読者世代にとって「認知症」「軽度認知障害(MCI)」に関することは、常に身近な関心事。しかし、これまで関心はあれど、切実に問題に向き合う必要がなかった人も多いはず。ここでは「ある日突然、親の異変に気づいてしまったら……」を、本誌・海野幸記者(仮名・48。広島県出身で現在は東京都在住)の体験をもとにレポート。「そのときどう対処すればいいのか?」について考えてみました――。「あれ?母が、何かおかしい」初めて私がそう感じたのは、昨年12月。74歳の誕生日を記念して、久しぶりに母親と温泉旅行に出かけたときのことだった。記憶にあるしっかり者の母と、目の前の母の様子にギャップを感じること数度。ふだん離れて暮らしているからこそ、感じ取ることができた変化だったかもしれない。74歳という年齢。「もしかして認知症?」と気になりだしたら不安が止まらなくなった。帰省のたびに「耳が遠くなったな。見た目が老けてきたな」と、加齢による変化は確認していたけれど、行動やふるまいに「おかしい」を実感することはあまりなかった。90歳で亡くなった祖母も、最後の数年は認知症だったが、母はまだ74歳。「まだまだ親は元気」と悠長に構えていたぶん、初めて頭をかすめた「認知症」の3文字に動揺するばかりだった。「さて、どうしよう……」そんな不安に直面した私がまずしたことは、認知症に関しての知識を得ることだった。祖母の介護は父と母がしていたし、そのとき私はすでに東京で暮らしていたので介護経験はなく、認知症の実態をほとんど知らない。そこで、本やインターネットで情報を収集し、母親に感じた「何か変」を、一つひとつ照会していくことにした。すると、母の症状は認知症とはなんだか違うようだった。記憶自体がすっぽり抜け落ちているわけでもなければ、散歩へ出かけて迷子になるようなこともない。調べていくうちに、『軽度認知障害(MCI)』という言葉を見つけた。MCIとは、もの忘れのような記憶障害は出るものの、症状はまだ軽い「認知症の一歩手前」の状態を指すそうだ。母はこれに当てはまるのでは?そんな気がしてきた。’12年時点で、日本の65歳以上の認知症推定人口は約462万人、MCIは約400万人といわれている。確かなのは、認知症であれ、MCIであれ、早めに専門医を受診したほうがいいということ。そしてMCIについては、適切な取り組みにより認知機能の維持が可能であるとのことだった。母は本当にMCIなのか?そもそも、認知症とは何なのか?次々に湧いてくる疑問を解消すべく、私は認知症予防・治療の第一人者である朝田隆先生のもとを訪れ、取材することにした。「認知症とは、脳神経細胞の劣化によって起こる症状です。あとは脳血管障害、糖尿病を放置していたなど、複合的な要因も関係してきます。65歳以上、5つ年を取るごとに認知症になる危険性は2倍に。90歳を超えたら、6~7割の人は認知症になるといわれています」加齢と認知症発症リスクは比例していて、年を取るほど発症率が高くなってしまう仕方ないことのよう。では、認知症やMCIを、患者本人やその家族が見分ける方法はあるのかと聞いてみた。すると、「まず、自分たちで見分けようと思わないほうがいいです。すぐに病院へ行くことをおすすめします」とのお答え。しかし、参考までに、私が不安を感じた母の行動を朝田先生にチェックしてもらうことに。【不安な行動・1】目がうつろで、気づけばボーッとしていることが多くなった「うつ病の可能性もあるかもしれません。過去に甲状腺の手術をしているのであれば、甲状腺による認知機能の低下という可能性も考えられます」【不安な行動・2】祖母の代が使っていたような古い方言ばかりで話すときがあった「初めて聞くケースですが、日本語と韓国語を話す韓国の方が、認知症が進行するにつれて日本語を忘れていったということはありました。新たに獲得した言語を忘れていくのはMCIのサインといえるかもしれません」【不安な行動・3】料理上手なのは変わらないが、使おうと思った具材をよく入れ忘れていた。「単なるもの忘れなのかMCIなのか、グレーゾーンですね。注意力の欠如というのは確かに認知症やMCIの症状ではありますが、だからといって見極める決定的要因とはなりません」【不安な行動・4】仕事を辞めた2年ほど前から、身なりや化粧に無頓着になっている「“面倒くさい”は、認知症の兆候ではあります。身なりに無頓着になってしまうのは、MCI寄りといえるかもしれません」【不安な行動・5】顔に蜂が止まっているのに、手で追い払おうとせず刺されてしまった「加齢による反射神経の鈍りかもしれません。しかし、もの忘れなど記憶に関することばかりが認知症やMCIの症状ではなく、反射神経・運動神経の衰えにも影響していきますので、MCIの可能性は否定できないですね」以上、朝田先生の回答をまとめると、母は「MCIの可能性は否定できない」ということ。改めて、病院で適切な診断を受けることの必要性を実感する結果となった。「認知症は進行速度が遅くなることはあっても健常に戻ることはありません。しかし、MCIは改善が期待できます。MCIと診断された方の26%は健常に戻るともいわれていますので、早期に対策を始めることをおすすめします」健常に戻る可能性があると知って喜んだのもつかの間、“MCIと診断された人の50%は4年で認知症に進行する”というデータもあると知り、身の引き締まる思いも。いずれにせよ、なるべく早く対策を始める必要があるのは間違いないようだ。
2019年02月27日読者世代にとって「認知症」「軽度認知障害(MCI)」に関することは、常に身近な関心事。しかし、これまで関心はあれど、切実に問題に向き合う必要がなかった人も多いはず。ここでは「ある日突然、親の異変に気づいてしまったら……」を、本誌・海野幸記者(仮名・48。広島県出身で現在は東京都在住)の体験をもとにレポート。「そのときどう対処すればいいのか?」について考えてみました――。「あれ?母が、何かおかしい」初めて私がそう感じたのは、昨年12月。74歳の誕生日を記念して、久しぶりに母親と温泉旅行に出かけたときのことだった。記憶にあるしっかり者の母と、目の前の母の様子にギャップを感じること数度。ふだん離れて暮らしているからこそ、感じ取ることができた変化だったかもしれない。74歳という年齢。「もしかして認知症?」と気になりだしたら不安が止まらなくなった。帰省のたびに「耳が遠くなったな。見た目が老けてきたな」と、加齢による変化は確認していたけれど、行動やふるまいに「おかしい」を実感することはあまりなかった。90歳で亡くなった祖母も、最後の数年は認知症だったが、母はまだ74歳。「まだまだ親は元気」と悠長に構えていたぶん、初めて頭をかすめた「認知症」の3文字に動揺するばかりだった。「さて、どうしよう……」そんな不安に直面した私がまずしたことは、認知症に関しての知識を得ることだった。祖母の介護は父と母がしていたし、そのとき私はすでに東京で暮らしていたので介護経験はなく、認知症の実態をほとんど知らない。そこで、本やインターネットで情報を収集し、母親に感じた「何か変」を、一つひとつ照会していくことにした。すると、母の症状は認知症とはなんだか違うようだった。記憶自体がすっぽり抜け落ちているわけでもなければ、散歩へ出かけて迷子になるようなこともない。調べていくうちに、『軽度認知障害(MCI)』という言葉を見つけた。MCIとは、もの忘れのような記憶障害は出るものの、症状はまだ軽い「認知症の一歩手前」の状態を指すそうだ。母はこれに当てはまるのでは?そんな気がしてきた。’12年時点で、日本の65歳以上の認知症推定人口は約462万人、MCIは約400万人といわれている。確かなのは、認知症であれ、MCIであれ、早めに専門医を受診したほうがいいということ。そしてMCIについては、適切な取り組みにより認知機能の維持が可能であるとのことだった。「これは一刻も早く母を病院へ連れて行かなくては!」と思ったものの、母が簡単に病院へ行ってくれるとは思えなかった。認知症にせよMCIにせよ、その事実を目の前に突き付けられるのは嫌だろう。そこで私は、インターネット上で探した“認知症チェックシート”を印刷し、それを持って、年明けに帰省することに。認知機能の低下を診断できるというこのテストで、少し様子を見ることにしたのだ。そして、帰省当日。さりげなく近所の高齢者の話をしつつ、認知症の話題へ持っていき、「簡単なテストをしてみない?」と聞いてみた。しかし残念ながら、「何でそんなことしないといけないの?面倒くさい」と、一蹴。作戦は失敗に終わった。そこで、今度は単刀直入に「そろそろ年だし、一度病院へ行って診てもらわない?」と言ってみると、「病院?何で病院へ行かなくちゃいけないの?」と、取り合うそぶりもみせず。病院へ行く気はないらしい。だが、そうこうしている間にもどんどん認知機能は低下しているかも……。そう思うと、不安は募る一方だ。母は父と2人暮らしだが、一人娘としては放っておくこともできない。しかし、仕事もあるので、たびたび帰省することも難しい。そこで親の異変に不安を感じたときの“駆け込み寺”の一つとしておすすめなのが、各自治体から委託され、各市区町村に設置されている「地域包括支援センター」。全国に5,041(平成29年度時点)あるこの施設は、介護をはじめ、高齢者について知りたいことがあったとき、最初の窓口となるところ。利用できるのは、対象地域に住んでいる65歳以上の高齢者もしくはその支援者。相談者の内容によって適切なサービスを紹介してくれる機関だが、そこから認知症に関する医療や介護の専門職である「認知症初期集中支援チーム」を紹介してくれることも。悩んだら、ぜひ自身の住む自治体のホームページを確認するなどして、利用してみよう。
2019年02月27日読者世代にとって「認知症」「軽度認知障害(MCI)」に関することは、常に身近な関心事。しかし、これまで関心はあれど、切実に問題に向き合う必要がなかった人も多いはず。ここでは「ある日突然、親の異変に気づいてしまったら……」を、本誌・海野幸記者(仮名・48。広島県出身で現在は東京都在住)の体験をもとにレポート。「そのときどう対処すればいいのか?」について考えてみました――。「あれ?母が、何かおかしい」初めて私がそう感じたのは、昨年12月。74歳の誕生日を記念して、久しぶりに母親と温泉旅行に出かけたときのことだった。記憶にあるしっかり者の母と、目の前の母の様子にギャップを感じること数度。ふだん離れて暮らしているからこそ、感じ取ることができた変化だったかもしれない。74歳という年齢。「もしかして認知症?」と気になりだしたら不安が止まらなくなった。帰省のたびに「耳が遠くなったな。見た目が老けてきたな」と、加齢による変化は確認していたけれど、行動やふるまいに「おかしい」を実感することはあまりなかった。90歳で亡くなった祖母も、最後の数年は認知症だったが、母はまだ74歳。「まだまだ親は元気」と悠長に構えていたぶん、初めて頭をかすめた「認知症」の3文字に動揺するばかりだった。「さて、どうしよう……」そんな不安に直面した私がまずしたことは、認知症に関しての知識を得ることだった。祖母の介護は父と母がしていたし、そのとき私はすでに東京で暮らしていたので介護経験はなく、認知症の実態をほとんど知らない。そこで、本やインターネットで情報を収集し、母親に感じた「何か変」を、一つひとつ照会していくことにした。すると、母の症状は認知症とはなんだか違うようだった。記憶自体がすっぽり抜け落ちているわけでもなければ、散歩へ出かけて迷子になるようなこともない。調べていくうちに、『軽度認知障害(MCI)』という言葉を見つけた。MCIとは、もの忘れのような記憶障害は出るものの、症状はまだ軽い「認知症の一歩手前」の状態を指すそうだ。母はこれに当てはまるのでは?そんな気がしてきた。「親が認知症?」と思ったら、あらためて自分の気持ちを整理するためにも、まずは “私が不安を感じた母の行動”を書き出してみることが大事だという。【不安な行動・1】目がうつろで、気づけばボーッとしていることが多くなった無表情でボーッとしていることは以前からあったが、旅行中はさらにひどくなった感じが。きれいな景色が目の前に広がっていても、見ているようで見ていない感じの表情をする。【不安な行動・2】祖母の代が使っていたような古い方言ばかりで話すときがあった私と話すときは気を使って標準語で話してくることが多いのに、旅行中は聞いたことのないような方言で話してくることが多々あった。途中から祖母と話しているような気分に。【不安な行動・3】料理上手なのは変わらないが、使おうと思った具材をよく入れ忘れていた。旅行中、キッチン付きの部屋に宿泊。買い込んできた食材を料理に入れ忘れること数度。最近、特に多くなったように感じる。薬の飲み忘れも目立つ。後で忘れたことに気がつく。【不安な行動・4】仕事を辞めた2年ほど前から、身なりや化粧に無頓着になっている旅行中は普段着のようなものしか持ってこず、常にノーメーク。仕事を辞めてから白髪染めも手抜きをするようになり、老け込んだ印象。指摘すると「面倒くさいから」の返事が。【不安な行動・5】顔に蜂が止まっているのに、手で追い払おうとせず刺されてしまった旅行中ではないけれど、山で果物の収穫作業中に顔を蜂に刺されてしまい、通院することに。聞くと顔に止まっているのには気づいていたが、「手で払う前に刺されてしまった」と。’12年時点で、日本の65歳以上の認知症推定人口は約462万人、MCIは約400万人といわれている。確かなのは、認知症であれ、MCIであれ、早めに専門医を受診したほうがいいということ。そしてMCIについては、適切な取り組みにより認知機能の維持が可能であるとのことだった。もし母が認知症もしくはMCIだったらどうすればいいだろう?仕事は?自分の生活は?母の「もしかして認知症?」疑惑は、親の老いを実感するとともに、私のこれからの人生を考えるきっかけにもなった。
