くらし情報『黒沢清、映画監督の“本当の仕事”「オリジナルは理想だがリスキー」』

黒沢清、映画監督の“本当の仕事”「オリジナルは理想だがリスキー」

多くの場合は、やってみないと分からない。撮影前に出演作を見て、「なんとなくこういうイメージかな」と先入観を抱いて仕事をしてみると、「全然違った」ということは結構多い。またそれも面白いんですけどね。オリジナルであれ、原作であれ、向き合い方は同じ。基本的に俳優との出会いは縁、偶然です。こちらがいくら思っていても、別の人に代わることだってある。イメージしていたキャスティングと異なっても、「これはこれでいいね」と切り替えて撮影していくのが監督の仕事です。

――撮影に備えて出演作をご覧になるということは、意識的に先入観を作っていらっしゃるのでしょうか?

通常、脚本を書く時に「誰が演じるのか」と意識することはありません。
ただ、先程も言った通り今回は特殊で、前田さんをイメージしていました。フラットな状態で脚本を書き上げると、プロデューサーとキャスティングを話し合う中で候補者が絞られていく。出演者が決まると代表作を見返してから、ドキドキしながらその方とお会いします。

――オリジナルの場合は、脚本を書いている段階で無意識に俳優や知り合いの人物を思い浮かべてしまいそうな気がしますが……?

若い頃は、そんなこともありました。

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