【連載小説】この恋は幸せになれない?好きになってしまったのは、奥さんのいる人。
さらに共有スペースの外廊下に生ごみを撒かれており、他の住民から連絡を受けた管理人さんがすっ飛んで来た。当然それらは私が片づけることとなり、その対応に1日以上を費やすことになる。
SNSでも名指しで非難され、コメント欄は共通の友達からの「そんな人だとは思わなかった」という言葉で溢れていた。
またリーダー的存在だった玲子からは、友達をやめるという旨のメッセージが直接私のところに送られた。母にも連絡が入ったらしい。
『もしもし、千紗? なんかあんたの知り合いという子から電話があったんだけど』
「うん……綾香でしょ」
『そうそう、そんな名前だった』
「ごめんね、綾香は何て?」
『旦那を横取りされたとか、どうとか。あんた友達の旦那と不倫したの?』
「……うん」
親にも言うって宣言していたもんね。ただ、うちの母は私なんかよりもずっと多くの修羅場を経験しているから驚きもしないだろう。
予想通り、母は怒るよりも呆れた声でこう言った。
『馬鹿だねぇ。1番面倒くさいところに手をつけて。ま、自分で蒔いた種なんだから自分で何とかしなさいよ』
「分かってる」
『何を言われても私は知らないって言うから、こっちのことは気にしなくていいよ』
「うん……ありがとう」