成長したね」「これからも一緒に楽しめたらうれしい」と言ってくださって、私は目頭が熱くなりました。ずっと見守っていてくださったんだなぁ…と感謝せずにいられません。Upload By ぼさ子執筆/ぼさ子(監修:新美先生より)場所見知り・人見知りが強かったり、多動・癇癪などが強いお子さんの場合、お子さんにつらい思いをさせたくない気持ち、目立ちたくない、とがめられたくない、そもそも大変すぎて疲れるという親の気持ち両面から、人が集まる場を避けるようになることはありますよね。そういう中で、ご夫婦で話し合い、地域の中で生きていくためにも、少しずつ慣れていこうと決めて出ていかれたというエピソードは大変に勉強になりました。ありがとうございます。おそらくご夫婦で話し合って決めて、協力して連れていかれたというところが鍵なのかなと思います。エピソードにあったような5分だけでも連れて行って、あとのお仕事はご主人に任せて子どもは奥さんが連れてささっと帰るというように、外担当と子ども担当をわけて協力されるのはいいなと思いました。そういったことを積み重ねて、お子さんもだんだん慣れて、ご近所さんにも知ってもらえるというのは理想ですね。余裕がないときはそこまでできないと思うこともあるかもしれませんが、ご家族で協力してできることであれば、地域に出ていくことも大事ですね。コラム内では、現在一般的に使用される障害名・疾患名で表記をしていますが、2013年に公開された米国精神医学会が作成する、精神疾患・精神障害の分類マニュアルDSM-5などをもとに、日本小児神経学会などでは「障害」という表記ではなく、「~症」と表現されるようになりました。現在は下記の表現になっています。神経発達症発達障害の名称で呼ばれていましたが、現在は神経発達症と呼ばれるようになりました。知的発達症(知的障害)、自閉スペクトラム症、注意欠如・多動症、コミュニケーション症群、限局性学習症、チック症群、発達性協調運動症、常同運動症が含まれます。※発達障害者支援法において、発達障害の定義の中に知的発達症(知的能力障害)は含まれないため、神経発達症のほうが発達障害よりも広い概念になります。知的発達症知的障害の名称で呼ばれていましたが、現在は知的発達症と呼ばれるようになりました。論理的思考、問題解決、計画、抽象的思考、判断、などの知的能力の困難性、そのことによる生活面の適応困難によって特徴づけられます。程度に応じて軽度、中等度、重度に分類されます。ASD(自閉スペクトラム症)自閉症、高機能自閉症、広汎性発達障害、アスペルガー(Asperger)症候群などのいろいろな名称で呼ばれていたものがまとめて表現されるようになりました。ASDはAutism Spectrum Disorderの略。ADHD(注意欠如・多動症)注意欠陥・多動性障害の名称で呼ばれていましたが、現在はADHD、注意欠如・多動症と呼ばれるようになりました。ADHDはAttention-Deficit Hyperactivity Disorderの略。ADHDはさらに、不注意優勢に存在するADHD、多動・衝動性優勢に存在するADHD、混合に存在するADHDと呼ばれるようになりました。今までの「ADHD~型」という表現はなくなりましたが、一部では現在も使われています。SLD(限局性学習症)LD、学習障害、などの名称で呼ばれていましたが、現在はSLD、限局性学習症と呼ばれるようになりました。SLDはSpecific Learning Disorderの略。
2023年02月24日自閉症娘、1歳の誕生日を境にいきなり偏食に娘のまゆみには自閉スペクトラム症と知的障害の診断がついています。離乳食が始まった生後5ヶ月ごろはなんでもよく食べてくれたので特に気にすることもなく離乳食をあげていましたが、生後8ヶ月ごろになると突然ベビーフードを一切受けつけなくなりました。それでも手づくりすれば肉も野菜も食べてくれていたのですが、1歳の誕生日を迎えた直後から特定のものしか食べてくれなくなり、「なんで急に?」「栄養が偏ってしまうのでは?」と不安に駆られました。Upload By にれまゆみの食べてくれるものを探る日々「もしかすると味の好みが出てきて、今までの食事には満足しなくなったのかもしれない」と思った私は、とにかくまゆみの食べられるものを探してさまざまなメニューを試してみることにしました。レトルトやベビーフードは完全拒否なのでイチからつくるのですが、元々あまり料理が得意ではない私はかなり頑張らないといけませんでした。いろいろ試行錯誤する中、手づくりのチキンナゲットなら食べてくれることが分かり、一番心配だった「タンパク質不足」の問題は少し和らぎました。しかし、四苦八苦してつくった料理は一口も食べられずに残されることがほとんどで、段々と精神的につらくなってしまい…頑張ってつくっていた料理も品数が減っていき、そのうち白米とチキンナゲットに果物を添えただけの「まゆみ定食」がわが家の定番になりました。市の栄養士さんにも相談しましたが、「今は食事の楽しさを教えたい時期なので、無理に食べさせる必要はない」という回答。