厚生労働省は、iDeCo(個人型確定拠出年金)の積み立て期間を5年延長して70歳までにする方針を固めました。iDeCoとは、自分が払った掛け金を自分で運用し、老後の資産を作る“自分年金”の制度です。掛け金の積み立ては原則60歳未満までですが、2022年5月から働いて年金保険料を払う方は65歳未満までになっています。今後議論を重ね、2025年に法案を提出する予定です。iDeCoには3つのメリットがあります。(1)掛け金が全額所得控除になり、所得税を減らせる。(2)運用で得た利益が非課税になる。(2)60歳以降に受け取る際も税控除の仕組みがある。節税につながるメリットが強調されがちですが、当然デメリットもあります。最大のデメリットは、受け取りが60歳以降に限定されること。60歳まで勤めあげる方には問題ありませんが、勤務先の倒産やリストラなどがないとは限りません。2023年の全国企業の倒産件数は前年より約35%増えて8千690件。31年ぶりの高水準で、2024年も倒産が増えるといわれます(東京商工リサーチ)。特に自営業者は、万が一倒産したら「iCeCoで貯めている資金が使えれば……」と後悔するのではないでしょうか。もう1つ所得控除でも、全額控除を受けられる方が意外と少ないことがデメリットです。というのも、住宅ローン控除や医療費控除などで節税し、iDeCoの所得控除分全額を減らせるほど所得税を払っていない方が多いのです。iDeCoは収入が高く納税額の多い人が得をする制度といえます。■70歳までの就労機会確保が「義務」に進められる今回のiDeCo改定は、働く高齢者の増加が根拠です。65~69歳のうち働く方の割合は、2021年に50%を超え、2023年は525と徐々に増加(総務省)。「働く高齢者は収入があるから、積み立てできるだろう」というのです。背景には2021年4月に改正された「高年齢者雇用安定法」があります。これまでの「希望する社員全員を65歳まで就労させる義務」に加えて「70歳までの就労機会の確保が努力義務」になりました。今後はさらに70歳までの就労機会確保を「義務」に進め、長く働ける社会を作りたいのでしょう。それによって国は、少子高齢化による人手不足を補うことと、公的年金の財源問題も改善したいのです。公的年金の財源ひっ迫はご存じのとおり。国はパートなど短時間労働者の年金加入を拡大して年金の支え手を増やし、年金の支給額自体をマクロ経済スライドの導入で抑制しています。そのうえで、70歳まで誰もが働ける環境を作り、iDeCoなど自分で老後に備える仕組みを拡充して「公的年金の支給開始を、現在の65歳から70歳に引き上げる」ことが国の目論見でしょう。老後破綻、長生きリスクなどにおびえる方が多いなか、国は公的年金の改悪に進むのか。厳しく見守りたいと思います。
2024年04月12日老後の年金問題などが世間を騒がせていますが、本当に将来もらえるのか不安を感じていた私。そこで私は、自分で所有する土地に賃貸住宅を建てて、「自分年金」を作ることに決めました。ここではそれを達成するまでの過程をお話しします。構想20年のアパート経営私は、最寄り駅から徒歩4分のところに45坪程度の土地を所有しています。かつて昭和50年ころまで、そこで私の祖母がアパート経営をしていました。将来の年金受給の不安や、自分の職も不安定なこともあり、2003年ごろに再びアパートを建設することに決めました。ところが不動産投資のことを両親に話すと、案の定反対されました。かつてアパートだった土地であるにもかかわらずです。両親はどうやら、借入金を利用してアパートを建設することに反対しているようでした。両親の反対を受けて仕方がないので、まずはアパート投資の勉強を始めることにしました。簿記の勉強をして日商簿記2級まで取得しました。アパート経営には簿記は大変役に立つと書籍で知っていたからです。さらに、税理士のセミナーに出かけて知識を得たり、マンション・アパート経営の書籍をたくさん購入して読みあさりました。不動産投資には勉強はとても大切です。何も勉強をせずに、いきなり投資の世界に飛び込むことほどリスクの高いことはないと思っていました。ついにアパート建設決定!両親の反対はその後も長く続きました。どこかで折れてくれるのではないかと期待したものですが、両親の意志は固く断固反対だったのです。ところが2013年に父親が倒れ、その後10年間床に伏せていましたが、2023年に病気が悪化し、ホスピス(病気などによる苦痛を緩和し、最期のときを穏やかに過ごすことを目的とする施設)に入所することになったのです。すると、今までアパート建設に反対していた母親が折れ始め、アパート建設の復活が決定的になったのです。そのとき、すでに構想から20年が経過していました。夢は願い続ければかなうといわれますが、まったくその通りだと思いました。これから自分がやらなければならないことはたくさんあります。ですが、一つひとつ慎重にこなし、祖母が経営していたアパート以上に、大きなアパートを建設して不動産収入という「自分年金」を作ろうと考えています。賛成してくれた親には最終的には感謝をしています。まとめ収入の柱は1本だと不安定だと感じます。会社員としての収入だけではなく、複数の収入を持つことによって、将来の不安が払しょくされたのです。私のように自分年金を作ることは、これからの時代にはとても大切な行為だと思っています。※記事の内容は公開当時の情報であり、現在と異なる場合があります。記事の内容は個人の感想です。監修/大久保美伽 先生元銀行員、大手外資系金融機関勤務歴15年。退職後、2021年マネレボ株式会社設立。真に中立な立場で資産運用と保険、家計の見直しをおこない、お金と時間から自由になり自分らしく生きる女性を増やすべくファイナンシャルプランナーとして独立。多くのお客様の資産運用やライフプランニングの悩みを解決すべく尽力している。老後に3000万円差がつく投資講座主宰。文/ヨシキウーマンカレンダー/シニアカレンダー編集室著者/ウーマンカレンダー編集室40歳を過ぎて心と体の変化に戸惑い、悩むオトナ女子を応援するメディア「ウーマンカレンダー」の編集室です。オトナ女子がおこなっているコスパ良し!時短!ズボラでもできる!リアルなアンチエイジング情報をお届け。医師解説の記事も満載!
2024年03月31日今回のお悩み「学生時代に猶予してもらった国民年金の支払い、30歳までに追納すべき?」大学生の頃、国民年金は「学生納付特例制度」を利用して支払いの猶予を受けていました。しかし、猶予期間は10年で、それまでに追納しないと将来もらえる年金の額も減ってしまうことを知りました。20歳の時の分は30歳のうちに追納しないといけないのですが、支払った方がいいのでしょうか?(20代後半・技術職)■そもそも「学生納付特例制度」って何?20歳以上の方は、原則として毎月、国民年金保険料を納めることが義務となります。現時点(令和5年度)だと月に1万6,590円、年間で19万9,080円を支払う必要があるのです。ただし、働いていないもしくは前年の所得が一定以下の学生の方(家族の方の所得は問いません)の場合、学生の間は「学生納付特例制度」を申請することで、在学中の保険料の納付が猶予されます。学生納付特例の承認を受けた期間は年金の受給取得期間として扱われますが、年金額には反映されないため保険料を納付した場合より将来の老齢基礎年金額は少なくなります。そのため年金額を増やす手段として、猶予を受けてから10年以内であれば保険料を追納することができるのです。また、「学生納付特例制度」を利用せずに支払わないと、それは未納の扱いになります。受給取得期間としては認められません。そして、相談者さんのように「学生納付特例制度」を利用すると、大学卒業から10年以内の追納を促すハガキが毎年届くようになります。3年分の追納をする場合、金額はトータル55万円ほど。アラサーで収入も増えてきたので追納できないわけではないけれど、そもそも追納するべきなのか?追納しないとどうなるのか?追納せずにiDeCoやNISAなどで投資を始めたほうが得なのではないか?など悩んでしまいますよね。■10年以内に追納する・しないとどうなるの?◇10年以内に追納した場合追納は社会保険料控除の対象となり、所得税・住民税が軽減されます。年収が300万円の新卒時代に40万円追納をした場合、所得税・住民税が最大約8年軽減されますが、年収が600万円になった10年後に55万円まとめて追納すればさらに節税効果が高くなります。タイミングを見てもいいかもしれません。追納の注意事項としては、「学生納付特例制度」の承認を受けた期間の翌年度から数えて、3年度目以降に保険料を追納する場合は、承認を受けた当時の保険料額に経過期間に応じた加算額が上乗せされてしまうので気をつけましょう。◇10年以内に追納しなかった場合追納しないと、その分の老齢基礎年金部分の年金額が少なくなります。だいたいの人は20〜22歳までの3年間分だと思いますが、大学院に進学した方はさらに少なくなります。将来の基礎年金額を減らしたくないのであれば、追納した方がいいでしょう。■今、追納することが本当に得なのか?ハガキが届くと追納を催促されている気持ちになりますが、急ぐ必要はありません。昇給して年収が上がり、生活に余裕ができたらでもいいと思います。もちろん将来の年金額も大切ですが、まとまった金額を追納することで、家計が立ちいかなくなるのであれば、身も蓋もありませんので、その場合は今の生活を優先しましょう。年金を損得で考えるものではありませんが、追納しないからといって、罰則等があるわけではありません。あくまでも追納をすると基礎年金部分の減額部分がなくなるという話であって、それ以外にiDeCo(個人型確定拠出年金)で年金を自分で運用する方法もあります。iDeCoは全額所得控除ですので、所得税・住民税が軽減されるのもメリットと言えます。他にも運用益は非課税で再投資されるため利益が出やすいですし、年金受け取り時にも税制優遇を受けることができます。NISAは、NISA口座内で投資をして得た利益に対する税金が非課税となるので、長期・積立・分散投資に向いています。iDeCoとは違い、全額所得控除にはなりませんが、保有資産を売却することで、現金化が可能です。年齢的に若く年金に上乗せさせたいのであれば、iDeCoがおすすめです。ただし、iDeCoは、原則60歳まで資産を引き出すことができない点に注意しましょう。追納をすることは望ましいことですが、それだけが減額分の年金を補う方法というわけではありません。いろんな選択肢から選んでみましょう。令和のマネーハック93追納はタイミングやメリットを考えて。iDeCoなどいろんな選択肢を比較して、自分に合った将来資金設計をしよう(監修:丸山晴美、取材・文:高橋千里、イラスト:itabamoe)
2024年02月19日《年金支給額を2.7%引き上げ、バブル期並み高水準…厚生年金はモデル世帯で月23万483円》厚生労働省が発表した2024年度の公的年金支給額を報じた、読売新聞の記事の見出しだ(1月19日付)。まるで大幅に年金が増額された喜ばしい報道に見えてしまうが、「じつは、マクロ経済スライドという制度によって、実質、もらえる年金は目減りしているのです」そう語るのは、YouTubeで「年金博士・北村庄吾の年金チャンネル」を持つ、社会保険労務士の北村庄吾さんだ。「かつては、物価や賃金が上がれば、同じように年金支給額が上がっていました。インフレに強い制度だったんです。ところが2004年にマクロ経済スライドを導入。物価や賃金が上昇しても、その上昇率から“調整率”を引いた分でしか、年金支給額が上がらない制度ができたのです。しかも調整率を反映しきれなかった場合、次年度以降に未調整分を持ち越しできるキャリーオーバーという制度も、あとから追加されています。年金支給額が増えるのでわかりづらいですが、物価上昇に追いついていかないので、年金の価値は下がっているわけです」2024年度の年金額改定に関して、北村さんが続ける。「年金支給額は、過去3年間の賃金変動率(3.1%)や、直近1年の物価の変動率(3.2%)などをもとに改定されます。 67歳以下で新たに年金を受給する人は賃金変動率、68歳以上の年金生活者は賃金変動率と物価変動率の低いほうを使用することになっています」2024年度の改定の際、採用されたのは賃金上昇率の3.1%。つまり、2024年度の年金は、本来なら同じように3.1%上がらなければ、年金の価値が落ちてしまうことになるのだが。「調整率0.4ポイントのマクロ経済スライドが発動されたことで、年金額の上昇率は2.7%に抑制されているのです」(北村さん)夫婦2人のモデル世帯(平均的な賃金の会社員で40年間年金に加入した夫と専業主婦の世帯)の厚生年金に関しては、2023年度が22万4千482円だったため、2024年度は+2.7%で23万483円と、6千1円増額されている。