2017年8月2日 21:15
すべてを「失った女」の悲しみ…|12星座連載小説#131~蠍座 11話~
お店の子達も、多分私に連絡を取ることを禁止されているはず。やるなら徹底的にやるというのが、真田会長の信条だ。私はそれをよく知っている。
“雪月華”への未練も、半ば強制的に断ち切られ、私がメールをするのはあの人。
―――“フレイア華”先生。
先生に占いの予約を入れる。
「フレイア先生、こんにちは。突然で申し訳ないのですが、本日の夕方以降で、予約をとることのできる時間はありますか?」
送信……と。
紅茶を入れて、少し物思いにふける。
前回のタロットカードの結果。“ストレングスの正位置”……か……。
強さ。強さってなんだろう……。
私は会長を手懐けることができなかった。つまり、占いは外れたってことなのかしらね……。
フフッと自嘲気味に笑って、紅茶を啜る。
「ヴーン」
スマホのメール着信音が鳴る。
「本日、6時半でしたら大丈夫ですよ。お待ちしております。フレイア華」
先生からメールが来た。
さて、真偽のほどを確かめに行こうかしら……。
グラスに残っている液体を飲み干した―――
【今回の主役】
須藤由紀(絢芽) 蠍座30歳 クラブホステス
豊満な肉体を持つセクシーな女性。