「1人で?」
「まさか、上司と一緒」
「上司って、この前、スーパーの帰りに会った人?元カレ?」
頷くと、大和の表情が強張った。
「カッコ良い人だったよね」
「やめてよ、そんなの考えたことない」
「本当? 今まで1度も?」
うっ、と言葉に詰まる。そんな私の様子を見て、大和なりにピンとくるものがあったらしい。
「もしかしてだけど、しおちゃんの元カレってその上司……?」
言うつもりはなかったけど、聞かれたら嘘を吐けない。
「そうだよ」
「だったら尚更、一緒に出張なんてダメだよ」
「勘違いしないでよ、これはあくまで仕事だから」
「仕事でも、良い気はしないよ」
その言い方にカチンとくる。
「出張なんてこれまで何度も行ってるし、公私混同はしないよ」
「そんなの分かんないだろ」
大和はそう言うと、ふいっと顔をそむけた。その態度に苛立ってしまった私は、
「大和には関係ないでしょ、干渉しないでよ」
言ってはいけない言葉を口にしてしまった。
理想じゃない恋のはじめ方。
第9話に続く…
『仕事をしない上司』に耐えきれず転職して数日後…⇒部長「会社がめちゃくちゃだ!」まさかの”SOS”!?部長が語った『会社の現状』にゾッ…