東南アジア最大級のファッションの祭典「Jakarta Fashion Week 2017(ジャカルタ・ファッション・ウィーク2017)」が2016年10月22日から10月28日、ジャカルタのスナヤン・シティにて開催される。 東南アジア最大級のファッションイベント©Jakarta Fashion Week Documentation 東南アジアで最も影響力のあるファッションイベントの一つ「ジャカルタ・ファッション・ウィーク2017」が今年も開催される。会場は昨年に引き続きジャカルタ市内の高級モールSenayan City(スナヤン・シティ)。2008年に始まったこのイベントは、インドネシアを拠点として活動するデザイナー達が来年のトレンドを表現するという、東南アジアファッション界で最も刺激的な一週間。デザイナーにとっては世界で活躍するためのきっかけとなる登竜門的なイベントであり、バイヤーやスタイリストを始め、モデルやジャーナリスト、カメラマンなど世界中からの注目も集めている。 新鋭ブランドが一堂に集結©Jakarta Fashion Week Documentation 今回、「The Face of Jakarta Fashion Week(ファッショウィークの顔)」に選ばれたモデルのJuwita Rahmawatiさんは、身長177cm、1988年生まれの現在28歳。国内で開かれた数々の大会で精力的に活動し、ファンからはWitaの愛称で親しまれている。 ©Jakarta Fashion Week Documentation イベントには、インドネシアの伝統工芸品やアートから影響を受けた服をつくる新鋭デザイナーToton Januar氏(ブランド名TOTON the label)」や、「ヒジャブ」などのイスラムの伝統衣装と欧米的な洋服を融合させた全く新しいファッションを提唱するRestu Anggraini氏(ETU)など、既に海外からも注目を集め始めている60を超える実力派デザイナー達が集結。日本人デザイナーのスズキタカユキ氏(Takayuki Suzuki)も参加する。 ©Jakarta Fashion Week Documentation 一週間の期間中、参加ブランドは、イギリスや韓国、日本などのファッション業界と連携し、世界的なコラボレーションショーを開催。先述の新鋭ブランドTONTONは、韓国人デザイナーLie Sang Bong氏とともにステージを創り上げる。インドネシア若手実力派デザイナーI.K.Y.は韓国のファッションブランドTwee x Hwangsung Parkとのコラボレーションを予定。 ©Jakarta Fashion Week Documentation 年に2度世界のファッション都市で開かれるファッションウィークの中でも、最も影響力が大きいとされる5大ファッション都市の一つ、東京でのファッションウィーク(Amazon東京ファッション・ウィーク)とも連携をはかり、その活動の一部として、インドネシア人デザイナーBateeq氏と日本人デザイナーYutaka Suzuki氏との合作展示会も予定している。 その他、詳しいスケジュールはこちら> JAKARTA FASHION WEEK 2017公式:
2016年10月16日パリで開催される欧州最大規模のファッションの国際見本市「Who’s Next」から派生したポップアップストアがラフォーレ原宿に日本初上陸!「(RE)CREATE by Who’s Next」が明日10月14日(金)より10月20日(木)までの期間、ラフォーレ原宿2階 CONTAINERに登場します。9月にパリで展開された企画「(RE)CREATE」はファッションの国際見本市「Who’s Next」が、10月2日までパリのヴィンテージセレクトショップ「KILIWATCH」で開催していたBtoC向けプロジェクト。ラフォーレ原宿で再現するポップアップストア「(RE)CREATE by Who’s Next」では、パリでのプロジェクトアイテムと、東京のヴィンテージセレクトショップ「KILOSHOP」とのコラボレーションアイテムによるポップアップストアを展開します。パリの「Who’s Next」で展開された(RE)CREATEアイテムの一例はこちら。すべてが日本に来るわけではありませんが、日本ではなかなか手に取れないアイテムが並ぶはず。世界が注目するファッションを目撃しに、ラフォーレ原宿へいってみてはいかがでしょうか。(RE)CREATE by Who’s Next日程:2016年10月14日(金)~10月20日(木)場所:ラフォーレ原宿2階CONTAINER「Who’s Next」とは「Who’s Next」は年2回(1月・9月)、パリで開催される欧州最大規模のファッションの国際見本市。ファッション雑貨の見本市「Premiere Classe」とあわせて開催され、世界中の百貨店、専門店、ジャーリスト、編集者、バイヤーなどファッション関係者約50,000人が集まり、世界的なトレンドを見極める機会となっています。
2016年10月13日ファッションを通じて渋谷の魅力を発信していく「渋谷ファッションウイーク」が、今年も渋谷駅周辺エリアにて開催されます。期間は、2016年10月14日(金)~23日(日)まで。アンバサダーには、歌手・女優・モデルと幅広く活躍する西内まりやを起用し、ファッションの街・渋谷ならではの企画が目白押し。渋谷にある大型商業施設間の垣根を越えたキャンペーンや、路上ファッションショー「SHIBUYA RANWAY」など、渋谷の街全体が様々なファッションイベントで盛り上がります。「渋谷ファッションウイーク」とは?2014年3月にスタートした「渋谷ファッションウイーク」は、ファッションを通じて渋谷の街に賑わいを創出する大型キャンペーンです。渋谷という街を世界に開かれた観光拠点にしていく“国際文化観光都市・渋谷”構想のもと、2014年3月に初開催。渋谷に拠点を置く大型商業施設が、ライバル関係という立場を越え、一丸となって、ファッションショーやトークショーなど様々なプロモーション施策を展開してきました。さらに、文化通りでの路上ファッションショー、渋谷金王八幡宮での参道をランウェイに見立てたファッションショー、そして渋谷ヒカリエ内の東急シアターオーブでの“地上70mのステージ”でのファッションショーなど、渋谷の街全体を巻き込んだファッションショーも実施するなど、ファッションの街・渋谷を代表するイベントとして、広く認知されるようになりました。また、これまでのファッションショーでコレクションを披露してきた「東京ニューエイジ」の若手デザイナーの、国内外での活躍によって、若手デザイナーの登竜門としても各方面から注目を集めています。今年の「渋谷ファッションウイーク」の注目ポイント!今回で6回目の開催となる「渋谷ファッションウイーク」。「渋谷ファッションウイーク」の原点である、多様なファッションカルチャーを生み出してきた渋谷らしさ“渋谷スタイルの発信”は引き継ぎつつ、新たに「MADE IN SHIBUYA」をテーマに掲げ、大型商業施設間の垣根を越えた様々なキャンペーンが実施されます。「買うファッション(店頭)」、「見るファッション(ショー)」、「楽しむファッション(来街・SNS)」など、ファッションに様々な形で触れ会えるのが最大の魅力です。また、キャンペーン最終日に開催される路上ファッションショー「SHIBUYA RANWAY」も見逃せません。歌手・女優・モデルとして人気の西内まりやさんもアンバサダーとして自ら登場し、会場を盛り上げます。●街がランウェイに変身!路上ファッションショー「SHIBUYA RANWAY」キャンペーン最終日となる2016年10月23日(日)には、渋谷音楽祭のコンテンツとして「SHIBUYA RANWAY」が開催。文化村通りを交通規制し、街をランウェイに見立てた路上ファッションショーが楽しめます。注目は、新進気鋭のジャパンクリエイター「東京ニューエイジ」によるファッションショー。そのほかにも、キャンペーンに参加する渋谷エリアのショップ店員がが自らランウェイを歩き、渋谷ならではの“リアルクローズ”を披露します。さらに、西内まりやさんも登場し、渋谷の最新のファッションカルチャーを発信します。●各施設がオリジナルキャンペーンを企画●渋谷ヒカリエ/ShinQs「渋谷ヒカリエでファッションを楽しむ7Days」開催期間:2016年10月17日(月)~23日(日)渋谷ヒカリエでは、ファッションの祭典・Amazon Fashion Week TOKYOの開催に合わせたキャンペーン「渋谷ヒカリエでファッションを楽しむ7Days」が開催。期間中、渋谷ヒカリエ、Shin Qs館内で、税込3,000円以上購入した方を対象に、Amazon Fashion Week TOKYOオフィシャルバッグや渋谷ヒカリエギフトカードが抽選で当たります。また、先着3,000人には、新進気鋭のジャパンクリエイター・大橋佳奈さんのオリジナルマスキングテープをプレゼントします。●ShinQsレイヤーを楽しんだり、お気に入りのアウターを新調したり、季節を楽しむアイテムが続々登場します。●東急東横店ステファン・ヴェルディーノ期間限定出店開催期間:2016年10月13日(木)~19日(水)2006年に、世界的デザイナー、ステファン・ヴェルディーノ氏によって立ち上げられたブランド・ステファン・ヴェルディーノの期間限定出店が決定。シンプルで実用性の高いトートバッグをはじめ、ポーチ、腕時計などが登場します。なお、商品は全てフランス製。メタリック素材を使用したラインを中心に、シーズンごとにエスプリの効いたコレクションが発表されています。世界のテディとドール展示即売会開催期間:2016年10月13日(木)~19日(水)ドイツが世界に誇る高品質なテディベアメーカー「シュタイフ社」などのテディベアとドールが勢揃いします。●東急百貨店本店Yamamoto Kansai(ポップアップショップ) 開催期間:2016年10月6日(木)~19日(水)ファッションデザイナー「山本寛斎」が手掛ける新ブランドのポップアップショップが登場。日本の漫画をモチーフにした雑貨などを展開します。Select Shop Calmo(ポップアップショップ) 開催期間:2016年10月6日(木)~26日(水)人気クリエイターのアパレル、雑貨、アクセサリーを展開する期間限定セレクトショップです。デザイナー来店イベントも実施予定となっています。●西武渋谷店ハローキティメン×WWD コラボ開催期間:2016年10月18日(火)~31日(月)「既成概念にとらわれず、遊び心を持った“メンズのためのハローキティ”」をコンセプトに、2015年にスタートした「ハローキティメン」プロジェクトの第2弾が開催。ファッション感度の高い男性に贈る“デイリーユースの「ハローキティ」商品”というテーマのもと、アレキサンダーリーチャン、カシラ、クリスチャンダダ、ジャムホームメイド、ダブレット、ハバノス、プラスチックトーキョー、マルコモンド、レッドカードの計9ブランドが参加します。●SHIBUYA109New &Renewal Shopsこの秋、SHIBUYA109には新ショップが続々とオープン。「SHIBUYA RANWAY」に登場する「FLOVE」、「MUDILAF」のオープンに続いて、10月にも「KOBINAI」「Ready me go !」「& chouette」などが新たに登場します。、あた、ハロウィンのコスチュームやグッズを取り扱うポップアップストアも充実しています。●109MEN'S2016 AUTUMN STYLE2016年秋は、「THE RAMPAGE fromEXILE TRIBE」をモデルに迎え、秋のシーズンビジュアルを展開中です。この秋のトレンドをメンバー16人が16通りのコーディネートで表現しています。●cocoti SHIBUYAハロウィンキャンペーン「PAINT it BLACK」2016年10月1日(土)~31日(月)cocoti SHIBUYAでは、テーマカラーを黒としたハロウィンキャンペーン「PAINT it BLACK」が開催。館内各所への装飾や、大人も手軽に楽しめるペイントグッズのプレゼントが行われます。●渋谷マークシティ2008年、「乳と卵」で芥川賞に輝いた川上未映子と渋谷マークシティがタイアップし、川上氏書下ろしの渋谷マークシティオリジナルショートストーリーやエッセイで秋を彩ります。また、館内商品を川上氏が書き下ろしたオリジナルメッセージとともに紹介するエッセイ集のようなリーフレットも発行。さらに、2016年10月20日(木)より、川上氏書き下ろしオリジナルエッセイが渋谷マークシティホームページにて公開されます。ここでしか見ることのできない貴重な作品はファン必見ですよ。●渋谷マルイアドベンチャー・タイム ショップ開催期間:2016年10月14日(金)~31日(月)アニメもキャラクター・グッズも人気急上昇中の「アドベンチャー・タイム」の期間限定ショップが渋谷マルイに登場。今年はバンタンデザイン研究所とコラボした「VANTAN CUTTINGEDGE 2016」参加作品も「SHIBUYA RANWAY」に登場しますので、そちらにも注目してくださいね。●渋谷モディ渋谷モディでは、3つのカルチャーフェス(ハロウィンフェス)が行われます。デジタルスタンプラリー開催期間:2016年10月14日(金)~31日(月)クレアーズ ハロウィン限定ショップオープン開催期間2016年10月4日(火)~31日(月)ハロウィンメイクアップイベント開催開催期間2016年10月28日(金)~31日(月)●ルミネマン渋谷LUMINEMAN×Chocomoo!! 著名アーティストのグッズまども手掛けるイラストレーター「Chocomoo」がルミネマンをジャック。ルミネマンのために書き下ろした新作イラストや過去作品の展示に加え、リミテッドショップをオープンします。また2016年10月16日(日)には、Chocomoo氏本人によるライブペインティングが開催されます。イベント詳細名称:第6回渋谷ファッションウィーク開催場所:渋谷駅周辺エリア各商業施設※2016年10月23日(日)には文化村通りにて、ファッションショー「SHIBUAY RUNWAY」が開催参加店舗:109MEN'S、cocoti SHIBUYA、SHIBUYA109、渋谷ヒカリエ、渋谷ヒカリエ ShinQs、渋谷マークシティ、渋谷マルイ、渋谷モディ、西武渋谷店、東急百貨店 東横店、東急百貨店 本店、ルミネマン渋谷開催期間:2016年10月14日(金)~23日(日)公式サイト:関連イベント名称:ファッションショー「SHIBUAY RUNWAY」開催場所:渋谷 文化村通り (交通規制エリア内)実施日:2016年10月23日(日)※約30分のショーを予定 ※天候などの諸事情によりイベントを中止する場合あり