少しホッとはしたものの、栄養の偏りを心配する私の不安は解消されず、「どうしたらお肉や魚を食べてくれるの?」と悶々とした日々が続きました。2歳、食べられるものに変化が。きっかけはファーストフードのフライドポテト2歳過ぎになり、出掛けた先で食べたファーストフード店のフライドポテトを何気なくまゆみに渡してみたときのことです。なんと、まゆみが「もっともっと」と手振りでおねだりをしてきたのです。それを機に、家で揚げたポテトも食べてくれるようになりました。「どこまでがまゆみの許容範囲なのか?」を見極めたくなった私は、皮つきのままのくし型ポテトや、小判状にしたハッシュドポテトや、青のりで「のり塩味」にしたポテトをまゆみに出してみましたが、どれも気にせずパクパク食べている様子を見て「ジャガイモを使えばいろいろ食べられるかも!」と希望が膨れ上がりました。マッシュポテトにいろいろ混ぜ込んでみては「まゆみが妥協して食べてくれるライン」を探っていった結果、チーズ・ホウレン草・シラス・栄養補助粉末を練りこんで揚げ焼きにした『特製ポテトお焼き』が誕生しました。「これさえ食べてくれれば少し気がラク」というメニューができて、うれしいというよりもホッとした気持ちになったのを覚えています。Upload By にれ2歳10ヶ月、食事に関する勉強を始めてまゆみに自閉スペクトラム症と知的障害の診断がついたことをきっかけに、食育についてちゃんと学びたいと思った私は乳幼児食指導士の資格を取りました。食事環境や栄養バランスの大切さを学び、発達障害児の偏食に対してもアプローチ方法を学ぼうといくつかの本で知識を得た中、まゆみに有効な方法が3つありました。1.熱々のまま出すこと、2.素材別に分けて出すこと、3.調理に参加させてみることです。Upload By にれ1については、思えばまゆみは冷めたものは食べようとしない子どもでした。これまではうどんを食べている途中でも麺が熱くなくなったら席を立っていましたが、冷めた時点でもう一度温めると食事を再開してくれるようになりました。2、3は根本が同じところから来ているようで、まゆみは料理の成り立ちについて自分の中で納得がいくと食べやすくなるようでした。それまで「手の込んだ料理ほど食べないのはなぜ?」と不思議に思っていたのですが、一品の中に多く素材が使われている料理は元の素材がイメージしづらいために、まゆみの目には「得体のしれないもの」と映っていたのかもしれません。今でも食べられないものの方が多いですが、素材別に分けて盛ったり、一緒に料理をすることで「元の素材が何か」が分かって食べてくれやすくなりました。3歳、お弁当を持って療育へ行くようになってさらに変化がまゆみが3歳になるころ、単独通所の療育に通い始めました。お弁当を持っていき、先生がマンツーマンでついてくださって一緒にお昼を食べるのですが、療育先からお弁当づくりで出された条件が2つありました。1.食べきれる量であること、2.本人の苦手なものを何か一品入れることです。1は完食して褒められることが達成感につながり食事に前向きになるため、2は自宅外で母親以外の人と食事することで食べられるようになる食材があるかもしれないため、との理由です。また、苦手なものを選ぶポイントは、「絶対にこれは嫌いだろう」というものではなく、「食べず嫌いで敬遠しているけれど味は気に入るかもしれない」というラインのおかずを選ぶことです。先生方の頑張りと、まゆみ自身の頑張りによって、通い始めた当初よりも食べられるおかずが増え、4歳になった今ではお弁当に持たせるとハンバーグ、焼き魚、お好み焼き、煮物、ピーマン、ミニトマト、枝豆なども食べてくれるようになりました。中にはかなり苦戦するものもあるようですが、先生に励まされるとまゆみも頑張って口に入れてくれるそうです。偏食について思うことUpload By にれ一時はまゆみの健康を思ってノイローゼ気味になるほど悩んだ偏食問題ですが、発達障害のある子どもは何かしらの理由があって食べられないものがあるということを知り、今は「野菜を食べないなら果物からビタミンを取ればいい」「肉を食べないなら唯一食べられる焼き鮭でタンパク質を補えばいい」とゆるく考えるようになりました。不思議なことに、そう考え始めてからの方がブロッコリーやキュウリ、焼き鯖やマグロカツ、エビフライなど食べられるものの幅が広がりました。食べないだろうと決めつけず、また無理に食べさせようともせず、「食卓に出ているものを期待せずすすめる」というスタンスにして私も肩の力が抜けたのが良かったのかもしれません。親が手を加えることで食べられない理由が解消されて食べられるようになるものならラッキーで、まゆみは基本的に食べないものは食べないのです。食べられる食材が増えてきた今だからこそそう思えるのかもしれませんが、偏食についてはまゆみの「食べたい」「食べたくない」に寄り添いつつ、「これもどう?」とゆるくすすめ続けていきたいと思います。執筆/にれ(監修:初川先生より)偏食をめぐるにれさんの奮闘の歴史をありがとうございます。