「神様なんていない」と思った女性 成人式後、母にいわれた『言葉』にハッ
とキラキラした表情で私に言った。「その袋開けてみてよ!」
中に入っていたのは、白いフェルト生地の真ん中に紫色で大きく「守り」と刺繍された手作りのお守りだった。文字の周りにも刺繍やビーズで装飾されていて、なかなかの大作だ。
明らかに手の込んだお守りに思わず見入っていた私に、母はすっぱりと言った。
「みーちゃんの進路、神様は見てくれてるから大丈夫!」
ああ、まただ、と私は思った。何の根拠もない「大丈夫」。どこに行っても突き放されるかのような「大丈夫」…。
重い。
苦しい。これまでの失敗が蘇る。でも、母の屈託のない表情を見ると弱音なんて吐けなかった。
不安な気持ちを飲み込み、お守りを握って自分に言い聞かせた。神様が見てくれているのなら今回は違うはず…。
そして挑んだ最後のチャンス、後期入試。
結果は-【不合格】
私は確信した。「神様なんていないんだ」と。
その後、私は結局すべり止めで受験していた私立の大学に入学した。大学では友達や先生にも恵まれ、忙しいながらも充実した日々を送っていた。
あっという間に時は過ぎ、この日は成人式。雲一つない穏やかな晴天だった。
成人式から帰っても何となく振袖を脱ぐのが惜しかった私は、母の提案で近所の神社に参拝しに行くことに。