2022年5月29日 06:00
“場面緘黙症”で話せず不登校…14歳少女が行列店のパティシエに
スイーツカフェはすぐに40席が満席に
「転機は、不登校で家での生活となったとき、みずきにスマホを与えたことでした」
千里さんの声が、少し明るくなる。そういえば、工房でも、母と娘は近くにいながら、スマホを使って円滑にコミュニケーションを取っていた。
「家族の連絡用ということより、みずきに世界とつながっていてほしかったんです。私があの子に伝えたのは、『スマホを使えば文字で人としゃべられるんやで、インスタグラムでは自分のことを発信もできるんやで』と。もう、その日から、私や主人以上に使いこなしてましたね(笑)」
さすが現代っ子のみいちゃんは、すぐにスマホで夢中になれることを見つけたようだ。
「クックパッドや料理アプリを使い、次々にレシピを検索して自分で料理を始めたんです。最初はお総菜で、私も帰宅が遅れたときなど助かりましたが、そのうちお菓子作りにハマって、これじゃ夕飯のおかずにはならないと焦ったりも(笑)。私の勤務中にも、〈今日はコレ作ったで〉〈調味料は何?〉と、頻繁にLINEで届くようになって。
ああ、この子、スマホを通じてなら、すぐに返事も返るんやと。このスマホとの関係は大事にせなあかんと、直感しました」