脚本家・古沢良太が語る、キャラクターづくりとテーマづくり
高校のときは肉屋でアルバイトしてたんですが、クリスマスに外で七面鳥をたたき売りをすることになって、自分もいつやるのかなと思って楽しみにしてたら、「あの子は絶対そういうの無理だから」と思われて、たたき売りができなくて寂しい思いをしたことがあるんですよ(笑)。
それに「自分の記憶は正しいと思っていても、ほかの人の記憶とは違っているかもしれないし、誰かのフィルターで通した真実や正義は、その人にとっての真実や正義でしかない」と、昔から思っていたんですよ。自分自身も、自分の都合の良いように記憶をとらえてるかもしれない。でも、そこに疑いを持つことって少ないんですよね。そういうことを書きたいと思ったんです。
○ダメな人の方が面白い
――以前、『リーガルハイ』の記事で、古美門研介の成長を描きたいわけではないという記事を見たのですが、物語の中の成長というものをどう考えてますか。
たぶん記者さんに「これは成長物語ですよね?」と聞かれたので、「そんなつもりで書いていない」と答えたんだと思います。ドラマの成長物語というと、考え方が幼かったり、人と違っていたりする人が、いろんな経験をして立派になり正しくなることを言うんだと思うんですけど、それに当てはめられるのは嫌だなと。