脚本家・古沢良太が語る、キャラクターづくりとテーマづくり
●「成長物語」に当てはめられたくはない
○能力を誰かのために使う使命
――そもそも、古沢さんが脚本家を目指そうと思ったのは何がきっかけだったんですか?
実は、脚本家になろうと思ったことはありません。もともと、中学時代に漫画家になりたかったんです。ストーリーの勉強のために、脚本について書かれた本を読み始めました。コンクールに応募して、その後、連ドラの仕事をするようになって、意外と向いてるなと思って今に至ります。
この『スキャナー』でも、仙石は自分で望んで残留思念(物や場所に残った人間の記憶や感情など)を読み込む能力を手に入れたわけじゃないんですけど、能力を持ったものは、自分の幸せのためではなく、その能力を誰かのために使う使命がある。『スキャナー』って、能力を持った自分を受け入れ、自分に与えられたことを全うするという物語だとも思うんですよね。
――この『スキャナー』は、記憶がテーマになっていますが、記憶をテーマにした理由はなんでしょうか。人って思いこむものじゃないですか。
僕は小さいころからすごく誤解をされやすい人だったんですね。怒ってないのに怒ってると思われたり、みんなで遊園地に行っても、つまらなさそうにしてると思われたり。