お子さんの偏食に悩む保護者の方は多くいらっしゃることと思います。研究の歴史を読んでいるのかと思うほどに整理され、なんと素敵な試行錯誤なのだろうかと思いました。にれさんほどには実験的に突き詰めて考えることはなかなかできずとも、トライアンドエラーをするにあたっての着眼点や親としての心構えなど、参考になったと思われる方も多いのではないでしょうか(私もなるほどと思いながら読みました)。ASD(自閉スペクトラム症)のあるお子さんですと、口の中の食感が混ざっているとそれを気持ち悪いと感じる場合がある(だから混ぜご飯やサンドイッチは、一緒に一口で口に入れるより、それぞれ食べたほうが食べやすい)など、さまざまな経験則や知見も蓄積されてきていますね。調理した挙句に、知らない姿で出てくるよりも、その過程を見せてあげると安心して口に運べるというのも、見通しがないと行動しづらいという特性的な面との整合性もあり、いかにしてお子さんが安心して食べるかが大事であるんだなと感じます。頑張ってつくった食事を食べてくれないのは、そこに他意はないと分かっていても、保護者としてはつらくなりますね。「食べられないものがある」、ただそれだけで、それ以上に過剰な意味づけをせず(例 「お母さんのことが好きじゃないから食べたくない」のではない)、お子さんの食行動の育ちを見守っていただければと思います。コラム内では、現在一般的に使用される障害名・疾患名で表記をしていますが、2013年に公開された米国精神医学会が作成する、精神疾患・精神障害の分類マニュアルDSM-5などをもとに、日本小児神経学会などでは「障害」という表記ではなく、「~症」と表現されるようになりました。現在は下記の表現になっています。神経発達症発達障害の名称で呼ばれていましたが、現在は神経発達症と呼ばれるようになりました。知的発達症(知的障害)、自閉スペクトラム症、注意欠如・多動症、コミュニケーション症群、限局性学習症、チック症群、発達性協調運動症、常同運動症が含まれます。※発達障害者支援法において、発達障害の定義の中に知的発達症(知的能力障害)は含まれないため、神経発達症のほうが発達障害よりも広い概念になります。知的発達症知的障害の名称で呼ばれていましたが、現在は知的発達症と呼ばれるようになりました。論理的思考、問題解決、計画、抽象的思考、判断、などの知的能力の困難性、そのことによる生活面の適応困難によって特徴づけられます。程度に応じて軽度、中等度、重度に分類されます。ASD(自閉スペクトラム症)自閉症、高機能自閉症、広汎性発達障害、アスペルガー(Asperger)症候群などのいろいろな名称で呼ばれていたものがまとめて表現されるようになりました。ASDはAutism Spectrum Disorderの略。ADHD(注意欠如・多動症)注意欠陥・多動性障害の名称で呼ばれていましたが、現在はADHD、注意欠如・多動症と呼ばれるようになりました。ADHDはAttention-Deficit Hyperactivity Disorderの略。ADHDはさらに、不注意優勢に存在するADHD、多動・衝動性優勢に存在するADHD、混合に存在するADHDと呼ばれるようになりました。今までの「ADHD~型」という表現はなくなりましたが、一部では現在も使われています。SLD(限局性学習症)LD、学習障害、などの名称で呼ばれていましたが、現在はSLD、限局性学習症と呼ばれるようになりました。SLDはSpecific Learning Disorderの略。
2023年02月22日子どもの寝つきが悪い…これって睡眠障害?睡眠にまつわるギモン自閉スペクトラム症やADHDなどの発達障害がある場合、睡眠障害を併存していることがあります。睡眠の問題の背景には、何かしらの障害が関係していることがありますが、睡眠の相談を医療機関ですることを知らず、長年悩みを抱えてしまう方もいるという現状があります。発達ナビQ&Aコーナーでも、子どもの睡眠に関する心配や、睡眠障害へのギモンが数多く寄せられています。「赤ちゃんのときから寝つきが悪く、朝起きられません。来年には中学生になりますが、どのようにサポートしたらいいでしょうか」「5歳すぎてもまとまって寝ないのは、発達障害が関係しているのでしょうか」「みなさんは眠れていますか?眠れないときはどうしたらいいのでしょうか」「日中に寝てばかりの息子がいます。服薬をしていますが効果がありません」これらは、発達ナビのQ&Aコーナーに実際に書き込まれた、睡眠にまつわる悩みです。このコラムでは、睡眠のなぜ?から、発達障害と睡眠障害の関わり、服薬についてなど、体験談や、専門家の先生のアドバイスを交えてご紹介します。睡眠障害とは、眠りに何らかの問題がある状態のことをいいます。子どもの睡眠障害にはいくつか種類があります。