2019年02月25日認知症予防において、生活習慣の改善がとても大切であることは知られています。特に、食事、運動、睡眠は大きなポイントであり、多くの実験や成果が報告されています。今回は体と脳を一緒に動かす、認知症予防運動プログラム「コグニサイズ」をご紹介してみたいと思います。■ 運動と頭を使う「コグニサイズ」とは?歳をとってくると、筋力低下や心肺機能の低下、関節の動きの低下などが起こります。運動によってこうした身体機能をある程度向上することができますが、運動にはもうひとつの効果として脳の活性化があります。プラナ / PIXTA(ピクスタ)認知症を対象としたデイサービスなどでは積極的に運動を取り入れ、身体と脳の活性を促そうという試みが日常的に見られます。こうした運動に熱心な施設で、最近よく取り入れているのが、運動+脳トレーニングを行う「コグニサイズ」という方法です。二つのことを同時に実施するほうが、脳への刺激がより強められ、活性化につながるという発想です。cognicise(コグニサイズ)とは、英語のcognition (認知) とexercise (運動) を組み合わせた造語です。■ 計算や記憶にかかわる簡単なゲームがオススメ運動と一緒に行うものとして、計算や記憶に関する簡単なゲームがあります。あひる / PIXTA(ピクスタ)いわゆる脳トレーニングとして広く実施されていますが、これらを運動と同時に行うことでより効果が高まるといいます。コグニサイズの効果については数年前から国立長寿医療研究センターで実験が始まりました。2010年に軽度認知障害(MCI)のある方100人を対象にコグニサイズの調査をしていますが、調査の結果、約8割の参加者に記憶力の向上がみられました。■ 激しい運動より持続できる軽い運動を実験では、ウォーキングしながら簡単な引き算(例えば100から7を引いていくなど)をしたり、踏み台昇降をしながら数人でしりとりをする、といった計算や記憶に関わるエクササイズが行われました。千和 / PIXTA(ピクスタ)こうしたコグニサイズは一般の家庭でも手軽にできます。運動は激しい運動より、持続できる軽めの運動がオススメです。ただし、計算しながら歩くと集中しすぎて周囲が見えなくなることがあるので、公園など安全な場所で行うようにしてください。cba / PIXTA(ピクスタ)自宅であれば、庭を歩きながらパズルを解くなどの方法も可能だと思います。■ 自分にあったやりかたで楽しむことが大事!コグニサイズは自分なりにアレンジができるので、子どもと一緒にやったり、夫婦で散歩しながらやったり、あるいは独りで好きな時にやるなど、楽しみ方はさまざまです。つむぎ / PIXTA(ピクスタ)あまり難しく考えないで、楽しんで長く続けることが大切です。【参考】※国立長寿医療研究センター認知症予防運動プログラム「コグニサイズ」
2018年12月03日これからの子どもたちに必要とされるのは、テストだけでは測ることができない力――「非認知能力」だとされています。もちろん、将来の夢を子どもが叶えるためには、いわゆる学力である「認知能力」も必要でしょう。ただ、子ども教育のプロフェッショナル育成に携わる増田修治先生は、「認知能力を育むためにも非認知能力が重要」だと語ります。まずは、現在の教育現場が直面する問題から語ってもらいました。構成/岩川悟取材・文/清家茂樹(ESS)写真/玉井美世子(インタビューカットのみ)日本の教育が抱える「見えない貧困」問題いま、日本の教育は「貧困」という大きな問題に直面しています。「世帯収入が高いほどその家庭の子どもの学力も高い」という調査結果は、ニュースなどを通して耳にしたことがある人も多いことでしょう。貧困にはふたつの種類があります。ひとつは「絶対的貧困」で、もうひとつが「相対的貧困」。絶対的貧困にあたるのは世帯年収が約60~70万円を下回る世帯。月収が5万円以下で、食べものや着るものにも困るほどです。一方の相対的貧困は、世帯年収が120万円ほどの世帯。この相対的貧困は「見えない貧困」ともいわれていて、わたしは大きな問題だととらえています。この世帯の子どもは、食べものは食べているし衣服に困るほどではない。つまり、見た目は普通なのです。でも、その世帯の子どもたちは、さまざまな機会を奪われている。どんな機会かといえば、サッカーをしたくてもサッカーシューズは買ってもらえないし、バレエを習いたくても月謝を払ってもらえない。当然、学習塾に行くこともできません。この相対的貧困にあたる世帯の割合が、いまの日本ではどんどん増加しているとされています。「子ども食堂」というものを聞いたことはありますよね。貧困世帯の子どもたちを集めて食事を与え、同時に勉強も見てあげるという社会活動です。そこに来る子どもたちは、やはり学力が低い傾向にある。貧困世帯の子どもは、先にお伝えしたように学習塾には通えません。となると、自分で勉強しなければならない。でも、学習教材など自分で勉強できる環境が整っているわけでもないわけです。となると、その子どもにとって勉強できる唯一の場所は学校です。ところが、子ども食堂に来る子どもたちのなんと約8割が学級崩壊を経験しているというではありませんか。学級崩壊したクラスでは、まともに授業を受けることができません。そういう子どもたちは、勉強する機会を完全に奪われているのです。逆に、学級崩壊によって勉強する場所がないから、子ども食堂に通っているとも言えます。非認知能力の育成に欠かせない、子どもの声に耳を傾ける姿勢では、貧困家庭に育つと学力を伸ばすことができないのかというと、そうではありません。貧困世帯の子どもにも、貧困ではない世帯の子どもと遜色ない学力を持つ子どもたちがいます。彼らの共通点はなにかというと、「非認知能力が高い」ことです。非認知能力には、「朝ごはんを毎日食べる」といった生活習慣、「毎日の勉強時間の目安を決めている」といった学習習慣、あるいは、つらいことや困ったことがあったときに学校の先生に相談できるなどのコミュニケーション能力といったものも含まれます。これらは、一般的には貧困ではない世帯の子どものほうがしっかりと身につけている傾向にあるのですが、貧困世帯に育ちながら学力が高い子どもも、こういった基本的な習慣、非認知能力を身につけているのです。これがなにを表しているかというと、「非認知能力が認知能力を発達させる」ということです。2000年にノーベル経済学賞を受賞した経済学者、ジェームズ・ヘックマンらは、40年にわたる長期追跡調査の分析により、「非認知能力がその後の認知能力の発達を促し、その逆は確認できない」と結論づけました。非認知能力が高い子どもはテストの点数もあがるが、テストの点数がいいからといってその子どもの非認知能力が伸びるわけではないのです。となると、今後の乳幼児教育や小学校教育は大きく変わっていく必要があります。いつまでもテストで高得点を取ることだけが素晴らしいと評価する教育では駄目なのです。もちろん、これは学校などの教育現場だけの問題ではありません。家庭教育も、「非認知能力を伸ばす」ことを意識しておこなうべきでしょう。とはいえ、身構えるような必要はありません。大事なのは、「子どもの話をきちんと聞く」こと。教育に熱心な親ほど、子どもの言うことに耳を貸さず、「これが子どものためになるんだ」と勉強や習い事を押し付ける傾向にあります。それでは、まったくの逆効果。まずは、「なにかやりたいことある?」と子どもに聞いて一緒に考えること。そのなかで、互いに折り合いをつけていくべきでしょう。宿題ひとつ取っても、「●時になったから宿題をやりなさい」では駄目。「何時になったら宿題に取り掛かれる?」と子どもに聞いてください。そうして決めた時間は、親が決めたものではありませんよね?これはつまり、子どもに選択権を渡しているということ。そうすれば、親からすれば「あなたが決めたことでしょう?」と言えるし、子どもからすれば「自分で決めたのだからやらなくちゃ」と、自発性や意欲、責任感を養うことにもなる。多くの親は、その過程を省いてしまっているように感じます。そうではなくて、親と子どもそれぞれが納得する「一致点」をつくるコミュニケーションをたくさん取ってください。そういったことが、子どもの非認知能力を育んでいくのですから。『遊びにつなぐ! 場面から読み取る子どもの発達』増田修治 著/中央法規出版(2018)■ 子ども教育のエキスパート・増田修治先生 インタビュー一覧第1回:クイズで育む!?子どもの「人生を決める」非認知能力の伸ばし方第2回:非認知能力が高い子どもは、「認知能力」も伸びていく。ではその逆は――?第3回:子どもの自己表現力を伸ばし、自己肯定感を高める「親子コミュニケーション」(※近日公開)第4回:“おなら”に“裸”、なにを書いてもOK!?「ユーモア詩」が伸ばす子どもの力(※近日公開)【プロフィール】増田修治(ますだ・しゅうじ)1958年3月8日生まれ、埼玉県出身。1980年、埼玉大学教育学部卒業後、小学校教諭として埼玉県朝霞市内の小学校に勤務。「ユーモア詩」に取り組み、子どもたちのコミュニケーション能力の向上を図るとともに、楽しい学級づくり、保護者とのコミュニケーションづくりをおこなう。2002年にはNHK『にんげんドキュメント 詩が躍る教室』が放映され反響を呼んだ。2008年3月末で小学校教諭を退職し、同年4月より白梅学園大学准教授。現在は同大学子ども学部子ども学科教授。『小1プロブレム対策のための活動ハンドブック』(日本標準)、『「いじめ・自殺事件」の深層を考える—岩手県矢巾町『いじめ・自殺』を中心として—』(本の泉社)、『先生! 今日の授業楽しかった!—多忙感を吹き飛ばす、マネジメントの視点—』(日本標準)など教育関連の著書多数。【ライタープロフィール】清家茂樹(せいけ・しげき)1975年生まれ、愛媛県出身。出版社勤務を経て2012年に独立し、編集プロダクション・株式会社ESSを設立。ジャンルを問わずさまざまな雑誌・書籍の編集に携わる。
2018年12月02日テストで測ることができる力を「認知能力」、テストで測ることができない力を「非認知能力」と呼ぶことは見聞きしたことがあるかもしれません。でも、非認知能力が具体的にどういうものか、なかなか明確にイメージしにくいのも事実。それがどんなもので、なぜいま必要とされるのか――。教えてくれたのは、子ども教育のプロフェッショナルを養成している白梅学園大学の増田修治先生です。構成/岩川悟取材・文/清家茂樹(ESS)写真/玉井美世子(インタビューカットのみ)非認知能力とは能動的な心情を自分のなかにつくり出せる力「非認知能力」がどういうものかを知ってもらうため、まずは次のクイズに挑戦してみてください。Q:次の野菜や果物は水に浮くか、沈むか。1.ピーマン2.キュウリ3.ナス4.バナナ5.リンゴ6.ニンジン7.ジャガイモこれは、わたしが4歳児に出したクイズです。水槽を用意して1から順に、実際に答えを確かめながら進めました。ピーマンは……水に浮きますよね。4歳児も多くが正解しました。ところが、次のキュウリは子どもたちの答えがけっこうわかれた。正解は次のナスも含めて浮く。大人であれば、料理中にこれらを洗うときに水に浮かぶ様子を見たことがある人も多いでしょう。それでは次のバナナとリンゴは?このふたつも浮くんですね。では、子どもたちはニンジンについてはどう答えたでしょうか。それは「浮く」でした。なぜそう思うのかと聞いたら「これまでの全部が浮くから」と。子どもたちはちゃんと考えているんです。これまでの正解を聞いて、「野菜や果物は水に浮く」と考えたわけです。でも、答えは「沈む」なんですよね(笑)。それでは、最後のジャガイモはどうでしょう?答えは……「沈む」です。「野菜や果物は水に浮く」という仮説は正しくありませんでした。でも、別の仮説が浮かんできませんか?そう、基本的に地下にあるものは水に沈んで、地上にあるものは浮くのです。そして、このクイズの後、子どもたちは家に帰ってお風呂にいろんな野菜や果物を浮かべてみた。これが、簡単に言えば非認知能力です。このクイズで、なにが浮く浮かないといった知識を教えようとしたわけではありません。子どもたちはクイズをとおして、自分の頭でうんと考えた。そして、「面白い」だとか「やってみよう」「調べてみよう」という気持ちになった。こういう能動的な心情を、自分のなかでつくり出せる力――それが非認知能力なのです。AIの発達が進むこれからに求められる非認知能力いま、この非認知能力が「子どもたちの人生を決める」とも言われています。というのも、時代が大きな曲がり角にきているからです。これからは人工知能、いわゆるAIが社会を大きく変えていきます。そして、そのAIをどういう方向で使っていくかを考えられる人間が必要とされる。AIの時代になるからこそ、これまでとちがった角度からものを見ることができる、あるいは新しいものや発想を生み出せる力が求められるのです。それこそ、テストでは測ることができない、非認知能力そのものでしょう。また、オックスフォード大学の研究によると、「AIの発達によって今後10年で現在の約47%の仕事が自動化する」との試算が出ています。たとえばですが、バーテンダーの仕事は77%の確率でなくなるとか。他にもスポーツの審判員やレジ係、データ入力係、集金人などもなくなる仕事だとされています。これは遠い未来の話ではありません。現在進行形ではじまっているものです。いま、「スマートガスメーター」の導入が全国で進んでいることをご存じですか?これは、ガスの使用量を無線通信回線で把握するというメーター。つまり、これまで検針員がやっていた仕事がなくなるということです。なくならない仕事は、教師や保育士など人間相手の仕事、それからデザイナーといった創造性が必要な仕事などに限られてきます。単純な仕事は基本的にどんどんなくなるので、これからは自ら仕事を生み出すような人間になっていかないとならない。それがいいかどうかはともかく、そうならざるを得ないのです。それこそ、他人とどう接するか、どういう新しい発想を持って創造性を発揮するかといったことは、なかなか点数にできるものではありません。