しかし、マクロ経済スライドがなければ+3.1%で23万1千440円となり、月957円ほど支給額が高くなるのだ。年に換算すれば、1万1千484円(概算)も年金を損していることになる。物価上昇と同じように賃金も上がる現役世帯であれば生活水準を保てるが、年金と貯蓄で生活する高齢者にとっては大打撃だ。■年金支給額は上がっても、物価上昇には追いつけず、年間3万4千140円の負担増に!その高齢者に追いうちをかけるのが介護保険だと、生活経済ジャーナリストの柏木理佳さんが語る。「2000年度に始まった介護事業ですが、第1号被保険者(65歳以上)の介護保険料の基準額は、全国平均で月2千911円から、現在は6千14円と倍増しています。先日、毎年改定されている40?64歳の介護保険料が、2024年度には6千276円と過去最高になると推計されました。3年に1度見直される65歳以上の介護保険料改定は、今年です。64歳以下と同額だと仮定すると、月の基準額が262円増額されることになります」一方、日々の買い物では、いまだに物価の上昇を実感するばかり。「一度始まったインフレは、そう簡単に収まらない」(経済評論家)ようだ。ファイナンシャルプランナーの内山貴博さんが、昨年4月の総務省「家計調査」をもとに、年金改定が行われる今年4月以降の支出額を試算する。「65歳以上の夫婦(2人以上)世帯の消費支出は月25万6千185円です。そこから物価上昇の影響を受けにくい住居費を差し引くと24万275円に。前年の消費者物価指数の上昇率3.2%が今後も続くと仮定すると、昨年4月と同じ買い物をした場合、今年4月の支出は7千689円増える計算となります」ここに、マクロ経済スライドによって抑制された年金額957円と、来年度の新たな介護保険料の予想増額約200円をプラスすると、8千846円の負担増に。一方、年金は6千1円増額されるので、その差額は2千845円。つまり年金支給額が上がっても、物価上昇に追いつけず、月2千845円、年間3万4千140円も負担増となる結果になった。年金生活者の自己防衛策としては「もはや働いて収入を得ることと、節約くらいしかありません」(柏木さん)という。なかでも支出において大きな割合を占める食費がポイントとなると、柏木さんは語る。「第一生命経済研究所のレポートでは、2022年9月から2023年8月までの1年間のエンゲル係数が29%となり、1980年以来の過去最高水準だと報告されています」エンゲル係数とは家計の消費支出に占める、外食なども含めた食料費の割合だ。「過去最高となったのは、食料品の価格が高騰していることが大きな要因でしょう。さらに映画館に行くのをやめてサブスクの動画サービスを利用したり、旅行の回数を減らしたり、趣味のお金を節約したことも要因と考えます。みなさん、食費以外、削れるところは削ってしまっているのではないでしょうか」■健康を害さずに食費を削る節約術8カ条で、実質年金増額を乗り越えようだからこそ、さらなる節約となれば、支出の3割近くを占める食費に手をつけるしかない。健康を害さずに食費を削る節約術を柏木さんと内山さんに解説してもらおう。【1】セール品を冷凍保存「SDGsの観点から、イギリスでは食材の冷凍保存を政府が推奨しています。安売りの肉類、魚、野菜などがあれば多めに買って、冷凍保存しておくといいでしょう」(柏木さん)また、横浜市の調査では1人当たり年間1万8千円の食品ロスがあると報告されている。 「食材を無駄にしないことが、求められます」(柏木さん)【2】ドラッグストアを積極利用「基本的にドラッグストアは薬や生活用品で利益が出せるので、食料品やお菓子、冷凍食品などを非常に安く提供しているケースが多くあります」(柏木さん)【3】米や味噌はふるさと納税自治体に寄付をする代わりに、寄付額から2千円分を引いた税額が控除され、返礼品を楽しめるふるさと納税。「その返礼品は、日持ちする食材を選ぶと食費の節約に。私の場合、東北のブランド米15kg1万5千円、味噌半年~1年分5千円、鹿児島の焼き豚180g×3個1万円などを利用しました」(柏木さん)【4】アプリを駆使「多くの人がスマホを持っているのだから、家計簿アプリやチラシアプリを利用してほしいです。家計簿アプリは入力も簡単で、食費にどのくらいかかったのか、仕分けして計算してくれます。チラシアプリを利用すれば、登録した生活圏のスーパーなどの特売品や、特売チラシの比較機能などで、商品ごとの地域最安値がわかったりします」(柏木さん)【5】急きょ必要な品はコンビニで定価販売の多いコンビニよりも、安売りで品数の多いスーパーを利用したくなるが……。「スーパーは店舗が広く、レジで並ぶ時間でレジ前の割引商品に手を出したりするなど、予定外の買い物をしてしまいがちです。明確に欲しいものがあれば、コンビニのほうが結果的に節約できることも多いのです」(内山さん)【6】割引に目を奪われないスーパーなどでは、1把100円のにらを、2把180円で割引販売しているケースを見かける。「たくさん食べるなら単価の安いほうを選ぶべきですが、余らせるリスクがあるなら、多少割高でも1把を買うべきです」(内山さん)日々の細かい節約で、“実質年金減額”を乗り越えよう。
2024年02月01日皆さんは、お金のことで悩んだ経験はありますか?今回は「年金の支払いを無視し続けた主婦」にまつわる物語とその感想を紹介します。※この物語はフィクションです。(CoordiSnap編集部)イラスト:あしたのLaw〜スカッとする漫画動画〜投資を始める主人公は夫と娘と暮らす主婦です。あるとき投資を始め、まとまった収入を得るようになりました。すると夫の扶養から外れ、国民年金の支払い義務が生じることに…。しかし主人公は、年金を支払うのは無駄だと考え、支払わずにいたのです。その後、何度も催告書や電話での督促がありますが「絶対に払わないんだから!」と無視を続けた主人公。ついには最終催告状と書かれた郵便が届きますが、それも破り捨ててしまい…。電話でも督促が…出典:あしたのLaw〜スカッとする漫画動画〜その後、電話で再度督促が来るも、主人公は支払いを拒否しました。すると後日、職員が家に訪問し、主人公は財産の差し押さえを通告されたのです。職員によって、年金の重要性を説かれた主人公は自分の行いを反省するのでした。読者の感想何度も催告がきているにもかかわらず、無視し続けた主人公に衝撃を受けました。取り返しがつかなくなる前に自分の間違いに気づいてほしかったです…。(20代/女性)支払い義務を無駄と考えて、催告書や督促の電話も無視するなんて呆れてしまいました。家族がこんなことをしていたら、がっかりしてしまうでしょうね…。(30代/女性)
2024年01月29日確定拠出年金制度の専門知識の啓発活動を行っている一般社団法人確定拠出年金診断協会(所在地:東京都千代田区、代表理事:分部 彰吾)は、確定拠出年金の制度が複雑で正しく理解していない加入者が多いことや、加入者をフォローする専門家が少ないことが問題となっていることを受け、確定拠出年金制度の専門家育成セミナーを2024年1月30日(火)に東京都港区にて開催します。セミナーの様子【112万人の年金が運用されず手数料だけ支払い】企業が掛け金を払い、従業員が運用する企業型確定拠出年金で、約112万人分の年金資産総額2,800億円が放置された状態です(注1)。原因は転職や退職の際に企業年金の移換手続きを忘れて放置されていることです。移換手続きを6カ月以内にしないと、現金の状態で管理され、年金資産を増やせず、引き出すこともできなくなります。年金資産は塩漬けにされるだけでなく、移管時に4,348円、以後の管理に毎月52円の手数料がかかるため、放置していると目減りしていきます。企業型確定拠出年金は加入者が増加している一方、加入内容について誰に聞いたらいいかわからない、年金資産をどの運用商品で運用しているか理解していない、専門用語が多くてわからないなど、周りに専門家がいないため自身の年金資産が放置状態になる問題が起きています。(注1) 2023年3月末時点 令和4年度国民年金基金連合会業務報告書より【1年間で2,000名以上の方がセミナーへ参加】一般社団法人確定拠出年金診断協会では、確定拠出年金制度の専門知識や診断プロセスを習得する確定拠出年金診断士の認定・育成を行い、確定拠出年金の加入者に対し、現状の把握と商品知識、資産運用知識をお伝えする専門家を増やしています。当協会は確定拠出年金の制度と活用方法・運用方法を正しく理解し、確定拠出年金から始まる金融サービスを通じて、老後のリスクへの適切な対策をアドバイスする専門家の資格取得を支援するセミナーを実施しています。2022年10月11日からリスク対策セミナーを計50回開催してきました。最も参加人数の多いときで約200名の方に参加いただき、これまでの累計2,000人以上の方にご参加いただいています。約1年間で確定拠出年金診断士の取得者数は400名を超えています。参加者の業種は金融機関・不動産業の方が中心になります。【老後資金2,000万円問題などを解消する一助に】<セミナー参加者の声>保険・金融業50代女性「相談者から資産運用やお金の相談ができる先生と見られるようになりました。そして自信をもって確定拠出年金のアドバイスができるようになりました」保険・金融業40代男性「確定拠出年金のことを詳しくわかっていなかったと気づきました。確定拠出年金を詳しく理解することにより質問を多く受けるようになり、より中立で公平なアドバイスが出来るようになりました」<代表理事の声>「確定拠出年金は厚生労働省が推進している資産運用の方法です。正しい活用法をアドバイスできる確定拠出年金診断士が活躍することで社会問題になっている日本の老後資金2,000万円問題などを解消する一助になると思っています。」代表理事 分部 彰吾【確定拠出年金制度の専門家育成セミナー 概要】日時 :2024年1月30日(火)開催時間:14:00~15:30所在地 :〒108-0074 東京都港区高輪3-23-17品川センタービルディング 1F・B1F(受付1F)AP品川アネックス(港区 品川駅 高輪口)【会社概要】会社名 : 一般社団法人確定拠出年金診断協会代表 : 代表理事 分部 彰吾本社 : 〒102-0074 東京都千代田区九段南1-5-6 りそな九段ビル5階事業内容: 金融教育業電話番号: 03-6869-9870URL : 詳細はこちら プレスリリース提供元:@Press
2024年01月16日「今後、年金だけで悠々自適に暮らせる高齢者は減少します。さらに実質的に年金額も目減りしていきます。そこで高齢者になっても稼いでいくことになるわけですが、住民税が『課税』か『非課税』をふまえて、どこまで稼ぐか、しっかり頭にいれることが重要です」そう語るのは、「お金と福祉の勉強会」代表の太田哲二さん。住民税非課税世帯(以下、非課税世帯)とは、所得に応じて負担する住民税がかからず、各種控除を引くと「0」になる制度があり、その条件を満たした世帯のこと。年金のみで生活している65歳以上の夫婦が非課税世帯になるのは、東京都の場合で年金収入が211万円以下(表1)。これがたとえ1万円でも増えて212万円になると、住民税がかかるうえ、社会保険料(国民健康保険料+介護保険料※75歳以上は、国民健康保険料は後期)の負担が増え、手取り額が211万円より10万円ほど少なくなる逆転現象が生じる。これがいわゆる『211万円の壁』。なお配偶者の年金収入も非課税レベルの収入であることが前提だ。ちなみに、住民税課税所得になる所得の基準は自治体によって違い、東京都区部など大都市部では「211万円」だが、県庁所在地など比較的おおきな年では「209万円」その他の市町村で「193万円」がそれぞれ壁となる。国民基礎調査(2022年)によると、60代で20%弱、70代で35%前後、80代で40%超が非課税世帯だという。非課税世帯では恩恵も少なくない。「“新たな経済対策”で、非課税世帯に7万円の給付を行われますが、コロナ対策でも1世帯10万円の給付金が支給されるなど政府による給付金が手厚いなど優遇措置があります。医療費が高額になったときの高額療養費制度では、70歳以上で月の自己負担上限額が、課税世帯でもっと所得が低い場合では5万7600円ですが、非課税世帯は最大1万5000円です」ほかにも、NHKの受信料を申請すれば免除されたり、自治体によっては各種補助(インフルエンザの予防接種の無料化、電車やバスが乗り放題など)などの対象になったりするという。今後は年金収入だけで暮らすことは難しくなり、高齢者でも働くことが求められている。しかも、シニアが働く環境も徐々にだが整ってきている。「実は働いた場合に稼いだ給与は年金収入との控除額が異なるため、「給与+年金」の年金生活者では住民税非課税限度額が違います。ところが年金収入だけの『211万円の壁』だけしか示されておらず、『年金+給与』での非課税の範囲内がわからない人が多いのです。年金が少ないからと頑張って働いたら、知らないうちに非課税世帯の対象から外れてしまうことも。妻が特別養護老人ホームに入所した知人は、介護費用を捻出しようと一生懸命働いた結果、住民税非課税の条件から外れてしまい、公的介護保健の高額介護サービスの負担上限額が増え、年間100万円の負担増になったと嘆いていました」そこで、太田さんは、高齢者夫婦「年金+給与」(1級地)で試算。その結果が表2の通り。「たとえば、72歳の夫の年金収入が155万円で、同い年の妻の年金が70万円の場合、夫は年121万円(月9万2500円)まで働くことができます」最後に太田さんがこう語る。「年金だけでは老後生活が不安だからと、なんとか年金を増やしたり、定年後も働いて預貯金を増やそうとしたりしますが、非課税世帯かどうかで、家計への負担が大きく違ってきます。収入を増やすために働くことは大切なことですが、それによって「負担が増える」ことがあることだけはしっかり頭にとどめておいてください」【PROFILE】太田哲二(おおたてつじ)昭和23年名古屋市に生まれる。中央大学法学部卒業。同大学院修士課程修了。杉並区議会議員(10期)OB。「お金と福祉の勉強会」代表。個々人の具体的相談活動に従事。近著に『やっとわかった!「年金+給与」の賢いもらい方』(中央経済社)がある。