2016年10月10日パリ・ファッション・ウィークが開幕。日本ブランド・アンリアレイジ(ANREALAGE)は、初日の2016年9月28日(水)に2017年春夏ウィメンズコレクションを発表した。テーマは「サイレンス」。そしてこの後には、「沈黙の中に声を探す、声なき服に耳をすませば」というメッセージが添えられていた。毎度実験的な取り組みを行っているアンリアレイジだが、今回はコレクション発表前に専用アプリを開設。アプリをダウンロードし、スマートフォンをかざすことで、AR(拡張現実)とサウンド演出が行われ、違った形でショーが楽しめるという。会場では、観客席の前にiPadが設置され、その画面を通じて最新ルックを確認することができた。昨シーズンに引き続き、サカナクションの山口一郎が手掛けたサウンドは、「サイレンス」という言葉からは想像できないほど大きな音が用いられていた。初まりは、ピーっという高音と地響きのような振動音が耳が痛くなるほど大音量で流され、ピタっと止まると同時にモデルがランウェイに登場した。白と黒のボーダーとストライプ模様で彩られたルック。線の太さやラメ加工の有無などの違いはあるが、ほとんど同じような色柄の羅列だ。シルエットは全体的にフレアで、マントやロングスカート、スリット入りのワイドパンツが並んだ。だた、iPadの前を通り過ぎても何も変化はなく、観客席からは少し不思議な表情が浮かぶ。せっかくのせたロゴやエンブレム、花模様にも打消し線のような黒い線が重ねられていて、洋服の顔がつかめない。その「?」を待ち望んでいたかのように、デザイナーの森永邦彦は仕掛けを投じる。森や海、花畑をモノクロで描き、不可思議な黒い帯状のものを合わせたワンピースをランウェイに送り込んだ。観客席前のiPadの前に立つと、静かにしてと言わんばかりに「しーっ」という声が流れる。数秒経つと、キラキラとした音とともに黒い帯状のものが画面上で変化し、洋服の模様を拡大して見せてくれた。続くのは、メッシュの白いワンピースを着たモデル集団。そして黒い帯状のものはパワーアップし、2~3本巻かれている。それぞれに何か文字が記されているが、序盤同様に打消し線が引かれていて判別はできない。先ほどと同様に、iPadの前に立つと今度は、帯状のものが消え去りロゴが浮かび上がる。と同時、ロゴの声が聴こえてくる。「NOISE」「SILENCE」「SOUND」「VOICE」といった具合に。森永のチャレンジは、ユニークで新しい可能性を秘めている。本来は視覚、そして着心地や手触りといった触覚で楽しむファッションを「聴覚」という観点でも喜ばせているからだ。将来自分のクローゼットから、こういった形で洋服の声が届く日が来るかもしれない。そんな淡い期待を抱かせてくれるものだった。
2016年10月01日イタリアのトリエステで毎年7月に開催されるファッションコンテスト「ITS(イッツ=International Talent Support)」。世界21ヶ国から集まった1000点近い応募作品の中から、今年、日本人若手デザイナー4名がファイナリストに選出された。イタリアンヴォーグ誌をはじめとするファッションジャーナリストやデザイナーなど、一流の目利きたちが注目するハイレベルなこのコンテストは、開催以来、多くの日本人受賞者が活躍することでも知られている。ITSに魅かれ、現場の空気を知るために会場へ赴いた伊勢丹新宿店TOKYO解放区の担当バイヤー、寺澤真理による現地レポートをお届けする。■世界で活躍する若手の登竜門ITSに注目した理由私がITSに行くきっかけとして、リトゥンアフターワーズ(writtenafterwards)のデザイナー山縣さんが主宰する「ここのがっこう」※1の存在があります。以前から、生徒さんの作品の講評をさせていただいていて、RYOTAMURAKAMIの村上亮太さんやマラミュート(malamute)の小高真理さんが在学していたことからも「ここのがっこう」のレベルの高さには注目していました。その「ここのがっこう」が力を入れているのがITSへの応募で、卒業生の佐藤友浩※2さんや中里周子※3さんが入賞したITSとは一体どんなコンテストなんだろうって。ITSについて色々調べるうちに、ITSの世界観にも魅かれて、ぜひ現場に行ってみたいと思ったんです。■現地で迎えられたITSの“ファミリー感”ITSに行く前から、このコンテストはデザイナーの創造性や個性、“クリエーション”の部分をすごく尊重している印象を持っていました。それで、実際に現地に行ってみて、コンテスト全体の“ファミリー的な雰囲気”にまず感動しましたね。ITSの参加者たちで記念撮影とにかく運営側がプロフェッショナルで、出演者(応募者)がコンテストでのびのびとプレゼンできるよう、きめ細やかなサポートが行き届いているんです。例えば、ITSはファッション、アクセサリー、ジュエリー、アートワークの4部門から、応募者がどの部門で応募するか自分で選ぶのですが、運営側が「あなたは別の部門も応募してみたら」と提案するケースがあるんです。本人も気がつかない才能の芽を見極めて掘り起こそうとする“勘の確かさ”と、応募者一人ひとりと丁寧に向き合う運営側の姿勢から“あったかさ”が垣間見えました。他にも、出演者同士でコミュニケーションが取りやすいよう、会期中はみんなでランチビュッフェを囲むなどの配慮がなされていて、会場内はピリピリした印象はなく、みんなとても打ち解けたムードでしたね。それから、ゲスト(ファッションジャーナリストやブランドのデザイナー、スポンサー企業など)に対しても運営側の工夫は徹底されていて、ゲスト向けのITS観覧ツアーが完備され、すべてサイトから予約ができる点もすごいと思いました。専用アプリをダウンロードすると宿泊先や食事の案内、展示スケジュールまでが一目で確認できるなど、とてもスマートで分かりやすい工夫が凝らされているのです。また、ITSの事務局には歴代の受賞作品が保管されているので私もアーカイブツアーに参加し、ITSのコンセプトや歴史について理解を深めることができました。歴代ITS受賞作品が見られるアーカイブツアーに参加■世界中から集まった才能と出会えたITSでの3日間世界中から集まった40人ほどのファイナリストたちの作品は、どれも本当に素晴らしかったです。粒ぞろいで個々のレベルが高く、作り、素材感、センスなど様々な要素をバランスよく備えていて、いわゆる新人っぽい粗削り感はありませんでしたね。これは、バーバラ・フランキン(Barbara Franchin)さんをはじめとする主催者側の審美眼の確かさと、采配の妙があってこそだと思います。またITSでは、応募者自らが英語で作品のプレゼンを行い、個人ブースが設けられているのでゲストの質問に直接答え、スポンサー企業に売り込みをする機会が持てます。日本人の場合、語学の壁はあるかもしれませんが、作家として世界を舞台に活躍する上で、自己アピールの方法を学ぶにはとても貴重な経験だと思いました。実際にここで有名メゾンとコネクションを作り、契約をする人もたくさんいるようです。ITSのファイナリストと、バイヤーやジャーナリストが直接話せる場もある■伊勢丹新宿店TOKYO解放区で伝えたいITSファイナリストたちの魅力ファッションが持つ“豊かさ”、“楽しさ”のようなもの。たとえば、ワクワク感であったり、みずみずしい想像力を包み隠さず形にしたものが“ファッション”なんだ!という感覚が伝えられればいいですね。ITSには、そういった豊かさがあるのが魅力だと思います。ファッションって、機能的で実用的な面を追求することが必要不可欠でとても大事なこともありますが、それだけではないと思っています。ITSのデザイナーさんたちと作品が発する、純粋にファッションを愛し、楽しむエネルギーは、TOKYO解放区のコンセプトととても共通し親和性があると感じているので、それをそのまま受け取っていただけたら嬉しいです。商業ベースだけに捕らわれず、のびのびと好きなものを自由に創る感性に触れる“場”として、そして、ファッションが与えてくれるHAPPYやFUN、PEACEFULなマインドや感性に触れたり知ることのできる場・機会に相応しい役割をTOKYO解放区が果たせたら幸いです。【ITS創設者のバーバラ・フランキンからのメッセージ】ようこそ、ITS日本人ファイナリスト展へITSは設立以来15年間、世界中のたくさんの才能ある若者たちに接してきました。そして当初より、その意義を心から大切にしてきました。彼らは純粋な創造力の”種”であり、私たちはコンテストを通じてその”種”を育んでいるからです。たとえ彼らが映画や音楽、演劇の世界で活躍していたとしても、また、名だたるファッションブランドで活躍したり、自分のブランドを設立していたとしてもその才能の種が花咲き、力強く育つのを、私たちは心からの敬意と感謝、歓びの気持ちを込めて見つめています。彼らの過去、現在、未来そのすべてがITSなのです。ITS設立者・ディレクターバーバラ・フランキンITS設立者・ディレクターバーバラ・フランキン※1:ここのがっこう:※2:佐藤友浩:2013年ITS審査員特別賞、MODATECA賞受賞※3:中里周子:2014年ITSジュエリー部門、アートワーク部門受賞
2016年09月30日新人デザイナーの登竜門として、毎年イタリアのトリエステで開催されるファッションコンテスト「ITS(イッツ=InternationalTalent Support)」。ファッション界の目利き達が注目するこのコンテストでは、今年4名の日本人デザイナーがファイナリストの栄誉に輝いた。これを記念して、伊勢丹新宿店本館2階=TOKYO解放区では9月27日から歴代のITSファイナリストたち7名の作品の展示・販売を開始する。FASHION HEADLINEでは、ファイナリストノミネートの喜び冷めやらぬ3名にインタビューを行い、受賞作品について、さらに今回の企画で発表する新作への意気込みを語ってもらった。今回はアート部門でスウォッチ社の特別賞を受賞した片貝葉月。ーー受賞に至るまでのプロフィールは?武蔵野美術大学の空間演出デザイン学科を卒業後、大学院に進学し、その後は任天堂に就職してゲームプランナーとして働いていました。会社員時代は仕事に没頭していたのですが、徐々に自分の作品を作りたいという気持ちが強くなり……。会社を辞め、去年から本格的に作家活動をスタートさせました。ITSのことは、雑誌の記事でたまたま見て知りました。いつも作品を作るときは、アートやファッションやデザインなどのカテゴリーを決めず、まず自分が作りたいものを作ってみて、後からカテゴライズするようにしています。ITSはファッションのコンテストですが、自分の作品をどのように受け止めてもらえるだろうかという思いも込めて応募をしました。ーー受賞作品『Weapons of Love』の構想を教えてください。12種類のさまざまな形をした武器の展示作品『Weapons of Love』。これを応募したアートワーク部門は作品についての規定が少なく、大きさが3m×3mの範囲に収まればよいという点と、スポンサーであるスウォッチ社の製品をどこかで使うことが決まっていました。今の世界はだんだんと混沌としてきているというか、雲行きがあやしくなってきているという感覚があります。私自身が直接その問題を解決することはできませんが、作品を通じて幸せについて考えたり、人を喜ばせたり、愛情を示したりすることの大切さに気付いてもらえたらいいなぁとの思いを込めて作品を作りました。武器はもともと人を傷つけるための道具ですが、発想を変えて、人を喜ばせたり、人に愛情を示したりするためのポジティブな道具として作り変えたらどうだろう、と。一見、槍や剣など武器のように見えますが、使ってみると相手にキスマークを付けたり、くすぐって笑わせるといった楽しく、愛にあふれた気持ちになる装置なんです。作品を見て、身近な人に優しくしてみようかな、喜ばせてみようかなと思うきっかけが生まれたら嬉しいですね。誰かにキスマークがつけられる武器ーー作品作りの元となった経験、エピソードはありますか?大学で舞台美術の先生のゼミに所属していた影響があるかもしれません。自分で身に付けたり、動かしたりする“人と一体となって作用する作品”が好きなので、自分の作品でもそういうものを作っています。舞台美術も、ある世界観を表現するために衣装や美術などの装置を駆使して表現するものなので、感覚として通じるものがあるかもしれません。それと“コントロールできないものをコントロールしてみたい”という願望があります。制御できないものを、道具や装置を使ってコントロールしてみたくて、それを作品にも投影させています。前職のゲームプランナーと重なることころがあるとしたら、人を楽しませたいという点かもしれません。これから作る作品も、表現の仕方は変わっても、自分らしさを心がけて制作をしていきたいと思います。9月27日からはじまる伊勢丹新宿店本館2階=TOKYO解放区でのポップアップショップ「ITS@TOKYO解放区」では、片貝さんの受賞作『Weapons of Love』を展示し、実際に使用している動画を見ることができる。Happyと愛にあふれた作品の世界観に触れ、ネガティブな感情や重苦しい世界の空気をふわっと和らげるパワーを感じてほしい。【イベント情報】タイトル:ITS@TOKYO解放区~注目のデザイナーをインキュベーション~会期:9月27日から10月4日会場:伊勢丹新宿店 本館2F=センターパーク/TOKYO解放区【デザイナーアピアランス】■9月27日 中里周子・清水政紀・時澤知菜実■9月28日 時澤知菜実■9月29日 片貝葉月■10月1日 清水政紀・時澤知菜実■10月2日 村上亮太・清水政紀■10月4日 清水政紀・時澤知菜実※都合により、来店スケジュールは中止または変更になる場合がございます。また、時間帯により不在の場合がございます。
