「神様なんていない」と思った女性 成人式後、母にいわれた『言葉』にハッ
着くなり懐かしそうに母は言った。
「ここはよく来たなあ。神様に20年分の感謝を伝えないと!受験の時もお世…」
「受験」という言葉を聞いて、当時無理やり押し込めていた感情が急に膨れ上がってきた。
脳裏に浮かぶのは、不安に押しつぶされそうな自分、どんどん届かないところまで進んでいく同級生たち、そしてすがるような思いで手にしたあのお守り…それなのに…。
「神様なんて、いないのに!」
もう限界だった。あの日から何も信じられなくなっていた。母の影が静かに私のほうを向く。
「神様はちゃんと見ててくれたよ」
顔も上げられない私に、母の声が優しく響く。
「母さんは合格祈願なんてしたこと無い。願ってたのはみーちゃんが幸せやって思える道に進めますようにっていうことだけ。
だから毎日遅くに帰ってきて、友達にも先生にも良くしてもらって、課題に追われながらも楽しそうに大学に行ってる姿を見る度に、受験で明けても暮れても机にかじりついてたあなたのことやっぱり神様は見ててくれたんやなあって…」
当時、周りの目ばかり気にして、失敗するたびにかっこ悪くなっていくような自分が情けなくて、一人ぼっちになるのが怖くて、誰かに認められたいがために頑張っていた自分。