野木亜紀子が語る、脚本を書く時の矜恃 『罪の声』『MIU404』に通底する感覚
当時の警察の動きのあれこれや、新聞記者の取材技術が知れる部分など、見どころがたくさんあります。
○■「巨悪」を描いても社会は変わらなかった
――脚本を書かれた時期と、放送や公開の順番は逆になってしまいましたが、『MIU404』を見ていた私たちは、少しだけ『MIU404』と『罪の声』と地続きみたいな感覚がありまして。野木さん自身は、2つの作品が地続きのような感覚はありますか?
同じ人間が書いているので、価値観は同じだし近くなることはあると思います。塩田先生もわりと近いことを考えてる人だろうなという点もあるし、『MIU404』の後半ではメディアやSNSに翻弄される人々のことを書きましたけど、『罪の声』も、SNSではないけれど、同じなんですよね。
当時、マスコミや新聞が犯人によって踊らされ、それを読んだり見たりして興味を持った人が、世の中の空気を作ってしまったというところが共通していて、単なる過去の話ではないなと思いました。実は『MIU404』のSNSにまつわる後半は、『フェイクニュース』のリベンジでもあったんですよ。諸事情で放送終了後にお蔵入りしてしまったので、だったらもう一度違う形でやってやろうと密かに(笑)。