それらはまさに、非認知能力だということです。重要性を増している幼少期における非認知能力を伸ばす教育ここで4歳の子どもを対象におこなわれた「マシュマロ・テスト」と呼ばれる実験をご紹介しましょう。その内容は、子どもにマシュマロをひとつ渡して「食べずに15分待てばもうひとつマシュマロをあげるよ」と告げるというもの。すると、2個目をもらえるまで我慢できる子どもと、我慢できずに食べてしまう子どもにわかれた。この実験でわかるのは、「自制心」が育っているかどうかということ。自制心も重要な非認知能力です。そして、実験はこれで終わりではありません。その後の追跡調査により、2個目をもらえるまで我慢できる自制心がある子どもは、少年期には学力が高くて誘惑に強い、青年期には教育水準が高くて肥満率が低い傾向にあることがわかりました。一方、我慢できずに1個目のマシュマロを食べてしまった子どもは、対照的に学力が低い、肥満率が高いといった結果が出たのです。【マシュマロ・テストの追跡調査結果】これは、4歳時点における自制心という非認知能力の有無が、その後の人生を大きく変えたということに他なりません。まだ幼い4歳でのちがいとなると、「非認知能力の優劣は遺伝的に決まっているのか」という疑問を持った人もいるでしょう。でも、そうではありません。「幼少期における教育」の重要性が高いということです。そして、今後は非認知能力を伸ばすための教育がより重要となるとわたしは考えています。このマシュマロ・テストで2個目をもらえるまで我慢できた子どもというのは、「先を見通して考える」ことができたということ。言い換えれば、ものと時間などの「つながり」が見えているということです。ところが、いまはそういった「つながり」がどんどん見えなくなっている、あらゆるものが「ブラックボックス化」している時代なのです。たとえば、自動車もそう。むかしの自動車はいまのものより構造がはるかに単純で、整備士にはなにがどうなって自動車が動くということがすべて見えていた。でも、数多くの複雑な電子部品が使われているいまの自動車だとそうはいきません。整備士にも理解できていない部分が多く、調子が悪い部分を基盤ごと取り替えるということになる。こういうことがあらゆるものにおいて起きているため、「つながり」というものが見えにくくなっているのです。読者のなかに、子どものころに時計やいろいろなものを分解してもとに戻すのが好きだったという人はいませんか?わたしがそうで、たいてい部品が余っちゃって捨てることになっていましたけどね……(笑)。ただ、それは子どもにとって大切なことなのです。非認知能力なんてものが知られていなかったむかしは、そういうふうに自然に「つながり」を知って非認知能力を伸ばす環境にありました。ところがいまはそうではない。だからこそ、意図的に非認知能力を伸ばすよう働きかけをしていく必要があるのです。『遊びにつなぐ! 場面から読み取る子どもの発達』増田修治 著/中央法規出版(2018)■ 子ども教育のエキスパート・増田修治先生 インタビュー一覧第1回:クイズで育む!?子どもの「人生を決める」非認知能力の伸ばし方第2回:非認知能力が高い子どもは、「認知能力」も伸びていく。ではその逆は――?(※近日公開)第3回:子どもの自己表現力を伸ばし、自己肯定感を高める「親子コミュニケーション」(※近日公開)第4回:“おなら”に“裸”、なにを書いてもOK!?「ユーモア詩」が伸ばす子どもの力(※近日公開)【プロフィール】増田修治(ますだ・しゅうじ)1958年3月8日生まれ、埼玉県出身。1980年、埼玉大学教育学部卒業後、小学校教諭として埼玉県朝霞市内の小学校に勤務。「ユーモア詩」に取り組み、子どもたちのコミュニケーション能力の向上を図るとともに、楽しい学級づくり、保護者とのコミュニケーションづくりをおこなう。2002年にはNHK『にんげんドキュメント 詩が躍る教室』が放映され反響を呼んだ。2008年3月末で小学校教諭を退職し、同年4月より白梅学園大学准教授。現在は同大学子ども学部子ども学科教授。『小1プロブレム対策のための活動ハンドブック』(日本標準)、『「いじめ・自殺事件」の深層を考える—岩手県矢巾町『いじめ・自殺』を中心として—』(本の泉社)、『先生! 今日の授業楽しかった!—多忙感を吹き飛ばす、マネジメントの視点—』(日本標準)など教育関連の著書多数。【ライタープロフィール】清家茂樹(せいけ・しげき)1975年生まれ、愛媛県出身。出版社勤務を経て2012年に独立し、編集プロダクション・株式会社ESSを設立。ジャンルを問わずさまざまな雑誌・書籍の編集に携わる。
2018年12月01日診断されるとお金がおりる認知症保険。高齢になると子どもに迷惑をかけたくないと加入を考える人も多いようだ。そんな認知症保険に加入する際の注意点を、経済ジャーナリストの荻原博子さんが解説してくれた――。病気やけがで認知症の方が入院した際、45%もの方が体を拘束されたことがある。そんな調査結果が今月18日、発表されました(国立がん研究センター)。ショッキングですが、人ごとではありません。認知症は、’12年には65歳以上の7人に1人でしたが、’25年には5人に1人になるといわれています(’17年・内閣府)。そんななか、「認知症保険」が注目されています。業界初の認知症保険は、太陽生命が’16年に販売を開始。今年10月までに、約40万件の契約があったといいます。最近は種類も増えました。それぞれの特徴を見ていきましょう。まず、太陽生命の「ひまわり認知症予防保険」です。以前の保険は、認知症状態が180日続いた後、保険金が出るものでした。ですが「それでは遅い」という声を受けて、認知症と診断されたときに最大100万円と、180日後に最大200万円の保険金が出るようになりました。また、加入から1年たって認知症になっていない方には、3万円の「予防給付金」が出ます。予防給付金はその後、2年おきに支給され、これを使って認知症検査を受けることを推奨しています。次は、損保ジャパン日本興亜ひまわり生命保険の「リンククロス笑顔をまもる認知症保険」です。認知症の前段階である軽度認知障害(MCI)と診断されると保険金の一部が出て、その後、認知症に進むと、残りの保険金がおります。MCIの段階で保険金が出るのは、今のところこれだけです。さらに、朝日生命の「あんしん介護」には、公的介護保険で要支援2と認定されると、一時金が出るタイプがあります。認知症でも体に不自由のない方は、要介護判定が低くなりがちです。要支援2という軽い段階で保険金が出るものは、業界初です。確かに認知症は介護も大変ですし、不安が大きいでしょう。ですが、保険はお金の問題。支払う保険料と、どんなときに保険金が出るかをきちんと納得してから、加入しましょう。注意点は3つです。【1】すべての認知症に、保険金が出るわけではない認知症のなかで、保険金を出す認知症を保険会社が指定しています。対象外の認知症になった方は、保険金が出ません。また、保険会社によって対象はさまざまです。【2】加入当初に、保険金が減額される「削減期間」がある認知症になっても、加入から1年以内だと保険金は半額、加入から180日間は出ないなど、保険会社ごとに削減期間が決まっています。【3】保険料は高め太陽生命の「ひまわり認知症予防保険」に60歳女性が加入すると、認知症の診断で100万円、180日後に200万円、入院日額5,000円や、骨折や入院時の一時金などもついて、保険料は月々1万8,660円。認知症以外なら持病があっても入りやすいのですが、保険料は高めです。子どもに迷惑をかけたくないからと加入される方が多いようです。でもその前に、家族でよく話し合ってみてください。
2018年11月30日話題のスポットに本誌記者が“おでかけ”し、その魅力を紹介するこの企画。今回は、’16年に『Mr.サンデー』で放送され大反響だった、認知症の母を追ったドキュメンタリー『ぼけますから、よろしくお願いします。』の完全版が映画化ということで、高齢の両親を持つ記者は、少しドキドキしながら身に行ってきました。■映画『ぼけますから、よろしくお願いします。』ポレポレ東中野にて上映中。順次全国公開テレビディレクター信友さんは45歳のとき乳がんが見つかり、明るい母親に支えられていたが、今度は母親が認知症に……。社交的で多才だった母親が変わっていくさまが描かれ、時に涙し、時には笑い、そして感動します。駄々をこねたり、突然怒ったりと困惑させられるのですが、母親の笑顔は少女のように無邪気でかわいい。そんな母を支える95歳の父。耳が遠いながらも初めての家事に挑戦したり、一生懸命奥様をサポートする姿に「夫婦ってこうあるべき」と感心させられます。信友監督も「認知症の介護はつらいことばかりじゃない、ということもわかってもらいたい」と語っているとおり、思わず「認知症になってよかった?」と思ってしまうほど、夫婦の感動的な姿も。誰もが直面する可能性がある高齢社会と認知症。でも、この映画を見たら、「両親が認知症になっても、どうにか対処できるのかも」とも思わせてくれます。高齢の家族がいる人にはぜひ、見てもらいたい作品です。
2018年11月12日認知症は日常生活に大きな影響を及ぼし、時には寝たきりの原因にもなります。自分自身や身近な人が認知症になってから慌てる前に、早いうちから認知症の予防を心がけましょう。難しいことをしたり大金をかけたりしなくても、日々の生活習慣に注意するだけで認知症を防ぐのに役立ちます。認知症は予防可能な病気認知症は誰でも発症しうる病気ですが、認知症の多くは一度発症すると完治できないと言われています。そのため、近年まで認知症を防ぐことはできないと思われていました。しかし最近の研究によって、生活習慣への配慮によって認知症発症のリスクを下げられることが明らかになりました。認知症予防に役立つ要素として、バランスの取れた食事・適度な運動・質の良い睡眠・生活習慣病のコントロールなどの健康的な生活習慣が多く挙げられます。このほか、高等教育を受けたり知的活動を行ったりすることも認知症予防に役立つと考えられています。認知症の前段階「軽度認知障害(MCI)」認知症患者の多くは、認知症の前に「軽度認知障害(MCI)」を発症します。MCIはいわば正常と認知症の中間であり、記憶力・注意力などが低下しているがおおむね普通の日常生活ができる状態を指します。現在、日本にはMCIに該当する人が約400万人いるとみられています。国立長寿医療研究センターによると、MCIと診断された人を4年追跡調査した結果46%は正常に戻り、14%が認知症に進んだことがわかりました。このことから、MCIの段階で対策を立てれば認知症の発症を防げる、または遅らせることができる可能性が高いことがわかります。自分自身や身近な人の様子がおかしいと思ったら、早めに専門機関に相談しましょう。 認知症の種類と原因三大認知症と言われるアルツハイマー型認知症・レビー小体型認知症・血管性認知症は、国内における認知症の8~9割を占めています。アルツハイマー型認知症日本人の認知症の約6~7割は、アルツハイマー型認知症と言われています。アルツハイマー型認知症は脳内に発生した異常なタンパク質などが神経細胞の働きを妨げることで発症し、進行すると神経細胞が破壊されて脳が萎縮します。アルツハイマー型認知症は軽いもの忘れなどから始まり、ゆるやかに進行します。病状が進むと新しいことを記憶できなくなり、日付・曜日や今いる場所などもわからなくなります。早い段階で認知症に気づいて適切な薬物治療などを受ければ、進行を抑えることができます。レビー小体型認知症認知症の約5%を占めるレビー小体型認知症は、脳内にレビー小体(異常なタンパク質)ができて脳の神経細胞が破壊されて起こります。このタイプの認知症では、幻視(存在しないはずのものが見える)・錯視(見えているものを全く違うものとして認識する)・睡眠中の大きな寝言や激しい動作・パーキンソン症状(動作が遅くなる・筋肉がこわばる・転びやすくなるなど)などが特徴的です。レビー小体型認知症の治療は、薬で症状を抑える対症療法がメインになります。血管性認知症脳梗塞や脳出血などの後遺症として起こる血管性認知症は、認知症の2割程度を占めています。脳の血管が破れたり詰まったりすると周辺の神経細胞がダメージを受け、認知症状が現れます。血管障害の部位によって症状が大きく異なり、記憶障害のほかに言語障害や歩行障害などが起こることもあります。脳血管障害を繰り返すと、血管性認知症も階段状に悪化していきます。言い換えれば、脳血管障害の原因となる高血圧・糖尿病・動脈硬化の予防や治療によって血管性認知症の進行を抑えることができます。その他三大認知症を除く認知症の中には、正常圧水頭症(脳室にたまった脳脊髄液が脳を圧迫する病気)、慢性硬膜下血腫(外傷などで頭蓋骨と脳の間に血腫ができて脳を圧迫する病気)、脳腫瘍などが原因で起こるものもあります。これらの認知症は、原因となる病気を治せば症状が消えることもあります。 認知症を防ぐ3つの方法認知症を防ぐ第一歩は、毎日の食事・生活習慣・活動に気を配ることです。最初から無理をすると挫折しやすいので、できることから少しずつ実行していきましょう。必要に応じて、医師などの専門家に相談しましょう。1.認知症を防ぐ食事毎日の食事は、わたしたちの身体をつくる大切なものです。栄養バランスや食事の摂り方に配慮して、認知症のリスクを下げましょう。食材について魚と野菜を多く摂る和食や地中海食が近年注目されていますが、これらの食事は認知症予防にも良いとされています。青魚青魚に多く含まれるDHAは脳の神経伝達を助け、脳の活性化に役立ちます。同じく青魚に含まれるEPAは血管を拡げて血流を良くし、生活習慣病のリスクを下げます。赤ワイン赤ワインに含まれる抗酸化物質の一種・ポリフェノールを十分摂ると、認知症や生活習慣病を防ぐ効果が期待できます。葉物野菜、果物ほうれん草や小松菜、いちごなどには葉酸が豊富に含まれています。