【『初恋の悪魔』感想6話】名前未満の愛おしいもの・ネタバレあり
と、少年のように乱暴な言葉とともに、口の端に粉をつけて笑った顔も忘れがたく素敵だった。
優秀だが変人の刑事課の刑事・鈴之介(林遣都)、真面目で優しいが平凡な警察署の総務担当・悠日(仲野太賀)、愚痴っぽいが友達想いで、一途に刑事課の新人刑事に片思いしている経理担当・小鳥琉夏(柄本佑)、そして二重人格により途切れる自分の記憶に悩む生活安全課の刑事・星砂(松岡茉優)。
組織からはみ出して生きる4人が事件を追う『初恋の悪魔』(日本テレビ系土曜22時)。
前回5話から、物語はおそらくストーリー全体の核になるだろう悠日の兄・馬淵朝陽(毎熊克哉)の3年前の殉職と、5年前の少年拉致殺害をめぐる謎に踏み込んでいる。更に今回、6話ではそれらの事件と星砂の二重人格の、別の人格が深く絡んでいるさまが提示される。
正直、1~4話までは、いつもの坂元脚本と変わらずセリフもキレキレだし、コメディの部分もさすがの匙加減であるけれども、それでも物語がどこに向かっているのかは全く見えず、心許ない感じが消えなかった。
だが、5話から6話にかけた怒濤の展開に、ここまでのばらばらに散りばめられたエピソードは、織り上げる前の『糸』の準備だったのだと痛感する。