くらし情報『【インタビュー】黒沢清監督が語る、黒沢流・恐怖演出と映画『Chime』での挑戦』

【インタビュー】黒沢清監督が語る、黒沢流・恐怖演出と映画『Chime』での挑戦

「魔が差した」といったような理由が案外多く、本人もなぜそうしたのかがよくわかっていない場合が多々見受けられます。物語的にそれじゃあ困るというので「誰それに腹が立っていた」等々のドラマを設けていますが、実際はそんなもののようです。

自殺の原因もいまでこそ色々と言われるようになりましたが、明治時代なんかは自殺の原因は「錯乱」でそれ以上の追求はありませんでした。でも皆さん「どうして錯乱したのか」を知りたがるものですし、これは殺人についてもそうです。「ついやってしまった」「なぜかわからないけど錯乱した」では、自分の中で処理できないんでしょうね。「そんなはずがない」という想いから一つの殺人に対してストーリーを創り上げる――警察とか裁判といったシステムにはそのような役割があるのではないかと思います。

『Chime』においても、「45分だから許してほしい」と思い切って動機はほぼ描きませんでした。「頭の中でチャイムが鳴った」という「なんだそれは?」な説明だけなのですが、吉岡睦雄さんがその辺りはよくわかっていて「突然凶行に及び、その後は妙に落ち着いている」という状態を巧みに演じて下さいました。
――『Cloud クラウド』の吉岡さんも絶妙でしたが、『Chime』においては何かお二人で話されたのでしょうか。

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