自分の悩みや葛藤、情緒の不安定さというのは紛れもなく自分の問題で、それを自分で処理できる者こそ大人、他人に頼るのは迷惑をかけることで、未熟な子どものやることだと思っていた。
ところが私生活でも仕事でも、至るところでパートナーシップを組んでは失敗し、また組んではまた失敗し、というようなことを繰り返すうちに、ふと、自分だけでどうにかできる自分でい続けることが、無性に寂しく感じられるようになってきた。「しっかりしてるね」と褒められることも、「頼りになる人間だ」と評価されることも、子どもの頃にはたしかにうれしいことだったのに、大人になってからというもの、そんな風に言われれば言われるほど、大切な人たちが自分から遠ざかっていくような気持ちになっていくのだ。
■オチもヤマもない話をする“実験”を始めた
人に迷惑をかけない、自分のことは自分でなんとかする。よかれと思ってやってきたこういうこと、本当はどれも間違っていたんじゃないの? と疑いだして以来、私は毎日の中で少しずつ、実験を試みるようになった。
家族やパートナー、友人など、信頼できる人たち、そばにいてほしい人たちにあえて、未完結な、オチもヤマもない自分の話を聞いてもらうようにしたのだ。