だから、ロスコ役を哲司さんにオファーしていると聞いて、もし一緒にやれたら自分もステップアップできる気がしてうれしかったです。
田中:ふたり芝居だけに、相性って重要ですからね。小栗君は、お酒の席で話していても、演技を見てても、ガッツリ“演劇人”だなって思うことが多かったから、この作品でもうまくやれそうな気がしたんです。
小栗:僕は演劇人に憧れてるところがあるんです。ケンに「自分にはルーツがない」っていうセリフがあるんだけど、僕自身もそう感じることが多くて、なんとか演劇に自分の居場所があると思いたいっていうのが正直なところかもしれない。
田中:舞台って辛いことだらけだけど、やっぱり自分が帰るところみたいな感覚はあるんです。結局、好きってことなんだろうな。
小栗:ただ、稽古が始まってみたら、なかなか気が抜けない作品で…。
田中:しかも、演出の小川さんもすごい熱量で稽古に臨まれているでしょ。だから僕らも自然とあの情熱に応えなくてはと気合が入るんです。
小栗:たまに迷うんだけれど、それすらさらけ出して向かってこられるから、逃げちゃいけないなって。
田中:しっかり自分のなかにビジョンを持っているから、迷うことがあっても安心して委ねられるんだと思う。