シングルマザー・シングルファーザーの世帯(以下、ひとり親世帯)は厚生労働省の調査によると2016年時点で約142万世帯いると推計されています。ひとりで子育てと労働をする負担を軽減するためにも、様々な施策がとられています。「子育て・生活支援策」「就業支援策」「養育費確保支援」「経済的支援」の4つの柱がありますが、今回は「経済的支援」についてお伝えします。 全国一律の制度は主に2つ児童扶養手当18歳までの子ども※を養育しているひとり親世帯の母、父、祖父母等が一定の所得以下の場合に支給される手当です。対象の子どもが1人の場合、1カ月あたり43,160円~10,180円支給されます。2人目、3人目以降は金額が異なります。平成22年からは父子家庭も対象となり、約94万人がこの手当を受給しています。手当を受けるには、お住まいの市区町村の児童・こどもの福祉担当部署での手続きが必要です。 ※正確には、18歳に達する日以後の最初の3月31日までの間にある子ども、障害のある場合は20歳未満 母子父子寡婦福祉資金貸付金制度ひとり親の経済的自立の助成と生活意欲の助長を図るために、以下の12種類の貸付をおこなっています。 ①事業開始資金、②事業継続資金、③修学資金、④技能習得資金、⑤修業資金、⑥就職支度資金、⑦医療介護資金、⑧生活資金、⑨住宅資金、⑩転宅資金、⑪就学支度資金、⑫結婚資金 借り入れできる金額や返済期間は種類のよって異なります。また、保証人が設定できる場合は無利子で借りられます。借り入れをする場合には、お住まいの市区町村の福祉担当部署、または都道府県の福祉事務所でのお手続きが必要です。 新型コロナウイルスに対する対策も確認新型コロナウイルスに対するひとり親世帯臨時特別給付金もあるので、こちらも確認しておきましょう。 全国一律のひとり親世帯臨時特別給付金低所得のひとり親世帯について、新型コロナウイルス感染症の影響による子育て負担の増加や収入の減少に対する支援をおこなうための「ひとり親世帯臨時特別給付金」の制度が実施されます。基本給付の対象者は、以下(1)~(3)のいずれかの要件に該当する人で、1世帯5万円、第2子以降1人につき3万円支給されます。なお、(2)(3)に該当する方は市区町村窓口での申請が必要です。 (1)令和2年6月分の児童扶養手当が支給される人、(2)公的年金等を受けていることにより児童扶養手当の支給を受けていない人、(3)新型コロナウイルス感染症の影響を受けて家計が急変するなど、収入が児童扶養手当を受給している方と同じ水準となっている方さらに追加給付もあります。上記(1)(2)に該当する人で、新型コロナウイルス感染症の影響を受けて家計が急変し、収入が減少した人が対象者で、1世帯5万円が支給されます。7月中旬に案内が送付され、8月中に支給をおこなう予定となっています。7月13日現在の内容ですので、詳細はお住まいの市区町村にご確認ください。 自治体独自のひとり親世帯臨時特別給付金すべての自治体でおこなっているわけではありませんが、上記2の国の制度とは別に、ひとり親の支援を独自でおこなっている自治体があります。その中でいくつかをご紹介します。主な自治体は厚木市(1世帯5万円)、横浜市・熊本市・蟹江町(1世帯2万円)、江津市(子ども1人3万円)等がホームページ上で公表しています。これ以外にも実施している自治体や、すでに支給を完了している自治体もあります。お住まいの自治体のホームページや広報紙を確認しましょう。 上記の給付金だけですべての生活費や教育費を賄うことはできませんが、新型コロナウイルスの影響で収入減や支出増になった家計にプラスになる制度です。中には申請が必要なものもありますので、該当になりそうな人はしっかり確認することをおすすめします。 監修者・著者:ファイナンシャルプランナー 大野高志1級ファイナンシャルプランニング技能士、CFP®(日本FP協会認定)。独立系FP事務所・株式会社とし生活設計取締役。予備校チューター、地方公務員、金融機関勤務を経て2011年に独立。教育費・老後資金準備、税や社会保障、住宅ローンや保険の見直し、貯蓄・資産運用等 多角的にライフプランの個別相談を行うとともにセミナー講師として活動しています。
2020年07月24日個人事業主の方が新規事業を立ち上げる際に1つの課題となるのが、事業資金の調達です。個人事業主は法人に比べると融資が受けにくく審査が厳しいというイメージがありますが、実際のところはどうなのでしょうか。そこで本記事では、個人事業主が融資を利用する際のポイントや利用できる融資制度などについて詳しく解説します。個人事業で必要になる事業資金の目安個人事業主として事業をするにあたり必要となる事業資金は、営もうとする事業体によって大きく異なります。ここでは、およその目安について解説したいと思います。ネットを活用したビジネスネット通販やyoutuberなど、インターネット環境を活用したビジネスを行う場合、規模にもよりますが事業資金は比較的低く抑えられます。最近では自宅を事務所として開業届を出す個人事業主の方も多いので、家賃というランニングコストがかからなければ、調達しなければならない事業資金は大幅に抑えられるのです。目安としては、従業員等を雇用せずにフリーランス的な形で始めて徐々に拡大していくという場合であれば、50万円前後あれば十分でしょう。飲食店などの店舗経営飲食店などのショップを開業する場合は、個人事業主とはいえそれなりの事業資金が必要になります。店舗の場所や規模によって調達すべき事業資金の金額は変わってきますが、目安となるのが見込み年商です。飲食店やショップを経営する場合は、当初見込んでいる年商つまり年間の売上のおよそ50%程度の資金は調達しておかないと、途中でキャッシュフローが回らなくなる恐れがあります。両者の違いは、運転資金にかかるコスト両者の決定的な違いは、運転資金にかかるコストです。自宅開業系でのネットビジネス系であれば、設備投資としてパソコン台やネット環境に多少のコストがかかるものの、その後の運営については自分の人件費を除けばごく少額に抑えることができます。万が一自分が倒れて寝込んだとしても、収入が減少しても支出自体が少なく抑えられるので、キャッシュフローが困窮する心配はあまりありません。場合によっては、しばらくの間休業することも簡単です。対して店舗経営については、常に家賃という大きな固定費がのしかかるため、昨今のような新型コロナウイルス感染症による緊急事態宣言が出されたりすると、途端に収入はゼロになるだけでなく、非常に重いランニングコストがかかってくることになります。そのため、店舗経営を個人事業主として始めたい方は、できる限り余裕のある事業資金を確保してから始めることをおすすめします。同じ個人事業主でも調達すべき金額には大きな差が出てきます。まずは自分自身の思い描いている事業を実現するために、どの程度の事業資金の調達が必要になるのかについて検討しましょう。おすすめの融資制度ここからは個人事業主の方におすすめしたい融資制度について詳しく解説していきます。法人で事業資金を借入するよりもなかなか条件が厳しい面もありますが、反対に個人事業主にやさしい融資制度もありますのでぜひ活用しましょう。日本政策金融公庫信用金庫ビジネスローン系多目的ローン[adsense_middle]日本政策金融公庫日本政策金融公庫とは、政府系の金融機関で財務省が所管している金融機関です。経済の発展などを目的として設立されていることから、個人事業主など通常だと融資が受けにくい属性についても積極的な融資を行っています。日本政策金融公庫には複数の融資制度がありますが、中でも個人事業主の方におすすめしたいのが次の2点です。新規開業資金その名の通り個人事業を新規で開業しようとする人を対象とする融資です。個人事業主の場合、開業してある程度の実績ができてからであれば、他の金融機関でも融資が受けられたりしますが、全くのゼロから開業する場合は資金調達にとても困ります。新規開業資金なら新規開業する個人事業主はもちろんのこと、開業後おおむね7年以内であればすでに開業している方でも利用することが可能です。融資限度額:7,200万円(うち運転資金4,800万円)融資期間:20年以内金利も低めでとてもおすすめの融資制度ですが、1つだけ注意点があります。融資期間は20年以内となっていますので、金利が低くても毎月の返済額が多めになる傾向があるため、事前にキャッシュフローのシミュレーションをしておくことをおすすめします。一般貸付通常の融資で事業を営んでいる人に広く対応している融資制度です。融資限度額:運転資金、設備資金4,800万円、特定設備資金7,200万円融資期間:運転資金5年以内、設備資金10年以内、特定設備資金20年以内このように用途に応じて限度額や期間が異なります。新規開業に限らず、事業途中での融資に利用しやすいです。また、税務申告を2期以上行っている場合、担保や保証人なしで利用できる融資制度もあります。個人事業主でも原則として無担保、保証人不要で、しかも2%以下の低金利で融資を受けることが可能です。ただし、税金関係に未納がある場合は利用できません。個人事業主の場合、資金繰りが危うくなると所得税等の支払いが遅れてしまうこともありますが、税金の未納があると利用できないため注意しましょう。信用金庫地域にある信用金庫も比較的個人事業主に対する融資に積極的な傾向があります。ドラマの半沢直樹でもありましたが、主人公半沢の両親の工場が銀行からの融資を断られた後に手を差し伸べたのが信用金庫だったそうです。信用金庫は地域のお金を個人や中小企業に対して融資することで、地域を発展させることに存在意義があるとされているので、都市銀行系に比べると個人事業主でも利用しやすいといわれています。信用金庫の金利などの特徴信用金庫は日本政策金融公庫のように、数千万円単位の融資には非常に慎重ですが、反対に1,000万円以下の資金調達であれば審査が下りやすいです。よって、比較的事業規模の小さいビジネスであれば信用金庫を利用してもいいかもしれません。金利については、日本政策金融公庫よりも高くなる可能性がありますが、それでもノンバンクなどに比べればマシな方です。ただし、公共性の高い日本政策金融公庫とは違い、民間の金融機関なので審査については多少ハードルが上がります。また、最大のネックは立地です。信用金庫は地元の中小企業事業者への融資を目的としているため、事業を始める地域にそもそも信用金庫の支店がないと利用することはできません。信用組合や地方銀行はどうなの?基本的には信用金庫と傾向は同じで、大企業ではなく中小企業や個人事業主に対する融資に積極的です。金利や貸し付け条件もおおむね同じで、近隣に信用組合がある場合に利用できます。また地方銀行についても、傾向としてはおおむね同じです。ビジネスローン系各金融機関が扱っている、ビジネス全般に利用できる融資で、金融機関によって貸し付け条件が異なります。審査が非常に早いので、臨時で運転資金が必要な場合などに向いていますが、反面金利が6%以上と非常に高く返済期間も短いものが多いので、濫用はおすすめできません。1度に借入できる金額も300万円程度と少額なので、あくまで一時的にキャッシュフローを補うような目的に使うこととし、設備投資についてはできるだけ日本政策金融公庫や信用金庫などを利用したほうが金利面でお得です。多目的ローン今すぐに資金が必要という時に便利なのが、クレジットカードなどでも利用できる多目的ローンです。多目的ローンとは使途を限定しないローンで、ウェブ上の手続きだけで200万円程度の資金であればすぐに借りられます。ただし、金利が高いので早めに返済しないと資金繰りを圧迫する可能性があります。金融機関から融資を受けられない方は、多目的ローンを使って繰り上げ返済していくか、実績を作った後に金利の低い金融機関と借り換えをするとよいでしょう。残高スライド元利定額返済方式に注意カードローン系を利用する時に注意したいのが、残高スライド元利定額返済方式です。最近の個人のカードではこの返済方式になっているものが多く、便利な側面がある一方で思わぬ落とし穴もあります。残高スライド元利定額返済方式とは、借入する際に月額返済額を定めて、債務残高が減少していくと段階的に減っていく返済方式です。例えば、設定金額10万円で100万円を借入した場合、翌月に追加で20万円借入しても月額返済額は10万円のままです。つまり、返済負担を一定に保つことで借入しやすくしているのです。これだけ聞くととても便利な返済方式に聞こえるかもしれませんが、借入を追加しても毎月の返済額に大きな変化がないので、返済自体は可能でもその間にどんどん借入残高が貯まっていってしまうのです。つまり、返済が全然進んでいかないので、気が付いた時にはすごい額の借入になっていたということも珍しくありません。個人事業主の方にとって非常に利用しやすいというメリットはありますが、使いすぎると返済ができなくなる恐れがありますので借入残高には十分注意しましょう。借入条件の注意点個人事業主の方が事業資金を借入する際には、次の点について注意が必要です。金利を低く抑える住宅ローンや不動産投資ローンとは違い、個人事業主が使う事業ローンは金利が割高になる傾向があります。金利が高いと返済効率が悪くなるので、たとえ借りられたとしてもあまりおすすめできません。特に1,000万円以上の融資を希望する場合については、日本政策金融公庫などできるだけ金利が低い金融機関を利用することをおすすめします。[adsense_middle]融資を受けやすくする方法個人事業主で融資を受けやすくするためには、金融機関を納得させられるだけの資料を準備することがとても大切です。新規開業であれば事業計画書、すでに営業中であれば前期の実績などの資料を金融機関に提出することで、融資を受けやすくなります。事業計画書は誰に相談する?事業計画書が重要といわれても、いままで作ったことがないという方がほとんどではないでしょうか。自分で作るスキルや経験がある方であればよいのですが、そうではない場合はぜひ税理士に相談してみてください。個人事業となると日々の記帳から確定申告まで全部自分でやらなければなりませんが、実際に事業を始めてみると本業に集中しなければならないので、そういった経理関係の業務に時間を割くことができません。そこで事業計画書と顧問契約をセットで税理士に依頼することで、資金調達の問題と開業後の経理の問題を同時に解決することが可能です。経営革新等支援機関ってなに?税理士に相談する際におすすめなのが、経営革新等支援機関に認定されている税理士です。経営革新等支援機関とは、財務局長および経済産業局長が認定する機関で、財務経営や資金調達のいわばスペシャリストとして認定された機関という位置づけです。何より頼りになるのが、事業計画書作りです。金融機関によっては、経営革新等支援機関が事業計画書の作成支援を行った場合に金利を優遇してくれる場合もあるようです。経営と資金調達に長けているので、単に事業計画書を作成するだけではなく、金融機関の印象が良くなる事業計画書を作成してくれます。税理士以外にも認定を受けている機関はありますが、個人事業主の場合は開業後の税務についてもまとめて依頼したほうがよいので、経営革新等支援機関に認定されている税理士が心強いでしょう。経営革新等支援機関は、中小企業庁のホームページで一覧を見られますので税理士選びの参考にするとよいでしょう。個人事業主の融資に関するまとめ今回は個人事業主の資金調達について解説してきました。個人事業主が融資を受けるとなると、法人よりもハードルが高いというイメージがあるかもしれませんが、日本政策金融公庫や信用金庫などをうまく活用すれば、意外と資金調達はスムーズにできます。ノンバンクや多目的ローンなどについては、すぐに使えるという強みがある一方で、高金利で返済が進みにくいという落とし穴がありますので、あくまで臨時で必要な場合に利用はとどめましょう。設備投資などまとまった資金の調達については、できるだけ低金利で借りられるところを選ぶことが大切です。資金調達は借りることが目的ではありません。借りたお金で事業を成功させるためには、その先にある事業計画がとても重要です。事業が初めてという方は、経営革新等支援機関に認定されている税理士などに相談して、事業計画書の作成や資金調達についてコンサルティングしてもらうことをおすすめします。