2016年09月28日新人デザイナーの登竜門として、毎年イタリアのトリエステで開催されるファッションコンテスト「ITS(イッツ=International Talent Support)」。ファッション界の目利き達が注目するこのコンテストでは、今年4名の日本人デザイナーがファイナリストの栄誉に輝いた。これを記念して、伊勢丹新宿店本館2階=TOKYO解放区では9月27日から歴代のITSファイナリストたち7名の作品の展示・販売を開始する。FASHION HEADLINEでは、ファイナリストの喜び冷めやらぬ3名にインタビューを行い、受賞作品について、さらに今回の企画で発表する新作への意気込みを語ってもらった。――ITSファイナリストに至るまでのプロフィールは?共立女子大学の被服学科を卒業後、エスモード東京校に入学、エスモード時代にリトゥンアフターワーズ(writtenafterwards)の山縣良和さん、ミキオサカベ(MIKIO SAKABE)に師事し、卒業後は山縣さんの元でインターンデザインアシスタントとしてリトゥンアフターワーズで1年ちょっと働きました。その後も山縣さんが主宰する「ここのがっこう」で1年間自分の作りたい物を追求し、今年のITSに応募。アートワーク部門とジュエリー部門でのダブルノミネートとなりました。――応募のきっかけとなった出来事は何ですか?山縣さんと坂部さんとの出会いですね。学生の頃から憧れの存在というか、若手デザイナーの中では有名でしたし、世界観も魅力的に感じていたんです。例えば、色ですね。色と色の組み合わせのセンスとか、“かわいい”という感覚に関しては影響を受けたと思います。それで、学生時代からインターンを経て「ここのがっこう」に入り、そして自分のクリエーションを試したいと思い、ITSに応募しました。――大学、専門学校では被服を学んでいた時澤さん。服作りからアクセサリー部門でのITSの応募に路線変更しています。ここに至るまでに作風の転換期があったのでしょうか?大きな転換期は2回ありました。最初はエスモードの2年目、卒業コレクションの制作時に周りの同級生の人たちが作るものがガラッと変わり、自分でも変わったと思いました。2回目は「ここのがっこう」に入ってから。新しい技術を入れていこう、新しいものに挑戦しようという気持ちが芽生えたのは「ここのがっこうで学んだことがきっかけです。――ITSで披露した作品『sticky jewelry』のインスピレーションは何から受けましたか?実は、ピップエレキバンです(笑)。もともと自分が猫背で肩こりがあって、身近なものではありました。人に見られると恥ずかしいけれど、もしあれがアクセサリーみたいに肌に貼り付けられて、見られてもかわいかったらどうだろうと思ったんです。“日常って愛おしいな”という感覚をヒントに、突き詰めて作品にしていきました。――ITSに参加参加してみて現地で感じたこと、刺激を受けたことは?「ここのがっこう」でITSを経験した先輩方から噂は聞いていて「海外はもっとすごいよ」と言われていたことが、実感としてわかった気がします。空間の見せ方やプレゼンテーションの仕方など具体的なこと、それから海外ならではの感覚に実際に触れられたことも刺激になりましたね。他の応募者の中で気になった、ファッション部門のグランプリのマヤコ・カノさんと現地で話をしてみて、“かわいい”や“きれい”の感覚が自分と似ていてとてもうれしかったことも印象に残っています。――今後の作品作りの目標は?もともと服作りをずっとしてきたので、やっぱり服が作りたいですね。今回はアクセサリー、ジュエリー部門での受賞で服は作れていないので、ゆくゆくは服、アクセサリー、小物とトータルで作ることが目標です。9月27日からはじまる伊勢丹新宿店TOKYO解放区でのポップアップショップ「ITS@TOKYO解放区」では、時澤さんの受賞作『sticky jewelry』と、このポップアップショップのために新たに制作した作品群に触れることができる。あのピップエレキバンがラグジュアリーなアクセサリーに大変身!日常のふとした瞬間が生んだアート・アクセサリーをぜひご覧いただきたい。【イベント情報】タイトル:ITS@TOKYO解放区~注目のデザイナーをインキュベーション~会期:9月27日から10月4日会場:伊勢丹新宿店 本館2F=センターパーク/TOKYO解放区【デザイナーアピアランス】■9月27日 中里周子・清水政紀・時澤知菜実■9月28日 時澤知菜実■9月29日 片貝葉月■10月1日 清水政紀・時澤知菜実■10月2日 村上亮太・清水政紀■10月4日 清水政紀・時澤知菜実※都合により、来店スケジュールは中止または変更になる場合がございます。また、時間帯により不在の場合がございます。
2016年09月27日ファッションデザイナーの矢内原充志による「FLOATING LIFE展 ~浮き世に着る服~」が、9月28日から10月2日まで横浜・みなとみらいの象の鼻テラスにて開催される。矢内原充志は、舞台衣装からキャリアをスタートし、アーティストやアートディレクターとしても活動している異色のファッションデザイナー。同展では、活動拠点でもある横浜を象徴する場所のひとつである象の鼻テラスにて、4シーズン振りとなる新作を発表。不思議なフィッティングルームを通して、来場者が新作を実際に身に纏い、体験できる参加型インスタレーションとなっている。同展について矢内は、「自分の事を見ることができるのは自分以外の全ての人であり、自分で自分を見る事はできない。だけど、気がつけばいつも、体をぶさいくにねじって、手軽なメディアまで使って、なんとか自分で自分を見ようとあがく。そんな不確かであやふやな自分という存在を洋服で固めることで、少しでも自由になれないだろうか。軽やかに強く世の中に浮かんでいられないだろうか。横浜のアトリエで作るのは、スケール・位置・機能・いろんなものを一度バラバラにして、組み立て直した服。一面だけの存在を疑う服。そんな服を着て、たくさんの視点で自分が映り込む不思議なフィッティングルームに入れば、いつもとは違う側面に気づくことができるかもしれない」とコメントしている。【イベント情報】「"FLOATING LIFE"展 ~浮き世に着る服~」会場:象の鼻テラス住所:神奈川県横浜市中区海岸通1丁目会期:9月28日~10月2日時間:11:00~18:00(10月2日は17:00まで)入場無料
2016年09月27日世界的ファッションコンテスト「ITS(International Talent Support)」の歴代ファイナリストとして残った日本人デザイナー7名にフォーカスしたイベント「ITS@TOKYO解放区 ~注目のデザイナーをインキュベーション~」が、9月27日から10月4日まで伊勢丹新宿店本館2階のセンターパーク/TOKYO解放区にて開催される。同展では、新人デザイナーの登竜門とも言える世界的ファッションコンテスト「ITS」で歴代ファイナリストとして残った日本人デザイナー7名の作品を紹介。坂部三樹郎はITSの出品作品の展示に加え、16AWの商品を販売。中里唯馬も作品「Round Shoes O」を展示する他、16AWコレクションよりホログラムシリーズの販売を行う。また、中里周子はITS受賞時のトロフィーの展示に加え、ITSでの経験と裏話を語ったラジオ番組「NN VOICE~トリエステの潮風~」を収録したオリジナルUSBを13個限定で販売。村上亮太は、かかしのようなマネキンの展示の他、得意のニット作品やおかんの絵などを販売する。その他、清水政紀による卵の表面を加工する技術を用いた「Quail Egg」の展示やアクセサリーの販売、時澤知菜実による肌に直接貼ってはがせる作品「sticky jewelry」の展示やアクセサリー&雑貨の販売、片貝葉月による様々な形をした12種類の武器「Weapons of Love」の展示などが行われる。【デザイナーアピアランス】9月27日:中里周子、清水政紀、時澤知菜実9月28日:時澤知菜実9月29日:片貝葉月10月1日:清水政紀、時澤知菜実10月2日:村上亮太、清水政紀10月4日:清水政紀、時澤知菜実※時間により不在の場合あり
2016年09月26日エトロ(ETRO)の2017年春夏コレクションが、ミラノ・ファッション・ウィーク3日目の2016年9月23日(金)に発表された。今季のエトロガールは旅に出た。自由な発想と強い精神力、恐れを知らずに突き進む女性の旅路を、繊細な装飾や豊かなカラーパレット、流線的なシルエットで形作っていく。エキゾチックな国・トルコや中央アジアへの軌跡は、民族衣装・カフタンが指し示してくれた。分厚いジャカードや軽やかなシルク地に民族的な模様が織り込まれ、幾何学的にいくつもの色柄がパッチワークされている。首元からは長い紐に結わえられたタッセルが顔を出し、旅気分を盛り上げた。ランウェイにはショートバージョンとマキシ丈バージョンのカフタンが登場。贅沢な服地が波打つように揺れ動き、優雅なひとときを感じさせてくれる。また、ブランドのアイコン‟ペイズリー”はモダンな進化を遂げている。鮮やかなイエローなどのアシッドカラーで展開され、中にはストライプ模様を挟み込んだものもある。他のパターンとの相性は意外性があり、装飾という役割の中で新しいポジショニングを見出している。装いもデコレーション同様に、現代的なエッセンスを注入。ボヘミアンなムードのマントやポンチョ、大判ストールといった‟いかにも”旅人のウェアに混じって、バイカーパンツやナイロン風のフードコート、ブラトップといったスポーツ要素が共存している。旅を支えるバッグラインには、バックパックタイプ、ノートブックやペンが細かく収納できるサドルバッグなど、幅広いラインナップが揃い、現代の旅行者も心優しく見守っている。
2016年09月26日モスキーノ(MOSCHINO)の2017年春夏コレクションが2016年9月22日(木)に発表された。ミラノ・ファッション・ウィークの中で最も熱い夜がやって来た。モスキーノのコレクション発表時には、街全体がザワザワとし「MOSCHINO」ロゴのウェアに身を包んだファンが溢れ返る。これまでアメリカンコミックやファーストフードなど、日常のあらゆるものをファッションデザインへと変化させてきたジェレミー・スコット。‟今季はどんなサプライズが待っているのかしら…”。ファンが胸をワクワクさせている頃、薬(のようなもの)の入った小瓶が届いた。中身を見てみると、ドクター・モスキーノからの処方箋も同封。私(招待客)は病気にかかった患者となっていて、(ショーの)時間と場所が完結に記されていた。そう、インビテーションの送付から、ジェレミーのコレクションはスタートするのだ。会場を訪れると、ギラギラと輝いた「MOSCHINO」の文字が赤カーテンの上に飾られていた。洗車場の機械や廃墟のセッティングなど、ここ数シーズン作り込んだランウェイが続いていたので、レッドカーペットが敷かれた‟だけの”シンプルな作りに驚かされた。ざわつく会場の中に流れる女性のアナウンス。その声が続くほどに、観客たちは口を留めランウェイに目を移す。場内の視線が一つに集まったところでショーはスタート。ファーストルックはスイムウェアだ。無駄のないシンプルなブラックビキニで、足元は華奢なパンプス。ゴールドのカーリーヘアと大振りなピアスがレトロなムードを醸し出し、片手にはクラッチバッグを抱えている。いい意味で‟普通”なスタートダッシュと思いきや、何かがおかしい。モデルが通りすぎる頃には気付かされる、側面はマチがなく平らであることに。先に述べた装いは全て白い下地にペイントで描かれていて、アドバルーンのような不規則な動きをしている。続く、ミニスカートもボディコンシャスなドレスもドッド柄ワンピースにも、ベルトやネックレスが組み合わせられていると思いきや、すべてプリントで描かれた偽物だ。ショーが進むごとに、このウィットに富んだ演出は加速。本物のモデルは腕を出していないのに、腰に手を当てたりバッグを持ったり。マリリン・モンローのように風を受けて広がったドレスもすべて作りもの。モデルたちは着せ替え人形というより塗り絵に近い存在で、ブランドのアイコンであるテディベアやライダースバッグも、パネルのような平たいもので描かれ貼り付けられている。肩や肘からは、テープのような白いものが飛び出していて、ますますおもちゃのような印象を受ける。ラストを飾るドレスルックまで、ずーっとプリントによるフェイクの繰り返しだ。その中で‟きちんと”形作られているのは、ビックサイズTシャツやスウェットパーカー、フィット素材のパンツといった日常的に着られるもの。また、バッグやジュエリーがテープ留めされたような今季らしい模様も、ジャケットやタイトミニスカートなど、ストリートに落とし込みやすいものばかりに投影されている。「See Now, Buy Now」、メンズとウィメンズの統合など、コレクション発表そのものに大きなムーブメントが起きている現在。ジェレミーは何を思うのか。繊細な形を作るのではなくプリントで表現し、ギミックな演出にこだわる、クリエーションの姿勢そのものに、皆の興味と感心が湧いたのではないだろうか。
