【石子と羽男 第3話 感想】『許されざる罪』を描いた第3話 残酷な結末から見えたもの
監督は、諸星の再出発の芽を摘まないよう、訴えは起こさないことを決めた。
見物人だった『私たち』が『当事者』へと変わる瞬間
そして残るは遼平だ。
何も聞き入れない遼平に、石子は罪と向き合ってもらうための秘策を思いつく。
それは、山田監督の最新作のファスト映画を見せることだった。
接見に訪れた羽男に、動画を予告なしに見せられた遼平は、「こんな編集をされたら、よさが伝わらない」「本編を見る楽しみを奪われたも同然」と激怒する。
そんな遼平に、羽男は一言。
「それがあなたのやっていたことなんですよ」
最新作は上映打ち切りとなったが、映画を見ずに誹謗中傷する人、ファスト映画だけ見て評価する人で溢れた。
たった10分の動画だけで映画を『見た気になる』のだ。
これは中身までは知ろうとしないまま、記事の見出しだけで意見し、判断することと同じ、現代の悪き風潮だ。
罪とは知らずに、これは誰かのためになっているという自己中な正義感。
ゼロから長い時間かけて創り上げた作品を一瞬で潰し、関わる全ての人を苦しめる行いに知らぬ間に加担しているのだ。
「あなたが加担した、ファストの世界が、どれほど罪深いものか。