2020年12月7日 11:00
100年料亭の若女将は24歳 母の最期の言葉は「娘を応援して……」
絶対によくなる」と思い込んでいたが、看護師に「この2〜3日」と告げられた。病室に、最後のお別れに親族が詰めかけたとき、佳子さんはももちゃんと2人になりたいと言った。ももちゃんは「絶対に気持ちやから、あきらめたらあかんよ」と必死に励ますと、佳子さんはももちゃんの目を見て「わかとるよ」と、やさしく答えてくれた。でも、佳子さんは死を覚悟していたようだ。伸彦さんとは「あんたがしっかりせなあかん」「わかってる。もも乃のことはまかせろ」とやりとりしていた。
娘の女将としての成長を祈りつつ、佳子さんは、18年8月に亡くなった。いつもニコニコ顔のももちゃんも、このときのことを思い出すと、涙が浮かんでくる。
「亡くなっても、いつまでもあたたかい母の手を握って、すごく泣きました。でも、逆に、やらなあかんこともめちゃくちゃあった。私だけ悲しんでいるわけにはいかなかった」
祖父、父と共に、料亭でのひとときを楽しみにしているお客さんを迎えなければならないのだ。
「母娘で料亭を切り盛りする夢は実現できませんでしたが、母の着物でお店に出ると、いつも見守られていると感じます。母には到底及ばないですが、勉強して、當田屋の看板を守っていきます」