2020年04月23日2020年4月7日に発令された新型コロナウイルスの感染拡大による「緊急事態宣言」ですが、すでに新型コロナウイルスの影響が経済的におよんでいる方もいらっしゃると思います。2020年4月8日現在の主な支援の制度についてお伝えします。 子どものいる世帯向けの特別支援制度【1】児童手当の加算2020年6月支給分の児童手当を現在の金額にプラスして1万円を臨時給付する予定です。【2】小学校休業等対応支援金小学校等の臨時休業等に伴い、子どもの世話を行うために仕事ができなくなった場合に支援金が支給されます。①会社員等・・・勤務先(事業主)に助成金が支払われ、有給休暇等の原資となります。個人での申請はできません。 ②フリーランス等・・・小学校等の臨時休業前に業務委託契約を受けている個人が対象です。詳細や申請書類のダウンロードは厚生労働省ホームページの「新型コロナウイルス感染症による小学校休業等対応支援金(委託を受けて個人で仕事をする方向け)」をご確認ください。生活福祉貸付制度と電気・ガス料金の支払猶予【1】生活福祉資金貸付制度新型コロナウイルスの影響で収入の減少や失業等で生活が厳しくなった場合にお住まいの市区町村の社会福祉協議会で最大20万円の貸付が受けられます。あらかじめ電話での問い合わせをしてのお手続きをおすすめします。主に休業の場合は「緊急小口資金」、失業の場合は「総合支援資金」となるケースが多いようです。 【2】電気・ガス料金の支払猶予上記の「緊急小口資金」または「総合支援資金」での貸付を受けている利用者が電気・ガス料金の支払いを延ばすことができる場合があります。支払いを延長したい人は電気会社・ガス会社のコールセンター・お客様窓口等で確認をしてみましょう。 生命保険料の支払猶予と通信料金の一部無償化【1】生命保険料の支払猶予現在加入している生命保険・医療保険等の保険料を申し出により最大6か月延長できるようになりました。保険料の支払いを延ばしたい場合は、保険会社の担当者またはコールセンター等で申し出をしましょう。 【2】生命保険の貸付緩和学資保険、終身保険、養老保険、個人年金等の貯蓄性のある生命保険は、ある程度の期間を経過すると貸付が受けられます。通常は金利が掛かりますが、一定期間無利息で貸付が受けられます。こちらの利用をする場合も保険会社の担当者またはコールセンター等で申し出をしましょう。 【3】通信料金の一部無償化25歳以下の契約者または利用者を対象に携帯電話・スマートフォンの通信容量の追加を一部無償で行います。通信会社によっては手続きが必要な場合もありますので、各通信会社のサイトを確認してください。 上記でお伝えしたのは2020年4月8日現在の支援制度の一部です。現金給付等は条件や手続き方法を検討している段階ですので、決まりましたら改めてお伝えいたします。また、雇用保険(失業保険)など既存の制度も使えますので、必要に応じて各所窓口のサイトの確認をしましょう。外出自粛もあり家計も普段とは異なりますが、支援制度も使って新型コロナウイルスの影響が収まるまで乗り切っていただければと思います。 監修者・著者:ファイナンシャルプランナー 大野高志1級ファイナンシャルプランニング技能士、CFP®(日本FP協会認定)。独立系FP事務所・株式会社とし生活設計取締役。予備校チューター、地方公務員、金融機関勤務を経て2011年に独立。教育費・老後資金準備、税や社会保障、住宅ローンや保険の見直し、貯蓄・資産運用等 多角的にライフプランの個別相談を行うとともにセミナー講師として活動しています。
2020年04月14日新型コロナウイルスの猛威が、拡大している。3月29日に志村けんさんが亡くなり、新型肺炎の恐怖を身近に強く感じた人も多いのではないだろうか。また、緊急事態宣言により自粛モードに拍車がかかることも予想される。「そうなると、経済的に困窮する人がますます増えてくるでしょう」と話すのは、経済ジャーナリストの荻原博子さん。そこで、国の支援について荻原さんが解説してくれたーー。■自営業やフリーは無利子・無担保で80万円まで融資可能に!世界的にみても、アメリカでは3月28日からの1週間で約665万人が失業保険を申請。これは前代未聞の記録です。また、6月までにアメリカの失業率が30%を超える、世界ではリーマン・ショック超の約2,500万人が失業するなど厳しい予測が続きます。日本でも、新型コロナウイルスの影響で解雇や雇い止めになる方が、1,000人を超える見通しです(3月31日・厚生労働省)。こうした事態を受け、国はまず、学校の休校措置に伴う休業補償を行いました。子どもの世話で休む社員に有給休暇を与える会社を対象として、1人当たり1日最大8,330円を補助するものです。ただ当初、休業補償の対象は会社員だけ。自営業者の運転資金には無利子・無担保の融資を始めていましたが、フリーランスに補償がない状況に世論が反発しました。ほどなくフリーランスにも補償を広げたものの、日額はわずか4,100円。それも休校措置に伴うもの限定で、イベント自粛などへの補償はなく不満は募っています。そんななか、国はやっと、3月25日から「個人向け緊急小口資金等の特例」として無利子・無担保の生活資金融資を始めました。対象はコロナ関連で困窮するすべての方で、仕事が激減したフリーランスや雇い止めにあった非正規社員、休業を余儀なくされた自営業者なども生活資金を借りられます。融資制度は2つあり、いずれも無利子・無担保です。1つは休業などで一時的にお金が必要な方に最大20万円。返済期限は2年です。もう1つは失業などで、生活に困窮している方向けです。2人以上の世帯なら月20万円まで、単身者なら月15万までを3カ月間借りられます。たとえば夫婦なら、3カ月で最大60万円の融資が受けられ、返済期限は10年です。しかも、これらは併用できるので、融資額は最大80万円です。さらに返済期限時にまだ困窮が続いていれば、返済が免除されます。もちろん生活が安定し返済するのがいちばんですが、万が一の場合の返済免除は安心ですよね。手続きは地域の社会福祉協議会が窓口です。混雑が予想されるので、まずは電話でお申し込みを。イギリスはフリーランスなどに、月約33万円を上限に所得の8割を補償すると発表。ドイツやフランスなどの支援策と比べても、日本はフリーランスや小規模な自営業者への支援が少なすぎます。また、4月3日には所得が減少した世帯限定で、1世帯当たり30万円の現金給付が発表されました。支援策も随時追加され変わっていくと思いますが、とにかく一刻も早く、手厚い支援が必要です」「女性自身」2020年4月21日号 掲載
2020年04月10日4月から新しい年度が始まるとともに、制度が始まったり、変更となったりするタイミングでもあります。2020年4月から、法律などの変更によって多くの手続きや考え方が変わりますので、概要やポイントをお伝えします。 養育費の取り立てがしやすくなります2020年4月に“民事執行法”が改正され、財産の強制執行についての取扱いが変わりますが、養育費の取り立てにはプラスになりそうです。 厚生労働省『平成28年度(2016年度)全国ひとり親調査結果報告』によると、離婚した父親から養育費の受給状況は、「現在も受けている」が24.3%である一方「養育費を受けたことがない」が56.0%でしたが、今回の民事執行法の改正で、この状況が改善されそうです。 改正前は、手続きに手間が掛かったり、音信不通後に支払いが止まったりすることも少なくなかったのですが、改正後は所定の手続きを取ることによって、勤務先の情報開示や給与の差し押さえが可能となります。詳細は裁判所や弁護士に確認をしましょう。 敷金の取扱いが変わります住宅を借りている場合は、入居時に敷金を大家さんや管理会社に預けることが多いと思いますが、2020年4月の“民法”の改正によって敷金についての内容が明文化されます。 今までは、慣習的なルールで貸主と借主の主張が異なり、場合によっては、借主の責任ではない破損や汚れについてもクリーニング費用や修理費用として、敷金が戻らないといったトラブルにもなったケースがあります。今回の改正で敷金は退去時に原則返金を行い、原状回復についても経年劣化や通常損耗の部分は借主の負担としない点が明文化されました。 今後は曖昧に敷金からクリーニング費用や修理費用を差し引かないことなりましたが、敷金とは別に退去時のクリーニング費用や修理費用について、契約時や更新時に説明を受け、同意する必要があります。 その他の始まる制度・変更される制度【1】受動喫煙防止の対応健康増進法が改正され、原則屋内は禁煙となります。喫煙を屋内でする場合には、喫煙専用室の設置とともに室外への煙の流出防止対策が必要です。自宅や喫煙を目的とする施設や個人・中小企業が経営する100㎡以下の飲食店は対象外です。なお、東京都はさらに条件が厳しく、個人・中小企業が経営する100㎡以下の飲食店でも従業員がいる場合は原則禁煙となります。 【2】同一労働同一賃金の範囲拡大パートタイム労働法、労働契約法、労働者派遣法を改正し、同一の勤務先で同じ仕事をする場合の正社員とパートタイマーや契約社員・派遣社員の賃金や待遇の差を解消することになりました。 【3】民法が約120年ぶりに改正されます上記の敷金の明文化もこの影響ですが、それ以外に保証人や約款(不特定多数の顧客と取引する際の契約条項で、携帯電話や生命保険やクレジットカード、電気・ガスなど生活の多くの手続きに使われています)、法定利率などが変更になります。金銭や権利関係が生じる手続きは変更となる可能性がありますので、この民法改正が影響していると覚えておきましょう。詳細は法務省のホームページを確認してください。 上記は多くの方に関わる法律上の変更点ですが、それ以外に生活環境が変わる方の多い時期でもあります。手続きをする際は上記の件も変更されたことを覚えておかれるとよいでしょう。 監修者・著者:ファイナンシャルプランナー 大野高志1級ファイナンシャルプランニング技能士、CFP®(日本FP協会認定)。独立系FP事務所・株式会社とし生活設計取締役。予備校チューター、地方公務員、金融機関勤務を経て2011年に独立。教育費・老後資金準備、税や社会保障、住宅ローンや保険の見直し、貯蓄・資産運用等 多角的にライフプランの個別相談を行うとともにセミナー講師として活動しています。
2020年04月01日意外と知らない社会的な問題について、ジャーナリストの堀潤さんが解説する「堀潤の社会のじかん」。今回のテーマは「年金制度改革」です。年金制度存続のために様々な案が出ています。令和2年の通常国会では、「年金制度改革関連法案」が閣議決定されました。少子高齢化により、このままの状態では、年金制度の存続が危ぶまれています。昨年も老後のお金の問題が大きくニュースになりましたよね。そこで、年金制度の様々な改正案がいま審議されていますが、その一つは、定年を延長して高齢者の働く期間を延ばし、老齢年金の受給開始を60~75歳まで幅をもたせるという案です。受給を先に延ばした人には、そのぶん受給額を増額するというもの。実際、いまの60代はとても若い。60歳以上の働く方々のうち8割が65歳以降も働きたいと答えています。また、働く高齢者の年金を減らすという案も出ています。もう一つ注目されているのは、厚生年金に加入できる人のハードルを下げるというもの。現状では、パート従業員やアルバイトは厚生年金ではなく、国民年金です。しかし、年金の加入と納付は国民の義務にもかかわらず、国民年金は未納者も多くいるので、厚生年金に一本化していこうという改革です。現在は、従業員501人以上の会社が加入要件でしたが、それを段階的に引き下げて、2024年には51人以上の規模の会社であれば厚生年金の対象にしようとしています。これにより新たに65万人、加入者が増えると試算されています。また、自分で掛け金や運用を決められる個人型確定拠出年金「iDeCo(イデコ)」に加入できる年齢も、20歳以上60歳未満から、65歳未満に変更します。昔は60歳定年で、定年後も年金だけで十分生活ができていました。しかし、高齢者は増えますし、寿命も延びますから、これからは自分でなんとかしなければいけない割合は増えていくと思います。100年時代の人生設計のプランを教えてもらいたいですよね。とくにお金に関する教育は、アメリカやヨーロッパのように、国が積極的にやってほしいと思います。何も知らないままでは、資産運用には怖くて手が出せませんし、失敗しても自己責任と突き放すのは問題なのではないでしょうか。これから何歳まで働くことになるのか。みなさんの将来に関わる問題なので、注目していてください。堀 潤ジャーナリスト。元NHKアナウンサー。市民ニュースサイト「8bitNews」代表。「GARDEN」CEO。『わたしは分断を許さない』(監督・撮影・編集・ナレーション)公開中。※『anan』2020年4月1日号より。写真・中島慶子イラスト・五月女ケイ子文・黒瀬朋子(by anan編集部)
2020年03月30日個人事業主として事業を始めるにあたり、一つの課題となるのが事業資金の調達です。企業であれば銀行融資を利用したり、株式を発行して資金調達したりすることが可能ですが、個人事業主となるとなかなかそうはいきません。そこで今回は、資金調達を検討している個人事業主の方向けに利用できる補助金や助成金制度の種類について解説したいと思います。補助金を活用するメリット補助金というと中小企業の法人が対象というイメージがあるかもしれませんが、要件をよく見ていくと意外と個人事業主が利用できるものもあります。個人事業主は株式を発行することができないので、最初のうちは特に資金調達に苦労するでしょう。そんな時に補助金がもらえたら、スムーズに事業を開始できます。補助金は新規、独立開業資金になる補助金の一番のメリットは、何と言っても返済が不要という点でしょう。銀行融資を受けると当然返済していかなければなりませんが、補助金については返済が不要なのでもらった分だけ事業活動を有利に進められます。特に営業が開始していない独立開業当初については、当面の運転資金として非常に重宝すること間違いないでしょう。リスクを負わずに資金調達できるところが、補助金最大の魅力といえるでしょう。補助金と助成金の違い補助金制度について調べていくと、同じような内容で助成金というものが出てくることがあります。補助金と助成金、どちらも返還不要の資金を出してくれるという意味では同じですが、助成金は要件を満たしていれば原則として支給されるのに対し、補助金については事前に予算が決まっているため、予算を使い果たした場合は条件に該当していても支給を受けられません。補助金の種類と条件個人事業主が利用できる補助金や助成金には様々なものがあり、種類によって条件も異なります。また、補助金制度は時限的なものも多いので、利用できるものが毎年同じとは限りません。ここでは、よくある補助金制度の種類と条件について比較してみました。[adsense_middle]創業事業承継補助金事業を創業する際に利用できる補助金制度で、毎年一定の予算の枠内で複数の経営者に支給されています。具体的な金額は以下の通りです。外部資金調達がない場合:50万円以上100万円以内外部資金調達がある場合:50万円以上200万円以内募集要項には中小企業者と記載されていますが、これに個人事業主も含まれています。従業員数の条件補助金の中には支給条件に従業員数が関係していることがよくあります。これは補助金や助成金制度が、比較的小規模零細企業や事業者を対象としていることから、雇用している従業員数が一定以下であることを支給条件とするケースが多いからです。従業員数の条件は業種によって基準が違うことが多く、一般的には製造業は従業員数が多く、サービス業や小売業は少なめの設定になる傾向があります。海外で起業すると受けられない最近はインターネットさえあればどこでも起業できるので、海外で事業を始める人も少なくありません。ただし、創業事業承継補助金は国内に住んでいて日本で事業を行う人を対象としているので、海外に居住している場合や、海外で事業を起こす場合については利用できません。小規模事業者助成金個人事業主など小規模な事業者が利用できる助成金で、創業してからの事業の発展や維持をするために利用することを目的としています。そもそもこの助成金には、国内の小規模事業をさらに発展させて社会貢献や雇用維持につなげようという狙いがあるので、助成金の支給要件に経営者の年齢も関係してきます。具体的には代表者が60歳以上である場合は、承継診断票を提出した上で後継者候補が中心となる事業計画書などが必要になります。支給される助成金の詳細は以下の通りです。対象:日本の小規模事業者全般補助率:補助対象経費の3分の2以内補助上限額:50万円(500万円:複数の事業者で連携して行う共同事業の場合のみ)テレワーク助成金コロナウイルスの流行によって一躍話題沸騰したのがテレワーク助成金です。