【連載小説】この恋は幸せになれない?好きになってしまったのは、奥さんのいる人。
だけど、それでも良いって思ってしまった。
「分かった、待ってる」
後悔しても良いから、この人が欲しい。
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まさかの
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「あれ、もしかして千紗」
仕事帰りに立ち寄った雑貨店で声をかけられ振り向くと、大学時代の友人が立っていた。黒いツヤのある髪と大ぶりのピアスがよく似合う美人で、仲良しグループの中心的存在だった玲子(れいこ)だ。
「わあ、久しぶりだね! 元気?」
「元気元気! 千紗も元気してた? 今、何してるの? 仕事は? 住んでるのって、この辺り? 」
「ちょ、ちょっと待って。そんな次々に聞かれても答えられないよ」
「あはは、ごめんー」
相変わらずだなぁ、玲子は。明るくて派手な性格の玲子は交友関係が広く、賑やかなのが苦手な私とは正反対。そのため、グループ以外で個人的に遊んだりすることはなくて大学を卒業後は連絡を取ってなかった。
それでも久しぶりに会えたことが嬉しく、お互いに時間があるということで、近くにあるイタリアンレストランに入った。
「千紗、何だか大人っぽくなったよね」
「そう? 実際もう30歳だし。