2016年09月21日国内外の優れた写真家が手掛けたファッションブランドの“過去のヴィジュアルブック”を展示・販売する期間限定イベント「写真家が捉えた服の力」が、東京・青山の「ブルーム&ブランチ(BLOOM&BRANCH AOYAMA)」で、FNOの実施日である2016年9月10日(土)から、9月19日(月/祝)まで開催される。その後は大阪、熊本にも巡回予定。「写真家が捉えた服の力」では、1980年代から2010年代にかけて制作された貴重なヴィジュアルブックおよそ30冊を展開。その一冊一冊は、すべて世界的な写真家が撮影を担当、古書とも言えるアイテムが店頭に並ぶ。また、本展の企画に携わった、リリーファースト ヴィンテージ(LILY1ST VINTAGE)と2001年キャノン新世紀優秀賞、特別賞を受賞した経歴をもつ写真家・中西博之が共同制作した写真集『いまだあるもの』も店頭に並ぶ。本書は、“服の底”に沈殿している人間の精神描写や自然風景、服の根源的な力の表現を試みたもの。銀座にある“一冊の本を売る書店"森岡書店でも取り扱われ話題になった。なお、ブルーム&ブランチ 青山では、書籍に関連したオリジナルプリントも同時に販売する予定だ。【イベント概要】「写真家が捉えた服の力」■日程・2016年9月10日(土)〜9月19日(月/祝)ブルーム&ブランチ 青山住所:東京都港区南青山5-10-5第一九曜ビル 101TEL:03-6892-2014 営業時間:11時〜20時(BLOOM&BRANCH AOYAMA)・9月24日(土)〜10月2日(日)floraison住所:大阪府大阪市中央区南船場4-13-1TEL:06-6245-1245・10月8日(土)〜10月16日(日)Attic.住所:熊本県熊本市中央区練兵町42TEL:096-354-1770■中西博之について1979年 福井県生まれ。2001年キャノン新世紀優秀賞、特別賞を受賞。2002年 東京都写真美術館にて開催された新世紀10周年展に参加。大阪芸術大学写真学科卒業後は、ヨーロッパ各地を周り、1年間フランスパリに移住。2010年に帰国した。2011年 フリーランスとして活動を開始し、2016年9月“一冊の本を売る書店"森岡書店銀座店で発売された写真集を発売。■リリーファースト ヴィンテージについて2010年パリ、ロンドンを中心にヨーロッパで買い付けたヴィンテージ衣服をセレクトショップで展開するファッションブランドとして設立。1800年代から1990年代までの様々な年代に生まれたヴィンテージ服の純粋な服としての価値を再考し、再提案を行う。現在当服は、東京/ロンドン/大阪/福岡/熊本/岐阜/沖縄/埼玉のセレクトショップで展開中。
2016年09月13日ファッションのブームは、20年毎に繰り返されると言われています。先日、渋谷のハチ公前で大学時代の友人と待ち合わせをしていたとき、エロ過ぎる「ミニスカボディコンファッション」に身を包んだ女子を目撃。ファッションに疎い筆者は「いやいや、バブリー過ぎるでしょ」とツッコミを入れてしまいましたが、おしゃれ感度の高い若者の間では、ボディコン、太眉、赤リップなど、バブル期の流行が“カッコよく”映るようです。■バブルファッション=ダサさの代名詞は、もう古い?バブル期のファッションといえば、この20年間、「ダサさの代名詞」として封印されてきました。ゆとり世代の中にも、母親の昔の写真をみて、「お母さん、やばいよ!」「こんな服着て、恥ずかしくないの?」とバカにした経験のある女子も多いのではないでしょうか。しかし今、その価値観が変わりつつあります。メディア関係者のためのトレンド情報ポータル「トレンド総研」を運営している株式会社トレンダーズが実施した調査によると、「バブル期トレンドのリバイバルを感じる」という人は、若い世代の女性では61%。セカンドバッグは、クラッチバッグへ。タイトスカートは、ペンシルスカートへ。微妙に呼び名が変わり、現代風にアレンジされ、バブルブームが本格化しています。バブルの申し子、石田純一さんがカーディガンやセーターを肩から掛け、袖口を胸元でゆるく結ぶスタイルも、「プロデューサー巻き」という名前がつくことで、なんだか今っぽく、おしゃれに見えてしまうから不思議ですね。■リバイバルの要因は「圧倒的な存在感」バブル期トレンドのリバイバルが注目を集める理由について、商品ジャーナリストの北村氏は、次のように分析しています。バブル期の若者たちによる影響バブルの時代から20年が経ち、当時の若者がさまざまな企業で決定権者になっている。これにより、当時楽しんだバブル期の商品を復活させようという気運が高まっている。バブル期の商品の力強さ消費意欲が高まっているときの商品は、全体的に力強いものが多い。ちょっとした遊び心があったり、贅沢感があったり、時を隔てても商品力が優れているからこそ、現代でも再ブームが起こる。家庭回帰の流れここ数年の消費者心理として、高級な白物家電が支持を集めるなど、気持ちにゆとりを持つ流れと家庭での過ごし方にこだわる流れにスポットが当てられてきた。同時に、余裕のある消費者という裾野が広がり、大きくトレンドと取り上げられるようになった。同調査によると、「ファッションは繰り返すものなので、今後より注目を集めると思う。現に、太眉ブームがきているし、ボディコンまではいかなくても、似たようなピチピチの洋服は流行ると思う」、「景気が上向いてきているので、バブル期の派手なファッションは、今後より好まれる傾向にあると思う」といった若者の意見が集まっています。■2016年秋冬は「アムラー」が来る!?バブルからは少し新しくなりますが、私たちが生まれたくらいの90年代後半~2000年頃に流行った「アムラー」も、どうやら流行の兆しをみせています。光沢感のある素材やアニマル柄、袖だけファーのついたアウターなどが注目されているという2016年秋冬。これらはまさに「アムラー」ともとれるファッションですよね。さらに海外では、ニーハイブーツが人気を集めているということで、もしかしたら日本でも流行するかもしれません。アニマル柄にタイトめなミニスカート、ニーハイにタトゥーチョーカーをつければ現代版アムラーファッションの完成です!確かに、幼いころに流行っていたブーツカットデニムも再流行していますし、Tシャツの上にキャミを着るなんて重ね着コーデも「SPEEDみたいだね、懐かしい」なんて言われたりします。バブルファッションだけでなく、90年代~2000年代のファッションも合わせて注目していきたいところですね。時代の流れとともに少し形を変えてリバイバルが到来している、バブルファッション。この流れにのって、長い間続いた不景気の波も、ようやく一段落と言えるところまで来ているのかもしれません。
2016年09月13日アキラナカ(AKIRA NAKA)のクリエイティブディレクター中章が追求するファッション性と、アトリエ Manoaのテクニカルニットデザイナー早川靖子の高い技術が組み合わさり、アキラナカのニットは新たなフェーズへと導かれた。それは、文字にして記せば簡単に成立してしまうが、服として提示することは至極困難な作業である、”纏うだけで女性性に磨きを掛ける”という唯一無二のアイテムを生み出すこと。この秋冬には、世界に一着しかないニットがアキラナカから販売される。中が、膨大な時間と根気が必要とされるため敬遠してきたと語る、ニット地で構築したワンピースだ。編み幅も編み柄も異なる生地を、文字通りの匠の技でリンキングさせた、パッと見で手の込みようがわかるド迫力。ファッションに興味のない人が手に取ったとしても「どうやって作ってるの」と嘆息してしまうだろう。ファッション好きであれば思わず「Wow!」だ。「生地量が多くなれば、ニットはその重みでダレてしまう。でもローゲージだからこそ、圧倒的な迫力が得られる。そこは妥協したくありませんでした」と中は振り返る。まず、彼が起こしたデザイン画を元に、早川がニットワンピースを構築するパーツを試作することとなった。ニットワンピースを構築するパーツの施策から、中は“やんちゃ”な編地を選んだと早川は笑う「この編地を中さんが選んだ段階で『これはアートだ』と思いました。普通のデザイナーは、この柄は選ばないだろうと。これ、けっこうやんちゃな編地なんですよ(笑)。ニット教本を見てカーディガンを作ろうとか思ってる人も、まず選ばない編地ですね。やっぱりデザイナーと作り手、再現する側の視点が違うっていうのは、こういうことなんですよね。デザイナーのイメージは自由で、力強いものです。私たちみたいに“できるかな…”という技術的なことが脳裏にあって、妥協することは選ばないんです」早川は、中のイメージに沿うように幾つかのパーツを作り、いかにしてそれを繋ぎ合わせるか…。物理的な重さやシルエットバランスを二人で擦り合わせ、方眼紙に編み方と細かな指示をいくつも入れた”設計図”が作られた。編み方と細かな指示を方眼紙に書き込んでいく。これがニットのいわば“設計図”だ「早川さんのチームは、それぞれの編み方の技術者、プロフェッショナルがいらっしゃいます。なので、『じゃあここはリブ編みで。リブの次はかぎ針の職人さんにバトンタッチ。途中から棒針の方が引き継ぎます』なんてことができてしまう。それをすべて、早川さんが網羅するという…。改めて、すごい技術なんですよね。普通だったら生産性が悪いとか、やめましょうとか言われるんですけど、早川さんの場合は、最初から無理とは絶対に言わないんです」そうやって生まれたワンピース。その一着には、本当に様々な人々の想いが詰まっている。世界でたった一着、圧倒的な存在感のニットワンピースが生まれた「自慢でもなんでもないんですけど、この一着に出会った人のファッションに対する気持ち、熱量って、絶対変わると思うんです。これに出会って、気に入って、買っていただいて。そして身につけて街に出たら、いつもとは違う光景が広がっているはずです。手に取っていただければ、この迫力に感動していただけると思います」これは紛れもない職人仕業の賜物だ。中は、日本のモノづくりに宿る精神性を絶やしてしまってはいけないと続ける。「日本にも、早川さんみたいに編んでは解いて、解いては編んで、一個一個丁寧に作る職人さんは存在します。誇れる部分はいっぱいあるんです。だからそういった細かな手仕事にフォーカスし、魅力を感じる若い人たちが流れ込んできたら、もっと面白くなるなと思いますね」「ハンドニットに対する興味が、世の中から徐々に薄れていっている」と早川も危惧する。だからこそ、中は早川と手を組み、若い世代を育てていく構想も視野に入れている。「僕としては、お世話になりっぱなしで、まだ早川さんに恩返しができていないんです。今後、さらに自分たちのブランドが大きくなったら、このハンドニットの文化を伝承するような仕組みを作っていきたい。自分たちのブランドがベースとなって、ニット職人への教育の仕組みを作っていきたいんです」「ハンドならではの、このズシっとするクチュール感。アキラナカとしては、こういうところにラグジュアリーを求めていきたいと思っています。早川さんと僕が出会って、イノベーションが起こった。この流れを途絶えさせるのはすごくもったいないですからね」モノづくり国家ーー。日本がそう形容されるのには、理由がある。中の発想と早川の技術が出会い、大きなエネルギーが生まれたように、異なる才能をもった人と人とが同じベクトルを目指すとき、価値観は更新される。ファッションは待っている。新たな才能が衝突し合い、未来に向かう新たなエネルギーが生まれることを。【イベント情報】タイトル:ART KNIT会期:9月14日から26日場所:伊勢丹新宿店本館3階=リ・スタイル前編に戻る。