・不眠症…寝つきが悪い、眠りが浅く途中で何度も目が覚めてしまう、朝早く起きてしまう、眠りの質が悪いなど、睡眠が十分でない状態・過眠症…夜ちゃんと寝ているはずなのに、日中あらがえないほど眠い状態・概日リズム睡眠障害…昼夜のリズムと体内時計がうまく合わず、調節できなくなって睡眠リズムがくずれてしまい、社会生活に支障をきたす状態・いびき・睡眠時無呼吸症候群(SAS)…子どもの場合、いびき、無呼吸の主な原因は、鼻づまりやアデノイド・口蓋扁桃(こうがいへんとう)といったのどや鼻の奥のリンパ組織の肥大で、物理的に気道が狭まること。また、肥満で気道が狭くなることも・むずむず脚症候群(レストレスレッグス症候群)…脚などの下肢がむずむずするなど動かしたい強い衝動がある状態・睡眠関連律動性運動異常症…乳幼児期から4歳くらいまでの時期で発症する睡眠障害。頭を左右に振ったり、前後に強く動かすなどする。9ヶ月の子どもでは59%に見られるほど、乳児期には非常に多い症状だが、5歳前後には5%以下に・睡眠時随伴症…睡眠中に生じるねぼけ、夜尿、歯ぎしり、悪夢などの身体的現象の総称子どもは、新生児期には昼夜を問わず短い睡眠・覚醒を繰り返しますが、乳児期から夜間睡眠が中心になり、3歳から6歳になるころには昼寝をとらなくなるなど睡眠リズムが徐々に確立していきます。赤ちゃんの眠りはまだ眠りが浅く、夜泣きをすることも多くあります。幼児期(3歳から6 歳ごろ)までに浅い眠りと深い眠りのサイクルが大人と同様のリズムに移行していきます。そのため、幼児期になっても睡眠に何らかの問題がある場合、改善の必要があるといえます。発達障害と睡眠障害の関連は?睡眠障害は、発達障害の併存症として認められることが多いといわれています。睡眠障害が発達障害を引き起こすという意味ではありませんが、発達障害の特性により、睡眠になんらかの問題が出てしまうことが主な原因です。乳幼児期の睡眠は脳の発育にも関わるため、睡眠障害が長引くこと自体が睡眠不足や生活リズムが乱れて悪循環を生み、子どもの心身の発育に影響している可能性も否定できません。自閉スペクトラム症がある子どもは音や光などに対する感覚が過敏なため、覚醒しやすいといわれています。また、睡眠に関係するメラトニン生成や、セロトニンからメラトニンにいたる代謝経路の障害が関係しているのではないかと考えられています。そのため、自閉スペクトラム症のある子どもの睡眠の問題には、なかなか寝つけない、入眠することができない、 夜中に起きて騒いでしまう、ちょっとしたことで起きてしまうなどが多くあります。ADHDの特徴には不注意・多動性・衝動性があります。ある調査ではADHDのある子どもの入床への抵抗、入眠の困難、中途覚醒、起床の困難、日中の過剰な眠気がある子どもが多い傾向があるという結果があります。また、ADHDのある人の脳には脳内の神経伝達物質であるセロトニンに偏りが生じているともいわれています。そのため、セロトニンを原料としてつくられるメラトニンという体内時計をコントロールするホルモンにも偏りがでてしまうため、不眠や概日リズム睡眠障害に陥りやすいのではないかと考えられています。参考:子どもの睡眠亀井雄一、岩垂喜貴 |保健医療科学2012 Vol.61 No.1 p.11-17Q:来月から6年生になる男の子の母です。ADHDの子は寝ない子・寝付きが悪い子が多いと言われていますが例にもれずうちも小さい頃から寝付きが非常に悪く、そして寝ると朝本当に起きられません少し前までおやすみをした後隠れてタブレットで動画見てたりしていたので没収しました・・・携帯は夜間ロックをかけています。普段は自分の携帯のアラームをかけさせていますが、全く起きず叩いても起きず、ベッドから引きずり降ろしてようやく起きます体も大きくなってきたので正直この起こし方が最近本当に大変です・・・。(中略)同じようなお子さんお持ちの親御さん、どのような対策とられてますか?病院にかかってみた方がいいのかな?と思ったこともありますこちらの質問には以下のような回答が寄せられました。A:息子もADHDとASDです。赤ちゃん時代は、眠りが浅い子でした。幼少期も夜驚や寝言が多かったです。それほど深刻には考えていなかったのですが、高学年になっても寝相がかなり悪く、主治医に相談し、メラトベルと言う睡眠ホルモンの薬を試してみました。(中略)朝起きられない問題は、コロナ禍で生活リズムが不規則になった頃からです。やはり、就寝前の電子機器の使用で就寝時間は徐々に遅くなり、22時半頃になることもあります。朝は休日でも8時起床にしていますが、息子もなかなか起きられません。自分の力で起床することが、自立の一歩だと思っているので、スマホのアラームやAlexaなど工夫して平日は一人で起きるようにしています。寝坊した場合は、就寝時間を早めるように促しています。熟睡できている事が前提だと思うので、1度主治医に相談してみては?違う切り口からの回答なんですが、職場で専門機関監修の睡眠改善セミナーを受けた中で使えそうなテクニックをいくつか。・睡眠環境を整える→寝室に光源を極力置かない。ダウンライトなどを活用。就寝中は家電のランプも塞ぐ(専用シールとかあります)→窓の隙間も塞ぐ。暗幕の活用→温度湿度の管理、寝具、パジャマの見直し(大人もついでにやってみては)・寝る前のスマホテレビ、照明→理想は1時間前にやめる。