【連載小説】この恋は幸せになれない?好きになってしまったのは、奥さんのいる人。
「そうね」
伊野さんの言葉に頷き、席を立つ。理解のある女性を演じているのは、まだこの人に「溺れていない」と思いたいから。いつでも止められる。いつでも元に戻れる。会うのは今日でお終いだと言われても、全然平気。だけど……。
「やっぱり、もう1杯飲んでからにしようか?」
本音を言うと、もう少し一緒に居たい。
「また綾香に疑われるよ」
「本当に煩わしいね。
帰りの時間なんか気にしたくないのに」
「まるでシンデレラね」
「僕が?」
可笑しそうに笑った伊野さんは、私の手を取り指を絡めた。それから急に思い立ったように「そうだ」と呟く。
「旅行にいこうか」
「どこに?」
「どこにでも。そうすれば、周りの目を気にしなくていいし、深夜0時を過ぎても帰らなくていい」
「本気で言ってるの?」
「もちろん。近々、計画を立てよう」
◆
旅行
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ayaka.ino 週末は旦那くんが出張(><)
寂しいけど、お留守番頑張ります
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お料理教室で習ったビーフストロガノフを作って待ってるね
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#愛情たっぷりご飯 #楽しみにしててね
伊野さんと旅行することに罪悪感が全くないわけではない。