テレワークとは職場という場所にこだわらず、在宅などでも勤務を可能とする勤務形態のことで、コロナウイルス対策の一環として多くの企業が一気にテレワークの導入と実施へと舵を切りました。そこで注目されたのが、東京都などが実施している事業継続緊急対策助成金、通称テレワーク助成金です。助成金の上限:250万円助成率:100%助成金の対象となる費用テレワーク助成金最大の特徴は、助成対象となる費用の広さにあります。テレワーク助成金は、主に次のような費用を対象に助成金が支給されます。機器購入費用テレワークを実施するために必要となる、パソコンやタブレット、スマホ、外付けハードディスク、ルーター、ウイルス対策ソフト、サーバ、ビジネスチャットなど非常に幅広い範囲で認められます。中でも珍しいのがパソコンやタブレットの購入です。他の助成金では、パソコン本体やタブレットなどの購入費用そのものの購入費用に対して助成金が出るということは非常に少ない傾向にあります。個人事業主の中には、パソコンなどの設備機器が十分揃っていないところも多いと思いますので、これを機会にテレワーク補助金を活用するとよいでしょう。リース費用テレワークのための設備購入費用はもちろんの事、それらのリース費用についても同じく助成金の対象となります。社内ネットワークを構築するとなると、かなりまとまったお金が必要になりますので、助成金の上限金額である250万円満額まで使いこなせればかなりの負担軽減となります。クラウドサービスなどテレワークをするにあたって絶対に必要になってくるのが、クラウドサービスの導入です。これまで会社のデータベースは社内のサーバなどで管理していましたが、最近ではグーグルドライブなどネット上の共有サーバにデータを保存して、外出先からもアクセスできるようにする会社が増えてきました。クラウドサービスを上手に活用することで、社内会議や打ち合わせが円滑になるだけではなく、取引先の担当者とクラウドデータを共有することで、より密に連絡が取り合えるとともにお互いの信頼関係の構築に大きく貢献できます。個人事業主は雇用人数に注意テレワーク補助金は個人事業主でも利用することが可能ですが、注意しなければならないのが従業員の人数です。テレワーク補助金の対象となるのは、常時雇用者が2名以上かつ、申請時点で6ヶ月以上は雇用している事業者に限られます。個人事業者の中には、自分一人で起業しているケースや、自分と配偶者だけで営んでいるようなケースも多いので、2名以上という条件は意外とハードルが高いです。もしも個人でネット通販を自分一人でやっているような場合については、助成金の支給対象から外れます。補助金、助成金支給までの流れと注意点このように個人事業主にとって非常に利用価値の高い補助金、助成金ですが、利用するにあたって注意すべきことがあります。それは報告義務です。補助金や助成金は申請書を提出するだけで、すぐに支給されるような甘いものではありません。返済不要ということもあり、利用したい方がとても多いので不正受給を防止して効果を高めることを目的に、補助金支給後の定期報告や結果報告などが義務化されています。例えばテレワーク助成金の場合、助成金を受け取るためには次のようなステップを踏まなければなりません。業者への見積もり依頼助成金申請書の提出審査設備導入上限額の通知助成金支給[adsense_middle]ステップ1:業者への見積もり依頼助成金を申請するためには、助成してもらう対象となるテレワークの導入費用の見積もりが必要になります。そこで、テレワークを導入するための費用の見積もりを業者に依頼し見積書を手に入れます。ステップ2:助成金申請書の提出見積書の内容を踏まえて、助成金申請書を作成します。申請書を作成する際のポイントは、事実を間違いなく記載するということです。実は助成金からみのご相談が最近増えているのですが、皆さん一様にこのように聞いてこられます。「どうすれば助成金を貰いやすくできますか」要するに、助成金の対象者に選定されるためには、どのように事業計画書や申請書をかけばよいのでしょうかという問題です。基本的に助成金は要件に適合していれば助成を受けられるのですが、テレワーク助成金のように実際に支出する費用に対して助成金が出るものについては、申請の段階で100万円の見積書を提出したとしても、50万円までしか認められないというケースが出てきます。ステップ3:審査どこまでがテレワーク助成金の適用範囲なのかという問題なのですが、業者によっては今回の助成金制度を利用して、テレワークとは直接関係のない設備投資についても見積書に盛り込んでくるケースがあるのです。申請する会社としても、できるだけ助成を受けられる金額を増やしたいので、平たく言うと「うまく誤魔化せそうな申請書や見積書の書き方を知りたい」ということなのですが、当然のことながら嘘は絶対にいけません。これは法的な観点からも不正受給に該当します。また、補助金や助成金は不正受給を防ぐために、必ず結果報告の提出が必要になっています。つまり、申請書通りにものを買って事業を行っているのかどうかまで、追って確認をしてくるということです。ステップ4:上限額の通知申請した金額に対して、助成金が認められる限度額の通知がされます。ただこの段階ではまだ助成金は入金されません。あくまで、支給される上限額が明確になるだけなので、それを受けて実際に設備を導入するかを決断します。ステップ5:設備導入実費でテレワーク設備を導入して、その結果を報告書として提出します。見積書と内容が変わってくると、事前に通知されている上限額を下回る可能性がありますので注意が必要です。ステップ6:助成金支給結果報告書を提出して、予定通りの導入がされていることが確認されると助成金が振り込まれてきます。助成金によっては前払いのものもありますが、基本的には先に事業主側で支出することになるものが多い傾向です。助成金、補助金を利用する際の効果報告の注意点助成金や補助金には様々なものがあり、支給要件もものによって大きく異なります。中でも、オフィスインフラ関係の助成金、補助金制度には注意が必要です。例えばIT導入補助金が最近話題となっていて、補助額が上限450万円と高額なため利用希望者が多いようです。テレワークのように導入後簡単な報告をすれば済むのであればよいのですが、IT導入補助金の効果報告は細かな指標まで示して効果を報告しなければならないので、報告書の作成にかなりの労力を費やすことになります。そのため、自営業で従業員が少ない場合は補助金が逆に負担になってしまうこともあるのです。補助金や助成金を申請する際には、後でどのような結果報告が求められるのかについて、よく調べておくことをおすすめします。助成金とハローワークの関係助成金を検索すると支給要件の中にハローワークの利用が盛り込まれているケースをよく見かけます。そもそも助成金や補助金は、受給する個人事業主や企業があらゆる法令を遵守していることが前提となっていますが、それ以外にもできるだけ公的機関のサービスを利用することが条件に盛り込まれているケースがあります。ハローワークもその一例で、ハローワークを通じで人を雇用することが助成金支給の条件になっていることがあるのです。例えば次の助成金については、ハローワークの利用が条件となっています。特定就職困難者雇用開発助成金地域雇用開発助成金障害者職場定着支援奨励金トライアル雇用奨励金これらの助成金等はハローワークを利用して雇用した場合に利用が可能で、申請窓口もハローワークになっています。個人事業主の方でも他の要件に該当すれば利用できますので、今後求人を検討している方はハローワークを利用するのも一つの手です。個人事業主向けの助成金に関するまとめ個人事業主にとって補助金や助成金は効果的な資金調達方法なので、要件に当てはまるものは積極的に利用することをおすすめします。ただし、利用した後は必ず結果報告を求められますので、どこまでの報告義務があるのかも含めて確認することが大切です。すでに導入を検討しているものに補助金が使える可能性があるかもしれませんので、ぜひ一度調べてみてはいかがでしょうか。
2020年03月22日あけましておめでとうございます。今年も良い年になりますように。今年1回目の記事は、株式投資の話になります。■銀行の定期預金を見て愕然…!休眠預金の記事を新聞で読んだときに、自分の通帳が気になったので、長女が生まれたころに作ってそのままにしてある定期預金を銀行へ行って確認したことがありました。すると、数年たってもその利息はほとんど増えていないということに気づき、愕然としました。今は、お金を銀行に預けていても、ほとんと増えないのだと実感。この定期預金は解約し、株式投資で使おうと決心しました。私は若い頃に株式投資をした経験があります。でも、久しぶりなので、本や昔、株式投資をしていた頃につけていたノートを読んで勉強し直しました。そのとき、新たにネットの証券会社で特定口座とNISA口座を開設することにしました。開設はネットで申し込みしてから1週間くらいかかりました。NISA口座だと、毎年一定額の非課税の投資枠が設定されるので、普通の証券口座とちがい、利益が出ればその分の税金分はお得になります。■子どもたちも投資ができる制度を発見!そのNISA口座について調べたりしていたときに、「ジュニアNISA」という制度があるということを知りました。これは未成年者を対象とした投資の非課税制度(※)です。これからの時代「お金を投資して増やす」という方法を、子どものころから学ぶことが必須になってくると思います。そういう勉強をするために娘たちにこの制度を利用させることがあるかもしれません。ジュニアNISAは18歳までは払い出し制限はありますが、その制度を活用することは、少額を預け入れて損をしながらも子どもが投資を学んでいくいい機会になるとも思います。親としては、挑戦してもらいたいと思っていますが、現在小学校3年生の長女には、まだ「株式投資」といってもピンときていないようで、ちょっと早い気がしました。でも、娘がもう少し大きくなって挑戦したいといったら、ぜひやらせてみたいです。使える制度は活用して、投資の知識や経験をもった子に育てたいなと思います。※ジュニアNISA対象年齢:0歳から19歳(口座を開設する年の1月1日時点)※株式投資にはリスクがあり、投資の判断は自己責任になります。
2020年01月06日返礼品の充実で利用者が増えたふるさと納税ですが、過剰となった返礼品競争を抑制するために2019(令和1)年6月1日から制度が変更となりました。返礼品の上限や条件が定められ、対象とならない自治体も出てきました。年末は駆け込みでのふるさと納税が多い時期ですので、新たなふるさと納税のルールや活用法についてお伝えします。 新しいふるさと納税の制度2019(令和1)年6月1日に変更となったふるさと納税については、総務大臣が以下の要件に該当した自治体のみをふるさと納税の対象として指定することとなりました。その要件とは、以下のとおりです。 (1)寄付金の募集を適正に実施する自治体(2)返礼品を送付する場合は、以下の2要件を満たす自治体①返礼品の返戻割合を3割以下とすること、②返礼品を地場産品とすること この要件に該当しない小山町(静岡県)、泉佐野市(大阪府)、高野町(和歌山県)、みやき町(佐賀県)と申し出を行わなかった東京都の5団体(2019年6月1日現在)に寄付(ふるさと納税)を行っても、所得税・住民税の控除対象とはなりません。なお2019年10月現在、泉佐野市が国地方係争処理委員会に審査の申し出を行い、結論は出ていない状況です。新しいふるさと納税と返礼品の考え方新制度では返礼品が寄付金の3割以下になったため、単純に返戻品が欲しい場合にはお得度が減った形になりました。例えば、旧制度では1万円の寄付(ふるさと納税)に対し5000円相当のお米やお肉などの返礼品が届いたこともありますが、新制度ではお米やお肉などにしても3000円相当が上限となっています。自己負担額が2000円ですので(※)1万円の寄付をした場合は1000円程度のお得度合いとなります。そのため、自己負担額が2000円以内の範囲であれば、寄付金額を増やした方がお得な度合いが増える形となります。 【寄付金の比較例】寄付金1万円の場合返礼品上限3,000円自己負担2,000円所得税・住民税還付額 8,000円 寄付金3万円の場合返礼品上限9,000円自己負担2,000円所得税・住民税還付額28,000円 返礼品の要件に上限額や地場産品が求められているため、各自治体も工夫を凝らし、花火大会やキャンプ・バーベキュー、地元施設のレジャー券等の体験型のものや、寄付をした人限定の見学ツアーなど独自色が強くなっています。また、返礼品はないものの被災地への寄付も自己負担2000円でできますので、被災地支援を考えている人は従来のふるさと納税と合わせて、利用を検討してみましょう。 6月1日以前にふるさと納税で返礼品を受け取っていた人には物足りない制度変更ですが、本来の目的である出身地や応援したい自治体に寄付をすることで、地場産品の返礼品を受け取れるという形になりました。上記の比較にもあるように制度変更後の3割を上限とした返礼品でも、寄付金額次第では実質負担より返礼品の価値が高くなる場合もあります。今後も自己負担額が2,000円となる寄付の上限を確認した上で、ふるさと納税の利用を引き続き検討されると良いでしょう。 ※ふるさと納税は所得などに応じた範囲内の寄付であれば、2,000円のみが実質負担となります。(範囲を超えて寄付をすると自己負担額が2,000円以上に増える)一例として、ある地方自治体に1万円を寄付して、返礼品として5,000円相当のお米をもらったとします。それだけでは、1万円を払って5,000円のお米をもらっただけになりますが、2,000円を超えた部分は手続きすれば、所得税・住民税が8,000円が減額されるので、実質2,000円で5,000円のお米を手に入れたことになるのです。 監修者・著者:ファイナンシャルプランナー 大野高志1級ファイナンシャルプランニング技能士、CFP®(日本FP協会認定)。独立系FP事務所・株式会社とし生活設計取締役。予備校チューター、地方公務員、金融機関勤務を経て2011年に独立。教育費・老後資金準備、税や社会保障、住宅ローンや保険の見直し、貯蓄・資産運用等 多角的にライフプランの個別相談を行うとともにセミナー講師として活動しています。
2019年11月01日2019年10月に消費税が10%に増税されますが、注文住宅は引き渡しが2019年9月30日以降になる場合は、増税前の契約でも消費税10%として手続きをする必要があります。 この増税を緩和する目的として“次世代住宅ポイント”制度が設けられ、2019年6月3日から申請が始まりました。今回は新築だけでなくリフォームにも適用される“次世代住宅ポイント”についてお伝えします。 要件を満たした住宅の新築・購入・リフォームを対象にポイントが支給次世代住宅ポイント制度は2019年10月の消費税増税に備え、一定の省エネ性、耐震性、バリアフリー性能等を満たす住宅や家事負担の軽減に役立つ住宅の新築やリフォームをされた人に対して、多くの商品と交換できるポイントを発行する制度です。 2019年6月3日から申請が始まり、2020年3月31日までを限度に(申請が予算を超える前に受付終了)申請を受け付けます。主な要件は以下のとおりです。 1)「安全・安心」「健康長寿・高齢者対応」「子育て支援、働き方改革」に資すると国土交通省が選定した、①注文住宅の新築、②新築分譲住宅の購入、③リフォームが対象となります。 2)新築では、①エコ住宅 (断熱等級4又は一次エネ等級4を満たす住宅)、②長持ち住宅 (劣化対策等級3かつ維持管理対策等級2等を満たす住宅)、③耐震住宅 (耐震等級2を満たす住宅又は免震建築物)、④バリアフリー住宅(高齢者等配慮対策等級3を満たす住宅)に適合すると1戸当たり30万ポイント付与されます。 3)リフォームでは、①窓・ドアの断熱改修、②外壁、屋根・天井又は床の断熱改修、③エコ住宅設備の設置、④耐震改修、⑤バリアフリー改修、⑥家事負担軽減に資する設備の設置、⑦若者・子育て世帯による既存住宅の購入に伴う一定規模以上のリフォーム工事等がポイント付与の対象となります。 工事の内容によって2,000ポイントから150,000ポイントが付与され、合計の上限を1戸当たり300,000ポイントとしています。 ポイントの交換商品は食料品や日用品、家電など次世代住宅ポイントの申請はすでに始まっていますが、ポイントの交換申込は2019年10月1日以降の予定となっています。対象商品は米・肉・魚等の食料品、キッチン用品やバス用品等の日用品、テレビや空気清浄機等の家電等が用意されています。アウトドア用品や防災用品、キッズ用品等のカテゴリーもあり、2019年6月12日時点では、約2600件の交換商品が登録されており、今後も増える予定となっています。 ポイント交換があるから住宅を購入したり、リフォームをしたりと考える人は少ないと思いますが、消費税増税を理由として住宅購入を迷われている人はこの次世代住宅ポイントで付与されるポイントと合わせて住宅購入の総費用を検討すると良いでしょう。 現在、新築の住宅購入やリフォームを検討されている人は不動産やリフォームの担当者にこの制度の対象となる部分があるか確認してみてください。なお、この制度の詳細は、次世代住宅ポイントのサイトから確認できますので、参考になさってください。監修者・著者:ファイナンシャルプランナー 大野高志1級ファイナンシャルプランニング技能士、CFP®(日本FP協会認定)。独立系FP事務所・株式会社とし生活設計取締役。予備校チューター、地方公務員、金融機関勤務を経て2011年に独立。教育費・老後資金準備、税や社会保障、住宅ローンや保険の見直し、貯蓄・資産運用等 多角的にライフプランの個別相談を行うとともにセミナー講師として活動しています。
