元恋人の死と、突如現れた自分の子ども。常人の想像を超えるスタート【海のはじまり#1】
一人で夏の家までやってきたことも驚きですが「来たことある。練習した」というのです。
父親である夏の名前や家を知っている、というのは、生前の水季の何らかの意図や思いがあってのことでしょうか?ここの種明かしも気になるところですが、海はおもむろに水季が使っていたスマホを取り出すと、動画を夏に見せ始めます。
それは水季と海の何気ない日常の一コマ。「四季の中で夏が好き!今は冬だから冬眠する。夏がお迎え来るまでひっそりしてること」と、夏本人に伝えているわけではないけれど、まるで水季から夏に語りかけているような動画。
夏は自分の気持ちを表に出さず、相手の決断を尊重する人間です。水季が突然姿を消して、別れ話を切り出したあの時、「別れたい」をすんなり受け入れるのではなく、「夏はどうしたいのか」を考えて、夏の気持ちのままに行動に移してほしかったのかも知れません。
本当はずっと夏が迎えにきてくれるのを待っていたのだとしたら……胸がまたぎゅっと苦しくなります。
■呼応するように娘に語りかける夏の持っていた動画
「見せて」と今度は海が夏にせがんだのは以前告別式の会場で夏が見せた動画。大学生の水季が「海好きー!海大好きー!」