2020年9月10日 20:50
岩井俊二監督「逆にエンジンがかかった」コロナ禍の心境を語る
実際にこの映画に取り掛かったのは、3~4年ほど前からですが、中国チームとやりとりをはじめたころから数えると10年越し。準備も含めるとけっこう長かったなと思います。
自分から挑戦しないと、よりよい作品は生まれない
―作品を仕上げるなかで、中国の方々にとって違和感のない映画にするために、かなり細かい部分までリサーチをしたそうですね。特に苦労した部分はありましたか?
監督回想シーンは30年くらい前の話になるので日本でいうと平成のはじまり頃ですが、中国では文化大革命が終わったあと。いまとは風俗や景色もまるで違うので、ローカライズにはかなり時間をかけました。
セリフを1行ずつチェックされ、アドバイスを受けることも。そこで、自分のやりたいことが修正されたこともありましたが、終わってみるとその修正がネガティブな結果になったことはほとんどありませんでした。むしろ、それによって思いがけないエピソードが膨らんでいった部分もあったくらい。
たとえば、 日本版では主人公には子どもが2人、お姉さんには1人いる設定ですが、一人っ子政策や社会状況を踏まえて、中国版では主人公に子どもが1人、お姉さんには2人と逆にしてみたりしました。