【医師解説】うつ病と不眠症の原因・対策・改善 <日本睡眠学会認定医 佐藤幹先生>
睡眠衛生が守られていない方に対しては、まず睡眠衛生を守ってもらうようにして、それでも眠れないという方が「不眠症」ということになります。仕事上、睡眠衛生を守ることが難しいという方も多くみられ、本質的な「不眠症」かどうかの判断は難しいところです。睡眠衛生を守るといっても、本来はそれほど難しいことではなく、すでに仕事をリタイヤした方などであれば健康を主体にした生活が可能ですが、現役で働いているとなかなか難しいところがあります。
就寝1時間前ぐらいからTVやスマートフォンなどを見ないようにするのが睡眠にとっては理想的ですが、実際には就寝直前までパソコンでメールの返信をしていたり、TVでニュースをチェックしたりしている方が大勢いらっしゃいます。また、布団の中に携帯端末を持ち込んで見ていることも多いのですが、これもよくありません。
このようにひとつひとつみていくとなかなか守るのが難しいところもあり、こうした睡眠衛生は、もはや現代社会では現実的ではないのかもしれません。社会や生活の変化に合わせて、睡眠衛生指導の内容もカスタマイズする必要があると思います。医療者側が、一方的に守れと指示するだけでは治療効果が少ないと感じています。