2019年06月22日急な出費ですぐにお金を用意しなければならないなど、時間に余裕のない場面でカードローンを利用するケースは少なくありません。この記事では即日融資可能なカードローンをその特徴と併せてご紹介します。カードローンについてレイクALSA「レイクALSA」は新生銀行グループの消費者金融です。【レイクALSAの特徴①】最短60分融資融資まで最短60分、当日21:00(日曜18:00)までに契約手続きが完了すれば当日中に振り込まれます。【レイクALSAの特徴②】自宅への郵送物なしで利用可「カードなし」「WEB明細」を選択すれば自宅への郵送物はなく、審査結果や利用明細などは会員ページやメールでの確認となります。【レイクALSAの特徴③】初回契約時に無利息特典初回契約時に限り、契約翌日から「(借入額のうち5万円まで)180日間無利息」または「(借入額全額)30日間無利息」、いずれかの特典を受けられます。レイクALSA・カードローン概要2019年5月31日時点レイクALSAの特徴まとめ最短60分融資自宅への郵送物なしで利用可初回契約時に無利息特典SMBCモビットSMBCモビット「SMBCモビット」はSMBCグループの消費者金融です。【SMBCモビットの特徴①】最短30分審査・即融資可本審査が完了まで最短30分、平日14:50までに手続きが終了すれば当日中に振り込まれます(金融機関によっては24時間可)。【SMBCモビットの特徴②】急ぎ審査・書類提出による在籍確認可さらに急ぐ場合、ネットからの申込後にコールセンターへ電話すればすぐに審査を開始してもらえます(受付時間9:00〜21:00)。勤務先が休みで電話による在籍確認がとれないような場合、その旨をオペレーターに相談すれば書類提出による代替確認が認められる点は他社にはない特徴です。【SMBCモビットの特徴③】自宅への郵送物なしで利用可「WEB完結申込」を利用すれば申込から審査、利用まですべてネットのみで完結し、電話やカードの発行、契約書類の郵送なしで利用できます。ただし、WEB完結申込を利用するには三井住友銀行・三菱UFJ銀行・ゆうちょ銀行いずれかの口座が必要です。SMBCモビット・カードローン概要2019年5月31日時点SMBCモビットの特徴まとめ最短30分審査・即融資可急ぎ審査・書類提出による在籍確認可自宅への郵送物なしで利用可プロミス(SMBCコンシューマーファイナンス)プロミス「プロミス(SMBCコンシューマーファイナンス)」もSMBCグループの消費者金融です。【プロミス(SMBCコンシューマーファイナンス)の特徴①】最短60分融資融資完了まで最短60分、平日14:50までに手続きが終了すれば当日中に振り込まれます(金融機関によっては24時間可)。【プロミス(SMBCコンシューマーファイナンス)の特徴②】自宅への郵送物なしで利用可「カード郵送希望なし」「WEB明細」を選択すれば自宅への郵送物はなく、WEB上で契約が完結します。【プロミス(SMBCコンシューマーファイナンス)の特徴③】初回利用時に30日間無利息特典初回利用時に限り、初回利用日翌日から「30日間無利息」の特典を受けられます。プロミス・カードローン概要2019年5月31日時点プロミス(SMBCコンシューマーファイナンス)の特徴まとめ最短60分融資自宅への郵送物なしで利用可初回利用時に30日間無利息特典[adsense_middle]アコムアコム「アコム」は三菱UFJフィナンシャル・グループ(MUFG)の消費者金融です。【アコムの特徴①】最短30分審査・即融資可本審査完了まで最短30分、審査完了メールからの契約手続き完了後最短1分で指定口座に振り込まれます(指定した金融機関・曜日によっては翌営業日となる場合あり)。【アコムの特徴②】自宅への郵送物なしで利用可利用明細はWEB明細を選択できますが、カードは郵送されます。自宅以外での受取を希望する場合には自動契約機または店頭窓口での受取を選択できます。【アコムの特徴③】初回契約時に30日間金利0円特典初回契約時に限り、契約翌日から「30日間金利0円」の特典を受けられます。アコム・カードローン概要2019年5月31日時点アコムの特徴まとめ最短30分審査・即融資可自宅への郵送物なしで利用可初回契約時に30日間金利0円特典アイフルアイフル「アイフル」は東証1部上場、他の金融グループなどに属さない独立系の消費者金融です。【アイフルの特徴①】最短30分審査・即融資可本審査完了まで最短30分、審査完了後スマホアプリを利用したATM借入や振込などの方法ですぐに融資を受けられます。【アイフルの特徴②】自宅への郵送物なしで利用可WEB契約時に「カードレス」「口座振替(自動引落)を選択すれば、自宅への郵送物なしで利用できます。スマホアプリがカードとなり、セブン銀行ATMで原則24時間365日借入・返済できます。【アイフルの特徴③】初回契約時に30日間無利息特典初回契約時に限り、契約翌日から「30日間無利息」の特典を受けられます。アイフル・カードローン概要2019年5月31日時点アイフルの特徴まとめ最短30分審査・即融資可自宅への郵送物なしで利用可初回契約時に30日間無利息特典即日融資可能なカードローンに関するまとめどうしてもすぐにお金を用意しなければならない場合、即日融資可能な消費者金融は便利です。ただし審査に通らず融資を受けられないケースや、勤務先が休みで在籍確認がとれない、審査回答時間外などの理由で融資が翌営業日以降となるケースもあり、必ず即日融資を受けられるとは限りません。また借入金額が大きくなれば利息負担も大きくなります。カードローンを利用する際には必ず正規の業者を利用し、できる限り短期的な利用に留めることが大切です。
2019年06月11日「知られていないだけで、老後の生活で、いざというときに役立つ公的制度はいくつもあります。とくに、介護費や医療費の自己負担額を軽減できる制度は知っておいたほうがいいでしょうね」こう語るのは生活総合情報サイト「All About」ガイドの介護アドバイザー・横井孝治さん。“人生100年時代”といわれるなか、自分の老後に不安を抱えている現役世代も多いだろう。特に、長い老後に備えるためにいったいいくら貯めればいいのか、頭を悩ませている人も多いのでは?しかし、そんな不安を和らげる公的制度は、じつは多数存在する。これらを賢く使いこなせば、老後の支出を減らし、おトクな生活ができると、横井さんは解説する。「老後の介護費、医療費の自己負担額を軽減するステップは3段階に分けられます。まず、介護保険と医療保険を利用すると、利用者の所得に応じて、自己負担は1~3割で済む。これを建物にたとえると1階部分にあたります。ところが、多くの医療、介護サービスを受けると、それでも負担額はかなり大きくなります」(横井さん・以下同)そこで利用できるのが、一定の金額以上の自己負担額が払い戻される制度。「医療保険には『高額療養費』、介護保険には『高額介護(予防)サービス費』という制度があります。どちらも所得に応じて自己負担の上限額を定める制度で、もし上限額を超えてしまった場合、自治体に申請をすれば、超過した分が後で払い戻されるのです。これが建物でいう2階部分なのです」さらに、これらの支給を受けても、まだ自己負担が苦しいという場合、最後は3階部分にあたる「高額介護合算療養費」という制度が存在する。「これは、同一世帯で医療保険と介護保険の自己負担額を合算して計算し、限度額を超えた場合は、超えた分が支給されるもの。かなり助かる制度です」たとえば、住民税課税世帯の75歳以上の平均的な年金収入のある夫婦なら、夫が高額介護サービス費(自己負担の限度額が年間44万6,400円)、妻が高額療養費(入院を含む自己負担の限度額が、年間57万2,400円)をフルで利用した場合、1年間で合計101万8,800円の自己負担額に。しかし、高額介護合算療養費制度を利用すると、限度額56万円を超えた、45万8,800円が支給されるので、ほぼ半額の負担で済む。ただし、夫婦の年齢が離れていて、妻が国民健康保険で、夫が後期高齢者医療保険といった場合、単純に合算できず、複雑な計算が必要になるので注意が必要だ。老後を助ける公的制度はまだまだある。将来への不安を抱えている人は、老後資金を助ける制度を覚えておいても損はない。■老後資金を助ける制度【生活福祉資金貸付制度】低所得者や障害者、65歳以上の高齢者世帯を対象に、全国の社会福祉協議会が実施する貸付制度。たとえば、介護サービスを受けるために必要な経費や生計を維持するための資金の貸し付けなどを行っている。保証人、用途や金額などによっては無利子になる場合も。【不動産担保型生活資金】「生活福祉資金貸付制度」のひとつで自宅を担保にお金を借りられる。貸付限度額は土地の評価額の70%程度で、月30万円以内。貸付期間は借受人の死亡時、あるいは貸したお金と利息が限度額に達するまで。貸付利子は年利3%、または長期プライムレート(現在1%)のいずれか低い利率。【年金担保融資】年金受給者が対象。たとえば、年金収入が200万円であれば、160万円まで融資される(年金額の0.8倍以内)。急な入院などで、まとまったお金が必要になったときに借りられる。返済は2年6カ月以内で、年金支給額から差し引かれる。1回あたりの返済額は年金支給額の3分の1以下で1万円単位。【年金の繰上げ受給】老齢年金は原則として65歳からの受給だが、希望すれば60歳から繰り上げて年金を受けることができる。ただし、繰上げ支給の請求をした時点(月単位)に応じて年金が減額され、減額率は一生変わらない。1カ月繰り上げるごとに0.5%減。60歳まで繰り上げると30%減。また、高齢者になれば、公共交通機関の割引制度や、運転免許を返納した場合の特典なども受けることができる。これらを活用すれば、現役世代よりも生活費を減らすことができるのだ。■公共料金の割引など【シニア向け優待サービス】映画館や美術館のシニア割引が身近だが、公共交通機関にも、シルバー会員制度などがある。たとえばJR西日本の「ジパング倶楽部」は、女性は60歳から3,770円の年会費で加入ができて、年間20回まで全国JRのきっぷを最大30%引きで購入できる。【シルバーパス】各自治体が発行しているシルバーパス。バスを無料、あるいは少ない額で利用できる。取得できる年齢や負担金は自治体によって違う。【免許返納特典】運転免許証を自主返納すると、運転経歴証明書の交付を申請できる。これを所有している高齢者は、タクシー代の割引や、デパートの配送料が無料になったり、指定の商店などでの買い物が割引される。特典は、各自治体によって異なる。「元気なうちはいいですが、病気や介護が必要な状態になれば、想像以上にお金がかかります。有料老人ホームなどの施設に入る場合、入居一時金などを含めてトータルで1,000万円を超えることも多い。限られた老後資金を有効に活用するためには、公的制度を利用し、無駄な費用をどうやって抑えるかが大切になってきます」逆に、老後資金の計画を立てるときは、こういった制度の活用を前提にしよう。そうすれば、“人生100年時代”とはいえ、天文学的な金額にはならないはずだ。
2019年03月25日保険会社はとにかく不安をあおって、不要な保険に勧誘しがち。為替リスクがあったり、そもそも手数料が高く設定されていたり、公的な制度で十分なことも。大事な虎の子、奪われないで!「『2人に1人はがんになる時代です』と言われると不安のあまり、医療保険やがん保険に入りたくなります。さらに、『預金ではお金が増えません』と言われ、老後資金を準備するため、終身保険などに入る人もいます。長生きリスク、認知症などあらゆる“不安”をかきたてられて、営業マンに勧められるまま、たくさんの保険に加入し、1カ月で何万円も費やしている人を見かけます。老後が長くなるこれからの時代、なるべく早いうちに『本当に必要な保険』を見極める必要があります」そうアドバイスするのは、『「保険のプロ」が生命保険に入らないもっともな理由』(青春新書プレイブックス)の著者で「保険相談室」代表の後田亨さん。すべての保険が「ムダ」というわけではない。たとえば、自転車の賠償責任保険や、火災に備える保険など、巨額のお金が必要になるケースには保険が役立つという。「子どもが大学を卒業するまでといった一定期間の死亡に備える『定期保険』、病気で長期間仕事ができなかったときに備える『就業不能保険』、または相続対策のために加入する『終身保険』などは、検討に値する保険といえますが、ほかの保険はどうしても必要とは思えません」(後田さん・以下同)必要性が疑われる保険に保険料を支払い続けるよりも、貯蓄も含めて、有効なお金の使い道を選んだほうがいいという。「子どもが独立する前であれば、生活費や学費がかかりますので、公的な遺族年金の不足分を死亡保険金でまかなう、という方法もありますが、すでに独立していれば、妻の生活費だけ考えればいいので、保険は必要ないでしょう。まずは受け取れる遺族年金がいくらになるか計算すること」遺族は受け取る死亡保険金は、一定額、非課税になるので、終身保険は相続対策には有効だが、葬式を挙げる程度の死亡保険金であれば、中途解約時にお金が減るリスクなどもあるので、現金で持っていてもいいという。■“2人に1人はがんになる”と病気への不安をあおる言葉に注意入院一時金、入院・手術給付金などが受け取れる「医療保険」も不要だという。加入が義務づけられている健康保険によって、治療費に何十万円、何百万円とかかっても、治療費の自己負担額3割の上限を超えたら、超過分が払い戻される「高額療養費制度」が使える。平均的な所得の世帯で1カ月100万円の医療費がかかったとしても、自己負担分は約9万円で済む。「最近は入院期間が短くなってきているので、入院給付金が受け取れるタイプの医療保険に加入しても、保険を請求する機会が減ってきています。また、『2人に1人はがんになる時代』と、がんへの不安をあおって、『がん保険』への加入も勧められますが、そもそも2人に1人ががんにかかるのは、男女ともに80歳以降からなのです。しかも、高額療養費制度はがん治療にも適用されます。複数の保険会社の調査や医療関係者の情報では、一般的な費用負担は50万円程度のことが多いです」最近は、「65歳以上の5人に1人は認知症になる」などと認知症へのリスクに備える「介護・認知症保険」が登場している。認知症と診断されたら一時金がもらえる、年額60万円など年金で受け取れるタイプがあるが、50代以降で加入すると保険料が高くつく。また、現在50歳の人が加入したとすると、認知症になって一時金が受け取れるのは30年ぐらい先の話なので、お金の価値も変わり、医療も進歩している可能性がある。加入後の健康状態で保険料が再計算されたり、還付金が受け取れたりする「健康増進型」の医療保険もあるが、健康増進のための努力は保険契約に縛られなくてもいいはずだ。それでも医療保険に入りたいという人には、保険料が掛け捨ての「都道府県民共済」がある。「『入院保障2型』では、月々2,000円の掛金で、1日1万円の入院給付金があります。剰余金は『割戻金』として、例年30%くらい、加入者に還付されていますから、実質的な掛金は月1,400円程度で済みます。老後までの期間、共済で負担を抑え、その後は健康保険を利用するのが一番と考えても大丈夫です」公的保険や公的年金など、将来受け取れるお金を計算してみると、それを補う預貯金があれば十分だということがわかる。さまざまな“不安”をあおる言葉に気をつけて!
