2020年6月5日 12:00
映画から学ぶ「#Black Lives Matter」運動の重要性 “いま”こそ観るべき映画5選
という白人の総長。そして、学生であるその息子も「今アメリカで一番苦労しているのは高学歴の白人男性だ」などと言い放つ。
「親愛なる白人の皆さんへ」と学内ラジオで語りかける“サム”ことサマンサ・ホワイトは、そんな建前にツッコミを入れ、断固抗議し、ついには選挙で寮長に選ばれる。だが、それに端を発し、白人学生たちが“均質化された黒人のイメージ”を表現した仮装パーティを開催したことで、混乱が起き…。
日本でも少し前に話題となった“ブラックフェイス”問題を想い起こさせるパーティは、決してフィクションではなく、その実態がエンドロールでも紹介されている。また、“スパイク・リーとオプラ(・ウィンフリー)の怒れる子どもみたい”と揶揄される主人公サムが配布する冊子のタイトルが、スティービー・ワンダーとポール・マッカートニーのコラボ曲「エボニー&アイボリー」をパロディした「エボニー&アイビー」だったり、ようやく日本公開される『ハリエット』の黒人奴隷解放者ハリエット・タブマンのことなど「白人は気にかけない」というセリフがあったりと、たっぷりの皮肉に満ちながら、黒人たちもまた様々な志向を持つことを示唆する。
加えて、サンダンス映画祭やインディペンデント・スピリット賞で高い評価を受けた今作や、劇中でも言及されたタイラー・ペリーが女装する人気シリーズ『マデアおばさん』など、黒人が主人公の映画はよほどのスターでない限り日本にはなかなか上陸しない理由も思わずにはいられない。