2023年12月22日「11月21日、厚生労働省の社会保障審議会の年金部会でモデル世帯の見直しについて言及されました。例年、1月に発表される、4月の年金改定額や、“年金の健康診断”とも言われ、厚労省が5年に1度発表している『財政検証』でも、このモデル世帯が基準となっています。ところが、その設定は“平均的な賃金の会社員で40年、1度も欠かさず年金に加入してきた夫と、専業主婦の妻”という、現在では該当者が少ないと思われる世帯。多様な働き方に合わせたモデルを提示するべきというのが、見直しの根拠です」(社会保障担当記者)今後は現状のモデル世帯に加え、共働き世帯や、単身者などのモデル年金も提示していく見込みだ。早ければ、来春の年金の改定のタイミングや、2024年の財政検証で、複数のモデル年金が提示される可能性がある。「さまざまなモデルを示すこと自体は必要なことでしょう。しかし、既存のモデル世帯の見直しは、『所得代替率』の“50%ルール”の見直しにつながるという懸念があります」(前出・社会保障担当記者)■年金の上昇を抑制する非情な仕組み「マクロ経済スライド」年金博士こと社会保険労務士の北村庄吾さんはこう解説する。「厚労省は『所得代替率』を年金支給の指標にしています。これは現役男子の平均手取り月給に対する、モデル世帯の年金額の割合。最新の財政検証(2019年)では、現役男子の平均手取り月給35万7千円に対して、モデル世帯の年金受給額は月22万円だったので、所得代替率は61.7%となりました」本来、年金の受給額は、物価や賃金が上がれば、同じように増えていく仕組みになっていた。このことで、インフレから年金受給者の生活を守ってきたのだ。しかし、少子高齢化による社会保障費の増大を受けて、20 04年に年金額の上昇を抑制する仕組みが作られた。「マクロ経済スライド」だ。「物価や賃金が上昇しても、その上昇率から“スライド調整率”を引いた分しか、年金受給額が上がらないようになりました。しかも、賃金や物価が上がらず、調整率が引かれなかった場合、次年度以降に持ち越しされる“キャリーオーバー”という制度も、後に追加されたのです」(北村さん)たとえば今年4月からの年金受給額は、物価や賃金の上昇をうけて、本来2.8%上昇するはずだったが、マクロ経済スライドの発動を受けて、2.2%の上昇に抑制された(67歳以下の場合)。スライド調整率0.3ポイントと、キャリーオーバー分の0.3ポイントを足した0.6ポイントが差し引かれたのだ。「年金の額自体は増えますが、“価値”が目減りしていくことになります。しかし、これが続けば、年度を重ねるごとに、賃金や物価の上昇率と、年金額の上昇率の差が広がっていき、所得代替率は際限なく下がっていくことに。そこで、所得代替率は50%を下回らないようにすることが定められています」(北村さん)「国民年金法等の一部を改正する法律」では、モデル世帯の定義とともに、《(所得代替率が)百分の五十を上回ることとなるような給付水準を将来にわたり確保するものとする》と明文化されている。所得代替率50%の年金額は、2019年の賃金や物価の水準だと、月17万8500円となる。しかし、モデル世帯の見直しは現状の所得代替率“50%ルール”の変更につながる懸念がある。経済評論家の加谷珪一さんは、こう語る。「シングル世帯、共働き世帯、ひとり親世帯などさまざまなケースを想定することは歓迎すべきことです。しかし、こうした議論をする際、新たな要素を加えたがる官僚はいるものです」鹿児島大学教授で社会保障法が専門の伊藤周平さんも危惧する。「年金受給額に関して恵まれている従来のモデル世帯が、もっとも所得代替率が高く出ます。さまざまなケースを想定することになれば、所得代替率が50%を下回る試算結果が出てくることでしょう。そもそも少子高齢化のなか年金制度を維持するには、年金保険料の値上げ、所得代替率の引き下げなど、方法は限られる。前者は反発されやすいですが、所得代替率は理解が進んでいないため、変更しやすいという見方はできます」現状のモデル世帯をもとにした所得代替率は今の社会にそぐわないとして、見直しの俎上に載せられる可能性がある。■所得代替率46%で“実質”年金は年66万円目減り所得代替率50%ルールが撤廃された場合、年金額はいくらまで下げられるのだろうか。ヒントは前回の財政検証にある。「財政検証の最悪のシナリオでは、所得代替率が46.1%と、将来的に50%を割り込んでいる試算結果も明示されています。国は、現実的な数字として捉えていると思います」(北村さん)「同シナリオでは、年金積立金が枯渇した場合は所得代替率38〜36%まで下がるとしていますが、生活が困難になるため、そこまで下げることはないでしょう。所得代替率の下限を変更するとすれば、45%前後となるのではないでしょうか」(加谷さん)財政検証で提示された所得代替率46.1%になるシナリオを、2019年時点の賃金と物価水準で見てみよう。2024年には所得代替率は60%に、2043年には50%となり、受給額も月18万円を割り込む。2052年には月16万4600円と、2019年の月22万円よりも月間で5万5400円、年間で約66万円も減額されることになる。国民年金のみの人は、最終的に月1万6300円、年約20万円の減額となる。モデル世帯の見直しに便乗した年金減額に注意しよう!
2023年12月14日皆さんは、年金の支払いに困ったことはありますか?今回は「年金を滞納し続けた妻の話」と感想を紹介します。※この物語はフィクションです。イラスト:あしたのLaw~スカッと法律漫画~年金を支払いたくない夫と共働きをしながら娘を育てる主人公。ある日、パートとデイトレードで300万円以上稼ぐようになった主人公は夫の扶養から外れました。そして年金の支払い義務が生じてしまったのです。年金の支払いをしたくない主人公は、請求書を破り捨てました。その後、督促状も無視していると、ポストにある通知が届いて…。最終催告状が届いた出典:あしたのLaw~スカッと法律漫画~そんなある日、主人公の家に差し押さえの執行官がやってきました。年金の納付の催告を無視し続けた結果、財産差し押さえが決まったと言われ…。これに夫は「まだ払ってなかったのか!?」と大激怒。そして執行官が言い放った、差押え内容に絶句することになるのでした。読者の感想どんどん高くなる税金に悩む気持ちがわかります。しかし年金を支払わなかった主人公には驚きました…。(20代/女性)差押予告通知書が来ても無視する主人公に驚きでした。年金は払わないとこうなるのか…と改めて勉強になりました。(20代/女性)※本文中の画像は投稿主様より掲載許諾をいただいています。※作者名含む記事内の情報は、記事作成時点でのものになります。※実際に募集した感想をもとに記事化しています。(CoordiSnap編集部)
2023年12月03日「10月24日の厚労大臣の諮問機関である社会保障審議会で、現在40年間となっている国民年金の保険料の支払い期間を、『65歳までの45年間に延長すべきだ』という意見が出されました。これには多数の委員が賛成しています。過去、同会での議論はおおむね法制化しているので、『納付期間が45年間になる』流れと思われます」こう話すのは年金制度に詳しい社会保険労務士の石田周平さんだ。自営業の人などが加入する国民年金(老齢基礎年金)制度は、現在、20歳から60歳までの40年間が支払い期間となっている。すべて支払うと満額となり、年79万5000円を65歳から受給できる。現在の保険料は月1万6520円だ。「年間20万円ほどの保険料をさらに5年払わないといけないことになります。単身者なら約100万円、夫婦2人なら、およそ200万円もの負担増になります」(石田さん)現在、社会保障審議会で検討されているのは、2025年度の年金制度の改正だ。法が成立しすぐに施行されたとしても、引き上げが始まるのは2025年度以降となる。さらに、引き上げは段階的に行われるとみられる。たとえば、2026年に60歳を迎える人から納付期間を61歳までに引き上げ、次は2028年に60歳を迎える人から62歳までに引き上げるといった具合だ。納付期間が完全に65歳に引き上げられるのは、早くても2030年以降、現在50代前半よりも下の年齢の人が対象になると考えられる。■納付期間の延長は70歳受給開始の布石か「納付期間の延長は家計にとって大きな負担になりますが、そのぶん受給できる年金が増えるというメリットもあります。しかし、納付期間の延長は、現在65歳が基本とされている年金の受給開始年齢の将来的な引き上げにつながる懸念があります。これは国民年金に限った話ではなく、会社員などを対象にした厚生年金も例外ではありません」(石田さん)以前は年金の受給開始年齢は60歳だったが、法改正により段階的に引き上げられて65歳となった。経済部記者はこう指摘する。「それに伴って、60歳以上の人も、本人が希望すれば再雇用することを企業に義務付ける法律が作られました。現在は、65歳までが“義務”で、70歳までが“努力義務”になっていますが、将来的には70歳までの雇用が義務付けられ、年金の受給開始年齢も70歳に引き上げられる可能性が十分あります」仮に、保険料の納付期間が65歳までに引き上げられ、受給開始年齢も70歳になった場合、私たちの老後はどうなるのか。ファイナンシャルプランナーの中村薫さんに解説してもらった。同年齢の夫婦のケースで、厚生労働省の「令和4年簡易生命表」の2022年の70歳からの平均余命から、妻は90歳、夫は86歳まで生きると仮定した。まずは国民年金の場合、現行制度下で、それぞれ満額の79万5000円を受給する夫婦は、生涯で総額3816万円の年金を受給する計算になる。保険料の納付期間が5年増えると、夫婦2人で200万円ほどの負担増になるのは前述のとおり。「現在の国民年金の満額は79万5000円ですが、5年分保険料を上乗せして納めることで、9万9375円が増額され、年額89万4375円を受給できることになります」(中村さん、以下同)夫婦2人だと約20万円の増額で、年間の受給額は約179万円。「保険料200万円に対して、年間20万円の増額ですから、約10年、年金を受給すれば、延長で払った保険料を受給額が上回ることに」しかし、年金の受給開始年齢が70歳に引き上げられた場合、夫婦2人の生涯の受給総額は約3400万円と、現行制度下よりも約416万円も減ってしまう。さらに、保険料が200万円も増えていることも忘れてはならない。次に、厚生年金で考えてみよう。65歳まで平均年収が500万円で働いた会社員の夫と、専業主婦の妻(第三号被保険者)の場合、現行の制度下だと、夫と妻の国民年金に、厚生年金の報酬比例部分115万円を加えた274万円が65歳から受給できる(金額は概算、以下同)。夫が亡くなってからは、妻は自分の国民年金と遺族厚生年金を合わせた年約166万円が受給できる。夫婦2人の生涯の受給総額は約6千691万円だ。「現状でも、60歳以降も会社員として働く場合、65歳までは厚生年金保険料を支払っています。法改正によって国民年金を65歳まで支払うことになっても、会社員が支払う保険料は変わりません」受給開始年齢が70歳に引き上げられた場合(国民年金の満額も引き上げられたと仮定)、夫婦2人の生涯の受給総額は約5699万円となる。現行制度より992万円もの減少になってしまう。「現在行われている社会保障審議会では受給開始年齢の引き上げの話は出ていない」(中村さん)というから、直ちに引き上げられる心配はなさそうだ。しかし、過去の引き上げの例を見るに、いま50代の人は将来の“年金改悪”に備える必要がある。
