産む選択、産まない選択。置かれた環境で決意が真逆になった二人【海のはじまり#4】
海と夏の関係に対してのみ、どうしてもいつもの弥生でいられなくなってしまいます。その理由である、過去の中絶の事実を夏にカミングアウトし、「いい親になって必要とされれば楽になれると思い込もうとしていた。自分のために親になりたかった」と打ち明けました。
菩薩のように夏に優しく寄り添う弥生でも、こんなに感情を狂わせてしまうなんて、あの過去の中絶は彼女にとって本当に辛い出来事であり、大きな後悔なのでしょう。
でもこの言葉をまっすぐに夏にぶつけられる弥生はやっぱり強いし優しい女性です。
辛い中絶の時には、当時の彼氏も母親も、誰も心から弥生の心配をせず、自分の気持ちを押し付けるだけで、寄り添ってもらえなかった弥生。「本当はもっと人に寄りかかりたい」と夏に言っていましたが、夏は弥生にとってやっと寄り添ってくれる人なのでしょう。
弥生の「月岡君さ、しつこく電話したりしないよね。
決めきれない感じたまにイラッとするんだけど、でも一緒に迷えるのは助かる。寂しくない」という夏への言葉に、夏は「すごい悪口言われた気が……」と言っていましたが、これは夏への最高の褒め言葉なんでしょうね。
自分の気持ちを押し付けず、そっと寄り添いながら、二人の意思で物事を決められる関係の幸せを噛み締めているのでしょう。