2019年02月20日過去に大病を患った人でなくても「高額療養費制度」は必ず知っておくべき知識。制度を熟知することで、あなたの“老後の不安”が一つ消えるかもしれない--。「重篤ながんになったとしても“医療費が払えなくて苦労した”という声はあまり聞きません。日本には『高額療養費制度』という、収入に応じて上限を設けて医療費の負担を抑えてくれる制度がありますから、一般的な保険診療であれば“実費で数百万円”なんてことにはならないのです」こう語るのは、NPO法人「がんと暮らしを考える会」理事長・看護師の賢見卓也さん。「ただし、すべて“病院におまかせ”というわけにはいきません。基本的に、こういった制度は、加入者自らが保険者(健康保険組合や協会けんぽ、国民健康保険など)に申請する必要があるからです。とりわけがん患者となると、診断直後は、家族みんなで慌ててしまうこともあるでしょう。だからこそ、元気なうちから、医療費についての制度とその手続きの仕方について十分に知っておいていただきたい」賢見さんと社会保険労務士で同会理事でもある石田周平さんの2人に、月収に応じて5つに区分されている「自己負担限度額」について教えてもらった。【「自己負担限度額」の早見表】医療費100万円、自己負担(窓口支払い)30万円(3割適用)の場合□所得区分(ア)標準報酬月額:83万円以上(報酬月額81万円以上)/自己負担限度額:25万4,180円、支給額:4万5,820円/多数回該当の限度額:14万100円□所得区分(イ)標準報酬月額:53万~79万円(報酬月額51万5,000円以上~81万円未満)/自己負担限度額:17万1,820円、支給額:12万8,180円/多数回該当の限度額:9万3,000円□所得区分(ウ)標準報酬月額:28万~50万円円(報酬月額27万円以上~51万5,000円未満)/自己負担限度額:8万7,430円、支給額:21万2,570円/多数回該当の限度額:4万4,400円□所得区分(エ)標準報酬月額:26万円以下(報酬月額27万円未満)/自己負担限度額:5万7,600円、支給額:24万2,400円/多数回該当の限度額:4万4,400円□所得区分(オ)低所得者・市区町村税の非課税者など/自己負担限度額:3万5,400円、支給額:26万4,600円/多数回該当の限度額:2万4,600円※「報酬月額」は一般的な月収。過去1年間に3カ月以上の自己負担限度額を支払った場合、4カ月目から「多数回該当」となり、月当たり上記減額が適用される。監修:石田周平さん「自己負担限度額」について、詳しい数字を見ていこう。■自分の収入から「自己負担限度額」を確認する「高額療養費制度では、基本的に『自己負担限度額』以上を支払う必要はありません。たとえば月収50万円の世帯であれば、医療費が100万円かかったとしても、1カ月の上限である8万7,430円で済むわけです」(石田さん)その仕組みは、「自己負担限度額」の早見表のとおり。条件はすべて「医療費100万円、自己負担30万円」の場合だ。月収(報酬月額)は、区分(ア)「81万円以上」から(オ)「低所得者や非課税者」までの、5段階に分かれているので、自分が該当する世帯区分を確認してみてほしい。たとえば区分(ウ)は月収27万~51万5,000円の世帯が対象で、標準報酬月額は28万~50万円となり、自己負担限度額は8万7,430円になるとわかる。つまり自己負担の30万円から自己負担限度額8万7,430円を差し引いた21万2,570円が、高額療養費の支給額となる。■「戻ってくるお金がゼロ」になるケースがある「医療費は、すべて『暦月単位』(2月なら「1~28日」まで)で計算されます。たとえば月をまたいで翌月まで入院などをした場合は、当月と翌月の医療費が発生することになり、それは高額療養費の考え方では合算されません。するとそれぞれの月で自己負担限度額に満たないケースが生まれ、高額療養費の制度は使えなくなってしまうのです」(石田さん)医療費50万円、自己負担(窓口支払い)計15万円(3割適用)、自己負担限度額8万2,430円の場合。月またぎで治療した場合、自己負担額の合算はできない。全額を月の1日~末日に支払えば6万7,570円還付されるが、月を真ん中でまたぐと0円に!そうなるとこの約7万円の差に“月初めの入院や月末の退院”を希望する人もいるかもしれないが、賢見さんは「それはおすすめできない」として続ける。「あくまで病気などの治療が目的ですから、“1日から入院”など計画的手段がいいはずがない。必ず医師に相談してください」
2019年02月13日病院などにおいて手術を受けたり入院をした場合、高額な料金の支払いをすることがありますが、その支払った代金の一部が返金される制度があります。この払いすぎた医療費が返還される制度のことを「高額療養費」といいます。高額療養費は、健康保険・国民健康保険のいずれの制度に加入している人であっても利用することが出来る制度ですが、制度が複雑であるため、なかなかイメージが出来ないことが多いかと思います。さらに、平成28年より法改正が行われて、高額療養費制度の区分が細分化されました。今回は、高額療養費制度の具体的な仕組み、どのような場合に申請することが出来るかといったことについて、近年改正が入りより細分化されたため、その点を踏まえて解説します。高額療養費とは高額療養費とは、同一月(1日から末日まで)にかかった医療費の自己負担額が高額になった場合において、一定の金額(自己負担限度額)を超えた分が、あとから払い戻される制度です。なお、70歳未満の人については、医療費が高額になることが事前にわかっている場合(長期入院が必要な病気やケガなどをしてしまった場合など)については、「限度額適用認定証」を提示することで高額療養費の請求をすることが出来ます。70歳未満の場合の高額療養費70歳未満の場合の高額療養費については、基本的には外来診察等で支払った医療費と入院等で支払った医療費の自己負担分の合計額が、自己負担額の上限額を超えている部分について高額療養費の支払いが行われる仕組みとなっています。つまり、同一月における医療費について、外来診療で支払った自己負担分と入院などで支払った自己負担分を合算した自己負担分が自己負担分の上限額を超えるかどうかで、高額療養費の支給が行われるかが判定されます。なお、1年間に4回以上高額療養費の支給が行われる場合は多数回該当といい、4回目以降の高額療養費の自己負担額の上限額の基準が変わります。70歳以上75歳未満の者の場合の高額療養費70歳以上75歳未満の者の場合の高額療養費は、70歳未満の人の場合とは異なり、外来診療などで支払った自己負担額と入院などで支払った自己負担額を分け上限額が設定されています。そのため、医療費の自己負担額が外来診療によるものなのか?それとも、入院などによるものなのかで、自己負担額の上限額が異なります。高額療養費の算定基準額高額療養費の算定基準となる金額は、標準報酬月額(保険料の算定の基準となる報酬月額)や報酬月額(実際の総支給額の給与や賞与などの合計を12で除して得た金額)がいくらになるかによって区分が異なります。70歳未満の者の場合70歳未満の場合、自己負担額の上限の区分は、標準報酬月額や報酬月額によって、大きく5つの区分に分かれています。70歳以上75歳未満の者の場合70歳以上75歳未満の場合、自己負担額の限度額も70歳未満と同様に所得状況によって区分されていますが、大きく4つの区分に分かれています。なお、自己負担限度額の計算は、外来分のみの場合については個人の自己負担額の合計で判断されますが、外来の自己負担額と入院等の自己負担額を合算した場合は、世帯全体で自己負担限度額の判定を行う仕組みになっているので注意が必要です。つまり、外来診察等で支払った医療費については、個人の支払額の合計額で判断されるが、入院等の費用が発生した場合については、世帯家族全体の医療費の自己負担額の合計で自己負担限度額を判断することになります。高額療養費の申請の流れ高額療養費の申請方法には「事前申請」と「事後申請」の2通りあります。いずれの方法であっても、申請先が保険証に記載されている保険者(協会けんぽであれば全国健康保険協会、健康保険組合であれば、保険証に記載されている健康保険組合)となります。事前申請の場合事前申請の場合は、保険者に健康保険限度額適用認定書申請書(協会けんぽの場合)を提出することで、「限度額適用認定証」の交付を受けます。その後、医療機関等で医療費を支払う際に限度額適用認定証を提示することで、自己負担額の上限までの支払いを行い、超える部分については支払わなくてもよいという流れとなります。(つまり、事前に自己負担額の上限がいくらですという証明書を発行することで、後から払い戻しの手続きに関する手間と時間を省略することができます事後申請の場合事後申請の場合は、いったん医療機関で医療費(10割)の支払いを行い、その後、高額療養費支給申請書と必要な書類(実際に支払った金額が証明できるものなど)を保険者に提出することで、払いすぎた部分の金額の償還払い(払い戻し)を行う手続きを行う方法です。つまり、事後申請の場合は先に医療費の支払いを行った後で、払いすぎた部分の金額については、事後精算という形で払い戻しが行われる方法で高額療養費の支払いが行われます。また、事後申請の場合、医療機関のレセプトの審査等を経て、通常であれば約3ヶ月後に払い戻しが行われるため、事前申請に比べると高額療養費が支払われるまでに時間がかかります。高額療養費制度まとめ高額療養費制度は、入院などをしたことにより高額な医療費の支払いにおいて、自己負担額を抑えることができる制度です。申請の方法については、現在加入している健康保険の保険者によって異なるため確認をしたうえで申請を行うようにしてください。高額療養費は事前申請をする場合と事後申請をする場合とでは、申請の流れが異なるだけでなく、実際に医療機関の窓口で支払う金額にも大きな差が出ます。そのため、医療費が高額になることが事前に予測できるようであれば、事前申請をすることで、自己負担限度額までの負担で済むため、経済的負担を軽減することも可能です。なお、高額療養費の対象になる医療費の支払いと対象にならない医療費の支払いがあり、年齢や所得状況によって、自己負担額の上限額が異なります。高額療養費は仕組みが複雑な部分が多いため、基本的な部分については上記に記載した内容を確認していただければ充分対応できるようになっていますので、しっかりと確認の上、制度を有効に活用することが重要になってきます。
2019年01月21日児童福祉制度とは、児童福祉法を基本として、様々な行政機関や施設、専門職の働きや実践によって推進される制度で、具体的には「保育子育て支援」「健全育成」「母子保健対策」などの施策があり、妊娠・出産に関する福祉だけでなく、育児を行っている世帯まで、幅広い世帯においてかかわりが深い制度といえます。今回は児童福祉制度の一つであり、もっとも身近に感じることが出来る給付の「児童手当」の制度の仕組みについて説明します。子どものいる世帯の経済的支援を行う「児童手当」の仕組み児童手当は、児童がいる世帯に対して、子の年齢、子の人数に応じて支給される金額が変わります。この児童手当は、過去には「こども手当」という名称で支給されていたこともありますが、現在では、児童手当として支給されています。対象者児童手当は、15歳に達した日後最初の3月31日までにある子(つまり、「中学卒業するまでの子」のことで、「支給要件児童」といいます。以下同じ)がいる世帯に対して、その子の年齢、人数に応じて市町村から支給される給付で、毎年2月・6月・10月にその前月までの4か月分をまとめて支給されます。児童手当の支給要件次の①~⑤のいずれかに該当する者に支給されます。①父母等中学卒業前の児童である子を監護(児童の面倒を見ており、通常必要な監督保護を行っていること)する必要があり、かつ、その子と生計を同じくする父また母、もしくは、未成年後見人であり、日本に住所がある人のこと②父母指定者日本に住所がない父母等が指定する人のうち、その父母等が仕送り等で生計を維持している子と同居している人で、日本国内に住所がある人(例えば、祖父母や叔父、叔母など)のこと③父母等又は父母指定者のいずれにも監護されず、または、これらと生計を同じくしない支給要件児童を監護し、かつ、その生計を維持する者であって、日本国内に住所を有するもの簡単に言うと、「両親が離婚等をして別居しており、生計を同じくしていない場合」に児童と同居している人のこと④施設等受給資格者何らかの理由によって里子として出された子を監護している里親等、または、障害児入所施設に入所している支給要件児童がいる施設の管理責任者のこと⑤所得制限(2019年度)世帯の所得の合計金額が以下の金額未満であることが必要です。なお、所得制限の判断基準は所得(給与所得控除語の金額)がいくらになるかで判断されます。なお、今までは所得制限を超えた世帯であっても児童1人当たり5,000円の特別支給が行われていましたが、2019年度は廃止されます。扶養親族がいないとき年収:833.3万円(所得:630万円)扶養親族が1人年収:875.6万円(所得:668万円)扶養親族が2人年収:917.8万円(所得:706万円)扶養親族が3人年収:960.0万円(所得:744万円)扶養親族が4人年収:1002.1万円(所得:782万円)ひとり親+扶養親族が0人(子供1人)年収:833.3万円(年収:622万円)児童手当の額児童手当の額は子どもの人数や年齢によって異なり、1月当たりの金額で規定されており、4か月分を2月・6月・10月の年3回にその前月分(2月:10~1月、6月:2~5月、10月:6~9月)を支給されます。ただし、15歳に達した日後最初の3月31日以降になる子がいる場合は、その子については支給の対象とはなりません。①3歳未満の子15,000円×該当する支給要件児童の数②3歳以上小学校卒業までの子2人目まで10,000円×該当する支給要件児童の数3人目以降15,000円×該当する支給要件児童の数③小学校卒業後中学校卒業までにある子10,000円×該当する支給要件児童の数児童手当の額の具体例①14歳・10歳・6歳の場合10,000円+10,000円+15,000円=35,000円/月②17歳・14歳・10歳の場合10,000円+10,000円=20,000円/月※第1子が15歳に達する日後最初の3月31日を過ぎており、児童手当の支給対象児童とはならないため、支給対象児童である第2子と第3子が児童手当の支給額の計算の対象となります。③17歳・16歳・14歳の場合10,000円/月※第1子と第2子が15歳に達する日後最初の3月31日を過ぎており、児童手当の支給対象児童とはならないため、支給対象児童である第3子の10,000円/月が児童手当の金額となります。児童手当を支給するために必要な手続き児童手当は、支給手続きを忘れてしまうと遡及(過去にさかのぼること)して支給を受けることが出来ないため、必ず手続きができるようになった時に行うことが必要です。支給手続きで必要なもの児童手当の支給手続きをするときに必要になるものは以下に挙げるものが必要です。児童手当認定請求書申請者の健康保険証の写し申請者名義の振込先口座のわかるもの申請者の印鑑支給手続きの注意点具体的に支給手続きを行う際の注意点は、以下のようになります初めて子が生まれた場合子が生まれて、児童手当の支給対象児童となった日の翌日から15日以内に市町村に申請手続きをする必要があります。2人目以降が生まれた場合その子を出産した日の翌日から15日以内に市町村に申請手続きをする必要があります。引越しをして住所が変わったとき転入日(転出予定日)の翌日から15日以内に市町村に申請手続きをする必要があります。公務員になった場合基本的に勤務先である市町村に対して申請手続きを行いますが、新たに公務員になった場合、または、公務員を辞めた場合は、その事実があった日の翌日から15日以内に住所地の市町村に対して申請手続きを行う必要があります。まとめ児童福祉制度の一つである、子供・子育てに関する支援制度の一つとして児童手当があります。児童手当は、子が生まれた世帯に対する経済的支援を行うことで「生活の安定を図ると共に、次代の社会を担う児童の健やかな成長に資することを目的とする(児童手当法1条)」とされている制度です。児童手当は、子供の年齢や人数によって支給される金額が異なり、また、世帯合算の所得によって制限がかかることがあります。さらに、自治体によっては児童手当以外にも、児童福祉に関する給付が行われているところがありますので、今、お住いの自治体が子供の育成に関する給付として、どのような支援を行っているのかを改めて確認することは重要なことといえます。児童手当の制度などを理解したうえで、妊娠・出産・育児を包括的に考えたうえで、今後のライフイベントをどのように計画していくべきかを、改めて考えてみるといいでしょう。