2023年11月29日ビートたけし(76)が、11月19日放送の『ビートたけしのTVタックル』(テレビ朝日系)で、自身の年金額を明かした。先日初めて自身の年金額を見たというたけし。「こうやってビッて剥がして見たけど、ひと月6万円だったよ。倒れたもん、めまいがして」と、その金額の少なさに驚愕したという。たけしは、厚生年金などには加入しておらず、国民年金のみに入っているようだ。国民年金は、所得に関わらず一定の保険料を毎月収めることで将来年金を受け取ることができる制度。令和5年度の保険料は、1カ月あたり16,520円だ。20歳から60歳になるまでの40年間で、保険料を払った期間に応じて65歳から基礎年金を受け取ることができる。40年すべて納めた際の、満額の老齢基礎年金の金額は月額66,250円だ(令和5年度、67歳以下の場合)。会社員の場合は、この基礎年金に厚生年金を上乗せしてもらうことができる。「たけしさんは、今も現役で働いておられますし、それなりの貯えもあるでしょうから、生活にはこまらないでしょう。しかし、個人事業主やフリーランス、パート、専業主婦(夫)など、実際に基礎年金しかもらえない人も多いのです。さすがにこの金額だけでは暮らしていけないという方が多いのではないでしょうか」(全国紙記者)たけしの告白で、改めて基礎年金の給付額の少なさに驚いた人が続出。ネット上では、将来を憂う声が相次いだ。《たけし氏のように資産の無い方は即死かな…》《ビートたけしさんですら年金は月6万円なのかマジで若い時から貯金しておかないと老後餓死してまうやん…》《六万円だよ国民年金生きていける最低保証額?まさかだよね〜》また、この基礎年金で受け取れる金額は、この先さらに下がる可能性があるという。「年金は、物価が上がれば給付額も増えます。しかし、少子高齢化で年金財政が厳しくなるなか、’04年から年金の増額分を実際の物価上昇分よりも抑制するマクロ経済スライドという制度が導入されました。日経新聞は、’24年度は2年連続でこの制度が発動することになる見通しだと報じています。年金の給付額自体は増えますが、物価の伸びほどには増えないため実質的には減額することに。現状、この給付抑制は’46年度まで続き、基礎年金の給付水準は将来的に3~4割低下するといわれています」(前出・全国紙記者)自身の年金額の見込みは、「ねんきんネット」で確認できる。年金が少ない場合は、受給開始を遅らせることで月々の年金額を増やす「繰り下げ受給」や、就労期間の延長、貯蓄などで自衛するしかないだろうーー。
2023年11月21日「今回、政府が始める新たな助成金制度は、老後に備えた保障を厚くできる厚生年金に加入するきっかけとなるかもしれません。とくに、これまで“働きたいけど社会保険料(厚生年金保険料、健康保険料)がかかるから労働時間を抑えてきた”という人にとっては、働く時間や収入を増やして、将来の年金受給額も増やせるチャンスだといえるでしょう」このように語るのは、年金制度に詳しい「よこはまライフプランニング」代表で、特定社会保険労務士の井内義典さんだ。9月27日、政府は「年収の壁・支援強化パッケージ」を発表した。一定の条件で、一定の年収をこえると、社会保険料などの負担が発生し、手取り額が減ってしまういわゆる「年収の壁」の問題。労働者不足が進むなか、年収の壁を理由に就業調整している人がいる現状を解消しようと、政府が対応策を講じたのだ。それでは今回、政府が対応に乗り出した「106万円の壁」と「130万円の壁」のふたつの壁がどういうものか、そして政府の対応策をみていこう。■「年収106万円の壁」を超えると助成金まず、「年収106万円」の壁だが、下記の要件を満たしている人は、社会保険に加入しなくてはならない。(1)従業員101人以上(2024年10月からは51人以上)の企業(2)賃金月額8万8千円(年収約106万円)以上(3)週の所定労働時間が20時間以上(4)雇用期間の見込みが2カ月超(5)学生ではない年収106万円を超えて社会保険に加入すると、保険料が発生するために手取り額が減少し、およそ年収125万円を超えるまでは、手取り額は回復しない。これが“働き控え”の原因のひとつと考えられている。そこで政府は、労働者の収入を増額させることにより、新たに社会保険に加入しても、それまでと手取り額が減らないような対策を講じた事業者に対して、労働者1人あたり最長3年間、最大50万円の助成金を支給することにした。単純に時給を上げたり、「社会保険適用促進手当」を出したり、週の所定労働時間を増やしたり、それらを組み合わせたり、収入の増額のさせ方は複数の選択肢が提示されている。一方、年収が130万円以上の場合、社会保険の扶養から外れ、一定の勤務時間等により、自分で社会保険に加入しなければならない(130万円の壁)。こちらは、一時的な増収であれば、連続2年までは扶養に留まれるという措置で対応するという。ただし、事業主が一時的な増収と証明し、扶養している配偶者が加入している健康保険組合などが認める必要がある。■改めて老後の生き方を検討するチャンス壁を超えると、どのようなメリットがあるのだろうか。厚生年金に加入した場合、将来、基礎年金に加え、加入した期間(働いていた期間)や当時の報酬額で決まる「報酬比例部分」を受給することができるという大きなメリットがある。収入と加入期間によって、どれだけ年金受給額が増えるかを、井内さんの協力のもと、本誌が試算した。たとえば、パート収入が月に11万円の人が厚生年金に5年加入した場合、65歳から受け取る年金額は、基礎年金(国民年金)だけの人と比べると、月に2828円、年間で3万3936円も増額される。仮に90歳まで生きた場合には、84万8400円も差が出る計算だ。助成金がある間は、手取り額が減少することなく、厚生年金に加入することができるが、心配なのは3年程度とみられている時限措置が終了した後だ。「助成金制度が終わったら、再び社会保険の扶養に入れる年収まで戻す人が出るのではないかという懸念があります。政府は早急に、社会保険加入を継続させるための新制度を考える必要もあります」厚生年金は会社が保険料の半分を負担するので、年収220万円くらいまでは、国民年金の保険料(1万6520円、2023年度)よりも自己負担額は少なくなることを念頭に置き、自分にとって最適な働き方を考えてみよう。「10月から始まる助成金制度の導入を機に、将来の年金額がどれぐらい違ってくるのか。自分にとってのメリット、デメリットを考えるきっかけにしてほしいですね」【表解説について】金額は2023年度時点の概算。小数点以下は四捨五入。税・社会保険料については、健康保険は「協会けんぽ東京支部」の被保険者負担分の保険料率(5.0%)、雇用保険は令和5 年4 月~令和6 年3 月までの保険料率(0.6%)で計算。介護保険料は0.91%、厚生年金保険料は9.15%の保険料で計算。税については社会保険料の控除も行われている。住民税の均等割額、復興特別所得税などは省略。
2023年09月29日みなさんは節約していることはありますか?今回は「年金の支払いを無視し続けた節約女の末路」を紹介します。イラスト:あしたのLaw〜スカッと法律漫画〜国民の義務を無視パートとして働く主人公はお金の心配が尽きず、投資を始めることにしました。投資で稼げるようになった主人公は夫の扶養から外れ…。国民年金を自分で納めることになりました。しかし「年金を払うのなんて無駄」と考えた主人公は一切払おうとしません。催告状や電話の督促がきても無視を続け、夫の忠告も聞きませんでした。投資が好調出典:あしたのLaw〜スカッと法律漫画〜投資のコツを掴みパートを辞めた主人公でしたが、いまだに年金を払うつもりは一切ありません。しかし、主人公家族が旅行に出ようとしたある日、日本年金機構の職員が、財産を差し押さえにやってきました。「年金は損するだけだから、私は自力でどうにかする!」言う主人公でしたが、再三の催告を無視し続けた主人公の言い訳は通用せず…。全財産を失うことになった主人公は、夫から離婚を言い渡されてしまうのでした…。義務を果たさなかった結果主人公の安易な考えが、取り返しのつかない結果となりましたね。以上「年金の支払いを無視し続けた節約女の末路」を紹介しました。※本文中の画像は投稿主様より掲載許諾をいただいています。※作者名含む記事内の情報は、記事作成時点でのものになります。
2023年08月02日皆さんはお金にまつわる悩みはありますか?今回は年金の支払いを無視し続けた女性のエピソードを紹介します!イラスト:あしたのLaw〜スカッと法律漫画〜夫の扶養からはずれる夫の扶養内でパートとして働く主人公。しかし夫と自分のパートの収入だけでは贅沢な生活はできず、投資に挑戦することにしました。主人公の投資はうまくいき、まとまったお金を稼げるようになったので、夫の扶養から外れることに…。年金の支払いを無視出典:あしたのLaw〜スカッと法律漫画〜「年金は損」「払うだけ無駄」と言い、年金の支払いを無視していた主人公。そして夫の注意も聞かず、娘の世話まで疎かにし投資に熱中していました。その後も催告書や電話での督促がありましたが、主人公は支払いに一切応じず強気な態度を貫いていました。するとついに自宅に職員がやってきて、財産の差し押さえを報告。主人公のもとには財産の差し押さえ予告通知が届いていましたが、それさえも無視していたのです。こうして主人公はすべての財産を差し押さえられ、夫からは離婚を言い渡されるのでした。すべて失った年金の支払いを無視し続けた主人公。その結果、財産も家族も失い自業自得な末路を辿ったエピソードでした。※本文中の画像は投稿主様より掲載許諾をいただいています。※作者名含む記事内の情報は、記事作成時点でのものになります。
2023年07月11日大人気マンガシリーズ、あしたのLawさんの「年金の支払いを無視し続けた節約女の末路」をご紹介します。夫の収入と自分の収入があっても足りないと感じた主人公の節子は、投資に挑戦することに。コツコツ仕事をして稼ぐよりも楽に稼げることを知り、仕事を辞めて投資で得た収入での生活を楽しむようになります。そんなある日、収入が膨れた節子は夫の扶養から外れることになって…。予想外の事態が発生出典:あしたのLaw年金の力を借りなくても生きていける!出典:あしたのLawところが…。出典:あしたのLaw年金の未払い通知が度々来るが…。出典:あしたのLaw年金を払う気がない節子出典:あしたのLaw催告書や電話も無視し続けて…。出典:あしたのLaw一応調べてみたが、気持ちは変わらず出典:あしたのLawそんなある日…。出典:あしたのLaw仕事を辞める経緯を同僚に話す出典:あしたのLaw堅実的な同僚を見下し、退職した出典:あしたのLawデイトレードでの収入が膨れた節子は夫の扶養から外れることになり、国民年金の支払い義務が生じました。しかし、今の収入に自信を持った節子は年金を払う気はありません。そんなある日、催告を無視し続けた節子のもとに訪れたのは…。(イラスト/あしたのLaw)※本文中の画像は投稿主様より掲載許諾をいただいています。※作者名含む記事内の情報は、記事作成時点でのものになります。
2023年06月14日皆さんは、年金について考えたことはありますか?今回は「年金の支払いを無視し続けた節約女」を紹介します。年金の支払いを無視し続けた節約女主人公は、ローンに光熱費に…とお金に追われる生活をしていました。そこで、投資を始めた主人公。投資で順調に稼げるようになり、夫の扶養から外れることに…。すると、国民年金の支払い義務が生じて…!?国民年金の支払い義務が発生…出典:あしたのLawしかし、主人公は「こんなの冗談じゃない!」と無視することにします。その後も年金未払いの通知が来るのですが無視を続ける主人公…。とうとう催告状や電話での督促が来たのですが、それらもすべて拒否。しかしその後、年金の未納により財産のすべてを差し押さえられてしまい言い訳が通用しない事態に陥った主人公なのでした。年金の支払いは国民の義務!年金未納で催促状がきてもブレずに支払わなかった主人公。年金の支払いが経済的に困難な場合は「免除」または「納付猶予」などの申請も可能なので活用したいものですね。※本文中の画像は投稿主様より掲載許諾をいただいています。※作者名含む記事内の情報は、記事作成時点でのものになります。
