黒沢清、映画監督の“本当の仕事”「オリジナルは理想だがリスキー」
そんな人間が、いかに壁を乗り越えていくのか。そこは大きなテーマになるだろうと考えました。徐々に見えてきたことなので、それがいつなのか判断するのは難しいですね。
○■脚本で「当て書き」をしないワケ
――取材に備えて『Seventh Code』(14年)を改めて観たのですが、監督がおっしゃっている通り、前田さんには特有の孤独感が漂っていました。
『Seventh Code』で、「やっぱりこういう役が合っている」と確信しました。僕は、AKB48についてはあまり知らなかったのですが、AKB48関係のいろいろな映像やニュース、歌っているところも含めて見た時、あれだけ多くのメンバーが並んでいる中でも他と全然違う。「面白い存在」というのが彼女の第一印象で、女優を目指していると聞いて、チャンスがあれば一度撮ってみたいと。孤高な存在として撮るのが一番彼女に合っていると何となく思って。
本人にこれを伝えると、「私、全然そうじゃないですよ」と言われるんですが、そこにこそ個性があると確信していました。
――そのような役者さんが背負っているもの、背景は起用する上で重視されていますか?
そうですね。でも、前田さんは一緒に仕事をする前からイメージを持っていたので特殊な例だと思います。