2016年09月12日ファッションモデル / 歌手 / 女優の土屋アンナがファッションディレクターとして手掛ける、ウィメンズブランド「アクトガールズ(ACT GIRLS)」がデビュー。2016年9月8日(木)に先行発売される。「100人がそれぞれ自由に着こなせるワンアイテム」をキーワードに、メンズライクながらセクシーさを逃さない「クールで自立した」土屋アンナの女性像と世界観をファッションで表現。ファーストコレクションは、ロックやミリタリーをはじめとする定番スタイルを取り入れた。ミニマルでメンズライクなTシャツ、ニット、パンツなどのベーシックアイテムに加え、ライダースやフェイクレザーパンツ、クラッシュデニムなどのスパイスアイテムを含めた全40型を展開する。また、リップマークのロゴがバックに浮かび上がるスタッズライダースや、フェイクファーをあしらったミリタリーコートなど、特別ウェアも限定数で登場。グラマラスで女性らしいボディシルエットや着心地の良さ、そして贅沢な素材感が魅力となっている。着るたび洗うたびに変化するよう、ダメージの入れ方にもこだわったよう。また、「ヴォーグ・ファッションズ・ナイト・アウト2016」が開催される2016年9月10日(土)から12日(月)まで、ラフォーレ原宿にて期間限定ストアをオープン。期間中は、土屋アンナによるノベルティ配布など、サプライズイベントを企画している。【商品詳細】アクトガールズ(ACT GIRLS)発売日:2016年9月8日(木) ※ZOZOTOWN独占先行発売価格帯:6,000〜30,000円 ※プレミアムアイテムは100,000円前後■期間限定ストア期間:2016年9月10日(土)〜12日(月)場所:ラフォーレ原宿 0.5階「ルアム(LUREM)」住所:東京都渋谷区神宮前1-11-6
2016年09月09日ファッション評論家の平川武治によるトークイベント「Le Pli会」が、9月2日の19時より東京・原宿のヴァカント(VACANT)で開催される。パリと東京にてフリーランスで“モード”の評論を行う平川武治が、これまで様々なゲストを迎えて開催してきた「Le Pli会」。今回は「マタイ伝」の一節である「あたらしい酒は、あたらしい革袋に」と、「あたらしい自由」をテーマにトークを繰り広げる。ゲストには、先日パリのオートクチュールでコレクションを発表したファッションデザイナーの中里唯馬が登壇する。休憩時にはお茶とお菓子の提供も。【イベント情報】「Le Pli会」会場:ヴァカント住所:東京都渋谷区神宮前3-20-13会期:9月2日時間:19:00~(開場は18:30)料金:一般2,000円、学生1,700円予約:info@takashiogami.com*件名を「Le Pli」とし、氏名・人数・連絡先を明記の上、上記のメールアドレスまで。
2016年09月01日体に身につける洋服、そしてファッションアイテム。これらは「自分とは?」を表現する一つで、「こういう風に自分を見せたい」というセルフブランディングのことを、心理学では“自己呈示”と呼ぶことを前回はお伝えしました。今回は、服やファッションアイテムを選ぶ際、人の心はどのように動いているのか?といったことを解説していきましょう。心の状態を表すファッション身につけるファッションは、心の状態を表すことも少なくありません。オープンな性格の方は、露出度の高い服を着る傾向があります。その人が心を開いているかどうかを見計らうのに、ファッションはとても役立つことがあります。例えば私のところにカウンセリングにくるクライアントさんたちのなかで、心が疲れてしまって、人と接することを恐れている人は、暗い色の服を着ていることがよくあります。過去にイジメを受けた経験があり、以来引きこもりを続けて社会に復帰できないことを苦にしておられるAさんはいつも全身黒ずくめです。はたまた、なかなか本音を話してくれなかったYさんは、真夏でも首元がタイトな服を着ていたのが印象的でした。このようにファッションから人の心を探ることをテーマに周りを見渡してみると、興味深い人が身近にもいるのではないでしょうか。アンカリングを利用してファッションで安心感や自信を得る例えば、昔流行ったものにずっとしがみついているタイプの方、周りにいませんか?アムロちゃんが流行ったときに青春時代を送った方が未だに細眉をキープしている……などという姿を見たことがあるのではないでしょうか。これは自分が一番輝いていたときの格好にしがみついているためです。そのファッションを身に纏うことで、過去の栄光や自分がブレイクしたときの華やかさをも一緒に身に纏っているのです。ある意味衣装のようなもので、気持ちを切り替えるために着ている方もいるかもしれません。ちょうど芸人さんが、日常ではありえないようなおもしろい洋服を着ることで、「自分はおもしろい人なのだ」と表しているようなものです。しかし、日常的な生活のなかで“衣装”を必要とするのは、そのファッションでないと自分を出せないという心理状態。輝いていたときのファッションを着ることで、そのときの蘇りや安心感が生まれ、自信につなげているのです。これは依存に近いと言えるでしょう。心理学でアンカリングという言葉があるのですが、例えば恋愛がうまくいっていたときに彼氏と一緒によく聞いていた曲を、別れてから5年後、10年後に聞くと、懐かしく幸せな気持ちになることがあります。こういう現象をアンカリングと言います。特に、匂いは一番強く記憶と結びつくと言われています。実家で使っていた柔軟剤の香りを嗅ぐと心が落ち着くなどの経験を持っている方もいるかもしれませんが、このように音楽でも香りでも何でもいいのですが、リラックスするための何かを持っておくといいとよく言われています。小さい頃に持っていたぬいぐるみを、大人になっても持っている人っていますよね。こういう感じで、輝いていた頃の服を着ることで自信のスイッチが入る人は、アンカリングを上手に利用していると言えるでしょう。アンカリングもいきすぎると認知の歪みに!?自分が輝いていた頃のファッションを取り入れることで自信をつけている人もいる一方、これがいきすぎて病的な印象を与えてしまう人もいます。例えば、毎日まったく同じヒッピーファッションをしている人や、頭のてっぺんから足の先までピンクずくめの人など。おそらくピンクずくめの方は、家のインテリアもピンクずくめのはずです。全部ピンクじゃないと気が済まない、ピンクがあったら買わなきゃいけないという強迫観念にとらわれていると言えるでしょう。ここまでくると“認知の歪み”です。心理学で言う認知とは、一般的な認知と違って、考え方やものの捉え方を指します。同じ事件が起こっても、プラスに捉える人がいれば、マイナスに捉える人もいます。これが認知の違いです。認知は、育ってきた環境や経験、コミュニティなどによって誰しもが歪みを持っています。この歪みには10種類あり、LINEで既読スルーされたら許せない人がよくいますが、これも「LINEがきたらすぐに返事をすべき」という認知の歪みの一つです。つまり、「流行についていかなきゃ」と強く思いこみ、こだわってしまうのも認知の歪みなのです。あなたは今、流行のファッションを取り入れることを「楽しい!」と思っていますか?それとも「流行についていかなきゃ」とストレスに感じていますか?一度立ち止まって考えてみると、不安な心が解き放たれるかもしれません。次回はいよいよ“流行依存”のメンタリティについて、グッと迫ってみたいと思います。お楽しみに!【山名祐子】メンタルオフィス「やまなmental care office」代表臨床心理士。大学院にて心理療法の心得と技術を学び、2013年に臨床心理士の資格を取得する。主に認知行動療法によってカウンセリングをすすめ、心の専門家としてメディア出演をはじめ幅広く活動中。
2016年08月26日デジタル・テクノロジーをファッションのフィルターを通して提案する「未来解放区万博~デザインとテクノロジーは、私たちの未来を変える!?~」が伊勢丹新宿店本館2階=センターパーク/TOKYO解放区で開催される。8月24日から9月13日まで。生活をより便利なものに変えてくれるテクノロジーと、生活を豊かにしてくれるデザイン。本企画では、テクノロジーをそのまま表現するのではなく、これからの未来に夢を持てる提案となるようファッションのフィルターを通して万博のような空間を作り、TOKYO解放区から発信する。ファッション×デジタルの新しい表現として、ネットとリアルの世界を境なく歩く現代人のための環境と衣服を提案するクロマ(chloma)、“メカを着ること”をテーマにファッションとして着用できるロボットを製作しているきゅんくんや、デザイナー長見佳祐により立ち上げられた“部屋”をテーマに現代の生活に最適な心地良い洋服を提案するユニセックスウェアレーベル・ハトラ(hatra)、現代の要素をコラージュ的かつグラフィカルに表現するファッションブランド、バルムング(BALMUNG)などを展開する。また、人の生活をより便利なものに変えてくれるデジタルとして、WHILL株式会社が開発した次世代型車いすウィール(WHILL)が登場。この乗り物は従来の車いすの見た目を覆す全く新しいデザインの“パーソナルモビリティ”。車いすユーザーでも、そうでない人でも乗って町中を走ることができるという。本会場では展示が行われる。その他にはテクノロジーをツールとして用いた新しい表現として、iPhoneでグラフィックを読み込むと音楽が流れるオルガ(Olga)のTシャツも登場する。さらに会場ではバーチャルリアリティー技術の研究開発を行うラボラトリー、サイキックVRラボ(Psychic VR Lab)がバーチャル空間でショッピング体験が出来るスタイリー(STYLY)を展開。この技術で3Dスキャンされたアイテムは生地の質感やディテールなど確認でき、実際に手に取っているように感じることができるという。【イベント情報】「未来解放区万博~デザインとテクノロジーは、私たちの未来を変える!?~」会期:8月24日~9月13日(※8月30日は店舗休業日)会場:伊勢丹新宿店本館2階=センターパーク/TOKYO解放区「トークイベントテクノロジー×ファッションのこれから」会期:8月27日時間:15:00~16:00
2016年08月25日「ファッションで世界を平和にすることができるか」。そうストレートに問われたならば、あなたはなんと答えるだろう。日本から遠く離れたアフリカ、コンゴ共和国には一分の迷いもなく「YES!」と即答する集団が存在する。既にご存知の方も多いであろう、世界中のファッションメディアを騒がすサプール(SAPEUR)だ。FASHION HEADLINEでは、彼らを写真集『THE SAPEUR~コンゴで出会った世界一おしゃれなジェントルマン』で日本に紹介したフォトグラファー茶野邦雄氏を招いてファッションシューティングとともにインタビューを行った。「サプール」とは「サップ」と呼ばれる人々の集まりで、サップとはフランス語で「エレガントで高貴なムードを纏った集団」という一文の頭文字を取ったもの。彼らはその言葉を身をもって表す。ある者はヴィヴィッドな原色のスーツを纏い、またある者はクラシカルな礼服に身を包む。そして、街頭へと繰り出し、独自のステップでダンスする。サービス精神旺盛なエンターテイナーであり、規範意識の高いリーダーでもあるのだ。彼らの衣服に共通しているのは、民族衣装ではなく「洋服」であるということ。独立前は長らくフランスの領地だったコンゴ共和国。実はこのことが「サプール」を生むきっかけでもあった。「昔はフランス人と働くこと自体が特権的で、市民の羨望の的でした」と、語るのは「サプールの法王」と称されるイヴ・サンローラン氏(サプールたちは本名とは別にサプール名を名乗る。この名は偉大なデザイナーに敬意を示しているという)。「祖父、父ともにフランス人と働いていました。彼らと働くのですから、当然身なりにも気を使うんです。子供の服装もきちんとさせる必要がありました。だから、“世襲”というわけではありませんが、小さい頃から着飾ることが好きでしたね」フランスのブルジョワ的な文化が、アフリカ特有の明るいムードとミックスされて、サプールという集団が生まれたわけだ。もっとも、発祥当時は世間から白い目で見られることもあった。平均月収3万円と言われているコンゴの実情を鑑みると無理もないだろう。しかし、今では世界中のファッションラバーから、平和の象徴と見なされている。サプール歴43年で、本国でも「大サプール」と慕われるムィエンゴ・セヴラン氏はこう語る。「サプールは徹底して暴力を排除します。コンゴ周辺では内戦も続いている状況です。私の願いはコンゴ共和国だけではなくて、世界中すべての人がサプールになること。そうすれば、戦争なんてあっという間に終わってしまうはずです」教育の大切についても語った彼は、このままコンゴの子供たちが勉学に励み、定職に就き、サプールの教えを守ることで、いつか本当にそういう未来がやってくると信じている。「サプールが守るべきこと。これは別に箇条書きになっているわけではありませんが、みな自ずとこの教えを守り、次の世代に繋いでいこうとしています。それは、清潔であること、誰にでも優しく接すること、徹底して非暴力であること、そして平和を願うこと」ファッションを愛するならば、誰だってサプールの一員だ。そしてその教えを守ったら、果たすべき責務がある。それは、いつもよりおしゃれして出掛けること。「今日の服、いいね」と言われたら、彼らのようにステップを踏んで応えよう。【写真集】タイトル:THE SAPEUR~コンゴで出会った世界一おしゃれなジェントルマン著者:茶野邦雄出版社:オークラ出版価格:2,700円【写真展】タイトル:アフリカ大陸コンゴの世界一おしゃれな紳士“SAPUER(サプール)”写真展日時:開催中~8月31日場所:沖縄県沖縄市久保田3-1-12プラザハウスショッピングセンターフェアモール3F ライカムアンソロポロジー入場料:500円(中学生以下無料)