2023年06月11日大人気マンガシリーズ、あしたのLawさんの「年金の支払いを無視し続けた節約女の末路」をご紹介します。みなさんはきちんと年金を払っていますか?今回は、デイトレードを始めて人生イージーモードと錯覚してしまい、大変な目にあった女性のお話です。私は成竹節子出典:あしたのLaw金に必死な人間を見下す節子出典:あしたのLaw得意げにパート仲間に話す出典:あしたのLaw1年前の節子は…出典:あしたのLawパート中に小耳にはさんだデイトレードの話出典:あしたのLaw高所得者のマウント合戦に感化されて出典:あしたのLaw自分も我慢、子どもにも我慢させる日々出典:あしたのLaw一念発起して勉強を始めた出典:あしたのLaw年収300万円稼げるようになった出典:あしたのLaw未だに金の奴隷の同僚を憐れむ出典:あしたのLaw夫の収入と自分の収入があっても足りないと感じた節子は、投資に挑戦することに。コツコツ仕事をして稼ぐよりも楽に稼げることを知り、仕事を辞めて投資で得た収入での生活を楽しむようになります。そんなある日、収入が膨れた節子は夫の扶養から外れることになって…。(イラスト/あしたのLaw)※本文中の画像は投稿主様より掲載許諾をいただいています。※作者名含む記事内の情報は、記事作成時点でのものになります。※YouTube動画 法律監修:ベリーベスト法律事務所
2023年06月06日皆さんは、年金について考えたことはありますか?今回は「年金の支払いを無視し続けた節約女」を紹介します。イラスト:あしたのLaw年金の支払いを無視し続けた節約女主人公は、夫と自分の稼ぎに不満を感じ、投資を始めることに。その結果、投資によって収入は増え、夫の扶養から外れることになります。すると、国民年金の支払い義務が生じました。主人公は、年金など必要ないと考えていて…!?年金の力を借りなくても生きていける!出典:あしたのLawなんと主人公は年金の支払いをしませんでした。その後も年金未払いの通知が来るのですが無視します。とうとう催告状や電話での督促が来たのですが、それらもすべて拒否。そして、デイトレードで稼げるようになったため、パートを辞めてデイトレードを専業にするのでした。投資で稼ぎ続けていた主人公でしたが、ある日年金の未納により財産のすべてを差し押さえられてしまいます。言い訳は通用せず、すべてを失った主人公は涙を流したのでした。ブレずに支払わなかった結果年金未納で催促状がきてもブレずに支払わなかった主人公。その結果すべてを失ってしまい、考えさせられる話ですね。※本文中の画像は投稿主様より掲載許諾をいただいています。※作者名含む記事内の情報は、記事作成時点でのものになります。
2023年05月21日意外と知らない社会的な問題について、ジャーナリストの堀潤さんが解説する連載「堀潤の社会のじかん」。今回のテーマは「フランス年金改革反対デモ」です。日本と似て非なる年金問題と最低賃金状況。1月より、フランスで年金改革に反対するストライキや抗議デモが続いています。この抗議運動は、年金支給開始の年齢を62歳から64歳に引き上げる改革法案が出されてから広がり、3月20日に強行採択された直後には、フランス全土で約110万人がデモに参加しました。日本では、警察官との衝突やパリ市内にあふれる大量のゴミなどの様子が報道されましたが、僕が現地で実際に見たのは、ほとんどが平和的な抗議運動でした。フランスも日本と同様に、高齢化により社会保障費が増大しています。2006年以降、貿易収支は赤字が続いており、稼ぐ力が弱まっています。財政が赤字に転じてしまうのを避けるための対策として、マクロン政権はここ数年、年金改革案を掲げていました。賃金が上がらず生活が苦しいというと、日本と同じ状況に見えますが、全く異なるのは、フランスでは物価変動に合わせて賃金を引き上げる制度があることです。ただ、同じ比率で上がっても、苦しい状態は続きます。さらなる賃上げを政府が決めることができる仕組みがあるので、その権限を使って賃金を上げてほしいと訴えています。それでも、フランスは昨年だけでも最低賃金を3回引き上げており、今年の1月にも引き上げて現在の最低賃金は時給で約1660円。1か月間フルタイムで働けば1709.28ユーロ(約25万円)です。フランスの労働組合(フランス労働総同盟CGT)は、1か月2000ユーロ(約29万円)への引き上げを要求しています。こうしてみると日本がいかに安く働かされているかがよくわかります。日本は社会保障費が上がり、年金受給開始は65歳。物価が高騰しても賃金は変わらず、実質下がり続けています。フランスでは年金受給年齢引き上げについて、お金だけの問題ではなく、豊かに過ごす第二の人生を奪わないでほしいと訴えていました。フランスの労働組合の結成率は日本よりも低く、CGTが中心になり、組合員以外の若者や高齢者、抗議に賛同する人たちが大勢デモに参加していました。「私の権利のために闘っているんです」という言葉がとても印象に残りました。ほり・じゅんジャーナリスト。元NHKアナウンサー。市民ニュースサイト「8bitNews」代表。「GARDEN」CEO。報道・情報番組『堀潤モーニングFLAG』(TOKYO MX月~金曜7:00~8:30)が放送中。※『anan』2023年5月24日号より。写真・小笠原真紀イラスト・五月女ケイ子文・黒瀬朋子(by anan編集部)
2023年05月20日4月分から年金の支給額が増える。そんな報道を見て、支給日を心待ちにしている人は多いだろう。でも、実は年金の“価値”が減っているのは知っているだろうか。「4月から、年金受給額が67歳以下の人は、前年度から2.2%の引き上げ、68歳以上の人は1.9%の引き上げとなります。たとえば67歳以下の夫婦2人のモデル世帯の厚生年金受給額は22万4482円となり、昨年の21万9593円から4889円増えることになります。“増額”のため、思わず喜びを感じてしまいそうですが、実は年金は目減りしていることを知っておかなければなりません」こう語るのは、YouTubeで『年金博士・北村庄吾の年金チャンネル』を運営している、社会保険労務士の北村庄吾さんだ。なぜ年金が増額されたのに、目減りしているというのだろうか。「公的年金のメリットは、インフレリスクがないことでした。68歳以上の人は『物価変動率』、67歳以下の人は『名目賃金変動率』に合わせて年金の支給額が増減する仕組みになっています。つまり、賃金や物価が上昇すれば、年金受給額も上昇する。そうなれば貰う年金の価値は失われず、同じものが買えるのです。ところが年金は賦課方式といって、現役世代が払う年金保険料で、年金生活者の年金を賄うというもの。平均寿命が延びているため、年金生活者の数は増えています。一方、昨年の出生数が80万人を切ったと報じられているように、労働力人口はますます減少していく。このような少子高齢化社会で年金制度を維持するため、2004年に厚生労働省が導入したのが『マクロ経済スライド』という制度です。これは、年金の支給額を実質的に減額させていくものなのです」マクロ経済スライドとは、具体的にどんな制度なのか。「簡単にいうと、年金額の上昇が、物価や賃金の上昇よりも抑制されます。平均余命の伸びや現役世代の減少数から『スライド調整率』を算出し、それを従来の上昇率から差し引いた分しか、年金額を増やさないという仕組みです」■あの手、この手で年金を減らそうとするしかし、長引く不況で物価や賃金の上昇が伸び悩んだため、政府の思惑に反して、マクロ経済スライドはほとんどの年で発動されなかった。物価や賃金の上昇率が低かったり、マイナスだったりした場合は、マクロ経済スライドが発動されない仕組みになっているためだ。「2018年の時点で、マクロ経済スライドが発動されたのは2015年の一度だけという状態でした。そこで、2018年に厚労省が新たに導入したのが、“使わずにあまった調整率を、キャリーオーバーできる”という、ロト6のような仕組みです。つまり、マクロ経済スライドが発動されなかった年の調整率は翌年以降に持ち越され、次に発動するタイミングで、一気に引かれることになったのです」その後、2019年、2020年にマクロ経済スライドが発動。そして今回、昨今から続く物価上昇や賃金上昇によって、3年ぶり4回目のマクロ経済スライド発動となったのだが、しっかりとキャリーオーバー分も引かれている。「今年度のスライド調整率は0.3%と計算されています。さらにキャリーオーバーが2022年度で0.2%、2021年度で0.1%あるので、スライド調整率は合計0.6%ということになるのです」その結果、67歳以下の人は名目賃金変動率の+2.8%から0.6%を差し引いた+2.2%、68歳以上の人の年金額は、物価変動率+2.5%から0.6%を差し引いた+1.9%で改定されることに。「額面では増えるのでわかりにくいですが、年金受給額の増額は物価上昇よりも低く抑えられているので、じつは年金の価値は下がっています。実生活では気づきにくい形で年金を“値下げ”するという、姑息な制度です。しかし、最近の物価上昇は激しいので、今年はマクロ経済スライドの悪影響を実感する年になりそうです」じつは、年金額改定で用いられる物価の変動率は昨年1月から12月の数値をもとに計算されている。たとえば、67歳以下の改定に用いられた名目賃金変動率(+2.8%)は、昨年1~12月の消費者物価指数(+2.5%)と、2~4年度前の実質賃金変動率(+0.3%)から導き出されたもの。今年1月の消費者物価指数の+4.3%は反映されていない。つまり、マクロ経済スライドによる年金額の抑制と、今年に入ってからのさらなる物価の上昇が年金生活者を襲うことになる。67歳以下の人の年金額は2.2%上がったものの、足元の物価の上昇率との差は2.1%まで広がっている。金額にすると、モデル世帯の厚生年金は月4553円、年間にして約5万4000円ぶんも価値が目減りしていることになる。■減額は続く…年金は将来2割減る「受給額が“減る”一方で、2024年には、国民年金の被保険者期間が20歳から65歳まで、厚生年金の被保険者期間が70歳までから75歳までと、保険料の支払いの負担が増える可能性があります」マクロ経済スライドによる年金の減額はいつまで続くのか。「厚労省は、現役の男性の平均手取り月給に対する、モデル世帯の年金額の割合、『所得代替率』を指標にしています。2019年の時点で、平均月給35万7000円に対して所得代替率は61・7%。これが将来的に50%になるとされています。現在の貨幣価値で計算すると、年金受給額は17万8500円。現行よりも2割も年金額が減ってしまう計算です」厚生年金のモデル世帯は、平均的な収入の夫が40年間年金に加入し、妻が40年間専業主婦という比較的恵まれた世帯。多くの人の年金はもっと少ないものになる。「自分で老後の備えを行う必要があります。減税効果のあるiDeCoに加入し、投資信託でインフレリスクにも対応する運用を行うなどの検討をするべきでしょう」国があてにならない以上、自己防衛しか道はないのだ。
2023年03月24日’23年4月から年金の「特例的な繰下げみなし増額制度」(以下、みなし繰下げ)が始まります。そもそも年金受給は原則65歳からですが、’22年4月に繰下げ期間が10年に延長されたため、受給開始は60~75歳から選べることになりました。65歳より遅く受け取る繰り下げでは、ひと月ごとに0.7%増額され、最長10年間の繰り下げでは0.7%×120カ月=84%もの増額が一生続きます。年金の繰り下げには特に申し込みなどは不要で、自分で請求しなければ、繰下げ待機が始まります。そして年金を請求する際、繰り下げるかどうかを最終決定するのです。65歳での年金額が年100万円のAさんが71歳で年金を請求するとき、現在の選択肢は次の2つです。【1】繰り下げる場合65歳から6年間の繰り下げで、71歳から受給が始まります。6年分なので0.7%×72カ月=50.4%の増額となり、年金額は年150万4000円です。【2】さかのぼって一括受給する場合65歳にさかのぼって、本来の年金額を一括で受け取ることもできます。しかし「年金は5年で時効」の法律があるため、5年分は受け取れますが、65歳から66歳になるまでの1年分はもらえません。結果、71歳の請求時には本来の年金額100万円の5年(66~71歳)分の500万円を一括で受け取り、71歳以降は本来の受給額(年100万円)を受け取ります。65歳から66歳になるまでの100万円分は損する仕組みになっているのです。そこで’23年4月に導入されるのがみなし繰下げです。みなし繰下げは70歳以降で年金を請求し、さかのぼって一括受給を選択する場合「請求の5年前に繰り下げていた」とみなされるものです。先のAさんの例で、4月の改正後どうなるかを見ていきましょう。【3】繰り下げる場合改正前と変わりません。71歳から、6年間繰り下げて50.4%増額された年150万4000円を受け取ります。【4】さかのぼって一括受給する場合みなし繰下げが適用されます。71歳で年金請求するAさんは、5年前(66歳)に繰り下げていたとみなされます。繰下げ期間は65歳から66歳になるまでの1年間。年金額は0.7%×12カ月=8.4%増額され、年108万4000円に。請求したときに、それまで受け取っていなかった108万4000円×5年=542万円を一括で受け取り、71歳以降は年108万4000円を受け取ることになります。Aさんが【3】繰り下げる場合と【4】さかのぼって一括受給する場合を比べると、84歳より長生きすると【3】繰り下げのほうが受給総額は多くなります。ですが、元気なうちにまとまった年金額をもらったほうがいいと思う人もいるでしょう。■加給年金の有無がポイント。注意しようたとえば、自営業のBさん(73)は長く働き国民年金を最大限繰り下げようと考えていましたが、入院することに。そこで、【4】のさかのぼって一括受給する方法で年金を請求。5年分を一括で受け取れたので、医療保険がなくても安心して治療できました。また、自営業のCさん(72)は事業を後継者にゆずったタイミングで年金を請求。【4】のさかのぼって一括受給する方法を選択し、まとまった金額を自分の退職金代わりにしました。ただし、みなし繰下げは’23年3月末で71歳未満の方が対象です。ご注意ください。いっぽう、年金の繰り下げで注意が必要なのは年下の妻がいる会社員の方です。厚生年金の加入期間が20年以上ある夫が65歳になったとき、65歳未満の妻がいれば、夫の厚生年金に「加給年金」がつくからです。加給年金の額は年齢によりますが年約40万円。妻が65歳になるまで支給されます。また、妻が65歳になると加給年金がなくなる代わりに、妻の国民年金に「振替加算」がつきます。振替加算は年1万5000円ほどで、妻が死ぬまで加算されます。繰り下げたために加給年金や振替加算を棒に振るのはもったいない。実は、年金は厚生年金と国民年金に分割して繰り下げられます。加給年金は厚生年金とセットですから、年金を分け、厚生年金は繰り下げず、国民年金だけを繰り下げて、加給年金を受け取る手も。本来繰り下げは手続き不要ですが、年金を分けて繰り下げる場合のみ、届け出が必要です。詳しくはねんきんダイヤル(0570-05-1165)でご確認ください。自分に合った受給で、安心の老後を過ごしましょう。
