【医師解説】うつ病と不眠症の原因・対策・改善 <日本睡眠学会認定医 佐藤幹先生>
治療経過の中で、時間をかけて複合的に診断をつけてゆくことが必要です。
「適応障害」は誰でもなりうるものです。たとえば恋人に振られるなど、今の状況に適応できず気持ちがついていかなくて予想を超えて落ち込んでいる、というのが「適応障害」です。ただし、その中でもうつ病の遺伝負因(いでんふいん)がある方、つまり脳の脆弱性を持っている方はうつ病に移行していくこともあります。内因性の「うつ病」の場合には、それまで楽しい気分であってもいきなり脳にスイッチが入ったように落ち込み、状況が良くなっても落ち込んだままの状態が続きます。
クリニックに来られる方の多くは非常に多忙で時間がない方たちなので、いったん仕事を休むとそれだけでよくなる適応障害のことが多い傾向があります。しかし、何回も気分の落ち込みを繰り返している方、若い頃からうつ症状を認める方は、うつ病の可能性があります。また、少し判断が難しいケースとしては躁うつ病(双極性障害)のうつ状態である可能性もあります。
そのため、うつ状態だけでなく躁状態があるかどうかの確認も必要です。こういったことをしっかりと見極めていかなくてはならないため、初診ではすぐに診断を決められないことも少なくありません。