2018年12月29日働く女性にとって、妊娠・出産・育児は人生における大きなライフイベントとなります。そのため、妊娠・出産・育児における、法制度がどのようなものがあるのかを把握したうえで、今後のライフイベントにおける影響に対する備えをすることが重要になってきます。近年の法制度は、働く女性を意識した内容へと改正が進んでおり、これからのライフイベントを考えていくうえでも、押さえておいてほしい内容が増えてきました。今回は、妊娠・出産・育児について、具体的な法制度を説明したうえで、今後のライフイベントに向けてどのように備えるべきかについて解説します。妊娠・出産・育児にまつわる法制度を理解することが大切労働環境から見た「妊娠・出産・育児」にまつわる法制度は、労働環境の変化などにより進化しています。そのため、常に新しい情報を確認したうえで、今後のライフプランを計画していくことが必要となります。妊娠・出産・育児を理由として会社を休む場合は、会社の規定にもよりますが、無給(つまり、「休んでいる間は給料は出ない」ということ)のところが多く、有給休暇として扱われるところもあったりしますが、これらについては、会社の「就業規則」等の規定を確認してください。妊娠・出産にまつわる法制度妊娠・出産に関する規定は、主に「休業に関する規定」「各種保険料の取り扱いについての規定」「給付に関する規定」などが規定されています。具体的な規定の内容については以下の通りになります。労働環境に関する法制度労働環境に関する法的な制度としては、労働基準法があります。労働基準法は労働に関する基本的な原則部分について規定されているもので産前産後休業についても規定があります。労働基準法では、基本的に「産前6週間から産後8週間の期間については働かせてはならない」(労働基準法65条)と規定されており、産前産後期間においては労働をさせることはできないとされています。しかし、産前産後休業期間中の賃金等に関する規定は労働基準法には明確な規定がありません。そのため、会社の就業規則などに準拠した形で取り扱われることになります。保険料免除等で経済的負担の軽減などを図る規定産前産後休業期間中の社会保険の保険料負担は、非常に大きな負担といえます。そこで、この期間における経済的負担を軽減するために、出産に関する給付や保険料の免除といった制度が規定されています。健康保険法については、給付に関する規定として「出産手当金」「(家族)出産育児一時金」があります。また、保険料に関する規定では、「産前産後休業期間中の保険料は免除される」という規定(厚生年金保険法での同様の規定があります。)があり、妊娠・出産に関する経済的な負担を軽減する規定が設けられています。育児にまつわる法制度育児に関する規定は、育児休業の制度に関する規定や保険料の免除など、育児休業をしている期間に受けることが出来るメリットの規定も多く、また、労働に関する規定などもあります。育児休業の制度育児休業の基本的な考え方については、労働基準法では明確な規定はされていませんが、別で法的に明確にしたものが「育児介護休業法」です。育児介護休業法は、育児休業・介護休業に関する規定が定められています。育児休業に関しては、この育児介護休業法の内容をベースに制度が定められているため、この制度をしっかりと理解することが、育児休業を有効に取得し、活用することにもつながります。また、育児介護休業法では、育児を行っている人に対する労働環境の改善を図るために、労働時間の短縮措置を行うことについても規定されています。この規定は、3歳に満たない子を養育する労働者に対して、会社が一定の要件に該当する者を除き、対応しなければならない規定となっています。育児休業に係る給付制度育児休業に係る給付制度としては、雇用保険や児童手当法などで規定されています。雇用保険法では、育児休業中の被保険者について、「育児休業給付金」という給付を行う制度があります。これは、育児休業中の所得補償を行うことで、育児休業後の社会復帰を容易にすることを趣旨とした制度とも言えます。児童手当法では、15歳に達した日後最初の3月31日までにある子(つまり、中学卒業までの子のこと)がいる場合に、その子の人数に応じて児童手当を支給することで、家計の経済的負担の軽減を図るようにしています。保険料免除等による経済的負担の軽減を図るための規定産前産後休業の場合と同様に育児休業期間中においても、健康保険・厚生年金保険の保険料を免除する規定があります。育児休業期間中については、一定の要件を満たした場合であれば、最長で子が3歳になるまでの期間の保険料について免除されます。産前産後休業・育児休業を取得するうえでの注意点産前産後休業・育児休業は、法律上規定された公的な制度ですが、これらを取得する際に注意しなければならない点があります。例えば、「休業している期間中の収入をどうするのか?」「いつまでに会社に申告をしなければならないのか?」といったことがあります。産前産後休業を取得する上での注意点産前産後休業については、産前休業と産後休業では、法的な規定に若干違いがあるため、取得するうえで注意が必要な部分があります。産前休業の場合産前休業は出産予定日から6週間前の期間から取得することが出来ますが、会社は必ず休業を取得させる必要がない(休業を義務付ける規定ではないということ)ため、自身の申出をしなければ産前休業が出来ません。(実際のところ、申し出がなくても産前休業を予定日の6週間よりも前から取得させる会社もあります)産後休業の場合産後休業については、出産の日から6週間の期間については必ず休業させなければならないとされている点で、産前休業とは大きく違います。また、産後休業について、産後6週間を経過した日後については、医師の診察等を受けたうえで、労働をしても支障をきたさないという意見がもらえた場合には、職場復帰をすることも可能です。(原則としては、産後8週間は労働させてはなりません。)育児休業を取得するうえでの注意点育児休業についても、産前産後休業の場合と同様に、取得をするうえで注意しなければならない点があります。母親が育児休業を取得する場合育児休業は原則として「最長1年間まで」とされていますが、これは「産後休業期間」と「育児休業期間」の合計が1年まで育児休業を取得することが可能とされていますので、育児休業のみで1年間取得することが出来るわけではない点に注意が必要です。父親が育児休業を取得する場合父親が育児休業を取得した場合についても、原則として、育児休業期間は「最長で1年」となります。ただし、父親の育児休業の取得時期が「(母親の)産後休業期間」が終わった後に、母親が先に育児休業を取得している場合は、例外的に「子が1年2か月になるまでの期間内」であれば、育児休業の取得可能となります。(育児休業の取得可能期間は最長で1年です)まとめ妊娠・出産・育児に関する制度は、労働環境自体を改善するために規定や、保険料免除や給付の支給などによる経済的負担の軽減を図る規定など、様々な規定があります。しかし、実際に育児休業を取得している人の割合は「女性が約90%、男性が約1%」と圧倒的な差が出ています。しかし、近年では男女共働き世帯が増えてきていることもあり、育児休業自体を取得する人が減少しているようにも感じます。これらの制度を理解することで、一人でも多くの人が快適なワークライフバランスを実現できるようになることが大切だと考えます。
2018年12月23日「財形制度」という言葉を聞いたことがあるでしょうか?「勤労者財産形成促進制度」を略したもので、勤労者財産形成促進法に基づき、会社が雇用する社員の財産づくりを国とともに支援する制度です。「財形制度」を導入している企業の社員は、結婚やマイホーム購入など、あらゆるライフイベントに備えて給与天引きで確実に貯蓄できる「財形貯蓄制度」や財形貯蓄残高に応じて長期・低利・公的な住宅ローンが組める「財形持家転貸融資制度」などを利用することができます。今回はこの「財形制度」にまつわるお話です。■ 不動産会社に聞かれて存在を知った「財形制度」昨年、会社員の夫名義での戸建て購入の際に初めて財形制度の存在を知った筆者。欲しい家が決まり、さあ次は住宅ローンをどの銀行から借りようかと考えていた際、不動産会社から言われた「ご主人の会社は財形制度を導入されていますか?」の一言。財形制度を導入している会社で1年以上財形貯蓄をしているなど特定の条件を満たしていれば、年利率がなんと0.7%前後で住宅ローンが組めると聞きました。さらに中小企業勤労者や18歳以下の子どもを育てている勤労者であれば、金利引き下げ特例措置があるとのこと。なんと、はじめの5年間はここからさらに0.2%も低い固定金利で融資が受けられるんです。これはすごく安い!さらに、ほかの公的融資や「フラット35」との併用も可。結局、筆者夫の会社は財形制度に加入していなかったため、財形制度は諦め、中央労働金庫(ろうきん)で借りることになりました。ろうきんでも他銀行と比べたら金利は安かったのですが、それでも財形制度で借りた方が遥かに安い金利だったことは事実。「なんで夫の会社は財形制度を導入していなかったんだ~!」と思ってしまいました。■ 財形制度で借りた資金は新築購入、中古購入、リフォームに使える財形制度で住宅ローンを借りる時には、このように低金利という最大のメリットがありますが、実は注意したい点もあります。Naoaki / PIXTA(ピクスタ)それは、借入可能額に制限があること。具体的には、申込日における一般財形貯蓄・財形住宅貯蓄・財形年金貯蓄の残高(合計)の10倍の額(最高4,000万円)、もしくは担保等の状況に応じて、住宅の建設・購入に必要な額および土地の取得(整備を含む)に必要な額(所要額)の90%以内の額、またはリフォームに必要な額(所要額)の90%以内の額の、いずれか低い金額が融資限度額になります。筆者宅は4,000万円を超える住宅ローンを借りたので、この限度額をオーバーしていましたが、もし財形制度を利用できていたら予算を少し下げて家探しをリスタートしたかもしれません。ローン返済に追われる今となると、それくらいこの低金利は羨ましいポイント。makaron* / PIXTA(ピクスタ)また、財形制度で融資を受けた資金は、新築住宅の購入だけではなく、中古住宅の購入、さらにリフォーム資金までもが対象です。家が欲しい、かつ低金利で融資を受けたいといった場合には、まず家を見つけてから住宅ローンを借りる銀行を探すのではなく、財形制度の条件内で欲しい家を探すという選択も決して悪くはないでしょう。新築購入、中古購入、中古住宅購入からのリフォームと、予算内ながらも選択肢を大きく広げることができるのは、非常に大きなお金が動くマイホーム購入においては非常に魅力的です。■ 澤穂希さん出演のウェブCMもスタート!単なる積立預金にとどまらず、国と会社がともに社員の人生設計を支援するしくみとなっている財形制度。社員が利用するには、勤めている企業が財形制度を導入している必要があります。12月3日からは財形制度の認知度アップのため、2017年1月に長女を出産し、今まさに子育て真っ只中である澤穂希さんが出演するWEBのCMがスタート。「財形貯蓄制度」「財形持家転貸融資制度」についてさらに詳しく、楽しく学べます。自分の会社が財形制度を導入していると、自分自身の住宅購入のあれこれがいろいろと変わってきます。もし低金利で住宅ローンを借りたいけれども、財形制度を導入していない中小企業にお勤めの方は、上層部に掛け合ってみるもの一つの手かもしれません。【参考】※澤穂希さんが“財産づくり”を学ぶ!? 初登場の「財形」広報キャラクター・財形姉妹と見事な掛け合いを披露 「財形制度」の新WEB CM 2018年12月3日(月)より公開
2018年12月18日今回のお話は住宅ローン本審査を通過し、いよいよ融資!しかし、そこまでに、やってはいけない事をご紹介致します。ひょっとすると、「融資出来ません!」と言われてしまう事もありますので、是非ともチェックしてみて下さいね。融資実行までにやってはいけない事とは?まず、やってはいけない事を纏めました。退職転職新規借入が増える支払いが遅れる法的手続きを行う虚偽の申告がばれる病気となって団信に入れなくなる死亡してしまうなぜやってはいけないのでしょう。それぞれ理由をお話していきますね。1.退職してはいけないこれは事前審査から本審査と勤務していた会社を退職してしまった場合です。理由は明白ですね。支払い能力が無いと判断されてしまいます。職業選択の自由はあるかもしれませんが、融資実行前に退職は出来る限り避けたい所です。2.転職してはいけない上記退職よりも問題無さそうではありますが、実際には融資が出来ない事例になります。事前審査、本審査の書類には今までの勤務実績や年数、年収が記載されていました。しかし、勤務先や年収が変わる事により支払いに関する懸念が出てくる訳です。勤続年数もリセットされ1年未満となりますし、勤務先の規模も場合によっては大手から中小へと変わるかもしれません。また何より年収も以前よりも低くなる可能性も高い。もちろん貰っていないお給料をアバウトに申告しなければなりません。つまり返済能力に変化が生じた為、実行は難しくなるという理由です。3.新規借入が増える前回記事でも書きましたが、信用情報に数字の変化があった場合です。これまでの残高が減っていれば何ら問題はありませんが、逆に事前審査、本審査時よりも借入が増加している場合は要注意です。過去に住宅を購入するとご相談のあったお客様ですが、事前審査、本審査は何事も無く通過しました。しかし、次にお会いした際に??あれ?車が変わってる??代車でも無く、住宅ローン通ったから、車を購入されたとの事でした。購入方法は何とローン!!誰が見ても高級車に入る車両でしたので、そこそこ良いお値段だと思われますが、結果、融資出来ない事態になってしまったという訳です。あくまでも、審査を通過したタイミングでの借入残高で問題無いのに、そこから、上乗せで別ローンは返済能力、返済負担率に変化が生じますので、厳しいものになります。またクレジットカードでのお買い物も注意が必要です。これも借入と見なされるケースもあります。金額が少額だから大丈夫!と思っていても、何かの間違いで引落しが出来なかった場合、信用情報に異動情報が載る事も考えると、融資実行まではお買い物も控えておいた方が無難だと筆者は思います。4.支払いが遅れるこれまでに組んでいるローン等の返済が遅れ、異動情報が載ってしまったケースです。事前審査、本審査までは問題無い取引であっても、引落日を間違えていたとか、残高不足で一部引落できなかった、といった遅延情報が発生すると融資にはかなりマイナスイメージとなります。異動情報もどんな内容が記載されるかにもよりますが、払拭するまでは時間と労力を要しますので、どんな金額でもくれぐれも引落だけはきちんとしておきたいですね。5.法的手続きを行うこれは、破産や債務整理、差し押さえといった、法律に則った手続きを行ったケースです。さすがに破産や債務整理となれば、ある程度の借入がある為、事前審査で通らない事が殆どかと思いますが、場合によっては自分の借入ではなく、他人の連帯保証で返済できない為、着手するといった方もいらっしゃいます。また再三に渡る督促を無視してしまい、給与や資産等の差し押さえが実行されると、確実に融資はして貰えません。これらの情報は当然信用情報に紐づきます。結果お金に関してルーズと思われ、返済が滞る可能性は極めて高い、または出来ない為、融資直前でストップがかかってしまう事になります。6.虚偽の申告がばれるこれは事前審査の段階でやってはいけない事に該当しますが、時として、誤った情報で事前審査に臨んでしまい、後日「誤ってました」となるケース、または銀行側からの指摘です。借入を行うに当たって「金銭消費貸借契約」という契約を結びます。契約ごとに於いて、相手方を欺く行為は犯罪となってしまいます。(もちろん最初から欺く為に申し込む方はいらっしゃらないと思います)軽微なものから、重大なものまで、様々ですが、貸出金融機関は「マネーロンダリング」等にも細心の注意を払う義務があります。例え軽微であっても、重大な事態に発展させない為にも徹底的に2重3重とチェックされます。その上での指摘となると、心証も悪くなってしまいます。これくらいバレないだろうと思っていても、虚偽の申告は絶対に止めておきましょう。7.病気となって団信に入れなくなる団信とは団体信用生命保険の事で、住宅ローン債務者は加入が必須(義務)となります。これが融資条件なくらい絶対重要なんです。(住宅支援機構での借入の場合は必須ではないです)そもそも団信とは、借入している方が、万が一亡くなった際、住宅ローンの残債を保険で全て賄うものになります。大変有効な保険だと言えますが、「保険」ですので、健康状態が良好でなければ、引受すらできない事もあります。団信に入れない=融資出来ないという事になってしまします。金融機関は確実に融資金額を回収する為にこの保険加入を義務付けるわけですね。筆者も保険代理店で仕事していますが、健康状態はコントロールできません。別の話ではありますが、住宅を購入するご相談を受け付ける際に「住宅を買うタイミングはいつが良いですかね?」と聞かれる事もあります。その際には「健康であるうちに買いましょう」とお伝えします。銀行は病気した方には融資してくれません。もしかしたら、明日、大きな病気が見つかるかもしれませんし、何が起こるか分かりません。ご相談のお客様には「病気は選べません」と常々お伝えしています。いつ病気になるのか、なりたい病気はといった事は選択できないのです。だからタイミングを見計らっても、健康が阻害されていれば、住宅ローンすら通らない事もあり得ますので注意しておいて下さいね。8.死亡してしまうこれは融資実行前に亡くなるケースです。やってはいけないと言うより、予期せぬ出来事でしょうか。当然契約になりますので、契約のお相手方がいなければ契約自体成立しません。残念ながらこのケースですと融資は難しいですね。デメリットって何?ここまで、本審査での承認が覆るケースを書いてきました。余程の事が無い限り覆る事はありませんが、極めてレアなケースだと言えます。逆に上記の事が無ければ問題無いと思って頂いても構わないと思います。もしも「やってしまった!」となった場合どうなるのでしょうか?融資実行前の落とし穴!まずはハウジングメーカーや工務店さんを決めて、話はスタートします。具体的な打合せ等はここでは割愛します。お金の動きとしては、事前審査、本審査も承認、最後に金銭消費貸借契約を交わし、融資実行となります。この融資実行の前にストップがかかる訳です。もう読んでいてお分かりになった方もいるかと思いますが、住宅は完成してしまっています。つまり、ハウジングメーカーさんや工務店さんに支払いが出来なくなってしまう訳です。家は完成したのに、借りる事が出来ず、支払えない!!!!!これは大変な事ですね。こうならない様にする為にも、一事が万事だとお考え頂ければと思います。まとめ今回は審査通過後のお話を書いてきましたが、実際にあったお話でもあります。こうならない様にする為、ハウジングメーカーさん、工務店さんはアドバイスとして一言添えて下さいますが、中には担当者が経験不足で、アドバイスもままならない事だってあります。「知識は身を助ける」といった格言がある様に、知っておいて頂きたい事例でした。参考になればと思います。