2016年08月24日渋谷の文化ファッションインキュベーションホールにて8月28日(日)、Tokyo Africa Collection 2016が開催される。新進気鋭の若手ファッションデザイナーたちがアフリカ各国をテーマに新作コレクションを発表。単なる民族衣装ではなく、東京のファッションシーンとアフリカの「知られざる姿」が融合された新感覚のファッションショーとなる。デザイナーやモデル、運営の多くが現役の学生。各大学のミスコン出場者や若手タレントなどがランウェイを彩る。エジプト・モロッコ・ソマリア・ルワンダ・タンザニア・ケニア・エチオピア・南スーダン・ガーナ・南アフリカの10か国をテーマにデザイナーたちがオリジナルの衣装を制作。レディ・ガガ御用達セレクトショップDogで個展開催経験のあるデザイナー、高校生ファッションデザインアワード最優秀賞受賞者など個性的な若手デザイナーが勢ぞろいする。運営にはルワンダでファッションブランドAlizetiを立ち上げた若手起業家、根津朋子も参加。ダンス、映像、音楽すべてが組み合わさった総合エンターテインメントで「アフリカ」の既存のイメージを覆すイベントとなる。 TOKYO AFRICA COLLETION 2016日時:2016年 8月28日(日)場所:文化ファッションインキュベーションホール東京都渋谷区桜丘町23-21渋谷区文化総合センター大和田11階時間:16:00〜18:00(開場 15:30)チケット:学生無料/普通席1,000円/VIP席10,000円チケット予約はこちら(来場特典あり)HP / Facebook / Instagram / Twitter主催:Tokyo Africa Collection運営事務局 後援:一般社団法人アフリカ開発協会 認定:TICAD VI公式サイドイベントText. Azu Satoh
2016年08月23日阪急うめだ本店にて、ファッションの楽しさや魅力を紹介するイベント「阪急ファッションウィークス」が開催。期間は2016年8月24日(水)から9月13日(火)まで。期間中は3階婦人服売場にてカルヴェン(CARVEN)、ルシアン ペラフィネ(lucien pellat-finet)、ディースクエアード(DSQUARED2)、ケンゾー(KENZO)、ヴィヴィアン・ウエストウッド(Vivienne Westwood)、ソニア リキエル(Sonia Rykiel)、モスキーノ(MOSCHINO)などの限定アイテムが登場。他にもおすすめの新作やスタイルをクローズアップし、今秋のトレンドである一風変わったシルエットやバランス感、デコラティブなディテールなど、大胆な発想が魅力のファッションを紹介する。また、8月27日(土)はスペシャルデーであり、デザイナーやスタイリストが来店する。18時からは3階がDJブースになり、ショッピングとともに楽しい時間を過ごせる「NEO POP NIGHT」が開催。AMIAYAなどによるライブはもちろん、ダンスパフォーマンスやドリンクのサービスも。さらに期間限定ショップやトークショーも多数行われる。3週間にわたって遊びながらファッションを思う存分楽しめるイベント、是非立ち寄ってみてはいかがだろうか。【開催概要】阪急ファッションウィークス期間:2016年8月24日(水)〜9月13日(火)会場:阪急うめだ本店 婦人ファッションフロア住所:大阪府大阪市北区角田町8-7
2016年08月22日色やデザインが特徴的なエスニックファッション。フェスやリゾートなどで着たいファッションとして多くの女子たちが注目するカテゴリーのひとつです。どんなデザインやカラーをコーディネートすればおしゃれに着こなせるのか、チェックしてみましょう!■定番はオリエンタルな雰囲気のスカートエスニックファッションで定番なのは、大ぶりの花柄やペイズリー柄など、オリエンタルな雰囲気のもの。そんな柄があしらわれた長い丈のスカートは、Tシャツを合わせるだけで素敵なコーディネートになるから、チョイスしやすくて人気です。カラフルなパッチワーク柄やインド生地を使用したタイプなど、種類も豊富で人気があります。色味をおさえたデザインもあるので、シックなエスニックファッションも楽しめます。■トップスの人気は、刺しゅうのあるブラウスふんわり感がかわいい素材に、カラフルな花の刺しゅうがほどこされたブラウスは人気のアイテム。丈がやや短めで、デニムとの相性はバツグンです。刺しゅうの柄にもタイプがあり、鳥や動物などのデザインや、モノトーンの色味のものなど、好きなデザインが選べるところも魅力。レースタイプのトップスも人気のアイテムです。白のレーシーなトップスと、エスニック感たっぷりのビキニを合わせたスタイリングだと、海外セレブ風のコーデが楽しめます。■初心者にはワンピースがおすすめ1枚でエスニック感をしっかり出してくれるワンピースは、エスニックファッション初心者にはおすすめです。ショート丈やロング丈など、丈の違いだけでもシルエットが変化し、コーディネートを楽しめちゃうところもポイントのひとつ。柄の種類も豊富で、ヴィンテージのワンピースも人気。日焼けの気になる女子にも、袖の長めなタイプのワンピースを選べば安心です。素材も薄く涼しいので、フェスやビーチなどで活躍するアイテムとして人気ですよ!■小物には石のアクセや革アイテムを使おうエスニックファッションを楽しむコツは、アクセサリーやバッグなど小物にこだわること。シルバーアクセサリーには、石をアクセントにしたエスニック感のあるものが人気で、重ねづけするのもおすすめです。また革アイテムも、エスニックファッションによくマッチします。ベルトやバッグ、くつなどに革物を加えることで、より一層雰囲気を出せます。ヒッピー感のあるカラフルなグッズも、エスニックファッションとの相性がよく、上手にコーディネートできますよ!■自由度の高いエスニックファッションエスニックファッションは個性的に思われがちですが、シンプルなアイテムもたくさんあって自由度がとても高いんです。小物を上手に使って、おしゃれの幅をプラスさせると楽しいですよ!。(福田美優/ライター)(ハウコレ編集部)
2016年08月12日(Photo by Sebastian Dooris)街やショッピングモールを歩くと必ず目に入る、最新ファッションに身を包んだマネキン達。 脚や身体はスラリと細長く、華麗なポーズでトレンドを発信している。 言わば人型の広告塔だ。 ファッションが時代と共に変化すると同時に、マネキンも進化しているのをご存知だろうか。 最新型マネキンは自分の投影(Photo by iDummy)2013年、香港理科大学の准教授であるAllan Chan准教授を筆頭に作られた最新のマネキン「i.Dummy」は、パソコン上にサイズを打ち込むだけでマネキンが理想のサイズに姿を変える。 専門家が3Dスキャナを使ってアメリカやヨーロッパ、アジアの膨大な身体に関するデータと、機械工学と情報工学の技術を併せたことにより生まれ、主にアメリカやヨーロッパ、アジアなどあらかじめ6種類のサイズがインプットされている。 もちろん、パソコンを使ってバストやウエスト、ヒップの数値を細かく指定することによってマネキンのサイズをカスタマイズすることも可能だ。 つまり、これはマネキンというよりも新感覚のアバターなのである。 もちろん、企業側にとっては沢山のサイズのマネキンを持つ必要がなくなるというメリットに加え、世界中のあらゆるマーケットの顧客の体型に合わせて新たな商品をデザインし生み出すことができる。 同じデザインでも、体型の違いによって商品の見え方は大きく変わるので、顧客の満足度を上げるにも非常に効果が期待できる。 また、このマネキンの出現は、ファッションを生み出す側のみならず、顧客の衣類の買い物の形を大きく変えるだろう。 ファッションの“理想”を、“現実”に。(Photo by Youtube)マネキンというのは顧客にとって、手に入りそうで入らない“現実の世界の中での理想”であった。 実際に購入することで手に入る商品を身につけてはいるが、着用しているマネキンは自分の体型とは異なる場合が多く、マネキンの着用姿を頭の中でイメージしながら実際に着用してみると、「どうもイメージが違う」といったことも多い。 なんだか、光に照らされて輝くマネキンの着用姿がまるで“正解”かのように思えて、実際に鏡に映し出された想像とは違った自分を見ては、夢から醒め現実の世界に引き戻されたようでため息が出てしまいそうになる。 そんな思いを経験した方も多いのではないか。 その点i.Dummyは、誰かが描いた理想の形ではなく、現実にある自分自身の身体の等身大として、よりその商品イメージを的確に伝えてくれる。 「マネキンだから似合う」ではなく、「私だから似合う」(Photo by 4tness)人の美しさやファッションセンスなどは、他人と比較して競い合ったりすることでもなければ正しい答えだってない。 答えは無数にあり、自分の中にある。 理想を追求したマネキンの体型が美しさの基準だった時代は終わった。 人それぞれ違った体型、美しさを持つ“自分”が基準になる時代が到来しているのだ。 このi.Dummyは、そんな今までの夢と現実の間にあった溝を埋めてくれる存在になるかもしれない。 via.iDummy この記事を読んでいる人はこの記事も読んでいます!実は「高級品」だった「ファストファッション」 「流行をとらえているし、何よりも安い」そんな魅力で数年前に誕生したファストファッションは、今や私たちの生活の“一部”となり、ファストファッションのおかげで手軽にオシ... ーBe inspired!Texted by Yurika Kubo
2016年08月09日文化服装学院在学中に「ここのがっこう」に通い、2015年、自身の名を冠した「ソウシオオツキ」をスタートさせて大月壮士。今年はLVMHが主催する若手デザイナーの育成・支援を目的とするファッションコンテスト「LVMHプライズ」に日本人最年少でノミネーションを果たしている。大月壮士へのインタビュー後編。ーー東京ニューエイジの中では、大月さんの服が一番リアルクローズに近いのかなと思います。リアルとモードの境界線についてどう思いますか?リアルだけではつまらないので、そこのバランスは意識しています。いわゆる作品っぽいものが学生の時から嫌いだったんで、リアルなものっていうよりは“リアルっぽいもの”を目指していたというか。“ちゃんとしてますよ感”は意識してやっていました。メンズファッションは“リアル”とともに成長してきた部分もあるので。アルマーニとかそうですよね、地に足がついてるっていうか。実生活の中で成り立つモードを提案している。ーーより“リアル”に近いのは、テーラードを軸にしていることもあるかと思います。意識的にこだわっているというより、入りがテーラードだったんで。自然とそうなっているっていうのもありますし、一時はテーラーになりたいっていう時期もありました。そこは大事に、大事にというかベースですね。ーー一貫する和装っぽいイメージはどこから?実は、あまり“和”のイメージやモチーフは使いたくなくて。だからイメージとして借りてるというよりも、自分の中では日本的なテーラードを作っている感じ。こんなこと言うのは恐れ多いんだけれど、和製アルマーニみたいな感覚。ーーじゃあ好きなデザイナーはアルマーニ?アルマーニは、好きというよりもリスペクトですね。ファッションに憧れを持った高校生の頃は、クリス・ヴァン・アッシュ(Kris Van Assche)のディオール オム(Dior Homme)でした。それこそ雑誌『HUgE』の、クリス・ヴァン・アッシュの青シャツをグレイのスラックスにタックインしてるスタイリングを見て、モードの世界にはまっていったので。ーー共に、主にメンズの世界で活躍するデザイナーですね。ですが、今回の伊勢丹でのポップアップ用に、初めてレディースをデザインされましたが、いかがでしたか?難しいんですよ、これが(笑)。今回はシャツとジャケットとスカートをデザインしました。メンズって、襟をつけて、ポケットつけて、ちゃんとディテールを押さえて、機能性をつけてあげれば、ある程度のクオリティーは担保できるじゃないですか。でもレディースって、シェイプとかあるし、なんか難しいんですよ。体の凹凸も多いから、やりづらいし。「これ着たらどうなるの?」っていう感じでした(笑)。ーーデザイナーとして喜びを感じる時は、どんな時でしょうか?月並みですけど、やっぱりモデルに着せたときですかね。「おお、こうなるんだな」「これはキタわ」みたいな。作って、スタイリング組んで、それがイケてたら、嬉しいですね。自分の想像にバチっとハマるときもあるし、超えてくるときもあるし。ーーご自身の中でアイコニックなアイテムはなんでしょう?今のところこれといったものはないですが、ジャケットは絶対に毎シーズン作っていくと思います。ジャケットは遊べるところが少ないので、難しい部分もあるのですが、ソウシオオツキのジャケットだと一見してわかってもらえるようにしたいなって思っています。