産む選択、産まない選択。置かれた環境で決意が真逆になった二人【海のはじまり#4】
■対比のような、水季と弥生の置かれた環境
一方で水季の周囲は愛に溢れていました。妊娠に向き合おうとした夏、伝え方は感情的で不器用だけど、心の根っこでは水季を心配する母・朱音(大竹しのぶ)、そして、母と娘のバランスをとるように暖かく二人を見守りながら寄り添う父・翔平(利重剛)。
心から寄り添ってくれる人が誰もいなかった弥生とは正反対なほど、みんなが水季のことを考えてくれている。だからこそ、水季の中に隠れていた本当の気持ち「相手に似るなら産みたい」が引き出され、お父さんの「相手に似てほしいって思えるだなんて、それはもうねっ」「じゃあもうお母さんだよ。そう簡単に始めたりやめれたりするもんじゃない」に後押しされ、産むことを決意したのでしょう。
母・朱音が「子ども」ではなく「水季」が来てくれたことをどんなに喜んでいたのかが詰まっている母子手帳を、さりげなく水季に渡していた父・翔平。母の愛を改めて知ったことで、水季も海のためにあれだけの記録を母子手帳に残していたのでしょうね。愛がリレーのようにつながっていく場面でした。
■自分の決意が、置かれた環境で真逆になってしまった水季と弥生
本来産むはずだった弥生が中絶をすることになり、中絶をするはずだった水季が出産をしているのですから、人生とはなんとも皮肉なものです。