葉酸を豊富に摂ることで、動脈硬化の原因となるホモシステイン(悪玉アミノ酸)の増加を抑えるのに役立ちます。緑黄色野菜、ナッツ類抗酸化物質であるビタミンA・C・Eやポリフェノール類が豊富なものが少なくありません。抗酸化物質は、動脈硬化のリスクを下げるのに役立ちます。炭水化物メインの食事や糖分の多い食品炭水化物や糖分を摂りすぎると、糖尿病の原因となります。糖尿病になると、脳血管性認知症やアルツハイマー型認知症のリスクも上がります。炭水化物・糖分とともに食物繊維の多い野菜・海藻・きのこ類などをしっかり摂ると、血糖値の上昇を抑えることができます。ショートニング、マーガリン、動物性脂肪(魚以外)ショートニング、マーガリンなどに含まれるトランス脂肪酸や魚以外の動物性脂肪を摂りすぎると、血中のLDL(悪玉コレステロール)が増えやすくなり動脈硬化のリスクが上がります。塩分を多用するメニュー塩分過剰な食事は高血圧の原因にもなり得ます。高血圧をどを防ぐため、味付けや調理法を工夫して減塩を心がけましょう。食べ方について身体に良いからと同じものばかり食べると、栄養バランスが崩れて逆に不健康になってしまいます。朝は卵料理を食べたから昼食は魚がメインというふうに、いろいろな食材を摂りましょう。食事のたびによく噛むことで、脳を刺激できます。たとえ高齢でも、必要以上にやわらかいものばかり食べていると脳への刺激が減ってしまいます。むやみに食事制限をしてしまうと、脳への刺激だけでなく食事の楽しみも減ってしまいます。様々な食材をまんべんなくとることが重要です。 2.認知症を防ぐ生活習慣認知症を防ぐには、運動・睡眠をしっかり摂って健康維持につとめることも大切です。運動ただ歩くだけでも、脳から身体の各部に「右手を前に出す」「左足で地面を蹴る」といった複雑な司令が送られています。つまり、体を動かすことで自然に脳を刺激できます。さらに運動で全身の血流が良くなれば、脳の血流もおのずと良くなるでしょう。睡眠習慣慢性的に睡眠時間が足りない人や睡眠の質が良くない人は、認知症のリスクが高まることがわかっています。熟睡できない状態が続くと、アルツハイマー型認知症の原因となる異常なタンパク質が脳にたまりやすくなるためです。睡眠の質を上げるためには、まず起床後に日光を浴び朝食をしっかり摂るよう心がけましょう。これらの行動によってすっきり目覚めやすくなり、昼間に脳をしっかり覚醒させることで夜に眠気を感じやすくなります。また、睡眠を妨げる病気(睡眠時無呼吸症候群など)がある人は早めに治療しましょう。生活習慣病予防上でも触れましたが、糖尿病・高血圧・心疾患などの生活習慣病になると血液や血管に異常が出やすくなり認知症のリスクも上がります。日頃の食事や運動習慣に注意しつつ定期的に健康診断を受けて、生活習慣病を防ぎましょう。すでに生活習慣病になっている人は、しっかり治療して進行を食い止めましょう。歯周病予防歯周病などによって多くの歯を失うとしっかり噛めなくなり、脳への刺激が減ってしまいます。また、歯周病菌が原因で動脈硬化のリスクが上がることもわかっています。毎日の正しいブラッシングや定期的な歯科検診で、歯の健康を守りましょう。すでに歯を失ってしまった場合は、入れ歯やインプラントを使えばまた噛めるようになるでしょう。 3.認知症を防ぐ活動日々の活動や趣味を工夫して、脳にほどよい刺激を与え続けましょう。多くの人と交流するなるべく家に引きこもらず、社会活動や趣味などのコミュニティに参加して多くの人と交流しましょう。地域のホームページや情報誌などで、中高年向けのボランティア活動やカルチャースクールなどの情報が見つかることも多いですよ。脳を鍛える知的活動や指先を細かく使う作業をするとき、脳は複雑に活動します。以下のような趣味を持つことで、手軽に脳トレーニングができます。・文章の読み書き(新聞を読む、俳句・短歌を作るなど)・博物館や美術館に行く・頭を使うゲーム(将棋、囲碁など)・新聞・雑誌に載っているパズルやクイズ(クロスワードパズル、数独など)・指先を使う趣味(裁縫、編み物、陶芸など) 認知症予防で大切なことまだ若いからと油断せず早いうちから生活習慣に注意すれば、将来認知症になるリスクを1/3ほど下げることができます。また認知症になる前のMCIの段階で症状に気づいて対策すれば、治る可能性は十分にあります。認知症を防ぐため毎日の食生活と生活習慣に注意するのはもちろん、人との交流や知的活動にも積極的に取り組みましょう。趣味を多く持つことで人生がより豊かになり、認知症のリスクを下げて健康寿命を延ばすのに役立つでしょう。 【参考】医療法人 東内科医院「認知症について」医療法人泯江堂 油山病院「軽度認知障害(MCI)について」厚生労働省認知症の基礎~正しい理解のために~「認知症施策の現状について」政府広報オンライン「もし、家族や自分が認知症になったら知っておきたい認知症のキホン」富山市「認知症ガイドブック」8020推進財団「歯周病対策で健康力アップからだの健康は歯と歯ぐきから」一般社団法人認知症予防協会「認知症を予防しよう」公益財団法人長寿科学振興財団 健康長寿ネット「認知症の予防」「認知症予防のための食事とは」「地中海食の特徴」
2018年10月24日《認知症の前段階とされる軽度認知障害(MCI)の女性は、男性よりも認知症になりやすい――》今年7月、東京大学の研究チームがアメリカの科学誌に発表した論文が反響を呼んでいる。「MCIとは、正常な状態と認知症の中間にあり、物忘れが主な症状です。日常生活には支障がないのですが、たとえば銀行のATMで暗証番号を忘れてお金が引き出せないことがときどきあったり、同じ物を何個も買ってしまったりと、生活するうえで細かい失敗が出てくる状態を指します。認知症に進行しやすいので注意が必要ですが、現在の医療では、あまり有効な手段がないのが現状です」そう解説するのは、研究チームの1人で、東京大学医学部附属病院・神経内科講師で医師の岩田淳先生。厚生労働省によると、約3,000万人いる65歳以上の高齢者のうち、15%の462万人が認知症を患い、13%の約400万人がMCIの状態だという(’12年度調査)。人生100年時代を迎えたが、日常生活を支障なく送ることができる“健康寿命”を延ばすためには、認知症を発症させない、発症しても進行させないことが求められる。「MCIの背景にはさまざまな疾患があり、アルツハイマー病が潜んでいると進行は早くなります。高血圧や糖尿病など生活習慣病を患っていると認知症になりやすいということも過去の研究で明らかになっていますが、その進行の過程は未解明な部分があり、また日本人のデータもなかったので、2~3年間かけてデータを採ってきました」(岩田医師)研究では全国の38医療機関で診察を受けMCIと診断された男女234人(平均72歳)に1年に1度、認知機能テストや脳の画像検査を続けて3年間追跡調査を行った。その結果、3年以内に認知症へ移行した人は、男性が40%だったのに対し、女性は60%だった。「認知機能の悪化が早い女性には、ほんのわずかな腎機能の低下がみられました。同じ方法で実施されたアメリカの研究では、認知機能の悪化に男女差はありませんでした。なぜ、日本人では男女差が生じたのか。その理由として、日本の女性は男性よりも体が小さいため血管が細く、生活習慣病などによって引き起こされる動脈硬化が起こりやすいためではないかと推測しました」(岩田医師)脳内の血管がダメージを受けると、動脈硬化が起こり、神経細胞が壊され、認知機能の悪化を招きやすくなるという。見過ごされがちだが、全身の血管のうち、健康を維持するためにとても大切なのは約9割を占める毛細血管。全身の隅々まで酸素や栄養、熱を送り、老廃物を流す役割があるからだ。「毛細血管は放っておくと加齢とともに徐々に消滅してしまい、無機能化(ゴースト化)が進みます。血管が細い日本人女性が特に気をつけなければならないのが、この“血管のゴースト化”です」こう語るのは、『血管の強化書-破れない!詰まらない!澄み切った血液は万病を治す』(ワニブックス)の著者で、金沢医科大学総合内科学准教授の赤澤純代先生。女性ホルモンの一種、エストロゲンには血管の保護作用があるため、エストロゲンが減少すると血管にダメージを受けやすくなる。40代以降は、特に注意が必要だという。
2018年10月18日厚生労働省によると、約3,000万人いる65歳以上の高齢者のうち、15%の462万人が認知症を患い、13%の約400万人が認知症の前段階とされる軽度認知障害(MCI)の状態だという(’12年度調査)。人生100年時代を迎えたが、日常生活を支障なく送ることができる“健康寿命”を延ばすためには、認知症を発症させない、発症しても進行させないことが求められる。《認知症の前段階とされる軽度認知障害(MCI)の女性は、男性よりも認知症になりやすい――》今年7月、東京大学の研究チームがアメリカの科学誌に発表した論文が反響を呼んでいる。「MCIとは、正常な状態と認知症の中間にあり、物忘れが主な症状です。日常生活には支障がないのですが、たとえば銀行のATMで暗証番号を忘れてお金が引き出せないことがときどきあったり、同じ物を何個も買ってしまったりと、生活するうえで細かい失敗が出てくる状態を指します。認知症に進行しやすいので注意が必要ですが、現在の医療では、あまり有効な手段がないのが現状です」そう解説するのは、研究チームの1人で、東京大学医学部附属病院・神経内科講師で医師の岩田淳先生。研究では全国の38医療機関で診察を受けMCIと診断された男女234人(平均72歳)に1年に1度、認知機能テストや脳の画像検査を続けて3年間追跡調査を行った。その結果、3年以内に認知症へ移行した人は、男性が40%だったのに対し、女性は60%だった。「認知機能の悪化が早い女性には、ほんのわずかな腎機能の低下がみられました。同じ方法で実施されたアメリカの研究では、認知機能の悪化に男女差はありませんでした。なぜ、日本人では男女差が生じたのか。その理由として、日本の女性は男性よりも体が小さいため血管が細く、生活習慣病などによって引き起こされる動脈硬化が起こりやすいためではないかと推測しました」(岩田医師)脳内の血管がダメージを受けると、動脈硬化が起こり、神経細胞が壊され、認知機能の悪化を招きやすくなるという。見過ごされがちだが、全身の血管のうち、健康を維持するためにとても大切なのは約9割を占める毛細血管。全身の隅々まで酸素や栄養、熱を送り、老廃物を流す役割があるからだ。「毛細血管は放っておくと加齢とともに徐々に消滅してしまい、無機能化(ゴースト化)が進みます。血管が細い日本人女性が特に気をつけなければならないのが、この“血管のゴースト化”です」こう語るのは、『血管の強化書-破れない!詰まらない!澄み切った血液は万病を治す』(ワニブックス)の著者で、金沢医科大学総合内科学准教授の赤澤純代先生。女性ホルモンの一種、エストロゲンには血管の保護作用があるため、エストロゲンが減少すると血管にダメージを受けやすくなる。40代以降は、特に注意が必要だという。「加齢のほかにも、喫煙、運動不足、ストレスなどの習慣が血管に負荷を与えてしまいます。そして、血管の老化を加速度的に進行させてしまうのは、塩分や糖分をとりすぎる悪い食習慣です」(赤澤先生・以下同)次の生活習慣を確認してみよう。当てはまる項目があれば血管のゴースト化が懸念される。丈夫な血管を保つためにも、すぐに改めよう。【喫煙】喫煙は血管を収縮させ、血液の粘度が高まりドロドロになる。さらに、動脈硬化が進みやすくなる。【過度のアルコール摂取】お酒を飲むと一時的に血圧が下がり脈拍を速めるが、長時間飲み続けると血圧が上がり高血圧症の原因に。【塩分&糖質過多の食事】血管力を高めるのは薄味の食事。外食や加工食品を減らし、野菜やタンパク質を意識的に取るようにしたい。【肥満体形】コレステロール値が高い状態が続くと動脈硬化が進み、血管が狭くなる。標準体重を維持しよう。【運動不足】少し息が上がるくらいのスピードで1日30分歩く習慣をつけたい。ハードな運動は関節を痛めることがあるので注意。赤澤先生によれば、マッサージで血管の循環を促すことで、血管は鍛えることができるという。赤澤先生が推奨するのは次の2つのマッサージだ。【血流を促す「ふくらはぎマッサージ」】1)マッサージオイルを使い、ふくらはぎを両手で包み込むように、アキレス腱から膝裏のリンパ節までやさしくさすりあげる。2)膝の裏は、少し力を入れて特に念入りにマッサージする。3)親指でツボを押しながら、鼠径部までマッサージ。反対の脚も同様に。血海(膝の内側から指3本分上)、足三里(膝下の外側)、三陰交(くるぶしの内側から指3本分上)の、3つのツボを意識する。【リンパの流れをアップさせる「首・鎖骨のプッシュ」】1)あごの先から耳の下に向かって手でさすり、後頭部に向かって頭蓋骨のすぐ下を押す。さらに鎖骨に向かって首をさする。左右5回。2)肩の骨の付け根あたりから、鎖骨の上側の骨に近い部分を指で押す。左右5回。「必ず行ってほしいのがふくらはぎのマッサージです。ふくらはぎは“第二の心臓”といわれるほど、血流に大きな影響を与える大事な部分です。静脈には一方向に流れる弁があり、末梢の血液を戻す流れを作るには、ポンプの役割を果たす筋肉が必要です。ふくらはぎが硬くなっていたら微小循環が悪いことが考えられます。心臓に戻す方向でさすり、少し太い静脈に血液を戻しましょう」さわってみて冷たく感じたり、硬かったり、むくんでいたりしたら血行が悪く冷えているサインだという。また、相手と楽しみながら行う「足指じゃんけん」も、末梢血管の血流を促進させる効果があるそうだ。「首・鎖骨のプッシュ」はリンパの流れをよくするマッサージ。鎖骨の周辺には老廃物を運んでくる静脈がめぐり、リンパ管もたくさん張りめぐらされている。このあたりをほぐして血流をよくすることで、肩こりや頭痛も改善できて、一石二鳥だそう。手軽にできることから始めて、血管のゴースト化を防ぎ、健康寿命を延ばしていこう!