→リビングが調光できるならば、夕食前あたりから外に合わせて光量も落とす。・朝起きた時の楽しみを作る→朝飲む飲み物を少しリッチにする、朝ごはんへの投資、早起きして好きな映画を見るなど。(弟はゲーム時間確保のために早起きしてました)環境改善は一緒に寝てるのであれば親御さんの睡眠にも作用するのでおすすめです。年齢的にもう別々でしょうか?個人的には「朝起きる目的」があるパターンが学童期は一番効いたなと思います。私自身も見たいアニメがある、夏のラジオ体操でコンプリートして記念品もらいたい、という俗物的な目標があった方が起きてました。参考になれば幸いです。このように発達ナビQ&Aコーナーでは、疑問を投稿すると、ほかのユーザーの方が実体験をもとに回答してくれます。聞いてみたい質問があれば、ぜひ投稿してみてください!【小児科医に聞く】睡眠の大切さ、子どもの睡眠問題、何科を受診すればいい?、発達障害と睡眠障害の関わり、服薬のギモン、睡眠障害がある子どもへの対応などここまで発達ナビのQ&Aコーナーに寄せられたギモンを中心にご紹介しました。ここからは、小児科医の藤井明子先生に子どもの睡眠の重要性、受診のタイミング、睡眠障害がある子どもへの対応、服薬のギモンについてお答えいただきます。A:睡眠には「脳を休める」ノンレム睡眠と、「体を休める」レム睡眠があります。ノンレム睡眠時には、大脳を休めるだけでなく、成長ホルモンが分泌され、脳内の神経ネットワーク形成や細胞の修復、骨・筋肉形成が行われます。また、免疫機能・代謝機能が増強され、疲労の回復に役立っています。レム睡眠時には、脳は活発に活動し夢を見ることが多いですが、全身の筋肉は緩んで、体は休んでいます。睡眠の時間が短い、質が悪いなどで、睡眠の役割が十分に果たされないと、子どもの心身の成長や発達に影響が及ぶとされています。Upload By 発達障害のキホンA:かかりつけの小児科でまずは相談してみましょう。小児科医は、病気のことだけでなく、お子さんの生活全般、生活習慣についてのお困りごとにも対応することが可能です。すでに寝る前の工夫をとられていることもあるかと思いますが、お子さんが寝ないと、保護者も眠れず、親子共に疲弊していることもあります。少しでも工夫できることがないか、一緒に小児科医と考えていけると良いと思います。Upload By 発達障害のキホンA:いろいろ対策をしても寝つきが悪いようなら、受診して相談してみても良いでしょう。1〜2歳のお子さんの寝つきの悪さなら時間と共に改善する可能性もありますが、5歳であると睡眠覚醒リズムが確立される年齢なので、睡眠障害があるのかもしれません。ASDの特性もあるような気がするとのことなので、併せて相談されると良いでしょう。Upload By 発達障害のキホンA:受診すると、必ず薬が処方されるというわけではありません。まずは、睡眠リズムを作るための生活習慣の見直しをおこなっていきます。例えば、布団に入る1時間前のテレビ・インターネットなどは控える。休日・平日関わらず一定の時間に起きる、入眠までにすることの手順を同じ手順で同じ時刻に行うなどです。生活習慣の見直しをおこなっても改善しない場合に、薬の内服も検討します。発達障害に伴う入眠困難なお子さんへは、メラトニン受容体作動性入眠改善薬(一般名:メラトベル)を使用することがあります。メラトニンは、体内時計に働きかけ、睡眠と覚醒を切り替えて、眠りを促す作用があります。Upload By 発達障害のキホンA:易刺激性の薬とは、ASDに対するかんしゃくや、それに伴う暴言・暴力に対する薬のことだと思います。睡眠障害があるお子さんで、易刺激性に対する薬を使用することはあります。薬を使うことで、気持ちが安定し、入眠しやすくなることがあります。副作用として、眠気・だるさ、食欲増進を認めることがあります。主治医の先生と相談しながら、適切な効果のある量を調整していく必要があります。薬は、副作用と効果のバランスを見て、効果がある場合には続けていくと良いでしょう。長期に飲み続けて、依存性のでる薬ではないので、効果がある場合には続けて、適切な睡眠習慣をつくることができると良いと思います。Upload By 発達障害のキホンA:生活リズムの乱れは、抑うつやイライラといった気分の悪さと関連していることが指摘されています。睡眠リズムを取り戻すためには、朝に起きて光を浴びることから始めましょう。ベットを日当たり良い場所に移動し、毎日同じ朝の同じ時間にカーテンを開けて日光が入るようにして、刺激を多くしましょう。朝ごはんを食べることも、リズムをつくる上で大切です。食事が食べられなくても、少量のお湯などを経口摂取することから始めても良いです。午前中の生活を正してから、入眠前の工夫をしていきましょう。テレビや携帯電話、パソコンの使用は、入眠前1〜2時間は控えていきましょう。Upload By 発達障害のキホンA:ナルコレプシーは過眠症の一つで、オレキシン神経系の機能障害が原因です。