2022年5月29日 06:00
“場面緘黙症”で話せず不登校…14歳少女が行列店のパティシエに
娘が料理に関心を持ったのを機に、千里さんは18年春、閉店した弁当屋の厨房を借りて菓子製造業の営業許可を取得。ここで、「近江の野菜食堂」を始める。
「食堂といっても、いわゆるマルシェ販売で、弁当も置きましたが、メインはみずきの蒸しパン。このころには、次々にオリジナルの新作メニューを考えるようになり、そのケーキの写真をSNSにアップすると『すごい!』など反響が届くのがうれしそうでした。親ばかですが、私から見ても、味もデザインも、お菓子作りのセンスをすごく感じて、好きなことを伸ばしてあげようという思いだけだったんです」
やがて作りすぎたタルトなどをご近所におすそ分けしていると、次々に「作ってほしい」という注文が届きだす。
「スイーツカフェ、やるか?」
「うん」
19年春、月1回限定のカフェを近所の空き店舗を借りてオープンすると、プロ顔負けのおいしさと、みいちゃんが一皿ごとに施すチョコペンアートの魅力が口コミで伝わり、すぐに40席が満席となってマスコミにも紹介される人気に。
「これやわ!」
千里さんが感嘆したのは、行列よりも、生き生きとケーキを作り続けるわが子の姿だった。
「これまで就労支援で作業所にも行きましたが、体が固まってしまっていました。