2018年10月18日在宅介護では暴言や暴力が絶えないともいわれています。このいわゆる虐待は大きな問題でもあります。認知症の人に接するうえで最も大切なことは何か。このような悲劇を招かないために、一度立ち止まって考えてみる必要がありそうです。■ 最も暴力に発展しやすいのは子が親を介護するケース!?平成27年度、家族や親族による虐待数は15,976件でした。これは前年と比べて237件増えています。sakai / PIXTA(ピクスタ)介護者と要介護者の関係を大きく分けると、子が親を介護、妻が夫を介護、夫が妻を介護、妻が姑を介護、という4つのケースがあります。この中で最も感情を乱しやすいのは、子が親を介護するケースです。また認知症の人は感情のコントロールがうまくできないため、何かと怒ったり頑固になったりします。しかも言うことを聞かないうえ、暴言や暴力までふるうこともあります。その結果、介護者がストレスを抱え、今度は介護者による虐待が始まることも少なくありません。■ 虐待で最も多い!息子が親に対して行う暴力平成27年度の虐待事例15,976件のうち、息子が全体の40.3パーセント(7,099件)を占めています。Ushico / PIXTA(ピクスタ)以下、夫の21.0パーセント(3,703件)、娘の16.5パーセント(2,906件)の順に続いています。では、なぜ息子の暴力が多いのか。それは、もともと力の差があるうえ、身内という遠慮のない関係が災いし、暴力をふるいやすいのではないかと思われます。■ 在宅介護で虐待が起こる最大理由はストレス!息子や娘は、自分を育ててくれた親をいつまでも気丈で尊大な人と思いたいものです。しかし、幼児のようにわがままや身勝手な振る舞いをする親に、我慢できなくなり、つい手を挙げてしまうのではないでしょうか。厚生労働省の調査によると、在宅介護で虐待が起こる最大の理由は「介護疲れ・介護ストレス」とのこと。shimi / PIXTA(ピクスタ)徘徊や異常行動を起こす親に振り回されると、疲れ、ストレスが溜まり、やがて冷静に対処することができず、大声で怒鳴ったり、手が出たりします。■ 病に対する理解不足は悲劇を生む根源同じ質問を一日に何十回もされると、多くの人は冷静さを失うでしょう。でも、それが認知症なのです。言ったこと、聞いたことをすぐに忘れる病が認知症なのに、性格が悪いとか頭がおかしいとか、本気で思ってしまう人もいます。shimi / PIXTA(ピクスタ)認知症で最も悲しいことは、こうした誤解による関係性の崩壊です。では、どうすればいいのでしょうか?最大の防止策は、認知症を理解することです。多くの介護者が認知症を理解しないまま介護をしていると考えられます。介護方法は知っていても、病気についての理解がないため基本的な接し方ができない人が多いのです。これは悲劇の根源でもあります。認知症の人は病人である前に人なのです。汚い言葉には汚い言葉で返します。優しい言葉には優しい言葉で返します。■ 認知症を理解し受け入れる寛容さが大切認知症は治らない病気、認知症になったら家庭は崩壊する、などの言葉が独り歩きし、誤解を信じ込んでいる人はたくさんいます。認知症を理解することは相手を理解することであり、それによって憎まない・怒らないにつながります。しげぱぱ / PIXTA(ピクスタ)病を憎んで人を憎まず。難しいことかもしれませんが、病気を理解し真正面から受け入れる寛容さが私たちには必要なのだと思います。【参考】※イリーゼ高齢者虐待を防止するには?介護現場の実態と今後の解決策※厚生労働省医療経済研究機構「家庭内における高齢者虐待に関する調査」概要※厚生労働省平成27年度 高齢者虐待の防止、高齢者の養護者に対する支援等に関する法律に基づく対応状況等に関する調査結果
2018年09月18日少しずつ認知症の症状が現れるアルツハイマー型認知症とは異なり、脳梗塞、脳出血などの脳血管が原因で認知症になる人は少なくありません。しかも、脳梗塞は40代、50代でも発症します。とはいっても、脳梗塞は生活改善などで防ごうと思えば防げる病気です。ここでは脳梗塞で認知症を発症した人の介護について、一例を紹介します。参考になれば幸いです。■ ある日突然、父が倒れて自宅で介護することに…同居している義理の父親(78歳)が脳梗塞で倒れ、退院したら自宅での介護を考えているという主婦A(48歳)さん。KY / PIXTA(ピクスタ)Aさんのご主人は営業部で出張も多いため、主介護者となるのは必然的に自分だろうと感じていました。Aさんは事務職で比較的休暇が取りやすく、仮に会社を辞めてもご主人の収入でなんとかなるとも考えました。当初、Aさんは自宅で介護(在宅介護)するか、介護施設に入所させるかで悩んでいました。しかし、父の意識はしっかりしているため、施設入所はやはり気が引けました。■ 離職せず介護休業を利用して介護に専念Aさんは結局、自宅で介護という方法を選択しました。そして、現在の仕事について、次の4つの選択肢を考えました。勤務時間を短くして早く帰宅し、介護できるようにする地元のスーパーなどでのパートに切り替える自宅でできる仕事をする仕事をしないで介護に専念するAさんが選択したのは1でしたが、上司に相談すると、しばらく介護休業をとればいいとアドバイスされました。ふじよ / PIXTA(ピクスタ)介護休業は雇用保険から介護休業給付金が支給され、1回の介護休業期間は最長3か月です(介護休暇は最長5日間)。言われるまま介護休業をとり、父の介護に専念することにしました。■ 自宅でリハビリと介護に追われる日々に3か月ほど入院して自宅に帰ってきた父は、左半身麻痺と言語障害がありましたが、自分でご飯を食べたり、トイレに行くことはできます。KY / PIXTA(ピクスタ)リハビリ通院によって父親も機能回復を目指して頑張っていました。あまり回復はしないものの、現状を維持しながらそれなりに自立した生活が続きました。Aさんの介護は食事づくりと食事介助、歩行訓練の手助けや見守り、薬の管理、トイレ介助などです。歩行中に倒れると自分では起き上がれないうえ、下手をすると命の危険性もあります。自宅であっても目が離せないのです。しげぱぱ / PIXTA(ピクスタ)■ 「デイケア」に通い介護者も負担が軽減Aさんは父親に、より質の高いリハビリを受けさせようと考え、デイケアを利用することにしました。Fast&Slow / PIXTA(ピクスタ)要介護3の父は毎日楽しくデイケアに通うようになり、Aさんの負担も一気に軽減されます。そして、仕事にも復帰しました。仕事の時間を短縮して、デイケアから帰ってくる父親を迎え入れることにしたのです。ところが、事態は急変しました。昼間大人しくしていた父が夜中に起きて動き回るという異常な行動をするようになります。昼夜逆転現象の始まりでした。Aさんの疲労はこれまで以上となり、睡眠不足の日が続きます。Ushico / PIXTA(ピクスタ)■ 認知症の19%にも及ぶ!脳梗塞が原因で認知症に発展するケースも多い脳梗塞や脳出血などによって発症する認知症のことを「脳血管性認知症」と呼び、認知症全体の19%にも及んでいます。主な症状としては、何に対しても意欲や自発性がなくなるとともに、感情の起伏が激しくなり、些細なことで怒ったり落ち込んだりします。NOV / PIXTA(ピクスタ)ただ、判断力や記憶力は比較的保たれています。また、手足に麻痺や感覚の障害、言語障害などの症状が現れることもあります。日中に活動する意欲が少ないため、不眠や昼夜逆転につながり、その対応に振り回される家族も睡眠不足や大きなストレスを抱えてしまいます。■ 「介護施設」に入所して落ち着きを取り戻した父その後、Aさんの父は「脳血管性認知症」を発症してしまいます。夜中に窓を割って出て行こうとしたり、家の中を歩き回るようになりました。Aさんは毎晩のように繰り返す父の対応に追われ、ついに疲労で倒れ入院してしまいます。それを見かねたAさんのご主人は、父親をグループホーム(認知症の人を対象とした介護施設)に入所させることにしました。IYO / PIXTA(ピクスタ)施設では父親に応じた介護プランが作られ、介護士が日々のケアを行います。異常行動を繰り返していた父もよやく落ち着きを取り戻し、面会に訪れるAさんとも笑顔で会話できるようになりました。Aさんの父親の場合、最初からデイサービスか施設か、という選択ではなく、自然の流れで最終的に施設に入所したケースです。自宅で介護する人が増えていますが、介護の負担が大きいか小さいかによって、最初から施設入所という選択もあり得るでしょう。脳血管性認知症の人が必ずしもこのような流れを辿るわけではありません。あくまでも参考として、一つの流れを知っておくと良いでしょう。【参考】※厚生労働省Q&A~介護休業給付~※認知症ねっと認知症とは?原因・症状・対処法から予防まで
2018年09月14日風邪やインフルエンザは、それぞれの体験を通してどんな病気かわかります。ところが認知症は頭で理解していても、本当のところは発症した人しかわからない病です。そんなよくわからない病について、実際に発症した方の意見を紹介してみたいと思います。■ すべてのことが不明確でぼやっとした感じ認知症医療の第一人者で精神科医の長谷川和夫氏は昨年、自身が認知症を発症していると明かしました。長谷川氏は1974年に認知症診断の物差しとなる「長谷川式簡易知能評価スケール」を公表し、今日まで多くの医療現場で使われています。氏の場合は、それほどひどい症状でなく、正常な状態と認知症とを行ったり来たりするという比較的軽度な認知症です。そんな氏が語ったのは、認知症って実はこういうことだった、という自分なりの体験でした。氏が痛切に感じているのは、確かさが欠如するということでした。freeangle / PIXTA(ピクスタ)今がいつなのか、今どこにいるのか、目の前の人が誰なのか――。そうしたすべてのことが不明確ではっきりしないということです。■ 不明確なことは何度も確かめたくなる病気のようで病気でないような、単なる物忘れと思われがちな初期の認知症のころは、同じ行為を何度も繰り返すことがあります。たとえば家を出て行くとき、ドアに鍵をかけたかどうかが不安になり、途中で引き返して確かめる。あんみつ姫 / PIXTA(ピクスタ)あるいは、昔の同級生や先生の名前がわからなくなり名簿を調べたり、学校に電話することも。cozy / PIXTA(ピクスタ)わからないままだと不安が募り、それが原因でパニックになることもあります。■ はっきりしないことが大きな不安と恐怖になる認知症の人は、よく「怖い、怖い」と口にします。何が怖いかと聞くと「よくわからない」と答えます。B612 / PIXTA(ピクスタ)おそらく何事もはっきりしないというのは、とても恐いことだと思われます。もし自分が急に知らない町で目覚めたとします。しかも、そこに至った経緯さえもわからない。え、ここはどこ?最初は不思議に思うでしょうが、やがて怖くなる。それが常に起きている状態が、認知症ではないでしょうか。■ 笑顔とやさしい声がけで安心感を与える長谷川氏は週に一回、デイサービスに通うようになり、そこでの体験はとても心地良いとも語っています。自分には馴染みのない職員でも、彼女らは自分のことをよく知っていてくれ、とても安心感があると言います。ボーッとしていると、長谷川さんどうしたの、何か困ったことでもあるの?と声がかかる。それがとても嬉しいと感じているそうです。kou / PIXTA(ピクスタ)こうした声がけはどこのデイサービスでも行うものですが、こんな一言だけで安心して過ごせるそうです。■ やさしく接すれば相手もやさしくなれる不安に苛まれる人が多い認知症ですが、誰かが常にそばにいて声をかけてあげるだけで安心できるのです。時には手を取って、笑顔とやさしい言葉で話しかけてあげましょう。kou / PIXTA(ピクスタ)多くの認知症の人はこちらの対応次第で笑ったり、怒ったりします。言葉もそうですが、相手の顔の表情をよく見ています。やさしい言葉でも顔がこわばっていれば、不安になってしまいます。それはあたかも人と接することの基本的な行動であり、心のクスリのようなものなのかもしれません。常にやさしい気持ちで接することができるといいですね。【参考】※認知症ねっと長谷川式認知症スケール
2018年09月07日現在、認知症高齢者数は500万人とも600万人ともいわれています。また、認知症の年齢層は50~40歳代にも下がってきており、若いからといって決して安心はできません。介護をテーマに、誰にでも起こりうるさまざまな問題についてご紹介していきます。■ 65歳以上の高齢者の約7人に1人が認知症!内閣府によると、平成24(2012)年の認知症高齢者数は462万人で、65歳以上の高齢者の約7人に1人が認知症といわれています。しげぱぱ / PIXTA(ピクスタ)2025年には約5人に1人になるとも予測しています。参考までに平成25年にガンと診断された人は約86万人でした。この数字が示すのは、認知症は誰でもなりうる病気だということです。そしてそれと同じ数だけ介護する人(介護者)もいるということです。amadank / PIXTA(ピクスタ)■ 若年性の発症年齢は平均51歳!認知症は老人だけじゃない最近は64歳以下の「若年性認知症」の人も増えているようです。平成21年(2009)の若年性認知症者の方は約3万8000人もいるのです女性よりも男性がなりやすく、若年性の発症年齢は平均51歳といわれています。50代で認知症やアルツハイマーと診断されたらショックは大きいでしょう。しかし、それを引き延ばすと、取り返しのつかないことになります。若いために進行するスピードも速く、重病化する可能性が高まります。家族のことを思うなら、早めに病院で診察して、少なくとも進行を食い止める手立てを打つべきです。mits / PIXTA(ピクスタ)高齢者に比べて若年性認知症は本人に理解力があり、治療法を選択できるという判断力があります。■ 認知症の初期症状を単なる物忘れだと思い、放置してしまう人がほとんど!認知症の初期症状を単なる物忘れだと思い、放置してしまう人が大半です。そうして数年が経過し、ある日突然、家に帰ることができなくなったり、会社に行けなくなるなどの症状に見舞われることがあります。それまでも認知症の信号を多く出していたにもかかわらず、知識がないために見落としてしまうことが多いようです。それ以前に様子がおかしいと気づいたら、診察を受けることが重要です。Ideya / PIXTA(ピクスタ)ガンと同じように早期発見で改善したケースは多々あります。初期の軽度な認知症は自立した生活も可能ですので、その段階で進行を止めることができれば、仕事も家事も続けられる可能性はあるのです。■ 若年性認知症は多くの人を巻き込む可能性が大!一般の病気は病院に行くなど自分ひとりでも対応できます。しかし認知症の場合、親、配偶者、兄弟、子ども、さらには親戚をも巻き込んでしまうことがよくあります。80代の親を介護するのと、50代の夫や妻を介護するのとでは大きく異なります。70~80代に発症することが多い認知症ですので、それに応じた介護サービスが整っています。例えば日中はデイサービス(通所型の介護施設)、それ以外は自宅で過ごすことで介護者の負担は軽減できます。amadank / PIXTA(ピクスタ)ところが、40~50代で発症すると、仕事や育児に影響が出てしまいます。ふじよ / PIXTA(ピクスタ)子育てをしながら、夫の介護をするという難しい問題に直面することもあります。■ 認知症かもしれないと思ったら、すぐに病院に!いざ介護が必要になり、すべて自分ひとりで親や夫の面倒を看ようと頑張る方がいます。ひとりで24時間つきっきりの介護は共倒れになりやすく、最悪の場合、自殺や介護放棄といった事態になることもあります。現在は介護制度が整っており、さまざまなサービスを利用して介護の負担を軽くする方法が増えています。できれば、まず病院で診察して、その際に介護保険や介護サービスについて相談すると良いでしょう。CORA / PIXTA(ピクスタ)気軽に相談できるのは地域包括支援センターです。市区町村が運営しており、役所で聞いてみるのが手っ取り早いでしょう。ISO8000 / PIXTA(ピクスタ)介護のことならどんな些細な相談にものってくれますので、一度訪ねてみてください。問題なのは、知識がまったくないまま認知症や介護に直面することです。介護は誰にでも起こる問題と考え、今から少しずつ知識を吸収しておくことが大切です。【参考】※内閣府統計高齢化の状況認知症高齢者数の推計※厚生労働省若年性認知症の実態等に関する調査結果の概要及び厚生労働省の若年性認知症対策について※認知症介護情報ネットワーク若年性認知症について※国立がん研究センターがん情報サービス最新がん統計
