「身勝手なことをして悪かった」
昔、仕事でミスをした時に、新実さんから「謝るのも勇気」だと教えられた。素直に自分の非を認めて、心から詫びること。
そうすることで、周りから信用を得ることができる、と。これを聞いた時、なんて素敵な人なんだと思った。尊敬していた。
「この前、アルフィルで言ったことも反省している。あの言い方では、汐里を傷つけるだけだった」
「新実さん……」
「でも、あれは本心だ。俺にとって汐里がどれだけ特別な存在だったか、失って初めて気付いた」
「気付くのが遅いです」
だって、私は、もう……。
「もう1回だけチャンスをくれないか」
左右に首を振る。
「頼む。もう後悔したくないんだ。返事は今すぐじゃなくていいから、今後の行動を見ていてくれ」
再び、深く頭を下げられる。その姿を見て何も言えなくなってしまった。
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嬉しい知らせ
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「高杉さん、どうぞー」
診察室のドアが開き、看護師さんに名前を呼ばれた。返事をして中に入ると、ドクターの席に大和が座っている。
「え、あれ? 今日外来だったの?」