2023年03月10日年金を何歳から受け取ればお得かを考える人は多いけれど、年金をどの銀行で受け取るかについて考える人は少なそう。しかし、銀行選びでも“お得度”がかなり変わってくるのだ!「年金の受け取りによって特典が受けられる銀行が増えています。以前はどこも横並びでしたが、いまは各行独自のサービスでしのぎを削っているんです」そう話すのは元国税庁国税専門官でファイナンシャルプランナーの森本陽子さん。具体的にどんな特典があるのだろうか。「年金の受取口座として指定することで、ATMの利用手数料が無料になったり、普通預金の金利がアップしたり、ポイントが貯まったりします。自分に合ったサービスのある銀行を選べれば、かなりのお得感を得られますよ」(森本さん・以下同)そこで、どの銀行で年金を受け取るのが本誌読者にとって“得”になるのか、ランク付けをしてもらった。「1位のイオン銀行は、イオン銀行ATMがいつでも手数料無料で使えるのが特徴です。イオン系列の商業施設にはATMがあるので、イオンをよく使う方には便利。また、イオンユーザーには電子マネーWAONを月1万円以上使う方も多いでしょう。年金受け取りの指定と合わせると、他行のATM利用手数料が月2回まで無料になり、他行あての振込手数料は月1回無料になります。さらに、普通預金金利が0.03%にアップ。これはメガバンクの普通預金金利0.001%の30倍です」普通預金の金利アップでいうと、7位の東京スター銀行は0.1%に。メガバンクのなんと100倍だ。「東京スター銀行が近くにある方は店舗で口座を開設できますが、近くにない方はネットバンキングで口座を開くことに。スマホの操作に不慣れな方には難しいかもしれません」ネットが苦手な現金派には、メガバンクがおすすめだ。「店舗や窓口のある銀行が安心でしょう。そのなかから、ATMの使い勝手で選ぶといいと思います。条件はATMが身近にあることと、手数料が無料で使える回数が十分なこと。70歳以上なら自社ATMの時間外手数料が無料になる4位の三菱UFJ銀行は、高齢者にはよい選択肢だと思います」ゆうちょ銀行の場合、郵便局内やゆうちょ銀行内に設置されているATMは365日利用手数料が無料。年金受け取り指定による特典は少ないが、現金を引き出す機会の多い人にはよさそうだ。「そのうえでクレジットカードの口座振替などを1つの口座にまとめると、入出金などの管理も簡単です。各行が独自で行うポイント制度のランクも上がるので、特典が増えお得度もアップします」ネット銀行にもメリットがある。「ネット銀行はコンビニATMと提携しており、利用できるATMの台数や各種手数料が無料になる回数も比較的多いのが特徴です。3位の住信SBIネット銀行は銀行アプリとスマホの本人確認情報をひもづけるだけで、ATM利用手数料も他行あて振込手数料も月5回まで無料に。ネットが得意な方にはかなり好条件です」すでに年金を受給している人も銀行を変えられるのだろうか。「年金事務所などに『年金受給権者 受取機関変更届』を提出すれば変更できます。銀行でも相談に乗ってくれると思います」物価高が続く昨今、どんなに小さなお得も見逃せない。ランキングを参考に、お得に年金を受け取れる銀行に切り替えよう。の台数や各種手数料が無料になる回数も比較的多いのが特徴です。3位の住信SBIネット銀行は銀行アプリとスマホの本人確認情報をひもづけるだけで、ATM利用手数料も他行あて振込手数料も月5回まで無料に。ネットが得意な方にはかなり好条件です」すでに年金を受給している人も銀行を変えられるのだろうか。「年金事務所などに『年金受給権者 受取機関変更届』を提出すれば変更できます。銀行でも相談に乗ってくれると思います」物価高が続く昨今、どんなに小さなお得も見逃せない。ランキングを参考に、お得に年金を受け取れる銀行に切り替えよう。
2023年02月13日’23年度の公的年金は、3年ぶりに増額が決まりました。年金支給額は68歳以上で1.9%、67歳以下は2.2%増えます(23年1月20日・厚生労働省)。厚生年金の夫婦2人モデル世帯で、月4889円増えて22万4482円。国民年金は40年間保険料を納めた満額支給の方で、月1434円増えて6万6250円です(どちらも67歳以下)。4~5月分を受け取る6月から受給額が変わります。年金が増えて喜んでいる方もいるでしょうが、実は物価を考え合わせると、年金は実質目減りの状態にあるのです。本来、年金は物価の上昇と共に受給額が上がる仕組みでした。しかし、年金の支え手である現役世代が減り、財源不足が問題です。それらを解消し「100年安心」な年金にしようと’04年に年金改革法が成立。「マクロ経済スライド」を導入して、年金額の抑制を図りました。これは、物価などの変動率から、現役世代の人口減少と平均余命の延びから算出される「調整率」を差し引いた割合しか年金を上昇させない仕組みです。その結果、物価が上昇しても以前のように年金は増えなくなりました。■年金だけでは物価高に対抗できないしかし、マクロ経済スライドは物価などの下落時には発動されないのがルールです。デフレ下でずっと発動されずに10年余りが過ぎ、初めて実施されたのは’15年度でした。マクロ経済スライドの実施が少ないままでは、年金額の抑制は進みません。そこで’18年度からは、マクロ経済スライドが実施できなかった年分の調整率を、翌年以降に持ち越す「キャリーオーバー制度」が導入されました。今年、物価の上昇を受けて3年ぶりにマクロ経済スライドが発動されました。そのため、物価の上昇に対して、年金の増額が低く抑えられています。 ここで’23年度の改定率を見てみると、68歳以上の方の年金額は’22年の物価変動率2.5%が基準です。ただし2.5%の増額から、’23年度の調整率0.3%と’21年度・’22年度のキャリーオーバー分0.3%が引かれ、1.9%の増額に抑制されたというわけです。年金額の抑制は、若者世代の負担を減らすために必要な措置でしょう。とはいえ、’22年12月の消費者物価指数は前年同月比で4%の上昇。いまは41年ぶりの物価高です。値上げが相次ぎ、年金生活者の家計は火の車だと思います。国にはこうした状況に配慮して、たとえば「今回のみキャリーオーバー分は据え置く」などの措置をとってほしいものです。でも、岸田内閣は検討すらしていないでしょう。わが家の家計は、自分で守るしかありません。’23年度の年金額は、物価高に対応できていないと肝に銘じ、お金を使わない生活にシフトしましょう。徹底的にムダを排除し、家計のダウンサイジングに努めてください。
2023年02月03日舞台「年金未納者ミャーキ」製作委員会主催、舞台「年金未納者ミャーキ」(原作:須田信太郎、脚本・演出:田中大祐)が2023年4月19日(水)~4月23日(日)にあうるすぽっと(豊島区立舞台芸術交流センター)(東京都豊島区東池袋4-5-2 ライズアリーナビル2F)にて上演されます。チケットはカンフェティ(運営:ロングランプランニング株式会社、東京都新宿区、代表取締役:榑松 大剛)にて2月18日(土)10:00より抽選先行開始です。カンフェティにて2月18日(土)10:00より抽選先行開始 ★先行特典:複製サイン入りブロマイド(出演者別)公式ホームページ 公式ツイッター(@kibarashiboyz) すぐそこにあるブラックな未来!2023年4月19日(水)~4月23日(日)に、池袋あうるすぽっとにて、舞台「年金未納者ミャーキ」の上演が決定しました。今作品は、90年代にマンガ&音楽ファンに衝撃を与えた「江戸川ハートブレイカーズ」や「ウルティモ・スーパースター」など、伝説の名作を残した須田信太郎による原作で、2007年に「コミックビーム」(KADOKAWA/エンターブレイン)で連載された社会派ディストピアコメディです。脚本・演出を担当するのは、舞台「魁‼︎男塾」や「サルまん」を手がけた田中大祐。主演はミュージカル「刀剣乱舞」などで活躍する武本悠佑と個性派俳優コウガシノブ、ヒロインは元ラストアイドルの長月翠がつとめます。年金制度の崩壊危機が叫ばれ、国民の1/4以上が65歳以上の高齢者となり、ブラック企業が違法な労働環境で若者を搾取する社会状況を予見していたかのような今作品。若者たちが熱くPUNKする姿を笑いとともにお届けします!【ストーリー】202X年、国民年金を払わない者には容赦ない仕打ちが待ち受ける近未来のディストピア。富裕層の老人たちは医療科学の力で若返り、失われた青春を謳歌する。一方、金もなく年金を払えない若者たちは、そんな老人たちを支えるための労働力としてブラック企業以上の重労働を課せられる。極限まで追い込まれた若者たちの怒りの導火線に火がついた瞬間、溜めこんだフラストレーションがPUNKする!【原作者】須田信太郎(すだ しんたろう)1969年1月30日生まれ、静岡県出身。大学4年時に「トレンドバスターズ」で 講談社第25回ちばてつや賞大賞受賞。別冊ヤングマガジンで「江戸川ハートブレイカーズ」を連載。「ウルティモスーパースター」「地下鉄のランナー」「やさしい女は何処にいる」などを発表。公演概要舞台「年金未納者ミャーキ」公演期間:2023年4月19日(水)~4月23日(日)会場:あうるすぽっと(豊島区立舞台芸術交流センター)(東京都豊島区東池袋4-5-2 ライズアリーナビル2F)【原作】須田信太郎【脚本・演出】田中大祐【企画】気晴らしBOYZ【主催】舞台「年金未納者ミャーキ」製作委員会■出演者武本悠佑・コウガシノブ/長月翠/黒木文貴・縣豪紀・佐川大樹・竹本洋平・杏さゆり・農塚誓志・両國宏・半井小絵・兵藤美帆・杉田友里・三原有人・樋口裕司・賀谷亮祐・青地洋・アレス■公演スケジュール4月19日(水)19:004月20日(木)14:00/19:004月21日(金)14:00/19:004月22日(土)14:00/19:004月23日(日)14:00※ロビー開場は開演の45分前/客席開場は開演の30分前※出演者変更によるチケット代金等の返金、キャンセル等はいたしません。※未就学児童入場不可■チケット料金S席:8,500円(1列~7列)A席:6,500円(全席指定・税込)★先行発売(抽選)※特典付き・カンフェティ: 申込期間:2月18日(土)10:00~2/26(日)23:59当落発表:3月2日(木)特典:複製サイン入りブロマイド(出演者別)★一般発売(先着)・カンフェティ: 発売日:3月11日(土)10:00~公式HP: 公式ツイッター: お問い合わせ: myaaki.info@gmail.com 詳細はこちら プレスリリース提供元:NEWSCAST