日中の居眠りだけでナルコレプシーと診断できず、睡眠日誌をつけ、終夜睡眠ポリグラフィ、反復入眠潜時検査を受ける必要があると思います。ナルコレプシーを積極的に疑う場合には、睡眠外来を受診することをお勧めします。しかし、睡眠外来に受診すべきがどうか迷われる場合には、かかりつけの小児科に相談してみましょう。Upload By 発達障害のキホンA:起立性調節障害は、自律神経機能不全により、立ちくらみ、朝起き不良、だるさ、動悸、頭痛を認める病気です。朝起き不良だけでなく、だるさのために午前中の活動がしにくい状態になることもあり、そのため入眠困難になり、睡眠リズムの乱れにつながることもあります。起立性調節障害の治療と加えて、入眠をサポートする薬を使うこともあります。Upload By 発達障害のキホン発達障害のある子どもの睡眠にまつわるエピソード発達ナビライターの方々の睡眠にまつわるエピソードをご紹介します。子どもの成長に欠かせない「睡眠」。睡眠に関する悩みが解消しないときは抱え込まず、医療機関へ子どもの心身の成長や発達に大切だといわれる「睡眠」。しかし、いろいろと工夫してもなかなか子どもが思うように寝てくれず悩みを抱えている方も多いかもしれません。発達障害がある場合、睡眠障害を併存していることも多く、睡眠の問題は、単純に生活習慣の乱れではなく、何かしらの原因が背景にある可能性もあります。また、わが子が寝ないと、保護者も眠れず、親子共に疲弊してしまうこともあります。小児科医では、病気のことだけでなく、子どもの生活全般、生活習慣について相談することも可能ですので、心配なことがあれば、かかりつけ医に相談してみましょう。発達ナビ「Q&Aコーナー」にあなたのギモンをぜひ投稿してください今回は発達ナビQ&Aコーナーに寄せられた睡眠にまつわるギモンと小児科医の藤井先生からのアドバイスをご紹介しました。発達ナビのQ&Aコーナーに気になることを質問するとユーザーの方が経験をもとに答えてくれます。話題の質問に専門家からアドバイスともらえることも!ぜひチェックしてみてください。コラム内では、現在一般的に使用される障害名・疾患名で表記をしていますが、2013年に公開された米国精神医学会が作成する、精神疾患・精神障害の分類マニュアルDSM-5などをもとに、日本小児神経学会などでは「障害」という表記ではなく、「~症」と表現されるようになりました。現在は下記の表現になっています。神経発達症発達障害の名称で呼ばれていましたが、現在は神経発達症と呼ばれるようになりました。知的発達症(知的障害)、自閉スペクトラム症、注意欠如・多動症、コミュニケーション症群、限局性学習症、チック症群、発達性協調運動症、常同運動症が含まれます。※発達障害者支援法において、発達障害の定義の中に知的発達症(知的能力障害)は含まれないため、神経発達症のほうが発達障害よりも広い概念になります。知的発達症知的障害の名称で呼ばれていましたが、現在は知的発達症と呼ばれるようになりました。論理的思考、問題解決、計画、抽象的思考、判断、などの知的能力の困難性、そのことによる生活面の適応困難によって特徴づけられます。程度に応じて軽度、中等度、重度に分類されます。ASD(自閉スペクトラム症)自閉症、高機能自閉症、広汎性発達障害、アスペルガー(Asperger)症候群などのいろいろな名称で呼ばれていたものがまとめて表現されるようになりました。ASDはAutism Spectrum Disorderの略。ADHD(注意欠如・多動症)注意欠陥・多動性障害の名称で呼ばれていましたが、現在はADHD、注意欠如・多動症と呼ばれるようになりました。ADHDはAttention-Deficit Hyperactivity Disorderの略。ADHDはさらに、不注意優勢に存在するADHD、多動・衝動性優勢に存在するADHD、混合に存在するADHDと呼ばれるようになりました。今までの「ADHD~型」という表現はなくなりましたが、一部では現在も使われています。SLD(限局性学習症)LD、学習障害、などの名称で呼ばれていましたが、現在はSLD、限局性学習症と呼ばれるようになりました。SLDはSpecific Learning Disorderの略。
2023年02月21日発達障害の専門家が出会った子どもたちや、その保護者の抱えていたリアルな「困った!」をもとに、対応策などをドキュメントタッチで解説します。今回は、特別支援学校高等部に通う自閉スペクトラム症のある子どもの保護者が抱く、将来への不安にまつわるエピソードです。「卒業後が心配…」特別支援学校に通う自閉スペクトラム症(ASD)のある子どもの保護者Upload By 専門家体験談Upload By 専門家体験談Upload By 専門家体験談マンガ/カタバミ解説:特別支援学校卒業後の進路を検討する上で、「障害者手帳」「障害基礎年金」「家族会」がポイントに今回は、自閉スペクトラム症(ASD)のある子どもの特別支援学校高等部卒業後の就労や親なきあとを心配する保護者のエピソードをもとにマンガ化してお届けしました。