夜に突然電話をかけてきた、配送員の兄ちゃん 『理由』にグッとくる
お兄さんもバックミラーを見ながら微笑んでいるのが見えましたが、私はその姿を少し困って見ていました。
ところが、その夜のことです。
仕事で遅い主人を待たずに、晩ごはんの用意を娘たちとしていたとき、電話が鳴りました。
「ごめん、誰か出てー!」と頼むと、次女が電話に出てくれました。そして、電話に出た次女は、電話口で何度かうなずいて、電話を切ってしまったのです。
「どうしたの?だれだったん?」と聞くと「ん?洗濯機のお兄ちゃん!洗濯機は無事、次にいくところについたって!」とニコニコで夕食を食べ始めました。「え??洗濯機が?」
配送員のかたは、娘が洗濯機を気にしていたことを心に留めていてくれたのでしょう。
配送が全部終わった後、わざわざ電話をして、娘が安心できるようにして下さったのです。
もしかしたら、ご自身もこれくらいの子供さんの親だったのかもしれません。
子供の個性に、一人の大人として向かい合ってくれた配送員のかたの規約外の優しいサービス。今でも、大阪で過ごした家族の大事な思い出の一つです。
grape Award 2020 応募作品
テーマ:『心に響いた接客エッセイ』
タイトル:『壊れた洗濯機の次のおうち』
作者名:すずらん
エッセイコンテスト『grape Award 2020』の審査員が決定!
2017年から続く、一般公募による記事コンテスト『grape Award』。