ーーデザインに対するアプローチについて教えてください。健康ランドによく行くんですけど、水風呂が好きなんです。水風呂入って、目をつぶっているとめっちゃ集中できて。今までリサーチに行ったり、画像見たりして溜まったアイデアが服としてまとまっていくと言うか。「ポケットがここにあって、こうして、こうしたら…、あ! これだ!」みたいな。で、サウナに入ると、全部忘れちゃうんですよ(笑)。だから何セットも繰り返す。ーー温冷交代浴っていうんですよね。サウナ入って、水風呂入って、またサウナ入って…。旅行っていうほどでもないけれど、出かけたりとかしてリサーチして。そうやって自分の中に溜まった塵みたいなものが、水風呂でキュッと纏まるみたいな感覚です。ーー毎シーズン、テーマを設けているんですか?設けているときもあれば、設けていてもあんまり言わないようにしているものもありますね。16SS以降は、ネタくさいのが気分じゃなくなったので、「これがテーマです」みたいな、面白話みたいなのは仕込まないようにしています。ーー近いうちに実現させたいこと、近い目標をお聞かせください。取り扱って頂ける店舗を増やしたいです。ーーでは、最後の質問になりますが、遠い未来どんなブランドになっていきたいとお考えですか?「日本でイケてるブランドは?」って聞いた時、多くの人の口から「ソウシオオツキ」がパッと出てくるぐらいの存在にしたいです。あとは、ファッションの“文脈”になりたいっていうのはずっと思ってます。30年前のメンズ史にアルマーニが君臨しているように。そうなれるように、「地に足つけて」、ですかね。今回のインタビューで、二人のデザイナーの名が挙がった。ジョルジオ・アルマーニとクリス・ヴァン・アッシュだ。ともに間違いなく、メンズファッション史に名を刻む人物だ。前者は説明不要の「モードの帝王」。テーラードジャケットから肩パットを取り去り、男性服に柔らかさを与え、ファッションにおける身体性の考え方を更新した。後者は、ディオール オムにて、直接的でマスキュリンなカッティングが冴えるテーラードアイテムを次々と世に送り出している。両者の名が挙がったこと、これが意味するところは、“男性的な美”の追求にあるだろう。大月のコレクションは、ジェンダーレス化が進み、形骸化していくダンディズムへ警鐘を鳴らしているかのよう。そしてもっと言えば、形骸化するからこそ、より純粋な意味で、“男性的な美”がファッションとして新たな価値を持ち得る。大月が生み出す“ジャパニーズ・テーラード”は、メンズファッションの新たな地平を切り開く、そんな価値観すら含んでいるのかもしれない。前編「ニッポンのサラリーマンを“モードの文脈”でみせる」に戻る。
2016年08月08日日本のファッションの未来を担うであろう若き才能たちに迫る連載、「ファッションの“未来”に聞く」。第5回となる今回は、ソウシオオツキ(SOSHIOTSUKI)のデザイナーである大月壮士に話を聞く。文化服装学院在学中に「ここのがっこう」に通い、2015年、自身の名を冠した「ソウシオオツキ」をスタートさせる。その後は国内外問わず、数々のファッションアワードを賑わすコレクションを発表。今年はLVMHが主催する若手デザイナーの育成・支援を目的とするファッションコンテスト「LVMHプライズ」に日本人最年少でノミネーションを果たしている。そのコレクションは、“枯山水”を引き合いに出したくなるような「ジャパニーズ・テーラード」。黒、白、赤などの日本的なカラーパレットと、水引きや菊の花など同じく和を感じさせるモチーフを、テーラードに落とし込んだコレクションを展開している。ソウシオオツキ 15AWコレクションよりーーこの連載で皆さんに最初にお聞きしている質問です。ファッションに興味を持ったのはいつ頃でしょうか?僕はいわゆる高校デビューなんです。中学生くらいまでは、母親が買ってきた服を、なんの疑問もなしに着ていました。きっかけは彼女ができたことかな(笑)、それでやっと服に気を使い始めましたね。ーー千葉のお生まれだそうですね?そうです。千葉県なんですが、それほど田舎ってわけでもない。東京までも1時間ちょっとで行けてしまう。同世代のデザイナーは、自身の生い立ちであったり、思春期のコンプレックスとかをブランドのアイデンティティとして打ち出している人も多いですよね。でも、自分は千葉県のベッドタウンにある中産階級に生まれて、中高の時も特にワルしてたわけではないし、頭が良かったわけでもない。なんかこう全部が半端だった感じで。そういう表現者の必要条件のようなコンプレックスが無いことが、逆にコンプレックスという時期がありました。立ち上げ当初は、そういう少し屈折したコンセプトで展開していました。ーー具体的にデザイナーを志したのはいつ頃なんでしょう?高校2年の後半くらいですかね。中学生まではずっと、自衛隊に入るんだろうなって思ってたんです。祖父が自衛隊だったので。「防大に行け」って幼い頃から祖母に洗脳され続けて、自分でも防大に行って自衛隊になるんだってずっと思ってました。けど、高校生でチャラチャラしちゃって、将来の目標とかも全然なくて、彼女にもフラれてしまって。その時仲の良かった友達が「俺は映画監督になる」って言いだしたんです。小学校の時からの馴染みなんですけど、そいつとよく映画を観に行ったりしてました。そいつの影響とかで、ちょっとこう「ものづくり論」とかを語ったり、この映画はこういうところがすごいみたいなことを話したりしてました。でも、映画って大変そうだし(笑)、漠然と服好きだからデザイナー目指してみようかなと。ーーでも、ファッションの世界に入ってLVMHで評価されるっていうのは、それなりの情熱がないと難しいと思います。文化服装学院に入ってから“自覚”が芽生えたのですか、それとも入る前から“腹をくくってた”感じですか?なあなあで入った感じはないですね。高校の頃から映画だけじゃなくて、コレクションが発表されたら動画で確認して、友人と批評まがいみたいなことをしてました。ずっと、自分の中で温めていたというか「俺は文化服装学院で一番になる」って、めちゃめちゃイキッてたんで。2年目までは優等生でした。無遅刻無欠席の皆勤で、課題もすごく頑張ってました。ーーそこから山縣良和さんが主宰するファッションのプライベートスクール「ここのがっこう」に行きますよね?そうです。文化服装学院の3年生の時ですね。ーーそれはどういった経緯だったんですか?友達が「ここのがっこう」に通ってたんです。よく喫煙所で一緒に話していた仲なんですけど、今「ここのがっこう」に通ってて、こういうことやってるんだよってブックとか見せてくれて。その時はまだ山縣さんのことも知らなくて。ファッションニュースかな、雑誌で山縣さんのコレクションを見て、「東コレ出してる人がやってるんだ、セントマーチン卒なんだ、それじゃ行ってみようかな」みたいな。その時は、漠然と卒業したらアントワープに行きたいって思っていたので。予備校的な位置付けで通おうと思っていました。ーー「ここのがっこう」の卒業制作が、ITS(欧州最大のファッションコンテストのひとつ)に届かなかったというエピソードがありますね。文化服装学院にもITSの募集要項が張り出されてましたからね。僕はITSにどうしても通りたくて。2年生の時に、装苑賞を目指すんですが、全然ダメでした。国内の他のコンペも全然受からず…。「国内のコンペなんてクソだ、俺は世界に出る」って半分やけになってました。それで、ITSに出すのですが、1回目はダメ。次の年は、「大月はいけるんじゃないか」って言われていたんですけどダメで…。その次の年は、税関で止められてアイテムが届かなくて、涙を飲みました。で、結局4回チャレンジしたんです。ずっと「ニッポンのサラリーマン」をテーマに作ってきたんですが、4回目の時、賞を取った方が、日本人のエスモード出身の方で、しかも、同じようにサラリーマンをテーマにしていて。同じテーマで受かってるもんだから、悔しくて、それで心が折れてしまった。4年間連れ添ったサラリーマンをポッと出の男に寝取られた!って。ニッポンのサラリーマンをテーマにITSに挑んだーー海外のコンペを意識されていたということで、コレクションの見せ方が面白いですね。外国人モデルを使っているルックもあれば、日本人のオジサンモデルを使っている時もありますね?それこそ、サラリーマンをテーマにしたコレクションの時ですね。みな似たような背広を着て出勤するサラリーマンって、かなり日本的でドメスティックなので、海外にそのニュアンスの全てを伝えるのって難しいじゃないですか。そういうことはいわゆる“モード”の文脈に乗せる必要があるので、ルック写真は外国人モデルを使って撮って、それとは別にコンセプトを理解してもらうために、日本人のモデルで純度の高い見せ方をしました。海外に目を向け、サラリーマンを“モードの文脈”に乗せて表現した後編「日本的なテーラードで魅せる“リアル感”」へ続く。
2016年08月08日ここ数年、またまたブームが再来しているレトロファッション。とくに注目は60年代ファッションで、有名ブランドもこぞってこの時代のテイストを取り入れたデザインを発表しています。今回はレトロファッションの上手な着こなし方を4つご紹介。やってみたいけど自信がなかったあなたも、これでおしゃれ上級者に大変身!■■レトロな柄のワンピースから始めようレトロファッション初心者はまず、イギリスで大人気となったレトロなモデル「ツィッギー」のような、レトロな柄のミニ丈のワンピースやAラインのワンピースから始めてみましょう。ポイントは、大胆な柄ものや鮮やかなカラーにおもいきってチャレンジしてみることです。ワンピースはこれだけで一気にモードな装いに変身できるアイテムなので、初心者にはおすすめ。細ベルトでウエストマークをしてみたり、セットアップみたいなツーピースにチャレンジしたりするのもいいですね。足元はパンプスやヒールを合わせてエレガントな感じにしてみましょう。存在感のあるビビッドなアクセサリーや帽子を活用するのも素敵。■■レトロコーデは色の組み合わせが大事レトロファッションで楽しみたいのはやっぱりカラー。色合いに、統一感をもたせることなくまったく違うカラー同士を組み合わせるのがかわいいレトロコーデのポイントです。相性のいい組み合わせはオレンジ×明るめの青、緑×赤、紫×オレンジなど。ビビッドな色彩をもってくることでレトロ感はぐんとアップします。原色の組み合わせに抵抗がある方は、赤色を目立たせるコーディネイトがおすすめです。赤が目立つとレトロ感が演出できるオシャレコーデに仕上がります。■■アイテムを効果的に使ってレトロ風に丸メガネや、ベレー帽、レトロバッグなど、小物を取り入れるだけでレトロ感がぐっとアップします。そして、レトロファッションの定番といえば、大ぶりの丸いイヤリング。同じデザインのイヤリングを、左右の色を変えて着ける遊び心があっても楽しいですね。また、頭にレトロな柄のバンダナをカチューシャ代わりに巻いてみたり、つばが広めのチューリップハットをかぶってみたりするのもシックなムードを演出できるテクニックです。メガネやサングラスは丸い形をチョイスすると、一層レトロな雰囲気に!■■マニッシュなスタイルで楽しもうマニッシュスタイルとは、メンズライクなアイテムを着ることでフェミニンさを抑えるスタイルのことです。60年代は空前のマニッシュスタイルブームが起こった年代。マニッシュスタイルを取り入れるなら、ポイントはボトムスです。ワイドパンツなど、ルーズなシルエットのものを履いてみましょう。その際、ベストを合わせたり、足元にオックスフォードシューズをもってくるなど、メンズライクな小物をアクセントにおくと、よりレトロなマニッシュスタイルに仕上がります。■■ビビットカラーで簡単オシャレに半世紀を経て今再ブームのレトロファッション。ただ古いデザインをチョイスするだけではなく、シックな合わせがわざの見せ所。トレンドを押さえたレトロファッションを楽しみましょう。(福田美優/ライター)(ハウコレ編集部)
2016年08月06日夏のスペシャルイベントを盛大に開催中の東京ディズニーリゾートで7月22日、初となる「東京ディズニーリゾート ファッションドール」の販売がスタートした。そのテーマは、“東京ディズニーリゾートに遊びに来た、おしゃれでファッショナブルな女の子”だ。この「東京ディズニーリゾート ファッションドール」は、そのリアルな表情だけでなく、細部にまでこだわった洋服と、いろいろなポージングが可能なしなやかな体が特徴だ。洋服の種類は全4種類で、それぞれミニーマウスやデイジーダック、マリー、アリスなどのディズニーのキャラクターを元にデザインされており、たとえばミニーマウスをイメージした洋服を着た女の子は、大きなカチューシャと水玉模様のスカートが特徴となっている。パーク内では、たとえばシンデレラ城などの風景を「東京ディズニーリゾート ファッションドール」の背景にして見てみると、まるでおとぎの世界に入ってしまったかのよう。家の中だけでなく、パークに連れ出して一緒に楽しめるファッションドールは、この「東京ディズニーリゾート ファッションドール」ならではのマジカル体験なので試してみて。【商品概要】 「東京ディズニーリゾート ファッションドール」販売開始日:7月22日(金)販売店舗:東京ディズニーランド「トイ・ステーション」東京ディズニーシー「マーメイドトレジャー」販売価格:3,600円(税込)※デザイン・価格の変更や品切れとなる場合がございます※写真はすべてイメージです。過去の取材時に撮影した画像を再利用することがあります。(C) Disney(text:cinemacafe.net)