2023年02月03日「障害年金と聞くと、どんな人が受給の対象だとイメージしますか?難病や交通事故に遭って、重い障害を負った……というくらいの状態じゃなければもらえないと思われがち。ですが、さまざまな身近な病気も対象となるのです」こう話すのは『障害年金の手続きから社会復帰まで』(秀和システム)などの著書もある、特定社会保険労務士の漆原香奈恵さんだ。漆原さんのもとへは受給希望者からの新規相談が舞い込む。「最近多いのは精神疾患の方です。うつ病や、双極性障害、統合失調症をはじめ、大人の発達障害などさまざな精神疾患が該当します」(漆原さん・以下同)そのほか、婦人科系の疾患やがん、糖尿病や透析、弱視など多くの疾患が対象となるといっていい。闘病が初診日から1年半以上続き、仕事を辞めたり休みがちになるなど、日常生活に支障があるなら、障害年金受給の対象となる可能性がある。「最近では手術困難な子宮筋腫で受給が決定した方もいらっしゃいました。長く付き合っていく可能性のある疾患であれば受給資格に該当し、働いていてももらえる可能性が。ソーシャルワーカーさんや家族に勧められるなどで存在を知り、手続きを思い立つこともあるようです」もらえる金額は次のとおり。■年金・手当金の年額(令和4年度)【1級】〈障害厚生年金・障害手当〉:(報酬比例の年金額)×1.25+[配偶者加給年金]〈障害基礎年金〉:97万2250円(77万7800円×1.25+子の加算)【2級】〈障害厚生年金・障害手当〉:(報酬比例の年金額)+[配偶者加給年金]〈障害基礎年金〉: 77万7800円+子の加算【3級】〈障害厚生年金・障害手当〉:(報酬比例の年金額)最低保証58万3400円【障害手当金一時金として受給】〈障害厚生年金・障害手当〉:(報酬比例の年金額)×2116万6800円に満たないときは116万6800円※報酬比例の年金額は、年金加入の被保険者期間が300月未満の場合、300月にみなして計算します障害の程度により1・2・3級・障害手当金とあり、2級以上に該当すれば、老齢年金と同様に、障害年金も2階建てに。国民年金加入者や20歳未満の方は障害基礎年金が受け取れて、厚生年金や共済年金に加入していれば障害厚生年金も受給できる。「国民年金加入の場合は、年度により金額は異なりますが、約80万円(令和4年度は77万7800円)。1級に認定されればここに25%上乗せされ97万2250円となります。さらにお子さんがいると人数に応じて金額が加算され、2級以上の障害厚生年金受給者の方は配偶者の加給年金もあります」子どもがいる場合の加算額は、年額で、2人目までなら1人につき22万3800円、3人目以降は1人7万4600円だ。配偶者の加給年金は22万3800円となる。■受給することをためらわないで!申請するうえで気をつけたいことは主に3つ。まずは保険料を一定期間納付していることだ。「いざというとき障害年金を申請しても未納があるともらえなくなってしまうこともあるので、滞納のないように気をつけましょう」2つ目は、その病気によって日常生活に支障があるか否か。「日常生活に支障があるというのはどの程度なのか、基準があります。誰かの介助が必要な状態でなくとも、労働に制限があったり、日常生活をすることに困難があった場合は該当する可能性が」3つ目は、初診日を特定する必要があることだ。「意外とこちらがハードルに感じることも。今から初診日までかなり遡る場合、初診日に通院していた病院が廃業していたり、主治医の先生が退職していることもあるからです」たとえばうつ病などで長患いとなり、よい医師がいると聞いては転院を重ねるうちに、初診日が曖昧になってしまうのだという。しかしあの手この手で、初診日を特定できることは多いため諦めることはない、と漆原さんは説明する。「当時の診察券やお薬手帳、障害者手帳などで特定・証明することができれば申請可能。受給に結びついたケースも多くあります」ちなみに10年前から通院している場合でも遡れるのは5年まで。それでももらえる金額は大きい。「障害基礎年金の場合は約400万円、障害厚生年金であれば700万円程度一括で(5年分)支給されたケースも。このくらいの金額は平均的で、受給資格を得られたなら、かなりまとまった額が保証されます。『経済的な不安から焦って無理をすることなく治療に専念できる』といって安心する方も多いです」申請をするには、まず8種類ある診断書のなかから自分が該当するものを選択することから。書面による審査のため記載項目が多く、添付書類も年金請求書・受診状況等証明書・医師の診断書・本人の申立書など多岐にわたるが、丁寧に進めれば自分で作成・申請することは十分可能だ。「診断書は年金事務所などで受け取ることができ、日本年金機構のホームページからダウンロードも可能。ただし、対象にならないケースもありますし、迷われたら年金事務所や専門家に相談し、申請しましょう」障害年金を申請することに抵抗感がある人もいるかもしれないが、漆原さんは、社会的なデメリットはほとんどないと話す。「もらっていることを会社やお子さんの学校に申告する義務はありません。病気やけがは誰にでも起こりうるもの。無理なく生活するうえで、障害年金は安定と安心を得られる大切な保障です」
2022年11月22日「老後の生活を支える『年金』に関する手続きを怠ってしまったがためにライフプランが狂ってしまった、という人が続出しています」そう話すのは、ファイナンシャルプランナーで社会保険労務士の井戸美枝さんだ。大切な老後資金に異変が起きている背景には、“働き方の多様化”があるという。「新卒で入社した会社で定年を迎えるのではなく、転職を繰り返す人や、定年を待たずに退職してフリーランスになる人も増えてきました。会社を辞めた後、忙しさにかまけて年金の手続きを後回しにしてしまい、ほったらかしにした結果、60歳になって受け取れるはずの年金がもらえなくなってしまった、という事態が起きているのです」(井戸さん・以下同)日本の年金制度は1階部分を「国民年金」、2階を「厚生年金」、3階を「私的年金」とする“3階建て”で構成されている。このうち3階部分の私的年金には、国民年金基金、厚生年金基金、確定給付企業年金(DB)、確定拠出年金(DC)があり、加入者自身が資産を運用する確定拠出年金には、企業型と、最近注目の個人型(iDeCo)がある。なかでも注意が必要なのが、「企業型の確定拠出年金」だ。「給与明細を詳しく見たことがない、毎月の給料から何が天引きされているか知らない、という人が意外と多いのです。退職した後には厚生年金から国民年金に切り替えるために年金事務所で手続きをしますが、それで手続きが完了したと勘違いしている人もいます。しかし、企業型の確定拠出年金に加入していた人は、退職してから6カ月以内に、それまで積み立てたお金をiDeCoもしくは転職先の確定拠出年金などに移す必要があります。iDeCoの手続きは自分で行わなければなりません。手続きをせず6カ月が経過すると、その資産は自動的に『国民年金基金連合会』が現金で預かることになります。これを『自動移換』といい、100万人以上の人が該当する深刻な問題になっています」■該当する人は111万人、総額2千600億円にも…国民年金基金連合会によると、この「自動移換」に該当する人は今年7月末で約111万人。同会が現金で預かっている、いわば“置き去り年金”の総額は今年3月末で2千587億5千200万円。200万円を超える資産が自動移換された人は2万3千200人もいる。いったん自動移換されると、現金の状態で国民年金基金連合会に置き去りにされた状態になるので、運用はいっさいできなくなる。しかも自動移換の際に4千348円の手数料が引かれて、それ以降も毎月52円の手数料が発生する。年間で624円と少額だが、長期間運用しないで手数料が引かれるとなると、資産は目減りする一方だ。「最大の問題は、確定拠出年金の場合、原則として加入期間が10年以上ないと、60歳から受け取ることができない点です。10年を満たしていれば60歳から受け取れますが、この間手数料が引かれるため、当初受け取れるはずだった年金よりも総額は少なくなります。また、加入期間が10年未満の人は、自動移換されている間は加入期間とはみなされません。たとえば入社してから7年勤めている間、企業型の確定拠出年金に加入した人が会社を辞めてそのまま年金資産を放置してしまうと、60歳から受け取ることはできなくなります」実質“喪失”となってしまうことにもなりかねないというのだ。「資産が少額などの条件を満たしていれば、脱退一時金として受け取ることができます。ただし、受け取るためにはiDeCoに加入して、加入期間を10年にするしか方法はありません。そうなると年金をもらい始めることができる時期が先延ばしされてしまいます」年金資産が自動移換になると国民年金基金連合会から「確定拠出年金に関する重要なお知らせ(自動移換通知)」という書類が送られてくる。それでも手続きをしなければ、年に一度お知らせが来るので、きちんと確認しよう。また、自分の年金記録は企業年金連合会のホームページで、年金手帳に記載されている基礎年金番号を入力すれば確認が可能だ。安心した老後を過ごすためにも、受け取れる年金をもらいそびれることのないよう気をつけたい。
2022年10月11日「6月支給分から、年金が前年より0.4%減となりました。夫が一般的な収入のサラリーマンとして40年働き、妻が専業主婦という“モデル世帯”が受給する年金は、月額22万496円から219593円へと、903円も引き下がりました。年間では10836円ものマイナスです。しかも、急激な物価上昇により、年金は額面以上に“減っている”状態です」こう語るのは、年金博士こと、社会保険労務士の北村庄吾さんだ。そもそも、物価が高騰するなか、なぜ年金が減額されたのだろうか。「少子高齢化で現役世代の人口は減っているのに、寿命が延びたことで年金受給者は増えていきます。現役世代の負担を軽減するため、2016年の年金改定で、現役世代の賃金が下がれば、その分、年金受給額も下げるというルールになったのです」コロナ禍による景気の落ち込みなどで、過去3年の賃金変動率などが0.4%減ってしまったことで、年金額も同じように減額されてしまったのだ。■年金額は2割減に…生活の見直しが必須年金の減額はさらに続くと、前出の北村さんは分析する。「年金の条文の中でも、将来的に所得代替率が50%になることに触れられています。所得代替率とは、現役男子の手取りに対する年金受給額の割合のことです」現在、モデル世帯といわれる男子の平均給与は357000円で、所得代替率は61.7%になっている。「これが50%となれば、年金の受給額は178500円に。現行よりも約2割も減る計算です」つまり、物価が下落する見込みはなく、年金額は下がり続けていく。「主食を小麦製品から価格の上昇していない米に切り替えるなど、生活のあり方の根本的な見直しが必要です」(生活経済ジャーナリストの柏木理佳さん)厳しい老後が待っていそうだ。
2022年06月30日止まらない物価の上昇。さらに老後の頼みの綱である年金は6月の支給分から減額になった。このことによって、すでに年金をもらっている人も、これからもらう人も大きく老後資金が“減った”のだーー。「6月支給分から、年金が前年より0.4%減となりました。夫が一般的な収入のサラリーマンとして40年働き、妻が専業主婦という“モデル世帯”が受給する年金は、月額22万496円から219593円へと、903円も引き下がりました。年間では10836円ものマイナスです。しかも、急激な物価上昇により、年金は額面以上に“減っている”状態です」こう語るのは、年金博士こと、社会保険労務士の北村庄吾さんだ。そもそも、物価が高騰するなか、なぜ年金が減額されたのだろうか。「少子高齢化で現役世代の人口は減っているのに、寿命が延びたことで年金受給者は増えていきます。現役世代の負担を軽減するため、2016年の年金改定で、現役世代の賃金が下がれば、その分、年金受給額も下げるというルールになったのです」コロナ禍による景気の落ち込みなどで、過去3年の賃金変動率などが0.4%減ってしまったことで、年金額も同じように減額されてしまったのだ。■1万品目超の値上げ…政府の対策は期待できず年金減額だけではなく、急激な物価の上昇も家計に大きな影響を与えている。生活経済ジャーナリストの柏木理佳さんは言う。「2019年10月に消費税の増税、2020年の新型コロナによる景気の低迷で、企業の業績が悪化しました。一時期、コロナ禍で世界的に物流が滞りましたが、2021年に入り欧米諸国で輸出入が急激に再開されたことで、原油の需要と供給のバランスが崩れるなどして原油価格が高騰。大豆や小麦などの穀物の価格にも反映されました。昨年末からは、ロシアとウクライナの緊張が高まり、原油と小麦価格がさらに値上がっています。そして、この数カ月の急激な円安も家計に影響を与えています。麺類やパンなどの小麦粉商品をはじめ、輸入される牛肉や魚介類、さらにスーパーの総菜、ペットボトル飲料、お菓子など、1万品目以上が値上がりするのです」6月24日に発表された最新の「消費者物価指数(全国2022年5月分)」によると、総合的な物価は昨年と比べて2.5%上昇している。生魚や生野菜などの生鮮食品は12.3%、水道光熱費に至ってはなんと14.4%もの上昇だった。これを昨年5月の「家計調査」にあてはめてみると、この1年で月の支出額は214961円から220335円と、5374円も増えたことになる。年間だと64488円の上昇だ。「年金も減額されているので、年金世帯がこれまでと同じ生活をするだけで、年間75324円も負担が増えることになります。平均寿命の延びも加味し、老後を30年として計算したら2,259,720円の負担増になります。老後の計画が狂ってしまう人も多いはずです」(柏木さん)つまり、現在の状況は本来使えるはずだった老後資金が226万円も減ったのに等しい。政府はこの物価上昇をある程度容認すると、柏木さんはみている。「政府や日銀は長く続くデフレを脱却することを目標にしてきました。日本銀行のが『国民が値上げを受け入れている』と口走ったのも、そんな本音の表れでしょう。そもそも企業が、値上げした商品の価格を再び下げるとは、考えにくい。ウクライナ情勢も長引けば、さらなる値上げもありえます」岸田政権下で急激に目減りしていく老後資金。政治がそれに歯止めをかけない以上、生活を貧しくしていくしかないのかも……。【図解】昨年と今年の月の消費支出比較と物価上昇率
