2015年9月24日 14:39
エンタープライズ0.2 - 進化を邪魔する社長たち - (336) AI研究に見る第2の"ありまぁす" - 技術が社内に残らない理由
まず、手がけたのは、新規事業用の部屋の増設。「箱を作れば、中身はあとからついてくる」という発想は、トラックを買えば仕事が入り、仕事を請けてから勉強を始めても、どうにかなったバブル期に創業したI社長の経営哲学。
社内でWeb制作ができる人物は、営業マンとして中途入社してきた新人のただひとり。面接で語った趣味の「Web制作」に白羽の矢を立てたのです。素人同然だという抗弁も「勉強すれば良い」で却下されます。
いわば「研究員」のような立場ながら、営業マンとしての仕事は免除されません。
営業マンとしての業務と両立させるため、「研究員」は寝る間も惜しみますが、営業マンは「裁量労働制」の契約のため、残業や早朝、休日出勤への割増賃金が支払われることはありません。
そしてなんとか一人前のWeb制作者になったとき、研究員はそっと辞表を置いて会社を去りました。
より良いオファーがあったからです。彼は言います。
「場を与えられたことには感謝している。しかし、技術は自分の努力で身につけた」
社内に技術は残されず、増設された部屋は物置となります。
文科省の取り組みに同じ影を見つけます。予算要求にある「AI研究の拠点」