くらし情報『【『大奥』感想4話】堀田真由・斉藤由貴、二人の『母』の覚悟で描く男女逆転社会のリアリティ』

【『大奥』感想4話】堀田真由・斉藤由貴、二人の『母』の覚悟で描く男女逆転社会のリアリティ

嫉妬に苦しみながらも廊下側には切りつけられない苦悩は原作でも描かれるが、有功をけなげに抱きしめる玉栄(奥智哉哉)とその胸ですすり泣く有功は、ドラマのオリジナルである。

【『大奥』感想4話】堀田真由・斉藤由貴、二人の『母』の覚悟で描く男女逆転社会のリアリティ

※写真はイメージ

その上で、有功が聖職者になろうとしていた青年であること、その素養が大奥での暮らしでも損なわれずに内面に残っていることがドラマでは繰り返し描かれている。

ただひとり、愛する女への純粋な愛情と嫉妬の間で不安定に揺れ続ける有功の人生は、他人のケアをすることで、利他という杖を得てようやく安定する。

そして病に倒れた春日局(斉藤由貴)の最後の懺悔を聞き、彼女の秘めた悔いも詫びも引き取って看取るのである。

懺悔の中で春日局が呟く「あの日わしは、仏をさらってきたのじゃ」は原作にないセリフだが、このドラマの春日局の複雑で魅力ある人物像を端的に表現したものだと思う。

誰よりも苛烈で誰よりも甘い。その春日局のありようを脚本は『母』だと表現する。

より多数の幸福のために集団を維持し、時に個をすり潰すことすら良しとする苛烈さは女将軍の家光に。


弱き者に手を差し伸べ、人が生きる苦しみに寄り添う慈愛は有功に。

その二面性は、人が集団で生きていく社会の機能そのもののようだ。

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