2018年12月13日出産費用の負担を軽減させるための制度、出産育児一時金の直接支払制度というものを利用すると、まとまった出産費用を用意しなくて済むようになります。こちらでは、これから出産をするみなさんが安心をして、出産育児一時金直接支払制度を利用することができるように、手続きの方法や差額分について、利用するメリットなど様々なギモンについて詳しくご説明していきます。出産育児一時金の直接支払制度とは出産育児一時金とは国が定めている制度で、女性が子供を出産する際に、勤め先や夫の健康保険に入っていればその健保から、国民健康保険に加入していれば自治体から出産費用の補助として給付金が支給される制度ものです。出産する子供ひとりにつき一律42万円、加入する健保によってはさらに付加給付金が上乗せされて支給されます。ただし産科医療制度に加入していない病院の場合は減額され、40万4000円の支給となります。そして出産育児一時金の直接支払制度とは、出産時の窓口実費負担を軽減させる制度です。直接支払制度を利用すると窓口での支払いは、出産費用から出産育児一時金の42万円を差し引いた金額が請求されます。 出産育児一時金直接支払制度のメリット出産をする際に出産育児一時金直接支払制度を利用することで得られるメリットには、次のようなことが上げられます。まとまったお金を用意しなくて済む金銭的にも余裕が出て心にもゆとりができる高額になりがちな出産費用ですが、出産育児一時金直接支払制度を利用することで医療機関の窓口で支払う額が軽減されます。まとまった大きな金額を支払わずに済むので、金銭的に余裕ができ、ゆとりのある心で子育てに入ることができます。 支払い額と支給金額に差額が発生したらどうする?出産育児一時金は42万円と定められていますが、実際に掛かる出産費用は出産する病院や検査内容によって大きく変わります。出産育児一時金の42万円を超える方もいれば下回る方もおり、金額の差は医療機関や入院する部屋などにもよりますが、大きな違いは出産する地域の差になります。都道府県別の平均的な出産費用北海道427,536円石川県456,037円岡山県479,016円青森県424,054円福井県453,697円広島県475,611円岩手県450,152円山梨県477,026円山口県426,973円宮城県513,764円長野県492,076円徳島県457,491円秋田県439,574円岐阜県474,691円香川県434,345円山形県486,012円静岡県481,314円愛媛県441,567円福島県461,714円愛知県497,657円福岡県459,253円茨城県496,897円三重県489,252円佐賀県430,352円栃木県525,763円滋賀県471,587円長崎県446,221円群馬県492,802円京都府472,706円熊本県441,449円埼玉県511,750円大阪府492,944円大分県422,215円千葉県492,400円兵庫県492,866円宮崎県420,879円東京都586,146円奈良県479,864円鹿児島県426,711円神奈川県534,153円和歌山県443,955円沖縄県414,548円新潟県486,386円鳥取県399,501円富山県457,650円島根県453,170円全国平均486,376円厚生労働省保健局/出産育児一時金の見直しについて:都道府県別の平均的な出産費用について(平成24年度)pdf上記の表図をみて分かる通り出産費用はの地域差がは大きいものになりますです。出産費用出産費が全国で一番安い鳥取県の出産費平均額は399,501円に対し、出産費が全国で一番高い東京都の出産費平均額は586,146円で約19万円もの差がついています。更に鳥取県と東京都で出産育児一時金を利用した場合を比較すると、鳥取県は約2万円下回り東京都は約17万円上回ります。地域によってこんなにも差があるのです。超えた分は医療機関の窓口で出産費用出産費が出産育児一時金の42万円を超えた場合は、超えた分の金額を医療機関の窓口で支払います。下回った分は後日振込出産費用出産費が出産育児一時金の42万円を下回った場合は、差額が銀行口座へ振り込まれます。加入しているされている健保の制度保健で付加給付金がある場合のほとんどは、差額が振り込まれるタイミングで付加給付金もが上乗せされて振り込まれます。 出産育児一時金直接支払制度の申請方法42万円もの補助金が出ることや窓口で支払わなくて済む制度を利用すると考えると、出産育児一時金直接支払制度の申請は面倒な書類が必要なのではないか……と心配になるかもしれませんが、出産育児一時金の申請や手続きは原則、必要ありません。しかし、被保険者と医療機関の間で直接支払制度利用の契約を結ぶ必要がありますので、医療機関で契約に必要な書類を手渡されます。書類の内容は医療機関によって異なりますが、大きな病院などでは被保険者証(保険証)の提出と書類にサインする程度の簡単な手続きで直接支払制度の契約が完了しますので、ほとんどの医療機関では直接支払制度を利用する為の特別な準備は必要ありませんないでしょう。出産育児一時金直接支払制度を利用しない場合出産育児一時金の直接支払制度を利用しない場合は、出産費用出産費の全額を窓口で支払った後日に出産育児一時金の42万円を受け取る流れになり、ご自分が加入している健康保険保険が定めている書類を提出し手続きを行う必要があります。また、海外で出産をした方も同様の手続きが必要です。直接支払制度の利用出産費用支払い受取利用する42万円以下窓口の支払いなし42万円の差額と付加給付金(制度がある場合)を受け取り42万円以上出産費用から42万円を差し引いた額を窓口で支払い付加給付金(制度がある場合)を受け取り利用しない–出産費用の全額を窓口で支払い42万円に付加給付金(制度がある場合)を上乗せで受け取り 予め確認が必要!負担が大きくなるケース出産育児一時金は日本に住む日本人であれば全員が利用できる制度ですが、一部の医療機関では出産する方の負担が大きくなる場合があります。小さな医療機関などでは直接支払制度を導入していないところがある他、産科医療保障制度というものに加入していない医療機関で出産場合した場合は出産育児一時金が減額になりますので、予め医療機関に確認しておくことが必要です。直接支払制度を導入していない医療機関もし、自分が出産する医療機関が直接支払制度を導入していない場合は受取代理制度という制度を利用する方法もあります。受取代理制度は直接支払制度と類似の制度で、出産育児一時金の受け取りを医療機関に委任する制度です。受取代理制度は直接支払制度に比べ面倒な手続きが必要になりますが、直接支払制度を導入していない医療機関でも出産育児一時金の42万円を差し引いた金額を窓口で支払うことになりますので、まとまった大きな金額を用意せずに済みます。受取代理制度の申請は事前手続きとなります。産科医療補償制度に加入していない医療機関出産育児一時金は42万円と説明しましたが、実は詳しい内訳をみると出産育児一時金は40万4千円と定められています。差額の1万6千円はというと産科医療補償制度の掛金分とされ、合わせた金額が42万円とされています。産科医療補償制度とは出産後に子どもが脳性まひなどの重度の障害を負った際に、家族へ保証金を支払う事を目的とした制度です。補償金の掛け金は出産する方が支払うことと定められていますが、出産育児一時金に産科医療補償制度の掛け金分として1万6千円が含まれています。一部の産科医療補償制度に加入していない医療機関で出産をした場合は、産科医療補償制度の掛金も必要なくなるので出産育児一時金は掛金、1万6千円を差し引いた40万4千円となります。 まとめ出産には高額な費用が掛かるものです。出産育児一時金直接支払制度は面倒な手続きなく利用している方がほとんどですので、予め医療施設に確認をしゆとりのある出産をしましょう。また、出産前にある程度、自分のかかっている医療機関で必要となる出産費用を計算し、出産育児一時金を差し引いた差額を把握しておくと、より気持ちにゆとりが出るでしょう。
2018年09月20日意外と知らない社会的な問題について、ジャーナリストの堀潤さんが解説する「堀潤の社会のじかん」。今回のテーマは「高度プロフェッショナル制度」です。6月、8つの法律から成る働き方改革関連法が成立。長時間労働をなくすため、残業時間の上限が原則月45時間、年間360時間に定められました。上限を超えると使用者側に6か月以下の懲役、または30万円以下の罰金が科せられます。また、「同一労働同一賃金」を導入。同じ企業で同じ仕事内容の場合、正規雇用と非正規雇用の待遇格差を是正することになりました。8つの法律の一つが「高度プロフェッショナル制度(高プロ)」です。年収1075万円以上の専門職は、残業や休日、深夜労働などの割増賃金の支払い対象から外すというもの。証券アナリストや医薬品開発の研究者、経営コンサルタントなどが対象とされています。残業せずに自分の裁量で効率よく働けばいいという制度なのですが、現実問題、自分の仕事が終わったからと、残業せずに帰ることができるでしょうか。上司に新たな仕事を頼まれ、サービス残業を強いられるのではないか。家族が過労死した遺族らはこの法案に反対していました。優秀で責任感の強い真面目な人こそ、過労に至ります。本来、法律はそういう働き手を守るためにあるべきなのに、「高プロ」はそうではないと肩を落としていました。実はこの法案、第1次安倍内閣のころにも「ホワイトカラー・エグゼンプション」という名で推し進められましたが、猛反対にあい、潰されました。安倍内閣が、なんとしてもこの法律を通したかった背景には、アメリカからのリクエストがあります。「日米投資イニシアティブ」という、経済的にパートナーシップをとろうという交渉のなかで、アメリカは日本の雇用環境を、従来の終身雇用型の家族的なあり方ではなく、成果主義ですぐに首を切れる外資系スタイルに変えることを要望。そうして、日本企業でアメリカ人の雇用を増やすことを望んでいるのです。高プロは、労働者側に、拒否する権利を与えています。しかし、有給休暇の申請さえしづらい日本の職場環境で、対象者は拒否できるのか。また、現在は一部の高所得者、専門職のみが適用対象になっていますが、それも将来もっと広げられるのではないかと、危惧する声も上がっています。堀潤ジャーナリスト。NHKでアナウンサーとして活躍。2012年に市民ニュースサイト「8bitNews」を立ち上げ、その後フリーに。ツイッターは@8bit_HORIJUN※『anan』2018年9月5日号より。写真・中島慶子イラスト・五月女ケイ子文・黒瀬朋子
2018年09月04日「9月の総裁選では、“安倍首相の3選”が有力視されています。今年4月には、財務省『財政制度等審議会財政制度分科会』で『厚生年金の支給開始年齢を65歳から68歳に引き上げる』という案が議論されました。すでに年金財政はカツカツですが、安倍首相が再選した場合、世論への影響を考えて、支給開始年齢の引き上げは“今年中”には実行しないでしょうね。しかし、こうした年金財政のなか、いつなにが起こるかわかりません。自分が受け取れる年金額は、自分の知識で守っていく必要があるんです」そう話すのは、年金制度に詳しい経済評論家の加谷珪一さん。この支給年齢の引き上げに加えて、政府と財務省がもくろんでいるのは「支給年金の減額」だ。「これは、現役世代から徴収する年金収入や、国庫金からの年金財源としての支出の上限を固定してしまう『マクロ経済スライド』によるもの。収入が固定されてしまうと、当然、それぞれに給付される年金額は大幅に減ってしまうというわけです」年金減額も“待ったなし”の状態――この状況に、50代の主婦は不安を漏らす。「65歳になっても年金が減るなら、60歳になったときに前倒しでもらっちゃったほうがいいんじゃないかしら……?」「前倒しにもデメリットがある」と話すのは、ファイナンシャルプランナーの中村薫さんだ。「前倒し受給というのは、60歳から64歳までの段階で『65歳になった』と仮定されるものです。すると、60歳からの5年間は『国民年金の任意加入』の対象外となってしまうんです。なぜなら、65歳になってしまうと、この『任意加入』の制度は利用することができないからです」中村さんが語る「国民年金の任意加入」とは、納付期間10年間という受給資格を満たしていない場合と、納付期間が40年未満の場合に追加で加入できる制度。60歳以降も保険料の納付済期間を増やすことができ、老齢基礎年金の額が増える。しかし、40代、50代の人でも未納の年金を後納できる制度がある。加谷さんがこう説明する。「通常、納め忘れた場合は2年までさかのぼることができます。さらに、後納制度というものを使えば、申請することで5年まで遡って納付できますが、この制度は今年の9月末で打ち切りとなるんです。未納がある人は急いで後納を検討した方がよいでしょう。具体的には9月28日が期限となります」自分の未納期間などは、年1回、誕生月に郵送されるはがき「ねんきん定期便」、パソコンやスマホで見られる「ねんきんネット」で把握できるようになっている。
2018年08月22日企業従事者は出産時に「育児休業制度」を取得することができます。ある程度の期間を休むことができるということはご存知だと思いますが、どういった内容かはご存知ですか?この記事では育児休業の内容や平成29年に改正された点や、意外と知らない企業側が講じなければいけない細かな点をご紹介します。 育児休業制度とは?企業従事者が出産時に取得することのできる育児休暇制度。正式には「育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律」と言います。略称は「育児・介護休業法」、「育児・介護休業法のあらまし」です。制度が生まれた背景この制度が生まれた背景には日本の少子化、労働者の減少、地域差焼きの活力の減少があります。就労か結婚・出産・育児のどちらかを選ばなけれならないという状況を改善し、仕事と生活の調和を実現するために作られました。 平成29年の改正育児・介護休業法の概要平成29年10月に育児・介護休業法が一部改定されました。内容は以下のとおりです。育児休業期間の延長以前は1歳6ヶ月までとされていた育児休暇の取得期間が、子どもが受け入れ先保育園が決まらないなどの理由によっては、最長2歳になるまで取得可能になりました。合わせて育児休業給付金の給付期間も2歳までとなります。育児休業等の制度周知社員、従事者またはその配偶者が妊娠、出産を事業主が知った際、育児休業等に関する制度を周知する努力義務が創設されました。育児休暇の導入を促進事業主に対して、当該者の子どもが小学校入学までの間、育児に関する目的に対しての休暇制度を設ける努力義務が創設されました。 育児休業制度対象者この制度の対象は以下になります。・原則として1歳に満たない子を養育する男女労働者・常勤の従事者であること(日々雇い入れられる人は対象外)期間採用の場合は以下に該当すれば育児休業の該当者とみなされます。・同一の事業主に引き続き1年以上雇用されていること・子どもが1歳6ヶ月に達する日までに、労働契約(更新される場合には、更新後の契約)の期間が満了することが明らかでないこと育児休暇に関する労使協定を結んだ場合は協定が優先されます。子の看護休暇子どもが看護が必要な場合も休暇を取ることができます。内容は以下のとおりです。子どもが小学校に入学するまでの間は1年の間に5日(子どもが2人以上の場合は10日)まで看病が必要な場合、予防接種や健康診断を受ける場合には休暇を取得することができます。所定外労働の制限3歳以下の子どもを持つ親に対して所定外労働についても定められています。事業主は、3歳に満たない子どもを養育する労働者が所定以上の労働を請求したとしても、事業が正常に運営できないなどの理由がない場合はその請求を受けてはいけません。時間外労働の制限時間外労働・残業についても以下のように定められています。事業主は、子どもが小学校未入学の子どもを擁する従事者に対しが1ヶ月に24時間、1年で150時間を超える時間外労働を従事者が希望しても、事業が正常に運営できないなどの理由がない場合はその請求を受けてはいけません。深夜業の制限深夜の労働に対しても制限があります。事業主は、子どもが小学校未入学の子どもを擁する従事者を、午後10時から午前5時までの間、事業が正常に運営できないなどの理由がない限り働かせてはいけません。短時間勤務制度労働時間の短縮に関しても定められています。事業主は、3歳に満たない子どもを持つ従事者が希望した場合は仕事と育児の両立が可能になる措置(就業時間の短縮)を取らなければなりません。育児休業等に関するハラスメントの防止措置育児休業が取りやすくなる環境整備について以下のように定められています。事業主は従事者が育児休業を取得しようと意思を表明した際に嫌がらせをされたり、職業環境が害されないように、相談しやすい環境、体制を講じなければなりません。
2018年07月22日意外と知らない社会的な問題について、ジャーナリストの堀潤さんが解説する連載「堀潤の社会のじかん」。今回のテーマは「死刑制度」です。世界は廃止が主流。加害者の人権をどう捉えるか。1989年~‘95年に起きた一連のオウム真理教事件。関連する刑事裁判がすべて終結し、麻原彰晃死刑囚をはじめ、死刑が確定した13人の刑の執行もまもなく行われるといわれています。日本の死刑の歴史は古く、5世紀の仁徳天皇時代からあり、現在の刑法に定められたのは明治40年です。しかし、世界では死刑制度は廃止の方向に進んでいます。1990年時点で、死刑制度のあった国は96か国、廃止国は80か国。2009年には死刑存置国は58か国に減り、廃止国は139か国に増えました。イギリス、フランス、ドイツなど、ベラルーシ以外の欧州諸国や南米諸国は廃止。アフリカでも廃止国が増えており、アメリカで死刑が存置されているのは一部の州のみです。中国も国際社会からの批判を受け、適用を厳格化することにしました。多くの国が死刑制度を廃止にした主な理由は、人権的な問題と、実は死刑が凶悪犯罪の抑止力にはならないと証明されたからです。国連人権理事会は、日本政府にも死刑制度の廃止や一時停止の勧告を行いましたが、政府は世論が求めていないからと、検討する構えを見せていません。平成26年度の内閣府の世論調査によると、80.3%の人が「死刑もやむを得ない」と答えました。「死刑は廃止すべき」が9.7%、「わからない、一概にいえない」が9.9%。「やむを得ない」と答えた人のうち5割以上の人が、その理由を「被害者やその家族の気持ちがおさまらない」「凶悪な犯罪は命をもって償うべき」としています。そして、「死刑を廃止すると、凶悪犯罪が増える」と考える人が57.7%いました。しかし一方で、袴田事件や名張毒ぶどう酒事件といった死刑判決が確定した事件が、再審でのDNA鑑定により冤罪だったことなど、問題も複数起きており見過ごせません。日弁連は、人権擁護の観点から死刑制度廃止を訴え続けていて、再来年、国連犯罪防止刑事司法会議が日本で開催されるまでに、進展を見せたいと考えています。加害者とはいえ、人が人を殺してもよいのか。終身刑ではなく、死刑でなくてはならない理由は何か?みなさんはどう思いますか?堀潤ジャーナリスト。NHKでアナウンサーとして活躍。2012年に「8bitNews」を立ち上げ、その後フリーに。新刊『堀潤の伝える人になろう講座』(朝日新聞出版)が好評発売中。※『anan』2018年5月23日号より。写真・中島慶子題字&イラスト・五月女ケイ子文・黒瀬朋子(by anan編集部)