2022年06月30日大人気マンガシリーズ、今回はサレ妻ありさ(@sareduma_arisa)さんの投稿をご紹介! 「家庭教師を妊娠させた夫」第17話です。夫に連絡をした妻。でも、夫は妻からの連絡を絶っていて…!?夫に連絡がつかず…出典:lamireピンときていない娘に…出典:lamire弁護士…?出典:lamire後押しをしてくれる両親出典:lamire心強い両親ですね…!ついに弁護士に頼るようですが…?次回の配信もお楽しみに!(lamire編集部)(原作/サレ妻ありさ、イラスト/美吉香胡)"
2022年06月20日平均寿命が男性より長い女性にとって、老後の「年金」は大事な収入源。年金は、一度受給を開始したら、死ぬまで“減らない財布”です。だからこそ、少しでも受け取れる額を増やしたいもの。その増やし方、教えますーー。「PGF生命の調査では、60歳の25%が『貯蓄が100万円未満』。4人に1人は老後資金がほぼない状態なのです。とくに私が心配しているのは女性の老後です」こう話すのは、最新著『私の老後私の年金このままで大丈夫なの?教えてください。』が話題の“年金のプロ”長尾義弘さん。「総務省の『家計調査(’19年版)』では、高齢の無職の夫婦世帯の平均支出は月額約27万円。シングルの場合は月額約15万円です」今回、長尾さんは独自の年金受給額シミュレーションを使い、夫が正社員の専業主婦、ともに正社員の共働き夫婦、ともに自営業の夫婦が、65歳から年金を受給した場合の月額受給額を試算。また、女性のさまざまなライフスタイルの変化により、起こりうる年金受給の変化についても試算(数字はすべて概算。以下、コメントはすべて長尾さん)。妻の立場別、老後のリスク別に、もっとも得な年金の受け取り方を長尾さんの試算をもとに徹底解説していこう。「妻が専業主婦の世帯では、前出支出平均と比べ月額2万円の赤字となり、けっこう生活は厳しい。そこで提案したいのは、夫にとにかく70歳まで働いてもらうこと」70歳まで夫の収入だけで生活し、夫婦とも年金受給を70歳からに遅らせることで、なんと年金受給額は36万円にアップする。「共働き夫婦も考え方は専業主婦と同じ。夫だけが70歳まで働くより、妻も働くことで、妻1人になったときの生活不安をより軽減できるのでがんばってください」国民年金しかない自営業の夫婦の場合は「国民年金基金」に加入して、老後の年金を増やす方法を長尾さんは勧める。そして、離婚や死別、親の介護やシングルのままなど、状況の変化の中でも、しっかり年金について考えておく必要がある。■妻が専業主婦の場合夫は60〜70歳まで厚生年金に入れる仕事に就き、夫婦の年金受給は70歳に繰り下げる。【現状】妻の平均賃金:月額20万円(妻は結婚のため30歳で退職)夫の平均賃金:月額50万円夫の60〜65歳の再雇用賃金:月額30万円〈65歳からの年金受給額〉妻:月額約7万円(年額約89万円)夫:月額約18万円(年額約213万円)夫婦の合計月額:約25万円【対策】・夫は70歳まで働く・夫婦共に年金の受給開始を70歳まで遅らせる〈70歳からの年金受給額〉妻:月額約10万円(年額約126万円)夫:月額約26万円(年額約312万円)夫婦の合計月額:約36万円※約11万円の得!!現在の企業は60歳退職、65歳まで再雇用のケースが多い。「そのまま65歳から年金受給すると、月額受給額は約25万円で、高齢夫婦世帯の平均支出額より月額2万円足りない計算。まだ夫の健康状態に問題がないようなら、あと5年間は働くように上手に舵取りしてください。もし65〜70歳の間の仕事が厚生年金に加入していない職場でも、収入によって繰下げ受給ができれば、月額約27万円よりは十分多い金額を受給できるので、働いてもらうことが大切です」さらに夫が先立つことも考え、今後、あなたも厚生年金に加入できるパートや派遣社員で社会復帰し、自分の受給額を増やすこともぜひ検討してほしい。■妻が共働きの場合夫婦共に70歳まで再雇用で働き、年金受給は70歳から。【現状】妻の平均賃金:月額26万円夫の平均賃金:月額39万円妻の60〜65歳の再雇用賃金:月額18万円夫の60〜65歳の再雇用賃金:月額30万円〈65歳からの年金受給額〉妻:月額約12.4万円(年額約149万円)夫:月額約15.4万円(年額約185万円)夫婦の合計月額:約28万円【対策】・夫婦共に70歳まで働く・夫婦共に年金の受給を70歳まで遅らせる〈70歳からの年金受給額〉妻:月額約18万円(年額約217万円)夫:月額約23万円(年額約273万円)夫婦の合計月額:約41万円※約13万円の得!!「夫婦共に正社員で、2人とも65歳から年金受給すると、合わせて月額約28万円。現状でも高齢夫婦の平均支出額を上回っていますが、夫が先立った場合、妻だけでは月額約12万円で高齢単身者世帯の平均支出額の約15万円には足りません。そこで妻が1人残った場合の安心な老後のためにも、夫婦そろって70歳まで働き、年金受給も70歳からにすること」こうすることで、70歳以降の年金生活でも、趣味などにお金を回せ、潤いある生活を送ることができると同時に、妻だけになったときの年金受給額も月額17万円にアップ。これなら1人の老後もなんとか年金だけでやっていける金額だ。■妻が夫と自営業をしている場合国民年金基金に加入し、70歳まで働き、年金受給は70歳から。【現状】妻:国民年金のみ夫:国民年金のみ〈65歳からの年金受給額〉妻:月額約5.7万円(年額約68万円)夫:月額約5.7万円(年額約68万円)夫婦の合計月額:約11万円【対策】・60歳以降も国民年金に任意加入して満額に・国民年金基金に加入・夫婦共に70歳まで働く・年金の受給を70歳まで遅らせる〈70歳からの年金受給額+国民年金基金(月額:妻約4万円、夫約5万円)〉妻:月額約13万円(年額約159万円)夫:月額約14万円(年額約174万円)夫婦の合計月額:約27万円※約16万円の得!!「自営業の夫婦が受け取る年金は国民年金(老齢基礎年金)だけなので、2人合わせて月額約11万円。平均支出と比べて16万円も足りません。できるだけ早いうちから国民年金基金に加入し、年金を“2階建て”にしましょう。無理はいけませんが、なるべく多い金額を掛けることが“安心老後”を迎えるコツ」夫婦が国民年金基金に月額3万5000円ずつ、約20年掛けた場合、65歳以降合わせて月額9万円が受け取れる。また国民年金も満額にするため任意加入して払い続けることで、70歳からの月の受給総額は夫婦で27万円に。「必ず夫だけでなく妻も国民年金基金に加入し、妻1人の老後にも備えることが肝心」■熟年離婚を考えているケース増え続ける熟年離婚。今後離婚を考えている場合、必ず「年金分割」を利用し、夫の厚生年金の半分を受け取る。【現状】妻の平均賃金:月額8.5万円(パート)夫の平均賃金:月額40万円夫の60〜65歳の再雇用賃金:月額25万円〈65歳からの年金受給額〉妻:月額約6.5万円(年額約78万円)夫:月額約15.5万円(年額約186万円)夫婦の合計月額:約22万円〈婚姻期間30年で按分割合50%の場合〉妻の厚生年金:約3万円夫の厚生年金:約3万円〈離婚後65歳の年金受給額〉年金分割:月額約3万円妻の基礎年金:月額約6.5万円月額:約10万円【対策】・離婚したら正社員の仕事に就き、70歳まで働く(月額13万円)・年金の受給を70歳まで遅らせる〈70歳からの年金受給額〉妻:月額約15万円(年額約177万円)月額:約15万円※約5万円UP!!「『年金分割』は婚姻期間中の厚生年金は夫婦共同で支払っているとみなし、厚生年金の最大半分を妻が受け取るというものです」妻が60歳以降に離婚したケースで、年金分割の按分割合は50%。夫が認めた場合だが、それでも離婚後の妻の年金受給額は月額約10万円と厳しい。「そこで提案したいのが、たいへんですが70歳まで働き、自分の基礎年金分の受給を70歳まで遅らせること。こうすることで、受給額はぐんと増え約15万円になりますよ」■介護で離職するか悩んでいるケース離職は年金が激減するので極力避けて働き続ける。【現状】平均賃金:月額25万円〈65歳からの年金受給額〉月額:約11万円(年額約129万円)【対策】・介護離職をしないで70歳まで働く・介護保険、介護サービスを活用する・再雇用で70歳まで働く(月額20万円)・年金の受給を70歳まで遅らせる〈70歳からの年金受給額〉月額:約18万円(年額約216万円)※約7万円UP!!「母親と二人暮らしの正社員のシングル女性(53歳)。最近母親に介護が必要になって、介護離職したいと相談を受けました。いまや介護は日本全体の問題。たしかに仕事と介護の両立はたいへんですが、1人で抱え込むと後で後悔することに。介護する人の老後を試算すると、仕事は無理をしてでも続けるべきです」長尾さんの試算では53歳で退職すると、厚生年金加入期間が短くなるため、65歳からの受給は月額約11万円と激減。「平均的な介護日数は約5.1年。介護離職ではなく、介護保険をうまく活用して介護サービスを使うことで、行政や専門スタッフの力を借りてなんとか乗り切ってほしいものです」■夫に先立たれたら……と不安なケース夫の遺族厚生年金と基礎年金は受給し、自分の年金受給だけ75歳から。【現状】妻:専業主婦夫の平均賃金:月額40万円夫の60〜65歳の再雇用賃金:月額25万円企業年金あり(月額5万円)〈65歳からの年金受給額〉妻:月額約6.5万円(年額約78万円)夫:月額約20.5万円(年額約246万円夫婦の合計月額:約27万円〈夫の死後の年金受給額〉遺族厚生年金:月額約7万円妻の基礎年金:月額約6.5万円月額:約13万円【対策】・75歳までは夫の遺族厚生年金月額約7万円と夫の保険金で生活・基礎年金部分だけ受給を75歳まで遅らせる〈夫の死後の年金受給額〉遺族厚生年金:月額約7万円妻の基礎年金:月額約12万円月額:約19万円※約6万円UP!!「5歳以上年上の夫がいる専業主婦の場合を想定して試算してみましょう。ただでさえ女性のほうが6年以上長生きというデータがあるので、妻が75歳を過ぎると夫が先立つ可能性が高い。妻の基礎年金だけを75歳から受給するようにして、それまでは夫分の年金でやりくりすることが理想といえます」遺族厚生年金は夫が生きていた場合の受給額の約半分。また企業年金は夫死亡と同時になくなってしまう。夫の死後の妻の年金は月額約13万円。それがこの方法で約19万円になるという。「もし妻が75歳になる前に夫が亡くなったら、そのときから自分の基礎年金を受け取る手続きも可能なのでご安心を」■このままシングルかも……と想像するケース正社員の立場を確保し、70歳まで働ける環境を築く。【現状】平均賃金:月額17万円〈65歳からの年金受給額〉月額:約11万円(年額約126万円)【対策】・転職し正社員の仕事に就く(月額30万円)・再雇用で70歳まで働く(月額15万円)・年金の受給を70歳まで遅らせる〈70歳からの年金受給額〉月額:約18万円(年額約212万円)※約7万円UP!!「派遣社員として働き、現在親と同居中の女性(月収17万円)がこのままの生活を続けた場合、65歳からの年金受給は月額約11万円。高齢単身者世帯の月の平均支出額は約15万円なので、4万円足りない計算。むずかしいとは思いますが、受給額を増やすには、とにかく正社員になってベースとなる給料を上げる努力が必要です」もし35歳で月給30万円の正社員になり、そこからキャリアアップしながら60歳で定年。再雇用で70歳まで働き、年金受給を70歳まで遅らせれば、月額18万円受給可能に。「たいへん厳しい提案ですが“安心老後”のためには、とにかく正社員をめざすことです」人生100年時代、70歳までは働き盛りと考え、乗り切ることが必要とされているといえそうだ。【PROFILE】長尾義弘ファイナンシャル・プランナー。新聞・雑誌・WEBなどで「お金」をテーマに幅広く執筆。『私の老後私の年金このままで大丈夫なの?教えてください。』(河出書房新社)など著書多数
2022年06月01日セレブ婚で変わってしまった親友
義父母がシンドイんです!
うちのダメ夫