【『ファーストペンギン!』感想3話】どん底を蹴って浮き上がれ!・ネタバレあり
と怪しむが、それは東京の飲食店に魚を買ってもらうための必死の営業だった。
何度も無理に食べ吐きしながら営業に回った和佳は倒れて病院に運ばれ、息子の進(石塚陸翔)を船団丸に預けたまま一晩帰れなくなってしまう。
ここで漁師たちと和佳の間の不信感はピークに達する。
漁師の片岡(堤真一)は和佳の母親としてのありようが酷すぎるのではないか、息子の進の物分かりがあまりにも良いのは、放置の結果の歪みではないのか、と和佳にとっては身に覚えのある『痛い一撃』を食らわせてしまうのである。
興味深いのは、物分かりが良すぎる子供への忸怩(じくじ)たる思いが、どうやら片岡自身の過去に繋がっているような部分である。
自分にその痛みの後悔があるから、和佳に対してもある意味的確にその武器を使ってしまったのではないか。
片岡には病で死に別れた妻がおり、その妻には連れ子がいたということが物語の初回、漁師たちの話で明かされている。
そして和佳には琴平(渡辺大知)という経営コンサルタントらしき青年が時折連絡をしてお魚ボックス事業に的確なアドバイスをしている。
琴平は、和佳と進の親子に対して何らかの好意はあるようだが、その真意は見えない。