2018年08月11日今月6日、大手医薬品メーカーのエーザイは、認知症新薬の効果が確認されたと発表した。すると、株価は急騰。認知症に対する関心の高さを物語っている。確かに、親が認知症になるのを、心配しない人はいないだろう。そうなると介護はもちろん、経済的な問題も。そこで、経済ジャーナリストの荻原博子さんが対策を解説してくれた——。皆さんがよく困るのは、親名義の銀行口座が多くの場合、凍結状態になることです。キャッシュカードなら出金できますが、窓口での出金は、たとえ実の子でもできません。出金や解約には「成年後見人」の指示が必要だからです。成年後見人とは、認知症などで判断能力が十分でない方の財産管理を援助する人で、家庭裁判所が選任します。現在、約21万人がこの制度を利用していますが、きっかけは、先述のような預貯金の管理や解約のためが最多なのです(’18年・厚生労働省・以下同)。ただ、あわてて家庭裁判所に申し込んでも、成年後見人が決まるまで数カ月かかります。また、親が元気なうちなら、自分で自由に後見人を選べる「任意後見制度」が利用できます。ですが、認知症発症後は親族が後見人になりたくても、親族間のもめごとがあったり候補者が遠くに住んでいるなどの理由で、家裁が弁護士などを選ぶことが多いのです。現在、成年後見人の73.8%は親族以外の弁護士などが占め、報酬の目安は月2万円です。ところが成年後見人による横領等の不正は、後を絶ちません。昨年の被害額は約14億円にも上ります。こうした事態を避けるためには、早めの対策が肝心。金融機関を利用するのも一手です。そのひとつ、西武信用金庫(東京都)の「家族預金信託(ファミリー安心信託)」をご紹介しましょう。一般に、財産を信託すると、自由に使うことや処分などができません。家族預金信託は、高齢者本人が判断できるうちは自分で自由に使えて、認知症になったら、ほがらか信託(東京都)が財産を預かり管理するのが特徴です。契約時に、認知症発症後のお金の使い方を指定すれば、生活費など一定額を定期的に受け取ることができます。また、妻や子などから、財産管理の指示者を決めておきます。そうすると、老人介護施設の入所金などまとまったお金も、指示者の判断で出金できます。本人が振り込め詐欺などにあっても、指示者の了承がなければ送金できません。利用できるのは、西武信金に預金口座を持つ人で、預金額などの条件はありません。しかし、信託手数料が、信託開始時に数十万円、定期出金などの利用方法によって毎月数千円かかります。これは信託手数料としては標準的ですが、注意が必要です。財産信託の申し込みは、通常、金融機関の店頭か自宅で行います。興味のある方は、親が住む地域の金融機関などを探してください。もうすぐお盆です。帰省の際に、親の財産管理について、家族で話してみてはいかがでしょうか。
2018年07月27日「好不調の波はありますが、母の認知症は少しずつよくなってきています」 こう語るのは、ブログ「婚活しながら両親介護」の筆者で、認知症の母親(74)の介護をしている映像ディレクター・黒澤うにさん(38)。 黒澤さんの母親に異変が現れたのは’15年10月ごろ。病院でアルツハイマーの薬を処方してもらうが、副作用がひどく中断。なすすべもないまま、昨秋には食卓の用意や買い物も難しくなり、手に持っていたものを忘れることも。連日、母親は泣きながら黒澤さんに電話を入れるようになった。 仕事に支障が出るようになったことで、黒澤さんはアメリカで医師をしている友人に相談。すると、認知症の世界的権威であるデール・ブレデセン医師の著書を薦められたという。 同書は全米で20万部を突破。日本でも2月に翻訳本『アルツハイマー病真実と終焉』(ソシム)が出版され、わずか2週間で2万5,000部というベストセラーになっている。 「さっそく本に書かれていた『リコード法』を、やれることから取り組みました。まず、野菜と天然の魚が中心の食事にし、できるだけ炭水化物を減らしました。また、ココナツオイルをコーヒーやサラダなどにかけ、夕食から朝食まで12時間は絶食。積極的に歩く習慣を11月下旬から始めたんです」(黒澤さん) 気がつくと、母からのSOSの電話も減り、食事も1人で作れるように。買い物でパニックになることもなくなったという。 「今や、4人に1人が認知症になる時代。うち6割がアルツハイマー型認知症です。今までは進行を抑えることはできても回復ができないということが、患者や家族を脅かしていました。しかし、ついにブレデセン医師がアルツハイマー型認知症発症の原因を突き止めたのです。世界で初めて、症状が回復することを、この本で明言しています」 こう語るのは、同書の日本語版の監修を務めた白澤卓二先生だ。 「これまでアルツハイマー型認知症は、アミロイドβという異常なタンパク質が脳にたまることで神経細胞が死に、記憶をつかさどる海馬から脳の萎縮が始まることで発症すると考えられてきました。しかし、ブレデセン医師の研究により、アミロイドβはむしろ脳を守る物質ということが判明したのです。ただし、このアミロイドβが過剰に蓄積されることで暴走し、守るべき脳細胞を破壊するということがわかりました」(白澤先生) そしてアミロイドβが過剰に蓄積される原因が、次の“NG生活習慣”。1つでも当てはまれば、アルツハイマー型認知症になる可能性大! □炭水化物や甘いものが好き□胃酸を抑える薬をよく飲む□夕食時間が遅い、または夕食後に間食をする□定期的な運動習慣がない□睡眠時間が7時間未満□家にカビが生えている 炭水化物や甘いものを食べると、糖分などが血糖値を上げることで、脳の炎症を誘導する。 そして胃酸を抑える薬には亜鉛やマグネシウム、ビタミンB12など、認知機能にとって重要な栄養素の吸収を阻害する働きがあるという。 また、不規則な食習慣は糖尿病の発症を促すが、この糖尿病こそがアルツハイマー型認知症の最大の原因の1つ。さらに、カビや金属などの有害物質の摂取も、アルツハイマー型認知症のリスクを高めるという。 このような生活習慣により、脳のなかで増えすぎたアミロイドβを取り除くために考案されたのが「リコード法」だ。昨年12月の時点で500人以上の患者が実践し、効果が認められているという。そこで、白澤先生に教えてもらった今すぐ実践できる「リコード法」を紹介。 【1】炭水化物を極力減らす【2】1日45mlのMCTオイル、または15ml×3のココナツオイルを取る【3】夕食から朝食まで12時間以上絶食する【4】睡眠は1日7〜8時間【5】1週間で150分以上の運動をする 「肝臓が脂肪を分解してケトン体と呼ばれる物質を生み出すプロセスのことを“ケトーシス”と言います。そして、軽いケトーシス状態を維持することが認知機能を高めるのに最適の状態だとわかったのです。ケトーシス状態にするためには、低炭水化物食、適度な運動、1日に12時間以上の絶食、中鎖脂肪酸100%のMCTオイルなどの摂取が効果的で、これがリコード法のベースです」(白澤先生) できることから、さっそくトライしてみよう!
2018年03月19日「“認知症の世界”を、仮想現実の中で“自分に起こった出来事”として疑似体験してもらいます。『あの人の行動は認知症だからしょうがないよね』という考えが、変わるかもしれませんよ」 そう話すのは、サービス付き高齢者向け住宅「銀木犀」などを運営するシルバーウッド代表の下河原忠道さん。認知症への正しい理解を広める「VR認知症プロジェクト」を全国で行っている。認知症の人や介護者の証言をもとに製作された5分程度のストーリーを、VR(バーチャル・リアリティ=仮想現実)の技術を使って体験するもの。’16年5月にスタートしてから、すでに7,000人以上が体験しているという。 さっそく、記者も試してみることにーー。最初のストーリーは立って体験するということで、椅子から立ち上がり、ゴーグル型のVR端末とヘッドホンを装着。視界が明るくなると、遠くにスカイツリーが見える。すぐ下では小さく車が走っているので、どうやら高いビルの屋上の端にいるよう。360度見渡すことができ、きょろきょろと確認していると、そばにいる人が笑顔で話しかけてくる。 「はい、足を出して降りてくださいね〜。一、二の、三!」 そう言われても、1歩でも踏み出せば落ちる!怖い!思わず後ずさりしつつ、とまどっていると舞台が暗転。ワゴン車の前にたたずんでいた。装置を外すと、下河原さんが解説してくれた。 「これは認知症の方がデイサービスの職員に送られてきて、ワゴン車から降りる感覚を再現したものです。認知症により空間認識がうまくできないと、地面まで15センチほどの段差でも、高層ビルの上にいるような恐怖を感じている可能性が。そこで『降りてください』と言われたら、どうですか?“どう見えて”いるか“だけでなく”どう感じているか“まで体験することで、認知症の方への理解や共感が深まるはずです」(下河原さん・以下同) 次は、記憶障害が強いアルツハイマー型認知症を疑似体験。VRの世界に入ると、そこは電車の中。でも、どの駅で降りればいいのかわからない……。ほかの乗客につられて降りた駅で「ここはどこですか?」と駅員に尋ねると「出口は向こうですよ」とにっこり笑って去ってしまう。オロオロしていると女性が声を掛けてきて、乗降口まで案内してくれると言う。全身から力が抜けるようにホッとしたところで終わるーー。 「若年性アルツハイマー症の方に見せると、『まさにこれは私の体験!』と叫びました。泣きながら駅員に助けを求めたことは1度や2度ではないそうです」 そして、最後に体験したのは、存在しないものが見えるというレビー小体型認知症の世界を再現したもの。友人宅に招かれるところからストーリーは始まる。リビングで会話をしていると、うずくまった男性や壁を向いて立つ男性が視界に入ってきて、おしゃべりの内容がまったく頭に入ってこない。さらに机にはヘビがうねり、出されたケーキにはたくさんの白い虫が蠢いていて……。恐ろしすぎて、叫びだしそうになった。 装置を外しても心臓のバクバクが止まらない記者に、下河原さんは優しく問いかける。 「認知症になったら“終わり”だと思っていませんか?その行動には必ず理由があります。どうしてそういう行動をとるのか。気持ちを想像できれば、偏見もなくなり、助け合える社会になるはずです」 記者の認知症の祖母も「家の中に男の人がいる!」と逃げ回ったことがあるが、こういう気持ちだったのかも……。今度からはもっと優しくしよう。そんなふうに思える認知症体験、皆さんもぜひ!
2017年09月20日「認知症になった父の預金を、いずれは自分たちが相続する財産だと子どもが好き勝手に使い込んでしまう、というケースは最近よくあるんです」 そう嘆くのは、城南信用金庫の吉原毅相談役。“4人に1人が高齢者”の日本は、高齢者の資産を、親族や弁護士など第三者が管理するケースが増加している。認知症で判断能力を失った高齢者の財産を、本人以外で管理できるのは「成年後見制度」で選ばれた後見人だけ。 その一方で、財産を悪用する犯罪行為も増加。昨年、発覚した使い込みなどの被害総額は約30億円だ。後見人の立場を利用した悪用を防ぐべく、5年前に「後見制度支援信託」が導入されたが−−。 「財産を信託銀行の特別口座に預け替えし、家裁が直轄管理します。しかし、お金の出し入れには家裁の許可が必要で、信託銀行に出向き、いちいち手続きしなければなりません。店舗が少ないうえに、手数料が異常に高く、口座開設には何万円もかかります。結果、必要なお金を下ろせず手間ばかりかかると、利用者は低迷していました」(吉田相談役・以下同) こうした問題を解決するために、城南信用金庫が商品開発したのが、認知症高齢者専用の「城南成年後見サポート口座」だという。 「5年前のように、お金を下ろすときにいちいち家裁の許可をもらうのは大変ですよね。ですから2つの口座を作り、多額の資金は『口座B』に入れて複数人で管理。そこから10〜20万円程度の月々決まった額を自動振替で『口座A』に流す仕組みを作りました」 「城南成年後見サポート口座」のしくみはこうだ。1.ふだん使用しない大口の金額を、複数の後見人で「サポート口座B」を開設し、管理。2.後見人1名で取引するための「サポート口座A」を開設。その後、「口座B」から「口座A」へ毎月一定額を振り替える自動送金サービスを利用する。 「『口座A』」であればキャッシュカードを使って、後見人が1人で引き出すことが可能です。資産がある『口座B』から巨額を引き出すときは、複数の後見人の署名と印鑑が必要。後見人同士でけん制し合い、下しすぎを防ぐことが可能になり、安全で使いやすい管理ができるわけです」 万が一のためにも、資産はしっかりと守ろう!