このケースのように、特別支援学校卒業後の進路として就職を考えている場合は、一般就労(一般雇用または障害者雇用)や福祉的就労(就労継続支援A型または就労継続支援B型)について、事前に確認しておくことが大切です。そのほか、手帳の取得や障害基礎年金の受給についても調べておくと良いでしょう。ポイント1.知的障害がなく療育手帳を取得していない場合精神障害者保健福祉手帳を取得できる可能性があります。一般雇用だけでなく、障害者雇用枠に応募ができるなど可能性が広がりますので、一度かかりつけ医に相談してみることをおすすめします。ポイント2.障害基礎年金の受給について障害の状態などの受給要件が定められているため、「初診日や障害の状態を証明できる診断書」「障害者手帳」などを持って、年金事務所や市区町村の担当窓口で相談できます。なお、障害基礎年金における障害要件(障害等級)とは、障害の状態を分けたもので重いものから1級・2級・3級となり、1級・2級に該当すると障害基礎年金の受給が認められます。なお、この場合の障害等級とは、労災保険の障害年金のものとは違うものです。ポイント3.「家族会」に参加し情報交換をする「家族会」では、同じような悩みを持つ保護者のみなさんと交流し、情報交換をすることができます。一度探してみてはいかがでしょうか。コラム内では、現在一般的に使用される障害名・疾患名で表記をしていますが、2013年に公開された米国精神医学会が作成する、精神疾患・精神障害の分類マニュアルDSM-5などをもとに、日本小児神経学会などでは「障害」という表記ではなく、「~症」と表現されるようになりました。現在は下記の表現になっています。神経発達症発達障害の名称で呼ばれていましたが、現在は神経発達症と呼ばれるようになりました。知的発達症(知的障害)、自閉スペクトラム症、注意欠如・多動症、コミュニケーション症群、限局性学習症、チック症群、発達性協調運動症、常同運動症が含まれます。※発達障害者支援法において、発達障害の定義の中に知的発達症(知的能力障害)は含まれないため、神経発達症のほうが発達障害よりも広い概念になります。知的発達症知的障害の名称で呼ばれていましたが、現在は知的発達症と呼ばれるようになりました。論理的思考、問題解決、計画、抽象的思考、判断、などの知的能力の困難性、そのことによる生活面の適応困難によって特徴づけられます。程度に応じて軽度、中等度、重度に分類されます。ASD(自閉スペクトラム症)自閉症、高機能自閉症、広汎性発達障害、アスペルガー(Asperger)症候群などのいろいろな名称で呼ばれていたものがまとめて表現されるようになりました。ASDはAutism Spectrum Disorderの略。ADHD(注意欠如・多動症)注意欠陥・多動性障害の名称で呼ばれていましたが、現在はADHD、注意欠如・多動症と呼ばれるようになりました。ADHDはAttention-Deficit Hyperactivity Disorderの略。ADHDはさらに、不注意優勢に存在するADHD、多動・衝動性優勢に存在するADHD、混合に存在するADHDと呼ばれるようになりました。今までの「ADHD~型」という表現はなくなりましたが、一部では現在も使われています。SLD(限局性学習症)LD、学習障害、などの名称で呼ばれていましたが、現在はSLD、限局性学習症と呼ばれるようになりました。SLDはSpecific Learning Disorderの略。
2023年02月20日多動だった太郎Upload By まゆん太郎が3歳のころの保育参加。太郎は教室内での催しの際、いきなり教室を1人飛び出して大好きなお兄ちゃんがいる年長クラスへ駆け出した。その行動は注意したからといっておさまるものではないとすぐに分かった。根本的に周りの状況を理解していないのが分かった。私は一応太郎のあとを追いかけたが、私にとめられるような多動ではなかった。その後、なんとか教室へ戻って来た太郎。だが。固まる太郎Upload By まゆん次は保護者と子どもがペアになりスキンシップをとりながら運動をするという時間があった。私のところに太郎が来ないので私はポツンと座っていた。太郎はというと長机の下に隠れて黙って教室のみんなを見ていた。呼んでも、手招きしても出てこない。私とも目を合わさない。ずっと教室にいるたくさんの人をみていた。そしてそのまま固まって動かなかった。そんなとき、私の膝に保護者が保育参加に来ていない園児が座りに来た。それでも太郎は私のことを見向きもしない。Upload By まゆんつらかった。なぜつらかったのだろうか。明らかに周りと違う太郎をまだ受け入れられていなかったのかもしれない。周りとの違いを目の当たりにし衝撃を受けたのは事実であった。そして「ひとり」を感じる私がいるのに、私の存在がないかのような様子の太郎を見るのもきつかった。あまりにもつらく、当時夫に「保育参加に一緒に参加してほしい」と言ったが、夫は1度も参加することはなかった。さらに「ひとり」を感じた。