2016年07月27日デザイナーを志したリョウタ ムラカミ(RYOTA MURAKAMI)デザイナーの村上亮太は、山縣良和が主宰する「ここのがっこう」でファッションを学ぶ中、自らのルーツはどこにあるのかを追求したという。その結果、おかんと二人三脚でコレクションを制作するというアプローチに行き着いた。1/2はこちらから。村上亮太へのインタビュー後半では、一度もお客さんが来た事のない「町外れのブティック」をテーマにした16-17秋冬コレクションについて。そして、村上が考える将来について訊く。ーー今年の秋冬についてお聞きします。ファーストルックのモデルがおばあちゃんでした。「町外れのブティック」というのが16-17秋冬のテーマです。しかも、そのブティックには今まで一人もお客さんが来た事がないっていうお話です。お客さんは一人も来た事がないけど、オーナーは服作りがめちゃめちゃ好きで、誰にも求められてないけど、好きだからやっているという。以前イタリアに行った時に、ローマでそういうブティックに出合いました。「誰が通るんだろう」っていう路地に、自宅兼みたいな感じで、ポツンと。そこでおばあちゃんが、訳分かんないものを作ってるんですよ、目玉の付いたファーの塊みたいなもの。ーーローマでファーと言えば、FENDIだ(笑)そうなんです(笑)。でもとてもクオリティが低くて、センスも狂ってる。それが200個ぐらい壁にズダーッと飾られてて、「これを毎日1匹作る事が日課なの」と言っていました。そのほかにも、自分で服を作っていて、それもなかなかのクオリティで…でもどこか憎めないんです。たぶんそれも全然売れてないと思います。RYOTA MURAKAMI 16-17秋冬コレクションよりでもそれって、自分の母親がやっている事とすごくリンクしていたんです。承認欲求に縛られないものづくり、「ただただ、好きだから作る」という。だから、ファーストルックのおばあちゃんは、そのブティックのオーナーをイメージしています。お針子さんみたいに白衣着て、紫陽花のピンクッションを付けています。その後に、そのおばあちゃんが作った服を着た”息子”たちが登場するという構成です。RYOTA MURAKAMI 16-17秋冬コレクションよりーーなるほど、だからちょっと中性的なアプローチなんですね。幼い頃に母親が作っていた服もちょっと中性的というか、女の子が着た方が似合う服が多く、そもそも考えていないというのがあると思うのですが。作り手の着せたい願望とモデルの着せられてる感もショーを通して表現したい部分でした。それで無理やりメンズモデルに着せました。RYOTA MURAKAMI 16-17秋冬コレクションよりーー次シーズンはどのようなコレクションになりそうですか。これまで母親と完全にミックスしてやっていたんですけど、次のシーズンは分担した作り方も考えています。分けると言っても、同じコレクション内で、母が担当する部分と僕が担当する部分を分けるというレベルで、僕がまったく関与しないルックなども作りたいです。母が純粋に作るものを僕自身見たいなっていう思いもあります。ーーやっぱり、一緒に作っていくことは、これから先もずっと?先のことは分からないですが、母親を海外のコレクションに連れて行きたいという一つの目標はあります。実は母親も、母親なりに目標があって、本人は本気なんですけど、福山雅治さんの衣装がやりたいらしいです(笑)。「福山雅治と仕事ができたら、私は引退します」みたいなことを言っていました(笑)。ーー可能性はゼロではないかと(笑)。村上さん自身は、将来的にどういうブランドにしていきたいですか?ファッションデザイナーがいい服を作る事は今まで以上に当たり前な事になっていると思います。ファッションのシステム内だけではないものにも目を向けていきたいと思いますし、必要とされるものだと思います。僕が知らないところでもまだまだたくさんあると思いますし、今回のアートギャラリーでの展示もそうですが、声を掛けて頂く事には積極的にチャレンジしていきたいと思っています。今回の展示でもアートはファッションと近いものだと思っていましたが実際に頂く感想はいつもとは違うものも多かったです。例え残酷なものでも文脈の中から価値観を生み出すアートに対して、ファッションは人を幸せにするもの。ハッピーにするものだという事を改めて感じました。そういう面でもまだまだ必要とされる場所はあると思いますし、また必要と思ってもらえるブランドにしていきたいと思っています。色も自由、シルエットも自由、伸び伸びとしたリョウタ ムラカミのコレクションはポジティブな全能性に貫かれている。そして、なにより愛に溢れている。理由は、言うまでもない。母との二人三脚で紡がれる「愛の衣」は、世界をちょっとだけ、でも確実に、ハッピーな方へと変えていくはずだ。【イベント情報】<第1弾>The drama ~TOKYO制服~会期:5月25日から6月7日(会期終了)会場:伊勢丹新宿店 本館2F=センターパーク/TOKYO解放区<第2弾>The life ~TOKYO制服~会期:6月15日から21日(会期終了)会場:ジェイアール京都伊勢丹5F 特設会場<第3弾>The days ~TOKYO制服~会場:7月27日から8月2日会場:銀座三越3F ル プレイス プロモーションスペース
2016年07月26日日本のファッションの未来を担うであろう若き才能たちに迫る連載、「ファッションの”未来”に聞く」。第3回となる今回は、リョウタ ムラカミ(RYOTA MURAKAMI)のデザイナーである村上亮太に話を訊く。上田安子服飾専門学校を卒業後、「リトゥンアフターワーズ(writtenafterwards)」でアシスタントを務めながら、「ここのがっこう」へ通う。実の母親と共同で手掛けた卒業制作が欧州最大のファッションコンテスト「ITS」にノミネートされ、注目を集める。でんぱ組.incへの衣装提供や、VOGUE ITALIAが主催したイタリアの百貨店「リナシェンテ」のウィンドウを手掛けるなど、活動は多岐に渡る。今回のインタビューは、母親が描いたデザイン画が展示された「村上千明の絵画展」の会期中、阿佐ヶ谷のTAV GALLERYにて敢行。在廊中の村上を訪ねた。ーーこの連載でみなさんに最初にお聞きしている質問です。ファッションに興味を持ったのはいつ頃でしょうか。幼い頃は母親が作った服を着ていました。リボンがついている、女の子が着るようなセーターみたいなものです。それまでは、自分の服装を意識したことはなかったんですが、ちょうど小学3年生の時に引越しをしたんです。新しい学校に行くわけですが、そこで初めて「村上クンの服なんなの?」って違和感を持たれて(笑)。転校して不安な時期だったこともあって、いじられたことに対して、すごくショックを受けました。それから半間ぐらい不登校になりました。その時に初めて、自分が着ているものを意識すると感情が生まれました。同時に、母親を馬鹿にされたような気持ちになって、すごく傷付きました。デザイナー村上亮太さんと母・村上千明さんーー着ている服一つで不登校になる程いじられるって、子供は残酷ですね。お母さんには言い出しにくかったのでは?そうなんですよ。でも、ずっと聞かれていたので、ついに告白したら、母親も「ごめんね」と、必死に謝られて。この後近くのスーパーで、みんなと同じような服をいっぱい買ってきてくれました。でもそれもまたなんかズレてるんです。プーマの偽物みたいな服でした(笑)。でも結局その新しい服を着て、また学校に通うようになりました。それから母親は服を作らなくなったし、僕も自然とそういうことがあったことを徐々に忘れていきました。ーーデザイナーへのなろうという想いはどの辺りでお持ちになりました?はじめは人と同じ格好がしたいから洋服に興味を持ち、その延長で中学、高校くらいから漠然とファッションの仕事がしたいと思うようになりました。高校2年生くらいの時に、雑誌の「マルジェラ特集」をたまたま古本屋で発見して、ファッションってこんなこともできるんだと、純粋に感動しました。それからデザイナーという職業への憧れがどんどん強くなっていきました。ーー上田安子服飾専門学校を卒業後は「リトゥンアフターワーズ(writtenafterwards)」でアシスタントを経験されていますね。インターンという形で勉強させてもらいながら、「ここのがっこう」に通いました。ーー「ここのがっこう」を選んだ理由は?もともと存在は知っていました。卒業者が海外のコンペでグランプリを獲ったり、上京前から興味は持っていました。それ以上にリトゥンアフターワーズの山縣さんがやっている学校というのがなによりの魅力でした。高校生の頃、装苑の記事で初めて山縣さんの作品を見た時、「ビッグブラ(the big bra)」が紹介されていて。これを言うのはとても恥ずかしいんですけど、その時、「絶対にこのデザイナーに負けたくない」って思った事を覚えています。そこから毎シーズン、リトゥンアフターワーズのコレクションが楽しみで、上京後はアシスタントを経験させていただきました。リトゥンアフターワーズでのコレクション製作では、最後の最後まで服と向き合い、土壇場で今までやってきたものをひっくり返す事などもしょっちゅうありました。デザインのテクニックや物の見せ方などはもちろんなんですが、それ以上にファッションへの情熱、クリエーションに対する純粋な姿勢を学びました。ーーそれで、どのタイミングで母親(通称「おかん」)が出てくるんですか?ここのがっこうの卒業制作を作るにあたり、自分のルーツを探るところから始めるんです。他の人と自分にどういう違いがあるかって考えた結果、幼い頃に母親が作っていた服を着ていたっていうのは。特別かもと思い至って。実際、ディスカッションの際に打ち明けたらみんなが驚いてくれたので、「あ、ここに違いがあるんだ」って気付くことができました。「ここのがっこう」では、最終的に海外のコンペにチャレンジするというひとつの目標がありました。みんなコツコツ作業を進めて行くんですけど、1年の学期のうち、10か月間くらい何もできなかった。あと2か月ぐらいしかない状況でも、うだつの上がらない状態が続いていて、それでどうしようもなくなって、母親にダメモトで、デザイン画を描いてくれって連絡したのが、はじまりでした。ーーそのデザイン画が入っているダンボールを、学校でみんながいる前で開けたらしいですね。このエピソードが村上さんらしさなのかなと思います。いや、とても嫌でしたよ(笑)。でももうその時は、それを見せるしかないってぐらいに追い込まれていたんで…。そこで勇気を出して見せたら、割とクラスのみんなから共感をもらえました。今でも母親のデザイン画を見せるのは、正直恥ずかしいです。堂々と飾っているように見えるんですが(笑)。一方で、母親が描いたもの、母親が作ったものを、幼い時に馬鹿にされていたものを今改めて評価してもらいたいという気持ちもあります。阿佐ヶ谷TAV GALLERYで開催された「村上千明の絵画展」ーー吉田(圭祐)さん(KEISUKE YOSHIDAデザイナー)もそうだったんですけど、「恥ずかしい部分をさらけ出す」ことが新しいアプローチなのかなと。恥ずかしい部分をさらけ出すことによって、少なからず共感してくれる人がいると思います。デザイナー自身が生きていく場所を探る事で、新しい場が生まれる可能性や共感が生まれる事があると思います。それと同時にブランドストーリー内での共感をどうファッションの価値観へと変えていけるかが今後は必要だと思っています。【ファッションの“未来”たちに聞く】世界をちょっとだけ、でも確実に、ハッピーにするファッションを デザイナー村上亮太--2/2に続く。
2016年07月26日シアタープロダクツ(THEATRE PRODUCTS)が、ファッションショー映像の上映と音楽ライブを行うイベント「LIVE and MOVIE THEATRE PRODUCTS 2016-17AW feat TUCKER」を、2016年8月20日(土)大阪のクラブ「NOON」にて開催。2016-17秋冬コレクションの音楽を手がけたミュージシャンTUCKERのライブパフォーマンスや、コレクション映像「2016-17AW collection“UNNATURAL-月への身支度-”」を生演奏つき大画面で楽しめる特別な一夜となる。また当日は、限定オリジナルカクテルの用意や、シアタープロダクツの商品があたるミニ・ゲームを開催。さらに来場者スナップも予定しているため、ドレスアップして来場したい。なおTUCKERは、70年代のパンク/ヒップホップと即興性を掛け合わせ、ターンテーブルやギター、ベース等をたった1人で駆使するパフォーマー。観る者を圧倒するアクロバティックなステージが国内外で人気を博している。【詳細】LIVE and MOVIE THEATRE PRODUCTS 2016-17AW feat TUCKER開催日:2016年8月20日(土)時間:20:00 開場 / 20:30 開演場所:NOON+CAFE 住所:大阪市北区中崎西3-3-8 チケット価格:3,000円+1ドリンク(600円)【問い合わせ先】シアタープロダクツ オムニバスTEL:0664508224
2016年07月24日兄の連れてきた婚約者は…
いきすぎた自然派ママがこわい
義父母がシンドイんです!