2018年05月16日意外と知らない社会的な問題について、ジャーナリストの堀潤さんが解説する「堀潤の社会のじかん」。今回のテーマは「徴兵制度」です。戦争の形も変わり兵役制度も変化してきています。今年の1月よりスウェーデンは、8年前に廃止していた徴兵制度を復活させました。ロシアの脅威に備えるためです。続いてフランスでも今年、マクロン大統領が、18~21歳の男女を対象に兵役を課すことを発表しました。ロシアへの対抗、テロ対策の強化が主な理由です。また、アメリカのNATO軍への負担が大きいため、トランプ大統領がヨーロッパ各国にも公平に参加してほしいと依頼したことも起因していると思われます。ただ今回のフランスの兵役は1か月なので、軍事訓練というよりは国威発揚を促すことに重きがおかれているのではないでしょうか。日本人は、徴兵制度というと太平洋戦争のときのイメージを持つかもしれませんが、いまは無人攻撃機やサイバー攻撃などが増え、かつての大量の歩兵による肉弾戦とは戦争の形が変わっています。それにともない、兵役の内容も変化してきているんですね。たとえばIT先進国のイスラエルでは、18~19歳から男子が3年、女子は2年の兵役義務があります。軍隊で心身ともに鍛えながら、同時にさまざまな最新のIT技術を学んで身につけます。退役後はそのスキルをいかし、起業するケースが多いんですね。また、マレーシアでも男女が徴兵され、3か月間の共同生活を行います。ただし、軍事訓練というよりは社会奉仕活動がメインなのだそうです。現在、男女ともに兵役のある国はこの2国のほか、ノルウェー、スウェーデンのみ。男性のみ義務がある国は、韓国、北朝鮮、シンガポール、ベトナム、タイ、スイス、ロシアなど。アメリカやイギリス、ドイツ、イタリアなどには徴兵制度がありません。かつてはあったのですが、冷戦が終わったときにほとんどが廃止されたんです。日本に徴兵制度が復活する可能性は低いでしょう。ただ、現在自衛隊が定員割れしています。「予備自衛官補」という、18~34歳の学生や一般社会人が基本訓練を受け、災害時や有事に徴集されるという制度も設けています。現在の自衛隊の人手不足を考えると、災害救助や救急救命のノウハウを学ぶための短期間の徴兵制度なら、あってもよいのではという声もあります。堀 潤ジャーナリスト。NHKでアナウンサーとして活躍。2012年に市民ニュースサイト「8bitNews」を立ち上げ、その後フリーに。ツイッターは@8bit_HORIJUN※『anan』2018年4月11日号より。写真・中島慶子イラスト・五月女ケイ子文・黒瀬朋子(by anan編集部)
2018年04月06日2015年4月、「子ども・子育て支援新制度」がスタートしました。そのうちのひとつ「病児保育」は、子どもの急病で出社できないというワーママに役立つ制度として注目されていますが、2016年、少し遅れてスタートした「お迎え制度」をご存知でしょうか?今回は、全国病児保育協議会会長・大川洋二(ひろじ)さんが解説してくれました。「お迎え制度」ってどんな制度?「子どもが急病でお迎えに行かなきゃ…」。子育てと仕事を両立するママなら、多くの人が経験したことがあると思います。しかし「お迎え制度」を活用すれば、その心配はなくなるそう。「これまでは、保育園や幼稚園、認定こども園などの施設に預けていた子どもが急に体調が悪くなったとき、お母さんに連絡して迎えに来てもらうのが一般的でした。しかしこの制度は、病児保育を行う施設のスタッフなどが代わりに迎えに行き、かかりつけ医で診察してもらってから預かるというもので、お母さんやお父さんが仕事中に早退しなくてもよくなったのです」(大川さん、以下同)子どもの急病による早退問題は、働くママにとって、重要なこと。この制度はそんな人たちにとって、大きなメリットとなるのです。デメリットも認識しよう!一方で、この制度にはまだ危ない面もあるのだとか。大川さんは、デメリットとして2つのことを挙げます。「まずひとつ目は、『子どもの精神的不安』です。知らない人に知らない場所へ連れていかれるというのは、子どもにとっては、大きな心理的負担。子どもにとってもなじみのある施設、せめて一度は使ったことがある施設にするなどの配慮が必要です」そしてもうひとつは、「重症化したときの対処」。「体調が悪くなるといっても、軽度のものから重症化の恐れがあるものまで様々あります。施設のスタッフが園にお迎えに行って、かかりつけ医に診察してもらったとき、もしも『すぐに入院する必要がある』と言われたらどうしますか?家族ではないスタッフに、勝手な判断はできませんよね。そのため、あらかじめ保護者と綿密な話し合いをして、緊急時にどうするかを決め、同意を取っておく必要があります」さらに、大川さんは、「『お迎え制度』を含む病児保育は、母親の就労支援の面ばかりがクローズアップされますが、本来は子どものための制度」とも。ママにとっては、子どもの急病が原因での急な早退や欠席を避けられるメリットはありますが、「早退しなくてよくなった」だけではなく、子どものことを考え、もっと慎重に利用すべき制度なのかもしれません。(文・明日陽樹/考務店)
2018年02月26日2015年4月、子育て世帯やママを取り巻く環境は、大きく変わりました。それは、「子ども・子育て支援新制度」が始まったから。この「子ども・子育て支援新制度」には、保育園や幼稚園を利用するための認定について、子どもにかかるお金のことなど、様々なことが定められていますが、「病児保育」も注目したい項目のひとつ。そんな「病児保育」について、「病児保育の施設には3つある」、そう話すのは、全国病児保育協議会会長・大川洋二(ひろじ)さん。「病児保育」を行う3つの施設って?先ほど、大川さんが言っていた「3つの施設」。これらについて、解説してくれました。「ひとつ目は、病院やクリニックに併設されている『医療機関併設型』。2つ目は、幼稚園や保育園などに併設された『保育園併設型』。そして3つ目は、『単独型』というものです」(大川さん、以下同)では、それぞれの施設はどのような特徴があるのでしょうか?「『医療機関併設型』は、おもに病気は治っていないけど、悪化する可能性の低い子どもを預かる『病児保育』を担当していて、『保育園併設型』は、病気は治っているけど、円や学校には行けない子どもを預かる『病児後保育』を担当しています。というのも、いずれの場合も子どもの容体は安定しているとはいえ、悪化する可能性はゼロではありません。そのため、『病児保育』は医師が常駐している『医療機関併設型』で担当することが多いのです」「医療機関併設型」、「保育園併設型」の違いはわかりましたが、もうひとつの「単独型」は?「『単独型』はNPO法人などが運営している施設です。地域のドクターがチームを組んで、今日は○○病院、明日は××病院といったように、当番制で担当しています」これらの施設には課題もこのように、病児を受け入れてくれる施設はありますが、「まだ課題もある」と大川さんは続けます。「『子ども・子育て支援新制度』が施行された2015年以前から『病児保育』の取り組みはありました。当時は、病児2人に対し、保育士・看護師がひとり付くことになっていましたが、現在は、人員不足の観点から、保育士・看護師ひとり当たり3人になったのです。しかし、これでは病児へのケアが不十分になるとの懸念もあります」また、定員が少なく、現状は預けたくても預けられない状況もあるそうで、その点も解決すべき課題だと大川さん。共働き世帯や働くママが増え、病児保育の需要が高まっている昨今。子ども・子育て支援新制度が充実するには、まだ時間がかかりそうです。(文・明日陽樹/考務店)
2018年02月23日年末調整・確定申告の時期になると気になるのが、控除による節税方法や関連するお得な制度です。住宅関連の中では「住宅ローン控除」がよく知られた制度ですが、ほかにも意外と知られていないお得な制度や控除があるようです。住宅購入やリフォームを検討している人は、対象となる制度や条件などをチェックしてみましょう。(1)中古住宅の購入でも利用できる「住宅ローン控除」住宅関連の制度でも多くの人が利用している「住宅ローン控除」は、住宅ローンを借入れて住宅を取得する場合に、取得者の金利負担の軽減を図るための制度です。一定の要件を満たした場合、年末の住宅ローン残高または住宅の取得対価のうちいずれか少ない方の金額の1%が10年間に渡り所得税の額から控除され、10年間で最大400万円(長期優良住宅の場合は最大500万円)が控除されます。所得税から控除しきれない場合は住民税から一部控除されます。また、中古住宅の場合でも新築の場合の要件に加え、耐久年数もしくは耐震基準といった中古特有の条件をクリアすれば、10年間で最大200万円(長期優良住宅などの場合は最大300万円)の控除を受けることができます。(2)夫婦共働きなら住宅ローン控除が夫婦で受けられる「ペアローン」「ペアローン」は共働き夫婦がそれぞれの名義で住宅ローンを組む場合に、二人とも住宅ローン控除を受けることのできるローン制度で、互いに相手の連帯保証人となります。住宅ローン控除が一人ずつ受けられることは大きなメリットですが、それぞれローンを組むため、契約時などの事務手数料は2倍かかってしまいます。また、夫婦の一方が仕事を辞めるなどした場合には、返済自体が厳しくなる可能性もあるため計画的に組みたいところです。(3)目安年収510万円以下の人が対象の「すまい給付金」「すまい給付金」は、消費税率引上げによる住宅取得者の負担を緩和するために創設した制度です。取得する住宅の床面積が50平米以上などの条件をクリアした場合、消費税率8%の2017年12月現在だと、収入額510万円以下の人を対象に最大30万円(消費税率が10%になった場合は収入額が775万円以下の人を対象に最大30万円)が給付されます。収入額によって給付される額は異なり、例えば、消費税率8%の場合、収入額425万円以下だと最大の30万円、425万円超え475万円以下だと20万円、475万円超え510万円以下だと10万円が給付されます。※収入額はあくまで目安のため、給与所得者のいわゆる「額面収入」ではなく、市区町村が発行する課税証明書に記載される都道府県民税の所得割額に基づき決定されます。(4)工事費用の10%の控除を受けられる「住宅特定改修特別税額控除」「住宅特定改修特別税額控除」は、一定の省エネ改修工事、バリアフリー改修工事または三世代同居対応改修工事を行った場合に、標準的な工事費用の額の10%相当額が、その年分の所得税額から控除されるというものです。それぞれ工事限度額(それに応じた控除限度額)が設定されており、対象となる工事も指定されています。また、バリアフリー改修工事では申請できる特定の個人の条件も設定されています。(5)断熱改修やエコキュートの導入には「住宅省エネリノベーション促進事業費補助金」「住宅省エネリノベーション促進事業費補助金」とは、住宅の省エネ化を図るリノベーションを促進するために、省エネ性能が高い高性能建材(ガラス、窓、断熱材)を用いた断熱改修などを支援する国の制度によって交付される補助金です。省エネ性能が高い高性能建材では、一戸あたり補助対象費用の1/3以内もしくは150万円のいずれが低い金額、戸建て住宅での家庭用蓄電などの蓄電システムでは、定額5万円/kWhもしくは補助対象費用の1/3または50万円のいずれか低い金額、エコキュートなどの高効率給湯機の導入では、補助対象費用の1/3以内もしくは15万円のいずれが低い金額が補助金額の上限となります。ここまで、住宅関連のお得な制度と控除を紹介してきましたが、知っていると知らないとでは、支払わなければならない金額がだいぶ変わってくるようです。事前に情報を確認し、賢い住宅購入・リフォームを実現しましょう。
2017年12月27日こんにちは、ファイナンシャル・プランナーでライターのyossyです。2016年、”みまもり家族制度”事業を行う大手だった公益財団法人日本ライフ協会が公益認定取り消し・破綻という事態に陥り、利用者や利用検討者に衝撃が走りました。しかし、なぜみまもり家族制度のような事業が必要とされるのでしょうか。また、今後どのように活用していけばいいのでしょうか?●独り身高齢者の身元保証サービスいわゆる”みまもり家族”制度などの身元保証サービスというのは、主に下記のようなことを請け負ってくれる事業のことを指すことが多いです。日本ライフ協会以外にも、近しい事業を実施している企業・団体がたくさんあります。・賃貸住宅の更新や転居、入院、福祉施設への入所等に際して必要な身元保証の代行・困ったときに頼れる窓口・万が一の場合の対応や葬儀に関する手続きの代行高齢者向けの見守りサービスは、さまざまな企業・団体が実施していますが、身元引受人や葬儀・死後の手続きの代行までやっている部分に特徴があるといえるでしょう。はじめに100万円前後の費用が発生するケースも 少なくありません。親族・配偶者に先立たれてしまい、身元保証人がいない高齢者は多くいます。総務省によれば、平成28年時点で総人口に占める高齢者(65歳以上)の割合は27.3%。今後ますます高齢化が進み、「何かあったらどうしよう」と不安を抱える人が増えてくるでしょう。そういった不安を解消してくれるうれしいサービスなんですね。●成年後見制度とは成年後見制度というのは、自分自身が判断力を失ってしまったときのために後見人を立てられる制度 です。判断力がある人向けの”任意後見制度”と、すでに判断力が失われてきている人向けの”法定後見制度”があります。勘違いしやすいですが、後見人は、正常な判断ができなくなった本人に代わって契約行為などを行う人なので、身元引受人とは異なります。しかし、やむを得ない事情があれば、後見人がいることで入院等が認められるケースもあるようです。正常な判断ができなくなる前に、まずこちらの検討をしておきたいところですね。●信頼できる団体・企業、必要なサービスを「不安だから」という理由で急いで契約をしてしまうケースも多いようですが、初期投資額が高額なことも多いため、落ち着いて冷静に選びましょう。・賃貸住宅の保証のみ行うサービスを利用する・緊急時の駆け付けのみ行うサービスを利用する・万が一のときのために死後事務委任契約をしておくといった方法もあります。検討の結果、総合的にサービスを受けた方がいいと判断すれば、身元保証サービスを利用するといいでしょう。高齢者に必要とされる身元保証サービス。非常にうれしいサービスですが、慎重に比較検討したいですね。【参考リンク】・総務省|統計からみた我が国の高齢者(65歳以上)(PDF)●ライター/yossy●モデル/貴子
2017年11月16日太陽光発電の売電に関する制度は、現在では2012年から施行されている「再生可能エネルギーの固定価格買取制度」に一本化されています。しかし、2009~2012年には「全量買取制度」と「余剰電力買取制度」の2つの制度が存在していました。この記事では、そのうち「全量買取制度(全量売電制度)」について詳しくご紹介します。現行の「再生可能エネルギーの固定価格買取制度」と照らし合わせながら、ぜひご参考になさってください。全量売電制度とはどんな制度?全量売電制度とは、太陽光発電設備で発電した電力の全量を電力会社に売電できる制度を指します。現在は再生可能エネルギーの固定価格買取制度へ移行していますが、移行以前からこの制度のもとで売電を行っていた方は、新制度移行後も従来と変わらない条件下で売電を行うことができます。全量買取制度と並んで、もっと規模の小さな発電設備を対象とした「余剰電力買取制度」があります。こちらは総出力10kW未満の設備を対象としており、主に一般家庭で自家用として使われる太陽光発電設備に適用されます。基本的には発電すればそのまま家庭用の電力として消費できますが、発電した全量を使うことなく余った電力(余剰電力)については、電力会社が決まった価格で買い取ることを国が約束する制度です。全量買取制度は主に事業者向け、余剰電力買取制度は主に一般家庭向けに設けられている制度と考えると分かりやすいでしょう。なお、これら2つの制度は2012年に「再生可能エネルギーの固定価格買取制度」に改められていますが、その内容は「余剰買取制度」と「全量買取制度」に二分されており、発電システムの最大出力10kWを境界に、それを満たさなければ余剰買取の対象となります。それ以上の出力なら全量買取と余剰買取のいずれかを選択可能としているため、2012年の制度変更以前と大きな差異はないと考えてよいでしょう。全量売電制度の対象は?全量買取制度は、比較的規模の大きな発電設備(具体的には総出力10kW以上)を対象とし、発電事業などを目的として設備を運用する場合が対象です。ちなみに、全量買取の対象となる発電設備を「産業用」、余剰買取の対象となる設備を「家庭用」と呼び分けることが多くなっています。なお、広い敷地に多くのソーラーパネルを設置できる一般住宅などでは、総出力がわずかに10kWを超えるようなケースもあり得ます。そのため、総出力10kW以上の発電設備に関しては全量買取とするか、余剰買取とするかを利用者が選択できる仕組みになっています。ただし、多くの一般住宅においては屋根上などにソーラーパネルを設置するケースが用いられるため、その総出力は概ね3~4kWが標準値といわれます。ゆえに、一般のご家庭で太陽光発電設備による売電をする場合は、余剰買取の対象になる場合がほとんどといってよいでしょう。太陽光発電の費用を無料で比較固定買取期間とは?再生可能エネルギーの固定価格買取制度においては、規定の価格で電力買取を行う期限にあたる「固定買取期間」が規定されています。電力の買い取りを固定価格によって制度化した背景には「発電設備のさらなる普及」という目的がありますから、一定期間に得られる売電収入の固定化によって発電設備の導入コストを実質的に低減できる仕組みになっているのです。固定買取期間の長さには全量買取と余剰買取で差があり、全量買取の場合は20年間、余剰買取の場合は10年間と定められています。「20年固定価格で売電できるのなら、少し設備に費用をかけても全量買取にした方が得なのでは?」と考えてしまいますが、そもそも売電価格が異なります。2017年度の場合、余剰買取の売電価格は1kwhあたり28円~30円、全量買取の場合は1kwhあたり21円です。また、余剰買取の場合は発電設備の導入時に自治体などから補助金を受けられる場合がありますが、全量買取とした場合には補助金制度そのものがありません。それに、そもそも総出力が大きくなる発電設備を設置するには多くのコストがかかってしまいます。それらの兼ね合いを考慮し、現在の制度下で一般家庭においては余剰買取とするケースが大半となっています。また家庭用の太陽光発電設備の設置コストを考えても、10年の期間があれば売電である程度回収することができると考えられています。固定買取期間の経過後は電力会社と任意で売電契約をするか、あるいは売電を一切取りやめて自家消費用の発電のみに切り替えるかということになるでしょう。現状の予測としては、電力会社が自前で発電するコストよりは各家庭から電力を買い取る方が省コストになると考えられているため、当分は売電を継続できる可能性が高いといわれています。これらを踏まえ、今のところは「一般家庭では余剰買取」「発電事業をする業者などでは全量買取」とするケースが主体であると考えてよいでしょう。まとめこちらの記事では、太陽光発電の全量売電制度(全量買取制度)の詳細や、余剰買取制度との違いなどについてご紹介しました。設置する発電設備の総出力が10kwを超えると、全量買取か余剰買取のいずれかを選択することになります。一般家庭の場合は10kW以上の発電設備を設けるケースは稀ですが、もし大規模な太陽光発電設備を導入したいとお考えであれば、全量買取とするか余剰買取とするかは計画段階で決めておいた方がよいでしょう。太陽光発電の費用を無料で比較
2017年10月31日