【エルピス 第3話 感想】覚悟を決めた浅川、模索する岸本、2人の『正しさ』とは
だが当時の捜査のことは「正直、あんまり覚えていない」と言う。
覚えていないのにそう言うのは、最高裁の判決を信じているからなのだ。我が国の司法に絶対的正しさを求める彼にとっては、岸本が思う闇なんてどこにもない。
だが岸本は自分の正しさを見せつけるかのように言い返す。浅川に『空気の読めない人』だと言われたが、岸本は『空気を読む』ことを正しさと信じて人生を送ってきたのである。
「空気ってどうやったら読まないでいられるんだろう」
そう呟く浅川も空気を読んでばかりだった。自分が我慢さえしておけば、世界は勝手に動いていく…そう思うのだった。
マスコミが被害者に与える罪
その後、当時取り調べを行った山下守にインタビューを敢行できることになる。
この人物こそ、松本の自供を引き出したとされる人間だった。
身に覚えのない罪で連行し、暴力を振るい、脅し続けた結果、松本が漏らしてしまった「もう許してください」を自白の代わりとした人間だ。山下は言葉を濁しながら、「それはやったということです」と正当化する。もう私には関係のない話だからこれ以上聞くなという空気がそこにはあった。
『空気が読める』浅川は言い返すことができなかった。