2017年03月29日映画監督である娘が、認知症の実母との悲喜こもごもの介護と暮らしを赤裸々にカメラに収め、「認知症の見方を変えた!」と日本中の介護当事者に元気と笑顔を届け続けているドキュメンタリー映画『毎日がアルツハイマー』シリーズ。このほど、その完結編『毎日がアルツハイマー ザ・ファイナル』のためのクラウドファンディングがスタートした。最初は、YouTube上の短い動画から始まった関口祐加監督の『毎日がアルツハイマー』、略して『毎アル』。介護に悩む家族はもちろん、介護・医療従事者など多くの人々の共感を呼び、累計再生数は100万以上に。その反響を受けて、ドキュメンタリー映画『毎日がアルツハイマー』(2012年公開)と『毎日がアルツハイマー2 関口監督、イギリスへ行く編』(2014年公開)が製作された。そして今回、製作が発表された『毎日がアルツハイマー ザ・ファイナル』は、認知症最終ステージに突入した母の“看取り”と“死”をテーマにした完結編。「母の“命”は介護者である自分が預かっている。その責任をどう考え、何を準備すればいいのか?」この問いが新たな“認知症探求の旅”の出発点となった。関口監督の母・宏子さんは、2014年~2015年に脳の虚血症発作で4度も倒れ、意識不明になったが、宏子さんは全く覚えていない。一方、介護者である関口監督は、長年の両脚の痛みが悪化し、ついには歩行不能に。両脚股関節全置換の手術を受けることになったが、「死ぬのを忘れている」と笑う母は、またいつ脳の虚血症発作を起こすかわからない。初めて在宅介護に不安を覚える関口監督。そんななか、知り合いの高齢女性の死や友人のがんなど、死を意識する機会が増える。命が尽きるその瞬間まで「生きてきてよかった」と心から満足を得られる死とは、いったい、どのようなものなのか。「幸せな“死”=ハッピーエンディング」を求め、国内外の認知症ケア施設、緩和ケア病棟などを撮影し、誰もが避けて通れない死について正面から考えていく。今回のクラウドファンディングでは、編集・仕上げ費700万円と配給・キャンペーン費300万円の合計 1,000万円を目標とする。1,000万円達成時には、「パーソン・センタード・ケア(PCC)※」発祥の地イギリスから『毎アル2』にも出演した認知症ケア・アカデミー施設長のヒューゴ・デ・ウァール博士を日本に招聘。そのほか、支援者には鑑賞券やオリジナルグッズのほか、イベント付き試写会への招待などを用意するという(PCC=※認知症をもつ人を1人の“人”として尊重し、その人の視点や立場に立って理解し、ケアを行おうとする認知症ケアの考え方)。なお、本作のクラウドファンディング実施に伴い、『毎アル』シリーズ2作のアンコール上映が決定。いずれの劇場でも、製作中の『毎日がアルツハイマー ザ・ファイナル』特別映像の上映と関口監督のトークイベントが開催される。<関口 祐加監督のコメント(一部抜粋)>『毎アル2』完成後、母は脳の虚血症発作を起こし4回も意識不明で倒れ、その度、不死鳥のようによみがえりました。しかし、同時に認知症も進行し、2017年1月の脳検診では、記憶を司る海馬の大幅な萎縮と脳内の白質病変の増加を確認しました。母は「死ぬのを忘れている」と笑いますが、いつ脳の虚血症発作を起こすか分からない状態です。母のアルツハイマー型認知症と付き合って丸7年、「この先どのぐらい母を支えていけるのだろう?」と初めて在宅介護に不安を覚え、母の“命”を預かる責任の重さを感じました。『毎日がアルツハイマー ザ・ファイナル』は2017年の完成、2018年に劇場公開予定。『毎日がアルツハイマー』&『毎日がアルツハイマー2 関口監督、イギリスへ行く編』アンコール上映は2月4日(土)~10日(金)東京・ポレポレ東中野にて、2月25日(土)~3月3日(金)大阪・淀川文化創造館シアターセブンほか全国にて開催。(text:cinemacafe.net)
2017年02月02日【ママからのご相談】40代女性です。2児のママで認知症が進行しつつある義理の父親と同居しています。先日、テレビのニュース番組で、「認知症の高齢者の徘徊(はいかい)のような症状に悩む家族の求めに応じてそのような症状を抑えるために向精神薬が処方されることがあるが、基本的には向精神薬は使用するべきではない」といった内容を専門家が話していました。でも、わが家のおじいちゃんの徘徊はひどく、向精神薬を使って休んでてもらわないと、いきなり子ども部屋に入って子どもたちを困らせるようなレベルなのです。介護する側の者に言わせていただけるなら、「きれいごとばかり言ってほしくない」という気持ちが正直あるのですが、間違っていますでしょうか。●A. 向精神薬の乱用に注意し、バランスをみて在宅介護の時間を減らしましょう。こんにちは。エッセイストでソーシャルヘルス・コラムニストの鈴木かつよしです。ご相談ありがとうございます。筆者の両親はすでに亡くなっていますが、ご相談者様のお気持ちは、わかります。筆者の父親の晩年は認知症で、母親の晩年は大腿骨頸部骨折による寝たきりに起因した全身の内科的・外科的症状で、苦しみました。「認知症の高齢者にとっての向精神薬の副作用の問題」 はとても重要ですので、都内で内科・神経内科クリニックを開業する医師のお話も交えながらご説明いたします。●BPSDへの向精神薬投与がなぜよくないのか『認知症には記憶障害や理解の低下といった中核症状と、徘徊や攻撃的行動・人格変化などの周辺症状とがあり、この周辺症状のことをBPSD と呼んでいます。BPSDが現れると介護者にかかる負担が大きくなるため主治医は家族の求めに応じて向精神薬を処方するケースがどうしても多くなりがちです。そのため、症状が収まっても今度は“過鎮静”と呼ばれるぼーっとした状態になるリスクが生じ、寝たきり や食事を飲み込む機能の低下 といった命にかかわる問題へのきっかけになってしまう場合が多いのです』(60代男性/都内内科神経内科クリニック院長・医師)BPSDへの向精神薬の投与がなぜよくないのか、医師の説明はとても分かりやすいですね。医師の説明では、多くの場合、向精神薬を減らしたりやめたりすることで過鎮静の症状は改善し、リハビリによって再び自分の口で食べることができるようになる患者さんも多いとのことです。ですから、BPSDを発症した中等度以上の認知症患者さんにむやみに向精神薬を投与することは、できるだけ控えた方がいい と言うことができるでしょう。●向精神薬の不使用に伴う介護の負担は在宅介護の時間短縮で対応をとはいえ、筆者にはご相談者様が言う「きれいごとじゃない実態」もよく分かります。向精神薬を使用しないことで、今度は介護者の精神的・肉体的負担増の問題 が生じます。それについては、ご相談者様がデイサービスなども利用しながら、お義父様の在宅介護の時間を徐々に減らして対応されるのがよろしいのではないかと思います。旦那様への気づかいもあろうかとは思いますが、ママが過労で不安定になってしまってはお子さんたちにとっていいわけがありません。認知症の高齢者への向精神薬の投与は基本的には行わないようにし、まだ十分に健康なお義父様の体の機能をキープしながら、介護のプロの力も借りて、あまり考えすぎない日常を、旦那様やお子さんたちと送っていただければと思います。●ライター/鈴木かつよし(エッセイスト)
2016年06月28日認知症は、「自分には関係ないこと」と思う人がほとんどだと思います。でも実は、早ければ30代、40代からでも発症することがあるのです。「最近、物忘れが…」「あの人の名前はたしか…」と、ちょっと気になる人のために、若年性認知症について、のチェックポイントを紹介します。■若年性認知症とは若年性認知症は64歳以下で認知症と診断されることを指します。認知症は、圧倒的に80代以上の高齢者の発症が多いのですが、特に若いうちから発症するケースをこう呼びます。若年性認知症の発症年齢は、平均すると51.3歳であり、50歳未満で発症した人の割合は約3割です。実際には70代、80代で増加しますが、20代、30代でも発症者がみられます(2009年・厚生労働省若年性認知症の実態等に関する調査より)。■若年性認知症のチェックポイント若くても、次のような症状があれば注意が必要です。・日にちや曜日、季節が分からなくなることがある今日の日付や曜日、季節が思い出させなくなります。少し頭が混乱して時の流れがわからなくなったような状態になることもあります。・極端に物忘れがあり、日常生活に支障が出る何度も同じことを聞いたり、いつも一緒にいる人の名前を思い出せないことがあります。とても簡単な行動をメモするなどの行動がみられることもあります。・言葉につまることがある会話中に単語、物の名前、人の名前がすぐに出てこないことがあります。話そうともしても言葉につまり、会話が良く中断するようになります。・よく道に迷う約束の場所へいくはずか、自分がどこにいるか急にわからなくなったり、誰と約束していたかも忘れてしまうことがあります。いつも使っている電車やバスなどの経路がわからなくなり、よく道に迷うようになります。 ・日常動作ができなくなる例えば服を着るなどの身の回りの動作ができなくことがあります。服の前後ろ、裏表を反対に着たり、ズボンがはけないなど首尾よく動作ができなくなります。・物を良くなくすようになる物をしまった場所を忘れることが増えます。印鑑や通帳など大切なもののしまった場所がわからなくなり、時には誰かに盗まれたなどの被害妄想を抱くこともあります。・道具の使い方がわからなくなる毎日使っていた道具、例えば水道や料理道具などの使い方がわからなくなることがあります。ガスを消し忘れたり、水道を出しっぱなしにするなどの行動も見られます。・身だしなみに気をつかわなくなるこれまではオシャレできれい好きだった人が急に毎日洋服を変えなくなる、お風呂にあまり入りたがらなくなることがあります。・物事への興味がなくなるこれまで好きだった趣味への関心がなくなったり、楽しみにしていたテレビ番組や毎日読んでいた新聞を読まなくなるなどがあります。全体的に興味関心が低くなり、あまり外出したがらなくて、気分的の沈みがあることもあります。いくつか特徴的な症状や行動をあげましたが、初期の段階ではまだ若いと「まさか」ということが邪魔をして発見されにくいようです。このような症状が見られれば、早めの受診が勧められています。
2016年06月01日おじいちゃんやおばあちゃんが認知症になったとき、みなさんはどうするでしょうか。まずは医者に行って診断をしてもらい、お薬を受け取るのではないでしょうか?しかし、宅老所よりあい代表の村瀬孝生さんとフリーライター兼編集者の東田勉さんの共著書『認知症をつくっているのは誰なのか』(SBクリエイティブ)には、衝撃的な内容が書かれています。なんと、“認知症の問題行動の8割は薬のせいではないか”というのです。また、薬害認知症も認知症全体の3割はいるのではないか、という話も出ています。そこで今回は本書より抜粋した、「認知症の薬物療法を勧めない理由」をご紹介していきたいと思います。■知っておきたい認知症の「症状」まず、認知症には、大きくふたつの症状があるそうです。ひとつは、認知機能が障害されたことで出る中核症状。具体的には記憶障害(直前のことを忘れる、出来事全体を忘れる)、見当障害(ここがどこで、いまいつか、自分が誰だかわからなくなる)、実行機能障害(これまでできていた家事や趣味がなくなる)など。もうひとつが周辺症状で、かつては問題行動と呼ばれていたもの。現在は「BPSD」とも呼ばれているようです。具体的には徘徊、暴力、介護抵抗、失禁、不潔行為、昼夜逆転、幻覚、妄想、不穏などがこれにあたります。■認知症の薬物療法には問題がある筆者が問題提起するのは、この認知症の薬物療法です。中核症状については抗認知薬を、周辺症状については向精神薬(抗精神病薬、抗うつ薬、精神安定剤、睡眠薬など)が使われるのが一般的だそう。最初に抗認知薬の問題点を上げてみましょう。(1)抗認知薬は認知症を治す薬ではない厚生労働省や医学会、医者、マスコミによる認知症キャンペーンでは、よく「早期受診・早期診断・早期治療」を勧めています。その後に必ず「進行を遅らせる薬があるから」といわれるそうです。しかし、アリセプトに代表される抗認知症薬は進行が止まるものではなく、飲み続けても緩やかに進行していきます。一部の人(4~6割)で9カ月~1年間は進行速度が弱まるものの、その時期を過ぎたら効かなくなるそうです。飲むのをやめれば飲まなかったのと同じ症状になってしまうとのこと。認知症を治す薬ではないので、効果に過剰な期待はしないほうがいいようです。(2)抗認知症薬のうち3種は興奮系の薬剤ということ確実に存在する“副作用”について見ていきましょう。抗認知症薬のうちメマリーという薬を除く3種は興奮系の薬剤で、「病的な怒り」を引き起こす点が大きな問題です。高齢者が認知症の薬を飲んで、興奮して暴れたという報告はものすごく多いとのこと。認知症の人を介護する側はこれらの薬によって、かなり大変なことになってしまうようです。(3)抗認知症薬には必ず増量規定があるそのような副作用が出るにも関わらず、抗認知症薬には増量規定があります。たとえばアリセプトという薬は1日3mgから服用を開始し、3週目からは5mgに増量しなければなりません。個人差があっても増量です。約20%に出てしまう“病的な怒り”にもお構いなく、医者は規定通りに増量しようとするそうです。それは、規定以外で処方すると、医者の診療報酬がカットされて保険診療にならず、薬代が病院・医院の自腹になる可能性があるから。抗認知症薬の副作用で大変な思いをした家族は医者にすがると、今度は多くの医者が増量規定を守りながら、お年寄りを鎮静させる「向精神薬」を処方します。これはつまり、アクセルとブレーキを両方踏むような薬物療法です。これが現在の70歳代、80歳代、90歳代のお年寄りに行われているのです。■問題行動の約8割が薬害性の疑い著者は「問題行動といわれるものの約8割は薬害性なのではないか」と疑っています。一昔前までは、認知症でも悩まず明るく、混乱もしていないお年寄りがいたそうです。しかし、いまでは「早期受診・早期診断・早期治療」で大量の薬を飲まされているから、“病的なボケ”が蔓延しているとのこと。お年寄りは医療では生活の支援が受けられず、著者の施設のような所へ来るのですが、みんな薬漬けになって来るそう。そして、薬によって元々もっている人間としての排泄や睡眠のリズムが崩れてしまいます。薬ではコントロールができていないのです。著者は経験として、薬を断ったお年寄りが心身ともに安定した例を多数見てきたこともあり、「できれば薬を使わない、減らしていくことが必要」と訴えています。また、著者と同じ考えで協力してくれる医者もいるとのことです。*自分の身近な人が認知症になったとき、医者の指示どおり、処方された薬を飲ませてしまう人は少なくないでしょう。しかし、薬はどんなものであっても、効き目には個人差があり、たくさん飲めば副作用も出てくるかもしれません。だからこそ、その時々で本人の様子を観察し、本当にこの薬でいいのか疑う目も必要なのではないでしょうか。認知症に関する疑問や興味がある人は、ぜひ読んでほしい本だと思います。(文/齊藤カオリ) 【参考】※村瀬孝生・東田勉(2016)『認知症をつくっているのは誰なのか』SBクリエイティブ
2016年03月01日沖縄スーパーフード協会沖縄スーパーフード協会は、スーパーフードに関する意識調査を実施、結果を公表している。昨今、人気の高いスーパーフードだが、その認知度に関しては意外な事実が明らかになっている。約7割が食べたことがある「スーパーフードを食べたことがあるか」に対しては、約7割の女性が食べたことがあると回答。しかもその過半数は、週に1回以上とっていると答えており、その関心の高さがうかがえる。具体的なスーパーフードの認識度については、「チアシード」や「アサイー」、「ココナッツオイル」などがよく知られており、沖縄県産の「シークヮーサー」や「さとうきび」に関しては認知度が6%以下という結果に。国産のスーパーフードに対する認知度の低さが明らかになっている。実は国産希望!一方で、「食品を購入する際に国産を意識するか」との問いには、約7割が「意識している」と回答。また、「沖縄県産のスーパーフードが、もし手頃な値段で購入できたら買いたいですか?」との問いには、「興味があるため、購入してみたい」との回答が9割にも上った。沖縄産のスーパーフード沖縄スーパーフード協会では、沖縄産のスーパーフードを使った商品を紹介。「発酵サトウキビファイバー」「シークヮーサーパウダー」「オキナワモズクファイバー」などを販売している。(画像はプレスリリースより)【参考】・【スーパーフードに関する調査結果】 女性の7割以上がスーパーフードを取り入れている一方で、 認知度3.5%しかない“国産”スーパーフードが存在 シークワーサー、さとうきび…約9割が沖縄県産に興味・購入に意欲的
2016年01月15日ココナッツオイル認知は約6割最近話題のヘルシーフードといえば、ココナッツだろう。8月24日にココウェルが発表した生活者実態調査によると、ココナッツの認知度は約8割にものぼり、「ブーム」から「定着」へ移行した感がある。特に注目されているのがココナッツオイルで、栄養化の高さはもちろん、認知症予防にも効果があるといわれ、約6割の人が認知していることがわかった。「食べ方がわからない」も根強く人気の一方で、ココナッツを購入したくないという人も根強く、その理由としては「食べ方、調理方法がわからない」が圧倒的に多かった。ココナッツオイルの食べ方については、1位「トーストしたパンに塗って」の他、同率2位「炒め油として」、「デザートに入れて」、同率3位「カレーに使う」、「コーヒー・紅茶に入れて」など、普段の食生活に“チョイ足し”をして利用していることが判明。また、食用としてでなく、スキンケアとして使う人も多く、ココナッツオイル利用者の約4割が「肌に使ったことがある」と回答した。ウォーターは熱中症対策に高い効果その他、ココナッツウォーターは熱中症対策に高い効果があるとされ、近年猛暑の続く日本でも注目の的に。さらに、ココナッツシュガーにも関心が集まっており、低GI食品として糖尿病患者の食生活の助けになるのではと期待されている。(画像はプレスリリースより)【参考】・ココウェル プレスリリース(Value Press!)
