【『ファーストペンギン!』感想3話】どん底を蹴って浮き上がれ!・ネタバレあり
その琴平が、今回のラストで汐ヶ崎の漁師たちについて直接見知っているふうなことを言いかけてやめた。そして、まだ和佳に対して何か隠している意図があるらしい。
幾つもの点と点が浮かび上がっているが、それがどんな線を描くのかはわからない。中盤に向けての大きな楽しみの一つになりそうだ。
こうして一度はさんし船団丸との縁を切ろうと決めた和佳だったが、和佳の献身的な営業の実情を知った漁師の面々が引き止めにやってくる。
それでも振り切ろうとした和佳を引きとめたのは、いつも良い子すぎるくらい良い子である息子の進が初めて見せた怒りだった。漁師たちの訴えかけを無視して自転車をこぐ和佳に、進は初めて「ママのばか!」と怒り、驚いて自転車を止めた和佳は追いついてきた漁師たちと和解する。
一度切れかけた糸が、繋がってまた撚りあう瞬間だった。
しかし遡って考えると、普段は優しい幼い子を怒りに突き動かしたのは『楽しい漁師のおじちゃんたち』への思いやりだろう。
それは一晩寄り添った永沢(鈴木伸之)の優しさや、ペンギンの鳴き声を真似て寂しさを紛らわせてくれた片岡の思いやり、そして母親の悪口を子供の目の前で言わなかった高志(吹越満)