問題のあるルームシェアで"女の敵は女"を突破せよ - 『地獄のガールフレンド』
2015年の1~3月期にフジテレビで放送された『問題のあるレストラン』は、とても意欲的なドラマだった。男性中心の社会で虐げられ、辱められてきた女性が直面する、セクハラ、パワハラ、モラハラといった問題を、きちんと真正面から告発しながらも、魅力的なキャラと、繊細な会話や描写の積み重ねで、あくまでエンタメとして成立させていた手腕は見事である。
これまでフェミニズムが草の根で啓蒙してきたジェンダーをめぐる問題を、決して説教臭くない軽やかなエンタメに落とし込んだ作品が、近年増えてきたように思う。『問題のあるレストラン』が扱った問題意識や人物設定とどことなく通底するものを感じる、鳥飼茜の『地獄のガールフレンド』も、そんな漫画のひとつだ。
○「誰かのために生きている」女性への卑屈な感情
この作品は、立場も属性も違う3人の女性が、それぞれの事情から一軒家でルームシェア生活をスタートさせるところから始まる。
今よりもっと稼ぎたいから家事を分担してほしいのに、"今の収入バランスで自由だけ欲しがるのはワガママ"と言い放つ無理解な夫に見切りをつけ、シングルマザーの道を選んだイラストレーターの加南。20歳で既婚男性との不倫を経験して以来、男に頼らず「誰にも迷惑をかけない」