2015年08月27日生活の中にはやるべきことの優先順位があります。仕事の中で、または家庭の中でやるべきことに順位をつけて日々こなしていく。その中で、「運動」はあなたの優先順位のどの位置にあるでしょうか? ランニングやウォーキングをしようと思いながら、日々の忙しさや疲れ、面倒くささに負けてしまい、運動の優先順位を下げている方が多いかもしれません。そう、アラフォー世代の女性たちが継続できないのが、ジム通いやランニングなどの運動、いわゆる「有酸素運動」です。実はこの有酸素運動こそが、あなたが将来、認知症になることを食い止めてくれる、とても重要なテーマであることをご存じでしょうか。脳機能を専門とする研究者として、声を大にして伝えたい! 「運動は、人生において “必須科目” である」と。自由にしたいことを選ぶ「選択科目」ではありません。今、始めなければ、今、習慣にしなくてはいけない「理由」があるのです。では、わかりやすくご紹介していきましょう。「運動」と「認知症」との関係性運動といってもここでお伝えするのは有酸素的な運動です。有酸素運動とは、“運動能力を評価する「最大酸素摂取量」の60%~75%の運動を30分以上行う運動” のこと。年齢によって多少異なりますが、アラフォーの場合は心拍数が130前後となる程度の運動、となります。 この有酸素運動を日常的に行うことによって、脳に2つの効果があるとされています。まず、記憶に関わる脳の部分「海馬」の萎縮が防止されること。もうひとつは、有酸素運動によって「脳由来神経栄養因子(BDNF)」という、脳の神経の再生を促すタンパク質が増加するということです。そしてこの2つの効果が認知機能の低下を防ぎ、記憶力の向上が期待できるのです。わたしはこの話を尊敬する恩師、半場道子先生(現在 福島県立医科大学医学部)に伺い、そのまま走って家に帰ったほど刺激を受けました。ストレッチやヨガではだめなの?さて、すぐにでも運動を始めたくなるこんな研究結果があります。認知症ではない健康で高齢な男女を2群に分け、1つのグループには、「週3回のストレッチを中心としたヨガ」を継続し、もう1グループには「週3回の有酸素運動(歩行40分)」を継続。1年後に海馬の体積、BDNFの量を測定したところ、有酸素運動を続けていたグループが、ストレッチ・ヨガグループと比較して海馬が増加しており、BDNFの量も増加していたのです。左右の海馬の体積とBDNF量は正の相関を示しており、これは海馬体積が大きければBDNF量も多いということを意味しています。海馬体積、BDNF量の上昇とともに、記憶力テストの結果も増加した、という結果となりました。近年の脳科学では、「脳は思ったよりも再生し、新しい細胞が増える」ということがわかってきました。もちろんストレッチやヨガは心身をリラックスさせ、継続して行うことで様々な利点を得られます。しかし、活性物質を全身に送り届けるためには、ある程度の運動強度を30分以上継続して行うことが重要なようです。将来、あなたが「認知症」にならないために…年齢とともに海馬体積が減少し、そして記憶が衰えるということは自然の現象です。有酸素運動を継続することによってそれを少しでもくい止め、生活の質を維持することができるなら、有酸素運動運動は人生における必須科目とするしかありません。毎日、歯を磨くことや洗顔後に化粧水をつけることは習慣になっています。それと同じように、意気込む必要もなく、ただ淡々と運動をしていきましょう。運動を日々の習慣にしてしまえばよいだけなのです。「もう帰るのですか?」「この仕事、終わらせてよ」と言う人が、将来あなたの認知症の介護をしてくれるでしょうか。また、少しだけ掃除や洗濯を怠ったとしても大丈夫。運動による脳神経の再生にはかえられません。大切な家族のためにも、自分が心身ともに元気な姿でいられること。これがとても重要です。人生の必須科目「有酸素運動」の単位を落としてはいけません。有酸素運動をして気分もリフレッシュしてから、終わらせるべき仕事に着手する。疲れたまま仕事を続けるよりも、断然はかどることでしょう。さあ今日は “歩きやすくてかっこ良い、心踊るスニーカー” を買いに出かけてみませんか?
2015年08月18日高齢化が進む日本では、認知症になる人の数も相対的に増えています。認知症のなかで最も多いのはアルツハイマー型、二番目に多いのはレビー小体型認知症と言われています。レビー小体型認知症は睡眠障害と似た症状が出ることもあるのだとか……。本当に睡眠障害?睡眠障害だと思っていたら、認知症のひとつである「レビー小体型認知症」だったということがあるそうです。この認知症は、脳のなかに「レビー小体」という特殊なたんぱく質が出現し、視覚情報の処理に影響を与えてしまうというもの。アルツハイマー型に次いで二番目に多いと言われ、具体的には次のような症状が現れます。1.幻視(いないはずの人や虫が見えて、触ろうとして手を伸ばしたり、声をかけたりする)2.筋肉がこわばり、動作がスローになる3.これらの症状に波があるなぜ、レビー小体型認知症が睡眠障害と勘違いされることがあるかというと「レム睡眠行動障害」でも似たような症状が現れるからです。レム睡眠行動障害とは?レム睡眠行動障害の特徴は、簡単に言えば、睡眠中に異常行動を起こすことで、次のような症状があります。・睡眠中に大声で話をしたり、笑ったり、説教をしたりする・睡眠中に手足を動かしたり、字を書くような動作をする・睡眠中にベッドから出て、歩きまわるこれらの異常行動がレビー小体型認知症の症状に似ていることから、レム睡眠行動障害として診断され、本来の病気である認知症になかなか気付けなかったなんてことも起こりえます。また、むずむず脚症候群と呼ばれる睡眠障害も、名前の通りに脚がむずむずして眠れなくなる病気ですが、「脚に虫が這いまわっているようだ」と訴えていた患者が実はレビー小体型認知症だったという例もあるようです。早期発見が重要!レビー小体型認知症は早期発見、早めの治療が大切だと言われています。家族や友人など身近な人で、冒頭にあげた幻視やその他の症状があるという人がいたら、一度医師に診てもらうようにしましょう。現時点では、体内に溜まったレビー小体を完全に取り除くことはできず、レビー小体型認知症を完治する方法も確立されていないそうです。ただ、症状を緩和したり抑制したりする薬はあるので、改善をすることはできると言われています。レム睡眠行動障害やむずむず脚症候群と診断された人も、症状がなかなかよくならなかったり、他にも気になる症状が出てきたりしたときは、早めに医師に相談するようにしましょう。Photo by Wonderlane
2015年05月25日カリフォルニア くるみ協会はこのほど、カリフォルニア大学が実施した「くるみの摂取と認知機能に関する調査」の結果を明らかにした。同研究は、くるみの摂取と認知機能に関する初の大規模代表分析で、アメリカの全国健康栄養調査(NHANES)のさまざまな調査から利用可能なすべての認知データを取り入れた。今回は20歳以上の成人を対象としている。研究を実施したのは、同学のロサンジェルス校デイヴィッド・ゲフィン医科大学院のレノア・エイラブ博士と共同研究者のアルフォンソ・アング博士。これまでの動物試験によって、一日に無理のない摂取量(13g)で神経保護の効果が示されている。同研究は、マウスモデルのアルツハイマー病の進行抑制、予防といった有益な効果の可能性を含め、認知機能障害の軽減や全体的な脳の健康に対するくるみの効能に関する研究を補強するものとして行った。今回、6種類の認知機能検査を行った結果、くるみ摂取量の多い被験者が有意な好成績を示すことが明らかとなった。年齢や性別、民族を問わず、くるみを摂取した被験者の認知機能(記憶力、集中力、情報処理速度など)が一様に向上。エイラブ博士は「これまでの動物試験の結果が強力に裏付けられることが判明したのは素晴らしいことです」とコメントしている。くるみには、認知機能保護の寄与因子の可能性がある有効成分が豊富に含まれている。さらにくるみは、心臓と脳に対する保健効果を持つ植物性オメガ3脂肪酸である「アルファ・リノレン酸(ALA)」も多く含む。
2015年02月04日不眠症の解消にはさまざまな方法があります。今回は、そのうちの1つである認知行動療法をご紹介したいと思います。これは不眠の原因を理解し、その原因を断ち切るというもの。具体的にはどのような方法があるのでしょうか?不眠症の定義とは?今回は「不眠症の認知行動療法」を取り上げたいと思います。認知行動療法を説明する前に、まずは不眠症についてしっかり学習をしたいと思います。不眠症とはどのような状態のことを指すのでしょうか?この定義は非常に難しいと言われていますが、一般的には次の3つの存在があげられています。1.寝ても回復感がないなど、主観的に睡眠の質が悪い状態2.布団に入っていても眠れない状態が長く続く3.日中に眠くなる、または機能低下などがある当てはまるものはありましたか?悪循環を断ち切る不眠は以下の4つの機能が相互に作用している問題と考えられています。1.生理:交感神経系の亢進2.情動:布団に入るだけでネガティブな気持ちになる3.認知:今日も眠れないかもしれないと不安になる4.行動:不眠を解消するためにさまざまな試みをする1の交感神経の亢進は、多忙や体調不良など、ちょっとしたことで簡単に起こると言われています。それをきっかけに眠れなくなり、不眠を解消しようと焦っていろいろと行動を起こして、また眠れないと不安になるという悪循環に入ることがある、ということですね。この悪循環を断ち切ることが不眠の解消につながると考えられています。認知行動療法の紹介不眠症の認知行動療法にはさまざまな方法がありますが、そのいくつかをご紹介したいと思います。・睡眠制限法布団に入ったらすぐに眠れるように、あえて就寝時間を遅らせる。それによって睡眠効率をアップさせる。・刺激統制法寝室=睡眠のためのスペースと意識するため、寝るとき以外は寝室を使わないようにします。・リラクセーション呼吸法などのリラックスできる方法を日頃から練習・習得し、寝る前にも行うように習慣化します。ほかにもさまざまな方法があるようなので、気になる方は一度調べてみるとよいかもしれません。Photo by Rory MacLeod
2014年11月16日睡眠障害にはさまざまなタイプがあるため、それだけ多種多様な悩みが存在すると言えます。認知症との併発もまさにその1つかもしれません。今回は、認知症と睡眠障害の関係、またその対応について考えてみたいと思います。認知症と睡眠障害の関係認知症と睡眠障害には深い関連性があると言われています。それはデータにも表れていて、じつに認知症患者の約7割が何らかの睡眠障害に悩んでいるというものです。認知症患者の睡眠障害(夜間頻尿や昼夜逆転)は介護をする側の負担を激増させるので、介護破綻につながる可能性があると考えられています。今後、日本は高齢化社会へ突入していき、在宅介護がますます増えていくことが予想されるので、これは他人事ではない深刻な問題と言えるかもしれません。とは言っても、なかなか専門知識のない一般人には睡眠障害の対処法はわからないものです。何か良い方法はないのでしょうか?自宅でできるケア独立行政法人国立長寿医療研究センターは、すぐにできるケアとして次のような項目をあげています。・楽しめる活動やレクリエーションを活用する・つねに規則正しい就寝・起床時刻を保つ・有酸素運動を取り入れる(16時前が理想)・ベッド上で読書やテレビを見るなどの生活をしない・就寝3時間前は、食事・カフェイン摂取・喫煙をやめる・眠れない場合は一度起きて、眠くなってから再度ベッドに入る・温めた牛乳やバナナなどの軽食を摂る・日中は、なるべく日光を浴びるようにする・昼寝を制限する(寝すぎない)どれもやろうと思えば、すぐにできそうなものばかりですよね。カフェインの効果的な使い方上記の項目にあるカフェインは摂取の方法によっては、昼寝後の覚醒レベルを高めるなどの効果があります。具体的には、お茶やコーヒーなどカフェインの入ったものを飲むと30分後ぐらいを目安にカフェインの血中濃度が上がるため、覚醒しやすくなるのだそうです。つまり、夜眠る前にカフェイン入りの飲料を摂取してしまうと目が覚めてしまって逆効果ですが、昼寝などパッと短時間寝て、パッと起きるようなときには効果的に活用できる、ということですね。まずは、いろいろと上の項目を試してみて、自分に合った方法を探ってみるというのがよいかもしれません。ただし、それでも改善されない場合は、お医者さんに相談するようにしましょう。Photo by vic xia
2014年11月13日