Upload By まゆん感情があふれた瞬間保育参加は4ヶ月に1回ほど行なわれていた。別の保育参加の日も、太郎は変わらず自分のペースで動いていた。もうつらくて私も呆然としていた。そのとき。「太郎ちゃんママ、大丈夫?」声を掛けてくれたのはママ友だった。誰にもこのつらさを伝えられてなかったのにママ友は気づいてくれた。自分の子どもが可愛いくて、夢中で見ていたいはずなのに私のことを気にかけてくれた。Upload By まゆんそんな声かけに一気に涙があふれた。「大丈夫じゃない」「だよね、つらいよね」Upload By まゆん太郎は4歳のときに、自閉スペクトラム症の診断がおりました。3歳のころは「発達障害ではないか」という不安を感じていたものの診断前だったので周りの人にも伝えられておらず、というかまだママ友らしき人もほぼいない状態だったので相談する相手もいませんでした。みんな働いている保護者だったこと、交流の場が少なかったことも要因だったと思います。今回の「大丈夫!?」の声かけは忘れられない言葉の一つです。この一言は私をいっきに癒すものとなりました。「ひとり」を感じて、自分でもわけが分からなくなっている感情を表に出させてくれたものとなりました。その後、保護者との交流も自然と増えていき太郎について理解をしてもらうきっかけが多くなりました。そうなることで私の気持ちも楽になり、保育参加へのつらさも次第に軽減されていきました。保育参加へのつらさの原因はなんだったのか…今振り返ってみると、ほかの園児と違う行動をする太郎をどんな風にみたらいいのか分かからなかったからだと思います。どんな風に対応したらいいのか悩みました。保護者として「おちついて」と注意しなければという問題でもないし、でも周りは「なんであのお母さん自分の子どもなのに注意しないの?」なんて思われてないだろうかとか。太郎を見る目、周りの目、いろいろと悩む時期でした。(執筆/まゆん)(監修:藤井先生より)ママ友からの問いかけに「大丈夫じゃない」と言ったまゆんさんの言葉は、悩んでいるまゆんさんのSOSだったのかもしれませんね。そこから、少しずつほかの保護者さんとの交流も増え、保育参加のつらさも軽減されてよかったですね。保育参加、運動会見学、お遊戯会を見るのがつらいという相談は発達外来でもよく聞かれます。周りからどう見られているかという不安、パートナーが一緒に育児をしてくれない寂しさ、子どもの特性を受け入れいれられない自己嫌悪など、さまざまな感情が混ざっていて、親御さん自身でもどうしたら良いのか分からないということもあると思います。今回はママ友と話すことをきっかけに、感情を表に出すことができ、ご自身の気持ちの整理が少しついたのかもしれませんね。パートナー、友人、園の先生、療育先のスタッフ、主治医などに、お子さんを見ていてつらいことを話すことで、親御さん自身の気持ちが整理できて、一歩前に進むことができることがあります。コラム内では、現在一般的に使用される障害名・疾患名で表記をしていますが、2013年に公開された米国精神医学会が作成する、精神疾患・精神障害の分類マニュアルDSM-5などをもとに、日本小児神経学会などでは「障害」という表記ではなく、「~症」と表現されるようになりました。現在は下記の表現になっています。神経発達症発達障害の名称で呼ばれていましたが、現在は神経発達症と呼ばれるようになりました。知的発達症(知的障害)、自閉スペクトラム症、注意欠如・多動症、コミュニケーション症群、限局性学習症、チック症群、発達性協調運動症、常同運動症が含まれます。※発達障害者支援法において、発達障害の定義の中に知的発達症(知的能力障害)は含まれないため、神経発達症のほうが発達障害よりも広い概念になります。知的発達症知的障害の名称で呼ばれていましたが、現在は知的発達症と呼ばれるようになりました。論理的思考、問題解決、計画、抽象的思考、判断、などの知的能力の困難性、そのことによる生活面の適応困難によって特徴づけられます。程度に応じて軽度、中等度、重度に分類されます。ASD(自閉スペクトラム症)自閉症、高機能自閉症、広汎性発達障害、アスペルガー(Asperger)症候群などのいろいろな名称で呼ばれていたものがまとめて表現されるようになりました。ASDはAutism Spectrum Disorderの略。ADHD(注意欠如・多動症)注意欠陥・多動性障害の名称で呼ばれていましたが、現在はADHD、注意欠如・多動症と呼ばれるようになりました。ADHDはAttention-Deficit Hyperactivity Disorderの略。ADHDはさらに、不注意優勢に存在するADHD、多動・衝動性優勢に存在するADHD、混合に存在するADHDと呼ばれるようになりました。今までの「ADHD~型」という表現はなくなりましたが、一部では現在も使われています。SLD(限局性学習症)LD、学習障害、などの名称で呼ばれていましたが、現在はSLD、限局性学習症と呼ばれるようになりました。SLDはSpecific Learning Disorderの略。
2023年02月20日